(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131748
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】情報処理プログラム、情報処理方法及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/105 20230101AFI20230914BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20230914BHJP
【FI】
G06Q10/10 320
G06N20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036678
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 諒子
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA08
(57)【要約】
【課題】異動案作成業務を効率化する情報処理プログラム、情報処理方法及び情報処理装置を提供する。
【解決手段】コンピュータに以下の処理を実行させる。1つは、特定の配属先に配属された複数の人員のうちの特定の人員に対する指定を受け付ける処理である。また、1つは、複数の人員のうち指定された特定の人員の情報を除いた有効人員の複数種類の属性情報を取得する処理である。また、1つは、有効人員の複数種類の属性情報を含む訓練データを用いて機械学習により複数種類の属性情報毎の第1重要度を推定し、特定の配属先への配属の候補とされた複数の異動候補者の複数種類の属性情報を基に、推定した第1重要度を用いて複数の異動候補者の特定の配属先に対する適性を示す情報を生成して出力する処理である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の配属先に配属された複数の人員のうちの特定の人員に対する指定を受け付け、
前記複数の人員のうち前記指定された前記特定の人員の情報を除いた有効人員の複数種類の属性情報を取得し、
前記有効人員の前記複数種類の属性情報を含む訓練データを用いて機械学習により前記複数種類の属性情報毎の第1重要度を推定し、前記特定の配属先への配属の候補とされた複数の異動候補者の前記複数種類の属性情報を基に、推定した前記第1重要度を用いて前記複数の異動候補者の前記特定の配属先に対する適性を示す情報を生成して出力する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項2】
前記有効人員の前記複数種類の属性情報のそれぞれの平均と、前記特定の配属先からの転出者の前記複数種類の属性情報のそれぞれの平均との差分を求め、前記差分の標準偏差を基に前記複数種類の属性情報毎の第1重要度を推定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
各前記第1重要度は変更可能であり、前記第1重要度が変更された場合、変更後の前記第1重要度を用いて前記複数の異動候補者の前記特定の配属先に対する適性を示す情報を再度生成して提供することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
前記訓練データを用いた前記機械学習の結果に加えて、以前の前記第1重要度の変更結果を基に前記第1重要度を推定することを特徴とする請求項3に記載の情報処理プログラム。
【請求項5】
前記訓練データを用いた前記機械学習の結果に加えて、前記特定の配属先における過去の転入者及び転出者の前記複数種類の属性情報を用いた機械学習の結果を基に前記第1重要度を推定することを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の情報処理プログラム。
【請求項6】
前記特定の配属先に対する適性を示す情報の生成方法が複数存在し、前記有効人員の前記複数種類の属性情報を含む関連情報を含む訓練データを用いて機械学習により、複数の前記生成方法のそれぞれに割り当てられた第2重要度を用いて1つの前記特定の配属先に対する適性を示す情報を生成する場合に、前記有効人員を含む対象者の中で前記有効人員の適正が高くなるように前記第2重要度を推定し、推定した前記第2重要度を用いて前記複数の異動候補者の前記特定の配属先に対する適性を示す情報を生成して出力することを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の情報処理プログラム。
【請求項7】
特定の配属先に配属された複数の人員のうちの特定の人員に対する指定を受け付け、
前記複数の人員のうち前記指定された前記特定の人員の情報を除いた有効人員の複数種類の属性情報を取得し、
前記有効人員の前記複数種類の属性情報を含む訓練データを用いて機械学習により前記複数種類の属性情報毎の第1重要度を推定し、前記特定の配属先への配属の候補とされた複数の異動候補者の前記複数種類の属性情報を基に、推定した前記第1重要度を用いて前記複数の異動候補者の前記特定の配属先に対する適性を示す情報を生成して出力する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
特定の配属先に配属された複数の人員のうちの特定の人員に対する指定を受け付ける入出力制御部と、
前記複数の人員のうち前記指定された前記特定の人員の情報を除いた有効人員の複数種類の属性情報を取得し、前記有効人員の前記複数種類の属性情報を含む訓練データを用いて機械学習により前記複数種類の属性情報毎の第1重要度を推定する重要度算出部と、
前記特定の配属先への配属の候補とされた複数の異動候補者の前記複数種類の属性情報を基に、重要度算出部により推定された前記第1重要度を用いて前記複数の異動候補者の前記特定の配属先に対する適性を示す情報を生成して出力するスコア算出部と
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理プログラム、情報処理方法及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
企業などの各種組織では、組織の活性化や合理化を目指すために定期的に人事異動業務のオペレーションが発生する。特に、公共団体等においては年次で人事異動イベントが発生し、一定の職員数が異動対象者となり再配置が行われる。人事異動での配置先を検討するフローとしては、異動対象者の抽出、自己申告書の集約及び所属長ヒアリング等を経て、職員の配置を変更するための異動案の作成及び調整が実施される。
【0003】
このような人事異動業務での異動案作成作業において、空きポストに対する各候補者の適切さは、複数の観点から総合的に評価されることが重要である。例えば、観点例として、空きポストの要件に対して異動候補者の属性が類似しているかどうか、異動候補者の異動希望に沿うポストであるか、部署毎に所属する職員に特色がありその特色に異動候補者が適するかなどがある。異動候補者の属性としては、年齢、成績及び残業時間といった人事項目がそれにあたる。また、所属する職員に特色には、どのような部署をどのような順番で経験したかといった異動歴などが含まれる。
【0004】
このような複数の観点からの評価が要求される異動案作成業務において、異動候補の職員数及び異動対象ポスト部署の数が多い場合、考慮する要素が多く、配置の組み合わせを決定する処理は負荷が高い。また、配置のノウハウが暗黙知として扱われることも多く、新しく異動案作成業務に携わる職員にとってそのようなノウハウの利用は容易ではない。このようなことから、人事担当者にとって異動案作成業務は負荷が高い業務の1つである。そこで、異動案作成業務については、処理を容易にする改善がなされ、効率化が図られることが好ましい。
【0005】
なお、システムにおけるハードウェアの交換に関する技術として、現行システムと新システムとの間の差分を解析するにあたり、アプリケーションが改修されている部分を解析対象から除外したうえで分析を行う技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、異動案作成において、空きポストに対する異動候補者の適切さを測る複数の観点は、組織の中で一律に定めることは非常に困難であり、完全な自動化は現実的には難しい。これは、部署や職種等の違いにより、異なる判断基準が存在するためである。つまり、パラメータの人手での調整が実際は避けられず、その調整のし易さは業務の効率化にとって重要な要素である。この点、従来の異動案作成業務では、人事担当者が部署や職種毎に複数の観点について人事異動の過去の実績や自分の経験などから評価を与え配置の組み合わせを決定していた。そのため、異動案作成業務を効率化することは困難であった。
【0008】
また、アプリケーションが改修されている部分を解析対象から除外し新旧システム間の相違原因の解析を行う技術では、相違原因を分析し易くすることはできるが、複数の観点からの評価を容易にすることは困難である。
【0009】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、異動案作成業務を効率化する情報処理プログラム、情報処理方法及び情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願の開示する情報処理プログラム、情報処理方法及び情報処理装置の一つの態様において、以下の処理をコンピュータに実行させる。1つは、特定の配属先に配属された複数の人員のうちの特定の人員に対する指定を受け付ける処理である。また、1つは、前記複数の人員のうち前記指定された前記特定の人員の情報を除いた有効人員の複数種類の属性情報を取得する処理である。また、1つは、前記有効人員の前記複数種類の属性情報を含む訓練データを用いて機械学習により前記複数種類の属性情報毎の第1重要度を推定し、前記特定の配属先への配属の候補とされた複数の異動候補者の前記複数種類の属性情報を基に、推定した前記第1重要度を用いて前記複数の異動候補者の前記特定の配属先に対する適性を示す情報を生成して出力する処理である。
【発明の効果】
【0011】
1つの側面では、本発明は、異動案作成業務を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施例に係る異動候補者推奨装置のブロック図である。
【
図2】
図2は、異動候補者推奨処理の概要を示す図である。
【
図3】
図3は、実施例で用いるスコアリング手法を説明するための図である。
【
図4】
図4は、異動候補者推奨画面の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施例に係る異動候補者推奨装置による異動候補者推奨処理のフローチャートである。
【
図6】
図6は、異動候補者推奨装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本願の開示する情報処理プログラム、情報処理方法及び情報処理装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例により本願の開示する情報処理プログラム、情報処理方法及び情報処理装置が限定されるものではない。
【実施例0014】
図1は、実施例に係る異動候補者推奨装置のブロック図である。情報処理装置である異動候補者推奨装置1は、端末装置2から入力された人事データを基に、配属先への異動候補者の適正の評価結果を利用者に提供して異動案作成業務を補助するための装置である。
図2は、異動候補者推奨処理の概要を示す図である。ここで、
図2を用いて、異動候補者推奨装置1による異動候補者推奨処理の概要について説明する。
【0015】
異動候補者推奨装置1は、人事データ20を取得する。人事データ20には、配属先のポストの情報、各異動候補者の氏名及び属性が含まれる。異動候補者の属性には、年齢、成績及び残業時間といった人事項目が含まれる。異動候補者推奨装置1は、人事データ20の入力を受けると、以下の推奨処理を実行する(ステップS1)。
【0016】
異動候補者推奨装置1は、過去の人事異動情報から異動候補者推奨処理に用いる各パラメータの初期値を探索する(ステップS11)。過去の人事異動情報には、前回の人事異動で配属先のポストに配置された職員のうち妥協により配置された職員を除いた職員の情報などが含まれる。異動候補者推奨処理に用いるパラメータには、配属先のポストの要件、使用する複数のスコアリング手法のそれぞれで用いる情報、スコアリング手法毎の重要度及び各スコアリング手法で用いられる情報のそれぞれの重要度などが含まれる。次に、異動候補者推奨装置1は、人事データ20に含まれる異動候補者の情報を用いて教師なし学習を行い、スコアリング手法毎の推奨モデルを用いて各異動候補者のスコアを算出する(ステップS12)。
【0017】
その後、異動候補者推奨装置1は、算出した異動候補者それぞれのスコアを提供して、配属先のポストに対して推奨する異動候補者の情報を利用者Pに通知する(ステップS2)。利用者Pは、スコアリング手法や各スコアリング手法で用いられる各情報の重要度を初期値から変更することが可能である。重要度の変更が行われた場合、異動候補者推奨装置1は、変更された重要度を用いて再度スコアを計算して利用者Pに再計算後のスコアを提供する。
【0018】
利用者Pは、異動候補者推奨装置1が実行する異動候補者推奨処理により提供されたスコアを参照して異動候補者の中から配属先のポストへ配属する職員を決定する。そして、利用者Pは、配属結果及び配属を決定した職員の中に妥協して決定した職員がいる場合には妥協配置であることを示す情報を異動候補者推奨装置1に入力する。異動候補者推奨装置1は、利用者Pから入力された配属結果及び妥協配置であることを示す情報を記憶する。そして異動候補者推奨装置1は、記憶した今回の配属結果及び妥協配置であることを示す情報を、次回の初期値探索処理(ステップS11)に利用する。
【0019】
次に、異動候補者推奨装置1の詳細について説明する。異動候補者推奨装置1は、
図1に示すように、表示部11、入力部12、入出力制御部13、記憶部14、スコア算出部15及び初期値算出部16を有する。
【0020】
図3は、実施例で用いるスコアリング手法を説明するための図である。ここで、本実施例では、配属先のポストに対する各候補者の適性の程度を算出するスコアリング手法として、候補者等価性を用いたスコアリング手法31、本人希望の有無を用いたスコアリング手法32及び異動履歴を用いたスコアリング手法33の3つのスコアリング手法を用いる。スコアリング手法31~33は、それぞれ配属先のポストに応じて重要度が異なる。
【0021】
スコアリング手法31は、人事項目を総合的に加味した際の配属先のポストとの距離の近さでスコアを算出する推奨モデルを用いる手法である。例えば、スコアリング手法31では、人配属先のポストから転出した転出者の属性の平均と各異動候補者の属性との差分を基に各異動候補者の適正を表すスコアが求められる。ここで、スコアリング手法31は、スコア算出に際して使用する属性情報として複数の人事項目が用いられる。例えば、スコアリング手法31で用いられる人事項目には、年齢、成績及び残業時間などがある。
図3は、スコアリング手法31において3つの評価項目を用いてスコアが算出される場合を示す。配属先のポストに応じて要求される能力が異なることから、この評価項目についても、配属先のポストに応じて重要度が異なる。
【0022】
スコアリング手法32は、本人の異動希望に応じて異動候補者の適性を表すスコアを求める推奨モデルを用いる手法である。例えば、自己申告書の希望欄とポストが一致した場合に、その希望順位に応じた一定の加点がスコアに与えられる。具体的には、異動希望が第3希望まで取得されている場合、第1希望の場合が最も高く、第3希望の場合に最も低くなるように希望順位に応じてスコアに加算が行われる。
【0023】
スコアリング手法33は、過去にどの様なポストに所属したかに応じてスコアを求める推奨モデルを用いる手法である。例えば、配属先のポストにおいて、他の特定のポストの経験が活かせることが考えられる。そこで、過去の所属履歴から、ポストへのスコアが算出される。
【0024】
図1に戻って各部の説明を続ける。表示部11は、モニタなどである。入力部12は、キーボードやマウスといった情報の入力を行う機器である。利用者Pは、表示部11を参照して、入力部12を用いて異動候補者推奨装置1に対して情報の入力を行う。
【0025】
入出力制御部13は、人事データ20の入力を端末装置2から受ける。そして、入出力制御部13は、人事データ20から配属先のポストの情報を取得して初期値算出部16へ出力する。配属先のポストの情報には、そのポストを特定する情報及びそのポストから転出した転出者の人事項目の情報が含まれる。その後、入出力制御部13は、配属先のポストに応じたポスト要件である各人事項目の初期値、各スコアリング手法31~33の重要度の初期値及びスコアリング手法31において用いられる各人事項目の重要度の初期値の情報を含む各種初期値の情報の入力を初期値算出部16から受ける。
【0026】
また、入出力制御部13は、人事データ20から異動候補者それぞれの人事項目の情報、各異動候補者の異動希望の情報及び各異動候補者の異動履歴の情報を含む各異動候補者の情報を取得する。そして、入出力制御部13は、取得した各異動候補者の情報をスコア算出部15へ出力する。その後、入出力制御部13は、各異動候補者のスコアの入力をスコア算出部15から受ける。
【0027】
図4は、異動候補者推奨画面の一例を示す図である。入出力制御部13は、取得した各種初期値の情報及び各異動候補者のスコアを用いて
図4に示す異動候補者推奨画面100を生成して、表示部11に表示させる。
【0028】
異動候補者推奨画面100には、配属先のポスト要件を表すポスト要件表101及び各異動候補者の適正評価の結果を表す適正評価表102が配置される。さらに、異動候補者推奨画面100には、各スコアリング手法31~33の重要度調整用のミキサー103、スコアリング手法31で用いる各人事項目の重要度調整用のミキサー104及び保存ボタン105が配置される。
【0029】
入出力制御部13は、ポスト要件表101に、異動予定年度111、ポスト部署名112及び人事項目113~115の欄を設ける。入出力制御部13は、ポスト部署名112に配属先のポストの情報を登録する。配属先のポストの単位は、
図4に示すように課単位でもよいし、部単位でもよいし、より細かい単位でもよい。また、入出力制御部13は、人事項目113~115に配属先のポストの要件となる人事項目の初期値を登録する。
【0030】
また、入出力制御部13は、各スコアリング手法31~33の重要度の初期値を示すようにミキサー103のつまみ131~133の位置を調整する。さらに、入出力制御部13は、スコアリング手法31で用いる各人事項目の重要度の初期値を示すようにミキサー104のつまみ141~143の位置を調整する。
【0031】
また、入出力制御部13は、適正評価表102に、順位121、識別情報122、人事項目123~125、スコア126、配置決定状況127及び妥協配置情報128の欄を設ける。識別情報122は、異動候補者を識別するための情報であり、本実施例では氏名が登録される。入出力制御部13は、順位121にしたがいスコア順に識別情報122に各異動候補者の氏名を登録する。また、入出力制御部13は、人事項目123~125にポストの要件となる人事項目に対応する各異動候補者の人事項目の値を登録する。さらに、入出力制御部13は、スコア126に、スコア算出部15により算出された各異動候補者のスコアを登録する。
【0032】
入出力制御部13は、以上の登録を行って異動候補者推奨画面100の初期画面を生成する。そして、入出力制御部13は、生成した異動候補者推奨画面100の初期画面を表示部11に表示させる。
【0033】
その後、入力部12からミキサー103のつまみ131~133及びミキサー104のつまみ141~143のいずれかもしくはいくつかが移動されて重要度の変更が入力された場合、入出力制御部13は、変更後の各重要度の情報をスコア算出部15へ出力する。そして、入出力制御部13は、スコアの再計算をスコア算出部15に依頼する。その後、入出力制御部13は、再計算された各異動候補者のスコアの入力をスコア算出部15から受ける。そして、入出力制御部13は、異動候補者推奨画面100のつまみ131~133及び141~143を指定された位置に変更するとともに、新たに算出された各異動候補者のスコアをスコア126の欄に登録する。この際、スコアの変化により順位に変動が発生した場合、入出力制御部13は、異動候補者の順位を新たなスコアに応じて修正する。そして、入出力制御部13は、入力された重要度に応じて新たに生成したな異動候補者推奨画面100を表示部11に表示させる。
【0034】
また、特定の異動候補者の配置の決定を示す情報が入力部12から入力された場合、入出力制御部13は、選択された特定の異動候補者に応じた配置決定状況127の欄に選択を表す情報を登録する。さらに、選択された異動候補者の中でいずれかの異動候補者の選択について妥協配置であることを示す情報が入力部12から入力された場合、入出力制御部13は、その異動候補者に応じた妥協配置情報128の欄に妥協配置を示すフラグを設定する。この配属先のポストに対する妥協配置であることを示す情報の入出力制御部13への入力が、「特定の配属先に配属された複数の人員のうちの特定の人員に対する指定を受け付け」の一例にあたる。そして、入出力制御部13は、入力された配置の決定を示す情報及び妥協配置を示す情報に応じて新たに生成した異動候補者推奨画面100を表示部11に表示させる。
【0035】
また、配置決定状況127の欄に入力が行われた後に保存ボタン105が入力部12を用いて押下された場合、入出力制御部13は、その時点でのミキサー103及び104で表される各スコアリング手法31~33の重要度及びの情報及びスコアリング手法31で用いる各人事項目の重要度の情報を記憶部14に記憶させる。さらに、入出力制御部13は、配置決定状況127の欄に選択を表す情報が付加された異動候補者のうち、妥協配置情報128の欄に妥協配置であることを示すフラグが付加されていない異動候補者を選択して、選択した各異動候補者の人事項目123~125に示された情報を記憶部14に記憶させる。
【0036】
記憶部14は、各年に行われた人事異動の結果、すなわち、どのポストにどの異動候補者が配属されたかや配属された各異動候補者の人事項目を含む属性を記憶して蓄積する。また、記憶部14は、各年で設定されたスコアリング手法31~33のそれぞれの重要度及びスコアリング手法31で用いられる人事項目のそれぞれの重要度を記憶して蓄積する。また、記憶部14は、各配属先のポストにおいてスコアリング手法31で評価対象となるポスト要件である人事項目の種類を記憶する。
【0037】
初期値算出部16は、異動候補者を推奨する対象となる配属先のポストの情報の入力を入出力制御部13から受ける。次に、初期値算出部16は、配属先のポストの情報から、そのポストから転出した各転出者の人事項目の情報を取得する。さらに、初期値算出部16は、その配属先のポストのポスト要件である人事項目の種類を記憶部14から取得する。そして、初期値算出部16は、その人事項目の種類毎にそのポストから転出した各転出者の平均値を算出して、その配属先のポストに応じたポスト要件である人事項目の初期値とする。
【0038】
また、初期値算出部16は、異動候補者を推奨する対象となる配属先のポストに応じた各スコアリング手法31~33の重要度の初期値を算出する。以下に、初期値算出部16による各スコアリング手法31~33の重要度の初期値の算出方法を説明する。以下では、異動候補者を推奨する対象となる配属先のポストを、「異動対象ポスト」と呼ぶ。
【0039】
初期値算出部16は、各部署における職員の人事項目の値などの過去のデータから各部署をグルーピングする。例えば、初期値算出部16は、図示しない人事部のデータベースなどからこれらの情報を取得する。次に、初期値算出部16は、グループ毎に過去に実際に配置された職員の人事項目、異動希望及び異動履歴の情報を取得する。そして、初期値算出部16は、グループ毎に、最もスコアの精度が良くなる、すなわち実際に配置された職員のスコアがなるべく上位になるように各スコアリング手法31~33の重要度の組み合わせを算出する。この算出された重要度を、過去のデータに基づくスコアリング重要度と呼ぶ。
【0040】
次に、初期値算出部16は、前回の人事異動において手動調整された後の異動対象ポストにおける各スコアリング手法31~33の重要度の初期値を記憶部14から取得する。この取得した重要度の初期値を、前回のスコアリング重要度の初期値と呼ぶ。
【0041】
次に、初期値算出部16は、前年度の人事異動で再配置され且つ妥協配置の情報が付加されていない職員である有効配置職員の情報を取得する。次に、初期値算出部16は、各部署をグルーピングした各グループ単位で、最もスコアの精度が良くなる、すなわち有効配置職員のスコアがなるべく上位になるように教師無し機械学習を行って各スコアリング手法31~33の重要度の組み合わせを算出する。この算出された組み合わせを、妥協配置を除いて算出したスコアリング重要度と呼ぶ。
【0042】
その後、初期値算出部16は、過去のデータに基づくスコアリング重要度、前回のスコアリング重要度の初期値及び妥協配置を除いて算出したスコアリング重要度の平均を算出する。そして、初期値算出部16は、算出した値を異動対象ポストにおける各スコアリング手法31~33の重要度の今回の初期値とする。この異動対象ポストにおける各スコアリング手法31~33の重要度が、「第2重要度」の一例にあたる。
【0043】
また、初期値算出部16は、異動対象ポストについてスコアリング手法31で用いられるポスト要件である人事項目のそれぞれについての重要度の初期値を算出する。以下では、異動対象ポストについてスコアリング手法31で用いられるポスト要件である人事項目を、「異動対象ポストの人事項目」と呼ぶ。以下に、初期値算出部16による異動対象ポストの人事項目のそれぞれについての重要度の初期値の算出方法を説明する。
【0044】
初期値算出部16は、各部署をグルーピングした各グループにおける異動時の転出者の人事項目の値を取得して、各人事項目の平均値を算出する。また、初期値算出部16は、各グループにおける転入者の人事項目の値を記憶部14から取得して、各人事項目の値の平均を算出する。次に、初期値算出部16は、各人事項目について転出者平均の値と転入者平均の値との差分をグループ毎に算出する。ここで、転出者平均の値と転入者平均の値との差分が0に近ければ近いほど前回の異動において等価交換が重視されたと考えられる。
【0045】
そこで、初期値算出部16は、各人事項目について差分の標準偏差を確認する。次に、初期値算出部16は、差分の標準偏差が大きい人事項目については等価交換度が低いとして予め決められた重要度の値から重要度を下げる。また、初期値算出部16は、差分の標準偏差が小さい人事項目については等価交換度が高いとして予め決められた重要度の値から重要度を上げる。その後、初期値算出部16は、各人事項目の重要度について正規化を行い、人事項目同士のスケールを合わせる。これにより、初期値算出部16は、グループ毎の各人事項目についての重要度を決定する。その後、初期値算出部16は、異動対象ポストが属するグループの各人事項目の重要度の初期値の中から、異動対象ポストの人事項目のそれぞれについての重要度を取得する。この取得した重要度を、過去データによる人事項目重要度と呼ぶ。
【0046】
また、初期値算出部16は、異動対象ポストについて前回の異動時の手動調整後の最終的な各人事項目の重要度の値を記憶部14から取得する。この取得した重要度の初期値を、前回の人事項目重要度の初期値と呼ぶ。この前回の異動時の手動調整後の最終的な各人事項目の重要度の値が、「以前の前記第1重要度の変更結果」の一例にあたる。
【0047】
また、初期値算出部16は、各部署をグルーピングしたグループ毎に、前年度の人事異動で再配置され且つ妥協配置の情報が付加されていない職員である有効配置職員の情報を取得する。この初期値算出部16による情報の取得が、「複数の人員のうち指定された特定の人員の情報を除いた有効人員の複数種類の属性情報の取得」の一例にあたる。この場合、前年度の人事異動で再配置され且つ妥協配置の情報が付加されていない職員が「有効人員」の一例にあたる。次に、初期値算出部16は、異動対象ポストの人事項目のそれぞれについて転出者平均の値と有効配置職員の平均の値との差分を求める。次に、初期値算出部16は、差分の標準偏差を求め、差分の標準偏差が大きいほど重要度を下げ且つ小さいほど重要度を上げるように教師無し機械学習を行って重要度を調整する。この調整を行って、初期値算出部16は、重要度の精度が最良となる、すなわち有効配置職員のスコアがなるべく上位になるように各異動対象ポストの人事項目についての重要度の組み合わせをグループ毎に算出する。この算出された組み合わせを、妥協配置を除いて算出した人事項目重要度と呼ぶ。
【0048】
その後、初期値算出部16は、過去のデータに基づく人事項目重要度、前回の人事項目重要度の初期値及び妥協配置を除いて算出した人事項目重要度の平均を算出する。そして、初期値算出部16は、算出した値を異動対象ポストの人事項目それぞれの重要度の今回の初期値とする。この異動対象ポストの人事項目それぞれの重要度が、「第1重要度」の一例にあたる。
【0049】
その後、初期値算出部16は、異動対象ポストの各人事項目の初期値、異動対象ポストにおける各スコアリング手法31~33の重要度の今回の初期値及び異動対象ポストの人事項目それぞれの重要度の今回の初期値の情報を入出力制御部13へ出力する。この初期値算出部16が、「重要度算出部」の一例にあたる。
【0050】
スコア算出部15は、異動候補者それぞれの人事項目の情報、各異動候補者の異動希望の情報及び各異動候補者の異動履歴の情報を含む各異動候補者の情報を入出力制御部13から取得する。さらに、スコア算出部15は、異動対象ポストの各人事項目の初期値、異動対象ポストにおける各スコアリング手法31~33の重要度の今回の初期値及び異動対象ポストの人事項目それぞれの重要度の今回の初期値の情報を入出力制御部13から取得する。そして、スコア算出部15は、各異動候補者の情報、並びに、異動対象ポストの各人事項目の初期値及び各重要度の値を用いて、各異動候補者の異動対象ポストに対する適性を示す情報であるスコアを算出する。
【0051】
例えば、スコアリング手法31であれば、スコア算出部15は、異動対象ポストの人事項目について転出者の平均と各異動候補者の値とをベクトル空間に表す。そして、スコア算出部15は、転出者の平均のベクトルと各異動候補者のベクトルとの距離をスコアとして表現する。ここでは、スコア算出部15は、スコアを0~1の間の数字で表現する。
【0052】
また、スコアリング手法32であれば、スコア算出部15は、各異動候補者について、異動希望の第1希望~第3希望の中に異動対象ポストが存在する場合、その順位にしたがってスコアを与える。例えば、スコア算出部15は、異動希望の中に異動ポストが無ければスコアを0とし、第3希望であればスコアを0.3とし、第2希望であればスコアを0.6とし、第1希望であればスコアを1とする。
【0053】
また、スコアリング手法33であれば、スコア算出部15は、異動対象ポストに配属された各職員の過去の所属歴を取得する。そして、スコア算出部15は、異動対象ポストに配属された各職員の過去の所属歴と各異動候補者についての異動歴との差分をスコアとして表す。この場合、スコア算出部15は、差が小さければスコアが高くなり、差がおおきければスコアが低くなるようにスコアを算出する。
【0054】
その後、スコア算出部15は、スコアリング手法31~33のそれぞれを用いて算出したスコアの合計を各異動候補者のスコアとする。そして、スコア算出部15は、各異動候補者のスコアを入出力制御部13へ出力する。
【0055】
その後、重要度が利用者Pにより変更された場合、スコア算出部15は、変更後の重要度の入力を入出力制御部13から受ける。その場合、スコア算出部15は、各異動候補者の情報、並びに、異動対象ポストの各人事項目の初期値及び新たな各重要度の値を用いて、各異動候補者のスコアを再計算する。この再計算が、「第1重要度が変更された場合の変更後の第1重要度を用いた複数の異動候補者の特定の配属先に対する適性を示す情報の再度の生成」の一例にあたる。その後、スコア算出部15は、再計算された各異動候補者のスコアを入出力制御部13へ出力する。
【0056】
図5は、実施例に係る異動候補者推奨装置による異動候補者推奨処理のフローチャートである。次に、
図5を参照して、本実施例に係る異動候補者推奨装置1による異動候補者推奨処理の流れについて説明する。
【0057】
入出力制御部13は、人事データ20を端末装置2から受信する(ステップS101)。そして、入出力制御部13は、人事データ20に含まれる配属先のポストの情報を取得して初期値算出部16へ出力する。
【0058】
初期値算出部16は、配属先のポストの情報から異動対象ポストに在籍する職員の人事項目の情報を取得して平均値を算出して初期値とする。また、初期値算出部16は、過去のデータに基づくスコアリング重要度、前回のスコアリング重要度の初期値及び妥協配置を除いて算出したスコアリング重要度を算出して平均を求め、異動対象ポストにおける各スコアリング手法31~33の重要度の初期値とする。また、初期値算出部16は、過去のデータに基づく人事項目重要度、前回の人事項目重要度の初期値及び妥協配置を除いて算出した人事項目重要度を算出して平均を求め、異動対象ポストの人事項目それぞれの重要度の初期値とする(ステップS102)。その後、初期値算出部16は、算出した各初期値を入出力制御部13へ出力する。
【0059】
次に、入出力制御部13は、人事データ20から取得した異動候補者それぞれの人事項目の情報、各異動候補者の異動希望の情報及び各異動候補者の異動履歴の情報を含む各異動候補者の情報をスコア算出部15へ出力する。また、入出力制御部13は、初期値算出部16により算出された各初期値をスコア算出部15へ出力する。スコア算出部15は、異動候補者毎に、異動対象ポストの人事項目それぞれの重要度を用いてスコアリング手法31のスコアを算出する。また、スコア算出部15は、異動候補者毎に、異動希望異及び動履歴を用いてスコアリング手法32及び33のそれぞれのスコアを算出する。そして、スコア算出部15は、各スコアリング手法31~33のそれぞれのスコア及び重要度を用いて、異動候補者毎のスコアを算出する(ステップS103)。その後、スコア算出部15は、算出した異動候補者毎のスコアを入出力制御部13へ出力する。
【0060】
入出力制御部13は、異動対象ポストの人事項目の初期値、各スコアリング手法31~33の重要度、異動対象ポストの人事項目の重要度及び異動候補者のスコアを登録して異動候補者推奨画面100を生成し、表示部11に表示させる(ステップS104)。
【0061】
その後、入出力制御部13は、入力部12からの入力により各重要度が変更されたか否かを判定する(ステップS105)。重要度が変更された場合(ステップS105:肯定)、異動候補者推奨処理は、ステップS103へ戻る。
【0062】
これに対して、重要度が変更されていない場合(ステップS105:否定)、入出力制御部13は、配属先のポストへの配属が決定した異動候補者の選択結果及び妥協配置の情報を入力部12から取得する(ステップS106)。そして、入出力制御部13は、選択結果及び妥協配置の情報を異動候補者推奨画面100に追加して表示部11に表示させる。
【0063】
その後、入出力制御部13は、異動候補者推奨画面100における保存ボタン105が入力部12を用いて選択されたか否かにより、保存指示を受信したか否かを判定する(ステップS107)。保存指示を受信していない場合(ステップS107:否定)、入出力制御部13は、ステップS105へ戻る。
【0064】
これに対して、保存指示を受信した場合(ステップS107:肯定)、入出力制御部13は、今回の異動における、重要度の調整結果、配属先のポストへの配属が決定された候補者の選択結果及び妥協配置情報を記憶部14に記憶させて保存する(ステップS108)。異動候補者推奨装置1は、人事異動のオペレーションが発生し異動案作成業務が行われるたびに、各位配属先のポストについて以上の処理を実行する。
【0065】
以上に説明したように、本実施例に係る異動候補者推奨装置は、配属先のポスト毎の過去の履歴や、前回の調整結果及び妥協配置であることを示す情報を用いて教師なし学習を行う。これにより、本実施例に係る異動候補者推奨装置は、適正評価に用いるスコアリング手法毎の重要度及び各スコアリング手法で用いられる各人事項目の重要度の初期値を算出して、利用者に提供する。さらに、異動候補者推奨装置は、調整された重要度に応じて各異動候補者のスコアを算出してスコアに応じた順位を付加して利用者に提供する。これにより、異動案作成業務を行う利用者は、部署や職種等の違いによる異なる判断基準にしたがった各重要度の初期値を容易に把握することができる。また、適切な候補者がいないため妥協して配属させた異動候補者の情報を除くことで、部署や職種等の違いによる異なる判断基準をより適切に各重要度の初期値に反映することができる。すなわち、異動案作成業務を行う利用者は、配属先のポストが求める評価に応じた各異動候補者のスコアを基に配属する異動候補者を決定することが容易となり、異動案作成業務の効率化を図ることが可能となる。
【0066】
(ハードウェア構成)
図6は、異動候補者推奨装置のハードウェア構成図である。次に、
図6を参照して、実施例に係る異動候補者推奨装置1のハードウェア構成の一例について説明する。
【0067】
異動候補者推奨装置1は、例えば、
図6に示すように、CPU(Central Processing Unit)91、メモリ92、ハードディスク93、ネットワークインタフェース94、表示装置95及び入力装置96を有する。CPU91は、バスを介してメモリ92、ハードディスク93、ネットワークインタフェース94、表示装置95及び入力装置96に接続される。
【0068】
表示装置95は、モニタなどであり、
図1に例示した表示部11の機能を実現する。また、入力装置96は、キーボードやマウスなどであり、
図1に例示した入力部12の機能を実現する。
【0069】
ネットワークインタフェース94は、異動候補者推奨装置1と外部の装置との間の通信のためのインタフェースである。例えば、ネットワークインタフェース94は、CPU91と端末装置2との間の通信を中継する。
【0070】
ハードディスク93は、補助記憶装置である。ハードディスク93は、例えば、
図1に例示した記憶部14の機能を実現する。また、ハードディスク93は、
図1に例示した、入出力制御部13、スコア算出部15及び初期値算出部16の機能を実現するプログラムを含む各種プログラムを格納する。
【0071】
メモリ92は、主記憶装置である。メモリ92は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などを用いることができる。
【0072】
CPU91は、ハードディスク93から各種プログラムを読み出してメモリ92に展開して実行する。これにより、CPU91は、
図1に例示した、入出力制御部13、スコア算出部15及び初期値算出部16の機能を実現する。