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特開2023-131832アルブミンの酸化還元比率を測定する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131832
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】アルブミンの酸化還元比率を測定する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
G01N33/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036808
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006127
【氏名又は名称】森永乳業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田畑 風華
(72)【発明者】
【氏名】和田 泰明
(72)【発明者】
【氏名】小松 陽介
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045BB12
2G045CA26
2G045DA38
2G045FB06
(57)【要約】
【課題】試料中のアルブミンの酸化還元比率を簡便に測定する方法を提供する。
【解決手段】試料中のアルブミンの酸化還元比率を測定する方法であって、下記工程(A)~(D):
(A)前記試料中のアルブミンを還元型アルブミンと酸化型アルブミンに分離する工程;(B)前記分離された酸化型アルブミン量を測定する工程;
(C)前記試料中の総アルブミン量を測定する工程;および
(D)前記総アルブミン量と前記酸化型アルブミン量から前記アルブミンの酸化還元比率を算出する工程
を含み、
前記工程(A)が、チオール結合性物質と前記還元型アルブミンとの結合に基づいて実施される、方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中のアルブミンの酸化還元比率を測定する方法であって、下記工程(A)~(D):
(A)前記試料中のアルブミンを還元型アルブミンと酸化型アルブミンに分離する工程;(B)前記分離された酸化型アルブミン量を測定する工程;
(C)前記試料中の総アルブミン量を測定する工程;および
(D)前記総アルブミン量と前記酸化型アルブミン量から前記アルブミンの酸化還元比率を算出する工程
を含み、
前記工程(A)が、チオール基に特異的に結合する物質と前記還元型アルブミンとの結合に基づいて実施される、方法。
【請求項2】
前記物質が、チオール反応性官能基を有する物質である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記チオール反応性官能基が、ジスルフィド基、ハロアセチル基、ハロアセトアミド基、マレイミド基、アジリジン基、アクリロイル基、ビニルスルホン基、またはハロゲノ基である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記チオール反応性官能基が、ピリジルジスルフィド基である、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記物質が、ビオチン誘導体である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ビオチン誘導体が、HPDP-ビオチン(N-[6-(Biotinamido)hexyl]-3'-(2-pyridyldithio)propionamide)である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記分離が、前記チオール結合性物質と固相との結合に基づいて実施される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記物質が、前記固相に結合した状態で前記還元型アルブミンとの結合に用いられる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記工程(A)が、前記物質と前記還元型アルブミンとの結合後に該物質を前記固相と結合させる工程を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記固相が、カラムに充填されている、請求項7~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記固相が、アビジンまたはストレプトアビジンを備える、請求項7~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記試料が、血清または血漿である、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記総アルブミン量の測定および前記酸化型アルブミン量の測定が、比色法または免疫法により実施される、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記酸化還元比率が、総アルブミン量に対する還元型アルブミン量の比率として算出される、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
チオール基に特異的に結合する物質を含む、アルブミンの酸化還元比率の測定用キット
【請求項16】
前記物質が、チオール反応性官能基を有する物質である、請求項15に記載のキット。
【請求項17】
前記チオール反応性官能基が、ジスルフィド基、ハロアセチル基、ハロアセトアミド基、マレイミド基、アジリジン基、アクリロイル基、ビニルスルホン基、またはハロゲノ基である、請求項16に記載のキット。
【請求項18】
前記チオール反応性官能基が、ピリジルジスルフィド基である、請求項16または17に記載のキット。
【請求項19】
前記物質が、ビオチン誘導体である、請求項15~18のいずれか1項に記載のキット。
【請求項20】
前記ビオチン誘導体が、HPDP-ビオチン(N-[6-(Biotinamido)hexyl]-3'-(2-pyridyldithio)propionamide)である、請求項19に記載のキット。
【請求項21】
さらに、前記物質と結合するための固相を含む、請求項15~20のいずれか1項に記載のキット。
【請求項22】
前記物質が、固相に結合している、請求項15~21のいずれか1項に記載のキット。
【請求項23】
前記固相が、カラムに充填されている、請求項21または22に記載のキット。
【請求項24】
前記固相が、アビジンまたはストレプトアビジンを備える、請求項21~23のいずれか1項に記載のキット。
【請求項25】
請求項1~14のいずれか1項に記載の方法を実施するために用いられる、請求項15~24のいずれか1項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルブミンの酸化還元比率を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルブミンは、血中に含まれるタンパク質であり、チオール基を有する還元型と、そのチオール基がジスルフィド、スルフェニル酸、またはスルホニル酸等に酸化された酸化型の2つの形態を取る。ヒトの血中におけるアルブミンの酸化還元比率は、低栄養リスクや低体重児出生リスク等を評価するための栄養マーカーとして利用できることが知られている(特許文献1)。そのため、医療現場等においてアルブミンの酸化還元比率を測定する方法が求められている。
【0003】
還元型と酸化型のアルブミンの量を分別測定する方法としては、例えば、HPLC等の化合物の分離分析機器を用いる方法、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)を利用し分離測定する方法(非特許文献1)、ブロムクレゾールパープルを呈色試薬として利用した測定法(BCP法)においてタンパク質変性剤またはSH試薬(スルフヒドリル試薬)を併用する方法(特許文献2)、およびBCP法において酸化型アルブミン形成剤を併用する方法(特許文献3)が知られている。しかし、これらの方法には、簡便性または信頼性等の点で改良の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2021/002403
【特許文献2】特開2018-025486
【特許文献3】特開2018-194453
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】中村博範および三宅沙知、電気泳動による還元型及び酸化型アルブミンの評価法の検討、川崎医療福祉学会誌 Vol. 31 No. 1 2021 139-149
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、試料中のアルブミンの酸化還元比率を簡便に測定する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を進めた。その結果、本発明者は、チオール基に特異的に結合する物質と還元型アルブミンとの結合を利用することにより、試料中のアルブミンを還元型アルブミンと酸化型アルブミンに分離でき、以て試料中の酸化型アルブミン量を選択的に測定できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の通り例示できる。
[1]
試料中のアルブミンの酸化還元比率を測定する方法であって、下記工程(A)~(D):
(A)前記試料中のアルブミンを還元型アルブミンと酸化型アルブミンに分離する工程;(B)前記分離された酸化型アルブミン量を測定する工程;
(C)前記試料中の総アルブミン量を測定する工程;および
(D)前記総アルブミン量と前記酸化型アルブミン量から前記アルブミンの酸化還元比率を算出する工程
を含み、
前記工程(A)が、チオール基に特異的に結合する物質と前記還元型アルブミンとの結合に基づいて実施される、方法。
[2]
前記物質が、チオール反応性官能基を有する物質である、前記方法。
[3]
前記チオール反応性官能基が、ジスルフィド基、ハロアセチル基、ハロアセトアミド基、マレイミド基、アジリジン基、アクリロイル基、ビニルスルホン基、またはハロゲノ基である、前記方法。
[4]
前記チオール反応性官能基が、ピリジルジスルフィド基である、前記方法。
[5]
前記物質が、ビオチン誘導体である、前記方法。
[6]
前記ビオチン誘導体が、HPDP-ビオチン(N-[6-(Biotinamido)hexyl]-3'-(2-pyridyldithio)propionamide)である、前記方法。
[7]
前記分離が、前記チオール結合性物質と固相との結合に基づいて実施される、前記方法。
[8]
前記物質が、前記固相に結合した状態で前記還元型アルブミンとの結合に用いられる、前記方法。
[9]
前記工程(A)が、前記物質と前記還元型アルブミンとの結合後に該物質を前記固相と結合させる工程を含む、前記方法。
[10]
前記固相が、カラムに充填されている、前記方法。
[11]
前記固相が、アビジンまたはストレプトアビジンを備える、前記方法。
[12]
前記試料が、血清または血漿である、前記方法。
[13]
前記総アルブミン量の測定および前記酸化型アルブミン量の測定が、比色法または免疫法により実施される、前記方法。
[14]
前記酸化還元比率が、総アルブミン量に対する還元型アルブミン量の比率として算出される、前記方法。
[15]
チオール基に特異的に結合する物質を含む、アルブミンの酸化還元比率の測定用キット。
[16]
前記物質が、チオール反応性官能基を有する物質である、前記キット。
[17]
前記チオール反応性官能基が、ジスルフィド基、ハロアセチル基、ハロアセトアミド基、マレイミド基、アジリジン基、アクリロイル基、ビニルスルホン基、またはハロゲノ基である、前記キット。
[18]
前記チオール反応性官能基が、ピリジルジスルフィド基である、前記キット。
[19]
前記物質が、ビオチン誘導体である、前記キット。
[20]
前記ビオチン誘導体が、HPDP-ビオチン(N-[6-(Biotinamido)hexyl]-3'-(2-pyridyldithio)propionamide)である、前記キット。
[21]
さらに、前記物質と結合するための固相を含む、前記キット。
[22]
前記物質が、固相に結合している、前記キット。
[23]
前記固相が、カラムに充填されている、前記キット。
[24]
前記固相が、アビジンまたはストレプトアビジンを備える、前記キット。
[25]
前記方法を実施するために用いられる、前記キット。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、試料中のアルブミンの酸化還元比率を簡便に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】還元型アルブミンと酸化型アルブミンの分離前後の血清試料をHPLC分析した際のクロマトグラムを示す図である。
図2】血清試料について、BCG法またはBCP法とHPLC法での還元型アルブミン比率の算出値の相関を示す図。
図3】血漿試料について、BCG法またはBCP法とHPLC法での還元型アルブミン比率の算出値の相関を示す図。
図4】血清試料について、BCG法またはBCP法とHPLC法での還元型アルブミン比率の算出値の相関を示す図。
図5】血漿試料について、BCG法またはBCP法とHPLC法での還元型アルブミン比率の算出値の相関を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
<1>本発明の方法
本発明の方法は、チオール基に特異的に結合する物質を利用した、試料中のアルブミンの酸化還元比率を測定する方法である。チオール基に特異的に結合する物質を、「チオール結合性物質」ともいう。
【0013】
すなわち、チオール結合性物質と還元型アルブミンとの結合を利用することにより、試料中のアルブミンを還元型アルブミンと酸化型アルブミンに分離でき、以て試料中の酸化型アルブミン量を選択的に測定できる。言い換えると、試料中の還元型アルブミンをチオール結合性物質と結合させて酸化型アルブミンと分離することにより、試料中の酸化型アルブミン量を選択的に測定できる。こうして測定した試料中の酸化型アルブミン量と別途測定した試料中の総アルブミン量から試料中のアルブミンの酸化還元比率を算出できる。
【0014】
すなわち、本発明の方法は、例えば、試料中のアルブミンの酸化還元比率を測定する方法であって、下記工程(A)~(D):
(A)前記試料中のアルブミンを還元型アルブミンと酸化型アルブミンに分離する工程;(B)前記分離された酸化型アルブミン量を測定する工程;
(C)前記試料中の総アルブミン量を測定する工程;および
(D)前記総アルブミン量と前記酸化型アルブミン量から前記アルブミンの酸化還元比率を算出する工程
を含み、
前記工程(A)が、チオール結合性物質と前記還元型アルブミンとの結合に基づいて実施される、方法であってよい。
【0015】
<1-1>工程(A)
工程(A)は、試料中のアルブミンを還元型アルブミンと酸化型アルブミンに分離する工程である。
【0016】
試料は、アルブミン(具体的には、還元型アルブミンおよび酸化型アルブミン)を含有するものであれば、特に制限されない。試料としては、体液やその処理物が挙げられる。体液としては、全血、尿、脳脊髄液、眼房水が挙げられる。体液の処理物としては、体液の分画物が挙げられる。試料は、例えば、血中アルブミンを含有するものであってよい。言い換えると、アルブミンとしては、血中アルブミンが挙げられる。血中アルブミンを含有する試料を、「血液試料」ともいう。血液試料としては、全血やその処理物が挙げられる。全血の処理物としては、血清や血漿が挙げられる。血液試料としては、特に、血清や血漿が挙げられる。試料としては、輸血用アルブミン製剤等のアルブミン製剤も挙げられる。血液試料等の試料は、例えば、被験体から分離することにより得られる。血清または血漿は、例えば、全血を静置または遠心分離することにより得られる。試料は、そのまま工程(A)および/または工程(C)に用いてもよく、適宜前処理に供してから工程(A)および/または工程(C)に用いてもよい。試料は、例えば、適宜、希釈または濃縮してから工程(A)および/または工程(C)に用いてもよい。試料は、被験体から分離された後、直ちに工程(A)および/または工程(C)に用いてもよく、そうでなくてもよい。試料は、例えば、被験体から分離された後、所定の期間が経過してから工程(A)および/または工程(C)に用いてもよい。所定の期間の経過を、「試料の保存」ともいう。また、所定の期間を、「保存期間」ともいう。試料は、例えば、液体の形態で工程(A)および/または工程(C)に用いてよい。
【0017】
「被験体」とは、それから分離した血液試料等の試料におけるアルブミンの酸化還元比率の測定の対象とする動物個体を意味する。動物としては、哺乳動物が挙げられる。哺乳動物としては、ヒトやそれ以外の哺乳動物が挙げられる。哺乳動物としては、特に、ヒトが挙げられる。ヒト以外の哺乳動物としては、家庭動物、展示動物、実験動物、産業動物が挙げられる。ヒト以外の哺乳動物として、具体的には、サル、チンパンジー等の霊長類、マウス、ラット、ハムスター、モルモット等の齧歯類、ウサギ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、イヌ、ネコ等の他の各種哺乳動物が挙げられる。被験体は、例えば、アルブミンの酸化還元比率の用途等の諸条件に応じて、適宜設定できる。被験体の性別、年齢、および健康状態等の条件は、特に制限されない。被験体としては、栄養状態の評価の対象とする被験体が挙げられる。被験体として、具体的には、低栄養リスクまたは低体重児出生リスクの評価の対象とするヒト被験体が挙げられる(WO2021/002403)。
【0018】
工程(A)は、チオール結合性物質(すなわち、チオール基に特異的に結合する物質)と還元型アルブミンとの結合に基づいて実施される。
【0019】
「物質がチオール基に特異的に結合する」とは、物質が、チオール基とは反応して結合するが、ジスルフィド結合、スルフェニル酸、スルホニル酸等のチオール基が酸化された形態とは反応せず結合しないことを意味してよい。言い換えると、「物質がチオール基に特異的に結合する」とは、物質が、還元型アルブミンとは結合するが、酸化型アルブミンとは結合しないことを意味してよい。物質が、還元型アルブミンとは結合するが、酸化型
アルブミンとは結合しないことを、「物質が還元型アルブミンと選択的に結合する」ともいう。すなわち、チオール結合性物質を利用することにより、試料中のアルブミンの内、還元型アルブミンを選択的に結合することができる。言い換えると、工程(A)における「チオール結合性物質と還元型アルブミンとの結合」とは、チオール結合性物質と還元型アルブミンとの選択的結合を意味してよい。
【0020】
「工程(A)がチオール結合性物質と還元型アルブミンとの結合に基づいて実施される」とは、工程(A)が、チオール結合性物質と還元型アルブミンとを結合させ、チオール結合性物質に結合した還元型アルブミンを酸化型アルブミンと分離することにより実施されることを意味してよい。すなわち、工程(A)は、具体的には、試料中の還元型アルブミンをチオール結合性物質と結合させ、チオール結合性物質に結合した還元型アルブミンを酸化型アルブミン(これはチオール結合性物質に結合していない)と分離する工程であってよい。言い換えると、工程(A)は、試料中の還元型アルブミンをチオール結合性物質と結合させる工程と、チオール結合性物質に結合した還元型アルブミンを酸化型アルブミンと分離する工程を含んでいてよい。
【0021】
工程(A)においては、まず、チオール結合性物質と還元型アルブミンを結合させることができる。チオール結合性物質と還元型アルブミンの結合は、チオール結合性物質と還元型アルブミンを接触させることにより実施できる。チオール結合性物質と還元型アルブミンの結合は、具体的には、チオール結合性物質と試料(これは還元型アルブミンを含有する)を接触させることにより実施できる。
【0022】
チオール結合性物質と還元型アルブミンの接触は、液体媒体中で実施することができる。液体媒体としては、水や水性緩衝液等の水性媒体や、DMSO等の有機溶媒が挙げられる。例えば、液体の形態で準備された試料とチオール結合性物質を混合することにより、チオール結合性物質と還元型アルブミンを接触させることができる。チオール結合性物質は、例えば、粉末等の固体の形態で、あるいは液体媒体に懸濁または溶解等して液体の形態で準備し、試料と混合することができる。また、例えば、チオール結合性物質が固相に結合しており、固相がカラムに充填されている場合、液体の形態で準備された試料をカラムに通液することにより、チオール結合性物質と還元型アルブミンを接触させることができる。
【0023】
チオール結合性物質と還元型アルブミンの接触条件(例えば、接触時間、接触温度、および接触pH)は、チオール結合性物質が還元型アルブミンのチオール基と反応して還元型アルブミンと結合する限り、特に制限されない。チオール結合性物質と還元型アルブミンの接触条件は、チオール結合性物質の種類等の諸条件に応じて適宜選択できる。接触時間は、例えば、10分以上、20分以上、30分以上、1時間以上、2時間以上、3時間以上、6時間以上、または9時間以上であってもよく、24時間以下、21時間以下、18時間以下、15時間以下、12時間以下、9時間以下、6時間以下、3時間以下、2時間以下、1時間以下、または30分以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせの範囲であってもよい。接触時間は、具体的には、例えば、30分~15時間、1時間~12時間、または2時間~9時間であってもよい。接触温度は、制御されてもよく、制御されなくてもよい。接触温度は、例えば、10℃以上、20℃以上、30℃以上、または40℃以上であってもよく、50℃以下、40℃以下、30℃以下、または20℃以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせの範囲であってもよい。接触温度は、具体的には、例えば、10~50℃、20~40℃、または20~30℃であってもよい。接触温度は、具体的には、例えば、室温(例えば約25℃)であってもよい。接触pHは、制御されてもよく、制御されなくてもよい。接触pHは、例えば、5.5以上、6以上、6.5以上、7以上、または7.5以上であってもよく、9以下、8.5以下、8以下、7.5以下、7以下、または6.5以下であってもよく、それらの矛盾しない組み合わせの範囲であってもよい。接触pHは、具体的には、例えば、5.5~9、6~8.5、または6.5~8であってもよい。
【0024】
工程(A)においては、次いで、チオール結合性物質に結合した還元型アルブミンを酸化型アルブミンと分離することができる。
【0025】
還元型アルブミンと酸化型アルブミンの分離は、具体的には、還元型アルブミンが結合したチオール結合性物質を酸化型アルブミンと分離することにより、実施できる。「チオール結合性物質に結合した還元型アルブミンと酸化型アルブミンの分離」と「還元型アルブミンが結合したチオール結合性物質と酸化型アルブミンの分離」は、代替可能に用いられてよい。
【0026】
チオール結合性物質に結合した還元型アルブミンと酸化型アルブミンの分離手段は、特に制限されない。チオール結合性物質に結合した還元型アルブミンと酸化型アルブミンの分離手段は、例えば、チオール結合性物質の種類等の諸条件に応じて適宜選択できる。一態様において、チオール結合性物質に結合した還元型アルブミンと酸化型アルブミンの分離手段は、電気泳動以外の手段であってよい。すなわち、一態様において、本発明の方法からは、チオール結合性物質に結合した還元型アルブミンと酸化型アルブミンの分離が電気泳動により実施される場合が除かれてもよい。一態様において、チオール結合性物質に結合した還元型アルブミンと酸化型アルブミンの分離手段は、特に、SDS-PAGE以外の手段であってよい。すなわち、一態様において、本発明の方法からは、特に、チオール結合性物質に結合した還元型アルブミンと酸化型アルブミンの分離がSDS-PAGEにより実施される場合が除かれてもよい。
【0027】
チオール結合性物質に結合した還元型アルブミンと酸化型アルブミンの分離は、例えば、チオール結合性物質と固相との結合に基づいて実施できる。すなわち、チオール結合性物質に結合した還元型アルブミンと酸化型アルブミンの分離は、例えば、チオール結合性物質を固相に結合し、チオール結合性物質が結合した固相を酸化型アルブミンと分離することにより、実施できる。還元型アルブミンとチオール結合性物質の結合およびチオール結合性物質と固相の結合により、還元型アルブミンがチオール結合性物質を介して固相と結合する。チオール結合性物質を介した還元型アルブミンと固相の結合を、単に「還元型アルブミンと固相の結合」ともいう。固相としては、樹脂やシリカ等の水に不溶性の担体が挙げられる。固相の形状は特に制限されない。固相の形状は、例えば、粒子や膜等のいずれの形態であってもよい。固相と酸化型アルブミンの分離は、例えば、通常の固液分離手段により実施できる。固液分離手段は、例えば、固相の形状等の諸条件に応じて適宜選択できる。例えば、固相がカラムに充填されている場合、還元型アルブミンと固相の結合後に酸化型アルブミンをカラムから排出することにより、固相を酸化型アルブミンと分離することができる。すなわち、酸化型アルブミンは、非吸着画分としてカラムから回収できる。また、例えば、酸化型アルブミンを含有する液体中に還元型アルブミンと結合した固相が分散している場合、同液体を遠心分離または濾過に供することにより、固相を酸化型アルブミンと分離することができる。
【0028】
還元型アルブミンとチオール結合性物質の結合およびチオール結合性物質と固相の結合の実施順は、特に制限されない。還元型アルブミンとチオール結合性物質の結合は、チオール結合性物質と固相の結合の前、同時、または後に実施されてよい。還元型アルブミンとチオール結合性物質の結合は、特に、チオール結合性物質と固相の結合の前または後に実施されてよい。すなわち、チオール結合性物質は、例えば、固相に結合した状態で還元型アルブミンとの結合に用いられてよい。チオール結合性物質が結合した固相としては、市販品を用いてもよく、適宜チオール結合性物質と固相を結合させて取得したものを用いてもよい。チオール結合性物質が結合した固相の市販品としては、ピリジルジスルフィド基を備えるチオール結合性の樹脂であるActivated Thiol Sepharose 4B(グローバルライフサイエンステクノロジーズジャパン株式会社)が挙げられる。また、チオール結合性物質は、例えば、還元型アルブミンとの結合後に固相と結合させてもよい。すなわち、工程(A)は、チオール結合性物質と還元型アルブミンとの結合後にチオール結合性物質を固相と結合させる工程を含んでいてもよい。
【0029】
チオール結合性物質と固相の結合様式は、特に制限されない。チオール結合性物質と固相の結合は、共有結合であってもよく、非共有結合であってもよい。チオール結合性物質と固相の結合は、特に、チオール結合性物質を固相に結合した状態で還元型アルブミンとの結合に用いる場合に、共有結合であってもよい。チオール結合性物質と固相の結合は、特に、チオール結合性物質を還元型アルブミンとの結合後に固相と結合させる場合に、非共有結合であってもよい。非共有結合としては、水素結合や疎水結合が挙げられる。
【0030】
チオール結合性物質と固相間の共有結合は、例えば、チオール結合性物質が有する官能基と固相が有する官能基を反応させることにより形成できる。すなわち、チオール結合性物質は、例えば、還元型アルブミン結合用官能基(具体的には、後述するチオール反応性官能基)と固相結合用官能基を有していてよい。また、固相は、例えば、チオール結合性物質結合用官能基を有していてよい。チオール結合性物質と固相間の共有結合の形成に用いられる官能基の組み合わせは、特に制限されない。チオール結合性物質と固相の共有結合の形成に用いられる官能基の組み合わせとしては、物質間の共有結合の形成に用いられる通常の官能基の組み合わせが挙げられる。例えば、カルボキシル基やヒドロキシル基等の官能基をN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)やカルボジイミド等の活性化剤で活性化した後、アミノ基等の官能基と共有結合を形成させることができる。なお、固相上に還元型アルブミン結合用官能基が直接導入されていてもよい。すなわち、固相は、例えば、還元型アルブミン結合用官能基を有していてよい。その場合、固相が有する還元型アルブミン結合用官能基の部分を「チオール結合性物質」とみなしてよい。
【0031】
チオール結合性物質と固相間の非共有結合は、例えば、結合親和性を有する物質間の相互作用により形成できる。すなわち、結合親和性を有する物質の組み合わせを構成する物質の一方を固相上に配置し、他方をチオール結合性物質(またはその一部)として用いることで、チオール結合性物質と固相間の非共有結合を形成できる。結合親和性を有する物質の組み合わせとしては、アビジンまたはストレプトアビジンとビオチンの組み合わせ、炭水化物とレクチンの組み合わせ、酵素とその補因子の組み合わせ、相補配列を有するヌクレオチド間の組み合わせが挙げられる。結合親和性を有する物質の組み合わせとしては、特に、アビジンまたはストレプトアビジンとビオチンの組み合わせが挙げられる。結合親和性を有する物質の組み合わせを構成する物質のどちらを固相上に配置し、どちらをチオール結合性物質(またはその一部)として用いるかは、特に制限されない。例えば、アビジンまたはストレプトアビジンとビオチンの組み合わせの場合、典型的には、アビジンまたはストレプトアビジンを固相上に配置し、ビオチンをチオール結合性物質(またはその一部)として用いてよい。すなわち、例えば、アビジンまたはストレプトアビジンで修飾した固相を用いて、ビオチン修飾した還元型アルブミンを結合することができる。すなわち、固相は、例えば、アビジンまたはストレプトアビジンを備えていてもよい。結合親和性を有する物質を備える固相としては、市販品を用いてもよく、適宜結合親和性を有する物質と固相を結合させて取得したものを用いてもよい。結合親和性を有する物質を備える固相の市販品としては、ストレプトアビジンを備える樹脂であるStreptavidin Agarose Resin(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)が挙げられる。また、チオール結合性物質は、例えば、ビオチン(具体的には、後述するビオチン誘導体)であってもよい。
【0032】
チオール結合性物質としては、チオール反応性官能基を有する物質が挙げられる。「チ
オール反応性官能基」とは、チオール基と反応して共有結合を形成する官能基を意味してよい。チオール反応性官能基としては、ジスルフィド基、ハロアセチル基、ハロアセトアミド基、マレイミド基、アジリジン基、アクリロイル基、ビニルスルホン基、ハロゲノ基が挙げられる。ジスルフィド基は、例えば、チオール基とのジスルフィド交換が可能な形態で使用できる。ジスルフィド基(具体的には、チオール基とのジスルフィド交換が可能な形態のジスルフィド基)としては、ピリジルジスルフィド基や2-ニトロ安息香酸ジスルフィド基(例えば、5-チオ-2-ニトロ安息香酸に含まれるジスルフィド基)が挙げられる。ジスルフィド基(具体的には、チオール基とのジスルフィド交換が可能な形態のジスルフィド基)としては、特に、ピリジルジスルフィド基が挙げられる。ハロアセチル基としては、フルオロアセチル基、クロロアセチル基、ブロモアセチル基、ヨードアセチル基が挙げられる。ハロアセチル基としては、特に、ブロモアセチル基やヨードアセチル基が挙げられる。ハロアセチル基として、さらに特には、ヨードアセチル基が挙げられる。ハロアセトアミド基としては、フルオロアセトアミド基、クロロアセトアミド基、ブロモアセトアミド基、ヨードアセトアミド基が挙げられる。ハロアセトアミド基としては、特に、ブロモアセトアミド基やヨードアセトアミド基が挙げられる。ハロゲノ基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられる。ハロゲノ基としては、特に、ブロモ基やヨード基が挙げられる。ハロゲノ基は、例えば、チオール基のアルキル化が可能な形態で使用できる。言い換えると、ハロゲノ基は、例えば、チオール結合性物質がチオール基に対するアルキル化剤として機能する形態で使用できる。アルキル化としては、カルボキシメチル化やアミドメチル化が挙げられる。すなわち、ハロゲノ基は、ハロアセチル基またはハロアセトアミド基を構成していてもよい。よって、ハロアセチル基およびハロアセトアミド基は、いずれも、ハロゲノ基の一例でもあり得る。チオール反応性官能基としては、特に、ピリジルジスルフィド基、マレイミド基、ヨードアセチル基が挙げられる。チオール反応性官能基として、さらに特には、ピリジルジスルフィド基が挙げられる。
【0033】
チオール結合性物質として、具体的には、ビオチン誘導体が挙げられる。ビオチン誘導体としては、チオール反応性官能基を有するビオチンが挙げられる。チオール反応性官能基を有するビオチンは、例えば、ビオチンにチオール反応性官能基を導入することにより得られる。ビオチン誘導体が有するチオール反応性官能基は、例えば、上記例示したいずれのチオール反応性官能基であってもよい。チオール反応性官能基を有するビオチンとしては、特に、ピリジルジスルフィド基を有するビオチン、マレイミド基を有するビオチン、ヨードアセチル基を有するビオチンが挙げられる。チオール反応性官能基を有するビオチンとして、さらに特には、ピリジルジスルフィド基を有するビオチンが挙げられる。ピリジルジスルフィド基を有するビオチンとしては、HPDP-ビオチン(N-[6-(Biotinamido)hexyl]-3'-(2-pyridyldithio)propionamide)が挙げられる。
【0034】
<1-2>工程(B)および(C)
工程(B)は、工程(A)で分離された酸化型アルブミン量を測定する工程である。工程(C)は、試料中の総アルブミン量を測定する工程である。酸化型アルブミン量の測定および総アルブミン量の測定を総称して、「アルブミン量の測定」ともいう。
【0035】
工程(B)は、工程(A)の実施後、且つ工程(D)の実施前に実施される。工程(C)は、工程(D)の実施前に実施される。工程(A)と工程(C)の実施順は、特に制限されない。工程(B)と工程(C)の実施順は、特に制限されない。
【0036】
アルブミン量の測定方法は、特に制限されない。アルブミン量の測定は、例えば、常法により実施できる。アルブミン量の測定方法としては、比色法や免疫法が挙げられる。比色法としては、ブロムクレゾールパープルを呈色試薬として利用した測定法(BCP法)やブロムクレゾールグリーンを呈色試薬として利用した測定法(BCG法)が挙げられる。比
色法としては、前処理によってアルブミンを全て酸化型に変化させた後にBCP法を実施する測定法(改良型BCP法)も挙げられる。免疫法としては、ELISA法が挙げられる。アルブミン量の測定は、例えば、市販の測定キットを用いて実施できる。市販の測定キットとしては、BCG法用のA/G Bテストワコー(富士フィルム和光純薬株式会社製)や、BCP法用のLタイプワコーALB-BCP(富士フィルム和光純薬株式会社製)が挙げられる。また、アルブミン量の測定は、例えば、自動分析装置を利用して実施できる。
【0037】
なお、工程(B)および工程(C)で測定され、工程(D)で用いられる「総アルブミン量」および「酸化型アルブミン量」とは、それぞれ、アルブミンの酸化還元比率を算出するために利用できる任意の形態で取得された、総アルブミン量を反映するデータおよび酸化型アルブミン量を反映するデータを意味する。総アルブミン量を反映するデータおよび酸化型アルブミン量を反映するデータとしては、上記例示したようなアルブミン量の測定方法により得られる生データやそれを加工したデータが挙げられる。すなわち、例えば、上記例示したようなアルブミン量の測定方法により得られる吸光度等のシグナルの測定値をそのまま工程(D)に用いてもよく、そのような測定値から試料中の総アルブミン量および酸化型アルブミン量の実際の値(例えば、実際の濃度)を算出して工程(D)に用いてもよい。
【0038】
<1-3>工程(D)
工程(D)は、総アルブミン量と酸化型アルブミン量からアルブミンの酸化還元比率を算出する工程である。工程(D)は、工程(A)、工程(B)、および工程(C)の実施後に実施される。
【0039】
工程(D)で算出される「アルブミンの酸化還元比率」とは、酸化型アルブミン量と還元型アルブミン量の比率を一義的に特定する値を意味する。
【0040】
アルブミンの酸化還元比率としては、総アルブミン量に対する還元型アルブミン量の比率、酸化型アルブミン量に対する還元型アルブミン量の比率、酸化型アルブミン量に対する総アルブミン量の比率、総アルブミン量に対する酸化型アルブミン量の比率、還元型アルブミン量に対する酸化型アルブミン量の比率、還元型アルブミン量に対する総アルブミン量の比率が挙げられる。アルブミンの酸化還元比率としては、特に、総アルブミン量に対する還元型アルブミン量の比率が挙げられる。
【0041】
上記例示したアルブミンの酸化還元比率は、下記式に示す関係に基づいて互いに変換できる:
総アルブミン量=酸化型アルブミン量+還元型アルブミン量。
【0042】
<1-4>アルブミンの酸化還元比率の用途
算出されたアルブミンの酸化還元比率の用途は、特に制限されない。アルブミンの酸化還元比率は、例えば、栄養マーカーとして被験体の栄養状態の評価に利用できる。アルブミンの酸化還元比率は、具体的には、例えば、ヒト被験体における低栄養リスクまたは低体重児出生リスクの評価に利用できる(WO2021/002403)。
【0043】
算出されたアルブミンの酸化還元比率は、例えば、そのまま、あるいは適宜補正してから、所望の用途に利用してよい。例えば、血液試料等の試料が被験体から分離された後、所定の期間が経過してから本発明の方法に用いられる場合、例えば、所定の期間の長さ(保存期間の長さ)や保存温度等の諸条件に応じて、アルブミンの酸化還元比率を適宜補正してから所望の用途に利用してよい。具体的には、例えば、試料中の還元型アルブミン比率は、試料の保存中に減少し得る(WO2021/002403)。よって、算出されたアルブミンの酸化還元比率は、例えば、試料の保存に伴う還元型アルブミン比率の減少を適宜補正してから所望の用途に利用してよい。試料の保存に伴う還元型アルブミン比率の減少の補正は、例えば、WO2021/002403に開示された方法で実施できる。
【0044】
<2>本発明のキット
本発明のキットは、チオール結合性物質(すなわち、チオール基に特異的に結合する物質)を含む、アルブミンの酸化還元比率の測定用キットである。本発明のキットは、例えば、本発明の方法を実施するために用いることができる。本発明のキットは、具体的には、例えば、本発明の方法の一部または全部を実施するために用いることができる。本発明のキットは、例えば、少なくとも、本発明の方法の工程(A)を実施するために用いることができる。
【0045】
本発明のキットは、チオール結合性物質に加えて、他の構成要素をさらに含んでいてよい。他の構成要素は、特に制限されない。
【0046】
他の構成要素としては、固相(具体的には、チオール結合性物質と結合するための固相)やカラム(具体的には、固相を充填するためのカラム)が挙げられる。
【0047】
本発明のキットにおけるチオール結合性物質、固相、およびカラム、ならびにそれらの関係については、本発明の方法において上述した通りである。チオール結合性物質は、例えば、固相に結合していてもよく、そうでなくてもよい。すなわち、本発明のキットは、例えば、チオール結合性物質と固相を分離した状態で含んでいてもよく、チオール結合性物質と固相を結合した状態で含んでいてもよい。固相は、例えば、カラムに充填されていてもよい。すなわち、本発明のキットは、例えば、固相が充填されたカラムを含んでいてもよい。
【0048】
他の構成要素としては、さらに、試薬、器具、マニュアルも挙げられる。試薬としては、液体媒体、緩衝液成分、アルブミン量の測定用成分が挙げられる。器具としては、アルブミン量の測定用器具が挙げられる。液体媒体や緩衝液成分は、例えば、試料の調製、固相とチオール結合性物質の結合、チオール結合性物質と還元型アルブミンの結合、カラムの平衡化、カラムの洗浄等の用途に用いられてよい。アルブミン量の測定用成分としては、比色法用の呈色試薬(例えばBCPやBCG)、免疫法用の抗体や酵素、アルブミン標準品が挙げられる。アルブミン量の測定用器具としては、チューブやマイクロプレートが挙げられる。
【実施例0049】
以下、非限定的な実施例を参照して、本発明をさらに具体的に説明する。
【0050】
<実施例1>チオール結合性樹脂を用いたアルブミンの酸化還元比率測定法の検討
・ヒト血清または血漿の取得
健康な成人男性4名から採血し、遠心分離に供して血清または血漿を得た。得られた血清または血漿はすみやかに分析まで-80℃で保存した。アルブミンは室温に放置することで、還元型アルブミン比率が減少し、酸化型アルブミン比率が増加することが知られている(WO2021/002403)。一部の血清または血漿は、室温にて1, 3, 5または7日間保存してアルブミン酸化還元比率を変化させた後、分析した。
【0051】
・還元型アルブミンと酸化型アルブミンの分離
還元型アルブミンと酸化型アルブミンとの分離には、ピリジルジスルフィド基を備えるチオール結合性の樹脂であるActivated Thiol Sepharose 4B(グローバルライフサイエンステクノロジーズジャパン株式会社)を用いた。樹脂30 mgを0.22 μmのPVDF膜フィルター付遠心カラム(メルク株式会社)に充てんし、蒸留水で洗浄後、100 mM Tris-HCl, 0.5
M NaCl, 1 mM EDTA, pH7.7から成るバッファーで洗浄してチオールの酸化を触媒する可能性のある重金属イオンを除去した。次に、遠心カラムに100 mM Tris-HCl, 0.5 M NaCl,
pH7.7から成るバッファー 200 μLを加え、樹脂を膨潤させた後、血清または血漿6 μLを添加した。カラムのヘッドスペースを窒素ガスで満たし、カラムの蓋をして更にパラフィルムを巻いて密封性を保った後、室温で6時間転倒攪拌しながらアルブミンと樹脂とを反応させた。反応後、カラムを遠心分離に供し、ろ液を回収した。血清または血漿2 μL分に相当するろ液をPBSで120 μLにメスアップした後、Karl Oettl (2010) Methods in Enzymology_474_181-195に記載の方法に準拠してHPLC分析に供し、酸化型アルブミンのみが分離されたことを確認した。また、別途、分離前の血清または血漿を同様の手順でHPLC分析に供し、還元型アルブミン比率を測定した。血清試料についてHPLC分析の結果を図1に示す。HPLC分析の条件は以下の通りとした。
【0052】
装置:NANOSPACE S1-2 (株式会社資生堂)
カラム:Shodex Asahipak 502N 7Cカラム(昭和電工株式会社)
カラム温度:35℃
検出波長:励起波長280 nm、蛍光波長340 nm
移動相:A液(0.4 M硫酸ナトリウム、50 mM酢酸ナトリウム(pH4.85))
B液(0.4 M硫酸ナトリウム、50 mM酢酸ナトリウム(pH4.85)、10%エタノール)
移動相条件:A液/B液の混合比を0~5分は100/0に保ち、5~25分でA液/B液の混合比を100/0から40/60に変化させ、25~30分でA液/B液の混合比を40/60に保った。
流速:1.0 mL/分
サンプル注入量:20 μL
【0053】
・アルブミン発色試薬を用いた比色法による還元型アルブミン比率の算出
アルブミン発色試薬(BCG法:A/G Bテストワコー(富士フィルム和光純薬株式会社製)、またはBCP法:LタイプワコーALB-BCP(富士フィルム和光純薬株式会社製))を用いて、総アルブミン量と分離した酸化型アルブミン量の測定を行った。次いで、下記式1により還元型アルブミン比率を算出した。
【0054】
【数1】
【0055】
・比色法とHPLC法との比較
アルブミン発色試薬を用いて算出した還元型アルブミン比率と、HPLC法により測定した還元型アルブミン比率との相関関係を確認した。血清試料を測定した結果、BCG法での算出値(x1)とHPLC法での測定値(y1)の相関式はy1 = 1.6548x1 - 36.275 (r = 0.9098, P < 0.0001)、BCP法での算出値(x2)とHPLC法の測定値(y2)相関式はy2 = 1.6371x2 - 39.482 (r = 0.8017, P < 0.0001)であった(図2)。血漿試料についても同様に測定した結果、BCG法での算出値(x3)とHPLC法での測定値(y3)の相関式はy3 = 1.1403x3 - 6.9136 (r = 0.6475, P < 0.01)、BCP法での算出値(x4)とHPLC法での測定値(y4)の相関式はy4 = 0.7522x4 + 12.584 (r = 0.7664, P < 0.0001)であった(図3)。すなわち、いずれの試料を用いた場合にも、BCG法またはBCP法とHPLC法とで還元型アルブミン比率に有意な相関が認められた。
【0056】
以上より、試料中の還元型アルブミンをチオール結合性物質と結合させて酸化型アルブミンと分離することにより、試料中の酸化型アルブミン量を選択的に測定でき、以て試料
中のアルブミンの酸化還元比率を算出できることが明らかとなった。
【0057】
<実施例2>チオール結合性ビオチン試薬を用いたアルブミンの酸化還元比率測定法の検討
・ヒト血清または血漿の取得
実施例1で取得した血清または血漿であって、取得後すみやかに-80℃まで保存したものを使用した。実施例1と同様に一部の血清または血漿は、室温にて1, 3, 5または7日間保存してアルブミン酸化還元比率を変化させた後、分析した。
【0058】
・還元型アルブミンと酸化型アルブミンの分離
血清または血漿中に含まれる還元型アルブミンを、ピリジルジスルフィド基を備えるチオール結合性ビオチン試薬であるHPDP-Biotin(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)により、ビオチン標識した。HPDP-BiotinをDMSOで溶解し、4 mMのHPDP-Biotin溶液を調製した。血清または血漿12 μLに6 μLの4 mM HPDP-Biotin溶液を加え、PBSバッファーで60 μLにメスアップした後、室温で2時間反応させた。反応後、10K限外ろ過フィルター(メルク株式会社)を用いてPBSで2回洗浄し、反応しきれなかったHPDP-Biotinを除いた。次に、Streptavidin Agarose Resin(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)400 μL(懸濁液に樹脂が50%含まれているので樹脂200 μL相当)を空カラムに充てんし、1 mLのPBSで2回洗浄した。ビオチン誘導体化したアルブミンをカラムに供し、室温で30分間反応させた。反応後、カラムを遠心分離に供し、ろ液を回収した。血清または血漿2 μL分に相当するろ液をPBSで120 μLにメスアップした後、実施例1に記載の条件でHPLC分析に供し、酸化型アルブミンのみが分離されたことを確認した。また、別途、分離前の血清または血漿を同様の手順でHPLC分析に供し、還元型アルブミン比率を測定した。
【0059】
・アルブミン発色試薬を用いた比色法による還元型アルブミン比率の算出
実施例1と同様に、アルブミン発色試薬を用いて、総アルブミン量と分離した酸化型アルブミン量の測定を行った。次いで、前記式1により還元型アルブミン比率を算出した。
【0060】
・比色法とHPLC法との比較
アルブミン発色試薬を用いて算出した還元型アルブミン比率と、HPLC法により測定した還元型アルブミン比率との相関関係を確認した。血清試料を測定した結果、BCG法での算出値(x5)とHPLC法での測定値(y5)の相関式はy5 = 1.0263x5 - 6.0788 (r = 0.6252, P < 0.01)、BCP法での算出値(x6)とHPLC法の測定値(y6)相関式はy6 = 0.6866x6 + 19.104 (r = 0.866, P < 0.0001)であった(図4)。血漿試料についても同様に測定した結果、BCG法での算出値(x7)とHPLC法での測定値(y7)の相関式はy7 = 1.1575x7 - 15.056 (r = 0.7919, P < 0.0001)、BCP法での算出値(x8)とHPLC法での測定値(y8)の相関式はy8 = 0.7569x8 + 4.1658 (r = 0.6135, P < 0.01)であった(図5)。すなわち、いずれの試料を用いた場合にも、BCG法またはBCP法とHPLC法とで還元型アルブミン比率に有意な相関が認められた。
【0061】
以上より、チオール結合性の樹脂を用いる場合に限られず、チオール結合性ビオチン試薬を用いた場合にも、本発明の方法を実施できることが明らかとなった。
【0062】
また、取得後すみやかに-80℃で保存した血清について、比色法(BCG法)とHPLC法での結果を表1に示す。表中、「相対値[%]」とは、HPLC法での算出値に対する平均値の相対値[%]を示す。
【0063】
【表1】
【0064】
<実施例3>チオール結合性ビオチン試薬を用いたアルブミンの酸化還元比率測定法の検討
・ヒト血清の取得
実施例1で取得した血清であって、取得後すみやかに-80℃で保存したものを使用した。
【0065】
・還元型アルブミンと酸化型アルブミンの分離
実施例2と同様の方法で還元型アルブミンと酸化型アルブミンの分離を行った。
【0066】
・免疫学的測定法による還元型アルブミン比率の算出
ヒトアルブミンELISAキット(ベチルラボラトリーズ社製)を用いて、4名の血清試料について総アルブミン量と分離した酸化型アルブミン量の測定を行った。次いで、前記式1により還元型アルブミン比率を算出した。
【0067】
結果を表2に示す。表中、「相対値[%]」とは、HPLC法での算出値に対する平均値の相対値[%]を示す。また、表中、「HPLC法での算出値」は、実施例2で取得したデータの再掲である。免疫学的測定法(具体的にはELISA法)測定した場合にもHPLC法で測定した場合と同様の結果が得られた(表2)。
【0068】
以上より、本発明の方法における総アルブミン量と酸化型アルブミン量の測定は、比色法に限られず、免疫学的測定法でも実施できることが明らかとなった。
【0069】
【表2】
【0070】
<比較例1>SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)を利用し分離測定する方法
・ヒト血清の取得
実施例1で被験者1から取得した血清であって、取得後すみやかに-80℃で保存したものを使用した。
【0071】
・還元型アルブミン比率の算出
非特許文献1の方法にならい、還元型アルブミンのSH基を20kDaのポリエチレングリコールマレイミド(PEG-Mal、フナコシ株式会社)で修飾(PEG化)して分子量を高め、SDS-PAGEでPEG化還元型アルブミンと酸化型アルブミンとを分離した。
【0072】
すなわち、まず、血清10 μLに1mMのPEG-Mal溶液(PBS, pH7.4)40 μLを混ぜ、室温で15分反応させた。その後、純水40μLとエタノール10 μLを加え、4℃で1時間放置し、遠心分離(10,000g、5分)し、アルブミン以外の不溶性たんぱく質を除去した。チューブに上清5 μLとサンプルバッファー(SDS、メルカプトエタノールを含む)120 μLを合わせ、95℃で5分間加熱した。SDS-PAGEは、分離ゲルに7.5% ミニプロティアン TGXTM プレキャストゲル(バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社)を使用し、150Vで電気泳動を行った。ゲルは純水で洗浄した後、CBB溶液(Bio-Safe CBB G-250ステイン、バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社)で染色し、純水で脱色した。撮影は、Image Lab & ChemiDoc XRS Plus(バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社)を用いて行い、還元型アルブミンと酸化型アルブミンのバンド強度から還元型アルブミン比率を算出した。
【0073】
結果を表3に示す。表中、「相対値[%]」とは、HPLC法での算出値に対する相対値[%]を示す。また、表中、「HPLC法での算出値」は、実施例2で取得したデータの再掲である。比較例1(表3)と実施例2~3(表1~2)より、チオール結合性物質と固相との結合を利用してアルブミンを分離することにより、SDS-PAGEによりアルブミンを分離する場合と比較して、HPLC法での算出値に近い測定結果が得られる(すなわち、正確に還元型アルブミン比率を測定できる)ことが明らかとなった。
【0074】
【表3】
【0075】
<実施例4>チオール結合性ビオチン試薬を用いたアルブミンの酸化還元比率測定法の検討
・ヒト血清の取得
実施例1で被験者1から取得した血清であって、取得後すみやかに-80℃で保存したものを使用した。
【0076】
・還元型アルブミンと酸化型アルブミンの分離
血清中に含まれる還元型アルブミンを、ヨードアセチル基を備えるチオール結合性ビオチン試薬であるEZ-LinkTM Iodoacetyl-LC-Biotin(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)を用いて、説明書に記載の方法に習いビオチン標識した。
【0077】
まず、Iodoacetyl-LC-BiotinをDMSOで溶解し、4 mMのIodoacetyl-LC-Biotin溶液を調製後、血清中に含まれるスルフヒドリル基のモル濃度あたり4倍モル濃度の過剰量に相当するIodoacetyl-LC-Biotinを加え、暗所で90分間、室温で反応させた。反応バッファーには50mM Tris・HCl, 5mM EDTA, pH8.0-8.3を用いた。反応後、10K限外ろ過フィルター(メルク株式会社)を用いてPBSで2回洗浄し、反応しきれなかったIodoacetyl-LC-Biotinを除去した。次に、実施例2と同様に、Streptavidin Agarose Resin(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)を用いて、ビオチン標識した還元型アルブミンをレジン樹脂に吸着させ、酸化型アルブミンを分離した。
【0078】
・アルブミン発色試薬を用いた比色法による還元型アルブミン比率の算出とHPLC法との比較
実施例1と同様に、アルブミン発色試薬を用いて、総アルブミン量と分離した酸化型アルブミン量の測定を行い、前記式1により還元型アルブミン比率を算出した。
【0079】
結果を表4に示す。表中、「相対値[%]」とは、HPLC法での算出値に対する相対値[%]を示す。また、表中、「HPLC法での算出値」は、実施例2で取得したデータの再掲である。実施例4(表4)と実施例2~3(表1~2)より、チオール反応性官能基としてピリジルジスルフィド基を利用してアルブミンを分離することにより、チオール反応性官能基としてヨードアセチル基を利用してアルブミンを分離する場合と比較して、HPLC法での算出値に近い測定結果が得られる(すなわち、正確に還元型アルブミン比率を測定できる)ことが明らかとなった。また、実施例4(表4)と比較例1(表3)より、チオール結合性物質と固相との結合を利用してアルブミンを分離することにより、SDS-PAGEによりアルブミンを分離する場合と比較して、HPLC法での算出値に近い測定結果が得られる(すなわち、正確に還元型アルブミン比率を測定できる)ことが明らかとなった。
【0080】
【表4】
【0081】
<実施例5>チオール結合性ビオチン試薬を用いたアルブミンの酸化還元比率測定法の検討
・ヒト血清の取得
実施例1で被験者1から取得した血清であって、取得後すみやかに-80℃で保存したものを使用した。
【0082】
・還元型アルブミンと酸化型アルブミンの分離
血清中に含まれる還元型アルブミンを、マレイミド基を備えるチオール結合性ビオチン試薬であるEZ-LinkTM Maleimide-PEG2-Biotin(Mal-Biotin、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)を用いて、説明書に記載の方法に習いビオチン標識した。
【0083】
まず、Mal-BiotinをDMSOで溶解し、250 mMのMal-Biotin溶液を調製後、血清中に含まれるタンパク質の20倍モル過剰量に相当するMal-Biotinを加え、室温で2時間反応させた。反応バッファーにはPBS(pH7.4)を用いた。反応後、10K限外ろ過フィルター(メルク株式会社)を用いてPBSで2回洗浄し、反応しきれなかったMal-Biotinを除去した。次に、実施例2と同様に、Streptavidin Agarose Resin(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)を用いて、ビオチン標識した還元型アルブミンをレジン樹脂に吸着させ、酸化型アルブミンを分離した。
【0084】
・アルブミン発色試薬を用いた比色法による還元型アルブミン比率の算出とHPLC法との比較
実施例1と同様に、アルブミン発色試薬を用いて、総アルブミン量と分離した酸化型アルブミン量の測定を行い、前記式1により還元型アルブミン比率を算出した。
【0085】
結果を表5に示す。表中、「相対値[%]」とは、HPLC法での算出値に対する相対値[%]を示す。また、表中、「HPLC法での算出値」は、実施例2で取得したデータの再掲である。実施例5(表5)と実施例2~3(表1~2)より、チオール反応性官能基としてピリジルジスルフィド基を利用してアルブミンを分離することにより、チオール反応性官能基としてマレイミド基を利用してアルブミンを分離する場合と比較して、HPLC法での算出値に近い測定結果が得られる(すなわち、正確に還元型アルブミン比率を測定できる)ことが明らかとなった。また、実施例5(表5)と比較例1(表3)より、チオール反応性官能基としてマレイミド基を利用する場合同士で比較しても、チオール結合性物質と固相との結合を利用してアルブミンを分離することにより、SDS-PAGEによりアルブミンを分離する場合と比較して、HPLC法での算出値に近い測定結果が得られる(すなわち、正確に還元型アルブミン比率を測定できる)ことが明らかとなった。
【0086】
【表5】
図1
図2
図3
図4
図5