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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131615
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/11 20060101AFI20230914BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
H05K1/11 N
H05K1/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036475
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 敬介
(72)【発明者】
【氏名】木村 涼哉
(72)【発明者】
【氏名】池田 大介
【テーマコード(参考)】
5E317
5E338
【Fターム(参考)】
5E317AA24
5E317BB01
5E317BB02
5E317BB12
5E317BB15
5E317CC25
5E317CC32
5E317CC33
5E317GG14
5E317GG20
5E338AA16
5E338BB13
5E338BB80
5E338EE60
(57)【要約】
【課題】配線基板の品質向上。
【解決手段】実施形態の配線基板1は、貫通孔2cを有する絶縁層2と、絶縁層2を介して対向する2つの導体層41、42と、貫通孔2c内に形成されていて2つの導体層を接続するスルーホール導体5と、を含んでいる。スルーホール導体5は、貫通孔2cの内壁面に沿って形成されている略一定の厚さのめっき膜52を含み、貫通孔2cの内部が導電性充填体7で充填されており、導体層41、42は、内壁面上のめっき膜52と連続的に形成されていて略一定の厚さを有する、絶縁層41、42上のめっき膜52を含んでおり、絶縁層2上のめっき膜52上に導電性充填体7を覆う導体膜が形成されており、略一定の厚さが、4μm以上、12μm以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を有する絶縁層と、
前記絶縁層を介して対向する2つの導体層と、
前記貫通孔内に形成されていて前記2つの導体層を接続するスルーホール導体と、
を含む配線基板であって、
前記スルーホール導体は、前記貫通孔の内壁面に沿って形成されている略一定の厚さのめっき膜を含み、
前記貫通孔の内部が導電性充填体で充填されており、
前記導体層は、前記内壁面上の前記めっき膜と連続的に形成されていて前記略一定の厚さを有する、前記絶縁層上のめっき膜を含んでおり、
前記絶縁層上の前記めっき膜上に前記導電性充填体を覆う導体膜が形成されており、
前記略一定の厚さが、4μm以上、12μm以下である。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板であって、
前記導電性充填体が、5μΩcm以上、15μΩcm以下である抵抗率を有している。
【請求項3】
請求項1記載の配線基板であって、
前記略一定の厚さが、4μm以上、8μm以下であり、かつ、前記導電性充填体が、5μΩcm以上、10μΩcm以下である抵抗率を有している。
【請求項4】
請求項1記載の配線基板であって、
前記貫通孔の内径が、120μm以上、180μm以下である。
【請求項5】
請求項1記載の配線基板であって、
前記絶縁層が、1.3mm以上、2.0mm以下の厚さを有している。
【請求項6】
請求項1記載の配線基板であって、
前記スルーホール導体が密集している領域と、前記スルーホール導体が散在している領域と、を含み、
前記スルーホール導体が密集している前記領域では、前記スルーホール導体の配置密度が、5本/mm2以上、かつ、10本/mm2以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コア基板に多数のスルーホールが形成された配線基板が開示されている。スルーホールは、コア基板の上面から下面にかけて銅めっき層が被着され、内部は樹脂により充填されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-192432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される配線板では、スルーホールの存在密度に応じて銅めっき層の厚みがばらつくことがあり、コア基板の表層の平坦性が十分でないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の配線基板は、貫通孔を有する絶縁層と、前記絶縁層を介して対向する2つの導体層と、前記貫通孔内に形成されていて前記2つの導体層を接続するスルーホール導体と、を含んでいる。そして、前記スルーホール導体は、前記貫通孔の内壁面に沿って形成されている略一定の厚さのめっき膜を含み、前記貫通孔の内部が導電性充填体で充填されており、前記導体層は、前記内壁面上の前記めっき膜と連続的に形成されていて前記略一定の厚さを有する、前記絶縁層上のめっき膜を含んでおり、前記絶縁層上の前記めっき膜上に前記導電性充填体を覆う導体膜が形成されており、前記略一定の厚さが、4μm以上、12μm以下である。
【0006】
本発明の実施形態によれば、スルーホール導体を含む絶縁層上の導体層の厚みのばらつきが防止され、それにより配線基板の品質を向上させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態の配線基板の一例を示す断面図。
図2A】本発明の一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
図2B】本発明の一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
図2C】本発明の一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
図2D】本発明の一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
図2E】本発明の一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
図2F】本発明の一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
図2G】本発明の一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態の配線基板が図面を参照しながら説明される。図1には、一実施形態の配線基板の一例である配線基板1を示す断面図が示されている。
【0009】
図1に示されるように、本実施形態の配線基板1は、絶縁層2と、絶縁層2を貫通するスルーホール導体5と、スルーホール導体5と連結されている導体パッド4a(導体パッド4a1および導体パッド4a2)と、を含んでいる。図1の例の配線基板1は複数のスルーホール導体5を含んでいる。絶縁層2は、絶縁層2の厚さ方向と直交する2つの主面の一方である第1面2aと、2つの主面の他方であって第1面2aと反対側の第2面2bとを有している。絶縁層2は、第1面2aと第2面2bとの間で絶縁層2を貫く貫通孔2cを備えている。スルーホール導体5は貫通孔2cの内部に形成されている。導体パッド4aは、絶縁層2の厚さ方向における両側に、すなわち第1面2a側および第2面2b側それぞれに設けられている。導体パッド4a1は第1面2a側に設けられており、導体パッド4a2は第2面2b側に設けられている。
【0010】
導体パッド4aは、スルーホール導体5の所謂スルーホールランドであってもよく、スルーホールランドと一体的に形成された、スルーホールランドを含む導体パッドであってもよい。スルーホール導体5のスルーホールランド(スルーホールパッドと称されることもある)は、スルーホール導体5に貫かれる絶縁層2の表面において座切れが生じないように設けられる導体パターンである。スルーホールランドは、設計上、平面視でスルーホール導体5の外周よりも外側に外縁を有するように、すなわち、平面視でスルーホール導体5を内包するように設けられる導体パターンである。
【0011】
図1の配線基板1は、さらに、絶縁層2の第1面2a上に形成されている導体層41(第1導体層)および絶縁層2の第2面2b上に形成されている導体層42(第2導体層)を含んでいる。導体層41は、絶縁層2の第1面2a上に形成されている導体パッド4a1および導体パッド4a1以外の導体パターンである導体パターン4bを含んでいる。一方、導体層42は、絶縁層2の第1面2a上に形成されている導体パッド4a2および導体パッド4a2以外の導体パターンである導体パターン4cを含んでいる。
【0012】
実施形態の説明では、配線基板1の厚さ方向において絶縁層2から遠い側は、「外側」、「上側」もしくは「上方」、または単に「上」とも称され、絶縁層2に近い側は、「内側」、「下側」もしくは「下方」、または単に「下」とも称される。さらに、各導体層、各導体パッド、各導体パターン、および各絶縁層において、絶縁層2と反対側を向く表面は「上面」とも称され、絶縁層2側を向く表面は「下面」とも称される。
【0013】
スルーホール導体5は、貫通孔2cの内壁上に形成されていて貫通孔2cの内壁を覆っている。スルーホール導体5は貫通孔2cの内壁に露出する絶縁層2の上に形成されている。図1の例においてスルーホール導体5は、貫通孔2cの内壁を略全面的に覆う膜状の導電体からなる。スルーホール導体5は、中空部を備えた筒状の形体を有している。スルーホール導体5は、配線基板1の厚さ方向に沿っていて絶縁層2に覆われている外周側面を有しており、その外周側面は貫通孔2cの内壁すなわち絶縁層2に接している。
【0014】
例えば、貫通孔2cの内径は、120μm以上、180μm以下程度である。なお、便宜上「内径」という用語が用いられるが、貫通孔2cの平面形状(絶縁層2の厚さ方向と垂直な平面での断面形状)は円環形に限定されない。貫通孔2cの「内径」は、貫通孔の平面形状における外周上の2点間の最大距離である。したがって、貫通孔2cに内包されるスルーホール導体5は、任意の断面形状を有する筒状体であり得る。
【0015】
絶縁層2は、任意の絶縁性樹脂によって形成されている。絶縁性樹脂としては、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)、またはフェノール樹脂などが例示される。これら絶縁性樹脂を用いて形成される各絶縁層は、シリカなどの無機フィラーを含んでいてもよい。絶縁層2の厚さは、例えば、1.3mm以上、2.0mm以下程度であり得る。
【0016】
図1の例では、絶縁層2は補強材(芯材)21を含んでいる。従って、絶縁層2は、補強材21および補強材21に含侵されている上述のエポキシ樹脂、BT樹脂、またはフェノール樹脂のような樹脂を含んでいる。補強材21としては、例えばガラス繊維、アラミド繊維、アラミド不織布などが例示されるが、補強材21はこれらに限定されない。
【0017】
導体パッド4a1および導体パッド4bを含む導体層41、導体パッド4a2および導体パッド4cを含む導体層42、ならびに、スルーホール導体5は、適切な導電性を有する任意の金属で形成されている。これら各導体層および各スルーホール導体を形成する金属としては、銅やニッケルなどが例示される。しかし、各導体層および各スルーホール導体を形成する金属は、これらに限定されない。
【0018】
導体層41、導体層42、およびスルーホール導体5は、無電解めっき膜またはスパッタリング膜、および、電解めっき膜などで構成される多層構造を有し得る。図1の例では、スルーホール導体5は、金属膜51と、金属膜51上に形成されためっき膜52とを含んでいる。金属膜51は、めっき膜52が電解めっきによって形成される場合の給電層および/またはシード層として機能する。金属膜51は、例えば、無電解めっきまたはスパッタリングなどで形成される。めっき膜52の形成方法としては電解めっきが例示される。しかし、スルーホール導体5は、無電解めっきによって形成された、金属膜51またはめっき膜52だけを含んでいてもよい。
【0019】
図1に示されているように、スルーホール導体5における配線基板1の厚さ方向の両端部は、金属膜4dおよびめっき膜4eによって覆われている。金属膜4dおよびめっき膜4eは、スルーホール導体5に対する所謂蓋めっき膜である。金属膜4dおよびめっき膜4eが形成されているので、例えば、配線基板1が多層配線基板の一部として用いられる場合などにおいて、後述する導電性充填体7上に直接ビア導体が形成される場合と比べて、スルーホール導体5と、その真上に形成されるビア導体とを小さい接触抵抗で電気的に接続し得ると考えられる。また、ビア導体とスルーホール導体との間に強固な密着強度が得られ、界面剥離が抑制されると考えられる。金属膜4dは、金属膜51と同様に無電解めっきやスパッタリングなどによって形成される。めっき膜4eは、めっき膜52と同様に、例えば電解めっきによって形成される。
【0020】
図1に示されるように、配線基板1において絶縁層2を介して対向する2つの導体層41および導体層42は5層構造を有している。すなわち、導体層41、42は、金属箔40、金属箔40上の金属膜51、金属膜51上のめっき膜52、めっき膜52上の金属膜4d、そして金属膜4d上のめっき膜4eによって構成されている。金属箔40は、任意の金属からなり、例えば金属箔40は銅箔やニッケル箔であってよい。しかし、導体層41、42の積層構造は、図1に示されるような5層構造に限定されず、任意の総数を有し得る。金属箔40が設けられなくてもよく、その場合、各導体層は2層構造または4層構造を有していてもよい。
【0021】
図1に示されているように、金属膜51およびめっき膜52は、それぞれ、スルーホール導体5を構成する部分と、導体層41、42を構成する部分とを含んでおり、これら2つの部分が一体的に形成されている。すなわち、導体層41、42は、スルーホール導体5を構成している金属膜51およびめっき膜52を含んでおり、金属膜51は貫通孔2cの内壁に接していてスルーホール導体5の外周側面を構成している。
【0022】
スルーホール導体5を形成する際のめっき工程では、スルーホール導体5を形成するための貫通孔2cの内部がめっき液に晒され、その内壁面に銅などの金属が析出する。実施形態の配線基板1などでは、所望の電気的特性の実現、例えば絶縁層2上の導体層41および導体層42の間の導体抵抗の低下や高密度配線の実現などのために、絶縁層2において部分的にスルーホール導体5が密集して含まれる場合がある。換言すると、複数のスルーホール導体5の配置において、図1の例のように、スルーホール導体5が近接および密集して配置される領域と、スルーホール導体5が疎らに配置される領域とが存在することがある。このような場合、めっき工程における金属の析出量が析出場所により異なってしまう恐れがある。例えば、配線基板1において、スルーホール導体5が互いに近接して形成されている領域のスルーホール導体5の絶縁層2における配置密度は、例えば、5~10本/mm2程度であり、スルーホール導体5が散在している領域のスルーホール導体5の絶縁層2における配置密度は、例えば、1~2本/mm2程度である。
【0023】
スルーホール導体5が互いに近接して形成されている領域では、めっき工程での表層への金属の析出量が少なくなり得る。すなわち、スルーホール導体5が互いに密集して形成されている領域のめっき膜52(絶縁層2の表面上で導体層41、42を構成する部分のめっき膜52およびスルーホール導体5を構成する部分のめっき膜52)は、スルーホール導体5が散在している領域のめっき膜52の厚みと比べて小さくなることがある。したがって、図1の例のように、スルーホール導体5が疎に配置されている領域と密に配置されている領域が混在していると、領域毎のめっき膜52の厚みが異なってしまうおそれがある。配線基板1の表層の導体層の厚みにばらつきが生じてしまうおそれがある。
【0024】
このような表層の導体層におけるばらつきは、めっき工程において形成されるめっき膜52の厚さが厚くなればなるほど、大きくなると考えられる。本実施形態では、めっき膜52は約4μm以上、12μm以下の厚さを有している。好ましくは、めっき膜52は、約4~8μmの厚さを有する。例えば、めっき膜52の厚さは、約4~5μm程度であってもよい。絶縁層2におけるスルーホール導体5の密度に上述のような差がある場合であっても、めっき膜52をこのような厚さで形成することにより、絶縁層2上の導体層における厚さのばらつきが抑制され得る。
【0025】
前述したように、スルーホール導体5は、銅などのめっき金属からなる筒状体の内側に中空部分を有している。スルーホール導体5の中空部は、導電性充填体7で充填されている。すなわち、図1の配線基板1は、貫通孔2cのうちのスルーホール導体5に占められていない領域を充填する導電性充填体7を含んでいる。導電性充填体7としては、銀粒子、銅粒子などの導電性粒子とエポキシ樹脂などとを含む導電性充填体が好適に用いられ得る。例えば、導電性充填体7の抵抗率は、5μΩcm以上、15μΩcm以下程度であり得る。好ましくは、例えば、導電性充填体7の抵抗率は、5μΩcm以上、10μΩcm以下程度であってもよい。このような抵抗率を有する導電性充填体を、上述のようなめっき膜52を有するスルーホール導体5の中空部分に充填することにより、スルーホール導体5の絶縁層2における配置密度にばらつきがある場合であっても、絶縁層2上の導体層における厚さのばらつきが抑制され、かつ、導体層41と導体層42との間に所望の導電性を有する配線基板1が提供され得ると考えられる。
【0026】
例えば、図1に示される配線基板1は、多層配線基板のコア基板として適用されてもよい。すなわち、配線基板1の第1面2a上および第2面2b上にそれぞれビルトアップ層が形成され得る。配線基板1には、図1で示されているように、スルーホール導体5の両端部にめっき膜4eが形成されているので、各スルーホール導体5と、その真上に形成されるビルトアップ層内のビア導体(図示せず)とが比較的低い導通抵抗で電気的に接続され得る場合がある。
【0027】
つぎに、図1の配線基板1の製造方法の一例が、図2A図2Gを参照して説明される。
【0028】
図2Aに示されるように、配線基板1の絶縁層2となる絶縁層と、この絶縁層の両表面にそれぞれ積層された金属箔40を含む出発基板10が用意される。出発基板10の絶縁層は、例えばエポキシ樹脂などの絶縁性樹脂を用いて形成されており、ガラス繊維などによって構成される補強材21を含んでいる。
【0029】
そして、図2Bに示されるように、出発基板10を貫通する貫通孔2cが穿孔される。貫通孔2cは、スルーホール導体5(図1参照)が形成されるべき所定の位置に形成される。貫通孔2cは、例えば、炭酸ガスレーザー光が照射されるレーザー加工、またはドリル加工などによって形成される。貫通孔2cの内径は、例えば、120μm以上、180μm以下程度である。レーザー光のスポット径、またはドリル径は、形成される貫通孔2cがこのような大きさの内径を有するように選択される。
【0030】
図2Cに示されるように、スルーホール導体5が、貫通孔2c内に形成される。具体的には、図2Dに示されるように、金属膜51およびめっき膜52が、貫通孔2cの内壁面に形成される。その結果、それぞれ2層の金属膜からなるスルーホール導体5が形成される。なお、図2Dには、図2Cに示されるIID部の拡大図が示されている。後に参照される図2Eおよび図2Fにも、図2Dに示される部分の各工程における状態が示されている。
【0031】
金属膜51は、例えば、スパッタリングや無電解めっきによって形成される。また、めっき膜52は、例えば金属膜51を給電層として用いる電解めっきによって形成される。金属膜51およびめっき膜52、ならびに、金属膜51およびめっき膜52によって構成されるスルーホール導体5は、例えば銅またはニッケルなどの金属によって形成される。貫通孔2cの内壁面に沿う筒状体の形態を有するスルーホール導体5が形成される。金属膜51およびめっき膜52は、絶縁層2の第1面2aおよび第2面2bそれぞれの上(具体的には金属箔40の上)にも形成され、第1および第2の面2a、2bそれぞれに、3層構造の金属層が形成される。絶縁層2の第1面2a上の金属膜51およびめっき膜52は、導体層41(図1参照)の一部を構成する。絶縁層2の第2面2b上の金属膜51およびめっき膜52は、導体層42(図1参照)の一部を構成する。
【0032】
図2Eに示されるように、スルーホール導体5の内部(中空部)が導電性充填体7で充填される。例えば、銀粒子、銅粒子などの導電性粒子を含む導電性ペーストまたは導電性インクが、絶縁層2の第1面2a側および第2面2b側のいずれかまたは両方からスルーホール導体5の内部に注入される。必要に応じて、第1面2a側および第2面2b側のうちの一方から供給された導電性ペーストや導電性インクが他方から吸引されてもよい。スルーホール導体5の内部に注入された導電性ペーストまたは導電性インクは、必要に応じて加熱などによって固化される。
【0033】
必要に応じて、導電性充填体7における第1面2a側および第2面2b側それぞれの端面が、化学機械研磨などの任意の方法で研磨される。導電性充填体7の両端面それぞれと、第1面2a側および第2面2b側それぞれのめっき膜52の表面とが、好ましくは略面一にされる。
【0034】
図2Fに示されるように、絶縁層2の第1面2a上および第2面2b上にそれぞれ、導体層41および導体層42が形成される。具体的には、スルーホール導体5と一体的に形成されている、絶縁層2の上の金属膜52の上に、金属膜4dが形成される。さらに金属膜4d上にめっき膜4eが形成される。金属膜4dおよびめっき膜4eは、絶縁層2の第1面2a側および第2面2b側それぞれにおいて、導電性充填体7の端面上にも形成される。導電性充填体7の両端面が、導体膜(金属膜4dおよびめっき膜4e)に覆われる。金属膜4dおよびめっき膜4eによって、スルーホール導体5に対する、所謂蓋めっきが形成される。金属膜4dは、例えばスパッタリングまたは無電解めっきによって形成される。また、めっき膜4eは、例えば電解めっきによって形成される。
【0035】
図2Gに示されるように、導体層41、42が、所望の導体パターンを有するようにそれぞれパターニングされる。例えば、適切な開口を有するエッチングマスクが導体層41、42上に設けられ、導体層41、42の不要部分がウェットエッチングやドライエッチングによって除去される。その結果、図1に示される配線基板1が完成する。
【0036】
実施形態の配線基板は、各図面に例示される構造、並びに、本明細書において例示される構造、形状、および材料を備えるものに限定されない。前述したように、実施形態の配線基板は、多層配線基板のコア基板を構成してもよく、配線基板1の第1面2a上およびの第2面2b上にそれぞれ、任意の数の導体層および絶縁層を含み得るビルトアップ層が形成されてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 配線基板
2 絶縁層
2a 第1面
2b 第2面
2c 貫通孔
21 補強材
41、42 導体層
4a1、4a2 導体パッド
5 スルーホール導体
7 導電性充填体
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G