(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013174
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】警報装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 5/00 20060101AFI20230119BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20230119BHJP
B60Q 1/52 20060101ALI20230119BHJP
F21V 21/096 20060101ALI20230119BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20230119BHJP
【FI】
B60Q5/00 680E
G08B21/00 H
B60Q5/00 670B
B60Q5/00 650A
B60Q5/00 650B
B60Q5/00 610D
B60Q5/00 630B
B60Q5/00 660J
B60Q5/00 660A
B60Q1/52
F21V21/096
F21V23/00 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117157
(22)【出願日】2021-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 知
(72)【発明者】
【氏名】中島 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】宮本 真吾
(72)【発明者】
【氏名】角張 磨
【テーマコード(参考)】
3K014
3K339
5C086
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K339AA28
3K339BA02
3K339BA09
3K339BA10
3K339BA13
3K339BA18
3K339BA26
3K339BA30
3K339CA11
3K339CA30
3K339EA03
3K339EA04
3K339EA09
3K339FA04
3K339FA05
3K339GA01
3K339GA11
3K339GB21
3K339GC08
3K339JA21
3K339JA26
3K339KA06
3K339KA11
3K339KA37
3K339MC04
3K339MC77
3K339MC81
5C086AA54
5C086BA22
5C086CA09
5C086CA11
5C086CB15
5C086DA40
5C086EA36
5C086FA02
5C086FA11
5C086GA07
(57)【要約】
【課題】工事現場への入場頻度の高低に関わらず、入場する全ての車両に対して容易に取り付けられて、それぞれの車両に予め装備されている点灯機の照度を高くしたり、発音機の音量を大きくすることのできる警報装置を提供する。
【解決手段】警報装置80は、センサ60と警報機50とを備え、センサ60は、車両の備える点灯機もしくは発音機の近接位置に着脱自在に取り付けられ、警報機50は、センサ60から送信される検知信号を受信する受信部24、受信部24が検知信号を受信した際に警報光および/または警報音を発する発信部20,30、及び電池電源部16a、16bを備え、車両に着脱自在に取り付けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の備える点灯機もしくは発音機の近接位置に着脱自在に取り付けられる、センサと、
前記センサから送信される検知信号を受信する受信部、該受信部が該検知信号を受信した際に警報光および/または警報音を発する発信部、及び電池電源部を備え、前記車両に着脱自在に取り付けられる、警報機と、を有することを特徴とする、警報装置。
【請求項2】
前記センサと前記警報機が、伸縮自在なコードにて前記検知信号を送受信自在に繋がれていることを特徴とする、請求項1に記載の警報装置。
【請求項3】
前記センサと前記警報機はいずれも、前記車両に磁着されるマグネットを備えていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の警報装置。
【請求項4】
前記警報機は、前記受信部と前記発信部を装備するボックスを備え、
前記ボックスの外面には、前記警報光の発光と前記警報音の発音をそれぞれ作動可能もしくは作動停止とするスイッチが設けられていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の警報装置。
【請求項5】
前記ボックスの外面には、前記発信部を構成するライトとブザーが装備され、
少なくとも、前記ライトと前記ブザーと前記スイッチが防水仕様であることを特徴とする、請求項4に記載の警報装置。
【請求項6】
車両の備える前記点灯機がバックライトであり、前記発音機がバックブザーであることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の警報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工事現場においては、重機やトラックといった複数種の車両が頻繁に稼働し、車両同士の接触災害や車両と作業員との接触災害の防止が課題の一つとなっている。中でも、重機等の車両が後退する際の接触災害は、他の車両や作業員が運転者の死角に存在し得ることから、接触災害の多くの割合を占めている。
車両には、自身の後退を周囲に知らせるためのバックライト(点灯機の一例で後退灯)やバックブザー(発音機の一例)が装備されており、バックライトが点灯し、バックブザーが鳴ることによって、運転者の死角に存在する作業員や車両は速やかに退避することが可能になる。しかしながら、例えばトンネル工事現場等のように、大きな騒音環境下や薄暗い照度環境下においては、車両から発せられるバックライトの照度やバックブザーの音量が不十分であることも往々にしてあり、このような場合に接触災害が発生し得る。
そこで、例えば工事現場への入場頻度の高い車両に対して、当該工事現場の騒音環境や照度環境に対応したバックライトやバックブザーを電気的に接続することは実現可能ではあるものの、この措置(改造)には手間と時間を要することから、特に工事現場への入場頻度の低い車両に対して講じられ難いものとなる。
【0003】
以上のことから、工事現場への入場頻度の高低に関わらず、入場する全ての車両に対して、それぞれの車両に予め装備されている点灯機の照度を高くしたり、発音機の音量を大きくすることのできる警報装置が望まれる。
【0004】
ここで、特許文献1には、バリケードを築くことや誘導員をおくことなく、重機の動作中に、重機やその一部が危険ゾーンに入ることを防止する、重機の作業域監視システムである危険監視システムが提案されている。より具体的には、この危険監視システムは、移動物体及び移動物体近傍を撮像して映像信号を出力する撮像装置と、撮像装置からの映像信号を入力して映像信号の1フレーム毎に移動物体と背景を分離するとともに背景を複数のゾーンに分割し、かつ、移動物体の輪郭の少なくとも一部が所定のゾーンに位置した際に特定ゾーン侵入信号を出力する画像処理装置とを備えている。この画像処理装置は、特定ゾーンを設定する特定ゾーン設定器と、画像処理装置からの特定ゾーン侵入信号を受けて警報信号を出力する警報信号発生装置とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の危険監視システムは、撮像装置が移動物体等を撮像して映像信号を出力し、画像処理装置がこの映像信号から移動物体と背景を分離し、背景が複数に分割された所定のゾーンに移動物体が位置した際に特定ゾーン侵入信号を出力するといった、極めて複雑なシステムであることから、システムの構築コストが高価になり、上記するように、工事現場への入場頻度の高低に関わらず、入場する全ての車両に対してこのようなシステムを適用することは現実的でない。
さらに、このシステムでは、入場する車両に予め装備されている点灯機の照度を高くしたり、発音機の音量を大きくすることはできない。
【0007】
本発明は、工事現場への入場頻度の高低に関わらず、入場する全ての車両に対して容易に取り付けられて、それぞれの車両に予め装備されている点灯機の照度を高くしたり、発音機の音量を大きくすることのできる警報装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成すべく、本発明による警報装置の一態様は、
車両の備える点灯機もしくは発音機の近接位置に着脱自在に取り付けられる、センサと、
前記センサから送信される検知信号を受信する受信部、該受信部が該検知信号を受信した際に警報光および/または警報音を発する発信部、及び電池電源部を備え、前記車両に着脱自在に取り付けられる、警報機と、を有することを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、いずれも車両に対して着脱自在に取り付けられるセンサと警報機を備え、センサにて検知される、車両の点灯機や発音機から発せられる光や音に関する検知信号が警報機に送信されて当該光や音が増強された警報光や警報音を発することにより、工事現場に入場する全ての車両に簡易に取り付けることができ、各車両の備える点灯機や発音機の光や音を工事現場の状況に応じて所望に増強させることができるため、工事現場における接触災害を効果的に防止することが可能になる。
また、電池電源部にてセンサや警報機の電源が確保(内蔵)されていることから、外部電源を不要にして警報装置を車両に取り付けておくことにより、工事現場内に車両が稼働している間は警報装置も常時作動可能な状態にできる。
【0010】
ここで、工事現場における車両には、各種重機やトラック、一般車両等、様々な工事関連の移動体が含まれる。
これらの車両が工事現場に入場する際に、各車両に対して本態様の警報装置が工事管理者等から貸与され、各車両の所定位置(例えばバックライト近傍位置等)に警報装置が設置され、各車両が工事現場から退場する際に警報装置を外して工事管理者等に返還することができる。返還された警報装置の電池電源部は、次の工事日までに充電しておいたり、新規の電池に取り替えておくことにより、あらたな警報装置の作動が可能になる。
【0011】
本態様の警報装置を構成するセンサは、車両の備える点灯機(フロントライトやバックライト等)の近接位置に取り付けられることにより、これらから発せられる光を効果的に受光して検知信号を生成する。あるいは、センサが車両の備える発音機(バックブザー等)から発せられる音を受けた際にも検知信号を生成する。
ここで、工事現場が広範なエリア(多数の工区)を備え、それぞれのエリアごとに固有の騒音環境や照度環境を有している場合であって、各車両の稼働範囲が限定されている場合は、発信部にて生成される警報光と警報音を稼働するエリア(工区)に対応した照度や音量に調整するのがよい。
ここで、発信部が「警報光および/または警報音を発する」とは、警報光と警報音の双方を発することと、警報光と警報音のいずれか一方を発することを含んでおり、警報機においてそれらを選択できるスイッチ等が設けられているのが好ましい。
【0012】
また、本発明による警報装置の他の態様において、
前記センサと前記警報機が、伸縮自在なコードにて前記検知信号を送受信自在に繋がれていることを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、センサと警報機が伸縮自在なコードにて検知信号を送受信自在に繋がれていることにより、双方のいずれか一方が紛失するといった問題は生じない。また、双方が伸縮自在なコードにて繋がれていることにより、双方の離間を所望に調整しながら双方を車両に取り付けることができるため、様々な種類や大きさの車両に対応しながら、センサと警報機の双方を所望に取り付けることが可能になり、車両に対する取り付け性が良好になる。
【0014】
また、本発明による警報装置の他の態様において、
前記センサと前記警報機はいずれも、前記車両に磁着されるマグネットを備えていることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、センサと警報機がいずれも車両に磁着されるマグネットを備えていることにより、センサ等が車両から外れることを抑制できる。ここで、マグネットには様々な形態があり、例えば警報機の背面に同程度の平面寸法のマグネットが取り付けられている形態や、複数の脚を備えたベースの各脚にマグネットが取り付けられている形態などが挙げられる。また、マグネットの種類としては、高磁力なネオジム磁石によるマグネット等が適用されるのが好ましい。
【0016】
また、本発明による警報装置の他の態様において、
前記警報機は、前記受信部と前記発信部を装備するボックスを備え、
前記ボックスの外面には、前記警報光の発光と前記警報音の発音をそれぞれ作動可能もしくは作動停止とするスイッチが設けられていることを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、警報機が受信部と発信部を装備するボックスを備え、ボックスの外面に警報光の発光と警報音の発音を作動可能もしくは作動停止とするスイッチが設けられていることにより、工事現場の状況に応じて、いずれか一方もしくは双方の警報を容易に選択することが可能になる。
【0018】
また、本発明による警報装置の他の態様において、
前記ボックスの外面には、前記発信部を構成するライトとブザーが装備され、
少なくとも、前記ライトと前記ブザーと前記スイッチが防水仕様であることを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、警報機を構成するボックスの外面に装備されている、少なくともライトとブザーとスイッチが防水仕様であることにより、警報機の耐久性を高めることができる。ここで、ボックスの外面全体や、センサ、センサと警報機を繋ぐコードを含む警報装置の構成要素の全てが防水仕様であることにより、警報装置全体の耐久性を高めることができる。
【0020】
また、本発明による警報装置の他の態様において、
車両の備える前記点灯機がバックライトであり、前記発音機がバックブザーであることを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、車両の備えるバックライト(後退灯)やバックブザーの近傍にセンサが取り付けられることにより、上記するように重機等の車両が後退する際に運転者の死角に存在し得る作業員や他の車両等との接触災害を効果的に抑制することができ、このことは、工事現場における接触災害の効果的な低減に繋がる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の警報装置によれば、工事現場への入場頻度の高低に関わらず、入場する全ての車両に対して容易に取り付けられて、それぞれの車両に予め装備されている点灯機の照度を高くしたり、発音機の音量を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態に係る警報装置の全体構成の一例を示す図である。
【
図3】警報機を構成するボックスの内部を示す図である。
【
図4】防水キャップの内部にあるセンサを示す図である。
【
図5】センサと警報機の回路図の一例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る警報装置が車両の後方に取り付けられている、取り付け形態の一例を示す図である。
【
図7】実施形態に係る警報装置が車両の後方に取り付けられている、取り付け形態の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、実施形態に係る警報装置について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0025】
[実施形態に係る警報装置]
図1乃至
図7を参照して、実施形態に係る警報装置の一例について説明する。ここで、
図1は、実施形態に係る警報装置の全体構成の一例を示す図である。また、
図2は、警報装置を構成する警報機の正面図であり、
図3は、警報機を構成するボックスの内部を示す図であり、
図4は、防水キャップの内部にあるセンサを示す図である。また、
図5は、センサと警報機の回路図の一例を示す図である。
【0026】
図示する警報装置80は、工事現場内を稼働する車両の備える点灯機もしくは発音機の近接位置に着脱自在に取り付けられる、センサ60と、センサ60から送信される検知信号を受信して、警報光および/または警報音を発する警報機50とを有する。
【0027】
以下、センサ60が車両の備えるバックライト(点灯機の一例の後退灯)の点灯を検知した際に、検知信号を警報機50に送信する形態として説明するが、センサは、車両の備えるバックブザー(発音機の一例の後退音)を検知してもよいし、バックライトとバックブザーの双方を検知してもよいし、フロントライト等を検知してもよい。また、警報装置80が取り付けられる車両には、工事現場を稼働する車両の全般が含まれ、クレーンやショベル、削岩機、トンネル削孔機等の各種重機や、トンネル内を走行する門型クレーン、各種資機材を搬送するトラック、さらには一般車両等、様々な工事関連の移動体が含まれる。
【0028】
警報機50は、容器12の一側面に蝶番13を介して回動自在に前面となる蓋11が取り付けられているボックス10を備えている。
図1及び
図2に示すように、蓋11の外面には、防水処理が施されている(防水仕様の)フラッシャーライト等のライト20(発信部の一例)が取り付けられており、容器11の一側面(
図2の下側面)には、同様に防水処理が施されているブザー30(発信部の他の例)が取り付けられている。
【0029】
蓋11の裏側には、ライト20やブザー30の作動を制御する制御盤22が取り付けられている。
【0030】
蓋11の前面のうち、ライト20と異なる位置には、ライト20とブザー30の双方の作動をON/OFFするメインスイッチ14と、メインスイッチ14をONするとライト20が自動的に作動可能になることを前提として、ライト20に連動してブザー30を作動するブザー連動スイッチ15が設けられている。これらメインスイッチ14とブザー連動スイッチ15にも防水処理が施されている。ここで、図示例のスイッチユニットと異なり、メインスイッチ14に加えて、ライト20の作動をON/OFFするライトスイッチと、ブザー30の作動をON/OFFするブザースイッチが設けられていてもよい。
【0031】
図3に示すように、ボックス10の容器12の内部には、二つの電池ボックス16aとDC-DCコンバータ17が内蔵されており、各電池ボックス16aにはアルカリ乾電池等の電池が設置されるようになっており、電池ボックス16aと乾電池とにより電池電源部が形成される。
【0032】
図示例のフラッシャーライト20とブザー30の作動電圧は、例えばDC12V乃至24Vのマルチ電圧対応の発信部である。制御盤22の作動電圧が例えば12Vに設定され、2本のアルカリ乾電池(各9V)の電圧が18Vであることから、DC-DCコンバータ17にて制御盤22の作動電圧まで降圧するようになっている。
【0033】
ライト20とブザー30、及び各種のスイッチ14,15が上記するように防水仕様であることにより、発音機50の耐久性が高くなるが、ボックス10の外側面全域にも同様に防水処理が施されている場合は発音機50の耐久性が一層高くなる。
【0034】
図5は、センサと警報機の回路図の一例を示す図である。図示例の回路図では、アルカリ乾電池16bとDC-DCコンバータ17及び制御盤22が双極スイッチ19aを介して接続され、双極スイッチ19aの負荷側の回路が制御盤22と接続されている。図示例の電気系統は、ライト20に対してブザー30が連動して作動する形態であることから、ブザー30のみに回路18における単極スイッチ19bが設けられている。
【0035】
制御盤22には受信部24が装備され、センサ60から送信される検知信号を受信部24にて受信し、この受信を受けて双極スイッチ19aと単極スイッチ19bが接続されるように構成されている。
【0036】
フラッシャーライト20にて生成される警報光は、センサ60による検知信号である光よりも照度の高い光であったり、あるいは、周囲への報知性の高い点滅灯等であり、例えば、発信部において様々な種類の警報光に関するオプションが選択自在に設定されていてもよい。また、その照度の調整が可能であって、対象の工事現場に有効な照度に調整自在であってもよい。
【0037】
また、ブザー30にて生成される警報音に関しても、検知信号よりも音量の大きな音であったり、あるいは、高周波音から低周波音までの様々な音がミックスされた音等であり、発信部において様々な種類の警報音に関するオプションが選択自在に設定されていてもよく、対象の工事現場に有効な音量に調整自在であってもよい。
【0038】
図1に示すように、ボックス10を構成する容器12の背面には複数のマグネット40Aが取り付けられている。このマグネット40Aは、高磁力なネオジム磁石により形成されている。
【0039】
このように、発音機50は、二種類の発信部であるライト20とブザー30が、制御盤22や電池電源部16a、16bを内蔵したボックス10に装備された、シンプルかつポータブルな構造を有している。
【0040】
また、センサ60は、例えばCdSセル(硫化カドミウムセル)等の発光素子により形成されており、
図4に示すように防水キャップ65の内部に収容され、
図1に示すように防水キャップ65の後方にはフレキシブルシャフト67の先端が取り付けられている。フレキシブルシャフト67の後端には、フレキシブルシャフト67を含むセンサ60を車両に磁着する複数のマグネット40Bが取り付けられている。より具体的には、三点支持構造の取り付けベース41の各脚にマグネット40Bが取り付けられており、取り付けベース41にフレキシブルシャフト67の後端が取り付けられている。ここで、マグネット40Bも高磁力なネオジム磁石により形成されている。
【0041】
三点支持構造の取り付けベース41からフレキシブルシャフト67が延びてその先端にセンサ60が配設されることにより、フレキシブルシャフト67が図示例のように長く、かつ多様に変形する場合でも、これらを安定的に車両に取り付けることが可能になる。
【0042】
フレキシブルシャフト67の内部には、センサ60から通じる不図示の電気配線が延びている。フレキシブルシャフト67は自由に折り曲げ自在であるとともに、折り曲げ姿勢を保持することができる。このフレキシブルシャフト67にも防水処理が施されており、防水キャップ65とフレキシブルシャフト67とにより、センサ60とこれに通じる電気配線が雨水等から防護されるようになっている。
【0043】
フレキシブルシャフト67の後端と、警報機50を構成するボックス10の側面の一部とは、カールコード70(伸縮自在なコードの一例)にて接続されている。センサ60に通じる電気配線は、カールコード70の内部を通してボックス10の内部に延び、制御盤22に通じている。
【0044】
図1に示すように、警報機50とセンサ60(及びフレキシブルシャフト67)がカールコード70を介して変形自在かつ伸縮自在に電気的に接続されていることにより、これらのユニットであるポータブルな警報装置80を形成することができ、また、一対の警報機50とセンサ60のいずれか一方が紛失する等の問題は生じない。
【0045】
以上で説明する警報装置80を工事現場に導入することにより、以下の効果が奏される。すなわち、工事現場への入場頻度の高低に関わらず、入場する全ての車両に対して、その入場の際に警報装置80が工事管理者等から貸与され、貸与された警報装置80を構成する警報機50とセンサ60を、それらのマグネット40を介して車両の所望位置に容易に取り付けることができる。
【0046】
例えば車両のバックライトの光を検知できるように、当該バックライトの近傍(バックライトの正面)にセンサ60が位置するようにして、警報装置80が車両の後方に取り付けられる。すなわち、警報装置80の取り付けに際して、車両のバックライトに通じる回路等に改造等を加えるといった、専門的かつ手間のかかる操作は一切不要である。
【0047】
そして、工事現場において車両が稼働し、実際に後退する際には、センサ60が車両のバックライトの投光を検知し、検知信号を警報機50に送信する。検知信号を受信した警報機50は、車両の備えるバックライトやバックブザーよりも高い照度や大きな音量の警報光と警報音のいずれか一方もしくは双方を発し(図示例では、警報光のみの発光か、警報光の発光と警報音の発音の双方)、車両の後退をその後方にいる作業員や他の車両等に告知し、後退する車両との接触災害を防止する。既述するように、トンネル工事現場等のように、大きな騒音環境下や薄暗い照度環境下において、車両から発せられるバックライトの照度やバックブザーの音量が不十分な場合には特に有効である。
【0048】
そして、当該車両が工事現場における作業を終了し、工事現場から退場する際には、警報装置80が車両から容易に外され、工事管理者等に返還される。工事管理者等は、電池容量に応じて電池の交換や充電を行うことにより、次の工事日にて入場車両に対して警報装置80を再度貸与することが可能になる。
【0049】
次に、
図6及び
図7を参照して、二種類の車両に対する警報装置80の取り付け形態の一例を説明する。ここで、
図6と
図7はいずれも、実施形態に係る警報装置が車両の後方に取り付けられている、取り付け形態の一例を示す図である。
【0050】
図6に示す例は、一般車両V1のリアドアRGに対して警報装置80が取り付けられる形態である。
【0051】
リアドアRGに対して、マグネット40Aを介して警報機50を取り付け、その側方にマグネット40Bを介して取り付けベース41を取り付け、取り付けベース41から延びるフレキシブルシャフト67を曲げてその先端にあるセンサ60をバックライトBL1の正面に位置合わせする。
【0052】
一方、
図7に示す例は、トラックV2の荷台LAに対して警報装置80が取り付けられる形態である。
【0053】
荷台LAに対して、マグネット40Aを介して警報機50を取り付け、その斜め下方にマグネット40Bを介して取り付けベース41を取り付け、取り付けベース41から延びるフレキシブルシャフト67を曲げてその先端にあるセンサ60をバックライトBL1の正面に位置合わせする。
【0054】
図6及び
図7からも明らかなように、様々な車両の取り付け易い位置に、警報装置80を構成する警報機50とセンサ60は、それらに固有のマグネット40を介して脱落不可な状態で取り付けられる。また、センサ60を支持する取り付けベース41と警報機50が、伸縮自在なカールコード70にて相互の距離を可変に接続され、さらには、取り付けベース41から変位自在に延びるフレキシブルシャフト67の先端にセンサ60が取り付けられていることにより、様々な車両に対する警報装置80の高い取り付け性が奏される。
【0055】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0056】
10:ボックス
11:蓋(前面)
12:容器
13:蝶番
14:メインスイッチ(スイッチ)
15:ブザー連動スイッチ(スイッチ)
16a:電池ボックス(電池電源部)
16b:電池(電池電源部)
17:コンバータ(DC-DCコンバータ)
18:回路
19a:双極スイッチ
19b:単極スイッチ
20:ライト(フラッシャーライト、発信部)
21:CdSセル(発光素子)
22:制御盤
24:受信部
30:ブザー(発信部)
40,40A,40B:マグネット
41:取り付けベース
50:警報機
60:センサ
65:防水キャップ
67:フレキシブルシャフト
70:カールコード(伸縮自在なコード)
80:警報装置
V1:車両(一般車両)
V2:車両(トラック)
BL1,BL2:バックライト
RG:リアドア
LA:荷台