(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131806
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/639 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036767
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000132057
【氏名又は名称】ウイトコオブジュピター電通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【弁理士】
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】清藤 俊亨
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA08
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB07
5E021FC31
5E021HA01
5E021HB11
5E021HC08
(57)【要約】
【課題】プラグ又はソケットを回転させるだけで、プラグとソケットとを簡単に分離可能としたコネクタを提供する。
【解決手段】ソケット本体31は、外向き環状突条部31aと、外向き環状突条部31aからソケット本体31の他方側に向けて突出すると共に、外向き環状突条部31aの突出高さと略同一高さのロック解除突部31bとを有する。プラグ本体21は、径方向に弾性変形可能で、かつ先端部に設けたロック爪部23cが外向き環状突条部31aに係合してソケット本体31からの抜け止めを行う弾性係合片23bを有する。ソケット本体31とプラグ本体21とを互いに接続した状態で、ソケット本体31又はプラグ本体21を軸線回りに回転させることで、所定の位置でロック爪部23cがロック解除突部31bに乗り上げて外向き環状突条部31aとの係合が解除される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側が開口し、他方側が閉塞した略有底円筒状のソケット本体に導電部材を設けたソケットと、前記ソケット本体に対向する側の一方側が開口し、他方側が閉塞した略有底円筒状のプラグ本体に導電部材を設けたプラグとを備えて、前記ソケット本体と前記プラグ本体とを互いに軸線方向へ接続することで、それぞれの前記導電部材が電気的に接続されるようにしたコネクタにおいて、
前記ソケットは、前記ソケット本体の一方側の外周にあって、外向きに突出した外向き環状突条部と、前記外向き環状突条部から前記ソケット本体の他方側に向けて突出すると共に、前記外向き環状突条部の突出高さと略同一高さのロック解除突部とを有し、
前記プラグは、前記プラグ本体の一方側にあって、径方向に弾性変形可能で、かつ先端部に設けたロック爪部が前記プラグ本体に挿入される前記ソケット本体の前記外向き環状突条部に係合して、前記ソケット本体からの抜け止めを行う弾性係合片を有し、
前記ソケット本体と前記プラグ本体とを互いに接続した状態で、前記ソケット本体又は前記プラグ本体を軸線回りに回転させることで、所定の位置で前記ロック爪部が前記ロック解除突部に乗り上げて前記外向き環状突条部との係合が解除されるようにしたことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ロック爪部及び前記ロック解除突部の少なくともいずれか一方の周方向を向く側を、周方向へ向けて傾斜させたことを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記プラグ本体は、ケーブルに接続されるボディと、前記ボディの外周に回転可能に外嵌される外筒カップリングとを含み、
前記弾性係合片を前記外筒カップリングに設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のソケット。
【請求項4】
前記プラグ本体は、前記ソケット本体に挿入可能な差込部の外周に突部を有し、
前記ソケット本体の内周面に、前記差込部が前記ソケット本体に挿入された際、前記突部を誘導して前記ソケット本体と前記プラグ本体との互いの回転位置を整合させるようにした傾斜カム部を設けたことを特徴とする請求項3記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルの接続に使用されるロック付きのコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
コネクタは、ケーブル(電線)に接続されたプラグと、当該ブラグに対して軸線方向に電気的に接続及び分離可能なソケットとを備える。例えば、特許文献1に記載されているロック付きのコネクタは、プラグ(特許文献1においては、プラグ2)に設けた弾性係合片(同じく、弾性係合片6)の先端部に設けたロック爪部(同じく、係止爪7)がソケット(同じく、ソケット3)に設けた内向き環状突条部(同じく、被係止部8)に係合することにより、プラグとソケットとを軸線方向へ互いに抜け止めして接続する構成を備える。さらに、ロック付きのコネクタは、プラグの外周に軸線方向へ摺動可能に摺動筒(同じく、摺動筒9)を外嵌し、この摺動筒を軸線方向に摺動させることにより、摺動筒の一部が弾性係合片の中間部に設けた傾斜面(同じく、傾斜面9b)に摺接して、弾性係合片を内方へ向けて弾性変形させることで、弾性係合片のロック爪部を内向き環状突条部から離脱させて、プラグとソケットとの互いの分離を可能にした構成を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されたロック付きのコネクタにおいては、プラグとソケットとを互いに接続した状態では、プラグ側の弾性係合片のロック爪部がソケット側の内向き環状突条部に係合するため、プラグとソケットとの互いの接続を確実にロックし、かつプラグ側の摺動筒を摺動させることで、ロック爪部と内向き環状突条部との係合を解除して、プラグとソケットとの分離を容易に行い得る利点があるものの、プラグの外周に摺動筒を摺動可能に設けた構成を必要とするため、部品点数が増加して構成の複雑化及びコストの上昇を招く等の課題を有する。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、簡単な構成で、プラグとソケットとの互いの接続を確実にロックし、かつプラグとソケットとの分離を容易に行え得るようにしたコネクタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
一方側が開口し、他方側が閉塞した略有底円筒状のソケット本体に導電部材を設けたソケットと、前記ソケット本体に対向する側の一方側が開口し、他方側が閉塞した略有底円筒状のプラグ本体に導電部材を設けたプラグとを備えて、前記ソケット本体と前記プラグ本体とを互いに軸線方向へ接続することで、それぞれの前記導電部材が電気的に接続されるようにしたコネクタにおいて、前記ソケットは、前記ソケット本体の一方側の外周にあって、外向きに突出した外向き環状突条部と、前記外向き環状突条部から前記ソケット本体の他方側に向けて突出すると共に、前記外向き環状突条部の突出高さと略同一高さのロック解除突部とを有し、前記プラグは、前記プラグ本体の一方側にあって、径方向に弾性変形可能で、かつ先端部に設けたロック爪部が前記プラグ本体に挿入される前記ソケット本体の前記外向き環状突条部に係合して、前記ソケット本体からの抜け止めを行う弾性係合片を有し、前記ソケット本体と前記プラグ本体とを互いに接続した状態で、前記ソケット本体又は前記プラグ本体を軸線回りに回転させることで、所定の位置で前記ロック爪部が前記ロック解除突部に乗り上げて前記外向き環状突条部との係合が解除されるようにしたことを特徴とする。
【0007】
好ましくは、前記ロック爪部及び前記ロック解除突部の少なくともいずれか一方の周方向を向く側を、周方向へ向けて傾斜させる。
【0008】
好ましくは、前記プラグ本体は、ケーブルに接続されるボディと、前記ボディの外周に回転可能に外嵌される外筒カップリングとを含み、前記弾性係合片を前記外筒カップリングに設ける。
【0009】
好ましくは、前記プラグ本体は、前記ソケット本体に挿入可能な差込部の外周に突部を有し、前記ソケット本体の内周面に、前記差込部が前記ソケット本体に挿入された際、前記突部を誘導して前記ソケット本体と前記プラグ本体との互いの回転位置を整合させるようにした傾斜カム部を設ける。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、プラグ本体に設けた弾性係合片のロック爪部がソケット本体に設けた外向き環状突条部に係合することで、プラグとソケットとの接続状態を確実にロックし、さらに、プラグ本体又はソケット本体を軸線回りに回転させることで、弾性係合片のロック爪部がソケット本体に設けたロック解除突部に乗り上げて、ロック爪部と外向き環状突条部との係合を解除して、プラグとソケットとを軽い力で分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る一実施形態のプラグとソケットとを互いに接続した状態のコネクタの斜視図である。
【
図2】同じく、プラグとソケットとを互いに分離した状態のコネクタの斜視図である。
【
図3】同じく、プラグとソケットとを互いに接続した状態のコネクタの平面図である。
【
図4】同じく、プラグとソケットとを互いに分離した状態のコネクタの平面図である。
【
図7】
図5におけるVII-VII線断面に相当するコネクタの縦断面図である。
【
図8】
図4におけるVIII-VIII線縦断面図である。
【
図9】
図5に示す状態からプラグ又はソケットを所定角度回転させた状態の拡大横断面図である。
【
図11】
図10に示す状態からプラグ又はソケットを所定角度回転させた状態の要部の拡大断面図である。
【
図13】
図12におけるXIII-XIII線縦断面図である。
【
図17】
図15におけるXVII-XVII線縦断面図である。
【
図18】ソケット本体における内周面の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る一実施形態を、添付図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下に説明する一実施形態により限定されるものではなく、以下の一実施形態から当業者が自明の範囲内で適宜変更したものも含む。
【0013】
図1~8に示すように、本実施形態に係るコネクタ1は、ケーブル4の一端に接続されるプラグ2と、プラグ2に対して軸線方向へ接続及び分離可能なソケット3とを備えて、プラグ2をソケット3に対して軸線方向へ差し込むことにより、プラグ2に設けた後述の弾性係合片23bのロック爪部23cがソケット3に設けた後述の外向き環状突条部31aに係合することで、プラグ2とソケット3とを互いにロックした状態で接続保持することができ、かつプラグ2又はソケット3を軸線回りに回転させつつ軸線方向へ引っ張ることで、ロック爪部23cと外向き環状突条部31aとの係合を解除して、プラグ2とソケット3とを簡単に分離可能にした構成を備える。この構成については、後述の説明から明らかになる。
【0014】
以下の説明で使用する用語のうち、プラグ2の一方側及び一端部は、ソケット3に対向する側及びその端部、プラグ2の他方側及び他端部は、一方側と反対側及びその端部とそれぞれ定義する。ソケット3の一方側及び一端部は、プラグ2に対向する側及びその端部、ソケット3の他方側及び他端部は、一方側と反対側及びその端部とそれぞれ定義する。また、軸線方向は、例えば、
図3の左右方向を指す。
【0015】
プラグ2は、内部に電線を通したケーブル4の一端に接続(固着)される合成樹脂製の有底円筒状のボディ21、及びボディ21における軸線方向の略中央部の外周面に外嵌されるリング24を介してボディ21の外周面に回転可能に外嵌される円筒状の外筒カップリング23を含むプラグ本体(符号無し)と、ボディ21の一端部の内部に貫設され、ケーブル4の電線に電気的に接続される導電性の複数のフィメールピン(プラグ側の導電部材)22等の要素を備える。プラグ2は、フィメールピン22以外の各要素は絶縁体により形成される。なお、プラグ本体を形成するボディ21及び外筒カップリング23のそれぞれは、実際には複数の部材を結合して形成されるが、ここでは説明を簡単にするため、それらを一体物として説明する。後述するソケット3のソケット本体31においても同様である。
【0016】
ボディ21の他端部には、ケーブル4が挿通され、同じく一端部には、ソケット3に向けて突出する円柱状の差込部21aが設けられる。差込部21aには、軸線方向の挿入孔21bが複数個設けられる。各挿入孔21bには、フィメールピン22がそれぞれ挿入される。差込部21aの外周面には、外向きに突出した突部21cが設けられる。
【0017】
外筒カップリング23は、リング24を介して、ボディ21の外周に回転可能に外嵌される。外筒カップリング23の外周面の一端部には、一端から他端に向けて軸線方向へ所定の長さを有する複数のスリット23aが設けられる。これにより、外筒カップリング23における互いに隣接するスリット23a同士の間にあって、かつ差込部21aから外側に所定量離間する周囲には、外筒カップリング23の径方向へ弾性変形可能な複数の弾性係合片23bが設けられる
【0018】
本実施形態においては、スリット23aを周方向へ等間隔(90度間隔)で4個形成することで、弾性係合片23bを4個形成した構成である。しかし、本発明は、本実施形態に限定されるものでなく、スリット23a及び弾性係合片23bの数を必要に応じて適宜変更可能である。
【0019】
図5、9~14に示すように、各弾性係合片23bの一端部の内周面には、当該内周面から内方へ向けて所定量突出するロック爪部23cがそれぞれ設けられる。特に、
図5、9から明らかなように、ロック爪部23cは、弾性係合片23bの幅方向(周方向)の略中央部に設けられる。好ましくは、ロック爪部23bの一端側には、特に
図10、11に示すように、一端から他端に向けて内向きに傾斜する傾斜部23dが設けられる。このようにすることで、後述するように、プラグ2とソケット3とを互いに接続する際、ロック爪部23cがソケット3に設けた後述の外向き環状突条部31aを容易に乗り越えて、ロック爪部23cを外向き環状突条部31aに対して抜け方向に確実に係合させることができる。
【0020】
ソケット3は、一方側が開口し、他方側が閉塞する有底円筒状のソケット本体31と、ソケット本体31の他端部に貫設された複数の導電性のメールピン(ソケット3側の送電部材)32等の要素を備える。ソケット3は、メールピン32以外の各要素は絶縁体により形成される。
【0021】
ソケット本体31は、一端部がプラグ2における外筒カップリング23の各弾性係合片23bとボディ21の差込部21aとの間に挿入可能な有底円筒状を呈している。
【0022】
ソケット本体31の一端部寄りの外周面には、プラグ2のロック爪部23cが軸線方向に係合可能なように、外向きに突出した外向き環状突条部31aと、外向き環状突条部31aの裏面側(他方側)にあって、プラグ2のロック爪部23cが回転方向から乗り上げ可能な複数のロック解除突部31bとが設けられる。
【0023】
外向き環状突条部31aは、ソケット本体31の一端部寄りの外周面31cに外向きに突出して環状に設けられることで、プラグ2とソケット3とを互いに接続した際、ロック爪部23cが外向き環状突条部31aの裏面に対して軸線方向へ係合することで、プラグ2とソケット3との軸線方向への抜け止めを行う。
【0024】
特に、
図5、9~11から理解できるように、ロック解除突部31bとロック爪部23cと関係は、プラグ2とソケット3とを互いに接続した状態(
図5、10に示す状態にあって、プラグ2のロック爪部23cがソケット3の外向き環状突条部31aに係合した状態)から、例えば、外筒カップリング23を
図5に示す矢印方向(反時計方向)へ所定角度回転させると、
図9、11に示すように、各ロック爪部23cが回転方向から各ロック解除突部31bにそれぞれ乗り上げ可能な関係になるように形成される。好ましくは、ロック解除突部31bは、ソケット本体31の外周面31cにあって、外向き環状突条部31aの裏面から他方に向けて突出し、かつ外向き環状突条部31aとの間に段差ができないように、外向き環状突条部31aの高さと略同一に形成される。さらに、好ましくは、ロック爪部23cのロック解除突部31bに対する回転方向からの乗り上げを円滑にするため、ロック解除突部31bの周方向を向く両面及び/又はロック爪部23cの周方向を向く両面を傾斜面とする。ロック解除突部31bの傾斜面については、
図5、9に符号311bとして示している。
【0025】
本実施形態においては、ロック解除突部31bを周方向に等間隔で4個設けたが、ロック解除突部31bの数は適宜変更可能である。例えば、ロック解除突部31bを周方向に等間隔(45度間隔)で8個設けた場合には、プラグ2のロック爪部23cとソケット3の外向き環状突条部31aとのロック解除を行う際の回転操作量を小さくすることができる効果を奏する。
【0026】
各メールピン32の一端部は、ソケット本体31の内部に突出して、プラグ2のフィメールピン22に電気的に接続可能であり、同じく他端部は、ソケット本体31の他端部より軸線方向へ突出して、ケーブル4を電気的に接続しようとする他のケーブル又は電気機器等に電気的に接続される。
【0027】
図18(ソケット本体31の内周面の展開図)から理解できるように、ソケット本体31の内周面には、一端部寄りにあって、プラグ2の突部21cが一方側から挿通しうる複数の挿通路31dを形成する複数の内向きの突条部31eと、各突条部31eよりも他端側にあって、プラグ2の差込部21aがソケット本体31に差し込まれたとき、突部21cがカムフォロワーとして摺接して、プラグ2のボディ21とソケット本体31とが相対的に回転させられて、互いに軸線回りの回転方向の正規の位置に位置決めされるようにした傾斜カム部31fとが設けられている。
【0028】
各突条部31eの軸線方向の両端は尖先状としてある。このように、各突条部31eの先端部を尖先状とすることにより、互いに隣接する突条部31e、31e間に形成される挿通路31dの一方側がソケット本体31の円周方向に拡開する。これにより、プラグ2の差込部21aをソケット本体31に挿入する際、プラグ2の突部21cを、複数の挿通路31dのうちいずれかの挿通路31dに円滑に誘導することができる。
【0029】
傾斜カム部31fの一方側を向く頂部は尖先状をなしており、同じく他方側の底部には、プラグ2の突部21cが軸線方向へ進入可能とした進入溝31gが設けられる。
【0030】
上述のように、プラグ2の差込部21aに突部21c、ソケット本体31の内周面に突条部31e及び傾斜カム部31fをそれぞれ設けることによって、プラグ2の差込部21aをソケット本体31に差し込んだ際、差込部21aの突部21cは、傾斜カム部31fに誘導されて、最終的に進入溝31gに進入する。これにより、プラグ2の差込部21aとソケット本体31との回転方向への位置決めが行われて、ソケット3側の各メールピン32がそれぞれ対応するプラグ2側の各挿入孔21bに確実に挿入して、各フィメールピン22と各メールピン32とを互いに電気的に接続可能となる。
【0031】
次に、プラグ2とソケット3とを接続する際の作用及び分離する際の作用について説明する。
先ず、プラグ2とソケット3とを接続する際の作用に説明する。プラグ2とソケット3とを接続するには、
図2、4に示すように、プラグ2の一方側とソケット3の一方側とを互いに対向させた状態で、プラグ2の差込部21aをソケット本体31内に挿入する。なお、この場合の挿入は、プラグ2のロック爪部23cとソケット3のロック解除突部31bとが互いに整合しない回転位置で行う。
【0032】
プラグ2の差込部21aをソケット本体31内に挿入すると、その直後に、差込部21aの突部21cが軸線回りのいずれの回転位置にあっても、突部21cは、ソケット本体31内の複数の挿通路31dのうちいずれかの挿通路31dに進入した後、傾斜カム部31fに誘導されて進入溝31gに進入する。これにより、差込部31dは、軸線回りの回転位置が位置決めされた状態でソケット本体31内に進入するため、プラグ2側の各フィメールピン22と、それらにそれぞれに対応するソケット3側のメールピン32を確実に接続可能となる。この場合、プラグ2とソケット3との互いの軸線回りの位置合わせの際、その反作用により、プラグ2のボディ21がソケット本体3に対して相対回転しつつ差し込まれるが、外周カップリング23がボディ21の外周に回転可能に設けられているため、把持されている外周カップリング23は、回転することはない。よって、外周カップリング21を把持している作業者は、プラグ2をソケット3に違和感なく差し込むことができる。
【0033】
続いて、差込部21aがソケット本体31内の奥付近まで差し込まれると、
図10に2点鎖線で示すように、弾性係合片23bのロック爪部23cに設けた傾斜部23dがソケット本体31の外向き環状突条部31aの表面に当接することで、弾性係合片23bが拡径方向に弾性変形しつつ、ロック爪部23cが外向き環状突条部31aを乗り越えた後、
図10に実線で示すように、弾性復帰して外向き環状突条部31aの裏側に係合する。これにより、
図1、3、6、7に示すように、プラグ2とソケット3とは互いにロックされて軸線方向へ抜け止めされた状態で接続される。プラグ2がソケット3に完全に差し込まれると、コネクタ2側のフィメールピン22は、正規の位置関係で適正にソケット3側のメールピン32に電気的に接続される。
【0034】
次に、プラグ2とソケット3とを互いに接続した状態から分離する際の作用に説明する。
プラグ2とソケット3とを互いに分離するには、プラグ2の外筒カップリング23を把持した状態で、プラグ2の外筒カップリング23又はソケット本体31を所定角度回転させつつ軸線方向へ引っ張る。これにより、プラグ2側の弾性係合片23bのロック爪部23cは、
図5に示すように、ソケット3側のロック解除突部31bに整合しない位置にあって、かつ
図10に示すように、外向き環状突条部31aの裏面に係合した状態から軸線回りに回転して、
図9に示すように、弾性係合片23が弾性変形して、ロック爪部23cがロック解除突部31b上に乗り上げることで、
図11に示すように、ロック爪部23cと外向き環状突条部31aの裏面との係合関係が解除される。したがって、その時点でプラグ2とソケット3とを互いに反対方向へ引っ張ることで、プラグ2がソケット3から分離する。
【0035】
上述のように、プラグ2の外筒カップリング23又はソケット本体31を所定角度回転させつつ軸線方向へ引っ張るだけで、ロック爪部23cと外向き環状突条部31aとの係合関係が解除されるため、プラグ2とソケット3とを軽い力で分離することができる。また、プラグ2とソケット3との接続箇所が視認できなくても、それらの接続作業及び分離作業を、手探りでも、簡単かつ迅速に行うことができる。
【0036】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、前記一実施形態に対して、次のような種々の変形や変更を施すことが可能である。
(a)自動回転位置合わせ構成(ソケット3側の突条部31e、傾斜カム部31f、進入溝31g、及びプラグ2側の突部21c)を省略すると共に、プラグ2側のフィメールピン22を単一としてプラグ本体の中心に設け、ソケット3側のメールピン32を単一としてソケット本体31の中心に設けたものとする。この場合には、プラグ2における外筒カップリング23をボディ21に回転可能に外嵌させることが不要となることから、プラグ2におけるプラグ本体は、ボディ21と外筒カプリング23との一体化が可能となる。これにより、プラグ2の構成の簡素化を図り、コスト低減を図ることができる。
(b)前記一実施形態における弾性係合片23b及びロック爪部23cをソケット3側に設け、外向き環状突条部31aをプラグ2側に設けたもの(変形例)とする。この場合には、前記一実施形態におけるプラグをソケット、またソケットをプラグにそれぞれ置き換えて解釈することで、変形例を十分に理解可能である。
(c)前記一実施形態のようにプラグ2側のフィメールピン22及びソケット3側のメールピン32を多極タイプとして、前記自動回転位置合わせ構成の代わりに、プラグ本体又はソケット本体31のいずれかにキー溝を設けて、プラグ2とソケット3との接続時に、互いにキー合わせをしてプラグ2をソケット3に差し込むようにしたキー合わせ構造を用いたコネクタとする。
【符号の説明】
【0037】
1 コネクタ 2 プラグ
21 ボディ(ソケット本体) 21a 差込部
21b 挿入孔 21c 突部
22 フィメールピン(導電部材) 23 外筒カップリング(ソケット本体)
23a スリット 23b 弾性係合片
23c ロック爪部 23d 傾斜部
24 リング 3 ソケット
31 ソケット本体 31a 外向き環状突条部
31b ロック解除突部 311b 傾斜面
31c 外周面 31d 挿通路
31e 突条部 31f 傾斜カム部
31g 進入溝 32 メールピン(導電部材)
4 ケーブル