(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131683
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】調味装置
(51)【国際特許分類】
A23L 5/00 20160101AFI20230914BHJP
【FI】
A23L5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036579
(22)【出願日】2022-03-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1) 開催日 令和3年12月9日 集会名 WISS2021(日本ソフトウェア科学会 インタラクティブシステムとソフトウェア研究会) 動画投稿サイトユーチューブ(You Tube)にてライブ配信(動画配信URL:https://www.youtube.com/watch?v=AO9ai-PdAxc) <資 料>報告説明資料:[18]液体噴霧混合式の味ディスプレイの試作 ショート発表 <資 料>YouTube 2021年12月9日掲載・動画画面キャプチャ
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (2) ウェブ開催日 令和3年10月10日 ウェブサイト Conference UIST (User Interface Software and Technology)(URL:https://dl.acm.org/doi/10.1145/3474349.3480223) <資 料>Conference UIST(研究要旨)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (3) 開催日 令和3年11月17日から令和3年11月19日 集会名、開催場所 デジタルコンテンツEXPO2021 一般財団法人デジタルコンテンツ協会(公開URL:https://www.dcexpo.jp/exhibition/?p=290) <資 料>味覚ディスプレイ 研究紹介記事
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (4) 開催日(公開日) 令和3年11月17日(会期:令和3年11月17日~19日) 集会名、開催場所 デジタルコンテンツEXPO2021 幕張メッセ(千葉市美浜区中瀬2-1)専用ブース 一般財団法人デジタルコンテンツ協会 <資 料>開催概要及び「味覚ディスプレイ」 実演展示案内
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (5) 開催日 令和3年10月27日 集会名、開催場所 2021 61▲st▼ ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS(URL:https://www.acc-awards.com/) <資 料>TOKYO CREATIVITY AWARDS 入賞作品リスト
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (6) 放送日(公開日) 令和3年11月30日 放送番組 日本テレビ 一撃解明バラエティ ひと目でわかる!! <資 料>「日本テレビ」2021年11月30日(火)番組表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (7) ウェブ公開日 令和4年2月2日 ウェブサイト ITmediaビジネスONLiNE アイティメディア株式会社 運営(公開URL:https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2202/02/news046_2.html) <資 料>ITmediaビジネスONLiNE 掲載記事
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (8) ウェブ公開日 令和3年10月13日 ウェブサイト SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)ツイッター(Twitter)(動画配信URL:https://twitter.com/HomeiMiyashita/status/1448130937632350211)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (9) ウェブ公開日 令和3年10月25日 ウェブサイト 動画投稿サイトユーチューブ(You Tube)(動画配信URL:https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=I5Gu1WgqTTw) <資 料>YouTube 2021年10月25日掲載・動画画面キャプチャ
(71)【出願人】
【識別番号】801000027
【氏名又は名称】学校法人明治大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】宮下 芳明
【テーマコード(参考)】
4B035
【Fターム(参考)】
4B035LC01
4B035LC16
4B035LK01
4B035LP59
4B035LT20
(57)【要約】
【課題】多様な味の体験を素早くユーザに提供すること。
【解決手段】調味装置は、味の要素の少なくとも一つをユーザに認識させる物質が充填される容器と、前記物質を対象に噴霧する噴霧器との組合せを少なくとも二つと、前記噴霧器を制御する制御部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
味の要素の少なくとも一つをユーザに認識させる物質が充填される容器と、前記物質を対象に噴霧する噴霧器との組合せを少なくとも二つと、
前記噴霧器を制御する制御部と、
を備える調味装置。
【請求項2】
前記対象は、フィルム、シート、食器又は食品である、
請求項1に記載の調味装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記噴霧器により前記物質が前記対象に噴霧されるタイミングを少なくとも二つの前記噴霧器の間で異ならせるよう前記噴霧器を制御する、
請求項1又は請求項2に記載の調味装置。
【請求項4】
前記容器の少なくとも一つは、基本五味、基本五味と異なる味、香り及び刺激の少なくとも一つを前記ユーザに認識させ、前記噴霧器により噴霧され得る前記物質が充填される、
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の調味装置。
【請求項5】
少なくとも一つの前記噴霧器により噴霧された前記物質の量及びタイミングの少なくとも一つを示す噴霧データを取得して記録媒体に格納する記録部を更に備える、
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の調味装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記噴霧データにより示されている内容に従って前記噴霧器を制御する、
請求項5に記載の調味装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調味装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な味を作り出すことが可能な技術の開発が進展しており、様々な企業、メディア等から注目を集めている。このような技術として、例えば、特許文献1に開示されている食品味覚再現システムが挙げられる。
【0003】
食品味覚再現システムは、第1のコンピュータと、味覚再現装置とを具備する。第1のコンピュータは、食品の味覚を数値化した味覚データを、少なくとも一つの基本味を生じる物質を含有する味覚要素を複数組み合わせて味覚を再現するための味覚要素の構成比に関する味覚再現データに変換する。味覚再現装置は、味覚再現データに基づいて、複数の味覚要素の中から少なくとも2つを選択し、選択した味覚要素を構成比に従って組み合わせ、味覚再現物を得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
しかしながら、上述した食品味覚再現システムは、食品基材として主にゲルを混錬又は攪拌することで味を均質化した後に使用しているため、多様な味の体験を素早くユーザに提供することが困難なことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、多様な味の体験を素早くユーザに提供することが可能な調味装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、味の要素の少なくとも一つをユーザに認識させる物質が充填される容器と、前記物質を対象に噴霧する噴霧器との組合せを少なくとも二つと、前記噴霧器を制御する制御部とを備える調味装置調味装置である。
【0008】
また、上述した調味装置において、前記対象は、フィルム、シート、食器又は食品である。
【0009】
また、上述した調味装置において、前記制御部は、前記噴霧器により前記物質が前記対象に噴霧されるタイミングを少なくとも二つの前記噴霧器の間で異ならせるよう前記噴霧器を制御する。
【0010】
また、上述した調味装置において、前記容器の少なくとも一つは、基本五味、基本五味と異なる味、香り及び刺激の少なくとも一つを前記ユーザに認識させ、前記噴霧器により噴霧され得る前記物質が充填される。
【0011】
また、上述した調味装置は、少なくとも一つの前記噴霧器により噴霧された前記物質の量及びタイミングの少なくとも一つを示す噴霧データを取得して記録媒体に格納する記録部を更に備える。
【0012】
また、上述した調味装置において、前記制御部は、前記噴霧データにより示されている内容に従って前記噴霧器を制御する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、多様な味の体験を素早くユーザに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る調味装置の一例を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る調味装置の容器に充填される食塩水の濃度とユーザにより認識される塩味の強さとの関係の一例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る調味装置の容器に充填されるクエン酸の濃度とユーザにより認識される酸味の強さとの関係の一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る調味装置の容器に充填されるグルタミン酸の濃度とユーザにより認識される旨味の強さとの関係の一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る調味装置の容器に充填される塩化マグネシウムの濃度とユーザにより認識される苦味の強さとの関係の一例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る調味装置の容器に充填されるグリシンの濃度とユーザにより認識される甘味の強さとの関係の一例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る調味装置に搭載されている制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る調味装置に搭載されている制御装置のソフトウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施形態]
図1から
図8を参照しながら実施形態に係る調味装置について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る調味装置の一例を示す斜視図である。調味装置1は、
図1に示すように、容器101と、容器102と、容器103と、容器104と、容器105と、容器106と、容器107と、容器108と、容器109と、容器110と、噴霧器201と、噴霧器202と、噴霧器203と、噴霧器204と、噴霧器205と、噴霧器206と、噴霧器207と、噴霧器208と、噴霧器209と、噴霧器210と、制御装置30と、フィルム40と、ディスプレイ50とを備える。
【0016】
容器101、…及び容器105は、例えば、基本五味をユーザに認識される物質が充填される。基本五味は、塩味、酸味、旨味、苦味及び甘味である。
【0017】
ユーザに塩味を認識させる物質は、例えば、食塩水である。
図2は、本発明の実施形態に係る調味装置の容器に充填される食塩水の濃度とユーザにより認識される塩味の強さとの関係の一例を示す図である。
図2の横軸は、実際の食塩水の濃度C
saltyを表している。
図2の縦軸は、味センサにより計測された塩味の強さT
saltyを表している。
図2に示した点は、実際に味センサにより塩味の強さが計測された点を表している。味センサは、基準となる物質と比較した味の強さを示すデータを出力するセンサである。
【0018】
図2に示した食塩水の濃度と塩味の強さとの関係は、食塩水の濃度C
salty及び塩味の強さT
saltyを含む次の式(1)で表される。式(1)は、食塩水の濃度C
saltyと塩味の強さT
saltyとの関係が自然対数を使用して表されることを示している。また、式(1)は、感覚量と刺激量との関係を示すウェーバー・フェヒナーの法則に従っている。また、式(1)は、最小二乗法を使用して導出されている。式(1)の決定係数は、「R
2=1.000」である。容器101は、例えば、所望の強さの塩味をユーザに認識させる濃度の食塩水が充填される。
【0019】
【0020】
ユーザに酸味を認識させる物質は、例えば、クエン酸である。
図3は、本発明の実施形態に係る調味装置の容器に充填されるクエン酸の濃度とユーザにより認識される酸味の強さとの関係の一例を示す図である。
図3の横軸は、クエン酸の濃度を表している。
図3の縦軸は、味センサにより計測された酸味の強さを表している。
図3に示した点は、実際に味センサにより酸味の強さが計測された点を表している。
【0021】
図3に示したクエン酸の濃度と酸味の強さとの関係は、クエン酸の濃度C
acidic及び酸味の強さT
acidicを含む次の式(2)で表される。式(2)は、クエン酸の濃度C
acidicと酸味の強さT
acidicとの関係が自然対数を使用して表されることを示している。また、式(2)は、上述したウェーバー・フェヒナーの法則に従っている。また、式(2)は、最小二乗法を使用して導出されている。式(2)の決定係数は、「R
2=1.000」である。容器102は、例えば、所望の強さの酸味をユーザに認識させる濃度の食塩水が充填される。
【0022】
【0023】
ユーザに旨味を認識させる物質は、例えば、グルタミン酸である。
図4は、本発明の実施形態に係る調味装置の容器に充填されるグルタミン酸の濃度とユーザにより認識される旨味の強さとの関係の一例を示す図である。
図4の横軸は、グルタミン酸の濃度を表している。
図4の縦軸は、味センサにより計測された旨味の強さを表している。
図4に示した点は、実際に味センサにより旨味の強さが計測された点を表している。
【0024】
図4に示したグルタミン酸の濃度と酸味の強さとの関係は、グルタミン酸の濃度C
umami及び旨味の強さT
umamiを含む次の式(3)で表される。式(3)は、グルタミン酸の濃度C
umamiと酸味の強さT
umamiとの関係が自然対数を使用して表されることを示している。また、式(3)は、上述したウェーバー・フェヒナーの法則に従っている。また、式(3)は、最小二乗法を使用して導出されている。式(3)の決定係数は、「R
2=0.954」である。容器103は、例えば、所望の強さの旨味をユーザに認識させる濃度のグルタミン酸が充填される。
【0025】
【0026】
ユーザに苦味を認識させる物質は、例えば、塩化マグネシウムである。
図5は、本発明の実施形態に係る調味装置の容器に充填される塩化マグネシウムの濃度とユーザにより認識される苦味の強さとの関係の一例を示す図である。
図5の横軸は、塩化マグネシウム酸の濃度を表している。
図5の縦軸は、味センサにより計測された苦味の強さを表している。
図5に示した点は、実際に味センサにより苦味の強さが計測された点を表している。
【0027】
図5に示した塩化マグネシウムの濃度と苦味の強さとの関係は、塩化マグネシウムの濃度C
bitter及び苦味の強さT
bitterを含む次の式(4)で表される。式(4)は、塩化マグネシウムの濃度C
bitterと苦味の強さT
bitterとの関係が自然対数を使用して表されることを示している。また、式(4)は、上述したウェーバー・フェヒナーの法則に従っている。また、式(4)は、最小二乗法を使用して導出されている。式(4)の決定係数は、「R
2=0.971」である。容器104は、例えば、所望の強さの苦味をユーザに認識させる濃度の塩化マグネシウムが充填される。
【0028】
【0029】
ユーザに甘味を認識させる物質は、例えば、グリシンである。
図6は、本発明の実施形態に係る調味装置の容器に充填されるグリシンの濃度とユーザにより認識される甘味の強さとの関係の一例を示す図である。
図6の横軸は、グリシンの濃度を表している。
図6の縦軸は、味センサにより計測された甘味の強さを表している。
図6に示した点は、実際に味センサにより甘味の強さが計測された点を表している。
【0030】
図6に示したグリシンの濃度と甘味の強さとの関係は、グリシンの濃度C
sweet及び苦味の強さT
sweetを含む次の式(5)で表される。式(5)は、グリシンの濃度C
sweetと甘味の強さT
sweetとの関係が自然対数を使用して表されることを示している。また、式(5)は、上述したウェーバー・フェヒナーの法則に従っている。また、式(5)は、最小二乗法を使用して導出されている。式(5)の決定係数は、「R
2=0.889」である。容器105は、例えば、所望の強さの甘味をユーザに認識させる濃度のグリシンが充填される。
【0031】
【0032】
なお、塩味をユーザに認識させる物質として、上述した食塩水以外に、例えば、塩化カリウム水溶液が挙げられる。酸味をユーザに認識させる物質として、上述したクエン酸以外に、例えば、酒石酸水溶液が挙げられる。旨味をユーザに認識させる物質として、上述したグルタミン酸以外に、例えば、グルタミン酸ナトリウムが挙げられる。苦味をユーザに認識させる物質として、上述した塩化マグネシウム以外に、例えば、キニーネ水溶液、イソα酸水溶液が挙げられる。甘味をユーザに認識させる物質として、上述したグリシン以外に、例えば、スクロース水溶液が挙げられる。
【0033】
或いは、容器106、…及び容器110は、基本五味と異なる味又は香りのいずれか一つをユーザに認識させる物質が充填される。基本五味と異なる味は、例えば、辛味、渋味、アルコール味、脂肪味、無味である。辛味をユーザに認識させる物質は、例えば、カプサイシンポリピレングリコール溶液である。渋みをユーザに認識させる物質は、例えば、タンニン酸水溶液である。アルコール味をユーザに認識させる物質は、例えば、エタノール水溶液である。無味をユーザに認識させる物質は、例えば、精製水である。香りは、例えば、バニラの香りである。
【0034】
噴霧器201、…及び噴霧器210は、例えば、エアーコンプレッサーから圧力が加えられた空気の供給を受けて動作するエアブラシである。噴霧器201は、容器101と組み合わされており、容器101に充填されている物質を噴霧する機器である。同様に、噴霧器202、…及び噴霧器210は、それぞれ容器102、…及び容器110と組み合わされており、容器102、…及び容器110に充填されている物質を噴霧する機器である。
【0035】
また、噴霧器201、…及び噴霧器210は、噴霧する物質の量及び物質を噴霧するタイミングを適宜調整することが可能である。例えば、噴霧器201、…及び噴霧器210は、ソレノイドコイルを利用した電磁弁を備えており、電磁が制御されることにより、噴霧する物質の量及び物質を噴霧するタイミングを適宜調整することが可能である。或いは、噴霧器201、…及び噴霧器210は、噴霧を継続する時間を調整することにより、噴霧する物質の量を調整してもよい。
【0036】
また、調味装置1は、噴霧器201、…及び噴霧器210各々に搭載されている電磁弁を細かく制御することにより、容器101、…及び容器110各々に充填されている物質を噴霧するだけで混合させることも可能である。さらに、噴霧器201、…又は噴霧器210により噴霧された物質の量及び噴霧されたタイミングの少なくとも一方は、噴霧データとして記録されてもよい。
【0037】
図7は、本発明の実施形態に係る調味装置に搭載されている制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図7に示すように、調味装置1は、プロセッサ31と、主記憶装置32と、通信インターフェース33と、補助記憶装置34と、入出力装置35と、バス36とを備える。
【0038】
プロセッサ31は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、調味プログラムを読み出して実行し、調味装置1が有する各機能を実現させる。また、プロセッサ31は、調味プログラム以外のプログラムを読み出して実行し、調味装置1が有する各機能を実現させる上で必要な機能を実現させてもよい。
【0039】
主記憶装置32は、例えば、RAM(Random Access Memory)であり、プロセッサ31により読み出されて実行される調味プログラム100その他のプログラムを予め記憶している。
【0040】
通信インターフェース33は、ネットワークを介して他の機器と通信を実行するためのインターフェース回路である。また、ネットワークは、例えば、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、インターネット、イントラネットである。
【0041】
補助記憶装置34は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、ソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)、フラッシュメモリ(Flash Memory)、ROM(Read Only Memory)である。
【0042】
入出力装置35は、例えば、入出力ポート(Input/Output Port)である。入出力装置35は、例えば、入力装置、出力装置が接続されている。入力装置は、例えば、ボタン、タッチパネルディスプレイ、マウス、キーボード、音声入力に使用されるマイクであり、調味装置1の操作、調味装置1へのデータの入力に使用される。出力装置は、例えば、ディスプレイ、タッチパネルディスプレイ、スピーカであり、調味装置1がユーザに情報を提示するために使用される。
【0043】
バス36は、プロセッサ31、主記憶装置32、通信インターフェース33、補助記憶装置34及び入出力装置35を互いにデータの送受信が可能なように接続している。
【0044】
図8は、本発明の実施形態に係る調味装置に搭載されている制御装置のソフトウェア構成の一例を示す図である。
図8に示すように、制御装置30は、制御部301と、記録部302とを備える。制御部301及び記録部302は、いずれもプロセッサ31が主記憶装置32に格納されている調味プログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0045】
制御部301は、調味装置1の各部を適切なタイミングで制御する。例えば、制御部301は、噴霧器201、…及び噴霧器210を制御する。具体的には、制御部301は、噴霧器201、…及び噴霧器210各々について、噴霧する物質の量及び物質を噴霧するタイミングを制御する。また、制御部301は、上述した噴霧データを参照することが可能である場合、噴霧データにより示されている内容に従って噴霧器201、…及び噴霧器210の少なくとも一つを制御してもよい。
【0046】
また、噴霧器201は、例えば、制御部301による制御により、容器101に充填されている物質をフィルム40に噴霧する。同様に、噴霧器202、…及び噴霧器210は、それぞれ容器10、…及び容器110に充填されている物質をフィルム40に噴霧する。
【0047】
フィルム40は、送出用ロールから送り出され、噴霧器201、…及び噴霧器210の少なくとも一つにより味の要素の少なくとも一つをユーザに認識させる物質が噴霧される。そして、フィルム40は、ディスプレイ50の上を通過し、巻取用ロールに巻き取られる。送出用ロール及び巻取用ロールは、例えば、モータにより駆動される。また、送出用ロールは、ロータリーエンコーダが搭載されており、ロータリーエンコーダにより送り出したフィルム40の長さを計測可能な構成を有していてもよい。同様に、巻取用ロールは、ロータリーエンコーダが搭載されており、ロータリーエンコーダにより巻き取ったフィルム40の長さを計測可能な構成を有していてもよい。なお、フィルム40は、無味無臭であることが好ましい。なお、本明細書において、味の要素とは、例えば、甘味、酸味、塩味、苦味、旨味の基本五味と言われるもののほか、アルコール、フレーバー等の香り、炭酸飲料等の化学的刺激や、温度、舌触りなどの物理的刺激等をいう。
【0048】
ディスプレイ50は、例えば、フィルム40のうち味の要素の少なくとも一つをユーザに認識させる物質が噴霧された部分が自身の上を通過する際に、これらの物質によりユーザに認識させる味を有する料理、食品等の動画像又は静止画像を表示する。したがって、この場合、フィルム40は、ユーザがディスプレイ50に表示されている動画像又は静止画像を視認可能にするために、透明である必要があり、無色透明であることが好ましい。また、この場合、容器101、…又は容器110に充填されている物質は、ユーザがディスプレイ50に表示されている動画像又は静止画像を視認可能にするために、透明であることが好ましく、無色透明であることが更に好ましい。
【0049】
この場合、ユーザは、フィルム40のうち味の要素の少なくとも一つをユーザに認識させる物質が噴霧された部分に自身の舌を接触させることにより、ディスプレイ50に表示されている料理、食品等の味を再現した味を認識することができる。また、フィルム40は、ユーザの舌と接触した後、破棄されることが好ましい。
【0050】
記録部302は、噴霧器201、…及び噴霧器210の少なくとも一つに関して、噴霧された物質の量及び噴霧されたタイミングの少なくとも一つを示す噴霧データを取得して記録媒体に格納する。噴霧データは、例えば、噴霧器201、…又は噴霧器210から取得される。また、ここで言う記録媒体は、例えば、上述した補助記憶装置34である。噴霧データは、例えば、新たに噴霧される物質の量、タイミング等を変更し、特定の食材に味を重層的に添加することに使用され得る。
【0051】
以上、実施形態に係る調味装置1について説明した。調味装置1は、味の要素の少なくとも一つをユーザに認識させる物質が充填される容器と、物質を対象に噴霧する噴霧器との組合せを少なくとも二つを備える。そして、調味装置1は、これらの物質を対象に噴霧することにより、様々な味を作り出す。これにより、調味装置1は、味の体験を素早く作り出してユーザに提供することができる。また、調味装置1は、物質を混合する機構を必要としないため、比較的簡易な構成で味の体験を素早く作り出すことができる。
【0052】
また、上述した対象は、フィルムである。これにより、調味装置1は、容器101、…又は容器110に充填されている物質の組み合わせによる味の体験をユーザに提供することができる。
【0053】
また、調味装置1は、上述した噴霧器により物質が対象に噴霧されるタイミングを少なくとも二つの噴霧器の間で異ならせるよう噴霧器を制御する。これにより、調味装置1は、多様な味の体験を作り出してユーザに提供することができる。
【0054】
また、上述した容器の少なくとも一つは、基本五味、基本五味と異なる味、香り及び刺激の少なくとも一つをユーザに認識させ、上述した噴霧器により噴霧され得る物質が充填される。これにより、調味装置1は、これらの味や香りの組み合わせにより作り出すことが可能な味の体験をユーザに提供することができる。
【0055】
また、調味装置1は、少なくとも一つの噴霧器により噴霧された物質の量及びタイミングの少なくとも一つを示す噴霧データを取得して記録媒体に格納する記録部302を備える。これにより、調味装置1は、一度作り出した味の体験を記録することができる。
【0056】
また、調味装置1は、噴霧データにより示されている内容に従って噴霧器を制御する制御部301を備える。これにより、調味装置1は、過去に作り出した味の体験を何度でも再現することができる。
【0057】
なお、上述した実施形態では、噴霧器201、…及び噴霧器210がユーザに味の要素の少なくとも一つを認識させる物質をフィルム40に噴霧する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。味の要素の少なくとも一つを認識させる物質が噴霧される対象は、例えば、シート、食器又は食品であってもよい。また、ここで言う食品は、例えば、可食紙、クラッカー、米飯、パンである。調味装置1は、対象がシート又は食器である場合、容器101、…又は容器110に充填されている物質の組み合わせによる味の体験をユーザに提供することができる。また、調味装置1は、対象が食品である場合、容器101、…又は容器110に充填されている物質と、当該食品との組み合わせによる味の体験をユーザに提供することができる。
【0058】
調味装置1は、例えば、味の要素の少なくとも一つを認識させる物質が噴霧される対象が米飯である場合、種々の調理家電と組み合わされ、次のように使用され得る。調味装置1及び調理家電は、プロの料理人等により考案されたレシピを示すデータが事前に登録される。調味装置1は、調理家電により米飯が炒められており、一例として、米飯の温度及び湿度の少なくとも一方が所定の条件を満たした場合、噴霧器201、…及び噴霧器210の少なくとも一つから味の要素の少なくとも一つを認識させる物質を噴霧する処理を実行する。この処理は、例えば、調理家電により提供される料理の味、食感等を調整するために実行される。また、調味家電1は、調理家電と組み合わせて使用される場合、調理家電と連動することが可能であればよく、調理家電と一体の装置であってもよいし、調理家電から独立した装置であってもよい。
【0059】
また、調味装置1は、味の要素の少なくとも一つを認識させる物質が噴霧される対象が食器又は食品である場合、噴霧器201、…及び噴霧器210の下に食器又は食品を載置することが可能にするため、噴霧器201、…及び噴霧器210の位置を一定以上高くする必要がある。
【0060】
また、上述した実施形態では、調味装置1が上述した物質を混合する機構を備えていない場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。調味装置1は、上述した物質を混合する機構を備えていてもよい。
【0061】
また、調味装置1は、ある食品をベースにして別の食品の味を再現することができる。具体的には、味センサで食品Aと食品Bのそれぞれの味を数値換算し、食品Aの数値と食品Bの数値の差分をとり、その差分を補うよう調整された噴霧液を食品Aに対して噴霧すればよい。
【0062】
図8に示した調味装置1が有する機能の少なくとも一部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等の回路部(circuitry)を含むハードウェアにより実現されてもよい。或いは、
図8に示した調味装置1が有する機能の少なくとも一部は、ソフトウェアとハードウェアの協働により実現されてもよい。また、これらのハードウェアは、一つに統合されていてもよいし、複数に分かれていてもよい。
【0063】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明した。ただし、調味装置は、上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、置換、組み合わせ及び設計変更の少なくとも一つを加えることができる。
【0064】
また、上述した本発明の実施形態の効果は、一例として説明した効果である。したがって、本発明の実施形態は、上述した効果以外にも上述した実施形態の記載から当業者が認識し得る他の効果も奏し得る。
【符号の説明】
【0065】
1…調味装置、101,102,103,104,105,106,107,108,109,110…容器、201,202,203,204,205,206,207,208,209,210…噴霧器、30…制御装置、31…プロセッサ、32…主記憶装置、33…通信インターフェース、34…補助記憶装置、35…入出力装置、36…バス、301…制御部、302…記録部、40…フィルム、50…ディスプレイ