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特開2023-131668無線通信ルータ装置及び通信経路の切換方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131668
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】無線通信ルータ装置及び通信経路の切換方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 47/762 20220101AFI20230914BHJP
   H04B 10/11 20130101ALI20230914BHJP
   G02B 6/35 20060101ALI20230914BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
H04L47/762
H04B10/11
G02B6/35
G02B26/08 E
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036558
(22)【出願日】2022-03-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】酒井 宏紀
【テーマコード(参考)】
2H141
5K030
5K102
【Fターム(参考)】
2H141MA12
2H141MA13
2H141MB23
2H141MB45
5K030GA12
5K030HA08
5K030JL03
5K030KX23
5K030LB06
5K030MB09
5K102AA27
5K102AA34
5K102AB09
5K102AL23
5K102AL25
5K102LA52
5K102MA01
5K102MA03
5K102MB20
5K102MC30
5K102PB01
5K102PH31
5K102RB02
(57)【要約】
【課題】本発明は、通信経路で発生する輻輳を自動的かつ効率的に回避することが可能な無線通信ルータ装置及び通信経路を提供する。
【解決手段】ルータ装置は、複数のレーザ光通信ルータ1を有しており、通信制御系Sとして、レーザ光通信ルータ1に鏡の反射角度が変更可能なように設けられた鏡調整機構2と、レーザ光通信ルータ1のインタフェース間の通信データ量を計測するデータ監視手段3と、データ監視手段3で計測した通信データ量が、予め設定した許容割合に達した場合に鏡調整機構2に対して互いに通信可能なように鏡5の角度を変更させる鏡角度制御手段4とを具備する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレーザ光通信ルータを有する無線通信ルータ装置であって、
前記レーザ光通信ルータに鏡の反射角度が変更可能な鏡調整機構を有しており、
通信制御系として、前記レーザ光通信ルータのインタフェース間の通信データ量を計測するデータ監視手段と、
前記データ監視手段で計測した通信データ量が、予め設定した許容割合に達した場合に前記鏡調整機構に対して互いに通信可能なように鏡の角度を変更させる鏡角度制御手段と、を具備することを特徴とする無線通信ルータ装置。
【請求項2】
前記鏡角度制御手段は、前記データ監視手段で計測した通信データ量が、予め設定した許容割合を下回った場合に前記鏡調整機構に対して互いに通信不可となるように鏡の角度を変更することを特徴とする請求項1に記載の無線通信ルータ装置。
【請求項3】
前記レーザ光通信ルータは、末端に位置する複数のエッジルータと、これらエッジルータを接続する中継ルータとからなることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の無線通信ルータ装置。
【請求項4】
前記鏡調整機構は中継ルータに設けられていることを特徴とする請求項3に記載の無線通信ルータ装置。
【請求項5】
前記レーザ光通信ルータのインタフェースはレーザ光の送受信の向きが調整可能に設けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の無線通信ルータ装置。
【請求項6】
レーザ光通信ルータを複数有する無線通信ルータ装置において、
前記レーザ光通信ルータのインタフェース間の通信データ量が、予め設定した許容割合に達した場合に、前記レーザ光通信ルータ上に設けた鏡の角度を調整することで、当該レーザ光通信ルータの間にて直接的な通信を行わせることを特徴とする通信経路の切換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信経路で発生する輻輳を自動的に回避することが可能な無線通信ルータ装置及び通信経路の切換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信に関連する技術として特許文献1,2が開示されている。
特許文献1に示される光通信端末装置では、全二重通信が2つの異なる相補モードで動作する。
具体的には、この光通信端末装置では、一方のモードにおいて、共通自由空間光経路に沿って第1の波長を有する光を送出し、第2の波長を有する光を受光するとともに、もう一方のモードにおいて、第2の波長を有する光を送出し、第1の波長を有する光を受光する。具体的構成として、この光通信端末装置では、波長に応じて異なる光経路を作り出すダイクロイック要素との間で光を方向づけるステアリングミラーを含み、また2つの波長用の、空間的に分離された発光器および検出器を含む。第1の相補的発光器/検出器の対が一方のモードで使用され、第2の対がもう一方のモードで使用される。
【0003】
特許文献2に示される光無線伝送装置では、2つの組み合わせで屋内光無線伝送システムとして構成する例が示されている。
この光無線伝送装置では、受発光部から送信される送信光がある程度の指向性を有しており、該受発光部の近傍にデータ受信部を配置した場合は、光軸合わせを行うことにより、このデータ受信部においても、自装置の受発光部に向けて送信された相手装置からの送信光を受光することができる。
また、この光無線伝送装置では、自装置のデータ供給部からのデータ信号を、相手装置の受信信号処理部に双方向で伝送することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2017-512418号公報
【特許文献2】特開2004-312390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献には、2つの経路で光通信が可能な構成が示されているが、どのような条件でこれら経路の切換を行うのかが明確でなく、動的な輻輳への対応が十分にできないという問題があった。
【0006】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、通信経路で発生する輻輳を自動的かつ効率的に回避することが可能な無線通信ルータ装置及び通信経路の切換方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第1態様は、複数のレーザ光通信ルータを有する無線通信ルータ装置であって、前記レーザ光通信ルータに鏡の反射角度が変更可能な鏡調整機構を有しており、通信制御系として、前記レーザ光通信ルータのインタフェース間の通信データ量を計測するデータ監視手段と、前記データ監視手段で計測した通信データ量が、予め設定した許容割合に達した場合に前記鏡調整機構に対して互いに通信可能なように鏡の角度を変更させる鏡角度制御手段と、を具備することを特徴とする。
【0008】
本発明の第2態様に示す通信経路の切換方法では、レーザ光通信ルータを複数有する無線通信ルータ装置において、前記レーザ光通信ルータのインタフェース間の通信データ量が、予め設定した許容割合に達した場合に、前記レーザ光通信ルータ上に設けた鏡の角度を調整することで、当該レーザ光通信ルータの間にて直接的な通信を行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の無線通信ルータ装置では、通信経路で発生する輻輳を自動的に回避することが可能となり、効率の良いデータ送信ができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る無線通信ルータ装置の最小構成を示す概略構成図である。
図2】実施形態に係る無線通信ルータ装置の概略構成図である。
図3】エッジルータの構成図である。
図4】レーザ光通信ルータ間の通信状況を示す図である。
図5】ルータRTR1に設定されたルーティングテーブルの一例である。
図6】(A)ルータRTR1に設定されたルーティングテーブル、(B)ルータRTR5に設定されたルーティングテーブルの一例である。
図7】(A)ルータRTR3に設定されたルーティングテーブル、(B)ルータRTR4に設定されたルーティングテーブルの一例である。
図8】レーザ光通信ルータ間の通信状況を示す図である。
図9】輻輳が回避された後のルータRTR5のルーティングテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る無線通信ルータ装置100の最小構成について図1を参照して説明する。
この無線通信ルータ装置100は、複数のレーザ光通信ルータ1(1A,1B)を有しており、符号1Aは中継ルータ、符号1Bはエッジルータを示している。
レーザ光通信ルータ1の中継ルータ1Aには、反射角度が変更可能な鏡5を備えた鏡調整機構2が設けられている。
【0012】
また、レーザ光通信ルータ1の通信制御系Sとしてデータ監視手段3及び鏡角度制御手段4を具備している。
データ監視手段3は、レーザ光通信ルータ1のインタフェース間の通信データ量を計測するためのデバイスである。
鏡角度制御手段4は、データ監視手段3で計測した通信データ量が、予め設定した許容割合に達した場合に鏡調整機構2に対して互いに通信可能なように鏡5の角度を変更させるためのデバイスである。
【0013】
そして、以上のように構成された本発明の無線通信ルータ装置100によれば、データ監視手段3にて、レーザ光通信ルータ1のインタフェース間の通信データ量を計測した後、鏡角度制御手段4において、データ監視手段3で計測した通信データ量が、予め設定した許容割合に達した場合に鏡調整機構2に対して互いに通信可能なように鏡5の角度を変更させるようにした。
これにより本発明の無線通信ルータ装置100では、鏡5の反射を利用したレーザ光通信ルータ1同士の直接的なデータ通信を行うことで、通常の通信経路で発生する輻輳を自動的に回避することが可能となり、効率の良いデータ送信ができる。
【0014】
(実施形態)
実施形態に係る無線通信ルータ装置101について図2図9を参照して説明する。この無線通信ルータ装置101は、図2に示すように複数のレーザ光通信ルータ11(RTR1~RTR6)を有している。
なお、レーザ光通信ルータ11において、1台のルータのみと接続されるRTRをエッジルータ、2台以上のルータと接続しているRTRを中継ルータと呼ぶ。すなわち、本例のレーザ光通信ルータ11において、RTR3,RTR4は中継ルータ、RTR1,RTR2,RTR5及びRTR6はエッジルータを示している。
また、これらRTR1~RTR6には、光送受信を行うポートとしてのインタフェース(1),(2)又は(1)~(3)がそれぞれ設けられている。
【0015】
また、レーザ光通信ルータ11の中継ルータ(RTR3及びRTR4)には、ステッピングモータ(図示略)の駆動により反射角度が変更可能な鏡15を備えた鏡調整機構12、及び光送受信を行うポートとしてのインタフェース(1)~(3)が設けられている。
なお、鏡調整機構12で駆動される鏡15は、中継ルータRTR3及びRTR4の筐体外部に設置されている。
【0016】
また、エッジルータ(RTR1,RTR2,RTR5及びRTR6)には、図3に示すように、ルーティングテーブル(図5参照)が設定されたルーティングテーブル保持部20、ルータの位置情報が記憶された外部ルータ位置情報保持部21、及び光送受信を行うポートとしてのインタフェース(1),(2)・・が設けられている。
【0017】
本実施形態で用いるルーティングテーブルの構成例を図5に示す。
このルーティングテーブルはエッジルータRTR1に設定されたルーティングテーブルの一例である。
【0018】
なお、図5のルーティングテーブルに示される「dest」、「GW」、「IF」、「cost」は、通常のIP(Internet Protocol)ネットワークで用いられている一般的なものである。
また、「dest」は宛先ルータ、「GW」はゲートウェイ(Next hopとも言われる)、「IF」はインタフェース、「cost」はコスト(メトリックとも言われる)を示している。「IF%」は本実施形態にて追加されたものであり、インタフェースの帯域の使用量を示している。
【0019】
そして、このような無線通信ルータ装置101では、例えばRTR1から見てRTR5へは、図5に示すルーティングテーブルを参照し、インタフェース1番(符号(1))を通してゲートウェイであるRTR3にパケットを送信すれば良く、RTR5へはコストが「3」、つまりルータを3台経由する必要があることがわかる。
ここで、図5に示すルーティングテーブルにおいて、RTR5宛てのIF%が80となっているのは、インタフェース1番の帯域がRTR5宛てのパケットで80%使用されていることを示している(図4参照)。
【0020】
ここで、各ルータを結ぶレーザ光のデータ転送速度は1Gb/s(Gigabytes per second)と仮定する。
そして、図4に示す帯域の状況図では、RTR1とRTR5の間の通信が、RTR3とRTR4の間の帯域1Gb/sの80%を使用しており、RTR2とRTR6の間の通信がRTR3とRTR4の間の帯域の15%を使用していることを示している。
【0021】
また、通信制御系S1としては図2に示すようなデータ監視手段13及び鏡角度制御手段14を具備している。
データ監視手段13は、レーザ光通信ルータ11のインタフェース間の通信データ量を計測するためのデバイスである。
鏡角度制御手段14は、データ監視手段13で計測した通信データ量が、予め設定した許容割合に達した場合に鏡調整機構12に対して互いに通信可能なように鏡15の角度を変更させるためのデバイスである。
また、この鏡角度制御手段14では、鏡15へレーザ光を照射させるためにインタフェース(1)~(3)の向きを変更する機能も有している。
【0022】
鏡角度制御手段14の具体的処理について説明する。
鏡角度制御手段14は、図4に示すように、RTR1とRTR5の間の通信量が非常に多く、かつ長時間継続しており、輻輳が発生しそうなことを検知した場合に、RTR5に対して、RTR4上にある鏡15の方向に未使用のレーザ光送受信インタフェース(2)を向ける動作を行わせ、かつRTR1に対して、RTR3にある鏡15の方向に未使用のレーザ光送受信インタフェース(2)を向ける動作を行わせる。
【0023】
これと同時に、鏡角度制御手段14は、RTR4上の鏡15に対して、RTR5のレーザ光送受信インタフェース(2)から照射されるレーザ光を、RTR3上の鏡15に反射させるようにその角度を自動調整する。
これと同時に、鏡角度制御手段14は、RTR3上の鏡15に対して、RTR1のレーザ光送受信インタフェース(2)から照射されるレーザ光をRTR4の鏡15に反射させるようにその角度を自動調整する。
【0024】
これにより、無線通信ルータ装置101では、「RTR5<->RTR4<->RTR3<->RTR1」のように経由していた通信を、RTR3とRTR4の各鏡15を経由することで、RTR3とRTR4の内部バッファや、CPUを用いる必要がなくなり、RTR5とRTR1とが直接接続された通信となる。
以上により上記無線通信ルータ装置101では、RTR1とRTR5の間のパケットを、RTR4, RTR3が内部的に処理する必要がなくなり、RTR3のレーザ光送受信インタフェース1とRTR4のレーザ光送受信インタフェース(1)の間の帯域を圧迫することがなくなり、輻輳の発生を回避することが可能となる。
【0025】
次に、図6図7及び図9に示すルーティングテーブル、図4及び図8に示すRTR1~RTR6の通信状況図を参照して、輻輳を回避する動作について詳細に説明する。
なお、以下の処理は、データ監視手段13及び鏡角度制御手段14により鏡15の角度調整、インタフェースの向き調整を含むRTR1~RTR6の全体の通信が制御されることで実施される。
【0026】
図4に示す通信状況において、RTR1及びRTR5のルーティングテーブルを図6(A)(B)に、RTR3及びRTR4のルーティングテーブルを図7(A)(B)にそれぞれ示す。
この図4に示す通信状況においては、RTR3とRTR4の間の帯域は95%に達しており、輻輳が起きる直前の状態となっており、以下の手順で輻輳を回避させる動作を説明する。
【0027】
〔1〕 RTR4は自身のルーティングテーブルにおいて、インタフェース(1)の通信量がRTR1向けの通信で80%、RTR2向けの通信で15%の帯域が使用されており、合計で95%に達している。
これにより、データ監視手段13及び鏡角度制御手段14にて、輻輳検知の閾値90%を一定時間超えていることを検知すると、次に通信量の多いインタフェースを探し、インタフェース(2)が帯域の80%を使用していることを検知する。
【0028】
〔2〕 RTR4は、自身の鏡15が未使用状態であることを確認し、インタフェース(1)とインタフェース(2)につながるRTR3及びRTR5にインタフェース/鏡位置座標要求を行う。このとき、RTR4は、同時に自身の鏡15の位置座標を送信する。
【0029】
〔3〕 RTR3は自身のルーティングテーブルにおいて、インタフェース(1)の通信量がRTR5向けの通信で80%、RTR6向けの通信で15%の帯域が使用されており、合計で95%に達しており、輻輳検知の閾値90%を一定時間超えていることを検知すると、次に通信量の多いインタフェースを探し、インタフェース(2)が帯域の80%を使用していることを検知する。
【0030】
〔4〕 RTR3は、自身の鏡15が未使用状態であることを確認し、インタフェース(2)につながるRTR1にインタフェース/鏡位置座標要求を行うと、同時に自身の鏡15の位置座標を送信する。このとき、RTR3は、インタフェース(1)につながるRTR4からインタフェース/鏡位置座標要求が既に来ているので、これに応答する形で自身の鏡15の位置座標を送信する。
【0031】
〔5〕 RTR5は、自身のインタフェース(2)が未使用であることを確認すると、RTR4からの位置座標要求に応じて自身のインタフェース(2)の位置座標を返す。
【0032】
〔6〕 RTR1は、自身のインタフェース(2)が未使用であることを確認すると、RTR3からの位置座標要求に応じて自身のインタフェース(2)の位置座標を返す。
以上により、RTR5はRTR4の鏡15の位置座標を、RTR4はRTR5のインタフェース(2)及びRTR3の鏡15の位置座標を、RTR3はRTR1のインタフェース(2)及びRTR4の鏡15の位置座標を、RTR1はRTR3の鏡15の位置座標をそれぞれ知ることができる。
【0033】
〔7〕 これによりRTR5は、各ルータで得られた相手の鏡15又はインタフェースの位置座標を基にして、インタフェース(2)をRTR4の鏡15に向けてレーザ光を送受信できるようにして当該インタフェース(2)を使用状態とすることができる。
同時に、RTR1はインタフェース(2)をRTR3の鏡15に向けてレーザ光を送受信できるようにしてインタフェース(2)を使用状態とし、RTR4はRTR5のインタフェース(2)からのレーザ光をRTR3の鏡15に反射するように角度を調整して鏡15を使用状態とすることができる。
【0034】
また、RTR3では、RTR1のインタフェース(2)からのレーザ光をRTR4の鏡15に反射するように角度を調整して、該鏡15を使用状態とすることができる。これにより、RTR5及びRTR1の間のレーザ光はRTR4及びRTR3の鏡15を順次経由して通信することが可能となる。
その結果、図4の通信状況は図8の状態に変化する、すなわちRTR3及びRTR4の間のレーザ光通信の帯域は15%の使用量まで低下し、輻輳が回避されたことが分かる。
【0035】
このときのRTR5のルーティングテーブルを図9示す。
RTR1への経路は、既存のRTR4を経由するコスト「3」の経路に加え、直接RTR1につながるインタフェース(2)経由のコスト「1」の経路が追加されている。複数経路がある場合はコストの低い方が使われるので、RTR5からRTR1への通信はRTR1へ直接送信される。RTR5からRTR2、RTR3、RTR4、RTR6宛てに送信されるパケットはこれまで通りRTR4経路が使用される。
【0036】
その後、RTR5及びRTR1の間の通信負荷が下がった場合には、鏡15を経由した特別経路の使用を終了する。終了に際しての手順は以下の通りである。
(a) RTR5は自身のルーティングテーブルにおいて、インタフェース(2)の通信量が輻輳解除の閾値30%が一定時間超えていることを検知すると、RTR4に対して特別経路使用終了通知を行い、自身のインタフェース(2)を未使用状態とする。
(b) RTR1は自身のルーティングテーブルにおいて、インタフェース(2)の通信量が輻輳解除の閾値30%が一定時間超えていることを検知すると、RTR3に対して特別経路使用終了通知を行い、自身のインタフェース(2)を未使用状態とする。
【0037】
(c) RTR4はRTR5から特別経路使用終了通知を受けると、RTR3へ特別経路使用終了通知を転送し、自身の鏡15を未使用状態とする。
(d) RTR3はRTR1及びRTR4から特別経路使用終了通知を受けると、自身の鏡15を未使用状態とする。
以上により上記無線通信ルータ装置101では、例えばRTR5のルーティングテーブルからはRTR1への直接経路の情報が消え、再び、RTR4経由の通信が再開される。
【0038】
そして、以上のように構成された本実施形態の無線通信ルータ装置101によれば、データ監視手段13にて、レーザ光通信ルータ11(RTR1~RTR6)のインタフェース間の通信データ量を計測した後、鏡角度制御手段14において、データ監視手段13で計測した通信データ量が、予め設定した許容割合に達した場合に鏡調整機構12に対して互いに通信可能なように鏡15の角度を変更させるようにした。
これにより本実施形態の無線通信ルータ装置101では、鏡15の反射を利用したデータ通信を行うことで、通常の通信経路で発生する輻輳を自動的に回避することが可能となり、効率の良いデータ送信ができる。
【0039】
すなわち、本実施形態の無線通信ルータ装置101では、輻輳が発生しそうな通信量になったことを検知し、輻輳を自動で回避することができる。通信量が減少した場合は自動で回避処理を解除して定常状態に戻ることで、別の箇所での輻輳発生に備えることができる。
その結果、本実施形態の無線通信ルータ装置101では、輻輳を回避するために1Gb/sのインタフェースを10Gb/sのインタフェースに増強したり、負荷の高いルータ間のネットワークケーブルを増やすことで対応する現状のネットワークにおいて、設計の見直しを行うことなく、動的な輻輳への対応が可能となる。
【0040】
なお、本実施形態に示す図2のネットワークにおいて、RTR3及びRTR4の鏡15を介さずに、RTR1及びRTR5のレーザ光送受信インタフェースの間を、ビルや壁といった遮蔽物を避けて直接レーザ光で通信することも考えられる。
本実施形態では中継ルータ(RTR3及びRTR4)に鏡15を一つしか設置していないが、複数置くこともできる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、通信経路で発生する輻輳を自動的に回避することが可能な無線通信ルータ装置及び通信経路の切換方法に関する。
【符号の説明】
【0043】
1 レーザ光通信ルータ
1A 中継ルータ
1B エッジルータ
2 鏡調整機構
3 データ監視手段
4 鏡角度制御手段
5 鏡
11 レーザ光通信ルータ
12 鏡調整機構
13 データ監視手段
14 鏡角度制御手段
15 鏡
20 ルーティングテーブル保持部
21 外部ルータ位置情報保持部
100 無線通信ルータ装置
101 無線通信ルータ装置
RTR ルータ
S 通信制御系
S1 通信制御系
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-01-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
末端に位置する複数のエッジルータと、これらエッジルータを接続する中継ルータとを各々備える複数のレーザ光通信ルータを有し、複数の前記中継ルータ間で光送受信のインタフェース用のポートを介して通信する無線通信ルータ装置であって、
複数の前記レーザ光通信ルータの中継ルータに、前記ポートに加えて、鏡の反射角度が変更可能な鏡調整機構を有しており、
通信制御系として、複数の前記レーザ光通信ルータの中継ルータ間の通信データ量を計測するデータ監視手段と、
前記データ監視手段で計測した通信データ量が、予め設定した許容割合に達した場合に前記鏡調整機構に対して複数の前記中継ルータのいずれかと他とが互いに通信可能なように鏡の角度を変更させる鏡角度制御手段と、を具備し、
複数の前記中継ルータがその筐体の外部に前記鏡を有する、
ことを特徴とする無線通信ルータ装置。
【請求項2】
前記鏡角度制御手段は、前記データ監視手段で計測した通信データ量が、予め設定した許容割合を下回った場合に前記鏡調整機構に対して互いに通信不可となるように鏡の角度を変更することを特徴とする請求項1に記載の無線通信ルータ装置。
【請求項3】
前記鏡調整機構は中継ルータに設けられていることを特徴とする請求項2に記載の無線通信ルータ装置。
【請求項4】
前記レーザ光通信ルータのインタフェースはレーザ光の送受信の向きが調整可能に設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の無線通信ルータ装置。
【請求項5】
末端に位置する複数のエッジルータと、これらエッジルータを接続する中継ルータとを各々備える複数のレーザ光通信ルータを有し、複数の前記中継ルータ間で光送受信のインタフェース用のポートを介して通信するレーザ光通信ルータを複数有する無線通信ルータ装置において、
複数の前記レーザ光通信ルータの中継ルータ間の通信データ量が、予め設定した許容割合に達した場合に、複数の前記レーザ光通信ルータの中継ルータに設けた鏡の角度を調整することで、当該中継ルータの間にて鏡と鏡とで直接的な通信を行わせ、
複数の前記中継ルータがその筐体の外部に前記鏡を有する、
ことを特徴とする通信経路の切換方法。