(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131856
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20230914BHJP
【FI】
G05D1/02 H
G05D1/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036840
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003333
【氏名又は名称】ボッシュ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100154759
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 貴子
(72)【発明者】
【氏名】中里 研一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正憲
(72)【発明者】
【氏名】山本 真哉
(72)【発明者】
【氏名】宮下 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】平田 弘達
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA03
5H301AA06
5H301BB02
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC04
5H301CC06
5H301CC07
5H301CC10
5H301DD07
5H301DD17
5H301GG08
5H301GG09
5H301KK03
5H301KK04
5H301KK08
5H301LL06
5H301QQ01
(57)【要約】
【課題】移動体による作業の効率化。
【解決手段】移動体の作業のスケジュールを作成する情報処理装置(10)は、与えられたフィールドに複数のブロックを設定し、各ブロックにおいて、第1の移動体(J1)により材料を搬送し、第2の移動体(J2)により材料を展開する順番を決定するスケジュール処理部(112)と、記憶部(12)と、各ブロックにおける、第1の移動体(J1)及び第2の移動体(J2)の作業状態を検出し、記憶部(12)に保存するブロック管理部(113)と、を備える。スケジュール処理部(112)は、第2の移動体(J2)の作業状態が未完了であるブロックの中から、第1の移動体(J1)により前記材料を搬送する次のブロックを決定し、第1の移動体(J1)の作業状態が完了のブロックの中から、第2の移動体(J2)により材料を展開する次のブロックを決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の作業のスケジュールを作成する情報処理装置(10)であって、
与えられたフィールドに複数のブロックを設定し、前記各ブロックにおいて、第1の移動体(J1)により材料を搬送し、第2の移動体(J2)により前記材料を展開する順番を決定するスケジュール処理部(112)と、
記憶部(12)と、
前記各ブロックにおける、前記第1の移動体(J1)及び前記第2の移動体(J2)の作業状態を検出し、前記記憶部(12)に保存するブロック管理部(113)と、を備え、
前記スケジュール処理部(112)は、
前記第2の移動体(J2)の作業状態が未完了であるブロックの中から、前記第1の移動体(J1)により前記材料を搬送する次のブロックを決定し、
前記第1の移動体(J1)の作業状態が完了のブロックの中から、前記第2の移動体(J2)により前記材料を展開する次のブロックを決定する
情報処理装置(10)。
【請求項2】
前記ブロック管理部(113)は、
前記ブロックごとに前記材料の必要数及び搬送数を前記記憶部(12)に保存し、
前記次のブロックにおける前記第1の移動体(J1)又は前記第2の移動体(J2)の作業状態を、作業待ちに更新し、
前記第1の移動体(J1)の作業状態が作業待ちであるブロックに、前記第1の移動体(J1)により前記材料が搬送されると、当該ブロックにおける前記材料の搬送数を更新し、
前記材料の搬送数が前記必要数に達したブロックの前記第1の移動体(J1)の作業状態を完了に更新する
請求項1に記載の情報処理装置(10)。
【請求項3】
前記スケジュール処理部(112)は、前記第1の移動体(J1)の作業状態が完了であるブロックであって、かつ前記材料の搬送数が前記必要数に達したブロックのなかから、前記第2の移動体(J2)により前記材料を展開する次のブロックを決定する
請求項2に記載の情報処理装置(10)。
【請求項4】
前記スケジュール処理部(112)は、前記材料の搬送数が他のブロックよりも多いブロックを優先して、前記材料を展開する次のブロックを決定する
請求項2又は3に記載の情報処理装置(10)。
【請求項5】
前記スケジュール処理部(112)は、前記第2の移動体(J2)の作業状態が未完了であるブロックであって、かつ前記第2の移動体(J2)が位置する現在のブロックに隣接するブロックの中から、前記第1の移動体(J1)により前記材料を搬送する次のブロックを決定する
請求項2~4のいずれか一項に記載の情報処理装置(10)。
【請求項6】
前記スケジュール処理部(112)は、前記隣接するブロックにおける前記材料の搬送数の合計が閾値を超える場合、前記材料の搬送の停止を決定するか、又は、前記現在のブロックから1ブロック以上離れたブロックの中から、前記材料を搬送する次のブロックを決定する
請求項5に記載の情報処理装置(10)。
【請求項7】
前記ブロック管理部(113)は、前記ブロックごとに障害物の有無を前記記憶部(12)に保存し、
前記スケジュール処理部(112)は、前記障害物が有るブロックを除いて、前記次のブロックを決定する
請求項1~6のいずれか一項に記載の情報処理装置(10)。
【請求項8】
移動体の作業のスケジュールを作成する方法であって、
与えられたフィールドに複数のブロックを設定するステップと、
前記各ブロックにおいて、第1の移動体(J1)により材料を搬送し、第2の移動体(J2)により前記材料を展開する順番を決定するステップと、
前記各ブロックにおける、前記第1の移動体(J1)及び前記第2の移動体(J2)の作業状態を検出し、記憶部(12)に保存するステップと、を含み、
前記順番を決定するステップは、
前記第2の移動体(J2)の作業状態が未完了であるブロックの中から、前記第1の移動体(J1)により前記材料を搬送する次のブロックを決定するステップと、
前記第1の移動体(J1)の作業状態が完了のブロックの中から、前記第2の移動体(J2)により前記材料を展開する次のブロックを決定するステップと、
を含む方法。
【請求項9】
コンピュータに、移動体の作業のスケジュールを作成する方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、
与えられたフィールドに複数のブロックを設定するステップと、
前記各ブロックにおいて、第1の移動体(J1)により材料を搬送し、第2の移動体(J2)により前記材料を展開する順番を決定するステップと、
前記各ブロックにおける、前記第1の移動体(J1)及び前記第2の移動体(J2)の作業状態を検出し、記憶部(12)に保存するステップと、を含み、
前記順番を決定するステップは、
前記第2の移動体(J2)の作業状態が未完了であるブロックの中から、前記第1の移動体(J1)により前記材料を搬送する次のブロックを決定するステップと、
前記第1の移動体(J1)の作業状態が完了のブロックの中から、前記第2の移動体(J2)により前記材料を展開する次のブロックを決定するステップと、を含む
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
土木建設現場では、労働者不足により施工の自動化が求められている。そこで、自動運転機能が搭載された建設機械が開発されている(例えば、特許文献1参照)。オペレータの操作を必要としないため、労働者不足の改善が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現場での作業が多様であると、作業領域のどの部分をどのような順番で作業するかによって、作業効率が大きく異なる。例えば、ダンプトラックにより土を搬送して、ブルドーザーにより土を一定の高さに敷きならす盛土の造成現場では、搬送した土の山をどこに配置するか、どういう順番で土の山を崩していくか、そのスケジュールが課題となる。
【0005】
本発明は、建設機械のような移動体による作業の効率化を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、移動体の作業のスケジュールを作成する情報処理装置(10)である。前記情報処理装置(10)は、与えられたフィールドに複数のブロックを設定し、前記各ブロックにおいて、第1の移動体(J1)により材料を搬送し、第2の移動体(J2)により前記材料を展開する順番を決定するスケジュール処理部(112)と、記憶部(12)と、前記各ブロックにおける、前記第1の移動体(J1)及び前記第2の移動体(J2)の作業状態を検出し、前記記憶部(12)に保存するブロック管理部(113)と、を備える。前記スケジュール処理部(112)は、前記第2の移動体(J2)の作業状態が未完了であるブロックの中から、前記第1の移動体(J1)により前記材料を搬送する次のブロックを決定し、前記第1の移動体(J1)の作業状態が完了のブロックの中から、前記第2の移動体(J2)により前記材料を展開する次のブロックを決定する。
【0007】
本発明の他の一態様は、移動体の作業のスケジュールを作成する方法である。前記方法は、与えられたフィールドに複数のブロックを設定するステップと、前記各ブロックにおいて、第1の移動体(J1)により材料を搬送し、第2の移動体(J2)により前記材料を展開する順番を決定するステップと、前記各ブロックにおける、前記第1の移動体(J1)及び前記第2の移動体(J2)の作業状態を検出し、記憶部(12)に保存するステップと、を含む。前記順番を決定するステップは、前記第2の移動体(J2)の作業状態が未完了であるブロックの中から、前記第1の移動体(J1)により前記材料を搬送する次のブロックを決定するステップと、前記第1の移動体(J1)の作業状態が完了のブロックの中から、前記第2の移動体(J2)により前記材料を展開する次のブロックを決定するステップと、を含む。
【0008】
本発明の他の一態様は、コンピュータに、移動体の作業のスケジュールを作成する方法を実行させるためのプログラムである。前記方法は、与えられたフィールドに複数のブロックを設定するステップと、前記各ブロックにおいて、第1の移動体(J1)により材料を搬送し、第2の移動体(J2)により前記材料を展開する順番を決定するステップと、前記各ブロックにおける、前記第1の移動体(J1)及び前記第2の移動体(J2)の作業状態を検出し、記憶部(12)に保存するステップと、を含む。前記順番を決定するステップは、前記第2の移動体(J2)の作業状態が未完了であるブロックの中から、前記第1の移動体(J1)により前記材料を搬送する次のブロックを決定するステップと、前記第1の移動体(J1)の作業状態が完了のブロックの中から、前記第2の移動体(J2)により前記材料を展開する次のブロックを決定するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、移動体による作業の効率化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、情報処理装置の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、フィールドのブロックの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、各ブロックの管理テーブルの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の移動体のスケジュール作成処理のフローチャートである。
【
図7】
図7は、第2の移動体のスケジュール作成処理のフローチャートである。
【
図8】
図8は、ブロックがポイントである例を示す図である。
【
図9】
図9は、変形例における情報処理装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の情報処理装置、方法及びプログラムの実施の形態について、図面を参照して説明する。以下に説明する構成は本発明の一例(代表例)であり、本発明はこの構成に限定されない。
【0012】
図1は、本実施形態の情報処理装置10の構成を示す。
情報処理装置10は、与えられたフィールドWにおける第1の移動体J1及び第2の移動体J2の作業のスケジュールを作成する。本実施形態において、情報処理装置10は、第1の移動体J1及び第2の移動体J2の遠隔操作システム20及び管理システム50とネットワークNを介して接続されている。
【0013】
第1の移動体J1が行う作業は、フィールドWへの材料kの搬送である。第2の移動体J2が行う作業は、フィールドWへの材料kの展開である。第1の移動体J1及び第2の移動体J2は、遠隔操作システム20からの指示にしたがって自律運転することができる。必要に応じて、第1の移動体J1及び第2の移動体J2は、オペレータが乗車して運転可能な構成であってもよい。
【0014】
例えば、土砂を搬送して一定の高さにならす盛土の作業現場がフィールドWとして与えられた場合、第1の移動体J1は、ダンプトラック又はホイールローダーのような建設機械であり、材料kとして土を搬送してフィールドW上に土の山を形成する作業を行う。第2の移動体J2は、ホイールローダー又はブルドーザーのようなブレードを備えた建設機械であり、土の山を崩してフィールドW上に展開し、一定の高さにならす作業を行う。
【0015】
遠隔操作システム20は、第1の移動体J1又は第2の移動体J2にネットワークNを介して作業の指示データを送信することにより、各移動体J1又はJ2の作業を遠隔操作するコンピュータである。遠隔操作システム20は、オペレータの入力操作にしたがって又は情報処理装置10からの指示にしたがって、各移動体J1又はJ2に作業を指示することができる。遠隔操作のために、遠隔操作システム20は、管理システム50から提供される各移動体J1又はJ2の作業状態の情報を表示することができる。
【0016】
管理システム50は、第1の移動体J1及び第2の移動体J2の作業状態を管理する。管理システム50は、個々の第1の移動体J1及び第2の移動体J2に取り付けられる検出器51と、サーバ52とを含む。検出器51とサーバ52間は、広域無線通信(LPWA:Low Power Wide Area)により接続され得る。
【0017】
検出器51は、各移動体J1又はJ2の状態、例えば各移動体J1又はJ2の位置、高度、振動状態、又は移動体間の距離等を検出する。検出器51は、カメラ、LiDAR(Light Detection And Ranging)、IMU(Inertial Measurement Unit)、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機又は振動センサ等の組み合わせからなる。LiDARは赤外光のような光を対象物に照射し、その反射光を検出して対象物との距離を測定できるセンサである。IMUは、加速度センサ、角速度(ジャイロ)センサ等を備え、各移動体J1又はJ2の3次元の慣性運動(直交する3軸方向の並進運動及び回転運動)を検出する。
【0018】
サーバ52は、各検出器51により検出された各移動体J1又はJ2の状態のデータを取得する。サーバ52は、取得したデータを解析することによって、第1の移動体J1及び第2の移動体J2の作業状態又はフィールドWの状態等を検出する。サーバ52は、検出された情報を提供することができ、例えば情報処理装置10又は遠隔操作システム20等に送信する。
【0019】
サーバ52は、GNSS受信機により受信した信号及びIMUから得られる慣性運動の検出データ、フィールドWの地図データ等を解析して、フィールドW上における各移動体J1又はJ2の現在位置を検出することができる。またサーバ52は、カメラの撮影画像とLiDARにより検出された対象物との距離等を解析し、フィールドW上の障害物、搬送された材料kの位置又は作業のスタート地点等を検出することができる。
【0020】
サーバ52は、振動状態又はカメラの撮影画像等を解析し、各移動体J1又はJ2の作業状態を検出することもできる。例えば、ダンプトラックの場合、走行時、土砂の積載時又は土砂を下す時等の作業状態の違いによって振動の波形が変化する。ブルドーザーの場合、走行時、土の山を崩す時、ならす時等の作業状態の違いによって振動の波形が変化する。サーバ52は、振動センサにより検出された振動波形を解析することにより、第1の移動体J1が搬送中なのか、搬送を完了したのか、また第2の移動体J2が展開中なのか、展開を完了したのか等の作業状態を検出することができる。サーバ52は、カメラの撮影画像を各作業状態のテンプレート画像とマッチング処理することにより、各移動体J1又はJ2の作業状態を検出することもできる。
【0021】
情報処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、記憶部12、操作部13、表示部14及び通信部15を備える。
【0022】
CPU11は、制御部111、スケジュール処理部112及びブロック管理部113を備える。本実施形態において、制御部111、スケジュール処理部112及びブロック管理部113の処理は、CPU11が記憶部12からプログラムを読み出して実行することにより、実現されるソフトウェア処理であるが、ASICやFPGA等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0023】
制御部111は、操作部13からユーザの指示を受け付けて、スケジュール処理部112によりスケジュールを作成させて、これを提供することができる。例えば、制御部111は、スケジュールを表示部14に表示させることにより提供できる。また制御部111は、通信部15によりネットワークN上の外部のコンピュータ、例えばフィールドWの作業を担う建設会社のコンピュータ等にスケジュールを送信させることによっても提供できる。
【0024】
スケジュール処理部112は、フィールドWに複数のブロックを設定し、各ブロックにおいて、第1の移動体J1により材料kを搬送する順番と、第2の移動体J2により材料kを展開する順番とを決定する。これにより、第1の移動体J1及び第2の移動体J2により作業するブロックの位置と順番が定められたスケジュールを作成することができる。
【0025】
ブロック管理部113は、各ブロックにおける、第1の移動体J1及び第2の移動体J2の作業状態を検出し、記憶部12に保存し、更新する。
【0026】
記憶部12は、CPU11が読み取り可能なプログラム、及びプログラムの実行に用いられるテーブル等を記憶する。記憶部12としては、例えばハードディスク等の記録媒体を用いることができる。
【0027】
操作部13は、キーボード、又はマウス等である。操作部13は、ユーザの操作を受け付けて、その操作内容をCPU11に出力する。
【0028】
表示部14は、ディスプレイ等である。表示部14は、CPU11からの表示指示にしたがって、操作画面やCPU11の処理結果、CPU11により生成された表示データ等を表示する。
【0029】
通信部15は、ネットワークNを介して、遠隔操作システム20又は管理システム50等と通信するインターフェイスである。
【0030】
上記情報処理装置10には、フィールドWのサイズ、形状等のフィールドWに関する情報が与えられる。また第1の移動体J1及び第2の移動体J2の台数、作業速度等の作業条件に関する情報も予め与えられてもよい。これらの情報は、操作部13を介して入力されてもよいし、通信部15を介して外部のコンピュータから送信されてもよい。与えられた情報は記憶部12に保存される。情報処理装置10は、与えられた情報を基に前処理を実行する。
【0031】
図2は、前処理のフローチャートである。
まずスケジュール処理部112が、与えられたフィールドWに複数のブロックを設定する(ステップS11)。例えば、スケジュール処理部112は、フィールドWをいくつかに分割した小エリアをブロックとして設定することができる。スケジュール処理部112は、各ブロックに識別番号を付与することができる。
【0032】
図3は、フィールドWに設定されたブロックの例を示す。
図3に例示するフィールドWは、i行×j列からなるブロックに分割される。各ブロックには、行番号i(i=0~3)と列番号j(j=0~4)からなる識別番号(ij)が付与される。例えば、3行2列目のブロックには識別番号(32)が付与される。
【0033】
ブロックが設定されると、ブロック管理部113は、ブロックごとの材料kの必要数Mを決定し、ブロックにすでに搬送された材料kの搬送数mとともに、記憶部12に保存する(ステップS21)。ブロック管理部113は、ブロックごとにユーザによって入力される数を、必要数Mとして決定することができる。または、ブロック管理部113は、ブロックの識別番号(ij)の入力に対してある変数を出力する関数によって、材料kの必要数Mを決定することができる。
【0034】
ブロック管理部113は、フィールドWにおいて障害物が位置するブロックを決定する。ブロック管理部113は、各ブロックにおける障害物の有無を記憶部12に保存する(ステップS22)。障害物は、例えば資材、建物、道路、又は横断歩道等であり、障害物が位置するブロックは作業の対象外となる。ブロック管理部113は、障害物の有無の情報を管理システム50から取得することができる。あるいは、障害物は、ユーザによって選択されてもよく、ブロック管理部113はその選択操作に応じて障害物のブロックを決定することができる。
【0035】
またブロック管理部113は、ブロックごとに、第1の移動体J1の作業状態と、第2の移動体J2の作業状態と、を記憶部12に保存する(ステップS23)。まだ作業を開始していない段階においては、ブロック管理部113は未完了の作業状態を保存する。
【0036】
図4は、記憶部12に保存された各ブロックの管理テーブルT1の一例を示す。
管理テーブルT1は、上述の処理によってブロック管理部113により保存されるデータを保持するテーブルである。管理テーブルT1では、ブロックの識別番号(ij)に関連付けて、当該ブロックにすでに搬送された材料kの搬送数m、当該ブロックにおける材料kの必要数M、及び障害物の配置情報F(Ob)が保存される。障害物の配置情報F(Ob)としては、障害物が有るブロックの場合は1、無いブロックの場合は0のデータが保存される。
【0037】
また管理テーブルT1では、ブロックの識別番号(ij)に関連付けて、第1の移動体J1の作業状態F(J1)及び第2の移動体J2の作業状態F(J2)が保存される。作業状態F(J1)及びF(J2)は、作業待ち、作業中、作業完了及び作業未完了の状態を含む。本実施形態において、第1の移動体J1の作業は搬送であるため、作業状態F(J1)としては、搬送待ちのブロックの場合は1、現在搬送中のブロックの場合は2、搬送完了のブロックの場合は3、搬送未完了の場合は0のデータが保存される。第2の移動体J2の作業は展開であるため、作業状態F(J2)としては、展開待ちのブロックの場合は1、現在展開中のブロックの場合は2、展開完了のブロックの場合は3、展開未完了のブロックの場合は0のデータが保存される。
【0038】
管理テーブルT1には、後述する処理において作業順Nij(J1)及びNij(J2)も保存される。作業順Nij(J1)は、識別番号(ij)のブロックにおいて第1の移動体J1が作業する順番である。作業順Nij(J2)は、識別番号(ij)のブロックにおいて第2の移動体J2が作業する順番である。
【0039】
一方、スケジュール処理部112は、スタート地点Wsとなるブロックを決定する(ステップS12)。スタート地点Wsは通常、フィールドWの外周のブロックであるが、作業内容に応じて内部のブロックであってもよい。スケジュール処理部112は、外周のブロックの中から選択するユーザの操作に応じてスタート地点Wsを決定することができる。またスケジュール処理部112は、管理システム50からスタート地点Wsの情報を取得してもよいし、材料kがすでに配置されたブロックの情報を取得して当該ブロックをスタート地点Wsとして決定することもできる。
【0040】
次いで、スケジュール処理部112は、スタート地点Wsのブロックの管理テーブルT1から材料kの必要数Mを読み出す。スケジュール処理部112は、当該ブロックへ必要数Mの材料kを搬送するよう指示する指示データを生成し、通信部15を介して遠隔操作システム20へ送信する(ステップS13)。指示データは、遠隔操作システム20から第1の移動体J1へ送信される。
【0041】
指示データが送信されると、ブロック管理部113は、スタート地点Wsのブロックの管理テーブルT1において、第1の移動体J1の作業状態F(J1)を搬送中の2のデータに更新する。またブロック管理部113は、当該ブロックの作業順Nij(J1)として1を保存する(ステップS24)。
【0042】
第1の移動体J1は、上記指示データに基づいて、指示されたブロックへの材料kの搬送を開始する。必要数Mの材料kの搬送が完了すると、管理システム50において搬送完了の作業状態が検出される。ブロック管理部113は、通信部15を介して搬送完了の作業状態の情報を受信すると(ステップS25:YES)、搬送完了を検出し、上記ブロックの管理テーブルT1の材料の搬送数mをMに更新する。またブロック管理部113は、第1の移動体J1の作業状態F(J1)を搬送完了の3のデータに更新する(ステップS26)。
【0043】
F(J1)=3のブロックがある場合、スケジュール処理部112は、当該ブロックにおける材料kの展開を指示する指示データを生成し、通信部15を介して第2の移動体J2へ送信する(ステップS14)。指示データが送信されると、ブロック管理部113は、第2の移動体J2の作業状態F(J2)を展開中の2のデータに更新する。またブロック管理部113は、上記ブロックの作業順Nij(J2)として1を保存する(ステップS27)。
【0044】
第2の移動体J2は、上記指示データに基づいて、指示されたブロックにおいて材料kの展開を開始する。展開が完了すると、管理システム50において展開完了の作業状態が検出される。ブロック管理部113は、通信部15を介して管理システム50から展開完了の作業状態の情報を受信すると(ステップS28:YES)、展開完了を検出し、スタート地点Wsのブロックにおける第2の移動体J2の作業状態F(J2)を展開完了の3のデータに更新する(ステップS29)。
【0045】
以上のようにして前処理が実行されると、第1の移動体J1のスケジュール作成処理と、第2の移動体J2のスケジュール作成処理とが実行される。
【0046】
図5は、第1の移動体J1のスケジュール作成処理の流れを示す。
まずスケジュール処理部112は、管理システム50から第2の移動体J2の現在位置の情報を取得し、当該情報に基づいて第2の移動体J2が位置する現在のブロックを特定する(ステップS31)。第2の移動体J2の現在位置は、直前に第2の移動体J2が展開作業をしたブロックであり、前処理直後はスタート地点Wsのブロックである。スケジュール処理部112は、現在のブロックの隣接ブロックの管理テーブルT1を読み出し、隣接ブロックにおける材料kの搬送数mの合計を算出する。
【0047】
スケジュール処理部112は、算出した合計を閾値と比較する。合計が閾値以下である場合(ステップS32:NO)、スケジュール処理部112は、隣接ブロックのうちのいずれかを、材料kを搬送すべき次のブロック候補として選択する(ステップS33)。
【0048】
一方、合計が閾値を超える場合(ステップS32:YES)、スケジュール処理部112は、現在のブロックから1ブロック以上離れたブロックのうちのいずれかを、材料kを搬送すべき次のブロック候補として選択する(ステップS34)。第2の移動体J2の周囲に材料kが多すぎると、第2の移動体J2の作業効率が下がることがある。第2の移動体J2から離れたブロックを選択することにより、このような材料kの局所的な集中を減らすことができる。
【0049】
なお、現在のブロックから離れるほど、第2の移動体J2の移動距離が長くなり、作業効率が下がることもあるため、現在のブロックに近いブロックから順に次のブロックを選択することが好ましい。よって、スケジュール処理部112は、まずは1ブロック離れたブロックを次のブロック候補として選択し、1ブロック離れたブロックにも材料kが搬送済みであれば、2ブロック離れたブロックを次のブロック候補として選択することが好ましい。
【0050】
ステップS33又はS34において選択できるブロックが複数ある場合、スケジュール処理部112は、そのうち材料kの搬送数mが最も少ないブロック又は材料kの搬送数mがまだ必要数Mに達していないブロックを優先して選択することができる。これにより、材料kを分散させることができる。
【0051】
次いで、スケジュール処理部112は、選択されたブロックが、材料kの搬送が未完了であり、かつ障害物が配置されていないかを判定する。具体的には、スケジュール処理部112は、選択されたブロックの管理テーブルT1に、作業状態F(J1)として0のデータが保存されているか否かを判定する。また、スケジュール処理部112は、障害物の配置情報F(Ob)として0のデータが保存されている否かを判定する(ステップS35)。
【0052】
管理テーブルT1に、作業状態F(J1)として0以外のデータが保存されている場合、選択されたブロックはすでに材料kが搬送済みかこれから搬送予定であり、材料kの搬送対象にはなり得ない。また、障害物の配置情報F(Ob)として1のデータが保存されている場合、障害物があるため、作業対象外のブロックである。よっていずれかに該当する場合は(ステップS35:NO)、ステップS32の処理に戻り、スケジュール処理部112は、当該ブロックを除く他のブロックを新たに選択する。
【0053】
一方、管理テーブルT1に、作業状態F(J1)として0のデータが保存され、かつ障害物の配置情報F(Ob)として0のデータが保存されている場合(ステップS35:YES)、スケジュール処理部112は選択されたブロックを、材料kを搬送すべき次のブロックとして決定する(ステップS36)。
【0054】
例えば、
図3に示すように、スタート地点Wsのブロック(32)が現在のブロックの場合、その隣接ブロックは、ブロック(22)、(31)及び(33)である。隣接ブロックには材料kがまだ搬送されておらず、材料kの合計数は0である。閾値が4の場合は合計数が閾値以下であるので、ブロック(22)、(31)及び(33)のなかから次のブロックが選択される。
【0055】
一方、
図6に示すように、隣接ブロック(22)、(31)及び(33)の材料kの合計が5の場合、合計数が閾値を超える。よって、現在のブロック(32)から1ブロック離れたブロック(30)、(12)、(23)及び(34)のなかから次のブロックが選択される。なお
図3及び
図6において、クロスマークは、障害物を有するブロックを表す。ブロック(21)も次のブロック候補として選択されるかもしれないが、ブロック(21)には障害物が有るため、ステップS35の処理において候補から除外される。
【0056】
以上のようにして次のブロックが決定されると、ブロック管理部113は搬送待ちの状態を検出し、当該ブロックの作業状態F(J1)を搬送待ちの1のデータに更新する(ステップS41)。F(J1)=1のデータが保存されたブロック、つまり材料kを搬送すべき次のブロックがある場合、スケジュール処理部112は、当該ブロックの管理テーブルT1から、当該ブロックの材料の必要数Mを読み出す。スケジュール処理部112は、次のブロックへ必要数Mの材料の搬送を指示する指示データを生成し、通信部15を介して第1の移動体J1へ送信する(ステップS37)。
【0057】
指示データが送信されると、ブロック管理部113は搬送中の状態を検出し、次のブロックの作業状態F(J1)を搬送中の2のデータに更新する。またブロック管理部113は、当該ブロックの作業順Nij(J1)をカウントして保存する(ステップS42)。
【0058】
第1の移動体J1が上記指示データに基づいて搬送を開始し、1つの材料kの搬送が完了するごとに、管理システム50から搬送完了の情報が情報処理装置10へ送信される。ブロック管理部113は、通信部15を介してこの情報を受信するごとに(ステップS43:YES)、1つの材料kの搬送完了の状態を検出し、管理テーブルT1の材料kの搬送数mを更新する(ステップS44)。管理テーブルT1において材料kの搬送数mが必要数Mに達すると(ステップS45:YES)、ブロック管理部113は、管理テーブルT1において作業状態F(J1)として搬送完了の3のデータを保存する(ステップS46)。
【0059】
スケジュール処理部112及びブロック管理部113は、すべてのブロックの作業状態F(J1)が搬送完了の3のデータに更新されるまで、上記スケジュール処理を繰り返す。これにより、スタート地点Wsのブロックを起点に、材料kを搬送すべき次のブロックが順次決定され、その作業順Nij(J1)が保存される。
【0060】
図7は、第2の移動体J2のスケジュール作成処理の流れを示す。
まずスケジュール処理部112は、管理テーブルT1において材料kの搬送数mが必要数Mに達し、作業状態F(J1)が完了のブロックの有無を判定する(ステップS51)。F(J1)=3であるブロックがある場合(ステップS51:YES)、スケジュール処理部112は材料kを展開すべき次のブロックとして決定する(ステップS52)。
【0061】
ここで、スケジュール処理部112は、材料kが他のブロックよりも多いブロックを優先して次のブロックとして決定することが好ましい。これにより、材料kの集中による第2の移動体J2の作業効率の低下を避けることができる。例えば、スケジュール処理部112は、材料kの搬送数mが必要数Mに達したブロックのうち、搬送数mが最も多いブロック、材料kの搬送数mが必要数Mを超えるブロック、又は搬送数mが必要数Mに達したブロックと隣接するブロック等を優先して、材料kを展開する次のブロックを決定することができる。
【0062】
次のブロックが決定されると、ブロック管理部113は、当該ブロックが展開待ちの状態にあることを検出する。ブロック管理部113は、管理テーブルT1において次のブロックの作業状態F(J2)を展開待ちの1のデータに更新する(ステップS61)。
【0063】
管理テーブルT1においてF(J2)=1のブロックがある場合、スケジュール処理部112は、当該ブロックにおいて展開の指示データを生成し、通信部15を介して指示データを遠隔操作システム20へ送信する(ステップS53)。当該指示データは、遠隔操作システム20を介して第2の移動体J2へ送信される。
【0064】
ブロック管理部113は、指示データの送信によって展開が指示されたブロックが展開中の状態にあることを検出し、管理テーブルT1において作業状態F(J2)を展開中の2のデータに更新する。またブロック管理部113は、上記ブロックの作業順Nij(J2)をカウントし、保存する(ステップS62)。
【0065】
展開作業が完了すると、管理システム50において展開完了の作業状態が検出され、その情報が情報処理装置10へ送信される。ブロック管理部113は、通信部15を介して当該情報を受信すると(ステップS63:YES)、展開完了を検出し、管理テーブルT1において作業状態F(J2)を展開完了の3のデータに更新する(ステップS64)。
【0066】
スケジュール処理部112及びブロック管理部113は、すべてのブロックの作業状態F(J2)が展開完了の3のデータに更新されるまで、上記スケジュール処理を繰り返す。これにより、スタート地点Wsのブロックを起点に、材料kを展開すべき次のブロックが順次決定され、その作業順Nij(J2)が保存される。
【0067】
以上のように、本実施形態によれば、スケジュール処理部112によってフィールドWに複数のブロックが設定され、ブロック管理部113によって第1の移動体J1及び第2の移動体J2の作業状態が記憶部12に保存され、更新される。
【0068】
スケジュール処理部112は、第2の移動体J2の作業状態が未完了(F(J2)=0)のブロックの中から、第1の移動体J1により材料kを搬送する次のブロックを決定する。これにより、材料kが搬送されていないブロックを順次、次に材料kを搬送するブロックに指定することができる。この材料kを搬送するブロックの作業順Nij(J1)が、第1の移動体J1のスケジュールである。
【0069】
またスケジュール処理部112は、第1の移動体J1の作業状態が完了(F(J1)=0)のブロックの中から、第2の移動体J2により材料kを展開する次のブロックを決定する。これにより、材料kが搬送されたブロックを順次、次に材料kを展開するブロックに指定することができる。この材料kを展開するブロックの作業順Nij(J2)が、第2の移動体J2のスケジュールである。
【0070】
次のブロックが決定されると、ブロック管理部113によって作業状態が搬送待ち又は展開待ちに更新される。これにより、スケジュール処理部112から遠隔操作システム20を介して、搬送の指示データが第1の移動体J1に送信され、展開の指示データが第2の移動体J2に送信される。このように、スケジュール処理部112によって、第1の移動体J1及び第2の移動体J2を作業させながら、これらの作業のスケジュールをリアルタイムに作成することができる。
【0071】
上記スケジュールでは、材料kがないブロックに材料kを搬送し、材料kが搬送されたブロックにおいて材料kを展開するように、作業の順番が定められている。スケジュールにしたがって第1の移動体J1及び第2の移動体J2を作業させることにより、各移動体J1又はJ2の作業を効率化することができる。
【0072】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。本発明の範囲内で適宜変更することができる。
【0073】
(変形例1)
盛土の造成現場に限らず、材料kとしてコンクリートやアスファルト材等をミキサー車により搬送し、これらをトロウェル、アスファルトフィニッシャー等により均す作業現場等にも、本発明を適用できる。第1の移動体J1又は第2の移動体J2は、搬送又は展開の作業が可能な移動体であれば、建設機械に限らず、搬送ロボット、又はドローン等であってもよい。ある施設内の敷地にドローンによって薬剤を搬送し、自律走行するポリッシャーによって当該薬剤を床に展開して磨く作業現場のように、土木建設現場以外の作業現場にも本発明を適用できる。
【0074】
(変形例2)
上記実施形態では、情報処理装置10からの指示によって第1の移動体J1及び第2の移動体J2が作業をしたが、実際の作業現場においては情報処理装置10から指示されていないブロックの作業が行われてもよい。この場合、情報処理装置10は、第1の移動体J1、第2の移動体J2又はこれらを制御するコンピュータ等から、作業済みのブロックの識別番号(ij)と作業状態F(J1)又は作業状態F(J2)のデータを受信すればよい。ブロック管理部113が、受信したブロックの識別番号(ij)に関連付けて作業状態F(J1)又は作業状態F(J2)を更新することにより、スケジュール処理部112は、実際の作業状態に応じて次のブロックを決定することができる。スケジュールの修正が容易である。
【0075】
(変形例3)
上記実施形態では、1ブロックごとに第1の移動体J1及び第2の移動体J2に作業の指示データが送信され、実際の作業状態に合わせてリアルタイムにスケジュールが作成される。これに限らず、情報処理装置10は、スタート地点Wsのブロックから最後のブロックまでの一連の作業をシミュレーションすることにより、スケジュールを作成することもできる。
【0076】
このようなシミュレーションモードの場合、情報処理装置10と遠隔操作システム20及び管理システム50との間で指示データ等のやりとりが発生せず、ブロック管理部113が作業状態を検出できない。よってこの場合は、スケジュール処理部112が次のブロックを決定した後、ブロック管理部113へ指示データと完了データを順次出力するようにしてもよい。ブロック管理部113は、次のブロックの識別番号(ij)に関連付けて当該ブロックの作業順Nij(J1)又はNij(J2)を記憶部12に保存した後、指示データに応じて当該ブロックの作業状態F(J1)又はF(J2)を作業待ちに更新し、次いで完了データに応じて完了に更新する。これにより、スケジュール処理部112は、さらに次のブロックの決定に移るため、各ブロックへの搬送又は展開が順次決定される。各ブロックの作業順Nij(J1)又はNij(J2)からなる一連の作業のスケジュールを作成可能である。
【0077】
あるいは、シミュレーションモードにおいては、ブロック管理部113が、次のブロックの作業順Nij(J1)又はNij(J2)を記憶部12に保存した後、当該ブロックの作業状態が作業待ち及び完了に順次切り替わったとみなして、自動的に当該ブロックの作業状態F(J1)又はF(J2)のデータを未完了から完了のデータに更新してもよい。
【0078】
(変形例4)
上記実施形態では、フィールドWをマトリクス状に分割し、分割後の小エリアをブロックとして設定していた。しかし、ブロックは、材料kを搬送し、展開する場所となり得るのであれば、エリアではなく、ポイントであってもよい。フィールドWの形状や作業内容等に応じてブロックを設定することができる。
【0079】
図8は、フィールドWに設定されたブロックがポイントの例を示す。
フィールドWには、スタート地点Wsを複数のポイントがブロックW1~W7として設定されている。ブロックW1~W7の位置は、x方向とy方向の座標(x,y)によって特定される。第1の移動体J1及び第2の移動体J2は、ノードによって接続された各ブロックW1~W7間を移動可能である。スケジュール処理部112は、上述したスケジュール処理と同様にして、現在のブロックとノードで接続されたブロックの中から次の作業対象のブロックを決定することができる。
【0080】
例えば、動物園の敷地がフィールドWとして与えられ、ドローンによって餌場に餌を搬送し、そこでもう1つのドローンによって餌を頒布する場合、
図8に示すように、餌場となるポイントをブロックW1~W7として設定することができる。
【0081】
(変形例5)
第1の移動体J1及び第2の移動体J2の作業状態は、上記管理システム50によって検出されていたが、これに限定されない。
図9に示すように、カメラ21によりフィールドWの撮影画像を取得し、当該撮影画像をブロック管理部113が取得し、解析することによって各移動体J1及びJ2の作業状態、現在位置又は障害物の有無等を検出することもできる。
【0082】
カメラ21は、フィールドW全体を撮影し、ネットワークNを介して撮影画像を情報処理装置10へ送信する。カメラ21は、設置位置が固定されていてもよいし、ドローンのような移動体に搭載されていてもよい。
【0083】
また第1の移動体J1及び第2の移動体J2への指示は遠隔操作システム20ではなく、管理システム50を介して行われてもよいし、情報処理装置10によって直接行われてもよい。情報処理装置10が、自律運転する第1の移動体J1又は第2の移動体J2に直接指示データを送信する実施形態においては、各移動体J1又はJ2から作業の完了データを受信することにより、ブロック管理部113が作業中と作業完了の状態を検出してもよい。
【0084】
(変形例6)
上記第1の移動体J1のスケジュール作成処理において、いくつかの隣接ブロックにおける材料kの搬送数mの合計が閾値を超える場合(ステップS32:YES)、上記のように材料kの搬送先を現在のブロックから離れたブロックに決定する代わりに、スケジュール処理部112は、材料kの搬送の停止を決定することもできる。
【0085】
この場合、ブロック管理部113は、各ブロックにおいて第2の移動体J2によって展開された材料kの展開数を、管理テーブルT1に保存するようにしてもよい。ブロック管理部113は、材料kの搬送数mのうち、1つの材料kの展開完了の作業状態を検出するごとに、管理テーブルT1の展開数をインクリメントする。
【0086】
材料kの搬送停止中に、いずれかの隣接ブロックの材料kが展開され、その展開数が1以上になったとき、スケジュール処理部112は、材料の搬送を再開させてもよい。
【0087】
(その他の変形例)
上記実施形態では、情報処理装置10と第1の移動体J1及び第2の移動体J2との間で指示データ及び完了データをやりとりすることにより、ブロック管理部113が作業状態F(J1)又はF(J2)を検出し、更新する。作業状態F(J1)又はF(J2)の検出方法はこれに限らず、ブロック管理部113が、カメラ21の撮影画像を解析することにより、作業状態F(J1)又はF(J2)を判定し、検出する態様であってもよい。また、作業開始、作業中、又は作業完了等のユーザによる操作部13からの入力に応じて、ブロック管理部113が作業状態F(J1)又はF(J2)を検出する態様であってもよい。
【0088】
またスケジュール処理部112が、撮影画像から第1の移動体J1又は第2の移動体J2の位置を検出することにより、現在作業中のブロックが特定されてもよい。GPS(Global Positioning System)のような位置検出用のモジュールを使用して、第1の移動体J1及び第2の移動体J2の現在位置(現在作業中のブロック)が特定されてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1・・・情報処理装置、111・・・制御部、112・・・スケジュール処理部、113・・・ブロック管理部、12・・・記憶部、J1・・・第1の移動体、J2・・・第2の移動体、20・・・遠隔操作システム、50・・・管理システム