(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131618
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】キャビネット及び配線装置
(51)【国際特許分類】
H02B 1/40 20060101AFI20230914BHJP
E05D 1/06 20060101ALI20230914BHJP
H02B 1/28 20060101ALI20230914BHJP
H02G 3/10 20060101ALI20230914BHJP
H02G 3/08 20060101ALI20230914BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
H02B1/40 B
E05D1/06 B
H02B1/28 D
H02G3/10
H02G3/08 080
H05K5/03 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036483
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横井 佑司
【テーマコード(参考)】
4E360
5G016
5G211
5G361
【Fターム(参考)】
4E360AA02
4E360AB02
4E360AB12
4E360AD06
4E360BA06
4E360BB02
4E360BB22
4E360GA29
4E360GB91
4E360GC08
5G016AA04
5G016CG23
5G211AA14
5G211BB03
5G211BB13
5G211CC03
5G211DD01
5G211DD04
5G211DD23
5G211DD25
5G211EE06
5G211GG10
5G361AA02
5G361AB09
5G361AC02
5G361AC05
5G361AC09
5G361AD01
5G361AD03
(57)【要約】
【課題】本開示の課題は、(ボックスの)内部への雨水の浸入を抑制することである。
【解決手段】キャビネットC1は、前面に開口部21を有する箱状のボックスB1と、ボックスB1に取り付けられて開口部21を開閉可能に塞ぐ扉3と、を備える。扉3は、開口部21と対向する前壁30と、前壁30の周縁からボックスB1に向かって突出する周壁と、を有する。ボックスB1は、開口部21と対向する背板と、背板の周縁から前方へ突出する側板と、側板の外に設けられて周壁の先端部と接離可能に接触する突片270と、側板と突片270を連結する連結片271と、を有する。突片270と連結片271は、側板との間に溝272を形成している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口部を有する箱状のボックスと、
前記ボックスに取り付けられて前記開口部を開閉可能に塞ぐ扉と、
を備え、
前記扉は、前記開口部と対向する前壁と、前記前壁の周縁から前記ボックスに向かって突出する周壁と、を有し、
前記ボックスは、前記開口部と対向する背板と、前記背板の周縁から前方へ突出する側板と、前記側板の外に設けられて前記周壁の先端部と接離可能に接触する突片と、前記側板と前記突片を連結する連結片と、を有し、
前記突片と前記連結片は、前記側板との間に溝を形成している、
キャビネット。
【請求項2】
前記突片と前記連結片の少なくとも一方が貫通穴を有し、
前記貫通穴は、前記ボックスの外に向かって開放されている、
請求項1記載のキャビネット。
【請求項3】
前記ボックスは、前記側板に含まれ、前記背板の上端から突出する上側板と、前記上側板の上面に設けられた第1の軸受け部と、前記上側板の上面において前記第1の軸受け部の周囲から上向きに突出する第1の壁部と、を更に有し、
前記扉は、前記第1の軸受け部とともに回転軸を回転可能に支持する第2の軸受け部を更に有する、
請求項1又は2記載のキャビネット。
【請求項4】
前記ボックスは、前記上側板の前端から前方へ突出するひさし部を更に有する、
請求項3記載のキャビネット。
【請求項5】
前記ボックスは、前記ひさし部の上面において前記第1の壁部よりも前方に位置し、前記ひさし部の上面から上向きに突出する第2の壁部を更に有する、
請求項4記載のキャビネット。
【請求項6】
前記扉は、前記ボックスの前記溝と前記ボックスの外をつなぐ通穴を有する、
請求項1-5のいずれか1項に記載のキャビネット。
【請求項7】
請求項1-5のいずれかのキャビネットと、
前記キャビネットに収容される電気機器と、
を有し、
前記電気機器は、少なくとも配線用遮断器を含む、
配線装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、キャビネット及び配線装置に関し、より詳細には、扉付きのキャビネット及び当該キャビネットを備える配線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として特許文献1記載の配線システムの中継ボックス(キャビネット、配線装置)を例示する。特許文献1記載の配線システムは、中継ボックス、屋内幹線、分岐幹線を備えている。中継ボックスは、住戸の屋側に設置される。また、中継ボックスは、同じく住戸の屋側に設置された電力量計の2次側の幹線を引き込むように構成されている。屋内幹線は、中継ボックスから引き出されて住戸内の住宅用分電盤に配線される。分岐幹線は、中継ボックスから引き出され、住戸の屋側に設置されている充電器に接続されている。充電器は、充電コネクタを介して電気自動車に充電電流を供給する。
【0003】
中継ボックスは、主幹ブレーカと分岐ブレーカを収容している。主幹ブレーカの一次側は電力量計の2次側の幹線と接続され、主幹ブレーカの2次側は屋内幹線と分岐幹線の双方と接続されている。分岐ブレーカは分岐幹線の途中に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来例の中継ボックスは住戸の屋側に設置されるため、内部への雨水の浸入を抑制する必要がある。しかしながら、特許文献1には中継ボックスにおける雨水の浸入抑制について特に開示されていない。
【0006】
本開示の目的は、内部への雨水の浸入を抑制することができるキャビネット及び配線装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るキャビネットは、前面に開口部を有する箱状のボックスと、前記ボックスに取り付けられて前記開口部を開閉可能に塞ぐ扉と、を備える。前記扉は、前記開口部と対向する前壁と、前記前壁の周縁から前記ボックスに向かって突出する周壁と、を有する。前記ボックスは、前記開口部と対向する背板と、前記背板の周縁から前方へ突出する側板と、前記側板の外に設けられて前記周壁の先端部と接離可能に接触する突片と、前記側板と前記突片を連結する連結片と、を有する。前記突片と前記連結片は、前記側板との間に溝を形成している。
【0008】
本開示の一態様に係る配線装置は、前記キャビネットと、前記キャビネットに収容される電気機器と、を有する。前記電気機器は、少なくとも配線用遮断器を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示のキャビネット及び配線装置は、内部への雨水の浸入を抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る配線装置及びキャビネットの扉を閉じた状態の正面図である。
【
図2】
図2は、同上の配線装置及びキャビネットの扉を開いた状態の正面図である。
【
図3】
図3は、同上の配線装置及びキャビネットの扉を閉じた状態の下面図である。
【
図4】
図4は、同上の配線装置及びキャビネットの分解斜視図である。
【
図5】
図5は、同上のキャビネットにおけるボックスと扉の要部の断面図である。
【
図6】
図6は、同上のキャビネットにおける要部の正面図である。
【
図7】
図7は、同上のキャビネットにおける要部の斜視図である。
【
図8】
図8は、同上のキャビネットにおける扉の斜視図である。
【
図9】
図9は、同上のキャビネットの要部の斜視図である。
【
図10】
図10は、同上のキャビネットの要部の斜視図である。
【
図11】
図11は、同上の配線装置の施工状況を示す概略図である。
【
図12】
図12は、同上の配線装置の扉と中蓋を外した状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態に係るキャビネット及び配線装置について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0012】
(1)概要
本開示の実施形態に係るキャビネットC1は、前面に開口部21を有する箱状のボックスB1と、ボックスB1に取り付けられて開口部21を開閉可能に塞ぐ扉3と、を備える。扉3は、開口部21と対向する前壁30と、前壁30の周縁からボックスB1に向かって突出する周壁31と、を有する。ボックスB1は、背板(ベース1)と、側板20と、突片270と、連結片271と、を有する。ベース1は、開口部21と対向する。側板20は、ベース1の周縁から前方へ突出する。突片270は、側板20の外に設けられて周壁31の先端部と接離可能に接触する。連結片271は、側板20と突片270を連結する。突片270と連結片271は、側板20との間に溝272を形成している(
図2参照)。
【0013】
また、実施形態に係る配線装置A1は、実施形態に係るキャビネットC1と、実施形態に係るキャビネットC1に収容される電気機器5(
図2参照)と、を有する。電気機器5は、少なくとも配線用遮断器を含む。
【0014】
しかして、実施形態に係るキャビネットC1及び配線装置A1は、ボックスB1の突片270と扉3の周壁31の隙間から浸入した雨水を、突片270及び連結片271と側板20との間に形成された溝272に溜めることにより、ボックスB1の内部への雨水の浸入を抑制することができる。
【0015】
(2)実施形態に係る配線装置の詳細
実施形態に係る配線装置A1(以下、配線装置A1と略す。)は、
図11に示すように、住宅H1の屋側(外壁の表面)に設置される。住宅H1の屋側には、配線装置A1とともに、電力量計M1及び電気自動車用の充電器F1が設置される。
【0016】
電力量計M1は、柱上変圧器D1から住宅H1に引き込まれる引込線E1と電気的に接続される。電力量計M1は、第1の幹線X1によって配線装置A1と電気的に接続される。引込線E1及び第1の幹線X1には、単相3線式電路の2本の電圧側線と1本の中性線を含む、屋外配線用の3芯の電気ケーブルが用いられる。電力量計M1は、引込線E1から第1の幹線X1を通して住宅H1及び充電器F1に供給される電力量を計測する。
【0017】
充電器F1は、筐体F10と、充電ケーブルF11と、充電コネクタF12と、を有している。筐体F10は、充電制御装置を収容して住宅H1の屋側に取り付けられる。充電ケーブルF11は、筐体F10から引き出されている。充電ケーブルF11の先端に充電コネクタF12が設けられている。充電コネクタF12は、電気自動車(プラグインハイブリッド電気自動車を含む。以下、同じ。)の充電インレットに対して挿抜可能に接続される。
【0018】
充電制御装置は、充電コネクタF12及び充電ケーブルF11を介して電気自動車の充電制御ECU(Electronic Control Unit)と通信し、充電制御ECUの指示に基づいて、充電ケーブルF11への給電の入切等を制御する。
【0019】
配線装置A1は、第3の幹線X3によって充電器F1と電気的に接続される。また、配線装置A1は、第2の幹線X2によって住宅用分電盤(以下、住宅盤と略す。)G1と電気的に接続される。
【0020】
住宅盤G1は、住宅H1の屋内に設置される。住宅盤G1は、1台の主開閉器G11と、複数台の分岐開閉器G12と、を有している。第2の幹線X2には、VVFケーブルなどの屋内配線用の3芯の電気ケーブルが用いられる。第2の幹線X2は、主開閉器G11の1次側端子と電気的に接続される。
【0021】
配線装置A1は、実施形態に係るキャビネットC1(以下、キャビネットC1と略す。)と、キャビネットC1に収容される複数の電気機器5と、を備えている(
図12参照)。
【0022】
実施形態における電気機器5は、複数の配線用遮断器、複数の端子台、避雷器、複数のヒューズホルダなどを含む。
【0023】
第1の開閉器51は、配線用遮断器で構成されている。ただし、第1の開閉器51は、漏電遮断器で構成されてもよい。第1の開閉器51は、3つの1次側端子511と、3つの2次側端子512と、を有している。3つの1次側端子511のそれぞれに、3本の第1の幹線X1が1本ずつ電気的に接続される。ただし、3本の第1の幹線X1のうちの電圧側線に対応する2本の第1の幹線X1が両端の2つの1次側端子511に1本ずつ接続され、中性線に対応する残り1本の第1の幹線X1が中央の1次側端子511に接続される。つまり、第1の開閉器51の1次側端子511は、第1の幹線X1を介して電力量計M1と電気的に接続される。
【0024】
第1の開閉器51の3つの2次側端子512は、3つの第1の電路57Aと1つずつ電気的に接続される。また、第1の開閉器51の3つの2次側端子512のうちの両端の2つの2次側端子512が2つの第2の電路57Bと1つずつ電気的に接続される。つまり、2つの第2の電路57Bは、第1の開閉器51を介して、電圧側線に対応する2本の第1の幹線X1と電気的に接続されることになる。
【0025】
第1端子台53は、3対のねじ端子を有している。これら3対のねじ端子はそれぞれ、3枚の導電板を介して導通している。ただし、各対のねじ端子及び導電板同士は、互いに電気的に絶縁されている。3つのねじ端子には、3つの第1の電路57Aが1つずつ電気的に接続される。また、それぞれの対になる3つのねじ端子には、3本の第2の幹線X2が1本ずつ電気的に接続される。つまり、3つの第1の電路57Aは、第1端子台53を介して、3本の第2の幹線X2と1本ずつ電気的に接続される。
【0026】
第2の開閉器52は、第1の開閉器51と同様に配線用遮断器で構成されている。ただし、第2の開閉器52は、漏電遮断器で構成されてもよい。第2の開閉器52は、2つの1次側端子521と、2つの2次側端子522と、を有している。2つの1次側端子521のそれぞれに、2つの第2の電路57Bが1つずつ電気的に接続される。また、2つの2次側端子522のそれぞれに2つの第3の電路57Cが1つずつ電気的に接続される。
【0027】
第2端子台54は、3対のねじ端子を有している。これら3対のねじ端子はそれぞれ、3枚の導電板を介して導通している。ただし、各対のねじ端子及び導電板同士は、互いに電気的に絶縁されている。2つのねじ端子には、2つの第3の電路57Cが1つずつ電気的に接続される。さらに、これら2つのねじ端子には、2つの第4の電路57Dが1つずつ電気的に接続される。また、それぞれの対になる2つのねじ端子には、2本の第3の幹線X3が1本ずつ電気的に接続される。つまり、2つの第3の電路57C及び2つの第4の電路57Dはそれぞれ、第2端子台54を介して、2本の第3の幹線X3と1本ずつ電気的に接続される。
【0028】
避雷器55は、2つの入力端子551と、1つの接地端子552と、アレスタ及びバリスタと、を備えている。アレスタ及びバリスタは、各入力端子551と接地端子552の間に直列に挿入される。避雷器55は、アレスタによって大きなサージ電圧のエネルギを吸収しつつ、バリスタによって続流を抑制する。2つの入力端子551は、2つの第4の電路57Dと1つずつ電気的に接続される。接地端子552は、第5の電路57Eを介して第2端子台54のねじ端子と電気的に接続される。第2端子台54のねじ端子は、接地線と電気的に接続される。なお、接地線は、住宅H1の外(屋外)においてD種接地工事によって大地に接地される。
【0029】
ヒューズホルダ56は、2つの第4の電路57Dの途中に1つずつ挿入されるヒューズを保持している。
【0030】
(3)実施形態に係るキャビネットの詳細
キャビネットC1は、ボックスB1と、扉3と、中蓋4と、を備える(
図1-
図4参照)。なお、以下の説明においては、特に断りのない限り、
図4に矢印で示す前後、上下、左右の各方向をキャビネットC1の前後、上下、左右の各方向と定義する。
【0031】
(3-1)ボックス
ボックスB1は、ベース1と、枠体2と、を有する。
【0032】
ベース1は、ポリカーボネート樹脂などの自己消化性を有する合成樹脂材料により、四辺形の板状に形成されている(
図4参照)。ベース1の前面に取付板58が固定される。取付板58は、金属板によって四辺形の板状に形成されている。取付板58の前面に、電気機器5(第1の開閉器51、第2の開閉器52、第1端子台53、第2端子台54、避雷器55、及び2つのヒューズホルダ56)が取り付けられる(
図4参照)。なお、取付板58は、ねじ止め、かしめなどの適宜の固定方法によってベース1の前面に固定される。
【0033】
ベース1は、取付板58よりも下の部分に複数(図示例では4つ)の引込み口10を有している。これらの引込み口10には第1の幹線X1、第2の幹線X2、第3の幹線X3が挿通可能である。
【0034】
枠体2は、ポリカーボネート樹脂などの自己消化性を有する合成樹脂材料により、開口部21を囲む4つの側板20を有して四辺形の枠状に形成されている。ここで、開口部21の上下左右にそれぞれに位置する側板20を、上側板20U、下側板20D、左側板20L、及び右側板20Rと呼ぶ場合がある。
【0035】
また、枠体2は、ひさし部23、3つの壁部24(左壁部24L、右壁部24R、及び下壁部24D)、突片270、連結片271、第1の壁部281、及び第2の壁部282を有している。
【0036】
上側板20Uは、円弧状に湾曲している。ひさし部23は、上側板20Uと同様に円弧状に湾曲した板状に形成され、上側板20Uの前端から前方へ突出している。上側板20Uとひさし部23の境界付近に複数(図示例では3つ)の第1の軸受け部25が設けられている(
図4参照)。
【0037】
左壁部24Lは、斜辺が円弧状に湾曲した台形状に形成され、左側板20Lの前端から前方へ突出している。なお、左壁部24Lの外表面における上部前端に、左向きに突出するストッパ片240が設けられている。
【0038】
右壁部24Rは、斜辺が円弧状に湾曲した台形状に形成され、右側板20Rの前端から前方へ突出している。なお、右壁部24Rの外表面における上部前端にも、右向きに突出するストッパ片240が設けられている。
【0039】
下壁部24Dは、下側板20Dの前端から前方へ突出している。下壁部24Dの左右方向の両端に、それぞれ係止部242が1つずつ設けられている。これら2つの係止部242は、角柱状に形成されて下壁部24Dの下面から下向きに突出している(
図2参照)。また、下壁部24Dの左右方向の中央に第1凹部200が設けられている。第1凹部200は、上に向かって半長円形状に凹んだ下壁部24Dの中央部分と、下側板20Dの左右方向の中央部分の前端と下壁部24Dの中央部分の後端をつないでいる平板状の底部201と、で構成されている(
図2参照)。
【0040】
ここで、第1凹部200には、一対の第1引掛部22が設けられている(
図5参照)。一対の第1引掛部22はそれぞれ、左右方向から見て逆L字形に形成されており、第1凹部200における下壁部24Dの下面から下向きに突出している。なお、一対の第1引掛部22は、左右方向において所定の隙間を空けて平行に並んでいる(
図5参照)。
【0041】
また、左側板20L、右側板20R及びした側板20Dの各々の外側面に連結片271が設けられている(
図2及び4参照)。連結片271は、幅細の帯板状に形成されている。連結片271は、左側板20L、右側板20R及び下側板20Dのそれぞれの外側面からベース1と平行になるように突出している(
図2参照)。ただし、下側板20Dの外側面において、連結片271は、第1凹部200と2つの係止部242に挟まれた範囲にのみ設けられている。
【0042】
突片270は、幅細の帯板状に形成されて連結片271の先端から前向きに突出している(
図5参照)。言い換えると、突片270は、連結片271によって、枠体2の側板20との間に溝272を形成するように連結されている(
図5参照)。なお、突片270の前端部分が、突片270の後端部分よりも厚みが薄くなっている。つまり、突片270の前端部分における外側面に段差2700が形成されている(
図5参照)。
【0043】
さらに、左側板20Lに設けられた連結片271の下端、及び右側板20Rに設けられた連結片271の下端に、連結片271を厚み方向(前後方向)に貫通する貫通穴(以下、水抜き穴273と呼ぶ。)がそれぞれ1つずつ設けられている(
図2及び
図6参照)。また、下側板20Dに設けられた2つの連結片271のそれぞれの左右両端にも水抜き穴273が1つずつ設けられている。
【0044】
また、上側板20Uの上面において第1の軸受け部25の周囲から第1の壁部281が上向きに突出している(
図7参照)。第1の壁部281は、幅細の板状に形成され、3つの第1の軸受け部25と直線上に並んでいる。
【0045】
第2の壁部282は、ひさし部23の上面に設けられている(
図7参照)。第2の壁部282は、幅細の板状に形成され、第1の壁部281と平行になるようにひさし部23の上面から上向きに突出している。
【0046】
枠体2は、ベース1の前面に取り付けられる。なお、枠体2とベース1の固定は、ねじ止めなどの適宜の方法で固定される。
【0047】
(3-2)扉
扉3は、ボックスB1の開口部21と対向する前壁30と、前壁30の周縁からボックスB1に向かって突出する周壁31と、を有する(
図4及び
図8参照)。なお、前壁30と周壁31は、ポリカーボネート樹脂などの自己消化性を有する合成樹脂材料によって一体に形成されている。
【0048】
前壁30は、四辺形の板状であり、かつ、前方へ突出するように弧状に湾曲している。そして、前壁30の周縁から後方に向かって周壁31が突出している。なお、前壁30の上下左右のそれぞれの端から突出する周壁31を、上壁31U、下壁31D、左壁31L、右壁31Rと呼ぶ場合がある。
【0049】
上壁31Uは、円弧状に湾曲している。上壁31Uの後端に3組の第2の軸受け部33が設けられている(
図8参照)。これら3組の第2の軸受け部33は、枠体2の3つの第1の軸受け部25と一対一に対応し、各第1の軸受け部25とともに回転軸を回転可能に支持する。
【0050】
左壁31Lは、斜辺が円弧状に湾曲した台形状に形成され、前壁30の左端から後方へ突出している。なお、左壁31Lの内表面(右側面)の上部において、前後方向を長手方向とするリブ310が右向きに突出している(
図8参照)。
【0051】
右壁31Rは、斜辺が円弧状に湾曲した台形状に形成され、前壁30の右端から後方へ突出している。なお、右壁31Rの内表面(左側面)の上部において、前後方向を長手方向とするリブ310が左向きに突出している(
図8参照)。
【0052】
ここで、左壁31L及び右壁31Rの後端部分は、それぞれの前端部分よりも厚みが薄くなっている(
図5参照)。つまり、左壁31L及び右壁31Rの後端部分における内表面に段差312が形成されている。
【0053】
下壁31Dは、前壁30の下端から後方へ突出している。下壁31Dの左右方向の両端における後端から、それぞれ係止片34が1つずつ後方に突出している。各係止片34の先端には、上向きに突出する係止爪340が設けられている(
図8参照)。また、下壁31Dの左右方向の中央に第2凹部311が設けられている。第2凹部311は、上に向かって半長円形状に凹んだ下壁31Dの中央部分と、半長円形状に凹んだ下壁31Dの中央部分に囲まれた前壁30の下端部分と、で構成されている(
図8参照)。
【0054】
扉3は、第2引掛部32を有している。第2引掛部32は、前壁30の後面に設けられている(
図7参照)。第2引掛部32は、先端(後端)が半円形である短冊形に形成され、板厚の方向を左右方向に一致させるようにして前壁30の後面から後方に突出している。なお、第2引掛部32の先端部(後端部)には、板厚方向(左右方向)に関する丸穴320が形成されている。
【0055】
(3-3)中蓋
中蓋4は、ポリカーボネート樹脂などの自己消化性を有する合成樹脂材料によって四辺形の平板状の形成されている(
図4参照)。中蓋4は、電気機器5を前方から覆うようにボックスB1の開口部21内に配置される(
図2参照)。中蓋4には複数の窓40が設けられている。これらの窓40は、第1の開閉器51、第2の開閉器52、避雷器55、及びヒューズホルダ56と対向している。すなわち、第1の開閉器51及び第2の開閉器52のそれぞれのハンドルが窓40を通して操作可能である。また、避雷器55の動作状態が窓40を通して確認可能である。さらに、ヒューズホルダ56のヒューズの交換作業が窓40を通して実施可能である。なお、中蓋4の下端における左右方向の中央に切欠41が設けられており、この切欠41にボックスB1の第1凹部200が収まる。
【0056】
(4)実施形態に係る配線装置の施工手順
次に、配線装置A1の施工手順を説明する。ただし、以下に説明する施工手順は一例であり、幾つかの手順の順序を入れ替えることも可能である。
【0057】
施工作業を行う作業者は、取付板58を取り外したボックスB1を住宅H1の外壁に取り付ける。このとき、作業者は、住宅H1の外壁を貫通する穴を通して住宅H1の屋内から引き出した第2の幹線X2を、ベース1のいずれかの引込み口10に挿通してボックスB1内に引き込む。
【0058】
続いて、作業者は、扉3を開けた状態で、あらかじめ取り外しておいた取付板58をボックスB1内に収めてベース1に取り付ける。このとき、ボックスB1の左右の壁部(左壁部24L及び右壁部24R)の内側面に設けられた一対のリブ310が、扉3の周壁31(左壁31L及び右壁31R)に設けられた一対のストッパ片240と接触する。その結果、扉3は、一対のリブ310と一対のストッパ片240の間にはたらく摩擦力によって、任意の開き角度で保持されることが可能である。
【0059】
その後、作業者は、引込み口10から引き込んだ第2の幹線X2を、第1端子台53のねじ端子に電気的に接続する。また、作業者は、下側部20Dに設けられた引込み口から引き込んだ第1の幹線X1を、第1の開閉器51の1次側端子511に電気的に接続する。さらに、作業者は、下側部20Dの別の引込み口10から引き込んだ第3の幹線X3を、第2端子台54のねじ端子に電気的に接続する。また、作業者は、第3の引込み口から引き込んだ接地線を、第2端子台54のねじ端子に電気的に接続する。
【0060】
続いて、作業者は、扉3を下向きに回転させて扉3を閉じる。このとき、作業者は、扉3の一対の係止片34の先端の係止爪340を、下壁部24Dの一対の係止部242に係止させる。これにより、扉3は、ボックスB1の開口部21を塞ぐ位置(閉位置)で保持される。
【0061】
扉3が閉位置にあるとき、扉3の左壁31Lの後端部分の段差312と、ボックスB1の突片270の前端部分の段差2700が噛み合うように接触する(
図5参照)。つまり、扉3の左壁31Lの後端部分及び突片270の前端部分に段差がない場合に比べて、扉3の周壁31とボックスB1の枠体2の間の隙間から雨水が浸入しにくくなる。
【0062】
続いて、作業者は、錠9(南京錠)の掛け金91を第1引掛部22及び第2引掛部32の丸穴320に挿通した後、掛け金91を錠本体90に差し込んで施錠する。しかして、扉3が錠9で施錠されることにより、鍵を用いて錠9が解錠されない限り、扉3が閉位置から開位置(
図2参照)に回転されることが防止できる。
【0063】
以上の手順で配線装置A1の施工作業が完了する。
【0064】
(5)実施形態に係るキャビネットの作用効果
キャビネットC1が屋外、例えば、住宅H1の屋側(外壁)に設置される場合、ボックスB1内への雨水の浸入を防ぐ必要がある。そのため、キャビネットC1は、ボックスB1(枠体2)の側板20と連結片271で連結された突片270を有し、突片270及び連結片271と側板20との間に溝272を形成している。
【0065】
したがって、キャビネットC1は、ボックスB1の突片270と扉3の周壁31の隙間から浸入した雨水を、突片270及び連結片271と側板20との間に形成された溝272に溜めることにより、ボックスB1の内部への雨水の浸入を抑制することができる。
【0066】
さらに、キャビネットC1は、連結片271の下端に貫通穴(水抜き穴273)が設けられているから、溝272に入った雨水を水抜き穴273から溝272の外に排水することができる。その結果、キャビネットC1は、溝272から溢れた雨水が側板20を乗り越えてボックスB1内に浸入することを更に抑制することができる。
【0067】
ところで、扉3の下壁31Dの左右両端に通穴313がそれぞれ設けられている(
図3及び
図9参照)。通穴313は、ボックスB1の溝272とボックスB1の外をつないでいる。したがって、キャビネットC1は、溝272に入った雨水を扉3の通穴313から溝272の外へ排水することができ、ボックスB1内への雨水の浸入を更に抑制することができる。
【0068】
ところで、キャビネットC1は、ボックスB1の上側板20Uと扉3の上壁31Uの後端部との間の隙間に、ボックスB1の上側板20Uに設けられた第1の壁部281を配置している(
図10参照)。つまり、キャビネットC1は、ボックスB1の上側板20Uと扉3の上壁31Uの後端部との間の隙間からの雨水の浸入を、第1の壁部281によって抑制することができる。ただし、扉3がボックスB1に対して回転可能に取り付けられるため、扉3の上壁31Uの後端部と第1の軸受け部25及び第1の壁部281との間にわずかな隙間が生じることを避けられない。
【0069】
そこで、キャビネットC1は、ボックスB1の上側板20Uの前端から突出するひさし部23を設けることにより、扉3の上壁31Uの後端部と第1の軸受け部25及び第1の壁部281との隙間を通してボックスB1内に雨水が浸入することを抑制している。
【0070】
さらに、キャビネットC1は、ひさし部23の上面に設けられた第2の壁部282により、扉3の上壁31Uの後端部と第1の壁部281との隙間から浸入する雨水をせき止めることができる。その結果、キャビネットC1は、ボックスB1内への雨水の浸入を更に抑制することができる。なお、第2の壁部282でせき止められた雨水は、ひさし部23の上面を左右方向に移動し、ボックスB1の溝272から水抜き穴273及び扉3の通穴313を通してキャビネットC1の外に排水される。
【0071】
なお、上述したキャビネットC1の作用効果は、キャビネットC1を備える配線装置A1も奏することが可能である。
【0072】
(6)まとめ
本開示の第1の態様に係るキャビネット(C1)は、前面に開口部(21)を有する箱状のボックス(B1)と、ボックス(B1)に取り付けられて開口部(21)を開閉可能に塞ぐ扉(3)と、を備える。扉(3)は、開口部(21)と対向する前壁(30)と、前壁(30)の周縁からボックス(B1)に向かって突出する周壁(31)と、を有する。ボックス(B1)は、開口部(21)と対向する背板(ベース1)と、背板の周縁から前方へ突出する側板(20)と、側板(20)の外に設けられて周壁(31)の先端部と接離可能に接触する突片(270)と、側板(20)と突片(270)を連結する連結片(271)と、を有する。突片(270)と連結片(271)は、側板(20)との間に溝(272)を形成している。
【0073】
第1の態様に係るキャビネット(C1)は、ボックス(B1)の突片(270)と扉(3)の周壁(31)の隙間から浸入した雨水を、突片(270)及び連結片(271)と側板(20)との間に形成された溝(272)に溜めることにより、ボックス(B1)の内部への雨水の浸入を抑制することができる。
【0074】
本開示の第2の態様に係るキャビネット(C1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係るキャビネット(C1)において、突片(270)と連結片(271)の少なくとも一方が貫通穴(水抜き穴273)を有することが好ましい。貫通穴は、ボックス(B1)の外に向かって開放されていることが好ましい。
【0075】
第2の態様に係るキャビネット(C1)は、溝(272)に入った雨水を運通穴から溝(272)の外に排水することにより、ボックス(B1)の内部への雨水の浸入を抑制することができる。
【0076】
本開示の第3の態様に係るキャビネット(C1)は、第1又は第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係るキャビネット(C1)において、ボックス(B1)は、上側板(20U)と、第1の軸受け部(25)と、第1の壁部(281)と、を更に有することが好ましい。上側板(20U)は、側板(20)に含まれ、背板の上端から突出することが好ましい。第1の軸受け部(25)は、上側板(20U)の上面に設けられることが好ましい。第1の壁部(281)は、上側板(20U)の上面において第1の軸受け部(25)の周囲から上向きに突出することが好ましい。扉(3)は、第1の軸受け部(25)とともに回転軸を回転可能に支持する第2の軸受け部(33)を更に有することが好ましい。
【0077】
第3の態様に係るキャビネット(C1)は、ボックス(B1)の上側板(20U)と扉(3)の周壁(31)の後端部との間の隙間からの雨水の浸入を、第1の壁部(281)によって抑制することができる。
【0078】
本開示の第4の態様に係るキャビネット(C1)は、第3の態様との組合せにより実現され得る。第4の態様に係るキャビネット(C1)において、ボックス(B1)は、上側板(20U)の前端から前方へ突出するひさし部(23)を更に有することが好ましい。
【0079】
第4の態様に係るキャビネット(C1)は、扉(3)の周壁(31)の後端部と第1の軸受け部(25)及び第1の壁部(281)との隙間を通してボックス(B1)内に雨水が浸入することをひさし部(23)によって抑制することができる。
【0080】
本開示の第5の態様に係るキャビネット(C1)は、第4の態様との組合せにより実現され得る。第5の態様に係るキャビネット(C1)において、ボックス(B1)は、第2の壁部(282)を更に有することが好ましい。第2の壁部(282)は、ひさし部(23)の上面において第1の壁部(281)よりも前方に位置し、ひさし部(23)の上面から上向きに突出することが好ましい。
【0081】
第5の態様に係るキャビネット(C1)は、ひさし部(23)の上面に設けられた第2の壁部(282)により、扉(3)の周壁(31)の後端部と第1の壁部(281)との隙間から浸入する雨水をせき止めてボックス(B1)内への雨水の浸入を更に抑制することができる。
【0082】
本開示の第6の態様に係るキャビネット(C1)は、第1-第5のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第6の態様に係るキャビネット(C1)において、扉(3)は、ボックス(B1)の溝(272)とボックス(B1)の外をつなぐ通穴(313)を有することが好ましい。
【0083】
第6の態様に係るキャビネット(C1)は、溝(272)に入った雨水を扉(3)の通穴(313)から溝(272)の外へ排水することができ、ボックス(B1)内への雨水の浸入を更に抑制することができる。
【0084】
本開示の第7の態様に係る配線装置(A1)は、第1-第5のいずれかの態様に係るキャビネット(C1)と、キャビネット(C1)に収容される電気機器(5)と、を有する。電気機器(5)は、少なくとも配線用遮断器を含む。
【0085】
第7の態様に係る配線装置(A1)は、ボックス(B1)の突片(270)と扉(3)の周壁(31)の隙間から浸入した雨水を、突片(270)及び連結片(271)と側板(20)との間に形成された溝(272)に溜めることにより、ボックス(B1)の内部への雨水の浸入を抑制することができる。
【符号の説明】
【0086】
A1 配線装置
B1 ボックス
C1 キャビネット
1 ベース(背板)
3 扉
5 電気機器
20 側板
20U 上側板
21 開口部
23 ひさし部
25 第1の軸受け部
30 前壁
31 周壁
33 第2の軸受け部
51 第1の開閉器(配線用遮断器)
52 第2の開閉器(配線用遮断器)
270 突片
271 連結片
272 溝
273 水抜き穴(貫通穴)
281 第1の壁部
282 第2の壁部
313 通穴