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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131848
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】キャプスタンカバー
(51)【国際特許分類】
   B66D 1/28 20060101AFI20230914BHJP
   B66D 1/54 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
B66D1/28 A
B66D1/54 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036831
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】511208771
【氏名又は名称】竹村電気工事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】舞木 康顕
(72)【発明者】
【氏名】島崎 武巳
(72)【発明者】
【氏名】呉屋 純平
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 崇雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓夫
(72)【発明者】
【氏名】富澤 竜一
(57)【要約】
【課題】操作作業を行う際のキャプスタンとワイヤーロープとの隙間への作業員の衣服等の巻き込みを防ぐことができ、作業の安全性の向上を図ることが可能なキャプスタンカバーを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかるキャプスタンカバー100の構成は、横向きに設置された回転式のキャプスタン14の外周面14aを囲うキャプスタンカバー100であって、キャプスタン14の端面に沿う円板110と、円板110を支持する支持軸120と、円板110の外縁110a近傍に配列されキャプスタン14の外周面14aに沿って延びた複数本のシャフト130と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横向きに設置された回転式のキャプスタンの外周面を囲うキャプスタンカバーであって、
前記キャプスタンの端面に沿う円板と、
前記円板を支持する支持軸と、
前記円板の外縁近傍に配列され前記キャプスタンの外周面に沿って延びた複数本のシャフトと、
を備えたことを特徴とするキャプスタンカバー。
【請求項2】
前記複数本のシャフトは選択的に挿抜可能であることを特徴とする請求項1に記載のキャプスタンカバー。
【請求項3】
前記シャフトには複数本の溝が形成されていて、
前記円板には前記溝と係合するボールプランジャが備えられていることを特徴とする請求項1または2に記載のキャプスタンカバー。
【請求項4】
当該キャプスタンカバーはスタンド式であり、
前記支持軸を支持するスタンドを備えていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のキャプスタンカバー。
【請求項5】
当該キャプスタンカバーはマグネット式であり、
前記支持軸が取り付けられたマグネットベースと、
前記マグネットベースに固定され前記キャプスタンの端面に吸着する磁石と、
を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のキャプスタンカバー。
【請求項6】
前記円板の下方には回転止めの錘が取り付けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のキャプスタンカバー。
【請求項7】
前記円板の上方には前記キャプスタンのフランジまたは端面に当接するローラが備えられていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のキャプスタンカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横向きに設置された回転式のキャプスタンの外周面を囲うキャプスタンカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
ウインチ等に装着するワイヤーロープを巻き取る、または送り出すための円筒型の装置としてキャプスタンウインチが知られている。例えば特許文献1では、「機台に軸架された保持ローラと、ロープが巻きつけられるキャプスタンドラム(キャプスタン)と、キャプスタンドラムに巻き付けたロープの尻手側を保持ローラに押し付けるためのピンチローラと」を含むキャプスタンウインチの尻手取り装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用登録第3003827号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般にキャプスタンは外周面が露出した状態となっている。このため、ワイヤーロープを巻き取る、または送り出す等の操作作業を行う際に、キャプスタンとワイヤーロープとの隙間に作業員の手や衣服(以下、衣服等と称する)が巻き込まれるおそれがある。そのような巻き込み事故を防ぐための構造の開発が求められていた。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み、操作作業を行う際のキャプスタンとワイヤーロープとの隙間への作業員の衣服等の巻き込みを防ぐことができ、作業の安全性の向上を図ることが可能なキャプスタンカバーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明にかかるキャプスタンカバーの代表的な構成は、横向きに設置された回転式のキャプスタンの外周面を囲うキャプスタンカバーであって、キャプスタンの端面に沿う円板と、円板を支持する支持軸と、円板の外縁近傍に配列されキャプスタンの外周面に沿って延びた複数本のシャフトと、を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、キャプスタンの外周面に沿って延びた複数本のシャフトが柵として機能する。したがって、キャプスタンとワイヤーロープとの隙間への作業員の衣服等の巻き込みを防ぐことができ、作業の安全性の向上を図ることが可能となる。また複数本のシャフトが円板を介して支持軸に支持されることにより、キャプスタンに対して安定した状態で複数本のシャフトを配置することができる。加えて複数本のシャフトが柵として機能することにより、ワイヤーロープの巻付状況および動作状況をシャフトの隙間から目視で確認することが可能である。
【0008】
上記複数本のシャフトは選択的に挿抜可能であるとよい。かかる構成によれば、選択的にシャフトを抜いた領域にワイヤーケーブルを通すことができる。これにより、ワイヤーケーブルを円滑に巻き取りおよび送り出しすることが可能となる。
【0009】
上記シャフトには複数本の溝が形成されていて、円板には溝と係合するボールプランジャが備えられているとよい。かかる構成によれば、シャフトの溝とボールプランジャとの係合位置を変えることにより、キャプスタンの外周面に対するシャフトの長さを調整することができる。したがって、本発明のキャプスタンカバーを様々なサイズのキャプスタンに適用することが可能となる。
【0010】
当該キャプスタンカバーはスタンド式であり、支持軸を支持するスタンドを備えているとよい。これにより、キャプスタンカバーの設置時の姿勢を安定させることができる。
【0011】
当該キャプスタンカバーはマグネット式であり、支持軸が取り付けられたマグネットベースと、マグネットベースに固定されキャプスタンの端面に吸着する磁石と、を備えているとよい。これによっても、キャプスタンカバーの設置時の姿勢を安定させることができる。
【0012】
上記円板の下方には回転止めの錘が取り付けられているとよい。これにより、円板の回転を抑制することができ、キャプスタンの回転に起因する円板の回転を防ぎ、ワイヤーケーブルの取り回しを良好に行うことが可能となる。
【0013】
上記円板の上方にはキャプスタンのフランジまたは端面に当接するローラが備えられているとよい。これにより、キャプスタンに対する円板ひいてはそれに支持されたシャフトの傾きを防ぐことができる。したがって、シャフトとキャプスタンの外周面との接触を好適に防ぐことが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、操作作業を行う際のキャプスタンとワイヤーロープとの隙間への作業員の衣服等の巻き込みを防ぐことができ、作業の安全性の向上を図ることが可能なキャプスタンカバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】クローラ式ウインチおよび第1実施形態のキャプスタンカバーについて説明する図である。
図2】第1実施形態にかかるキャプスタンカバーの全体斜視図である。
図3】第1実施形態にかかるキャプスタンカバーの全体斜視図である。
図4】クローラ式ウインチおよび第2実施形態のキャプスタンカバーについて説明する図である。
図5】第2実施形態にかかるキャプスタンカバーの全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、クローラ式ウインチ10および第1実施形態のキャプスタンカバー100について説明する図である。図1(a)は、クローラ式ウインチ10に第1実施形態のキャプスタンカバー100を取り付ける前の状態を例示する斜視図である。図1(b)は、クローラ式ウインチ10に第1実施形態のキャプスタンカバー100を取り付けた後の状態を例示する斜視図である。
【0018】
図1(a)および(b)に示すようにクローラ式ウインチ10は、地面を走行するクローラ12を有し、クローラ12の上方であってクローラ式ウインチ10の進行方向の前方側には、ワイヤーロープ(不図示)を巻き取るおよび送り出す回転式のキャプスタン14が配置されている。キャプスタン14は、図1(a)に示す回転軸10aが横向きとなるように配置されている。第1実施形態のキャプスタンカバー100は、図1(b)に示すようにキャプスタン14の円筒状の外周面14aを囲うようにキャプスタン14に取り付けられる。
【0019】
図2および図3は、第1実施形態にかかるキャプスタンカバー100の全体斜視図である。図2は、キャプスタンカバー100をキャプスタン14とは反対側(外側)から観察した状態を例示していて、図3は、キャプスタンカバー100をキャプスタン14側(内側)から観察した状態を例示している。
【0020】
図2および図3に示すように第1実施形態のキャプスタンカバー100は、円板110、支持軸120および複数本のシャフト130を含んで構成される。円板110は、キャプスタン14の端面14b(図1(b)参照)に沿うように配置され、中央近傍において支持軸120に支持されている。複数本のシャフト130は、円板110の外縁110aの近傍に円周方向に配列され、キャプスタン14の外周面14aに沿って延びるように配置される。これにより、複数本のシャフト130が円板110を介して支持軸120に支持される。
【0021】
上記構成によれば、複数本のシャフト130がキャプスタン14の外周面14aに対する柵として機能する。これにより、キャプスタン14の外周面14aが複数本のシャフト130によって遮られるため、キャプスタン14とワイヤーロープ(不図示)との隙間への作業員の衣服等の巻き込みを防ぎ、作業の安全性の向上を図ることが可能となる。
【0022】
特に第1実施形態のキャプスタンカバー100はスタンド式である。詳細には第1実施形態のキャプスタンカバー100は、支持軸120を支持するスタンド140を備えている。スタンド140は、支持軸120が連結されるポール142と、ポール142の下端が連結されるベース144を含んで構成される。かかる構成によれば、キャプスタンカバー100はスタンド140を介して地面に設置される。これにより、キャプスタン14に対してキャプスタンカバー100を安定した姿勢で設置することが可能となる。
【0023】
また本実施形態のキャプスタンカバー100では、図3に示すように複数本のシャフト130は選択的に挿抜可能である(図3では1本のシャフト130を抜いた状態を例示している)。これにより、シャフト130を抜いた領域にワイヤーケーブルを通すことで、ワイヤーケーブルを円滑に巻き取りおよび送り出しすることが可能となる。なおワイヤーケーブルの径によっては、シャフト130を抜き取ることなく、複数のシャフト130間の隙間にワイヤーケーブルを挿通する構成としてもよい。
【0024】
更に本実施形態のキャプスタンカバー100では、図2および図3に示すようにシャフト130には複数本の溝132が形成されている。一方、円板110には、溝132と係合するボールプランジャ112(図2参照)が備えられている。これにより、シャフト130の溝132とボールプランジャ112との係合位置を変えることで、キャプスタン14の外周面14aに対するシャフト130の長さを調整することができる。したがって、キャプスタンカバー100を様々なサイズのキャプスタン14に適用することが可能となる。
【0025】
また本実施形態のキャプスタンカバー100では、円板110の下方には回転止めの錘150(図2参照)が取り付けられている。これにより、円板110の回転を抑制することができる。したがって、キャプスタン14の回転に起因する円板110の回転を防ぎ、ワイヤーケーブルの取り回しを良好に行うことが可能となる。
【0026】
更に本実施形態のキャプスタンカバー100では、円板110の上方に、キャプスタン14のフランジ14cまたは端面14b(図1(a)および(b)参照)に当接するローラ160(図3参照)が取り付けられている。これにより、キャプスタン14に対する円板110ひいてはそれに支持されたシャフト130の傾きを防ぐことができる。したがって、シャフト130とワイヤーケーブルとの接触を好適に防ぐことが可能となる。
【0027】
(第2実施形態)
図4は、クローラ式ウインチ10および第2実施形態のキャプスタンカバー200について説明する図である。図4(a)は、クローラ式ウインチ10に第2実施形態のキャプスタンカバー200を取り付ける前の状態を例示する斜視図である。図4(b)は、クローラ式ウインチ10に第2実施形態のキャプスタンカバー200を取り付けた後の状態を例示する斜視図である。
【0028】
図5は、第2実施形態にかかるキャプスタンカバー200の全体斜視図である。図5(a)は、キャプスタンカバー200をキャプスタン14とは反対側(外側)から観察した状態を例示していて、図5(b)は、キャプスタンカバー200をキャプスタン14側(内側)から観察した状態を例示している。なお、先に説明した第1実施形態のキャプスタンカバー100と共通の構成要素については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0029】
第1実施形態のキャプスタンカバー100はスタンド式であった。これに対し、図4および図5に示す第2実施形態のキャプスタンカバー200はマグネット式である。詳細には第2実施形態のキャプスタンカバー200は、マグネットベース242および磁石244を備える。支持軸120はマグネットベース242に取り付けられ、磁石244はマグネットベース242に固定されてキャプスタン14の端面14bに吸着する。
【0030】
第2実施形態のキャプスタンカバー200では、例えば図4(a)に示すように磁石244をキャプスタン14の端面14bに吸着させることでマグネットベース242を介して支持軸120をキャプスタン14に保持させる。そして図4(b)に示すように円板110に支持軸120を固定し、円板110およびそれに配列された複数のシャフト130をキャプスタン14に取り付ける。
【0031】
キャプスタン14が回転するとマグネットベース242および支持軸120も回転する。支持軸120と円板110との間にはベアリングが備えられていて、支持軸120は円板110に対して自在に回転する。円板110の下方に回転止めの錘150が備えられていることから、支持軸120が回転しても円板110およびシャフト130は回転することなく、柵としての機能を維持することができる。
【0032】
第2実施形態のキャプスタンカバー200によっても、キャプスタン14の外周面14aがシャフト130によって遮られるため、第1実施形態のキャプスタンカバー100と同様の効果を得ることができる。特に第2実施形態のキャプスタンカバー200では、地面に凹凸があった場合等、地面の状態が良くない場合であってもキャプスタン14に対してキャプスタンカバー200を安定した姿勢で設置することが可能となる。
【0033】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、横向きに設置された回転式のキャプスタンの外周面を囲うキャプスタンカバーとして利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
10…クローラ式ウインチ、10a…回転軸、12…クローラ、14…キャプスタン、14a…外周面、14b…端面、14c…フランジ、100…キャプスタンカバー、110…円板、110a…外縁、112…ボールプランジャ、120…支持軸、130…シャフト、132…溝、140…スタンド、142…ポール、144…ベース、150…錘、160…ローラ、200…キャプスタンカバー、242…マグネットベース、244…磁石
図1
図2
図3
図4
図5