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特開2023-131694タスクスケジューリング管理システム、タスクスケジューリング管理方法およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131694
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】タスクスケジューリング管理システム、タスクスケジューリング管理方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0631 20230101AFI20230914BHJP
   G06F 9/48 20060101ALI20230914BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20230914BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
G06Q10/06 302
G06F9/48 300H
G06N20/00
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036592
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラフマワン,イレネ
(72)【発明者】
【氏名】末光 一成
(72)【発明者】
【氏名】松葉 浩也
(72)【発明者】
【氏名】山下 洋史
(72)【発明者】
【氏名】福本 耕平
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA16
3C100AA18
3C100BB03
3C100BB12
3C100BB13
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】タスクプランを作成するユーザの使い勝手を向上すること。
【解決手段】タスクスケジューリング管理システム1は、複数のタスクをスケジューリングする場合のスケジューリング条件と、複数のタスクのそれぞれの処理に要する時間を示すタスク情報と、複数のタスクの処理に使用する複数のリソースのそれぞれの処理速度を示すモデルパラメータと、複数のタスクの実行順序に関する制御パラメータとに基づいて、タスクプランを生成するタスクプラン生成部(S101)と、過去のタスクプランの実行結果である履歴データ27を学習することにより、生成されたタスクプランに関する例外的イベントの発生を予測する予測部(S102)と、生成されたタスクプランと予測された例外的イベントの発生に関する情報とを対応付けた予測結果情報を出力する出力部(S103)とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タスクスケジューリング管理システムであって、
複数のタスクをスケジューリングする場合のスケジューリング条件と、前記複数のタスクのそれぞれの処理に要する時間を示すタスク情報と、前記複数のタスクの処理に使用する複数のリソースのそれぞれの処理速度を示すモデルパラメータと、前記複数のタスクの実行順序に関する制御パラメータとに基づいて、タスクプランを生成するタスクプラン生成部と、
過去のタスクプランの実行結果である履歴データを学習することにより、前記生成されたタスクプランに関する例外的イベントの発生を予測する予測部と、
前記生成されたタスクプランと前記予測された例外的イベントの発生に関する情報とを対応付けた予測結果情報を出力する出力部と
を備える
タスクスケジューリング管理システム。
【請求項2】
前記予測部は、さらに、前記予測された例外的イベントが前記生成されたタスクプランの実行に与える影響を予測し、
前記予測された例外的イベントの発生に関する情報には、少なくとも前記予測された影響が含まれている
請求項1に記載のタスクスケジューリング管理システム。
【請求項3】
前記タスクプラン生成部は、前記予測結果情報に基づいてタスクプランの再生成が要求されると、前記制御パラメータを変更することによりタスクプランを再生成し、
前記予測部は、前記再生成されたタスクプランに関する例外的イベントの発生を予測し、
前記出力部は、前記再生成されたタスクプランと前記再生成されたタスクプランに関して予測された前記例外的イベントの発生に関する情報とを対応付けた予測結果情報を出力する
請求項2に記載のタスクスケジューリング管理システム。
【請求項4】
前記生成されたタスクプランまたは一つ以上の前記再生成されたタスクプランの中から一つ選択されたタスクプランの実行結果を前記履歴データとして保存する
請求項3に記載のタスクスケジューリング管理システム。
【請求項5】
前記履歴データを分析することにより前記モデルパラメータを更新するモデルパラメータ更新部をさらに備える
請求項4に記載のタスクスケジューリング管理システム。
【請求項6】
前記タスクとは生産工程であり、
前記タスクプランとは生産計画である
請求項1に記載のタスクスケジューリング管理システム。
【請求項7】
前記タスクとは、プロジェクトの進捗工程であり、
前記タスクプランとはプロジェクトの開発計画である
請求項1に記載のタスクスケジューリング管理システム。
【請求項8】
計算機を用いてタスクのスケジューリングを管理する方法であって、
前記計算機に、
複数のタスクをスケジューリングする場合のスケジューリング条件と、前記複数のタスクのそれぞれの処理に要する時間を示すタスク情報と、前記複数のタスクの処理に使用する複数のリソースのそれぞれの処理速度を示すモデルパラメータと、前記複数のタスクの実行順序に関する制御パラメータとに基づいて、タスクプランを生成するタスクプラン生成ステップと、
過去のタスクプランの実行結果である履歴データを学習することにより、前記生成されたタスクプランに関する例外的イベントの発生を予測する予測ステップと、
前記生成されたタスクプランと前記予測された例外的イベントの発生に関する情報とを対応付けた予測結果情報を出力する出力ステップと
を実行させる
タスクスケジューリング管理方法。
【請求項9】
前記予測ステップは、さらに、前記予測された例外的イベントが前記生成されたタスクプランの実行に与える影響を予測し、
前記予測された例外的イベントの発生に関する情報には、少なくとも前記予測された影響が含まれている
請求項8に記載のタスクスケジューリング管理方法。
【請求項10】
前記タスクプラン生成ステップは、前記予測結果情報に基づいてタスクプランの再生成が要求されると、前記制御パラメータを変更することによりタスクプランを再生成し、
前記予測ステップは、前記再生成されたタスクプランに関する例外的イベントの発生を予測し、
前記出力ステップは、前記再生成されたタスクプランと前記再生成されたタスクプランに関して予測された前記例外的イベントの発生に関する情報とを対応付けた予測結果情報を出力する
請求項9に記載のタスクスケジューリング管理方法。
【請求項11】
前記計算機に、
前記生成されたタスクプランまたは一つ以上の前記再生成されたタスクプランの中から一つ選択されたタスクプランの実行結果を前記履歴データとして保存する保存ステップを実行させる
請求項10に記載のタスクスケジューリング管理方法。
【請求項12】
計算機をタスクスケジューリング管理システムとして機能させるコンピュータプログラムであって、
複数のタスクをスケジューリングする場合のスケジューリング条件と、前記複数のタスクのそれぞれの処理に要する時間を示すタスク情報と、前記複数のタスクの処理に使用する複数のリソースのそれぞれの処理速度を示すモデルパラメータと、前記複数のタスクの実行順序に関する制御パラメータとに基づいて、タスクプランを生成するタスクプラン生成部と、
過去のタスクプランの実行結果である履歴データを学習することにより、前記生成されたタスクプランに関する例外的イベントの発生を予測する予測部と、
前記生成されたタスクプランと前記予測された例外的イベントの発生に関する情報とを対応付けた予測結果情報を出力する出力部と
を前記計算機上に実現させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タスクスケジューリング管理システム、タスクスケジューリング管理方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
高い運用効率を維持するためには、稼働率を向上させ、計画と現実のギャップを少なくして運用することが重要である。タスクプランは、このような現実とのギャップを減らすために、例外的イベント(予期せぬイベント)による妨害に対してロバストでなければならない。
【0003】
ロバストなタスクプランを実現する一つの方法として,例外的イベントによる外乱を吸収するための安全マージン(例:追加時間)を設定することが考えられる。しかし、例外的イベントの発生による外乱効果の可能性とその大きさとを正確に見積もることは容易ではないため、適切な安全マージンを設定するのは難しい。
【0004】
先行技術(特許文献1-3)では、過去のニュース情報から想定外の事象(地震、天候、政治的事象など)を抽出し、製品の出荷時期やコスト変動のリスクを取り込み、これらのリスクを回避するように計画を更新することで、ロバストなSCM(Supply Chain Management)の運用計画を立てる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第10146214号明細書
【特許文献2】米国特許第8655742号明細書
【特許文献3】米国特許第7668743号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先行技術では、マスターパラメータなどのスケジュール設定が不正確であるため、生成されたスケジュールが実際の状況と異なる可能性があることを想定していない。したがって、これらの先行技術は、一時的な問題を回避することはできても、計画の精度や効率を継続的に向上させることはできない。一般に、過去の運用データに基づいてマスターパラメータを更新する場合、異常値を除外する必要がある。しかし、過去の運用データから異常値を除外するには、多大な作業が必要である。先行技術では運用データからの異常値の除外を考慮していないため、マスターパラメータ更新のたびに、人手での外れ値除外作業が必要となる。そのため、実際の限られた作業工数の中で、マスターパラメータを更新し、スケジュール設定を常に正確に保つことができない。
【0007】
本発明の目的は、タスクプランを作成するユーザの使い勝手を向上できるようにしたタスクスケジューリング管理システム、タスクスケジューリング管理方法およびコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、本発明に従うタスクスケジューリング管理システムは、複数のタスクをスケジューリングする場合のスケジューリング条件と、複数のタスクのそれぞれの処理に要する時間を示すタスク情報と、複数のタスクの処理に使用する複数のリソースのそれぞれの処理速度を示すモデルパラメータと、複数のタスクの実行順序に関する制御パラメータとに基づいて、タスクプランを生成するタスクプラン生成部と、過去のタスクプランの実行結果である履歴データを学習することにより、生成されたタスクプランに関する例外的イベントの発生を予測する予測部と、生成されたタスクプランと予測された例外的イベントの発生に関する情報とを対応付けた予測結果情報を出力する出力部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、生成されたタスクプランと予測された例外的イベントの発生に関する情報とを対応付けた予測結果情報を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、タスクスケジューリング管理システムの機能構成図である。
図2図2は、タスクスケジューリング管理処理を示すフローチャートである。
図3図3は、タスクスケジューリング管理システムを実現するコンピュータシステムである。
図4図4は、スケジューリング条件の例である。
図5図5は、タスク情報の例である。
図6図6は、制御パラメータの例である。
図7図7は、モデルパラメータの例である。
図8図8は、予測結果の例である。
図9図9は、タスクプランの例である。
図10図10は、履歴データの例である。
図11図11は、更新されたモデルパラメータの例である。
図12図12は、ユーザに提供される要約ツールの画面例である。
図13図13は、パラメータをアップデートする画面の例である。
図14図14は、実施例2に係るタスクスケジューリング管理システムの機能構成図である。
図15図15は、タスクスケジューリング管理処理のフローチャートである。
図16図16は、実施例3に係るタスクスケジューリング管理システムの機能構成図である。
図17図17は、タスクスケジューリング管理処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。本実施形態では、過去のタスクプランが実行された履歴データを用いて学習することにより、予定外のイベントである例外的イベントの発生を事前に予測し、この予測結果に基づいてロバストなタスクプランを生成する。ロバストなタスクプランは、例外的イベントが発生しても、その例外的イベントによる影響が少ない。したがって、本実施形態においてロバストなタスクプランが実行されると、外れ値(異常値とも呼ぶ。)の少ない履歴データが得られる。
【0012】
本実施形態では、異常値の少ない履歴データ、すなわちクリーンな履歴データに基づいて、タスクプランを生成するために使用されるパラメータを継続的に改善することができる。したがって、本実施形態のタスクスケジューリング管理技術を使用することにより、ロバストなタスクプランを作成でき、タスクプランを継続的に安定して運用するためのパラメータ更新に要する手間も軽減できる。すなわち、本実施形態によれば、ロバストなタスクプランを作成するコストと、タスクのスケジューリング精度を向上させるための運用コストとを低減することができ、ユーザにとっての使い勝手が向上する。
【0013】
本実施形態では、上述の通り、例外的イベント(予期せぬイベントとも呼ぶ。)により生じる異常値に着目する。本実施形態では、例外的イベントを予測し、事前にロバストなタスクスケジューリングを行う。これにより本実施形態では、外乱を回避し、外乱に起因する異常値を低減できる。
【0014】
本実施形態のタスクスケジューリング管理システムは、「予測型管理システム」として構成される。タスクスケジューリング管理システムは、例外的イベントをエミュレートする構成と、例外的イベントによって引き起こされる外乱の影響を既存のタスクプランにシミュレートする構成とを含む(例えば、生存率分析と期間サンプリング)。
【0015】
本実施形態のタスクスケジューリング管理システム1は、以下の構成を含む。
(1)例外的イベントエミュレータ(S102)は、例外的イベントがいつ起こり、どのくらい続くのかを予測するように訓練されている。
(2)生成されたタスクプラン(S101)のリスクは、例外的イベントのエミュレータ(S102)を使って評価される(例えば、デッドライン違反の確率)。
(3)例外的イベント(想定外のイベント)に対してタスクプランが十分に堅牢でない場合、ユーザに対してタスクプランの再生成(再計画)が提案される(S103)。ユーザにより承認されたタスクプラン、または所定の閾値を満たすタスクプランは実行される(S104)。
(4)実行されたタスクプランでは、例外的イベントによる異常値の少ない履歴データを得ることができる。その履歴データは、パラメータ(23,24)の改善などのためにデータベース27に蓄積される。
本発明は、タスクプラン管理システム、タスクプラン管理方法およびコンピュータプログラムであるとも言える。
【実施例0016】
図1図13を用いて、実施例1に係るタスクスケジューリング管理システム1を説明する。以下に述べる実施例の説明は例示であって、説明された例に限定されない。
【0017】
図1は、タスクスケジューリング管理システム1の機能構成図である。タスクスケジューリング管理システム1は、例えば、タスクプランナ(S101)、例外的イベントエミュレータ(S102)、結果ビジュアライザ(S103)、およびタスク実行(S104)を含む。各機能S101,S102,S103は、プロアクティブプランニングコンポーネント100を構成する。後述の実施例では、プロアクティブプランニングコンポーネント100に新たな機能が追加される。タスクスケジューリング管理システム1は、後述の通り、コンピュータシステムとして実現される。
【0018】
タスクプランナ(S101)は、「タスクプラン生成部」または「タスクプラン生成ステップ」の例である。タスクプランナ(S101)は、スケジューリング条件21と、タスク情報22と、制御パラメータ23およびモデルパラメータ24とから、タスクプラン26を生成する。一般に、タスクプランは、安全マージンなどのパラメータ設定が正確ではないため、そのタスクプランを現実に実行すると例外的イベントが発生しやすい。この場合、タスクの処理に支障をきたし、タスクに関連する要求、約束、目的を達成できなくなることがある.
【0019】
例外的イベントによる妨害によってリスクが高くなる状況を回避するために、例外的イベントエミュレータ(S102)が使用される。例外的イベントエミュレータ(S102)は、例外的イベントに対するタスクプラン26のリスクを評価する。例外的イベントエミュレータ(S102)は、タスクプラン26と履歴データ27とに基づいて、過去のイベントの発生頻度などの履歴情報を受け取る。
【0020】
例外的イベントエミュレータ(S102)による予測結果は、結果ビジュアライザ(S103)を介してユーザに与えられる。結果ビジュアライザ(S103)は、「出力部」の例である。結果ビジュアライザ(S103)は、例外的イベントエミュレータ(S102)から受領したタスクプラン26および予測結果25をディスプレイ17に表示する画面を通じてユーザへ提供する。
【0021】
例外的イベントの発生が予測されたタスクプランは、ユーザにより承認されて実行される(S104)。このタスクプランは、想定外のイベントである例外的イベントによる妨害を回避できるため、タスクプランナ(S101)で生成された最初のタスクプランよりもロバスト性が高い。このロバストなタスクプランが実行されると、履歴データ27はデータベースに記憶される。履歴データ27は、例外的イベントエミュレータ(S102)に使用される。さらに、後述のように、履歴データ27は、マスターパラメータの更新にも使用される(図14のステップS105参照)。このようにして、本実施形態のタスクスケジューリング管理システム1では、例外的イベントによる影響に強いタスクプランを作成することができる。
【0022】
図2は、タスクスケジューリング管理処理を示すフローチャートである。本処理は、トリガが入力されると開始する(S201)。トリガは、タスクスケジューリング管理システム1を利用するユーザが手動で入力してもよいし、または、図外のコンピュータシステムから自動的に入力されてもよい。
【0023】
タスクスケジューリング管理システム1(以下、管理システム1と呼ぶことがある。)は、スケジューリング条件21およびタスク情報22などのタスクプランの生成に必要なデータセットを読み込む(S202)。
【0024】
管理システム1は、データベースから制御パラメータ23およびモデルパラメータ24を取得する(S203)。管理システム1は、タスクプランナ(S101)により、タスクプラン26を生成させる(S204)。
【0025】
タスクプランナは、スケジューリング条件21、タスク情報22、制御パラメータ23およびモデルパラメータ24からタスクプラン26を生成する。ステップS204では、タスクプランナ(S101)に、与えられたタスク情報22についてのスケジュールを作成する方法を実行させる。
【0026】
スケジュール作成方法の例を説明する。例えば、ユーザが一つずつ選択するタスクの順番から、スケジュール(タスクプラン)を作成することができる。または、例えば、最短ジョブ優先スケジューリングなどの計算アルゴリズムを用いることにより、タスクプランを自動的にまたは半自動的に作成することもできる。または、例えば、表計算ソフトウェアに搭載されているソルバーなどの機能を利用することにより、タスクプランを生成することができる。
【0027】
管理システム1は、履歴データ27を読み込み(S205)、例外的イベントエミュレータ(S102)に対応する例外的イベントをエミュレートするように、モデルを訓練させる(S206)。例外的イベントエミュレータ(S102)は、タスクプラン26と履歴データ27を受け取る。履歴データ27は、例えば、イベント頻度、イベントカテゴリ、イベントタイプ、イベント重大度などを含むことができる。
【0028】
ステップS206では、タスクプラン26についてのリスクを推定するリスク推定モデルを学習する。リスクとは、例えば、現在の状態(総タスク、生産量など)のタスク関連の要求、約束、目的(遅延、期限違反、注文など)のいずれかを満たすことができない場合などである。
【0029】
例外的イベントによる外乱に起因するリスクを推定するために、例えば、統計的モデリング手法を用いてもよい。過去のデータから特徴的な条件を学習して、例外的イベントの発生確率およびその影響を一般化した推定モデルを作成してもよい。
【0030】
管理システム1は、ステップS206で推定されたイベントリスクを用いて、タスクプランに対する外乱効果を算出する(S207)。管理システム1は、算出された外乱効果を予測結果25として出力する。外乱効果は、例えば、モンテカルロサンプリングを用いたシミュレータを用いて算出することができる。
【0031】
管理システム1は、結果ビジュアライザ(S103)を呼び出し、例えばタスクプラン26や予測結果25を予測結果情報としてディスプレイ17に表示させて、ユーザへ提供する。ユーザは、結果ビジュアライザ(S103)から提供された予測結果情報を確認することにより、タスクプラン26について予測されるリスクを、タスクプラン26の実行前に回避することができる。ユーザは、例えば、タスクプランの立て直し、タスクの優先度の変更、安全マージンの追加または変更を行うことにより、リスクを回避することができる。安全マージンの追加は、例えば、予測確率の結果を考慮して算出できる。
【0032】
管理システム1は、結果ビジュアライザ(S103)を介して、タスクプランの再作成に必要な情報の入力をユーザに求める(S209)。ユーザがタスクプランの再作成を要求する場合(S209:Y)、管理システム1は新たなタスクプランを作成し(S204)、上述したステップS205,S206,S207,S208が再び実行される。
【0033】
タスクプランの再作成が必要ではない場合(S209:N)、管理システム1は、ステップS204で作成されたタスクプラン26を実行させる(S210)。ステップS210は、ロバストなタスクプランが実行されるプロセスを示し、図1中のタスク実行(S104)に対応する。タスク実行(S104)は、タスクの実行を生産現場などに直接指示してもよいし、顧客タスク管理システム30へ指示してもよい。
【0034】
ステップS204で作成されたタスクプランは、例外的イベントによる外乱を回避することができるため、最初に作成されたタスクプランよりもロバスト性が高いと期待することができる。
【0035】
ステップS210におけるタスク実行は、例えば、製造工程の実行、プロジェクト全体のサブタスクの完了などがある。例えば、管理システム1が家電製品、自動車、建設機械、プラント設備、電力設備、合成樹脂、塗料、化学肥料、農薬、薬品、建設材料などの各種製品の生産に使用される場合、ステップS210では、それら製品を生産するために必要な各工程が実行される。管理システム1が、コンピュータプログラム、コンピュータシステム、ストレージシステム、建築設計などの各種プロジェクトに使用される場合、ステップS210では、それらプロジェクトを構成する各サブタスクが実行される。
【0036】
履歴データ27には、タスクプランの実行内容が記録される。管理システム1は、タスクプラン26の実行結果を履歴データ27として記憶させ(S211)、本処理を終了させる(S212)。本実施例ではロバストなタスクプランを作成して実行させるため、タスクプランから外れた処理の発生を抑制できる。したがって、本実施例では、異常値の少ない実行結果を得ることができ、履歴データ27に記憶して保存することができる。この履歴データ27は、最初のタスクプランを実行していたら得られなかったであろうクリーンな履歴データである。
【0037】
異常値の少ない履歴データ27は、例外的イベントエミュレータの学習処理のフィードバックとして用いられる。学習には、ステップS206で述べたように、過去のイベント分布などの過去のデータから例外的イベントエミュレータのモデルを作る学習処理が含まれていてもよい。
【0038】
図3を参照して、管理システム1を実現するコンピュータシステム10の例である。コンピュータシステム10は、例えば、プロセッサ11、メモリ12、コマンダ13、入出力装置(図中、I/O)14、通信インターフェース15を備え、これら回路はバス16により相互に接続されている。コンピュータシステム10は、ストレージデバイス20に接続されている。
【0039】
プロセッサ11は、管理システム1の全体を制御する。ストレージ装置20は、スケジューリング条件21、タスク情報22、制御パラメータ23、モデルパラメータ24、予測結果25、タスクプラン26、履歴データ27、更新されたモデルパラメータ28などのデータを記憶する。ストレージ装置20は、コンピュータシステム10内に設けられてもよいし、ファイルサーバのようにコンピュータシステム10と通信ネットワークを介して接続されてもよい。
【0040】
メモリ12は、例えば、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access-Memory)、補助記憶装置などを含む。メモリ12には、タスクプランナ(S101)、例外的イベントエミュレータ(S102)、結果ビジュアライザ(S103)、タスク実行(S104)、モデルパラメータ推定(S105)などの各機能を実現させるコンピュータプログラムが記憶されている。後述する実施例で登場する新たな機能を実現するためのコンピュータプログラムも、メモリ12に記憶される(図示省略)。メモリ12に記憶された各コンピュータプログラムをプロセッサ11が読み込んで実行することにより、前記各機能が実現される。
【0041】
コマンダ13は、コンピュータシステム10と顧客のタスク管理システム30とを接続する。コンピュータシステム10で実現する管理システム1により作成されたタスクプランを顧客のタスク管理システム30へ送信することができる。または、顧客のタスク管理システム30から入力されるタスクプランを、コンピュータシステム10が実現する管理システム1により修正することもできる。
【0042】
コンピュータシステム10は、入出力装置14を介してユーザインターフェース装置(図中、UI)40に接続される。ユーザインターフェース装置40は、ユーザと管理システム1との間で情報をやり取りするための装置であり、情報入力装置と情報出力装置(いずれも図示せず)を含む。
【0043】
情報入力装置には、例えば、キーボード、マウス、ポインティングデバイス、タッチパネル、テンキー、スキャナ、カメラ、マイクロフォン、センサなどがある。情報出力装置には、例えば、モニタディスプレイ、プリンタ、音声合成装置などがある。情報の入力と情報の出力とを同時に実行するタッチパネルのようなデバイスもある。
【0044】
ユーザインターフェース装置40は、ユーザが身につけるウェアラブルデバイスでもよい。例えば、ユーザは、ゴーグル型端末に表示された画面を通じてタスクプランなどを視認できる。ユーザは、ジェスチャーや視線の動き、現実空間に投影された仮想キーボードへの入力などを介して、タスクプランを再作成する場合の情報を管理システム1へ入力することもできる。ユーザは、仮想空間内で管理システム1と情報を交換してもよい。
【0045】
ユーザインターフェース装置40は、入出力装置14に接続されてもよいし、通信インターフェース15に接続されてもよい。入出力装置14に接続されるユーザインターフェース装置40と、通信インターフェース15に接続されるユーザインターフェース装置(不図示)の両方を管理システム1は備えてもよい。
【0046】
コンピュータシステム10は、一つの計算機上に設けられてもよい。複数の計算機を双方向通信可能に接続し、それら複数の計算機を連携させることでコンピュータシステム10を実現してもよい。コンピュータシステム10が実装される計算機は、物理計算機または仮想計算機のいずれでもよい。
【0047】
記憶媒体50は、例えば、フラッシュメモリデバイス、ハードディスクドライブ、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープなどの記憶媒体である。記憶媒体50は、計算機が読み取り可能であって、データおよびコンピュータプログラムを非一時的に記憶することができる記憶媒体である。記憶媒体50からメモリ12へにタスクプランナ(S101)、例外的イベントエミュレータ(S102)、結果ビジュアライザ(S103)、タスク実行(S104)、モデルパラメータ推定(S105)などのコンピュータプログラムを転送することができる。逆に、メモリ12から記憶媒体50へそれらコンピュータプログラムS101~S105などのコンピュータプログラムを転送させることもできる。
【0048】
図4は、スケジューリング条件21のデータ構造の一例を示す。スケジューリング条件21のデータ構造には、条件の種類211とその詳細212が含まれてもよい。
【0049】
条件の種類211は、例えば、タスクプランの目的、タスクプランの制約などの種類が記述される。タスクプランの目的は複数用意することができる。タスクプランの制約も複数用意することができる。詳細212には、条件211の詳細が記述される。詳細212には、例えば、「合計処理時間の最小化」、「スループットの最大化」、「○○以上」などの情報が記述される。ユーザは、スケジューリング条件21の一部または全部を指定することができる。
【0050】
図5は、タスク情報22のデータ構造の一例を示す。タスク情報22のデータ構造は、例えば、タスクの識別子(図中、ID)221と、タスクの詳細情報222を含むことができる。タスクの識別子221は、管理システム1内において各タスクを一意に特定する情報である。詳細情報222は、例えば、タスクを完了するための作業量(または作業時間)などを含んでもよい。ユーザは、タスク情報22の一部または全部を指定することができる。
【0051】
図6は、制御パラメータ23のデータ構造の一例を示す。制御パラメータ23のデータ構造は、例えば、タスクの識別子231と、制御パラメータの基準232とを含むことができる。タスクの識別子231は、図5で述べたタスクの識別子221と同様である。以下、図ごとにタスクの識別子に付与される番号は異なるが、その内容は同一であるため、説明を省略する。
【0052】
制御パラメータの基準232は、例えばタスクの優先度である。制御パラメータは、タスクのスケジューリングに関連する情報であり、例えば、処理の優先順位などの制約を持つ。制御パラメータは、図16で後述する再計画設定探索部(S106)において、その役割が説明される。
【0053】
図7は、モデルパラメータ24のデータ構造の一例を示す。モデルパラメータ24のデータ構造は、例えば、リソースの識別子241と、一つ以上の基準242,243を含むことができる。リソース識別子241は、管理システム1内においてリソースを一意に特定する情報である。リソースは、タスクプランの実行に際して使用される資源であり、例えば人的資源、機械的資源、演算資源、メモリ資源などである。管理システム1が生産プラントなどに適用される場合、リソースには作業者(WK)および機械(MC)などが含まれる。
【0054】
基準242,243は、処理速度、容量、品質などのリソースの基準を示す。図7では例えば、処理速度242や容量243を基準として示す。モデルパラメータは、タスクプランを作成するために使用されるパラメータである。例えば、モデルパラメータは、処理時間や品質の基準を含んでいてもよい。モデルパラメータは、後述のように、正確なタスクプランの作成に貢献する。
【0055】
図8は、予測結果25のデータ構造の一例を示す。予測結果25のデータ構造は、例えば、日付251、タスク識別子252、シーケンス253、期間254、確率255などを含むことができる。シーケンス253は、タスクの実行順序を示す。期間254は、タスクの実行に要する時間を示す。確率255は、予測値の確率である。確率255は、「99%」などの定量的数値でもよいし、「高い」などの定性的な値でもよいし、確率を分類するカテゴリの情報などでもよい。
【0056】
図9は、タスクプラン26のデータ構造の一例を示す。タスクプラン26のデータ構造は、例えば、日付261、タスク識別子262、シーケンス263、期間264を含むことができる。タスクプラン26は、実際の状況でタスクを実行するために使用されるプランである。タスクプラン26は、例外的イベントエミュレータ(S102)により、最初のタスクプランについての例外的イベントのリスクを考慮して生成されたロバストなプランである。
【0057】
図10は、履歴データ27のデータ構造の一例を示す。履歴データ27のデータ構造は、例えば、日付271、タスク識別子272、期間273、イベント識別子274、イベント効果の詳細275を含むことができる。
【0058】
履歴データ27には、タスクプラン26の実行内容が記録されている。履歴データ27は、タスク実行中の各イベントを記録してもよい。イベントとしては、製造業の場合、例えばラインの停止、機械の故障、作業員の遅刻または欠勤などがあり得る。履歴データ27は、例外的イベントによるリスクが抑制されたクリーンなデータである。本実施例では、このクリーンな履歴データ27を用いて、例外的イベントエミュレータを学習する(S102)。その学習には、過去のイベント分布などの過去のデータから、例外的イベントエミュレータ(S102)のモデルを作る学習処理が含まれてもよい。この履歴データ27は、後述のように、モデルパラメータ推定(S105)によるマスターパラメータの更新に用いることができる。
【0059】
図11は、図14に示す更新されたモデルパラメータ28のデータ構造の一例を示す。更新されたモデルパラメータ28のデータ構造は、例えば、リソース識別子281と、更新された処理能力値282とを含むことができる。処理能力値282は、例えば、処理速度などである。更新されたモデルパラメータ28には、モデルパラメータ推定(S105)の結果として、どのパラメータを更新できるかの情報が含まれる。
【0060】
図12は、結果ビジュアライザ(S103)がユーザへ提供する要約ツールのGUIの一例である。このGUIには、予測したリスクの結果を定量的に示すことができる。1つまたは複数のインタラクティブなパラメータ設定ビューをディスプレイ上に提示する機能を有する。GUIは、制御パラメータ設定のためのユーザ入力を受け付ける機能を含む。GUIは、1つまたは複数のタスクプランをユーザに提示する機能を有する。一例として、GUIには、定量的リスクスコア、定性的リスクスコア、カテゴリー的リスクスコアなどの予測リスク値を表示することができる。さらに、GUIには、ロバストなタスクプランのための優先度や安全マージンなどの制御パラメータを表示することもできる。GUIは、ユーザの入力操作を容易にし、再計画を立てるための機能も提供する。
【0061】
図12のGUIでは、例えば、今日、明日、明後日の複数の日について、タスクプランの予測された進捗状況と目標値と予測されたリスクとを表示させることができる。ユーザは、今日の予測結果だけでなく、明日や明後日の予測結果の動向も考慮して、タスクプランを再作成するか否かを判断できる。タスクプランの再作成を希望する場合、ユーザは、「リプラン」ボタンを操作する。タスクプランの再作成を希望しない場合、ユーザは、「フィニッシュ」ボタンを操作する。
【0062】
図13は、パラメータ更新のGUIの例を示す。図13のGUIは、モデルパラメータ推定(S105)の実行後に、ユーザへパラメータ更新の結果を提示する。
【0063】
パラメータ更新をユーザへ提供するGUIは、ディスプレイ17上に1つ以上のインタラクティブなパラメータ構成ビューを提示する機能を有する。これらの機能は、前記1つまたは複数のインタラクティブなエンティティ構成ビューに対するユーザの入力を受け取る。パラメータ更新のインタラクティブボタンは、更新されたモデルパラメータ28に基づいて、マスターパラメータであるモデルパラメータ24を更新させる。
【0064】
図13の例では、指定された日付の指定されたタスクについて、リソース識別子、パラメータの種類、現在の設定値、推薦された設定値が表示される。パラメータの種類には、例えばサイクルタイム(図中、CT)などが含まれる。ユーザは、現在の設定値を希望する場合、図13左下のボタンを操作する。ユーザは、現在の設定値の更新を希望する場合、図13右下のボタンを操作する。
【0065】
このように構成される本実施例によれば、例外的イベントエミュレータ(S102)のモデルを履歴データを用いて学習させることにより、例外的イベントの発生を事前に予測し、予測結果に基づいてロバストなタスクプランを生成することができる。本実施例によれば、ロバストなタスクプランの実行結果である履歴データ27は、異常値のデータが少ないクリーンなデータとなる。
【0066】
本実施例によれば、異常値の少ない履歴データに基づいて、タスクプランの生成に使用されるパラメータを継続的に改善できる。したがって、本実施例の管理システム1によれば、ロバストなタスクプランを作成でき、タスクプランを継続的に安定して運用するためのパラメータ更新に要する手間も軽減でき、タスクプランの生成および運用に要するコストを低減でき、ユーザにとっての使い勝手が向上する。
【実施例0067】
図14および図15を用いて実施例2を説明する。以下の各実施例では、実施例1との相違を中心に説明する。
【0068】
図14は、タスクスケジューリング管理システム1Aの機能構成図である。管理システム1Aは、プロアクティブプランニングコンポーネント100と、パラメータ更新部101を含む。プロアクティブプランニングコンポーネント100は、タスクプランナ(S101)、例外的イベントエミュレータ(S102)、結果ビジュアライザ(S103)を含む。パラメータ更新部101は、モデルパラメータ推定(S105)と、タスク実行(S104)を含む。モデルパラメータ推定(S105)は、モデルパラメータ推定部(S105)と呼ぶこともできる。
【0069】
モデルパラメータ推定部(S105)は、異常値の少ない履歴データ27の現在の状態に基づいて、正確なモデルパラメータを推定し、更新されたモデルパラメータ28を出力する。更新されたモデルパラメータ28により、マスターパラメータであるモデルパラメータ24が修正され、修正されたマスターパラメータに基づいてロバストなタスクプランが生成される。本実施例の管理システム1Aは、ロバストなタスクプランの生成とモデルパラメータの推定とにより、タスクプランを継続的に改善し続けることができる。
【0070】
図15は、タスクスケジューリング管理処理のフローチャートである。ステップS201-S212は、図2で説明した通りであるため、説明を省略する。
【0071】
ステップS211の後、管理システム1Aは、ステップS214の入力として、履歴データ27を読み込む(S213)。モデルパラメータ推定部(S105)に相当するステップS214は、所定の計算方法を用いて履歴データ27を分析することにより、実際の状況に近い正確なモデルパラメータ、例えば処理速度などを推定する。所定の計算方法には、例えば、統計的モデリング手法を用いることができる。
【0072】
アプリケーション例を説明する。製品などのアイテムを生産するのに要する平均時間を履歴データ27から計算することにより、生産速度のような、製造工程におけるモデルパラメータの値を決定することができる。他の例としては、プロジェクト管理におけるモデルパラメータの値を設定することもできる。例えば、ジョブ処理率など、タスクを終了するまでの平均時間を履歴データ27から計算することができる。
【0073】
管理システム1Aは、更新されたモデルパラメータ28を保存する(S215)。ステップS216では、図13で示したようなパラメータ・アップデータのGUIを介して、更新されたパラメータ28をユーザに示す。ユーザは、現在アクティブなモデルで使用するパラメータ24を、新しいパラメータ28で更新させることができる。
【0074】
ステップS217では、ステップS216でのユーザの選択に応じて、モデルパラメータ24を更新する。
【0075】
このように構成される本実施例も実施例1と同様の作用効果を奏する。さらに本実施例では、タスクプランの実行される状況が日々変化する場合でも、その変化に追従してモデルパラメータを更新することができ、環境変化と例外的イベントのリスクに強いタスクプランを生成することができる。
【実施例0076】
図16および図17に基づいて実施例3を説明する。実施例2との共通部分は説明を省略する。
【0077】
図16は、タスクスケジューリング管理システム1Bの機能構成図である。管理システム1Bは、プロアクティブプランニングコンポーネント100Bと、パラメータ更新部101を含む。
【0078】
プロアクティブプランニングコンポーネント100Bは、タスクプランナ(S101)、例外的イベントエミュレータ(S102)、再計画設定探索部(S106)、結果ビジュアライザ(S103)を含む。パラメータ更新部101は、タスク実行(S104)とモデルパラメータ推定器(S105)を含む。再計画設定探索部(S106)は、リプラン設定エクスプローラ(S106)と呼ぶこともできる。
【0079】
図17は、タスクスケジューリング管理処理のフローチャートである。ステップS201-S207、S208-S212、S213-S217は、実施例1または実施例2で述べた通りなので、説明を省略する。
【0080】
管理システム1Bは、ステップS207を実行した後で、再計画の設定を探索する(S218)。再計画設定探査のステップS218は、再計画設定探査部(S106)に対応しており、タスクプランの代替案を計算して出力する。ステップS218では、例えば、指定された閾値および条件を満たすまで制御パラメータを変更することにより、タスクプランを自動的に再作成することもできる。ステップS218では、ユーザの入力した情報(条件やパラメータ値)に基づいてタスクプランを再作成してもよい。
【0081】
タスクプランの再作成(リプラン)では、予測結果25を用いて、制御パラメータ23(命令の優先度など)を調整してもよい。指定された閾値が満たされない場合、ステップS218が対話的に呼び出され、条件が満たされるまで代替解が再計算される。指定された閾値または条件が満たされると(S219:Y)、ステップS218の結果がステップS208に渡される。制御パラメータの調整は、例えば、遺伝的アルゴリズムなどの最適化手法を用いて実行してもよい。
【0082】
例えば、製造工程では、例外的イベントエミュレータ(S102)がタスクプランのリスクが高いと予測した場合に、命令の優先順位の並び替えや、例外的イベントによる外乱の影響を吸収するための適切な安全マージンなどを提案する。また、プロジェクト管理における別の例では、現在のタスクプランに高リスクが予測された場合に、タスクの優先順位を並び替えることができる。
【0083】
このように構成される本実施例も実施例1,2と同様の作用効果を奏する。さらに、本実施例によれば、ユーザの要求を満たすタスクプランを効率よく再作成することができ、使い勝手が向上する。
【0084】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。上述の実施形態において、添付図面に図示した構成例に限定されない。本発明の目的を達成する範囲内で、実施形態の構成や処理方法は適宜変更することが可能である。
【0085】
また、本発明の各構成要素は、任意に取捨選択することができ、取捨選択した構成を具備する発明も本発明に含まれる。さらに特許請求の範囲に記載された構成は、特許請求の範囲で明示している組合せ以外にも組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0086】
1,1A,1B:タスクスケジューリング管理システム、S101:タスクプランナ、S102:例外的イベントエミュレータ、S103:結果ビジュアライザ、S104:タスク実行、S105:モデルパラメータ推定、S106:再計画設定探索部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17