(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131729
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】遊技用装置、及び遊技用プログラム
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
A63F7/02 340
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036635
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】591142507
【氏名又は名称】株式会社北電子
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩原 康平
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088CA01
2C088CA05
2C088CA06
2C088CA07
2C088CA08
2C088CA28
(57)【要約】
【課題】 データの出力制限中を判定できる遊技用装置、遊技用プログラムを提供する。
【解決手段】 遊技機から出力される遊技に関する特定データと、貸出装置から出力される遊技価値の貸出しに関する特別データとを入力可能であり、且つ、貸出装置との認証処理によって認証された場合、特定データに関する第1データ及び特別データに関する第2データを出力可能であり、一方、認証処理によって認証されない場合、当該第2データを出力して当該第1データの出力を制限することが可能な中継装置から所定のデータを入力可能な遊技用装置において、第2データを入力し、第1データを入力していない場合、中継装置がデータの出力を制限中であると判定可能な判定手段と、判定手段により中継装置がデータの出力を制限中であると判定された場合、特定情報の報知を実行可能な報知手段と、を備える構成としてある。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機から出力される遊技に関する特定データと、貸出装置から出力される遊技価値の貸出しに関する特別データとを入力可能であり、且つ、前記貸出装置との認証処理によって認証された場合、前記特定データに関する第1データ及び前記特別データに関する第2データを出力可能であり、一方、前記認証処理によって認証されない場合、当該第2データを出力して当該第1データの出力を制限することが可能な中継装置から所定のデータを入力可能な遊技用装置において、
前記第2データを入力し、前記第1データを入力していない場合、前記中継装置がデータの出力を制限中であると判定可能な判定手段と、
前記判定手段により前記中継装置がデータの出力を制限中であると判定された場合、特定情報の報知を実行可能な報知手段と、
を備えることを特徴とする遊技用装置。
【請求項2】
前記判定手段により前記中継装置がデータの出力を制限中であると判定された期間におけるデータを収集可能な出力制限データ収集手段と、
前記出力制限データ収集手段に収集されたデータを表示可能な表示手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の遊技用装置。
【請求項3】
前記判定手段により前記中継装置がデータの出力を制限中であると判定されない期間におけるデータを収集可能な収集手段を備え、
前記表示手段は、
前記出力制限データ収集手段により収集されたデータと、前記収集手段により収集されたデータと、を比較して表示可能である
ことを特徴とする請求項2に記載の遊技用装置。
【請求項4】
前記報知手段は、
従業員が所持する端末装置を含む
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の遊技用装置。
【請求項5】
前記特定データには、
遊技者が遊技に使用した遊技価値のデータが含まれる
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の遊技用装置。
【請求項6】
前記特別データには、
遊技者が遊技に使用した使用金額のデータが含まれる
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の遊技用装置。
【請求項7】
遊技機から出力される遊技に関する特定データと、貸出装置から出力される遊技価値の貸出しに関する特別データとを入力可能であり、且つ、前記貸出装置との認証処理によって認証された場合、前記特定データに関する第1データ及び前記特別データに関する第2データを出力可能であり、一方、前記認証処理によって認証されない場合、当該第2データを出力して当該第1データの出力を制限することが可能な中継装置から所定のデータを入力可能な遊技用装置を構成するコンピュータを、
前記第2データを入力し、前記第1データを入力していない場合、前記中継装置がデータの出力を制限中であると判定可能な判定手段、
前記判定手段により前記中継装置がデータの出力を制限中であると判定された場合、特定情報の報知を実行可能な報知手段、
として機能させることを特徴とする遊技用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技用装置、及び遊技用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
実物のメダルを使用しないで遊技を行う、所謂メダルレス遊技機に対応して設けられる専用ユニットから出力される各種信号を、中継装置を介して収集する遊技用装置が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の遊技用装置には、改良すべき余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するため、本発明の遊技用装置は、遊技機から出力される遊技に関する特定データと、貸出装置から出力される遊技価値の貸出しに関する特別データとを入力可能であり、且つ、前記貸出装置との認証処理によって認証された場合、前記特定データに関する第1データ及び前記特別データに関する第2データを出力可能であり、一方、前記認証処理によって認証されない場合、当該第2データを出力して当該第1データの出力を制限することが可能な中継装置から所定のデータを入力可能な遊技用装置において、前記第2データを入力し、前記第1データを入力していない場合、前記中継装置がデータの出力を制限中であると判定可能な判定手段と、前記判定手段により前記中継装置がデータの出力を制限中であると判定された場合、特定情報の報知を実行可能な報知手段と、を備える構成としてある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】遊技用装置の制御構成を示すブロック図である。
【
図3】ホールコン出力BOXから出力される信号(スマートパチンコ用)の一例を示す図である。
【
図4】ホールコン出力BOXから出力される信号(スマートパチスロ用)の一例を示す図である。
【
図5】認証の成功失敗による各種データと出力制限フラグの関係を示す図である。
【
図6】収集処理を説明するためのフローチャートである。
【
図7】表示部に表示される通常時(データの出力制限外)とデータの出力制限中それぞれの営業情報を示す営業情報画面である。
【
図8】データの出力制限中に表示部に表示される遊技場内レイアウト画面を示す図である。
【
図9】データの出力制限中に表示部に表示されるポップアップ画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の好ましい実施形態について、各図を参照して説明する。
遊技用システム1は、プログラム(遊技用プログラム)に制御されたコンピュータにより動作する。
プログラムは、コンピュータの各構成要素に指令を送り、所定の処理、例えば、ホールコンピュータ60におけるデータの入出力、記憶、及び演算等を行わせる。
遊技用システム1は、プログラムとコンピュータとが協働した具体的手段により実現されるものであり、プログラムの全部、又は一部は、磁気ディスク、光ディスク、及びその他任意のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体により提供され、記憶媒体から読み出されたプログラムがコンピュータにインストールされて実行される。
なお、プログラムは、記憶媒体を介さず、通信回線を通じて直接にコンピュータにロードして、実行することも可能である。
また、本実施形態において取り扱う遊技機は、遊技者が遊技媒体(遊技価値)に触れられないように構成される。
そのため、以下の説明では、遊技球を使用する従来の遊技機(以下、「従来機」という)のパチンコ機を「スマートパチンコ10a」といい、メダルを使用する従来機のパチスロ機を「スマートパチスロ10b」といい、そして、これらを総称して「スマート遊技機10」として説明する。
【0008】
図1は、遊技用システム1の構成を概略化した図である。
本実施形態における遊技用システム1は、スマート遊技機10と、複数の装置により構成されている。
複数の装置としては、例えば、専用ユニット20、ホールコン出力BOX30、呼出ランプ40、インカム50、管理コンピュータ55、及びホールコンピュータ60等で構成されている。
これらの装置は、それぞれ通信手段を備え、所定のネットワーク(例えば、ローカル・エリア・ネットワーク)を介してデータ通信可能に接続されている。
【0009】
スマート遊技機10(遊技機)は、遊技者が遊技球やメダル等の遊技媒体に直接触れることなく、遊技できる遊技機である。
例えば、スマートパチンコ10aは、遊技機内で遊技球を封入し循環させることで遊技でき、スマートパチスロ10bは、物理的なメダルを使用せずに、電子データ(以下、単に「遊技媒体」ともいう)で貸出しを行うことで遊技できる。
スマート遊技機10の遊技状態としては、従来機と同様に、例えば、遊技媒体を所定の割合で費やす通常遊技状態と、通常遊技状態より遊技媒体の増加が期待でき遊技者にとって有利な遊技状態である特別遊技状態等がある。
この特別遊技状態は、通常遊技状態より大当りやボーナスに当選する確率が高い遊技状態であり、遊技者は、ボーナスに当選すると、その後の入賞によって大量の遊技媒体が獲得できるようにゲームが制御される。
また、スマート遊技機10からは、遊技進行に応じて様々な信号(データ)が出力され、この信号は、全て次に説明する専用ユニット20を介して出力される。
【0010】
専用ユニット20(貸出装置)は、併設されたスマート遊技機10と専用PIFケーブル等でデータ通信可能に電気的に接続されており、投入金額に応じた遊技媒体の貸出し等を、電子データで行う機能を有している。
例えば、投入金額に応じた遊技媒体の貸出しは、遊技者による貸出し操作に基づいて、貸出数を特定する貸出データをスマート遊技機10に出力することで、貸出しを行う。
スマート遊技機10は、この貸出データに基づいて、遊技媒体の貸出数を特定するとともに記憶し、保持する遊技媒体数(以下、「持遊技媒体数(持遊技価値数)」という)に加算する。
【0011】
また、専用ユニット20は、遊技媒体の返却も行う。
具体的には、スマート遊技機10において、計数操作により遊技媒体の計数量を特定する計数データが専用ユニット20に出力される。
専用ユニット20は、スマート遊技機10から出力された計数データを入力すると、この計数データに基づき特定された遊技媒体の計数量を持遊技媒体数として管理する。
【0012】
さらに、専用ユニット20は、カードユニットを備えており、このカードユニットにより持遊技媒体数をICカードに記憶(記録)する。
ICカードは、返却操作によりカードユニットから排出され、遊技者は、持遊技媒体数が記憶されたICカードを使用して、遊技場の景品交換センターにて景品と交換したり、他の専用ユニット20のカードユニットに挿入することで、再遊技できる。
このような専用ユニット20は、ホールコン出力BOX30や管理コンピュータ55等とデータ通信可能に接続されている。
【0013】
ホールコン出力BOX30(中継装置)は、専用ユニット20、呼出ランプ40、ホールコンピュータ60等とデータ通信可能に接続され、遊技球やメダルを使用する従来機の外部端子板と同様の機能を有している。
具体的には、ホールコン出力BOX30は、シリアル通信で接続される専用ユニット20から出力される各種信号を、パルスに変換して呼出ランプ40やホールコンピュータ60等に出力するパルス変換機である。
【0014】
ホールコン出力BOX30は、専用ユニット20から出力されるデータから遊技機種類を判定し、判定結果に応じた動作を行う。
遊技機種類は、データ長を1バイトで構成し、Bit0~Bit3を遊技機の種類、Bit4~Bit6を団体の区分、Bit7を管理媒体とする遊技機の種類に関する情報である。
例えば、スマート遊技機10の遊技媒体は、管理媒体が「0」であれば、遊技球であり、管理媒体が「1」であれば、遊技メダルのように、遊技機種類のうち管理媒体から判定される。
また、ホールコン出力BOX30は、ホールコンピュータ60との間で、定期的(例えば、300ms)に後述する各種データの通信を行う。
【0015】
呼出ランプ40は、発光手段を点灯、又は点滅させることにより、大当りの発生、確変中、店員の呼出中等を遊技者に報知するとともに、遊技に関する情報を表示する。
例えば、呼出ランプ40は、本日、前日等における大当り回数や確変回数に加え、前回大当りからの回転数であるスタート回数、大当りの履歴等を見やすいように数字やグラフ等を用いて遊技者に有益な情報として表示する。
【0016】
呼出ランプ40は、店員を呼出ボタンにより呼び出すことができる呼出機能(呼出中)を有しており、遊技者がこの呼出ボタンを操作すると、呼出情報をホールコンピュータ60に出力し、再度、呼出ボタンが操作されることで、呼出情報の出力を解除する。
ホールコンピュータ60は、ホールコン出力BOX30等のデータの出力状態を判定し、データの出力制限中であると判定した場合には、対応する呼出ランプ40に特定情報を表示(以下、報知ともいう)させる。
【0017】
インカム50(端末装置)は、報知手段として機能し、コミュニケーションツール用の無線を用いた端末装置である。
遊技用システム1は、複数のインカム50を備えており、各従業員は、それぞれ1つのインカム50を携行する。
インカム50は、ヘッドセットを用いたハンズフリーの通話が可能なだけでなく、ホールコンピュータ60等から各種情報の通知ができるので、即時性が求められる遊技場のコミュニケーションツールとして好適である。
【0018】
管理コンピュータ55は、遊技場外の管理センター等にインターネットを介してデータ通信可能に接続されており、遊技場に設置されたスマート遊技機10や専用ユニット20から出力される出玉情報を収集、管理する。
この出玉情報には、遊技場の閉店処理後に管理センターに出力される性能データの他、リアルタイムに管理センターに出力される不正・エラーデータ等が含まれ、これらのデータは、管理センターにて一元的に管理される。
【0019】
ホールコンピュータ60(遊技用装置)は、プログラムに従って動作する情報処理装置であり、例えば、遊技場の管理者等が操作可能な場所、カウンター奥の事務所等に設置されている。
ホールコンピュータ60は、遊技場に設置されている全スマート遊技機10の遊技に関する情報を記憶、管理、及び分析し、遊技場における営業情報(例えば、出率、粗利等)を管理している。
ホールコンピュータ60は、
図2に示すように、通信部61と、記憶部62と、操作部63と、表示部64(報知手段、表示手段)と、制御部65(判定手段、収集手段、出力制限データ収集手段)とから構成されている。
【0020】
通信部61は、ホールコン出力BOX30を介して、スマート遊技機10や専用ユニット20等から各種信号を入力する。
【0021】
記憶部62は、ホールコンピュータ60の各種機能を実行するためのプログラムやデータを記憶可能な記憶媒体(例えば、ROM、RAM、ハードディスク等)で構成される。
記憶部62は、スマート遊技機10や専用ユニット20等から入力した各種信号を記憶する。
【0022】
操作部63は、キーボードやマウス等で構成される操作手段であり、遊技場の管理者等が操作することにより、所定のデータや指示、命令等を選択、入力できるようになっている。
【0023】
表示部64は、液晶ディスプレイ等の報知手段であり、遊技場の店員が操作部63を操作することにより、操作部63から入力された数値や算出された営業情報を表示する。
なお、表示部64は、報知手段として機能するが、報知手段は、音声、ブザー、及びランプ等でも良い。
【0024】
制御部65は、CPU、ROM、RAM等で構成されており、記憶部62に記憶されているプログラムを読み込んで実行することにより、上述した各部を監視、及び制御しながらホールコンピュータ60としての処理を行う。
例えば、制御部65は、通信部61を介してスマート遊技機10等から出力される各種信号に基づき、遊技場の営業時に用いる遊技場固有の情報である営業情報を算出する。
【0025】
また、制御部65は、スマート遊技機10等から出力される各種信号に基づき、ホールコン出力BOX30のデータの出力状態を判定する。
判定の結果、ホールコン出力BOX30のデータの出力状態に異常があった場合、制御部65は、店員が所持するインカム50や後述する表示部64等に特定情報を出力する。
このとき、インカム50は、ホールコンピュータ60から特定情報を入力すると、例えば、「台番号2のスマート遊技機10において、データの出力制限がかかっています。」等といった情報が音声出力により、特定情報の報知を行う。
その音声を聞いた店員は、台番号2のスマート遊技機10に対応するホールコン出力BOX30に移動して、データの出力制限が起きた原因を早急に調査し対処できる。
そのため、店員は、遊技場内にいながらリアルタイムにスマート遊技機10にデータの出力制限がかかっていることを認識できる。
【0026】
ところで、ホールコン出力BOX30は、専用ユニット20と認証処理を行っており、認証が確認できない場合には、一部のデータ出力に制限がかかる仕様になっている。
具体的には、ホールコン出力BOX30は、正規に認められた製品であることを確認するために、専用ユニット20との間で製造番号やシリアル番号等の認証処理が行われる。
そして、ホールコン出力BOX30が正規の製品であるとして、認証が確認されると、全てのデータが専用ユニット20からホールコンピュータ60等へ出力される、一方、認証が確認できない場合には、一部データに出力制限かかるように構成される。
【0027】
遊技場の管理者等は、これらのデータを用いて算出された営業情報を指標として、日々の遊技場の運営に活用しているが、データの出力制限中も遊技者は遊技ができることから、データの出力制限中は、正確な営業情報を算出できないという問題があった。
また、ホールコン出力BOX30からは、データの出力制限を示す信号が単独で出力されないため、ホールコンピュータ60等では正確な営業情報を算出できない原因が、データの出力制限なのか、別の原因(例えば、配線の断線)なのかが判断ができなかった。
【0028】
そこで、本実施形態のホールコンピュータ60は、ホールコン出力BOX30がデータの出力を制限中であるか否かを判定可能な判定手段と、その判定手段によりデータの出力を制限中であると判定された場合に、データの出力を制限中であることの報知を実行可能な報知手段とを備えることにより、遊技場の管理者等がデータの出力制限中であることを容易に認識できる構成になっている。
【0029】
ここで、スマート遊技機10や専用ユニット20から出力される各種信号について説明する。
スマート遊技機10や専用ユニット20から出力される各種信号は、ホールコン出力BOX30を介して呼出ランプ40やホールコンピュータ60等に出力される。
【0030】
各種信号は、「台データ(特定データ、第1データ)」、「不正データ(特別データ、第2データ)」、及び「売上データ(特別データ、第2データ)」の3つのデータ種別に分けられる。
ホールコン出力BOX30は、専用ユニット20から定期的に出力されるデータを元に、例えば、「台データ」は差分値、「売上データ」は累計値としてホールコンピュータ60に出力する。
以下、
図3、
図4を参照しながら、これらのデータと、信号名、信号種別、未認証時出力の関係について説明する。
図3は、スマートパチンコ10a、
図4は、スマートパチスロ10bそれぞれから出力される信号の一例である。
【0031】
信号名は、データごとに該当する信号名を示している。
台データは、遊技に伴い発生するデータであり、例えば、遊技媒体を消費(使用)するごとに出力されるアウト信号(スマートパチンコ10a:発射数、スマートパチスロ10b:メダル投入数)、入賞等により遊技媒体を獲得するごとに出力されるセーフ信号(スマートパチンコ10a:賞球、スマートパチスロ10b:メダル払出数)、特別遊技状態中(スマートパチンコ10a:大当り中、スマートパチスロ10b:RB中)に出力される状態信号等がある。
不正データは、ゴト等の不正行為に伴い発生するデータであり、例えば、スマート遊技機10の扉が開状態中に出力される扉開放信号(スマートパチンコ10a)・ドアオープン信号(スマートパチンコ10b)、磁気、電波等による不正時に出力される不正信号(スマートパチンコ10a)・不正検知信号(スマートパチンコ10b)等がある。
売上データは、遊技媒体の貸与や呼出等に伴い発生するデータであり、例えば、入金時に出力される入金金額信号、消費時に出力される消費金額(使用金額)信号、店員の呼出中に出力される呼出信号、ICカード挿入中に出力されるカード挿入中信号等がある。
【0032】
信号種別は、1パルスの幅を50ms固定とするパルス形式と、該当状態時に継続して出力される状態形式との2種類の信号種別のうち、信号ごとに何れの形式に該当するかを示している。
例えば、台データのアウト信号は、信号種別がパルス形式(発射数:10玉で1パルス、メダル投入数:1枚で1パルス)であり、同じく台データの状態信号は、信号種別が状態形式(大当り:大当り中にON、RB:RB中にON)である。
また、不正データの扉開放信号・ドアオープン信号は、信号種別が状態形式(扉開放・ドアオープン:開状態中にON)であり、売上データの入金金額信号は、信号種別がパルス形式(入金金額:1000円で1パルス)であり、同じく売上データの呼出信号は、信号種別が状態形式(呼出:呼出中にON)である。
このように、同じデータ種別の中でも、信号種別が異なる場合がある。
【0033】
未認証時出力は、上述した専用ユニット20とホールコン出力BOX30間の認証処理において、「〇」が未認証時でもホールコン出力BOX30からのデータ出力に制限がかからないデータを示しており、「×」が未認証時にホールコン出力BOX30からのデータ出力に制限がかかるデータを示している。
例えば、台データは、未認証時に出力制限がかかるデータであり、不正データ、及び売上データは、未認証時に出力制限がかからないデータである。
なお、ホールコン出力BOX30から出力されるこれらのデータは、ホールコンピュータ60に随時出力される場合と、蓄積してから出力される場合とがそれぞれ含まれる。
例えば、前者の場合は、スマートパチンコ10aから10玉の使用を示すデータを入力した場合、随時10玉の使用を示すデータがホールコンピュータ60に出力されるが、後者の場合は、計100玉になるまで蓄積した後に、100玉の使用を示すデータがホールコンピュータ60に出力される。
【0034】
次に、
図5、
図6を参照しながら、各種データとホールコンピュータ60における出力制限フラグの関係について説明する。
図5は、認証の成功失敗による各種データ((a)は台データ(アウト)と不正データ(不正検知)、(b)は台データ(アウト)と売上データ(消費金額))と出力制限フラグの関係を示す図である。
図6は、収集処理を説明するためのフローチャートである。
台データを含めた全データは、認証された場合(認証成功)、通常通りホールコンピュータ60に出力される。
一方、何らかの理由により認証されない場合(認証失敗)、アウト等の台データの出力が制限され、その他の不正検知等の不正データや消費金額等の売上データがホールコンピュータ60に出力される。
【0035】
このとき、制御部65は、判定手段として機能することにより、売上データ、又は不正データ(第2データ)の入力に加え(S10:Yes)、一定時間内に、台データ(第1データ)を入力した場合には(S11:Yes)、ホールコン出力BOX30がデータの出力を制限中でないと判定し、出力制限フラグを「OFF」にする(S12)。
一方、制御部65は、売上データ、又は不正データを入力したにも関わらず、(S10:Yes)、一定時間経過しても、台データを入力していない場合には(S11:No)、ホールコン出力BOX30がデータ出力を制限中であると判定し、出力制限フラグを「ON」にする(S13)。
例えば、制御部65は、不正検知信号を入力したにも関わらず、一定時間経過(例えば、60秒間)しても、アウト信号(台データ)を入力しなければ、ホールコン出力BOX30がデータの出力を制限中であると判定し、出力制限フラグを「ON」にする(
図5(a)参照)。
なお、制御部65は、売上データ、又は不正データの入力に加え、一定時間内に、台データを入力した場合には、データの出力制限が解除されたと判定し、出力制限フラグを「ON」から「OFF」に変更する。
ここでの一定時間は、遊技場の管理者等によって設定可能な任意の時間である。
【0036】
また、売上データ、又は不正データを特定回数入力したにも関わらず、台データの入力を確認できなかった場合のように、売上データ、又は不正データのパルス回数に基づく判定でも良い。
例えば、制御部65は、100円で1パルス出力する消費金額信号を特定回数(例えば、30パルス)入力したにも関わらず、その間に、アウト信号を入力しなければ、ホールコン出力BOX30がデータの出力を制限中であると判定し、出力制限フラグを「ON」にする(
図5(b)参照)。
このときの特定回数は、例えば、貸出レートを4円/玉とするスマートパチンコ10aでは、20パルス、貸出レートを20円/枚とするスマートパチスロ10bでは、40パルスとする等、貸出レートごと、スマート遊技機10ごとに設定することが好ましい。
【0037】
さらに、売上データ、又は不正データの信号ごとにデータの特性に合わせて任意の時間、特定回数を設定できる構成としても良い。
例えば、消費時に出力される消費金額信号は、時間を短く特定回数を多く設定し、店員の呼出中に出力される呼出信号は、時間を長く特定回数を少なく設定する。
これは、信号種別がパルス形式である消費金額信号は、信号種別が状態形式の呼出信号に比べ、短時間で多く出力され、さらに遊技者は、売上消費時には遊技を行っている可能性が高いため、アウト信号等を検出しやすい傾向にあるからである。
【0038】
[営業情報画面]
図7は、通常時(データの出力制限外)とデータの出力制限中それぞれの営業情報を示す「営業情報画面」である。
制御部65は、ホールコン出力BOX30がデータの出力を制限中であると判定されていない期間のデータを収集可能な収集手段と、データの出力を制限中であると判定された期間のデータを収集可能な出力制限データ収集手段として機能する。
そのため、制御部65は、ホールコン出力BOX30がデータの出力を制限中であると判定されていない期間のデータと(S14)、データの出力を制限中であると判定された期間のデータと(S15)、を区別して収集し管理できる。
【0039】
図7(a)は、台番号2のスマート遊技機10において、通常時とデータ出力制限中それぞれの遊技情報を表示部64に同時に表示した一例である。
例えば、ホールコン出力BOX30がデータの出力を制限中であると判定された期間の営業情報は、アウト等の台データは収集されないが、入金金額等の売上データ等は収集され、算出される。
このように、表示部64は、データの出力を制限中であると判定されていない期間のデータと、データの出力を制限中であると判定された期間のデータとを比較可能に表示できる。
ここで表示される営業情報として、例えば、アウト、セーフ、出玉率、大当り回数、利益率等が挙げられる。
このような「営業情報画面」によって、遊技場の管理者等は、データの出力制限中のデータとデータの出力制限中でないデータとを比較して把握できるため、営業情報をより正確に把握できる。
なお、「営業情報画面」に表示する区分けは、台番号ごと以外にも、
図7(b)に示す機種ごと、メーカーごと、導入日ごと等に任意に設定できる。
【0040】
また、制御部65が判定したデータの出力制限の表示態様は、
図7に示す態様に限るものではなく、例えば、
図8に示すような「遊技場内レイアウト画面」により、データ出力制限中のスマート遊技機10と、その他のスマート遊技機10とを区別して視覚的な態様で報知できる。
「遊技場内レイアウト画面」は、フロア全体のスマート遊技機10の稼動状況を表示部64に表示する。
この場合、フロアごとのスマート遊技機10の配置を図式化したレイアウトが表示され、各スマート遊技機10の稼動状況等が図式化して表示される。
【0041】
[遊技場内レイアウト画面]
ホールコンピュータ60は、ホールコン出力BOX30から出力される一部データが制限中である場合に、データ出力制限中のスマート遊技機10を視覚的な態様で報知することができ、例えば、
図8に示すような「遊技場内レイアウト画面」を表示できる。
「遊技場内レイアウト画面」は、フロアごとのスマート遊技機10の配置を図式化したレイアウトが表示され、そのレイアウトで稼働状態を確認するための画面である。
【0042】
図8に示す例では、フロア「1F」の台番号2のスマート遊技機10において、ホールコン出力BOX30から出力される一部データが制限中であるため、表示部64には、他のスマート遊技機10とは異なる表示形態で表示される。
「遊技場内レイアウト画面」には、ポップアップされた表示選択画面101において、データ出力制限中のチェックボックス100にチェックを入れることで、データ出力制限中のスマート遊技機10が、例えば、「赤旗のマーク」等で他のスマート遊技機10と異なる表示態様で表示される。
【0043】
このようにデータ出力制限中のスマート遊技機10とデータ出力制限中でないスマート遊技機10との表示態様を異ならせることで、遊技場の管理者等は、スマート遊技機10がデータ出力制限中であるか否かを認識できる。
その結果、遊技場の管理者等は、「遊技場内レイアウト画面」によりフロアに設置されたデータ出力制限中のスマート遊技機10を容易に把握できる。
【0044】
制御部65は、現在のスマート遊技機10の稼働状態を一目で認識できるように、異なる表示形態(色、文字、図形、網掛け、点滅表示等)で表示部64に表示できる。
これにより、遊技場の管理者等は、データ出力制限中のホールコン出力BOX30を早期に認識することができるため、その対処を早期に実施できる。
【0045】
このように、制御部65は、表示部64を報知手段として機能させ、データ出力制限中のホールコン出力BOX30に対応するスマート遊技機10を表示部64に表示できる。
例えば、ホールコンピュータ60がデータの出力制限中であると判定した場合には、対応するスマート遊技機10の台番号まで特定して表示部64に表示できる。
これにより、遊技場の管理者は、〇〇番台のスマート遊技機10に対応するホールコン出力BOX30が出力制限中であることを容易に認識できる。
【0046】
[ポップアップ画面]
また、
図9に示すような「ポップアップ画面」を表示部64に表示しても良い。
例えば、遊技場の管理者等がデータに出力制限がかかっていることに気付いていない恐れがある。
そのため、制御部65がデータの出力制限中であると判定した場合には、表示部64にデータの出力制限がかかったスマート遊技機10の台番号まで特定した「ポップアップ画面」を表示することで、遊技場の管理者等に注意喚起することができる。
これにより、遊技場の管理者等は、データの出力制限がかかっているスマート遊技機10を容易に把握できる。
【0047】
以上のように、本実施形態における遊技用装置によれば、ホールコン出力BOX30から出力される一部データに出力制限がかかった場合に、データの出力制限を示す信号が単独で出力されない場合でも、データに出力制限がかかっていることを適切に判定できる。
これにより、遊技用装置の報知手段によって、データに出力制限がかかっていることを遊技場の管理者等に報知できるため、遊技場の管理者等が早急に対処することが可能になる。
また、データの出力制限中であると判定された期間に収集したデータを区別して収集できるため、遊技場の管理者等は、データに出力制限がかかっている期間のデータを混合することなく営業時のデータを正確に把握できる。
【0048】
従来の遊技用装置では、ホールコン出力BOX30から出力される一部データに出力制限がかかった場合に、データに出力制限がかかっていること適切に判定できなかった。
本発明の遊技用装置によれば、従来の遊技用装置が改善すべきこのような課題の全部、又は一部を解決できる。
【0049】
以上、本発明の遊技用装置の好ましい実施形態について説明したが、本発明の遊技用装置は、上述した実施形態にのみに限定されるものではなく、スマート遊技機10以外の遊技球やメダルを使用する従来機においても、データの出力制限を示す信号が単独で出力されない場合に、本発明の範囲で種々の変更実施が可能である。
(1)本実施形態では、遊技用装置の一例として、ホールコンピュータ60に適用して説明したが、この他にも専用ユニット20、ホールコン出力BOX30、呼出ランプ40、管理コンピュータ55等にも適用できる。
(2)ホールコン出力BOX30が備える機能を、専用ユニット20等の他の装置に組み込む構成でも、データの出力制限を示す信号が単独で出力されない場合には、本発明を適用できる。
(3)ホールコン出力BOX30のデータの出力制限を示す信号が単独で出力される場合には、制御部65がその信号の出力を監視することにより、ホールコン出力BOX30が一部データに出力制限かかっていることを判定できる。
【符号の説明】
【0050】
1 遊技用システム
10 スマート遊技機(遊技機)
20 専用ユニット(貸出装置)
30 ホールコン出力BOX(中継装置)
40 呼出ランプ
50 インカム(端末装置、報知手段)
55 管理コンピュータ
60 ホールコンピュータ(遊技用装置)
61 通信部
62 記憶部
63 操作部
64 表示部(報知手段、表示手段)
65 制御部(判定手段、収集手段、出力制限データ収集手段)