(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131593
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】L字形止水板の設置装置及び設置方法
(51)【国際特許分類】
E06B 5/00 20060101AFI20230914BHJP
E06B 7/23 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E06B7/23 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036445
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】500245927
【氏名又は名称】ガデリウス・インダストリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180079
【弁理士】
【氏名又は名称】亀卦川 巧
(74)【代理人】
【識別番号】230101177
【弁護士】
【氏名又は名称】木下 洋平
(72)【発明者】
【氏名】徳成 廣久
【テーマコード(参考)】
2E036
2E239
【Fターム(参考)】
2E036AA01
2E036BA01
2E036CA01
2E036DA02
2E036GA02
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】L字形止水板をあらゆる場所に設置し易いL字形止水板の設置装置及び設置方法を提供すること。
【解決手段】本発明のL字形止水板の設置装置100~100dによれば、支持部材10~10d,20~20cが止水壁30~30dを支持し、支持部材10~10d,20~20c又は止水壁30~30dがL字形止水板当接面26~26dを有するので、L字形止水板50と組合せることにより、L字形止水板50とL字形止水板の設置装置100~100dによって水を堰き止めることができるから、浸水を防ぎたい箇所にL字形止水板50を設置して止水し、L字形止水板50と壁との間で隙間が生じる部分は、L字形止水板の設置装置100~100dによって止水することができるので、L字形止水板50をあらゆる場所に設置し易くすることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材と、該支持部材によって支持される面状の止水壁を具え、
前記支持部材又は止水壁の少なくともいずれか一方に、底辺から上方に亘るL字形止水板当接面が設けられている、
L字形止水板の設置装置。
【請求項2】
前記支持部材が、第一固定支柱及び第二固定支柱であり、
前記止水壁が、板状の止水板であり、
前記止水板は、底部に底部水密材を具え、前記第一固定支柱及び第二固定支柱に装着可能に構成され、
前記L字形止水板当接面が前記第一固定支柱、第二固定支柱、及び/又は止水板の少なくとも一部に形成され、
前記止水板が前記第一固定支柱及び第二固定支柱に装着されたとき、前記第一固定支柱及び第二固定支柱に密着し、前記底部水密材が設置面に密着するように構成されている、請求項1のL字形止水板の設置装置。
【請求項3】
前記第一固定支柱が、前記第二固定支柱と対向する面の垂直方向全体に亘って設けられている第一固定支柱側凹溝を具え、
前記第二固定支柱が、底面側に設けられた設置部材と、前記第一固定支柱と対向する面の垂直方向全体に亘って設けられている第二固定支柱側凹溝と、外側面に形成されたL字形止水板当接面を具え、
前記設置部材によって、前記第二固定支柱が、前記止水板を前記第一固定支柱側凹溝及び第二固定支柱凹溝に嵌め込むことができる位置に固定されるように構成され、
前記止水板が、前記第一固定支柱側凹溝及び第二固定支柱凹溝に嵌め込まれるように構成されている、請求項2のL字形止水板の設置装置。
【請求項4】
締結部材と、前記止水板に設けられた締結プレートをさらに具え、
前記止水板が前記第一固定支柱側凹溝及び第二固定支柱凹溝に嵌め込まれ、前記締結部材によって前記締結プレートを介して前記第一固定支柱及び第二固定支柱に締結されたとき、前記底部水密材が前記設置面との間で圧縮するように構成されている、請求項3のL字形止水板の設置装置。
【請求項5】
前記止水板が、前記第一固定支柱及び第二固定支柱の外側面に装着されるように構成されている、請求項2のL字形止水板の設置装置。
【請求項6】
前記支持部材が、第一固定支柱及び第二固定支柱であり、
前記止水壁が、前記第一固定支柱内部にロール状に収納可能な止水板であり、
前記L字形止水板当接面が前記第一固定支柱及び/又は第二固定支柱の少なくとも一部に形成され、
前記第二固定支柱が、前記止水板を掛止するように構成され、
前記第一固定支柱と第二固定支柱の間であって、前記止水板と設置面との間に配設され、設置面に密着するように構成されている底部水密材をさらに具える、請求項2のL字形止水板の設置装置。
【請求項7】
前記第一固定支柱と第二固定支柱の間に配設され、前記止水板に接し得る補強部材をさらに具える、請求項6のL字形止水板の設置装置。
【請求項8】
前記設置部材によって、前記第二固定支柱が第一固定支柱に隣接する位置にさらに固定されるように構成されている、請求項2から7のいずれかのL字形止水板の設置装置。
【請求項9】
前記支持部材が、着脱又は折り曲げ可能に構成され、
前記止水壁が、板状の止水板であり、
前記支持部材を取り外し又は折り曲げたとき、前記止水板が接地面と面一になるように収納可能に構成されている、請求項1のL字形止水板の設置装置。
【請求項10】
支持部材と、該支持部材によって支持される面状の止水壁を具え、
前記支持部材又は止水壁の少なくともいずれか一方に、底辺から上方に亘るL字形止水板当接面が設けられているL字形止水板の設置装置を用いた止水方法であって、
前記L字形止水板の背板を前記L字形止水板当接面に密着させ、少なくとも前記L字形止水板及び止水壁によって止水することを特徴とする、
止水方法。
【請求項11】
前記支持部材が、第一固定支柱及び第二固定支柱であり、
前記止水壁が、板状の止水板であり、
前記止水板は、底部に底部水密材を具え、前記第一固定支柱及び第二固定支柱に装着可能に構成され、
前記L字形止水板当接面が前記第一固定支柱、第二固定支柱、及び/又は止水板の少なくとも一部に形成され、
前記止水板を前記第一固定支柱及び第二固定支柱に装着し、前記第一固定支柱及び第二固定支柱に密着させ、前記底部水密材を設置面に密着させる、請求項10の止水方法。
【請求項12】
前記第一固定支柱が、前記第二固定支柱と対向する面の垂直方向全体に亘って設けられている第一固定支柱側凹溝を具え、
前記第二固定支柱が、底面側に設けられた設置部材と、前記第一固定支柱と対向する面の垂直方向全体に亘って設けられている第二固定支柱側凹溝と、外側面に形成されたL字形止水板当接面を具え、
前記設置部材によって、前記第二固定支柱を、前記止水板を前記第一固定支柱側凹溝及び第二固定支柱凹溝に嵌め込むことができる位置に固定し、
前記止水板を前記第一固定支柱側凹溝及び第二固定支柱凹溝に嵌め込む、請求項11の止水方法。
【請求項13】
締結部材と、前記止水板に設けられた締結プレートをさらに具え、
前記止水板を前記第一固定支柱側凹溝及び第二固定支柱凹溝に嵌め込み、前記締結部材によって前記締結プレートを介して前記第一固定支柱及び第二固定支柱に締結し、前記底部水密材を前記設置面との間で圧縮させる、請求項12の止水方法。
【請求項14】
前記止水板を、前記第一固定支柱及び第二固定支柱の外側面に装着する、請求項13の止水方法。
【請求項15】
前記支持部材が、第一固定支柱及び第二固定支柱であり、
前記止水壁が、前記第一固定支柱内部にロール状に収納可能な止水板であり、
前記L字形止水板当接面が前記第一固定支柱及び/又は第二固定支柱の少なくとも一部に形成され、
前記第二固定支柱が、前記止水板を掛止し、
前記第一固定支柱と第二固定支柱の間であって、前記止水板と設置面との間に、設置面に密着するように構成されている底部水密材を配設する、請求項10の止水方法。
【請求項16】
前記第一固定支柱と第二固定支柱の間に、前記止水板に接し得る補強部材を配設する、請求項15の止水方法。
【請求項17】
前記設置部材によって、前記第二固定支柱が第一固定支柱に隣接する位置にさらに固定されるように構成されている、請求項10から16のいずれかの止水方法。
【請求項18】
前記支持部材が、着脱又は折り曲げ可能に構成され、
前記止水壁が、板状の止水板であり、
前記支持部材を取り外し又は折り曲げたとき、前記止水板が接地面と面一になるように収納可能に構成されている、請求項10の止水方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、L字形の止水板(以下、「L字形止水板」という。)の設置装置及びL字形止水板設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大雨や洪水の発生時に、建築物等、水の侵入を防ぎたい場所への浸水を防ぐための道具として、これまでに様々な止水板が開発されてきている。例えば、止水板を建築物の入り口等に設置するための止水板の設置装置として、以下のようなものが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
特許文献1には、止水板と一対の固定板から構成された止水装置が開示されている。止水板は、固定板に当接する面にパッキンが設けられるとともに磁石が埋め込まれ、底部には、底部パッキンが設けられている。固定板は、止水板に当接する面に鉄板が埋め込まれており、床面から所定高さの位置に突起部が設けられている。止水板を固定板に固定するとき、固定板の鉄板に止水板の磁石が吸着されて止水板が固定板に密着するとともに、止水板が固定板の突起部によって押さえられ、止水板の底部パッキンが床面に圧縮された状態で密着する、とされている。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の止水装置では、設置する一対の固定板の間隔に応じた止水板を用意しなければならず、生産性に欠けるという問題がある。
【0006】
ところで、止水板の一種として、L字形止水板が市販されている。L字形止水板は、L字形止水板の底面上に水が乗ることで、水圧によって底面が設置面に押さえつけられるとともに、L字形止水板の背板で水を堰き止めるという構造である。例えば、建物内への浸水を防ぎたいとき、L字形止水板の底面側を水の浸入方向に向けて複数個連続して一部が重なり合うように並べればよいので、あらゆる場所に簡便に設置することができる。
【0007】
しかし、例えば通路に所定の幅を有するL字形止水板を複数個連続して並べたとき、通路の壁などとL字形止水板との間に隙間が生じ、この隙間から浸水してしまうこともあり得る。
【0008】
そこで、本発明は、L字形止水板をあらゆる場所に設置し易いL字形止水板の設置装置及び設置方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、支持部材と、該支持部材によって支持される面状の止水壁を具え、
前記支持部材又は止水壁の少なくともいずれか一方に、底辺から上方に亘るL字形止水板当接面が設けられているL字形止水板の設置装置、
又は、
支持部材と、該支持部材によって支持される面状の止水壁を具え、
前記支持部材又は止水壁の少なくともいずれか一方に、底辺から上方に亘るL字形止水板当接面が設けられているL字形止水板の設置装置を用いた止水方法であって、
前記L字形止水板の背板を前記L字形止水板当接面に密着させ、少なくとも前記L字形止水板及び止水壁によって止水することを特徴とする止水方法によって前記課題を解決した。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、支持部材が止水壁を支持し、支持部材又は止水壁がL字形止水板当接面を有するので、L字形止水板と組合せることにより、L字形止水板とL字形止水板の設置装置によって水を堰き止めることができる。具体的には、浸水を防ぎたい箇所にL字形止水板を設置して止水し、L字形止水板と壁との間で隙間が生じる部分は、L字形止水板の設置装置によって止水することができる。よって、L字形止水板をあらゆる場所に設置し易くすることができる。
【0011】
また、支持部材を第一固定支柱と第二固定支柱とし、止水壁を板状の止水板とし、止水板が、底部に底部水密材を具え、第一固定支柱及び第二固定支柱に装着可能に構成され、L字形止水板当接面が第一固定支柱、第二固定支柱、及び/又は止水板の少なくとも一部に形成され、止水板が第一固定支柱及び第二固定支柱に装着されたとき、第一固定支柱及び第二固定支柱に密着し、底部水密材が設置面に密着するように構成すると、組立て易く、止水性能を高めることができる。
【0012】
さらに、第一固定支柱が、第二固定支柱と対向する面の垂直方向全体に亘って設けられている第一固定支柱側凹溝を具え、第二固定支柱が、底面側に設けられた設置部材と、第一固定支柱と対向する面の垂直方向全体に亘って設けられている第二固定支柱側凹溝と、外側面に形成されたL字形止水板当接面を具え、設置部材によって、第二固定支柱が、止水板を第一固定支柱側凹溝及び第二固定支柱凹溝に嵌め込むことができる位置に固定されるように構成され、止水板が、第一固定支柱側凹溝及び第二固定支柱凹溝に嵌め込まれるように構成すれば、止水板を装着し易くすることができる。
【0013】
また、締結部材と止水板に設けられた締結プレートをさらに具え、止水板が第一固定支柱側凹溝及び第二固定支柱凹溝に嵌め込まれ、締結部材によって締結プレートを介して第一固定支柱及び第二固定支柱に締結されたとき、底部水密材が前記設置面との間で圧縮するように構成すれば、止水板の底部からの浸水を防ぎ、止水性能をさらに高めることができる。
【0014】
また、止水板が第一固定支柱及び第二固定支柱の外側面に装着されるように構成すれば、止水板を第一固定支柱及び第二固定支柱に装着し易くすることができ、組立て易くすることができる。
【0015】
また、支持部材が第一固定支柱及び第二固定支柱であり、止水壁が第一固定支柱内部にロール状に収納可能な止水板であり、L字形止水板当接面が第一固定支柱及び/又は第二固定支柱の少なくとも一部に形成され、第二固定支柱が止水板を掛止するように構成され、第一固定支柱と第二固定支柱の間であって、止水板と設置面との間に配設され、設置面に密着するように構成されている底部水密材をさらに具える構成とすれば、使用時以外にコンパクトなL字形止水板の設置装置とすることができる。さらに、第一固定支柱と第二固定支柱の間に配設され、止水板に接し得る補強部材を具える構成とすれば、止水板の対水圧機能を向上させ、止水性能を高めることができる。
【0016】
また、設置部材によって、第二固定支柱が第一固定支柱に隣接する位置に固定されるように構成すれば、使用時以外にコンパクトなL字形止水板の設置装置とすることができる。
【0017】
また、支持部材が着脱又は折り曲げ可能に構成され、止水壁が板状の止水板であり、支持部材を取り外し又は折り曲げたとき、止水板が接地面と面一になるように収納可能に構成すれば、使用時以外にコンパクトなL字形止水板の設置装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第一実施形態のL字形止水板の設置装置とL字形止水板を設置したときの分解斜視図。
【
図2】
図1の第一固定支柱側凹溝及び第二固定支柱凹溝に止水板を嵌め込んだときの平面図。
【
図3】
図1の設置装置の第一固定支柱と第二固定支柱が隣接している状態の平面図。
【
図5】本発明の第二実施形態のL字形止水板の設置装置とL字形止水板を設置したときの要部の分解斜視図。
【
図6】本発明の第三実施形態のL字形止水板の設置装置の分解斜視図。
【
図7】(a)は本発明の第四実施形態のL字形止水板の設置装置の分解斜視図。(b)は一部拡大説明図。
【
図8】本発明の第五実施形態のL字形止水板の設置装置の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を
図1~8を参照して説明する。但し、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0020】
図1は、通路60に、本発明の第一実施形態のL字形止水板の設置装置100と任意で設けられる第三固定支柱40を用いて、複数のL字形止水板50を設置したときの分解斜視図である。L字形止水板50は、底面50aと背板50bを具えるもので、市販されているものを使用すればよい。
【0021】
通路60は、第一壁面62と第二壁面64を有し、第一壁面62と第二壁面64の間にL字形止水板50を複数個連続して設置したとき、L字形止水板50と第一壁面62との間で隙間が生じる幅を有する。当該隙間に本発明のL字形止水板の設置装置100を設置することにより、L字形止水板50とL字形止水板の設置装置100によって水を堰き止めることができるので、L字形止水板50をあらゆる場所に設置し易くすることができる。
【0022】
本発明のL字形止水板の設置装置は、基本的に、支持部材と、支持部材によって支持される面状の止水壁を具え、支持部材又は止水壁の少なくともいずれか一方にL字形止水板当接面が設けられている。L字形止水板の設置装置100の場合、支持部材は、第一固定支柱10と第二固定支柱20で構成され、止水壁は、板状の止水板30である。第一・第二固定支柱10,20及び止水板30は、金属や樹脂など、水分が浸透し難く、十分な強度を有する素材で形成されている。
【0023】
止水板30は、底部に、発泡ゴムなどのシール部材で構成された底部水密材36を具えている。底部水密材36は、止水板30が第一・第二固定支柱10,20に装着されたときに、止水板30の自重などにより設置面に密着するように構成されている。
【0024】
図2に示すように、第一固定支柱10は、インサートナットなどの第一固定支柱固定具16によって、第一壁面62(
図1参照)に固定されている。第一固定支柱10と壁面の間には、防水性を高めるため、第一固定支柱シール14(
図3参照)を設けるのがよい。第二固定支柱20は、底面側に設けられる設置部材24を介して、ボルトなどの第二固定支柱固定具25が設置面に挿入されることによって、設置面に設置される。
【0025】
第一固定支柱10には、第二固定支柱20と対向する面の垂直方向全体に亘って第一固定支柱側凹溝12が設けられている。一方、第二固定支柱20には、第一固定支柱10と対向する面の垂直方向全体に亘って第二固定支柱側凹溝22が設けられている。また、第二固定支柱20は、第二固定支柱側凹溝22が設けられている面以外である外側面の底辺から上方に亘る少なくとも一部にL字形止水板当接面26が形成されている。L字形止水板当接面26は、後述するL字形止水板50の背板50bが当接できる範囲で設ければよい。
【0026】
止水板30は、第一固定支柱側凹溝12及び第二固定支柱凹溝22に嵌め込まれることにより設置される。ここで、止水板30と第一固定支柱側凹溝12及び第二固定支柱凹溝22の面がそれぞれ密着し易いように、発泡ゴムなどのシール部材で構成された第一固定支柱側水密材32と第二固定支柱側水密材34を設けるのがよい。第一固定支柱側水密材32と第二固定支柱側水密材34は、止水板30に取付けられている構成、第一固定支柱側凹溝12及び第二固定支柱凹溝22に取付けられている構成、止水板30、第一固定支柱側凹溝12、及び第二固定支柱凹溝22とは別体の構成、とすることができる。
【0027】
ここで、インサートナットなどの第二固定支柱固定具25を挿入する第二固定支柱固定具挿入部(図示省略)を設置面に予め設けておくことにより、第二固定支柱20を、板状の止水板30を第一固定支柱側凹溝12及び第二固定支柱凹溝22に嵌め込むことができる位置に固定できるように構成するのがよい。止水板30を第一固定支柱側凹溝12及び第二固定支柱凹溝22に嵌め込むことができる位置に第二固定支柱20を位置決めし易いようにするためである。
【0028】
図1に示すように、L字形止水板50の背板50bの、具体的には底面50aが延出する面と反対側の面は、L字形止水板当接面26に当接する。ここで、図示しているように、L字形止水板50の背板50bとL字形止水板当接面26を、それぞれ、発泡ゴムなどのシール部材で構成された第一背板水密材52aを介して当接させると、止水性を向上させることができる。
【0029】
このようにして、L字形止水板の設置装置100によれば、止水板30を第一固定支柱側凹溝12及び第二固定支柱凹溝22に嵌め込むことができ、第二固定支柱20はL字形止水板当接面26を具えるので、L字形止水板50と組合せることにより、L字形止水板50、第二固定支柱20、止水板30、及び第一固定支柱10によって水を堰き止めることができる。よって、L字形止水板50をあらゆる場所に設置し易くすることができる。なお、第一固定支柱10を第一壁面62に固定せず、第一固定支柱10にもL字形止水板50の背板50bを当接させる必要がある場合には、第一固定支柱10に底辺から上方に亘るL字形止水板当接面を設けることもできる。また、本発明は、L字形止水板50が一枚の場合でも適用することができる。
【0030】
ここで、第二壁面64に、第三固定支柱40を取付けることもできる。
図3に示すように、第三固定支柱40は、第二固定支柱20と対になってL字形止水板の背板50bを当接させるためのもので、必要に応じて設置される。第三固定支柱40には、外側面の一面に底辺から上方に亘る第二L字形止水板当接面46が形成されている。第二L字形止水板当接面46は、後述するL字形止水板50の背板50bが当接できる範囲で設ければよい。第三固定支柱40は、金属や樹脂など、水分が浸透し難く、十分な強度を有する素材で形成されている。第三固定支柱40は、インサートナットなどの第三固定支柱固定具42によって、第二壁面64に固定される。第三固定支柱40と壁面の間には、防水性を高めるため、第三固定支柱シール44を設けるのがよい。
【0031】
図1に示しているように、L字形止水板50の背板50bを第二L字形止水板当接面46に当接させることにより、第二壁面64側における止水性能を高めることができる。また、L字形止水板50の背板50bと第二L字形止水板当接面46を、それぞれ、発泡ゴムなどのシール部材で構成された第二背板水密材52bを介して当接させると、止水性を向上させることができる。
【0032】
図4に示すように、L字形止水板の設置装置100は、設置部材24によって、第二固定支柱20が第一固定支柱10に隣接する位置に固定されるように構成するのがよい。本構成とすることにより、使用時以外にコンパクトなL字形止水板の設置装置100とすることができる。また、L字形止水板の設置装置100のように、第一固定支柱側凹溝12と第二固定支柱側凹溝22が設けられている構成の場合、第一固定支柱側凹溝12と第二固定支柱側凹溝22が対向して、第一固定支柱10と第二固定支柱20の内側に位置するので、第一固定支柱側凹溝12と第二固定支柱側凹溝22に異物が入り込むことを防止することができる。さらに、第一固定支柱10に形成された凹部18と第二固定支柱20に形成された凸部28が嵌合するように構成すれば、第一固定支柱側凹溝12と第二固定支柱側凹溝22に異物が入り込むことをさらに防止することができ、また、第二固定支柱20が第一固定支柱10に隣接する位置において、第二固定支柱20を固定する位置決めをし易くすることができる。
【0033】
図5には、本発明の第二実施形態のL字形止水板の設置装置100aが示されている。基本的な構成は、上述したL字形止水板の設置装置100と同様であるため(対応する符号を付している。)、異なる点について以下に説明する。
【0034】
L字形止水板の設置装置100aの止水板30aは、底部水密材36aを含め、第一固定支柱10a及び第二固定支柱20aよりも高い垂直方向寸法を有し、上面に締結プレート38を具える。また、L字形止水板の設置装置100aは、締結部材39a,39bを具えている。止水板30aは、締結部材39a,39bにより締結プレート38を介して第一固定支柱10aと第二固定支柱20aにそれぞれ締結できるように構成されている。具体的には、締結部材39a,39bはボルトであり、第一固定支柱10aと第二固定支柱20aの上面に雌ねじを設けることができる。
【0035】
L字形止水板の設置装置100aでは、止水板30aを第一固定支柱側凹溝及び第二固定支柱凹溝(
図1の符号12,22を参照。)に嵌め込み、締結部材39a,39bによって締結プレート38を介して第一固定支柱10a及び第二固定支柱20aに締結すると、底部水密材36aが設置面との間で圧縮する。よって、本構成によれば、止水板30aが不用意に外れることを防ぐとともに、止水板30aの底部の止水性能を高めることができる。
【0036】
図6は、本発明の第三実施形態のL字形止水板の設置装置100bを示している。L字形止水板の設置装置100bの場合、支持部材は第一固定支柱10bと第二固定支柱20bであり、止水壁は板状の止水板30bである。止水板30bは、底部に底部水密材36bを具え、底辺から上方に亘る所定の範囲でL字形止水板当接面26bが設けられている。
【0037】
止水板30bは、第一固定支柱10bと第二固定支柱20bのそれぞれの外側面に装着される。装着方法としては、ボルト締結や磁力によるものがあり得る。本構成によれば、止水板30bを第一固定支柱10b及び第二固定支柱20bに装着し易くすることができ、組立て易くすることができる。
【0038】
また、図示しての説明は省略するが、止水板30bを装着する第一固定支柱10bと第二固定支柱20bのそれぞれの側面に突起を設け、止水板30bを装着したときに、当該突起によって止水板30bを設置面方向に押し付けるよう構成してもよい。本構成により、底部水密材36bが設置面との間で圧縮するので、止水板30bの底部の止水性能を高めることができる。L字形止水板の設置装置100bの場合、L字形止水板と組合せることにより、L字形止水板と止水板30bによって水を堰き止めることができる。
【0039】
図7(a)は、本発明の第四実施形態のL字形止水板の設置装置100cを示している。L字形止水板の設置装置100cの場合、支持部材は第一固定支柱10cと第二固定支柱20cであり、止水壁は、第一固定支柱10c内部にロール状に収納可能な止水板30cである。止水板30cは、第二固定支柱20cによって掛止されるように構成されている。L字形止水板当接面26cは、第二固定支柱20cの底辺から上方に亘る所定の範囲で設けられているが、第一固定支柱10cに設けることも可能である。底部水密材36cは、止水板30cとは別体であり、第一固定支柱10cと第二固定支柱20cの間であって、止水板30cと設置面との間に配設され、設置面に密着するように構成されている。L字形止水板の設置装置100cによれば、L字形止水板と組合せることにより、L字形止水板、第二固定支柱20c、止水板30c、及び第一固定支柱10cによって水を堰き止めることができ、使用時以外にコンパクトなL字形止水板の設置装置100cとすることができる。
【0040】
また、
図7(b)に示すように、第一固定支柱10cと第二固定支柱20cの間に配設され、止水板30cに接し得る補強部材37を具える構成としてもよい。補強部材37は、第一固定支柱10cに保持部18cを設け(第二固定支柱20c側も同様。)、装着できるようにすればよい。本構成とすれば、止水板30cの対水圧機能を向上させ、止水性能を高めることができる。
【0041】
図8は、本発明の第五実施形態のL字形止水板の設置装置100dを示している。L字形止水板の設置装置100dの場合、支持部材10dは着脱又は折り曲げ可能に構成されている棒状のものであり、止水壁は板状の止水板30dである。止水板30dには、底辺から上方に亘る所定の範囲でL字形止水板当接面26dが設けられている。L字形止水板の設置装置100dでは、支持部材10dを取り外し又は折り曲げたとき、止水板30dが接地面と面一になるように収納可能に構成されている。なお、止水板30dを起こしたとき、止水板30dと設置面の間に隙間が生じる場合には、当該隙間に水密材を設けるのがよい。L字形止水板の設置装置100dの場合、L字形止水板と組合せることにより、L字形止水板と止水板30dによって水を堰き止めることができ、使用時以外にコンパクトなL字形止水板の設置装置100dとすることができる。
【0042】
以上に説明したとおり、本発明によれば、L字形止水板をあらゆる場所に設置し易いL字形止水板の設置装置及び設置方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0043】
10~10d 支持部材(第一固定支柱)
12 第一固定支柱側凹溝
20~20c 支持部材(第二固定支柱)
22 第二固定支柱側凹溝
24 設置部材
26~26d L字形止水板当接面
30~30d 止水板
36~36c 底部水密材
38 締結プレート
39a,39b 締結部材
100~100d L字形止水板の設置装置