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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131731
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】噴射口部材
(51)【国際特許分類】
   B05B 11/00 20230101AFI20230914BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20230914BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20230914BHJP
   B05B 1/34 20060101ALN20230914BHJP
【FI】
B05B11/00 101B
B05B9/04
B65D47/34 110
B05B1/34 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036638
(22)【出願日】2022-03-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ▲1▼展示日 令和4年1月12日 ▲2▼展示会名、開催場所 第12回化粧品開発展 東京ビッグサイト (東京都江東区有明3丁目11-1)
(71)【出願人】
【識別番号】390029676
【氏名又は名称】株式会社トップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 健
(72)【発明者】
【氏名】菊島 光一
(72)【発明者】
【氏名】上澤 駿
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 翔太
【テーマコード(参考)】
3E084
4F033
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AB01
3E084AB05
3E084AB09
3E084BA02
3E084CA01
3E084DA01
3E084DB12
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084KB01
3E084KB06
3E084LC06
3E084LD22
4F033BA03
4F033DA01
4F033EA01
4F033KA02
4F033NA01
4F033RA02
4F033RA06
4F033RA12
4F033RC16
(57)【要約】
【課題】従来よりも圧力損失を低減することができる噴射口部材を提供する。
【解決手段】発明の噴射口部材1は、噴射口11が開口した底板12と底板12の周縁から板厚方向に延びる筒状部13とを有する蓋部材10と、蓋部材10が挿入されて固定される挿入口7を有する筐体6と、蓋部材10に挿入される挿入部9と、筐体6の中に配置され、挿入口7と連通する流路5と、を備え、流路5の中に流入した流体を蓋部材10と挿入部9との間を通して噴射口11から噴射できる。筒状部13の内周面、又は挿入部9の外周面は、筒状部13と挿入部9との間の空間の断面積が噴射口11側に向かって次第に増加又は減少するように傾斜した傾斜形状に形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴射口が開口した底板と前記底板の周縁から板厚方向に延びる筒状部とを有する蓋部材と、
前記蓋部材が挿入されて固定される挿入口を有する筐体と、
前記蓋部材に挿入される挿入部と、
前記筐体の中に配置され、前記挿入口と連通する流路と、
を備え、前記流路の中に流入した流体を前記蓋部材と前記挿入部との間を通して前記噴射口から噴射可能な噴射口部材であって、
前記筒状部の内周面、又は前記挿入部の外周面の少なくとも一部は、前記筒状部と前記挿入部との間の空間の断面積が前記噴射口側に向かって次第に増加又は減少するように傾斜した傾斜形状に形成されていることを特徴とする噴射口部材。
【請求項2】
請求項1に記載の噴射口部材であって、
前記筒状部の内周面と前記挿入部の外周面との少なくとも何れか一方は、前記底板と平行な切断面が隅角が鋭角な又は隅角が丸みを帯びた多角形状に構成されており、
前記多角形状の角部と前記多角形状の辺部との間で、前記筒状部と前記挿入部との間の間隔に差が出るように構成されていることを特徴とする噴射口部材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の噴射口部材であって、
前記傾斜形状は、前記筒状部と前記挿入部との間の空間の断面積が前記噴射口側に向かって次第に増加するように、前記挿入部の外周面を傾斜させて形成されていることを特徴とする噴射口部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体の口部に装着され、容器本体内の内溶液を噴霧させるために用いられる噴射口部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアゾール容器やポンプ容器から内溶液を噴霧させる場合、それらの容器本体の口部に装着される噴射口部材が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-147920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来よりも圧力損失を低減することができ、噴射口へ高い圧力をかけることができる噴射口部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の噴射口部材は、
噴射口が開口した底板と前記底板の周縁から板厚方向に延びる筒状部とを有する蓋部材と、
前記蓋部材が挿入されて固定される挿入口を有する筐体と、
前記蓋部材に挿入される挿入部と、
前記筐体の中に配置され、前記挿入口と連通する流路と、
を備え、前記流路の中に流入した流体を前記蓋部材と前記挿入部との間を通して前記噴射口から噴射可能な噴射口部材であって、
前記筒状部の内周面、又は前記挿入部の外周面は、前記筒状部と前記挿入部との間の空間の断面積が前記噴射口側に向かって次第に増加又は減少するように傾斜した傾斜形状に形成されていることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、筒状部の内周面、又は挿入部の外周面は、傾斜形状に形成されているため、筒状部と挿入部との間で比較的広い流体の流れ路を確保することができ、従来よりも圧力損失を低減することができる。また、筒状部の内周面又は挿入部の外周面を傾斜形状として、筒状部と挿入部との間で比較的広い流体の流れ路を確保できるため、この流れ路に流体を溜めることができる。これにより、この流れ路に溜まった流体はポンプの吐出路などの比較的狭い路を通過することなく、噴射口へと導かれるため、噴射口へ高い圧力をかけることができる。
【0007】
また、本発明においては、
前記筒状部の内周面と前記挿入部の外周面との少なくとも何れか一方は、前記底板と平行な切断面が隅角が鋭角な又は隅角が丸みを帯びた多角形状に構成されており、
前記多角形状の角部と前記多角形状の辺部との間で、前記筒状部と前記挿入部との間の空間の断面積に差が出るように構成されていることが好ましい。
【0008】
かかる構成によれば、筒状部の内周面と挿入部の外周面との少なくとも何れか一方は、底板と平行な切断面が多角形状又は隅部が丸みを帯びた多角形状に構成されて、多角形状の角部と多角形状の辺部との間で、筒状部と挿入部との間の空間の断面積に差が出ることにより、複数の流路が画定される。これにより、筒状部の内周面及び挿入部の外周面に流体を流すための溝を設けることなく、筒状部と挿入部との間に流体を流すことができる。ゆえに、筒状部及び挿入部を形成する金型の形状を簡易化することができ、製造コストを抑えることができる。
【0009】
また、本発明においては、前記傾斜形状を、前記筒状部と前記挿入部との間の空間の断面積が前記噴射口側に向かって次第に増加するように、前記挿入部の外周面を傾斜させて形成することもできる。
【0010】
本発明によれば、挿入部の外周面は、傾斜形状に形成されているため、筒状部と挿入部との間で比較的広い流体の流れ路を確保することができ、従来よりも圧力損失を低減することができる。また、挿入部の外周面を傾斜形状として、筒状部と挿入部との間で比較的広い流体の流れ路を確保できるため、この流れ路に流体を溜めることができる。これにより、この流れ路に溜まった流体はポンプの吐出路などの比較的狭い路を通過することなく、噴射口へと導かれるため、噴射口へ高い圧力をかけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、発明の第1実施形態の噴射口部材を有する噴霧容器を示す斜視図である。
図2図2は、図1の噴射口部材を拡大して一部断面で示す説明図である。
図3図3は、図1の蓋部材を拡大して示す断面図である。
図4図4は、図1の蓋部材を拡大して示す斜視図である。
図5図5は、図1の蓋部材と挿入部との間の間隔を示す断面図である。
図6図6は、発明の第2実施形態の噴射口部材の蓋部材を拡大して示す断面図である。
図7図7は、図6の蓋部材を拡大して示す斜視図である。
図8図8は、図6の蓋部材と挿入部との間の間隔を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
図1から図5を参照して、発明の噴射口部材の第1実施形態を説明する。図1を参照して、第1実施形態の噴射口部材1は、噴霧容器2の有底筒状の容器本体3の口部3aに装着され、容器本体3内に充填された流体としての内溶液を噴霧させるものである。
【0013】
図2を参照して、口部3aは、進退自在な筒状のピストン4aが突出したポンプ4を備えている。このピストン4aに噴射口部材1が固定されている。ポンプ4は、ピストン4aが押し込まれることにより、ポンプ4内に貯められた内溶液(流体)をピストン4aの先端から吐出する。また、ピストン4aがポンプ4内に押し込められた状態からポンプ4内のバネ(図示省略)によって突出するように押し出されることにより、容器本体3内の内溶液がポンプ4内に吸い上げられる。
【0014】
噴射口部材1は、ピストン4aの先端が挿入されて固定される円筒状の流路5を有する筐体6を備えている。筐体6は、流路5に対して直交する方向に開口させた挿入口7を画定する内周面7a及び閉塞面7bを備えている。閉塞面7bは、内周面7aの流路5側を閉塞するように構成されている。閉塞面7bの上端部には、流路5と連通する連通孔8が穿設されている。この連通孔8を通って、流路5内の内溶液(流体)が挿入口7内に供給される。
【0015】
挿入口7内には、閉塞面7bから開口方向に向かって突出する円柱状の挿入部9が設けられている。挿入口7には、有底筒状の蓋部材10が圧入されて固定されている。挿入部9は、蓋部材10に挿入されている。蓋部材10は、外側に向かって次第に縮径する円錐台形状の噴射口11が開口した円盤状の底板12と、底板12の周縁から板厚方向に延びる筒状部13と、を備えている。
【0016】
図3を参照して、挿入部9の先端には、先方に向かって突出する円板形状の凸部9aが設けられている。蓋部材10の筒状部13の内周面は、底板12に向かうにしたがって次第に肉厚が厚くなるように傾斜したテーパ形状に形成されている。このように円柱状の挿入部9の外周面に対して筒状部13の内周面がテーパ形状に形成されることにより、筒状部13と挿入部9との間の空間の断面積が噴射口11に向かって次第に減少している。
【0017】
図4を参照して、筒状部13の内周面は、角部が丸みを帯びた四角形状に断面が形成されるように構成されている。これにより、図5に示すように、円柱状の挿入部9と筒状部13との間に隙間が比較的大きな空間Xを形成することができる。この空間Xを利用して内溶液(流体)を適切に流すことができるため、筒状部13の内周面又は挿入部9の外周面に内溶液の通り路としての溝を形成する必要がない。したがって、蓋部材10及び筐体6を製造するための金型(図示省略)の形状を簡略化することができ、製造コストを抑えることができる。流路5と挿入部9とは筐体6と同一材料で一体に形成されている。
【0018】
図4を参照して、底板12の内面(流路5側の面)には、噴射口11から径方向に延びる4つの旋回用溝14が設けられている。旋回用溝14は、噴射口11に対して周方向一方側に偏心させて接続されており、旋回用溝14を通過して噴射口11に達した内溶液(流体)が渦巻きながら噴射される。円板形状の凸部9aは、その外縁が旋回用溝14の径方向外側の端部よりも径方向内側へ位置するように構成されており、旋回用溝14への内溶液の流れを阻害しないように構成されている。
【0019】
図3を参照して、筒状部13の外周面には、径方向外側に向かって張り出す環状の張出部15が設けられている。筒状部13の外周面は、張出部15を境界として、底板12側が大径の大径部16であり、流路5側が大径部16よりも小径の小径部17で構成されている。張出部15の小径部17側の環状の側面は、小径部17に向かって次第に縮径するように傾斜している。
【0020】
第1実施形態の噴射口部材1によれば、筒状部13の内周面がテーパ形状に形成されているため、筒状部13と挿入部9との間で内溶液(流体)の通り路を比較的広く確保することができ、従来よりも圧力損失を低減することができ、より細かな噴霧を行えるようにすることができる。また、筒状部13の内周面をテーパ形状として、筒状部13と挿入部9との間で比較的広い内溶液(流体)の流れ路を確保できるため、この流れ路に内溶液(流体)を溜めることができる。これにより、この流れ路に溜まった内溶液(流体)はポンプ4のピストン4a内に設けられた吐出路などの比較的狭い路を通過することなく、噴射口11へと導かれるため、噴射口11へ高い圧力をかけることができる。
【0021】
また、筒状部13の内周面は、底板12と平行な切断面が隅部が丸みを帯びた多角形状に構成されて、複数の空間Xが画定されることにより、多角形状の角部と多角形状の辺部との間で、筒状部13と挿入部9との間の間隔に差が出る。これにより、筒状部13の内周面及び挿入部9の外周面に内溶液(流体)を流すための溝を設けることなく、筒状部13と挿入部9との間に内溶液を適切に流すことができる。これにより、筒状部13及び挿入部9を形成する金型の形状を簡易化することができ、製造コストを抑えることができる。
【0022】
[第2実施形態]
図6図8を参照して、発明の第2実施形態の噴射口部材1を説明する。図6を参照して、第2実施形態の噴射口部材1では、挿入部9は先端に向かって次第に先細りするような円錐台形状に形成されている。これにより、筒状部13と挿入部9との間の空間の断面積が噴射口11側に向かって次第に減少するように構成されている。また、第2実施形態の筒状部13の内周面には、軸方向に延びる2つの内周溝18が設けられている。
【0023】
また、図7を参照して、第2実施形態の旋回用溝14は、内周溝18に接続される2つの旋回用溝14で構成されている。第2実施形態の旋回用溝14は、噴射口11に向かって次第に幅が狭くなるように構成されている。また、第2実施形態の噴射口11は、外側に向かって次第に縮径するような円錐台形状に形成されている。第2実施形態の噴射口11の傾斜角度は、第1実施形態の噴射口11の傾斜角度よりも急に設定されている。第2実施形態の噴射口部材1及び噴霧容器2の他の構成は、第1実施形態のものと同一に構成されている。
【0024】
第2実施形態の噴射口部材1によれば、挿入部9の外周面がテーパ形状に形成されているため、図8に示すように、内周溝18のみならず、筒状部13と挿入部9との間に環状の通路も画定され、筒状部13と挿入部9との間で内溶液の通り路を比較的広く確保することができ、従来よりも圧力損失を低減することができて、より細かな噴霧を行えるようにすることができる。また、挿入部9の外周面をテーパ形状として、筒状部13と挿入部9との間で比較的広い内溶液(流体)の流れ路を確保できるため、この流れ路に内溶液(流体)を溜めることができる。これにより、この流れ路に溜まった内溶液(流体)はポンプ4のピストン4a内に設けられた吐出路などの比較的狭い路を通過することなく、噴射口11へと導かれるため、噴射口へ高い圧力をかけることができる。
【0025】
[他の実施形態]
両実施形態では、複数の旋回用溝14を備えた噴射口部材1を説明したが、発明の噴射口部材はこれに限らず、旋回用溝は1つでも複数であってもよく、又はなくてもよい。また、第1実施形態では筒状部13の内周面をテーパ形状とし、第2実施形態では挿入部9の外周面をテーパ形状としたものを説明したが、発明の噴射口部材はこれに限らず、筒状部と挿入部との間の空間が次第に増加又は減少するように、筒状部の内周面と挿入部の外周面の少なくとも一方が傾斜した傾斜形状であればよい。また、両実施形態では、筒状部13の内周面又は挿入部9の外周面の全てがテーパ形状であるものを説明したが、発明の傾斜形状はこれに限らず、例えば、筒状部の内周面の一部又は挿入部の外周面の一部を傾斜形状としてもよく、これによっても同様の作用効果を得ることができる。
【0026】
また、第1実施形態では、筒状部13の内周面が隅角が丸みを帯びた四角形状であるものを説明したが、発明の噴射口部材はこれに限らず、筒状部の内周面は四角形以外の三角形や5角形、6角径等の多角形であってもよい。また、隅部が丸みをおびておらず、鋭角な隅角で構成された多角形であってもよい。また、挿入部の外周面を多角形状又は隅角が丸みを帯びた多角形状に構成してもよい。
【0027】
また、両実施形態では、流路5と挿入部9とが筐体6と同一材料で一体に形成されているものを説明したが、発明の噴射口部材はこれに限らず、流路と挿入部と筐体6とは別々に成形されていてもよい。また、両実施形態では、噴射口部材1は、ピストン4aに接続されたものを説明したが、発明の噴射口部材は、ピストンに接続されていなくてもよく、ポンプから吐出された化粧水や薬剤などの内溶液(流体)が流路5に導かれるように構成されていれば、ポンプから吐出させるための操作部は別に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 噴射口部材
2 噴霧容器
3 容器本体
3a 口部
4 ポンプ
4a ピストン
5 流路
6 筐体
7 挿入口
7a 内周面
7b 閉塞面
8 連通孔
9 挿入部
9a 凸部
10 蓋部材
11 噴射口
12 底板
13 筒状部
14 旋回用溝
15 張出部
16 大径部
17 小径部
18 内周溝(第2実施形態)
X 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8