(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131773
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】ホタテガイ加工装置及びホタテガイ加工品の製造方法
(51)【国際特許分類】
A22C 29/04 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
A22C29/04
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036722
(22)【出願日】2022-03-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】592182274
【氏名又は名称】株式会社石巻アパラタス
(74)【代理人】
【識別番号】100131026
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 博
(74)【代理人】
【識別番号】100194124
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 まゆみ
(72)【発明者】
【氏名】菅原 康裕
【テーマコード(参考)】
4B011
【Fターム(参考)】
4B011MC04
(57)【要約】
【課題】加工歩留まりを向上させ、品質及び作業効率を向上させることができるホタテガイ加工装置、及び、ホタテガイ加工品の製造方法を提供する。
【解決手段】挟み手段31により中腸線M1と貝柱M2との境目を挟み、保持手段21により貝柱側を保持して、挟み手段31及び保持手段21のうちの少なくとも一方を移動させて分離する。挟み手段31により中腸腺M1と貝柱M2との境目を挟む際には、一対の挟み先端部31Cが、中腸腺M1の重心M7と貝柱M2の重心M8とを結ぶ直線L1に対する垂線L2に沿って移動するようにする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホタテガイのむき身から中腸腺を取り除くホタテガイ加工装置であって、
ホタテガイのむき身の中腸腺と貝柱とを分けるようにその境目を挟む挟み手段と、
ホタテガイのむき身の貝柱側を保持する保持手段と、
前記挟み手段により中腸腺と貝柱との境目を挟み、前記保持手段により貝柱側を保持した状態から、中腸腺と貝柱とを分離するように前記挟み手段及び前記保持手段のうちの少なくとも一方を移動させる分離動作制御手段と、
前記挟み手段により中腸腺と貝柱との境目を挟む際に、中腸腺と貝柱との境目を挟む一対の挟み先端部が、中腸腺の重心と貝柱の重心とを結ぶ直線に対する垂線に沿って移動するように位置を調整する位置調整手段と
を備えたことを特徴とするホタテガイ加工装置。
【請求項2】
前記挟み手段により中腸腺と貝柱との境目を挟む際のホタテガイのむき身を撮影する挟み用撮影手段と、
前記挟み用撮影手段により得られた画像、及び、ホタテガイのむき身の厚みを用いて、中腸腺の重心及び貝柱の重心を算出し、中腸腺の重心と貝柱の重心とを結ぶ直線に対する垂線の位置を算出する垂線算出手段と
を備えたことを特徴とする請求項1記載のホタテガイ加工装置。
【請求項3】
前記挟み手段により中腸腺と貝柱との境目を挟む際に、前記一対の挟み先端部の移動速度を、前記一対の挟み先端部の間隔が最も離れた位置から15mmから25mmの範囲内の中間位置まで移動する第1範囲と、前記一対の挟み先端部の間隔が前記中間位置から最も近づく位置まで移動する第2範囲とで、前記第1範囲に比べて前記第2範囲の方を遅くするように制御する速度制御手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のホタテガイ加工装置。
【請求項4】
ホタテガイのむき身を撮影する重さ算出用撮影手段と、
前記重さ算出用撮影手段により得られた画像、及び、ホタテガイのむき身の厚みを用いて、中腸腺を除いたホタテガイのむき身の重さを算出する重さ算出手段を備え、
前記保持手段は、中腸腺を除いたホタテガイのむき身の重さに応じ分類して保持することができるように複数設けられ、
前記挟み手段は、前記重さ算出手段により得られた重さに応じて、前記複数の保持手段のうち対応する1つとの間で中腸腺と貝柱とを分離する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1に記載のホタテガイ加工装置。
【請求項5】
処理前のホタテガイのむき身を載置する複数の載置位置が設けられた載置台と、
前記載置台に処理前のホタテガイのむき身を載置する載置手段とを備え、
前記載置手段は、前記複数の載置位置に対し順番にホタテガイのむき身を載置し、
前記挟み手段は、前記複数の載置位置に対し順番に載置されたホタテガイのむき身について、順番に中腸腺と貝柱との境目を挟む
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1に記載のホタテガイ加工装置。
【請求項6】
ホタテガイのむき身から中腸腺を取り除いたホタテガイ加工品の製造方法であって、
ホタテガイのむき身の中腸腺と貝柱とを分けるようにその境目を挟み手段により挟む挟み手順と、
前記挟み手段により挟んだホタテガイのむき身の貝柱側を保持手段により保持する保持手順と、
前記挟み手段により中腸線と貝柱との境目を挟み、前記保持手段により貝柱側を保持した後、中腸腺と貝柱とを分離するように前記挟み手段及び前記保持手段のうちの少なくとも一方を移動させる分離手順とを含み、
前記挟み手順では、前記挟み手段の中腸腺と貝柱との境目を挟む一対の挟み先端部を、中腸腺の重心と貝柱の重心とを結ぶ直線に対する垂線に沿って移動させる
ことを特徴とするホタテガイ加工品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホタテガイのむき身から中腸腺(いわゆるウロ)を除去するホタテガイ加工装置、及び、ホタテガイのむき身から中腸腺を除去したホタテガイ加工品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホタテガイの中腸腺、いわゆるウロは、生物濃縮により貝毒や重金属が集中するので、取り除いて食されている。従来は、手作業により貝柱(すなわち閉殻筋)から中腸腺を取り除く作業を行っていた。
【0003】
しかし、手作業では多くの人手が必要となるにもかかわらず、近年における労働人口の減少により作業員の確保が難しいという問題があった。また、手作業では作業効率が悪く、水揚げ量の増加に対して素早く対応することが難しく、コストもかさんでしまうという問題もあった。更に、手作業により貝柱を傷つけずに中腸腺を取り除くには相応の技術と経験が必要であり、作業員の熟練度により品質にむらが生じてしまうという問題や、作業員の集中力低下やミスにより品質の低下が起こってしまうという問題もあった。加えて、手作業の場合、作業員が目に付いたホタテガイから処理をするので、長い間処理されないホタテガイもでてしまい、鮮度にむらが生じてしまうという問題もあった。
【0004】
そこで、近年、ホタテガイのむき身から中腸腺を除去する加工装置の開発が進んでいる。例えば、特許文献1には、ホタテガイのむき身をカメラにより撮像し、それにより得られた位置及び向きの情報に基づいてホタテガイのむき身の向きを調節し、貝柱と中腸腺とを分けるようにその境目を挟み、貝柱側を中腸腺側から離す方向に引っ張ることにより、貝柱と中腸腺とを分離するホタテガイ加工装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、中腸腺の付き方は、ホタテガイにより個体差があるので、加工装置により一律に処理しようとしても、中腸腺が取り切れずに残ってしまう場合があった。また、中腸腺の両側から貝柱の周りを囲むヒモは、中腸腺の一方側が厚く、他方側が薄くなっており、中腸腺はヒモの厚い方に傾いているので、他方側の一部に取り残しが生じやすかった。そのため、加工歩留まりが低下したり、品質が低下してしまうという問題があった。また、加工装置により加工した後に、人手により検査し、残っている中腸腺を取り除く作業が必要となり、手間がかかるという問題もあった。
【0007】
本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、加工歩留まりを向上させ、品質及び作業効率を向上させることができるホタテガイ加工装置、及び、ホタテガイ加工品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のホタテガイ加工装置は、ホタテガイのむき身から中腸腺を取り除くものであって、ホタテガイのむき身の中腸腺と貝柱とを分けるようにその境目を挟む挟み手段と、ホタテガイのむき身の貝柱側を保持する保持手段と、挟み手段により中腸腺と貝柱との境目を挟み、保持手段により貝柱側を保持した状態から、中腸腺と貝柱とを分離するように挟み手段及び保持手段のうちの少なくとも一方を移動させる分離動作制御手段と、挟み手段により中腸腺と貝柱との境目を挟む際に、中腸腺と貝柱との境目を挟む一対の挟み先端部が、中腸腺の重心と貝柱の重心とを結ぶ直線に対する垂線に沿って移動するように位置を調整する位置調整手段とを備えたものである。
【0009】
本発明のホタテガイ加工品の製造方法は、ホタテガイのむき身から中腸腺を取り除いたホタテガイ加工品を製造するものであって、ホタテガイのむき身の中腸腺と貝柱とを分けるようにその境目を挟み手段により挟む挟み手順と、挟み手段により挟んだホタテガイのむき身の貝柱側を保持手段により保持する保持手順と、挟み手段により中腸線と貝柱との境目を挟み、保持手段により貝柱側を保持した後、中腸腺と貝柱とを分離するように挟み手段及び保持手段のうちの少なくとも一方を移動させる分離手順とを含み、挟み手順では、挟み手段の中腸腺と貝柱との境目を挟む一対の挟み先端部を、中腸腺の重心と貝柱の重心とを結ぶ直線に対する垂線に沿って移動させるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、挟み手段により中腸腺と貝柱との境目を挟む際に、一対の挟み先端部が、中腸腺の重心と貝柱の重心とを結ぶ直線に対する垂線に沿って移動するようにしたので、中腸腺の取り残しを削減することができ、品質及び作業効率を向上させることができる。
【0011】
また、一対の挟み先端部の移動速度を、最も離れた位置から15mmから25mmの範囲内の中間位置まで移動する第1範囲と、中間位置から最も近づく位置まで移動する第2範囲とで、第1範囲に比べて第2範囲の方を遅くするようにしたので、ホタテガイのむき身に接してからゆっくりと挟むことができ、中腸腺と貝柱とをより綺麗に分離することができる。
【0012】
更に、保持手段を複数設け、中腸腺を除いたホタテガイのむき身の重さに応じて、複数の保持手段のうち対応する1つと挟み手段との間で中腸腺と貝柱とを分離するようにしたので、中腸腺を除いたホタテガイのむき身の重さに応じて分類して処理、回収することができる。
【0013】
加えて、載置台に複数の載置位置を設け、載置手段により複数の載置位置に対し順番にホタテガイのむき身を載置し、複数の載置位置に対し順番に載置されたホタテガイのむき身について、挟み手段により順番に中腸腺と貝柱との境目を挟むようにしたので、効率よく処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】本発明の一実施の形態に係るホタテガイ加工装置の全体構成を表す図である。
【
図6】挟み手段により中腸腺と貝柱との境目を挟む位置を説明する図である。
【
図7】従来のホタテガイ加工装置において中腸腺と貝柱との境目を挟む位置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、ホタテガイのむき身Mの構成を表すものである。ホタテガイのむき身Mは、貝柱(すなわち閉殻筋)M2と、その一端部側に位置する中腸腺M1とを有しており、中腸腺M1の一方の側には口M3がある。口M3のあたりから貝柱M2の片側に沿って、腸管M4及び生殖腺M5があり、貝柱M2、腸管M4、及び、生殖腺M5等の周りにはヒモ(すなわち外套膜)M6がある。なお、
図1、及び、後述する
図6、7においては、分かりやすくするために中腸腺M1に網掛けを付して示している。
【0017】
図2は、本発明の一実施の形態に係るホタテガイ加工装置1の全体構成を表すものである。
図3~5は、
図2に示したホタテガイ加工装置1の構成の一部を拡大して表すものである。ホタテガイ加工装置1は、例えば、ボイルしたホタテガイのむき身Mから中腸腺M1を取り除くものである。このホタテガイ加工装置1は、例えば、処理前のホタテガイのむき身Mを準備する準備部10と、ホタテガイのむき身Mから中腸腺M1を取り除く処理部20と、準備部10からホタテガイのむき身Mを挟んで処理部20に移動させる移動部30とを備えている。
【0018】
準備部10は、例えば、処理前のホタテガイのむき身Mを載置する載置台11と、処理前のホタテガイのむき身Mを載置台11の近傍まで搬送するコンベヤ等の搬送手段12と、搬送手段12により搬送されてきたホタテガイのむき身Mを載置台11に載置する載置手段13とを備えている。載置台11には、ホタテガイのむき身Mを載置する複数の載置位置11Aが設けられていることが好ましく、載置手段13は、複数の載置位置11Aに対し順番にホタテガイのむき身Mを載置するように構成されていることが好ましい。処理速度を向上させることができるからである。載置位置11Aには、負圧にすることによりホタテガイのむき身Mを吸着する吸着パッドが配設されていることが好ましい。載置手段13は、例えば、負圧にすることによりホタテガイのむき身Mを吸着して移動させるように構成されていることが好ましい。
【0019】
準備部10は、また、例えば、搬送手段12により搬送されてきたホタテガイのむき身Mを撮影するカメラ等の載置用撮影手段14と、載置用撮影手段14により得られた画像情報を用いてホタテガイのむき身Mの位置及び向きを認識する位置向き認識手段15とを備えていることが好ましい。載置用撮影手段14は、例えば、搬送手段12の上に配設されている。位置向き認識手段15は、例えば、ホタテガイのむき身Mの向きとして、ホタテガイのむき身Mにおいて中腸腺M1が位置する方向を認識するように構成されている。位置向き認識手段15は、例えば、コンピュータにより構成することができ、画像処理によりホタテガイのむき身Mの位置及び向きを求めることができる。
【0020】
また、載置手段13は、例えば、位置向き認識手段15により得られたホタテガイのむき身Mの位置及び向きの情報に基づき、搬送手段12からホタテガイのむき身Mを吸着して持ち上げ、ホタテガイのむき身Mの向きが所定の方向になるように調節し載置台11に載置するように構成されていることが好ましい。具体的には、載置手段13は、例えば、ホタテガイのむき身Mを吸着する吸着手段13Aと、吸着手段13Aを水平方向において回転させることによりホタテガイのむき身Mの向きを調節する回転手段13Bと、吸着手段13A及び回転手段13Bを移動させてホタテガイのむき身Mを載置台11に載置する載置動作手段13Cとを有していることが好ましい。載置台11に載置する際のホタテガイのむき身Mの向きは、例えば、中腸腺M1が移動部30の方(具体的には、後述する挟み手段31の方)に位置するようにする。
【0021】
処理部20は、例えば、ホタテガイのむき身Mの貝柱側(すなわち閉殻筋側)を保持する保持手段21と、ホタテガイのむき身Mを載置する処理台22とを備えている。保持手段21は、例えば、ホタテガイの貝柱側を両側から掴む一対の掴み部材21Aを有している。一対の掴み部材21Aは、例えば、少なくとも掴む側が互いに接近及び離間するように移動可能とされており、ホタテガイの貝柱側を両側から囲い込むように構成されていることが好ましい。例えば、一対の掴み部材21Aは、それぞれ、先端部、外側面部、及び、上面部が覆われ、内部に内側が開口された中空部が形成されており、閉じた時にホタテガイの貝柱側を覆うことができるように構成されていることが好ましい。ホタテガイのむき身Mが跳ね上がることを防止して確実に回収するためである。一対の掴み部材21Aは、例えば、ステンレス等の金属や、高分子ポリエチレン等の樹脂により構成することができる。
【0022】
保持手段21は、中腸腺M1を除いたホタテガイのむき身Mの重さに応じ、分類してホタテガイの貝柱側を保持することができるように複数設けられていることが好ましい。
図2では、4個の保持手段21を設け、中腸腺M1を除いたホタテガイのむき身Mの重さに応じ、例えば、特大、大、中、小というように4つに分類して処理することができるように構成されている。
【0023】
処理台22は、例えば、ステンレス等の金属や、高分子ポリエチレン等の樹脂により構成され、載置台11と連続して設けられていることが好ましい。処理台22には、例えば、保持手段21に対応して、中腸腺M1を取り除いた処理後のホタテガイのむき身Mを回収するためのむき身回収口23が設けられている。むき身回収口23は、保持手段21に対応して複数設けられていることが好ましい。中腸腺M1を除いたホタテガイのむき身Mの重さに応じ、分類して処理後のホタテガイのむき身Mを回収するためである。なお、処理後のホタテガイのむき身Mは、一対の掴み部材21Aを一体として処理台22の上で一方向に移動させることによりむき身回収口23に移動させるようにしてもよいが、次に処理するホタテガイのむき身Mが配置されることにより押されて移動するようにしてもよい。
【0024】
むき身回収口23の下には、むき身回収口23から落下された処理後のホタテガイのむき身Mを案内する案内部材24が配置されており、案内部材24の先にはむき身回収容器25が配置されている。案内部材24は、例えば、ホタテガイのむき身を案内する傾斜面を有しており、傾斜面を傾斜方向に振動させることができるように構成されていることが好ましい。傾斜面に張り付いたホタテガイのむき身Mを振動により転がり落とすためである。
【0025】
処理台22には、また、例えば、取り除いた中腸腺M1を回収するための中腸腺回収口26が設けられており、中腸腺回収口26の下には中腸腺回収容器27が配置されている。中腸腺回収口26は、1つでもよいが、保持手段21に対応して複数設けられていてもよい。
【0026】
移動部30は、例えば、ホタテガイのむき身の中腸腺と貝柱とを分けるようにその境目を挟む挟み手段31を備えている。挟み手段31は、例えば、互いに接近及び離間するように移動可能な一対の接近離間部材31Aと、載置台11に載置されたホタテガイのむき身Mについて、一対の接近離間部材31Aにより貝柱M2と中腸腺M1との境目を両側から挟み、保持手段21に移動させる移動動作手段31Bとを有している。一対の接近離間部材31Aは、例えば、それぞれ、先端部に中腸腺M1と貝柱M2との境目を挟む挟み先端部31Cが設けられており、外側面部、及び、上面部は覆われて、内部に内側が開口された中空部が形成されていることが好ましい。閉じた時に中腸腺M1を覆い跳ね上がることを防止するためである。一対の接近離間部材31Aは、例えば、ステンレス等の金属や、高分子ポリエチレン等の樹脂により構成することができる。また、挟み手段31は、載置台11に設けられた複数の載置位置11Aに対し順番に載置されたホタテガイのむき身Mについて、順番に中腸腺M1と貝柱M2との境目を挟んで移動させるように構成されていることが好ましい。
【0027】
移動部30は、また、例えば、挟み手段31により中腸腺M1と貝柱M2との境目を挟み、保持手段21によりホタテガイのむき身Mの貝柱側を保持した状態から、中腸腺M1と貝柱M2とを分離するように挟み手段31及び保持手段21のうちの少なくとも一方を移動させる分離動作制御手段32を備えている。分離動作制御手段32は、具体的には、例えば、一対の接近離間部材31Aにより中腸腺M1と貝柱M2との境目を挟んで保持手段21に移動させ、一対の掴み部材21Aによりホタテガイのむき身Mの貝柱側を挟んだ後、一対の接近離間部材31Aと一対の掴み部材21Aとを離す方向(例えば、一対の接近離間部材31Aを一対の掴み部材21Aから離す方向)に移動させるように構成されている。
【0028】
移動部30は、更に、例えば、載置台11に載置されたホタテガイのむき身Mを撮影するカメラ等の挟み用撮影手段33と、載置台11に載置されたホタテガイのむき身Mの厚みを測定するレーザー変位センサ等の厚み測定手段34と、挟み用撮影手段33により得られた画像、及び、厚み測定手段34により得られたホタテガイのむき身Mの厚みを用いて、中腸腺M1の重心M7及び貝柱M2の重心M8を算出し、中腸腺M1の重心M7と貝柱M2の重心M8とを結ぶ直線L1に対する垂線L2の位置を算出する垂線算出手段35と、挟み手段31により中腸腺M1と貝柱M2との境目を挟む際に、中腸腺M1と貝柱M2との境目を挟む一対の挟み先端部31Cが、垂線算出手段35により算出した垂線L2に沿って移動するように位置を調整する位置調整手段36とを備えていることが好ましい。
【0029】
図6に、本実施の形態の挟み手段31により中腸腺M1と貝柱M2との境目を挟む位置を示す。また、
図7に従来のホタテガイ加工装置において中腸腺M1と貝柱M2との境目を挟む位置を示す。一般に、ホタテガイのむき身Mでは、ヒモM6の厚みは中腸腺M1の一方側が厚く、他方側の薄くなっているために、中腸腺M1はヒモM6の厚い方に傾いている。そのため、従来のホタテガイ加工装置では、中腸腺M1を貝柱M2との境目の両端部から挟んでいたので、挟む位置が中腸腺M1の重心M7からずれてしまい、他方側の一部が残りやすかった(
図7参照)。なお、従来のように中腸腺M1を貝柱M2との境目の両端部から挟んだ場合には、一対の挟み先端部131Cは、中腸腺M1の重心M7と貝柱M2の重心M8とを結ぶ直線L1に対して斜めに交差する直線L3に沿って移動するようになる(
図7参照)。これに対して、本実施の形態のホタテガイ加工装置1では、一対の挟み先端部31Cを中腸腺M1の重心M7と貝柱M2の重心M8とを結ぶ直線L1に対する垂線L2に沿って移動させるので、中腸腺M1の重心M7からのずれを小さくすることができ、中腸腺M1の取り残しを削減することが可能となる(
図6参照)。
【0030】
挟み用撮影手段33は、挟み手段31により中腸腺M1と貝柱M2との境目を挟む際のホタテガイのむき身Mを撮影するものであり、例えば、載置台11の上に載置位置11Aに対応して配設されている。厚み測定手段34はホタテガイのむき身Mの厚みを測定するものであり、例えば、載置台11の上に載置位置11Aに対応して配設されている。ホタテガイのむき身Mの厚みとしては、例えば、中腸線M1の厚み及び貝柱M2の厚みをそれぞれ測定するようにしてもよいが、貝柱M2の厚みを代表して測定するようにしてもよい。垂線算出手段35において中腸腺M1の重心M7を求める際に、中腸線M1の厚みを貝柱M2の厚みと同一としても、十分な精度を得ることができるからである。
【0031】
垂線算出手段35は、例えば、コンピュータにより構成することができる。中腸腺M1の重心M7及び貝柱M2の重心M8は、例えば、挟み用撮影手段33により得られた画像から中腸腺M1の面積及び貝柱M2の面積を求め、それらに厚み測定手段34により得られた厚み、及び、標準となる密度を掛けて概略の重さを算出することによりそれぞれの重心位置を求めることができる。中腸腺M1及び貝柱M2の面積は、例えば、人工知能を用いることにより求めることが好ましい。具体的には、例えば、機械学習により中腸腺M1及び貝柱M2の特徴を学習させた学習モデルに基づいて中腸腺M1及び貝柱M2を特定し、中腸腺M1及び貝柱M2の画像範囲から面積を求めることができる。なお、垂線算出手段35では、例えば、中腸腺M1の重心M7と貝柱M2の重心M8とを結ぶ直線L1と、中腸腺M1と貝柱M2との境目との交点M9を通る垂線L2の位置を算出することが好ましい。すなわち、位置調整手段36により、一対の挟み先端部31Cが、中腸腺M1の重心M7と貝柱M2の重心M8とを結ぶ直線L1に対して垂直であり、かつ、中腸腺M1の重心M7と貝柱M2の重心M8とを結ぶ直線L1と、中腸腺M1と貝柱M2との境目との交点M9を通る垂線L2に沿って移動するように調整することが好ましい。より高い効果を得ることができるからである。
【0032】
移動部30は、加えて、例えば、挟み手段31により中腸腺M1と貝柱M2との境目を挟む際における一対の挟み先端部31Cの移動速度を制御する速度制御手段を備えていることが好ましい。速度制御手段は、例えば、一対の挟み先端部31Cの間隔が最も離れた位置から15mmから25mmの範囲内の中間位置まで移動する第1範囲と、一対の挟み先端部31Cの間隔が中間位置から最も近づく位置まで移動する第2範囲とで、第1範囲に比べて第2範囲の方を遅くするように構成されていることが好ましい。ホタテガイのむき身M(例えば、中腸腺M1)に接してからゆっくりと挟むことにより、中腸腺M1と貝柱M2とを綺麗に分離することができるからである。速度制御手段は、例えば、スプリングプランジャーにより構成することができる。
【0033】
移動部30は、更にまた、ホタテガイのむき身Mを撮影するカメラ等の重さ算出用撮影手段と、重さ算出用撮影手段により得られた画像、及び、ホタテガイのむき身Mの厚みを用いて、中腸腺M1を除いたホタテガイのむき身Mの重さを算出する重さ算出手段37とを備えていることが好ましい。中腸腺M1を除いたホタテガイのむき身Mの重さに応じて、処理後のホタテガイのむき身Mを分類して回収するためである。重さ算出用撮影手段は、例えば、載置用撮影手段14又は挟み用撮影手段33と共通とし、これらに重さ算出用撮影手段としての機能を持たせるようにしてもよく、また、これらとは別に設けるようにしてもよい。なお、本実施の形態では、挟み用撮影手段33に重さ算出用撮影手段としての機能も持たせている。
【0034】
重さ算出手段37は、例えば、コンピュータにより構成することができる。中腸腺M1を除いたホタテガイのむき身Mの重さは、例えば、例えば、重さ算出用撮影手段でもある挟み用撮影手段33により得られた画像から処理前のホタテガイのむき身Mの面積及び中腸腺M1の面積を求め、それらに厚み、及び、標準となる密度を掛けて概略の重さを算出して、処理前のホタテガイのむき身Mの重さから中腸腺M1の重さを引くことにより求めることができる。ホタテガイのむき身Mの厚みは、例えば、厚み測定手段34により得られた値を用いることができる。ホタテガイのむき身Mの重さ及び中腸線M1の重さを算出する際には、例えば、それらの厚みとして、貝柱M2の厚みを用いるようにしてもよい。貝柱M2の厚みを代表して又は替わりに用いても十分な精度を得ることができるからである。重さ算出手段37は、一部を位置調整手段36と共通とし、位置調整手段36で求めた値を用いるようにしてもよい。
【0035】
なお、保持手段21は、上述したように、重さ算出手段37により得られた重さに対応して複数設けられていることが好ましい。また、挟み手段31は、重さ算出手段37により得られた重さに応じて、対応する保持手段21にホタテガイのむき身Mを移動させ、複数の保持手段21のうち対応する1つとの間で中腸腺M1と貝柱M2とを分離するように構成されることが好ましい。
【0036】
このホタテガイ加工装置1は、例えば、ボイルしたホタテガイのむき身Mから中腸腺M1を取り除いたホタテガイ加工品を製造する際に、次のようにして用いられる。
【0037】
まず、例えば、準備部10において、処理前のホタテガイのむき身Mを搬送手段12により載置台11の近傍まで搬送し、載置用撮影手段14によりホタテガイのむき身Mを撮像する。次いで、位置向き認識手段15により、載置用撮影手段14により得られた画像情報を用い、ホタテガイのむき身Mの位置及び向きを検出する(位置向き認識手順)。続いて、載置手段13により、位置向き認識手段15により得られた情報に基づき、ホタテガイのむき身Mを吸着し、持ち上げて、ホタテガイのむき身Mの向きが所定の方向になるように調節して載置台11に載置する(載置手順)。その際、載置手段13は、載置台11に設けられた複数の載置位置11Aに対し順番にホタテガイのむき身Mを載置することが好ましい。
【0038】
次に、例えば、移動部30において、挟み用撮影手段33により載置台11に載置されたホタテガイのむき身Mを撮影すると共に、厚み測定手段34によりホタテガイのむき身Mの厚みを測定する。次いで、垂線算出手段35により、例えば、挟み用撮影手段33により得られた画像、及び、厚み測定手段34により得られたホタテガイのむき身Mの厚みを用いて、中腸腺M1の重心M7及び貝柱M2の重心M8を算出し、中腸腺M1の重心M7と貝柱M2の重心M8とを結ぶ直線L1に対する垂線L2の位置を算出する(垂線算出手順)。算出する垂線L2の位置は、例えば、中腸腺M1の重心M7と貝柱M2の重心M8とを結ぶ直線L1と、中腸腺M1と貝柱M2との境目との交点M9を通る垂線L2とすることが好ましい。続いて、位置調整手段36により、例えば、一対の挟み先端部31Cが垂線算出手段35により算出した垂線に沿って移動するように挟み手段31の位置を調整する(位置調整手順)。また、重さ算出手段37により、例えば、重さ算出用撮影手段でもある挟み用撮影手段33により得られた画像、及び、厚み測定手段34により得られたホタテガイのむき身Mの厚みを用いて、中腸腺M1を除いたホタテガイのむき身Mの重さを算出する(重さ算出手順)。
【0039】
その後、挟み手段31により、載置台11に載置されたホタテガイのむき身Mの中腸腺M1と貝柱M2との境目を一対の接近離間部材31Aにより挟み、保持手段21に移動させる(挟み手順)。その際、位置調整手段36により挟み手段31の位置が調整されているので、一対の挟み先端部は、中腸線M1の重心M7と貝柱M2の重心M8とを結ぶ直線L1に対する垂線L2に沿って移動する。
【0040】
また、挟み手段31は、載置台11に設けられた複数の載置位置11Aに対し載置手段13により順番に載置されたホタテガイのむき身Mについて、順番に挟んで移動させるようにすることが好ましい。更に、挟み手段31は、重さ算出手段37により得られた重さに応じてホタテガイのむき身Mを分類し、複数の保持手段21のうちの対応する1つの保持手段21に移動させることが好ましい。加えて、挟み手段31によりホタテガイのむき身Mを挟む際には、速度制御手段により、一対の挟み先端部31Cの移動速度を調整し、間隔が最も離れた位置から15mmから25mmの範囲内の中間位置まで移動する第1範囲よりも、中間位置から最も近づく位置まで移動する第2範囲を遅くすることが好ましい。
【0041】
続いて、例えば、処理部20において、挟み手段31により挟まれたホタテガイのむき身Mの貝柱側を保持手段21により保持し、分離動作制御手段32により、中腸腺M1と貝柱M2とを分離するように挟み手段31及び保持手段21のうちの少なくとも一方を移動させる(分離手順)。具体的には、例えば、一対の接近離間部材31Aを一対の掴み部材21Aから離す方向に移動させる。これにより、中腸腺M1と貝柱M2とが分離される。分離された中腸腺M1は中腸腺回収口26に回収され、中腸腺M1が取り除かれた処理後のホタテガイのむき身Mは、例えば、挟み手段31により次に処理するホタテガイのむき身Mが配置されることにより押されてむき身回収口23に回収される。
【0042】
このように、本実施の形態によれば、挟み手段31により中腸腺M1と貝柱M2との境目を挟む際に、一対の挟み先端部31Cが、中腸腺M1の重心M7と貝柱M2の重心M8とを結ぶ直線L1に対する垂線L2に沿って移動するようにしたので、中腸腺M1の取り残しを削減することができ、品質及び作業効率を向上させることができる。
【0043】
また、一対の挟み先端部31Cの移動速度を、最も離れた位置から15mmから25mmの範囲内の中間位置まで移動する第1範囲と、中間位置から最も近づく位置まで移動する第2範囲とで、第1範囲に比べて第2範囲の方を遅くするようにしたので、ホタテガイのむき身Mに接してからゆっくりと挟むことができ、中腸腺M1と貝柱M2とをより綺麗に分離することができる。
【0044】
更に、保持手段21を複数設け、中腸腺M1を除いたホタテガイのむき身Mの重さに応じて、複数の保持手段21のうち対応する1つと挟み手段31との間で中腸腺M1と貝柱M2とを分離するようにしたので、中腸腺M1を除いたホタテガイのむき身Mの重さに応じて分類して処理、回収することができる。
【0045】
加えて、載置台11に複数の載置位置11Aを設け、載置手段13により複数の載置位置11Aに対し順番にホタテガイのむき身Mを載置し、複数の載置位置11Aに対し順番に載置されたホタテガイのむき身Mについて、挟み手段31により順番に中腸腺M1と貝柱M2との境目を挟むようにしたので、効率よく処理することができる。
【0046】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、各構成要素について具体的に説明したが、全ての構成要素を備えていなくてもよく、他の構成要素を備えていてもよい。
【0047】
また、各構成要素の具体的な構成は、異なっていてもよい。例えば、上記実施の形態では、位置向き認識手段15において載置用撮影手段14により得られた画像を画像処理することによりホタテガイのむき身Mの位置及び向きを求めるようにしたが、他の方法によりもとめるようにしてもよい。更に、上記実施の形態では、垂線算出手段35において垂線L2を算出する方法について具体的に説明したが、他の方法により算出するようにしてもよい。加えて、上記実施の形態では、重さ算出手段37において中腸腺M1を除いたホタテガイのむき身Mの重さを算出する方法について具体的に説明したが、他の方法により算出するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
ホタテガイの加工に用いることができる。
【符号の説明】
【0049】
1…ホタテガイ加工装置、10…準備部、11…載置台、11A…載置位置、12…搬送手段、13…載置手段、13A…吸着手段、13B…回転手段、13C…載置動作手段、14…載置用撮影手段、15…位置向き認識手段、20…処理部、21…保持手段、21A…掴み部材、22…処理台、23…むき身回収口、24…案内部材、25…むき身回収容器、26…中腸腺回収口、27…中腸腺回収容器、30…移動部、31…挟み手段、31A…接近離間部材、31B…移動動作手段、31C…挟み先端部、32…分離動作制御手段、33…挟み用撮影手段、34…厚み測定手段、35…垂線算出手段、36…位置調整手段、37……重さ算出手段、M…ホタテガイのむき身、M1…中腸腺、M2…貝柱(閉殻筋)、M3…口、M4…腸管、M5…生殖腺、M6…ヒモ(外套膜)M7…中腸腺の重心、M8…貝柱の重心、M9…交点、L1…中腸腺M1の重心と貝柱M2の重心とを結ぶ直線、L2…中腸腺M1の重心と貝柱M2の重心とを結ぶ直線に対する垂線
【手続補正書】
【提出日】2022-08-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホタテガイのむき身から中腸腺を取り除くホタテガイ加工装置であって、
ホタテガイのむき身の中腸腺と貝柱とを分けるようにその境目を挟む挟み手段と、
ホタテガイのむき身の貝柱側を保持する保持手段と、
前記挟み手段により中腸腺と貝柱との境目を挟み、前記保持手段により貝柱側を保持した状態から、中腸腺と貝柱とを分離するように前記挟み手段及び前記保持手段のうちの少なくとも一方を移動させる分離動作制御手段と、
前記挟み手段により中腸腺と貝柱との境目を挟む際に、中腸腺と貝柱との境目を挟む一対の挟み先端部が、中腸腺の重心と貝柱の重心とを結ぶ直線に対する垂線に沿って移動するように位置を調整する位置調整手段と、
前記挟み手段により中腸腺と貝柱との境目を挟む際のホタテガイのむき身を撮影する挟み用撮影手段と、
前記挟み用撮影手段により得られた画像、及び、ホタテガイのむき身の厚みを用いて、中腸腺の重心及び貝柱の重心を算出し、中腸腺の重心と貝柱の重心とを結ぶ直線に対する垂線の位置を算出する垂線算出手段と
を備えたことを特徴とするホタテガイ加工装置。
【請求項2】
前記挟み手段により中腸腺と貝柱との境目を挟む際に、前記一対の挟み先端部の移動速度を、前記一対の挟み先端部の間隔が最も離れた位置から15mmから25mmの範囲内の中間位置まで移動する第1範囲と、前記一対の挟み先端部の間隔が前記中間位置から最も近づく位置まで移動する第2範囲とで、前記第1範囲に比べて前記第2範囲の方を遅くするように制御する速度制御手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のホタテガイ加工装置。
【請求項3】
ホタテガイのむき身を撮影する重さ算出用撮影手段と、
前記重さ算出用撮影手段により得られた画像、及び、ホタテガイのむき身の厚みを用いて、中腸腺を除いたホタテガイのむき身の重さを算出する重さ算出手段を備え、
前記保持手段は、中腸腺を除いたホタテガイのむき身の重さに応じ分類して保持することができるように複数設けられ、
前記挟み手段は、前記重さ算出手段により得られた重さに応じて、前記複数の保持手段のうち対応する1つとの間で中腸腺と貝柱とを分離する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のホタテガイ加工装置。
【請求項4】
処理前のホタテガイのむき身を載置する複数の載置位置が設けられた載置台と、
前記載置台に処理前のホタテガイのむき身を載置する載置手段とを備え、
前記載置手段は、前記複数の載置位置に対し順番にホタテガイのむき身を載置し、
前記挟み手段は、前記複数の載置位置に対し順番に載置されたホタテガイのむき身について、順番に中腸腺と貝柱との境目を挟む
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1に記載のホタテガイ加工装置。
【請求項5】
ホタテガイのむき身から中腸腺を取り除いたホタテガイ加工品の製造方法であって、
ホタテガイのむき身の中腸腺と貝柱とを分けるようにその境目を挟み手段により挟む挟み手順と、
前記挟み手段により挟んだホタテガイのむき身の貝柱側を保持手段により保持する保持手順と、
前記挟み手段により中腸線と貝柱との境目を挟み、前記保持手段により貝柱側を保持した後、中腸腺と貝柱とを分離するように前記挟み手段及び前記保持手段のうちの少なくとも一方を移動させる分離手順と、
前記挟み手段により中腸腺と貝柱との境目を挟む際のホタテガイのむき身を撮影して得られた画像、及び、ホタテガイのむき身の厚みを用いて、中腸腺の重心及び貝柱の重心を算出し、中腸腺の重心と貝柱の重心とを結ぶ直線に対する垂線の位置を算出する垂線算出手順とを含み、
前記挟み手順では、前記挟み手段の中腸腺と貝柱との境目を挟む一対の挟み先端部を、中腸腺の重心と貝柱の重心とを結ぶ直線に対する垂線に沿って移動させる
ことを特徴とするホタテガイ加工品の製造方法。