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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131641
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】車載通信装置及び車載通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20230914BHJP
   B60R 16/023 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
H04L12/28 200Z
B60R16/023 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036516
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】保田 将弘
(72)【発明者】
【氏名】赤堀 成人
【テーマコード(参考)】
5K033
【Fターム(参考)】
5K033BA06
5K033CA07
5K033CB08
5K033CB14
5K033DA06
5K033DB18
(57)【要約】
【課題】拡張性の向上が期待できる車載通信装置及び車載通信システムを提供する。
【解決手段】本実施の形態に係る車載通信装置は、アプリケーションプログラムを実行するアプリケーション処理部と、一又は複数の車載装置との間で通信を行い、前記アプリケーション処理部と所定の通信プロトコルで通信を行い、前記車載装置及び前記アプリケーション処理部のデータの送受信を中継する中継処理部とを備え、前記アプリケーション処理部は、それぞれが前記アプリケーションプログラムの実行に係る処理を行う複数のモジュールを有し、前記複数のモジュールは、前記所定の通信プロトコルで通信を行う。前記所定の通信プロトコルは、TCP又はUDPであってよい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載通信装置であって、
アプリケーションプログラムを実行するアプリケーション処理部と、
一又は複数の車載装置との間で通信を行い、前記アプリケーション処理部と所定の通信プロトコルで通信を行い、前記車載装置及び前記アプリケーション処理部のデータの送受信を中継する中継処理部と
を備え、
前記アプリケーション処理部は、それぞれが前記アプリケーションプログラムの実行に係る処理を行う複数のモジュールを有し、
前記複数のモジュールは、前記所定の通信プロトコルで通信を行う、
車載通信装置。
【請求項2】
前記所定の通信プロトコルは、TCP(Transmission Control Protocol)又はUDP(User Datagram Protocol)である、
請求項1に記載の車載通信装置。
【請求項3】
前記所定の通信プロトコルは、TCP及びUDPであり、
前記中継処理部は、
前記車載装置との間でLIN(Local Interconnect Network)及びCAN(Controller Area Network)の通信プロトコルで通信を行い、
LINの通信プロトコルで受信したデータをUDPの通信プロトコルで前記アプリケーション処理部へ送信し、
CANの通信プロトコルで受信したデータをTCPの通信プロトコルで前記アプリケーション処理部へ送信する、
請求項1又は請求項2に記載の車載通信装置。
【請求項4】
前記所定の通信プロトコルは、TCP及びUDPであり、
前記アプリケーション処理部、前記中継処理部及び前記モジュールは、送受信するデータの内容に基づいてTCP又はUDPのいずれかの通信プロトコルを用いて前記データの送受信を行う、
請求項1から請求項3までのいずれか1つに記載の車載通信装置。
【請求項5】
前記アプリケーション処理部、前記中継処理部及び前記モジュールは、送受信するデータに要求されるASIL(Automotive Safety Integrity Level)に応じて、TCP又はUDPのいずれかの通信プロトコルを用いて前記データの送受信を行う、
請求項4に記載の車載通信装置。
【請求項6】
前記送受信するデータには、複数の車載装置の間でのハンドシェイクに関するデータ又は複数の車載装置の間でのシーケンス制御に関するデータを含み、
前記アプリケーション処理部、前記中継処理部及び前記モジュールは、前記ハンドシェイクに関するデータ又は前記シーケンス制御に関するデータを、TCPの通信プロトコルを用いて送受信する、
請求項4又は請求項5に記載の車載通信装置。
【請求項7】
前記送受信するデータには、メッセージ認証に関するデータ又はサイバー攻撃の履歴に関するデータを含み、
前記アプリケーション処理部、前記中継処理部及び前記モジュールは、前記メッセージ認証に関するデータ又は前記サイバー攻撃の履歴に関するデータを、TCPの通信プロトコルを用いて送受信する、
請求項4から請求項6までのいずれか1つに記載の車載通信装置。
【請求項8】
前記送受信するデータには、前記車両の室内環境に関するデータを含み、
前記アプリケーション処理部、前記中継処理部及び前記モジュールは、前記室内環境に関するデータを、UDPの通信プロトコルを用いて送受信する、
請求項4から請求項7までのいずれか1つに記載の車載通信装置。
【請求項9】
前記送受信するデータには、前記車両の走行状態に関する時系列のデータを含み、
前記アプリケーション処理部、前記中継処理部及び前記モジュールは、前記走行状態に関する時系列のデータを、UDPの通信プロトコルを用いて送受信する、
請求項4から請求項8までのいずれか1つに記載の車載通信装置。
【請求項10】
前記アプリケーション処理部及び前記中継処理部の間で送受信するデータを暗号化する、
請求項1から請求項9までのいずれか1つに記載の車載通信装置。
【請求項11】
車両に搭載される車載通信装置であって、
アプリケーションプログラムを実行するアプリケーションコアを備え、
前記アプリケーションコアは、前記アプリケーションプログラムに係る複数のソフトウェアモジュールを実行し、
前記複数のソフトウェアモジュールは、TCP又はUDPの通信プロトコルでデータの送受信を行う、
車載通信装置。
【請求項12】
車両に搭載される車載通信システムであって、
アプリケーションプログラムを実行するアプリケーション処理装置と、
一又は複数の車載装置との間で通信を行い、前記アプリケーション処理装置と所定の通信プロトコルで通信を行い、前記車載装置及び前記アプリケーション処理装置のデータの送受信を中継する中継処理装置と
を備え、
前記アプリケーション処理装置は、それぞれが前記アプリケーションプログラムの実行に係る処理を行う複数のモジュールを有し、
前記複数のモジュールは、前記所定の通信プロトコルで通信を行う、
車載通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に搭載されて、この車両内又は車両外の他の装置との間で通信を行う車載通信装置及び車載通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1においては、リアルタイムOS(Operating System)が配置されるプロセッサを備える制御系ECU(Electronic Control Unit)と、リアルタイムOSが配置されるプロセッサ及びマルチメディアOSが配置されるプロセッサを備える情報系ECUとを備える車両用制御システムが提案されている。この車両用制御システムでは、リアルタイムOSが配置されるプロセッサによって制御系ECU及び情報系ECUの間の通信を行う共に、リアルタイムOSが配置されるプロセッサのコア間通信機能及びマルチメディアOSが配置されるプロセッサのコア間通信機能によって情報系ECU内の通信を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-174098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係る車両用制御システムでは、制御系ECUのプロセッサ及び情報系ECUのプロセッサの間では例えばCAN(Controller Area Network)の通信プロトコルによる通信が行われ、プロセッサ内の複数のコアの間では例えば共有メモリを利用したコア間通信機能による通信が行われる。この車両用制御システムにおいて、例えば情報系ECUがCAN以外の通信プロトコルによる通信を行う他のECUとの通信を行う必要が生じた場合、又は、情報系ECUが制御系ECUとの通信をCAN以外の通信プロトコルで行う必要が生じた場合等には、情報系ECUには新たな通信プロトコルによる通信を行う機能を追加すると共に、情報系ECUで動作するアプリケーションプログラム及びソフトウェアモジュール等について修正等を行う必要があり、機能拡張についての柔軟性が低いという問題がある。
【0005】
本開示は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、拡張性の向上が期待できる車載通信装置及び車載通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本態様に係る車載通信装置は、車両に搭載される車載通信装置であって、アプリケーションプログラムを実行するアプリケーション処理部と、一又は複数の車載装置との間で通信を行い、前記アプリケーション処理部と所定の通信プロトコルで通信を行い、前記車載装置及び前記アプリケーション処理部のデータの送受信を中継する中継処理部とを備え、前記アプリケーション処理部は、それぞれが前記アプリケーションプログラムの実行に係る処理を行う複数のモジュールを有し、前記複数のモジュールは、前記所定の通信プロトコルで通信を行う。
【0007】
本願は、このような特徴的な処理部を備える装置として実現することができるだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする方法として実現したり、かかるステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムとして実現したりすることができる。これらの装置の一部又は全部を実現する半導体集積回路として実現したり、これらの装置を含むその他の装置又はシステムとして実現したりすることができる。
【発明の効果】
【0008】
上記によれば、車載通信装置及び車載通信システムの拡張性を向上することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す模式図である。
図2】本実施の形態に係る車載通信装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】本実施の形態に係る車載通信装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
図4】本実施の形態に係る車載通信装置の拡張性を説明するためのブロック図である。
図5】変形例1に係る車載通信装置の構成を示すブロック図である。
図6】変形例2に係る車載通信装置の構成を示すブロック図である。
図7】変形例3に係る車載通信システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施の形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0011】
(1)本態様に係る車載通信装置は、車両に搭載される車載通信装置であって、アプリケーションプログラムを実行するアプリケーション処理部と、一又は複数の車載装置との間で通信を行い、前記アプリケーション処理部と所定の通信プロトコルで通信を行い、前記車載装置及び前記アプリケーション処理部のデータの送受信を中継する中継処理部とを備え、前記アプリケーション処理部は、それぞれが前記アプリケーションプログラムの実行に係る処理を行う複数のモジュールを有し、前記複数のモジュールは、前記所定の通信プロトコルで通信を行う。
【0012】
本態様にあっては、車載通信装置がアプリケーション処理部及び中継処理部を備える。アプリケーション処理部は、アプリケーションプログラムを実行するプロセッサ、コア又はIC(Integrated Circuit)等である。中継処理部は、一又は複数の車載装置との間で通信を行い、アプリケーション処理部との間で所定の通信プロトコルで通信を行うことで、車載装置及びアプリケーション処理部の間のデータの送受信を中継するプロセッサ、コア又はIC等である。アプリケーション処理部はアプリケーションプログラムの実行に係る処理を行うソフトウェア又はハードウェアの複数のモジュールを有する。これら複数のモジュールは、アプリケーション処理部及び中継処理部の通信に用いられるものと同じ通信プロトコルで通信を行う。このようにアプリケーション処理部の内外で通信プロトコルを統一しておくことにより、アプリケーション処理部の機能の追加又は変更が容易化され、車載通信装置の拡張性を向上することが期待できる。
【0013】
(2)前記所定の通信プロトコルは、TCP(Transmission Control Protocol)又はUDP(User Datagram Protocol)であることが好ましい。
【0014】
本態様にあっては、アプリケーション処理部及び中継処理部の通信と、アプリケーション処理部内の複数のモジュール間の通信とを、TCP(Transmission Control Protocol)又はUDP(User Datagram Protocol)の通信プロトコルで行う。TCP及びUDPの通信プロトコルは、従来広く利用されている通信プロトコルであり、信頼性の高い通信を実現することが期待できる。またTCP及びUDPの通信プロトコルは、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルのトランスポート層の通信プロトコルであり、共にネットワーク層の通信プロトコルであるIP(Internet Protocol)の上位プロトコルであり、共存が可能である。
【0015】
(3)前記所定の通信プロトコルは、TCP及びUDPであり、前記中継処理部は、前記車載装置との間でLIN(Local Interconnect Network)及びCAN(Controller Area Network)の通信プロトコルで通信を行い、LINの通信プロトコルで受信したデータをUDPの通信プロトコルで前記アプリケーション処理部へ送信し、CANの通信プロトコルで受信したデータをTCPの通信プロトコルで前記アプリケーション処理部へ送信することが好ましい。
【0016】
本態様にあっては、LIN(Local Interconnect Network)及びCAN(Controller Area Network)の通信プロトコルで、中継処理部が一又は複数の車載装置との通信を行う。中継処理部は、LINの通信プロトコルで受信したデータをUDPの通信プロトコルでアプリケーション処理部へ送信し、CANの通信プロトコルで受信したデータをTCPの通信プロトコルでアプリケーション処理部へ送信する。これにより、比較的に高い信頼性を求められるデータを扱う可能性が高いCANの通信プロトコルで送受信されるデータを信頼性の高いTCPの通信プロトコルで扱うことができ、比較的に高い信頼性を求められないデータを扱う可能性が高いLINの通信プロトコルで送受信されるデータを信頼性は低いけれど高速に通信できるUDPの通信プロトコルで扱うことができる。
【0017】
(4)前記所定の通信プロトコルは、TCP及びUDPであり、前記アプリケーション処理部、前記中継処理部及び前記モジュールは、送受信するデータの内容に基づいてTCP又はUDPのいずれかの通信プロトコルを用いて前記データの送受信を行うことが好ましい。
【0018】
本態様にあっては、アプリケーション処理部及び中継処理部の通信と、アプリケーション処理部内の複数のモジュール間の通信とを、TCP又はUDPの通信プロトコルで行う。アプリケーション処理部、中継処理部及びモジュールは、送受信するデータの内容に基づいてTCP又はUDPの通信プロトコルを使い分ける。データの内容に応じてTCP又はUDPの通信プロトコルを適宜に使い分けることにより、例えば重要なデータが消失する可能性を抑制すること、及び、通信処理に関する処理負荷を抑制することを両立することが期待できる。
【0019】
(5)前記アプリケーション処理部、前記中継処理部及び前記モジュールは、送受信するデータに要求されるASIL(Automotive Safety Integrity Level)に応じて、TCP又はUDPのいずれかの通信プロトコルを用いて前記機能安全に関連するデータの送受信を行うことが好ましい。
【0020】
本態様にあっては、アプリケーション処理部、中継処理部及びモジュールが送受信するデータに対して要求されるASIL(Automotive Safety Integrity Level、自動車安全水準)に応じてTCP又はUDPのいずれかの通信プロトコルが用いられる。これにより、求められるASILが高いデータを信頼性の高いTCPの通信プロトコルで送受信し、求められるASILが低いデータをTCPと比較して信頼性は低いけれど高速に通信できるUDPの通信プロトコルで送受信することができる。
【0021】
(6)前記送受信するデータには、複数の車載装置の間でのハンドシェイクに関するデータ又は複数の車載装置の間でのシーケンス制御に関するデータを含み、前記アプリケーション処理部、前記中継処理部及び前記モジュールは、前記ハンドシェイクに関するデータ又は前記シーケンス制御に関するデータを、TCPの通信プロトコルを用いて送受信することが好ましい。
【0022】
本態様にあっては、ハンドシェイクに関するデータ又はシーケンス制御に関するデータをTCPの通信プロトコルを用いて送受信することにより、UDPの通信プロトコルを用いて送受信する場合と比較して、これらのデータを確実に送受信することができる。よって、複数の車載装置による協調動作を正確に行うことが期待できる。
【0023】
(7)前記送受信するデータには、メッセージ認証に関するデータ又はサイバー攻撃の履歴に関するデータを含み、前記アプリケーション処理部、前記中継処理部及び前記モジュールは、前記メッセージ認証に関するデータ又は前記サイバー攻撃の履歴に関するデータを、TCPの通信プロトコルを用いて送受信することが好ましい。
【0024】
本態様にあっては、メッセージ認証に関するデータ又はサイバー攻撃の履歴に関するデータをTCPの通信プロトコルを用いて送受信することにより、これらのデータが消失する可能性を抑制することが期待でき、車両のセキュリティに関するリスクを低減することが期待できる。
【0025】
(8)前記送受信するデータには、前記車両の室内環境に関するデータを含み、前記アプリケーション処理部、前記中継処理部及び前記モジュールは、前記室内環境に関するデータを、UDPの通信プロトコルを用いて送受信することが好ましい。
【0026】
本態様にあっては、車両の室内環境に関するデータをUDPの通信プロトコルを用いて送受信することにより、TCPの通信プロトコルを用いて送受信する場合と比較して、室内環境に関連する装置に対するデータの送信をより早く行うことができ、快適な室内環境の維持に貢献することが期待できる。
【0027】
(9)前記送受信するデータには、前記車両の走行状態に関する時系列のデータを含み、前記アプリケーション処理部、前記中継処理部及び前記モジュールは、前記走行状態に関する時系列のデータを、UDPの通信プロトコルを用いて送受信することが好ましい。
【0028】
本態様にあっては、車両の走行状態に関する時系列のデータをUDPの通信プロトコルを用いて送受信することにより、TCPの通信プロトコルを用いて送受信する場合と比較して、データの送受信に係る処理の負荷を低減することが期待できる。なお車両の走行状態に関する時系列のデータは、例えば一部のデータが消失した場合であっても、その前後のデータを基に焼失したデータを推定することができ、必要なデータを補完することができる。
【0029】
(10)前記アプリケーション処理部及び前記中継処理部の間で送受信するデータを暗号化することが好ましい。
【0030】
本態様にあっては、車載通信装置は、アプリケーション処理部及び中継処理部の間で送受信するデータを暗号化すると共に、アプリケーション処理部内の複数のモジュール間で送受信するデータを暗号化しない。これにより車載通信装置は、外部から傍受し易いデータを暗号化して安全性を高めることができ、外部から傍受しにくいデータを暗号化せずに高速に送受信することが期待できる。
【0031】
(11)本態様に係る車載通信装置は、車両に搭載される車載通信装置であって、アプリケーションプログラムを実行するアプリケーションコアを備え、前記アプリケーションコアは、前記アプリケーションプログラムに係る複数のソフトウェアモジュールを実行し、前記複数のソフトウェアモジュールは、TCP又はUDPの通信プロトコルでデータの送受信を行う。
【0032】
本態様にあっては、車載通信装置がアプリケーションプログラムを実行するアプリケーションコアを備え、このアプリケーションコアがアプリケーションプログラムに係る複数のソフトウェアモジュールを実行する。複数のソフトウェアモジュールは、TCP又はUDPの通信プロトコルでデータの送受信を行う。これにより車載通信装置は、コア間又は装置間等での通信に採用されることが多いTCP又はUDPの通信プロトコルでコア内のソフトウェアモジュールの通信を行うことができ、コアの内外で通信プロトコルを統一しておくことにより、車載通信装置の拡張性を向上することが期待できる。
【0033】
(12)本態様に係る車載通信システムは、車両に搭載される車載通信システムであって、アプリケーションプログラムを実行するアプリケーション処理装置と、一又は複数の車載装置との間で通信を行い、前記アプリケーション処理装置と所定の通信プロトコルで通信を行い、前記車載装置及び前記アプリケーション処理装置のデータの送受信を中継する中継処理装置とを備え、前記アプリケーション処理装置は、それぞれが前記アプリケーションプログラムの実行に係る処理を行う複数のモジュールを有し、前記複数のモジュールは、前記所定の通信プロトコルで通信を行う。前記アプリケーション処理装置として、例えばアプリケーションプログラムが実行可能なECUがある。また、前記中継処理装置として、例えばゲートウェイECUがある。
【0034】
本態様にあっては、態様(1)と同様に、車載通信装置の拡張性を向上することが期待できる。
【0035】
また、本態様に係る車載通信装置は、車両に搭載される車載通信装置であって、アプリケーションプログラムを実行するアプリケーション処理部を備え、前記アプリケーション処理部は、それぞれが前記アプリケーションプログラムの実行に係る処理を行う複数のモジュールを有し、外部との通信を所定の通信プロトコルで行い、前記複数のモジュールは、前記所定の通信プロトコルで通信を行う。
【0036】
本態様にあっては、車載通信装置がアプリケーションプログラムを実行するアプリケーション処理部を備え、このアプリケーション処理部がアプリケーションプログラムの実行に係る複数のモジュールを有する。アプリケーション処理部は外部(他の処理部又は他の装置)との通信を所定の通信プロトコルで行い、アプリケーション処理部内の複数のモジュールも所定の通信プロトコルで通信を行う。これにより車載通信装置は、アプリケーション処理部の内外で通信プロトコルを統一しておくことにより、車載通信装置の拡張性を向上することが期待できる。
【0037】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る車載通信システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0038】
<システム構成>
図1は、本実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す模式図である。本実施の形態に係る車載通信システムは、車両1に搭載された車載通信装置3が一又は複数の他のECU4から種々の情報を収集し、収集した情報を車両1の外部に設けられたサーバ装置2へ送信するシステムである。本実施の形態に係る車両1には、例えば車両1の走行に関する制御処理、車両1の周辺情報を収集する情報処理、又は、ユーザに対する情報提供処理等の種々の処理をそれぞれ行う複数のECU4が適所に搭載されている。これら複数のECU4は、車両1内に配された通信線を介して接続され、これらの通信線を介して相互にデータを送受信して交換することにより、協調して動作している。
【0039】
またこれら複数のECU4は、通信線を介して車載通信装置3に接続されている。図1に示す車載通信システムは、車載通信装置3に3つの通信線が接続され、各通信線に3つのECU4がそれぞれ接続されたネットワーク構成をなしている。即ち3つのECU4が1つの通信線にバス型のネットワーク構成で接続され、このバス型のネットワークを構成する3つの通信線が車載通信装置3にそれぞれスター型のネットワーク構成で接続されている。ただし図示のネットワーク構成は一例であってこれに限るものではなく、車両1に搭載された車載通信装置3及び複数のECU4は、例えばバス型、スター型又はリング型等の種々のネットワーク構成で接続されてよい。
【0040】
車載通信装置3は、接続された複数の通信線の間でデータの送受信を中継すると共に、車両1の外部に設けられたサーバ装置2と車両1内のECU4との間でデータの送受信を中継する。例えば車載通信装置3は、一の通信線から受信したデータを他の一又は複数の通信線から送信することで、車両1に搭載されたECU4の間のデータの送受信を中継する。また例えば車載通信装置3は、サーバ装置2から受信したデータを一又は複数の通信線から送信することで、サーバ装置2及びECU4の間のデータの送受信を中継する。また例えば車載通信装置3は、ECU4から受信したデータをサーバ装置2へ送信することで、サーバ装置2及びECU4の間のデータの送受信を中継する。
【0041】
<装置構成>
図2は、本実施の形態に係る車載通信装置3のハードウェア構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る車載通信装置3は、アプリケーションコア10、リアルタイムコア20、記憶部31,32及び無線通信部33等を備えて構成されている。本実施の形態において車載通信装置3が備えるコアは、例えばCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro-Processing Unit)等の演算処理部、SRAM(Static Random Access Memory)又はDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の記憶部、並びに、CAN、LIN又はイーサネット(登録商標)等の通信プロトコルで通信を行う一又は複数の通信部等が1つのパッケージに集約されたICである。なお本実施の形態において車載通信装置3は、アプリケーションコア10及びリアルタイムコア20の2つのコアを備えており、これら2つのコアはいわゆるシングルコアのICであり、アプリケーションコア10のICとリアルタイムコア20のICとが車載通信装置3の回路基板等に搭載される。ただし車載通信装置3は、いわゆるマルチコアのICを搭載し、1つのICにアプリケーションコア10及びリアルタイムコア20が備えられる構成であってもよい。
【0042】
記憶部31,32は、例えばフラッシュメモリ又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性のメモリ素子を用いて構成されている。記憶部31は、アプリケーションコア10が実行するアプリケーションプログラム及びOS等の種々のコンピュータプログラムと、これらのコンピュータプログラムの実行に必要なデータとを記憶する。記憶部32は、リアルタイムコア20が実行する通信プログラム及びリアルタイムOS等の種々のコンピュータプログラムと、これらのコンピュータプログラムの実行に必要なデータとを記憶する。なお本実施の形態においては、車載通信装置3がコア毎に記憶部31,32を備える構成とするが、これに限るものではなく、1つの記憶部をアプリケーションコア10及びリアルタイムコア20が共有する構成であってもよい。
【0043】
無線通信部33は、例えば携帯電話通信網又は無線LAN(Local Area Network)等の無線通信により、車両1の外部に設けられたサーバ装置2との間で通信を行う。なお無線通信部33は、サーバ装置2の他にも、車両1の外部に設けられた種々の装置との間で通信を行ってよい。無線通信部33は、アプリケーションコア10から与えられたデータをサーバ装置2へ送信すると共に、サーバ装置2から受信したデータをアプリケーションコア10へ与える。無線通信部33は、例えば1つのICとして車載通信装置3の回路基板に実装され、回路基板に設けられた配線を介してアプリケーションコア10とデータの授受を行うことができる。ただし、無線通信部33がアプリケーションコア10内に設けられてもよい。
【0044】
本実施の形態に係る車載通信装置3が備えるアプリケーションコア10は例えばアプリケーションプログラムを実行するコアであり、リアルタイムコア20は車両1内の通信に関する中継処理を行うコアである。アプリケーションコア10及びリアルタイムコア20は、例えば車載通信装置3の回路基板に実装され、回路基板に設けられた配線を介して電気的に接続されており、この配線を介してデータの授受を行うことができる。本実施の形態においてアプリケーションコア10及びリアルタイムコア20は、この配線を介してTCP(又はUDP)、IP及びイーサネットの通信プロトコルで通信を行うことにより、データの授受を行う。
【0045】
リアルタイムコア20は、車載通信装置3に接続された一又は複数の通信線を介して、車両1内に設けられた一又は複数のECU4との通信を行う。図示の例では、CANの通信プロトコルに従う3つの通信線と、LINの通信プロトコルに従う3つの通信線とが車載通信装置3に接続されている。例えばこれらの通信線は車載通信装置3の回路基板に設けられた一又は複数のコネクタに接続され、これらのコネクタとリアルタイムコア20とが回路基板に設けられた配線を介して電気的に接続される。リアルタイムコア20は、これらの通信線に接続されたECU4の間のデータの送受信を中継すると共に、アプリケーションコア10及びECU4の間のデータの送受信を中継する。
【0046】
図3は、本実施の形態に係る車載通信装置3のソフトウェア構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る車載通信装置3は、記憶部31,32に記憶されたプログラムをアプリケーションコア10及びリアルタイムコア20が実行することによって、図3において破線のブロックで示したソフトウェアモジュールが実現される。なお本実施の形態において図3に破線のブロックで示すモジュールは、プログラムの実行により実現されるソフトウェアモジュールとするが、これに限るものではなく、ハードウェアとして実現されたハードウェアモジュールであってもよい。
【0047】
本実施の形態においてアプリケーションコア10は、通信処理モジュール11、CANマネージャモジュール12、LINマネージャモジュール13、アプリケーションモジュール14及びアップローダモジュール15等を備えている。またリアルタイムコア20は、CAN送受信処理モジュール21、LIN送受信処理モジュール22及び中継処理モジュール23等を備えている。なお図3においては、各ブロックの名称について「モジュール」を省略して表記している。
【0048】
本実施の形態に係る車載通信装置3では、コア内の複数のモジュールがTCP又はUDPの通信プロトコルに従う通信を行うことによって、モジュール間のデータの授受を行う。また本実施の形態に係る車載通信装置3では、アプリケーションコア10及びリアルタイムコア20がTCP又はUDPの通信プロトコルに従う通信を行うことによって、コア間のデータの授受を行う。このように本実施の形態に係る車載通信装置3では、コア内のデータの授受とコア間のデータの授受とが、共通の通信プロトコルの通信で行われる。図3においては、TCP又はUDPの通信プロトコルによる通信を実線の矢印で示し、これ以外の通信プロトコル(例えばCAN又はLIN等)の通信プロトコルによる通信を二点鎖線の矢印で示している。
【0049】
なお、通信プロトコルに関するOSI参照モデルにおいて、TCP又はUDPはトランスポート層に分類される通信プロトコルである。本実施の形態においてアプリケーションコア10及びリアルタイムコア20のコア間の通信は、トランスポート層についてTCP又はUDPの通信プロトコルが用いられ、ネットワーク層について例えばIPの通信プロトコルが用いられ、データリンク層についてはイーサネットの通信プロトコルが用いられる。
【0050】
これに対してアプリケーションコア10及びリアルタイムコア20のコア内のモジュール間の通信は、少なくともトランスポート層のTCP又はUDPの通信プロトコルを仮想的にソフトウェア(例えばOSなど)で実現したものであり、ネットワーク層及びデータリンク層の通信プロトコルについて仮想的に再現されなくてよい(再現されてもよい)。本実施の形態に係る車載通信装置3では、モジュール間の通信においてネットワーク層のIPの通信プロトコルが仮想的に再現され、データリンク層の通信プロトコルについては再現されないものとする。コア内の各モジュールには一又は複数のポート番号がそれぞれ割り当てられ、各モジュールは送信先モジュールのポート番号を指定してデータを送信することができる。各コアで動作しているOSなどのソフトウェアは、各モジュールが送信したデータに付されたポート番号に対応するモジュールを特定し、特定したモジュールへこのデータを与えることで、モジュール間のデータの授受を行う。
【0051】
また本実施の形態に係る車載通信装置3においては、アプリケーションコア10及びリアルタイムコア20に対してそれぞれIPアドレスが予め設定されている。アプリケーションコア10及びリアルタイムコア20のコア内の各モジュールは、IPアドレス及びポート番号を指定することによって、別のコア内のモジュールとの間でデータの授受を行うことができる。各コアで動作しているOSなどのソフトウェアは、各モジュールが送信したデータに付されたIPアドレスに基づいて、このデータの送信先が自コア内のモジュールであるか、他コアのモジュールであるかを判断することができる。
【0052】
リアルタイムコア20のCAN送受信処理モジュール21は、車両1内のECU4との間でCANの通信プロトコルによる通信を行うためのモジュールである。CAN送受信処理モジュール21は、通信線を介してECU4からCANの通信プロトコルに従うデータ(メッセージ、フレーム等)を受信し、受信したデータをTCP又はUDPの通信プロトコルに従うデータに変換して中継処理モジュール23へ送信する。またCAN送受信処理モジュール21は、中継処理モジュール23からTCP又はUDPの通信プロトコルに従うデータを受信し、受信したデータをCANの通信プロトコルに従うデータに変換してECU4へ送信する。なお本実施の形態においては、車載通信装置3にCANの通信プロトコルに従う通信線が3つ接続されている場合、CAN送受信処理モジュール21には少なくとも3つのポート番号が割り当てられ、3つのポート番号と3つの通信線とが対応付けられる。これにより他のモジュールは、これらのポート番号を指定してCAN送受信処理モジュール21にデータを送信することにより、ポート番号に対応する通信線に対するデータの送信を行うことができる。
【0053】
LIN送受信処理モジュール22は、車両1内のECU4との間でLINの通信プロトコルによる通信を行うためのモジュールである。LIN送受信処理モジュール22は、通信線を介してECU4からLINの通信プロトコルに従うデータを受信し、受信したデータをTCP又はUDPの通信プロトコルに従うデータに変換して中継処理モジュール23へ送信する。またLIN送受信処理モジュール22は、中継処理モジュール23からTCP又はUDPの通信プロトコルに従うデータを受信し、受信したデータをLINの通信プロトコルに従うデータに変換してECU4へ送信する。なお本実施の形態においては、CAN送受信処理モジュール21の場合と同様に、LINの通信プロトコルに従う通信線が車載通信装置3に3つ接続されている場合、LIN送受信処理モジュール22には少なくとも3つのポート番号が割り当てられ、3つのポート番号と3つの通信線とが対応付けられる。
【0054】
中継処理モジュール23は、CAN送受信処理モジュール21、LIN送受信処理モジュール22及びアプリケーションコア10の間でデータの送受信を中継する処理を行う。例えば中継処理モジュール23は、CAN送受信処理モジュール21から受信したデータをLIN送受信処理モジュール22へ送信すると共に、LIN送受信処理モジュール22から受信したデータをCAN送受信処理モジュール21へ送信することにより、車両1内でのCAN及びLINの間のデータの中継を行う。また例えば中継処理モジュール23は、CAN送受信処理モジュール21又はLIN送受信処理モジュール22から受信したデータをアプリケーションコア10(又はアプリケーションコア10内の特定のモジュール)へ送信すると共に、アプリケーションコア10から受信したデータをCAN送受信処理モジュール21又はLIN送受信処理モジュール22へ送信することにより、アプリケーションコア10及び車両1内のECU4の間のデータの中継を行う。
【0055】
アプリケーションコア10の通信処理モジュール11は、リアルタイムコア20との間でデータの送受信を行い、リアルタイムコア20から受信したデータをアプリケーションコア10内のモジュールへ送信すると共に、アプリケーションコア10内のモジュールから受信したデータをリアルタイムコア20へ送信する。例えば通信処理モジュール11は、アプリケーションコア10内のCANマネージャモジュール12及びLINマネージャモジュール13と、リアルタイムコア20(の中継処理モジュール23)との間でデータを中継する。
【0056】
CANマネージャモジュール12は、車載通信装置3が行うCANの通信プロトコルによる通信機能を、アプリケーションモジュール14に対して仮想的に提供するためのモジュールである。これによりアプリケーションモジュール14は、CANマネージャモジュール12に対してデータの送受信を行うことにより、車両1に搭載されたECU4に対するデータの送受信を行うことができる。CANマネージャモジュール12にはCAN送受信処理モジュール21に割り当てられた複数のポート番号に対応する複数のポート番号が割り当てられており、アプリケーションモジュール14はポート番号を指定してCANマネージャモジュール12へデータを送信することにより、対応するCANの通信線からECU4へのデータ送信を行うことができる。
【0057】
LINマネージャモジュール13は、車載通信装置3が行うLINの通信プロトコルによる通信機能を、アプリケーションモジュール14に対して仮想的に提供するためのモジュールである。これによりアプリケーションモジュール14は、LINマネージャモジュール13に対してデータの送受信を行うことにより、車両1に搭載されたECU4に対するデータの送受信を行うことができる。LINマネージャモジュール13にはLIN送受信処理モジュール22に割り当てられた複数のポート番号に対応する複数のポート番号が割り当てられており、アプリケーションモジュール14はポート番号を指定してLINマネージャモジュール13へデータを送信することにより、対応するLINの通信線からECU4へのデータ送信を行うことができる。
【0058】
アプリケーションモジュール14は、車両1に搭載されたECU4から収集したデータを基に、例えば車両1の運転者に対する情報提供又は車両1の外部への情報送信等の種々の処理を行うモジュールである。図3にはアプリケーションモジュール14が1つのみ図示されているが、アプリケーションモジュール14には複数のアプリケーションモジュール14が並列的に実行され得る。本実施の形態に係るアプリケーションモジュール14は、車両1内のデータを外部のサーバ装置2へ送信すると共に、サーバ装置2から受信したデータを車両1のECU4へ送信する処理を行う。アプリケーションモジュール14は、CANマネージャモジュール12又はLINマネージャモジュール13からデータを受信し、受信したデータに対して適宜の加工を施してアップローダモジュール15へ送信することにより、データをサーバ装置2へ送信することができる。またアプリケーションモジュール14は、アップローダモジュール15からデータを受信し、受信したデータを適宜のポート番号を指定してCANマネージャモジュール12又はLINマネージャモジュール13へ送信することにより、ポート番号に対応するCAN又はLINの通信線に接続されたECU4へデータを送信することができる。
【0059】
アップローダモジュール15は、無線通信部33の動作を制御することにより、サーバ装置2との間で通信を行うモジュールである。本実施の形態においてアップローダモジュール15は、アプリケーションモジュール14からのデータを受信し、受信したデータをサーバ装置2へ送信(アップロード)する。またアップローダモジュール15は、データの送信に対してサーバ装置2から応答として何らかのデータを受信した場合、受信したデータをアプリケーションモジュール14へ送信してもよい。
【0060】
<コアの機能拡張>
本実施の形態に係る車載通信装置3は、アプリケーションコア10及びリアルタイムコア20の間の通信をTCP又はUDPの通信プロトコルで行うと共に、アプリケーションコア10内の複数のモジュール間の通信をTCP又はUDPの通信プロトコルで行う。これによりアプリケーションコア10内の各モジュールは、通信相手が同じコア内に存在するか否かに関わらず、同じ通信方法でデータの送受信を行うことができる。
【0061】
図4は、本実施の形態に係る車載通信装置3の拡張性を説明するためのブロック図である。図4に例示する車載通信装置3は、図3に示した車載通信装置3の構成に対して、アプリケーションコア10にCANの通信線を直接的に接続し、アプリケーションコア10にリアルタイムコア20を介さず直接的にCANの通信を行う機能を追加した構成である。
【0062】
この機能追加のために、アプリケーションコア10には、リアルタイムコア20のものと同様のCAN送受信処理モジュール16が設けられる。CAN送受信処理モジュール16は、車両1内のECU4との間でCANの通信プロトコルによる通信を行うと共に、アプリケーションコア10内の各モジュール、例えばCANマネージャモジュール12との間でTCP又はUDPの通信プロトコルによる通信を行う。CAN送受信処理モジュール16には適宜のポート番号が割り当てられ、例えばCANマネージャモジュール12は、CANの通信線がアプリケーションコア10又はリアルタイムコア20のいずれに接続されているかに関わらず、ポート番号を指定してデータを送信することで、車両1内のECU4へデータを送信することができる。
【0063】
<TCP及びUDPの使い分け>
本実施の形態に係る車載通信装置3は、アプリケーションコア10及びリアルタイムコア20のコア間通信とコア内のモジュール間の通信とをTCP又はUDPの通信プロトコルで行う。トランスポート層の通信プロトコルであるTCP及びUDPはいずれもネットワーク層の通信プロトコルであるIPの上位プロトコルであり、共存が可能である。本実施の形態に係る車載通信装置3ではTCP及びUDPの通信プロトコルが共に利用可能であり、各モジュールはデータを送信する際に、当該データの内容、種類又は重要度等に応じてTCP又はUDPの通信プロトコルを選択し、選択した通信プロトコルでデータの送信を行ってもよい。
【0064】
例えば車載通信装置3は、車載通信装置3の外部においてECU4がCANの通信プロトコルで送受信するデータを車載通信装置3の内部においてTCPの通信プロトコルで送受信し、車載通信装置3の外部においてECU4がLINの通信プロトコルで送受信するデータを車載通信装置3の内部においてUDPの通信プロトコルで送受信してもよい。この場合、CAN送受信処理モジュール21は車両1のECU4からのデータを受信した場合にこのデータをTCPの通信プロトコルで中継処理モジュール23へ送信し、以後にこのデータを受信したモジュールはTCPの通信プロトコルでデータの送受信を行う。LIN送受信処理モジュール22は車両1のECU4からのデータを受信した場合にこのデータをUDPの通信プロトコルで中継処理モジュール23へ送信し、以後にこのデータを受信したモジュールはUDPの通信プロトコルでデータの送受信を行う。アプリケーションモジュール14等の各モジュールは、自ら生成したデータをCANの通信線に接続されたECU4へ送信する場合にこのデータをTCPの通信プロトコルで送信し、LINの通信線に接続されたECU4へ送信する場合にこのデータをUDPの通信プロトコルで送信する。
【0065】
また例えば車載通信装置3は、送受信するデータに要求されるASILに応じてTCP又はUDPの通信プロトコルを選択してもよい。ASILは、自動車業界向けの機能安全規格であるISO26262に規定された安全性レベルであり、安全性の基準が高い順に、D、C、B、A及びQMの5段階の安全性レベルが定められている。例えば、ブレーキ又はステアリング等のシステムに関するものをレベルDとし、クルーズコントロール等のシステムに関するものをレベルCとし、ヘッドライト及びブレーキランプ等のシステムに関するものをレベルBとし、バックライト等のシステムに関するものをレベルAとし、車両の安全性とは無関係なものをQMと設定することが考えられる。車載通信装置3の各モジュールは、例えばASILのレベルD及びレベルCが設定されたシステムに関するデータを送受信する場合にTCPの通信プロトコルを用い、レベルB、レベルA及びQMが設定されたシステムに関するデータを送受信する場合にUDPの通信プロトコルを用いることができる。
【0066】
また例えば車載通信装置3は、複数のECU4の間でのハンドシェイクに関するデータ又はシーケンス制御に関するデータを送受信する場合に、TCPの通信プロトコルを用いてこれらのデータの送受信を行う。ハンドシェイクに関するデータは、例えば複数のECU4が通信開始に先立って交換するデータであり、通信に関する設定などの情報が含まれ得る。シーケンス制御は、予め定められた順序で制御の各段階を進めていく制御方法である。シーケンス制御に関するデータは、例えば制御段階の開始又は終了等を通知又は命令等するデータが含まれ得る。
【0067】
また例えば車載通信装置3は、メッセージ認証に関するデータ又はサイバー攻撃の履歴に関するデータを送受信する場合に、TCPの通信プロトコルを用いてこれらのデータの送受信を行う。メッセージ認証に関するデータは、例えばMAC(Message Authentication Code)が付されたデータ又は暗号化に用いる鍵情報を含むデータ等である。またECU4は、例えばDoS(Denial of Service)攻撃などのサイバー攻撃を検出した場合に、サイバー攻撃を受けたことを他のECU4等へ通知してもよい。サイバー攻撃の履歴に関するデータは、このようなサイバー攻撃を受けたECU4から送信される通知のデータなどが含まれ得る。
【0068】
また例えば車載通信装置3は、車両1の室内環境に関するデータを送受信する場合に、UDPの通信プロトコルを用いてこれらのデータの送受信を行う。室内環境に関するデータは、例えば空調機器又は照明機器等の車内機器の設定又は動作等に関するデータが含まれ得る。
【0069】
また例えば車載通信装置3は、車両1の走行状態に関する時系列のデータを送受信する場合に、UDPの通信プロトコルを用いてこれらのデータの送受信を行う。走行状態に関する時系列のデータは、例えば車両1の速度、加速度又は舵角等をセンサが周期的に検出したデータが含まれ得る。
【0070】
なお車載通信装置3のコア間通信及びモジュール間通信においてTCP又はUDPの通信プロトコルを使い分ける基準は、上述のCAN又はLIN等の車両1内のネットワークで用いられる通信プロトコルによる基準、及び、データに要求されるASILのレベルによる基準に限らず、どのような基準が採用されてもよい。
【0071】
<暗号化>
本実施の形態に係る車載通信装置3は、アプリケーションコア10及びリアルタイムコア20のコア間通信とコア内のモジュール間の通信とをTCP又はUDPの通信プロトコルで行うと共に、コア間の通信についてデータを暗号化して送受信し、コア内についてデータを暗号化せずに送受信してもよい。例えばリアルタイムコア20の中継処理モジュール23がアプリケーションコア10へ送信するデータを暗号化し、暗号化したデータをアプリケーションコア10の通信処理モジュール11へ送信する。暗号化されたデータを受信した通信処理モジュール11は、暗号化されたデータを復号し、復号したデータをCANマネージャモジュール12又はLINマネージャモジュール13等へ送信する。同様に、アプリケーションコア10の通信処理モジュール11がリアルタイムコア20へ送信するデータを暗号化し、暗号化したデータをリアルタイムコア20の中継処理モジュール23へ送信する。暗号化されたデータを受信した中継処理モジュール23は、暗号化されたデータを復号し、復号したデータをCAN送受信処理モジュール21又はLIN送受信処理モジュール22等へ送信する。中継処理モジュール23及び通信処理モジュール11は、例えば共通鍵を用いた暗号化及び復号を、送受信するデータに対して行う。なお車載通信装置3は、SSL(Secure Sockets Layer)又はTLS(Transport Layer Security)を使用して、データを暗号化することができる。
【0072】
なお、送受信するデータを暗号化するか否かは、例えば送受信するデータがICの外部へ信号として出力されるか否かに基づいて決定され得る。上述のようにコア間で送受信するデータを暗号化し、コア内で送受信するデータを暗号化しない構成は、アプリケーションコア10及びリアルタイムコア20がそれぞれ別のICとして車載通信装置3の回路基板に搭載されることを想定したものである。アプリケーションコア10及びリアルタイムコア20が1つのIC内に収容される構成、いわゆるマルチコアの構成の場合には、コア間で送受信するデータについても暗号化しなくてもよい。
【0073】
なお車載通信装置3において送受信するデータを暗号化するか否かを決定する基準は、ICの外部へ出力されるか否かによる基準に限らず、どのような基準が採用されてもよい。また車載通信装置3は、コア間のデータ送受信及びコア内のデータ送受信の両方について暗号化を行ってもよく、逆にコア間のデータ送受信及びコア内のデータ送受信の両方について暗号化を行わなくてもよい。
【0074】
<変形例1>
図5は、変形例1に係る車載通信装置3の構成を示すブロック図である。変形例1に係る車載通信装置3は、1つのアプリケーションコア10と2つのリアルタイムコア20a,20bとを備える構成である。変形例1に係る車載通信装置3のアプリケーションコア10は、図3に示したアプリケーションコア10と同じ構成である。
【0075】
変形例1に係る車載通信装置3の2つのリアルタイムコア20a,bは、図3に示したリアルタイムコア20の機能を2つに分割したものに相当する。即ち、第1のリアルタイムコア20aは、CAN送受信処理モジュール21及び中継処理モジュール23を備え、車両1のECU4との間でCANの通信プロトコルによるデータの送受信を行うと共に、アプリケーションコア10との間でTCP又はUDPの通信プロトコルによるデータの送受信を行う。また第2のリアルタイムコア20bは、LIN送受信処理モジュール22及び中継処理モジュール23を備え、車両1のECU4との間でLINの通信プロトコルによるデータの送受信を行うと共に、アプリケーションコア10との間でTCP又はUDPの通信プロトコルによるデータの送受信を行う。
【0076】
なお変形例1に係る車載通信装置3が有する3つのコアは、例えばそれぞれ個別のICとして搭載されてもよく、また例えば2つ又は3つのコアが1つのICとして搭載されてもよい。また変形例1に係る車載通信装置3は、CANの通信機能を有する第1のリアルタイムコア20aと、LINの通信機能を有する第2のリアルタイムコア20bとを備える構成であるが、これに限るものではなく、例えば図3に示したリアルタイムコア20と同じものを2つ備えてもよい。即ち車載通信装置3は、CANの通信機能及びLINの通信機能を有するリアルタイムコア20を2つ備えてもよい。また車載通信装置3は、3つ以上のリアルタイムコアを備えてもよい。
【0077】
<変形例2>
図6は、変形例2に係る車載通信装置3の構成を示すブロック図である。変形例2に係る車載通信装置3は、2つのアプリケーションコア10a,10bと1つのリアルタイムコア20とを備える構成である。変形例2に係る車載通信装置3のリアルタイムコア20は、図3に示したリアルタイムコア20と同じ構成である。また図6においては、2つのアプリケーションコア10a,10b内のモジュールの構成を簡略化し、通信処理モジュール11及びアプリケーションモジュール14のみを図示し、これら以外のモジュールの図示を省略している。
【0078】
変形例2に係る車載通信装置3の2つのアプリケーションコア10a,10bは、それぞれ異なる処理を行うアプリケーションプログラムを実行することにより、それぞれ異なる処理を行うアプリケーションモジュール14が設けられる。2つのアプリケーションコア10a,10bは、それぞれハードウェア構成は同じものであってよい(異なるハードウェア構成のものであってもよい)。車載通信装置3が2つのアプリケーションコア10a,10bを備えることで、複数のアプリケーションプログラムを並列に実行することが可能となる。
【0079】
なお変形例2に係る車載通信装置3が有する3つのコアは、例えばそれぞれ個別のICとして搭載されてもよく、また例えば2つ又は3つのコアが1つのICとして搭載されてもよい。また車載通信装置3は、3つ以上のアプリケーションコアを備えてもよい。また更に車載通信装置3は、複数のアプリケーションコアと複数のリアルタイムコアとを備えてもよく、この場合には例えば複数のコア間の通信を中継する処理を行う装置又はコア等を備えてもよい。
【0080】
<変形例3>
図7は、変形例3に係る車載通信システムの構成を示すブロック図である。変形例3に係る車載通信システムは、アプリケーションコア10を有する第1車載通信装置3Aと、リアルタイムコア20を有する第2車載通信装置3Bとを備える。第1車載通信装置3A及び第2車載通信装置3Bは、通信線を介して接続されている。第1車載通信装置3Aのアプリケーションコア10の通信処理モジュール11と、第2車載通信装置3Bのリアルタイムコア20の中継処理モジュール23とは、この通信線を介してTCP、IP及びイーサネット等の通信プロトコルに基づく通信を行うことができる。
【0081】
変形例3に示すように、アプリケーションコア10及びリアルタイムコア20は、1つの車載通信装置に搭載されるのではなく、複数の車載通信装置に分散して搭載されてよい。
【0082】
<まとめ>
以上の構成の本実施の形態に係る車載通信装置3は、アプリケーションコア(アプリケーション処理部)10及びリアルタイムコア(中継処理部)20を備える。アプリケーションコア10は、アプリケーションプログラムを実行するプロセッサ又はIC等である。リアルタイムコア20は、一又は複数のECU(車載装置)4との間で通信を行い、アプリケーションコア10との間で所定の通信プロトコル通信を行うことで、ECU4及びアプリケーションコア10の間のデータの送受信を中継するプロセッサ又はIC等である。アプリケーションコア10は、アプリケーションプログラムの実行に係る処理を行う複数のモジュールを有する。これら複数のモジュールは、アプリケーションコア10及びリアルタイムコア20の通信に用いられるものと同じ所定の通信プロトコルで通信を行う。このようにアプリケーションコア10の内外で通信プロトコルを統一しておくことにより、アプリケーションコア10の機能の追加又は変更等が容易化され、車載通信装置3の拡張性を向上することが期待できる。
【0083】
また本実施の形態に係る車載通信装置3は、アプリケーションコア10及びリアルタイムコア20の通信と、アプリケーションコア10内の複数のモジュール間の通信とを、TCP又はUDPの通信プロトコルで行う。TCP及びUDPの通信プロトコルは、従来広く利用されている通信プロトコルであり、信頼性の高い通信を実現することが期待できる。またTCP及びUDPの通信プロトコルは、OSI参照モデルのトランスポート層の通信プロトコルであり、共にネットワーク層の通信プロトコルであるIPの上位プロトコルであり、共存が可能である。
【0084】
また本実施の形態に係る車載通信装置3では、リアルタイムコア20は、LINの通信プロトコルで受信したデータをUDPの通信プロトコルでアプリケーションコア10へ送信し、CANの通信プロトコルで受信したデータをTCPの通信プロトコルでアプリケーションコア10へ送信する。これにより車載通信装置3は、比較的に高い信頼性を求められるデータを扱う可能性が高いCANの通信プロトコルで送受信されるデータを信頼性の高いTCPの通信プロトコルで扱うことができ、比較的に高い信頼性を求められないデータを扱う可能性が高いLINの通信プロトコルで送受信されるデータを信頼性は低いけれど高速に通信できるUDPの通信プロトコルで扱うことができる。
【0085】
また本実施の形態に係る車載通信装置3は、アプリケーションコア10及びリアルタイムコア20の間の通信と、アプリケーションコア10内のモジュール間の通信とにおいて、送受信するデータに要求されるASILに応じてTCP又はUDPの通信プロトコルのいずれかの通信プロトコルが用いられる。これにより車載通信装置3は、求められる安全性レベルが高いデータを信頼性の高いTCPの通信プロトコルで送受信し、求められる安全性レベルが低いデータをTCPと比較して信頼性は低いけれど高速に通信できるUDPの通信プロトコルで送受信することができる。
【0086】
また本実施の形態に係る車載通信装置3は、アプリケーションコア10及びリアルタイムコア20の間で送受信するデータを暗号化すると共に、アプリケーションコア10内の複数のモジュール間で送受信するデータを暗号化しない。これにより車載通信装置3は、外部から傍受し易いデータを暗号化して安全性を高めることができ、外部から傍受しにくいデータを暗号化せずに高速に送受信することが期待できる。
【0087】
なお本実施の形態においては、アプリケーションコア10及びリアルタイムコア20のコア間の通信とコア内の通信とをTCP又はUDPの通信プロトコルで行うものとしたが、これに限るものではなく、コア間の通信及びコア内の通信をTCP及びUDP以外の通信プロトコル、例えばDCCP(Datagram Congestion Control Protocol)、SCTP(Stream Control Transmission Protocol)、RSVP(Resource Reservation Protocol)、CAN又はLIN等の種々の通信プロトコルで行ってもよい。また本実施の形態においては、車載通信装置3がCAN又はLINの通信プロトコルで車両1内のECU4との通信を行う構成としたが、これに限るものではなく、CAN又はLIN以外の通信プロトコル、例えばCAN-FD(CAN with Flexible Data Rate)、FlexRay(登録商標)又はイーサネット等の種々の通信プロトコルで行ってもよい。また本実施の形態においては、アプリケーションコア10が実行するアプリケーションプログラムとして、車両1外のサーバ装置2へデータを送信する処理を行う例を示したが、これに限るものではなく、アプリケーションプログラムはどのような処理を行うものであってよい。
【0088】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0089】
<付記>
車両に搭載される車載通信装置であって、
アプリケーションプログラムを実行するアプリケーション処理部を備え、
前記アプリケーション処理部は、それぞれが前記アプリケーションプログラムの実行に係る処理を行う複数のモジュールを有し、外部との通信を所定の通信プロトコルで行い、
前記複数のモジュールは、前記所定の通信プロトコルで通信を行う、
車載通信装置。
【符号の説明】
【0090】
1 車両
2 サーバ装置
3 車載通信装置
3A 第1車載通信装置(アプリケーション処理装置)
3B 第2車載通信装置(中継処理装置)
4 ECU(車載装置)
10,10a,10b アプリケーションコア(アプリケーション処理部)
11 通信処理モジュール
12 CANマネージャモジュール
13 LINマネージャモジュール
14 アプリケーションモジュール
15 アップローダモジュール
16 CAN送受信処理モジュール
20,20a,20b リアルタイムコア(中継処理部)
21 CAN送受信処理モジュール
22 LIN送受信処理モジュール
23 中継処理モジュール
31,32 記憶部
33 無線通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7