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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131878
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】モータ制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 27/08 20060101AFI20230914BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20230914BHJP
【FI】
H02P27/08
H02M7/48 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036881
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(72)【発明者】
【氏名】川上 学
(72)【発明者】
【氏名】宮尾 豪
(72)【発明者】
【氏名】松野 泰聖
(72)【発明者】
【氏名】野水 清貴
【テーマコード(参考)】
5H505
5H770
【Fターム(参考)】
5H505AA04
5H505AA06
5H505BB04
5H505CC05
5H505DD03
5H505DD06
5H505EE30
5H505EE41
5H505EE49
5H505GG02
5H505GG04
5H505HA09
5H505HA10
5H505HB01
5H505JJ03
5H505JJ16
5H505JJ17
5H505JJ23
5H505JJ24
5H505JJ29
5H505LL14
5H505LL22
5H505LL41
5H770AA05
5H770BA05
5H770DA03
5H770DA41
5H770EA01
5H770EA13
5H770HA02Y
(57)【要約】
【課題】簡易な制御で、1シャント方式でのモータ電流の検出タイミングを確保しつつ、キャリア周波数に起因する雑音を低減することができるモータ制御装置を提供する。
【解決手段】モータ制御装置の電流取得部40は、第1信号がオンで第2及び第3信号がオフの第1期間と、第1及び第2信号がオンで第3信号がオフの第2期間とで母線電流の値を取得する。PWM信号生成部80は、第1シフト量に応じて第1信号がシフトされ、第2シフト量に応じて第2信号がシフトされ、設定条件を満たす場合には、第1シフト量及び第2シフト量の少なくともいずれかに応じて第1信号及び第2信号の少なくともいずれかがシフトされるか否かにかかわらず、複数周期毎に、第1信号及び第2信号のうち少なくとも第1信号が設定シフト量に応じてシフトされた三相のPWM信号Up,Vp,Wpを出力する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源から出力された直流電圧を用いてモータを駆動するインバータを介し、前記モータの動作を制御するモータ制御装置であって、
所定の周期のキャリア波を生成するキャリア波生成手段と、
前記キャリア波と、前記モータの各相に対応する三相の電圧指令値とに基づいて三相のPWM信号を生成し、前記インバータに前記三相のPWM信号を出力するPWM信号生成手段と、
前記直流電源と前記インバータの間に流れる電流の値を、繰り返される電流取得期間の中で取得する電流取得手段と、を備え、
前記キャリア波の1波形分の期間をキャリア期間とすると、前記電流取得期間は、前記キャリア期間毎の後半、又は、前記キャリア期間毎の前半であり、
前記キャリア期間における前記三相のPWM信号のうち、オンの期間が最も長いものを第1信号とし、オンの期間が前記第1信号の次に長いものを第2信号とし、オフの期間が最も長いものを第3信号とすると、
前記電流取得手段は、前記電流取得期間の中における、前記第1信号がオンで前記第2信号及び前記第3信号がオフである第1期間と、前記第1信号及び前記第2信号がオンで前記第3信号がオフである第2期間とで前記電流の値を取得し、
前記第1期間及び前記第2期間を予測し、その予測結果に応じて、前記キャリア波と前記三相の電圧指令値から定まる基準位置に対して前記第1信号及び前記第2信号の少なくともいずれかを時間軸方向にシフトさせる場合のシフト量を算出するシフト量算出手段をさらに備え、
前記シフト量算出手段は、
予測した前記第1期間が予め定められた特定の長さ未満である場合は、前記第1期間を前記特定の長さとする前記第1信号に対する前記シフト量である第1シフト量を算出し、
予測した前記第2期間が前記特定の長さ未満である場合は、前記第2期間を前記特定の長さとする前記第2信号に対する前記シフト量である第2シフト量を算出し、
さらに、前記第1シフト量及び前記第2シフト量の少なくともいずれかを算出したか否かにかかわらず、予め定められた設定条件を満たす場合には、前記第1信号及び前記第2信号の少なくともいずれかに対する前記シフト量である設定シフト量を算出し、
前記PWM信号生成手段は、
前記三相の電圧指令値に応じて定まる前記第1信号、前記第2信号及び前記第3信号の各々のデューティ比が保たれた前記三相のPWM信号であって、
前記第1シフト量が算出された場合には、前記第1シフト量に応じて前記第1信号がシフトされ、
前記第2シフト量が算出された場合には、前記第2シフト量に応じて前記第2信号がシフトされ、
さらに、前記設定条件を満たす場合には、前記第1シフト量及び前記第2シフト量の少なくともいずれかに応じて前記第1信号及び前記第2信号の少なくともいずれかがシフトされるか否かにかかわらず、複数周期毎に、前記第1信号及び前記第2信号のうち少なくとも前記第1信号が前記設定シフト量に応じてシフトされた前記三相のPWM信号を出力する、
モータ制御装置。
【請求項2】
前記モータ制御装置は、三相変調方式で前記インバータを制御し、
前記PWM信号生成手段は、前記設定条件を満たす場合には、二周期毎に、前記第1信号及び前記第2信号のうち少なくとも前記第1信号が前記設定シフト量に応じてシフトされた前記三相のPWM信号を出力する、
請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記モータは、コンプレッサ用のモータであり、
前記モータ制御装置は、
前記直流電圧を用いてファンモータを駆動するファンモータ駆動回路と、
前記モータ及び前記ファンモータの回転数を取得し、取得した前記モータ及び前記ファンモータの回転数に応じて前記設定条件を満たすか否かを判別する判別手段と、をさらに備え、
前記モータの回転数の閾値として、0よりも大きい第1閾値と、前記第1閾値よりも大きい第2閾値が予め定められ、
前記ファンモータの回転数の閾値として、0よりも大きい第3閾値と、前記第3閾値よりも大きい第4閾値が予め定められ、
前記判別手段は、
前記モータの回転数が前記第2閾値以上で、且つ、前記ファンモータの回転数が前記第4閾値以上である第1の場合に前記設定条件を満たさないと判別し、
前記第1の場合以外の第2の場合に前記設定条件を満たすと判別し、
前記第1閾値をF1、前記第2閾値をF2、前記第3閾値をf1、前記第4閾値をf2、前記判別手段が取得した前記モータの回転数をX、前記判別手段が取得した前記ファンモータの回転数をx、前記設定シフト量の予め定められた最大値をβとすると、
前記シフト量算出手段は、
下記[数1]に基づいてYを算出するとともに、下記[数2]に基づいてyを算出し、
Y≠yの場合は、Yとyのいずれか大きい方を前記設定シフト量として算出し、
Y=yの場合は、Y又はyを前記設定シフト量として算出する、
請求項1又は2に記載のモータ制御装置。
【数1】
【数2】
【請求項4】
前記PWM信号生成手段は、
前記シフト量が算出された場合に、前記シフト量に応じた値を前記三相の電圧指令値に加減算して得られる三相の調整後電圧指令値を算出する調整手段と、
前記調整手段によって算出された前記三相の調整後電圧指令値を、前記キャリア波で変調することで前記三相のPWM信号を生成して出力する出力手段と、を備える、
請求項1~3のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、PWM(Pulse Width Modulation)信号に基づき、モータを駆動するインバータのスイッチング回路を制御する制御装置が記載されている。この制御装置は、所定の周波数のキャリア波で電圧指令値を変調してパルス波形を生成する変調手段と、1周期毎のパルス波形のデューティ比を保持した状態で時間軸方向に移動させて変形させる波形変形手段と、を備え、波形変形手段により変形されたパルス波形に基づいてPWM信号を生成する。この制御装置は、このようにパルス波形を変形させることで、キャリア波の周波数(以下、キャリア周波数)に対して、PWM信号の周波数(以下、スイッチング周波数)をずらし、キャリア周波数に起因する雑音の抑制を試みている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4999805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、インバータで駆動されるモータに流れる三相の電流(以下、モータ電流)の検出方式として「1シャント方式」が知られている。1シャント方式では、インバータと直流電源との間に接続される1つのシャント抵抗を用いて、三相それぞれのモータ電流を、タイミングを見計らって検出する。
【0005】
特許文献1に記載の技術では、パルス波形の1周期毎の移動距離を、乱数を用いて決定する手法を用いているため、制御手法が複雑であり、また、1シャント方式でのモータ電流の検出タイミングを確保できない虞がある。
【0006】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、簡易な制御で、1シャント方式でのモータ電流の検出タイミングを確保しつつ、キャリア周波数に起因する雑音を低減することができるモータ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るモータ制御装置は、
直流電源から出力された直流電圧を用いてモータを駆動するインバータを介し、前記モータの動作を制御するモータ制御装置であって、
所定の周期のキャリア波を生成するキャリア波生成手段と、
前記キャリア波と、前記モータの各相に対応する三相の電圧指令値とに基づいて三相のPWM信号を生成し、前記インバータに前記三相のPWM信号を出力するPWM信号生成手段と、
前記直流電源と前記インバータの間に流れる電流の値を、繰り返される電流取得期間の中で取得する電流取得手段と、を備え、
前記キャリア波の1波形分の期間をキャリア期間とすると、前記電流取得期間は、前記キャリア期間毎の後半、又は、前記キャリア期間毎の前半であり、
前記キャリア期間における前記三相のPWM信号のうち、オンの期間が最も長いものを第1信号とし、オンの期間が前記第1信号の次に長いものを第2信号とし、オフの期間が最も長いものを第3信号とすると、
前記電流取得手段は、前記電流取得期間の中における、前記第1信号がオンで前記第2信号及び前記第3信号がオフである第1期間と、前記第1信号及び前記第2信号がオンで前記第3信号がオフである第2期間とで前記電流の値を取得し、
前記第1期間及び前記第2期間を予測し、その予測結果に応じて、前記キャリア波と前記三相の電圧指令値から定まる基準位置に対して前記第1信号及び前記第2信号の少なくともいずれかを時間軸方向にシフトさせる場合のシフト量を算出するシフト量算出手段をさらに備え、
前記シフト量算出手段は、
予測した前記第1期間が予め定められた特定の長さ未満である場合は、前記第1期間を前記特定の長さとする前記第1信号に対する前記シフト量である第1シフト量を算出し、
予測した前記第2期間が前記特定の長さ未満である場合は、前記第2期間を前記特定の長さとする前記第2信号に対する前記シフト量である第2シフト量を算出し、
さらに、前記第1シフト量及び前記第2シフト量の少なくともいずれかを算出したか否かにかかわらず、予め定められた設定条件を満たす場合には、前記第1信号及び前記第2信号の少なくともいずれかに対する前記シフト量である設定シフト量を算出し、
前記PWM信号生成手段は、
前記三相の電圧指令値に応じて定まる前記第1信号、前記第2信号及び前記第3信号の各々のデューティ比が保たれた前記三相のPWM信号であって、
前記第1シフト量が算出された場合には、前記第1シフト量に応じて前記第1信号がシフトされ、
前記第2シフト量が算出された場合には、前記第2シフト量に応じて前記第2信号がシフトされ、
さらに、前記設定条件を満たす場合には、前記第1シフト量及び前記第2シフト量の少なくともいずれかに応じて前記第1信号及び前記第2信号の少なくともいずれかがシフトされるか否かにかかわらず、複数周期毎に、前記第1信号及び前記第2信号のうち少なくとも前記第1信号が前記設定シフト量に応じてシフトされた前記三相のPWM信号を出力する。
【0008】
前記モータ制御装置は、三相変調方式で前記インバータを制御し、
前記PWM信号生成手段は、前記設定条件を満たす場合には、二周期毎に、前記第1信号及び前記第2信号のうち少なくとも前記第1信号が前記設定シフト量に応じてシフトされた前記三相のPWM信号を出力する、ようにしてもよい。
【0009】
前記モータは、コンプレッサ用のモータであり、
前記モータ制御装置は、
前記直流電圧を用いてファンモータを駆動するファンモータ駆動回路と、
前記モータ及び前記ファンモータの回転数を取得し、取得した前記モータ及び前記ファンモータの回転数に応じて前記設定条件を満たすか否かを判別する判別手段と、をさらに備え、
前記モータの回転数の閾値として、0よりも大きい第1閾値と、前記第1閾値よりも大きい第2閾値が予め定められ、
前記ファンモータの回転数の閾値として、0よりも大きい第3閾値と、前記第3閾値よりも大きい第4閾値が予め定められ、
前記判別手段は、
前記モータの回転数が前記第2閾値以上で、且つ、前記ファンモータの回転数が前記第4閾値以上である第1の場合に前記設定条件を満たさないと判別し、
前記第1の場合以外の第2の場合に前記設定条件を満たすと判別し、
前記第1閾値をF1、前記第2閾値をF2、前記第3閾値をf1、前記第4閾値をf2、前記判別手段が取得した前記モータの回転数をX、前記判別手段が取得した前記ファンモータの回転数をx、前記設定シフト量の予め定められた最大値をβとすると、
前記シフト量算出手段は、
下記[数1]に基づいてYを算出するとともに、下記[数2]に基づいてyを算出し、
Y≠yの場合は、Yとyのいずれか大きい方を前記設定シフト量として算出し、
Y=yの場合は、Y又はyを前記設定シフト量として算出する、ようにしてもよい。
【数1】
【数2】
【0010】
前記PWM信号生成手段は、
前記シフト量が算出された場合に、前記シフト量に応じた値を前記三相の電圧指令値に加減算して得られる三相の調整後電圧指令値を算出する調整手段と、
前記調整手段によって算出された前記三相の調整後電圧指令値を、前記キャリア波で変調することで前記三相のPWM信号を生成して出力する出力手段と、を備える、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡易な制御で、1シャント方式でのモータ電流の検出タイミングを確保しつつ、キャリア周波数に起因する雑音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るモータ制御装置の構成を示す図。
図2】同上実施形態に係る制御回路の主要機能を示すブロック図。
図3】(a)は同上実施形態に係る電流取得期間を説明するための図であり、(b)は変形例に係る電流取得期間を説明するための図。
図4】同上実施形態に係るキャリア波と三相のPWM信号の関係を示す図。
図5】(a)~(c)は同上実施形態に係るPWM信号のシフト量及びシフト方向を説明するための図。
図6】同上実施形態に係る三相の電圧指令値に対する各エリアを説明するための図。
図7図6に示すエリア毎でのU相のPWM信号のシフト量を説明するための図。
図8】(a)は設定シフト量のパターンを示す図であり、(b)は図6に示すエリア毎での実施例のスイッチング周波数を他の例と比較した図。
図9】(a)~(c)は同上実施形態に係る設定条件を説明するための図。
図10】(a)は比較例に係るスイッチング周波数の分布を示す図であり、(b)及び(c)は実施例に係るスイッチング周波数の分布を示す図。
図11】(a)は比較例に係るスイッチング周波数の分布を示す図であり、(b)及び(c)は実施例に係るスイッチング周波数の分布を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
モータ制御装置100は、図1に示すように、直流電源3と、コンプレッサ用のモータM1を駆動するインバータ10と、ファンモータM2を駆動するファンモータ駆動回路20と、電流検出回路21と、制御回路30と、を備える。
【0015】
直流電源3は、インバータ10に直流電圧を出力する。直流電源3は、例えば、商用電源等の交流電源による交流電圧を直流電圧に変換して出力するコンバータから構成される。
【0016】
インバータ10は、スイッチング回路11と、制御回路30からのPWM((Pulse Width Modulation)信号(スイッチング制御信号)に応じてスイッチング回路11を駆動する駆動部12と、を備える。
【0017】
スイッチング回路11は、直列接続された一対のスイッチング素子を、U,V,Wの三相分有する。スイッチング回路11は、上アームのスイッチング素子1u,1v,1wと、下アームのスイッチング素子2u,2v,2wと、を有する。一対のスイッチング素子1u,2uはU相に対応する。一対のスイッチング素子1v,2vはV相に対応する。一対のスイッチング素子1w,2wはW相に対応する。上アームの各スイッチング素子1u,1v,1wの両端には、還流ダイオードD1u,D1v,D1wが接続されている。下アームの各スイッチング素子2u,2v,2wの両端には、還流ダイオードD2u,D2v,D2wが接続されている。なお、スイッチング素子としては、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の公知のものを適宜採用でき、その種類は任意である。
【0018】
インバータ10は、制御回路30から出力されるPWM信号に従って各スイッチング素子をオン/オフすることにより、直流電圧をU,V,Wの3相の出力電圧に変換して、駆動対象であるコンプレッサ用のモータM1の3つのモータ端子に印加する。インバータ10は、例えば、IPM(Intelligent Power Module)から構成される。
【0019】
モータM1は、空気調和機のコンプレッサ装置200に設けられる三相ブラシレスモータである。コンプレッサ装置200は、モータM1と、モータM1の回転によって駆動される図示せぬコンプレッサとを備える。
【0020】
ファンモータ駆動回路20は、直流電源3が出力する直流電圧を用いて空気調和機のファンを回転させるファンモータM2を駆動する。ファンモータ駆動回路20は、3対のスイッチング素子を備えた周知の構成である。例えば、ファンモータM2は、三相ブラシレスモータである。
【0021】
電流検出回路21は、直流電源3とインバータ10との間に接続されたシャント抵抗Rを有し、シャント抵抗Rを用いて母線電流を検出する。モータ制御装置100は、このシャント抵抗Rを用い、1シャント方式でモータ電流を検出する。シャント抵抗Rには、モータ電流である三相の電流Iu,Iv,Iwと、PWM信号に応じた母線電流が流れる。このとき、シャント抵抗Rの両端に電圧降下が生じる。電流検出回路21は、この電圧降下の大きさとシャント抵抗Rの抵抗値とから、シャント抵抗Rに流れる母線電流を検出し、母線電流の値を示す検出信号Siを制御回路30へ出力する。シャント抵抗Rは、例えば、直流電源3におけるN側(-側)の端子とインバータ10との間のDCラインに挿入されている。なお、シャント抵抗Rは、直流電源3におけるP側(+側)の端子とインバータ10との間のDCラインに挿入されていても良い。
【0022】
制御回路30は、空気調和機の一部又は全体の動作を制御するマイクロコンピュータから構成され、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。ROMは、CPUの処理手順を定めるとともに、コンピュータを後述の各部として機能させるプログラム、種々の固定データを予め記憶する。RAMは、各種の演算結果などを一時的に記憶する。
【0023】
制御回路30は、図2に示すように、主な機能として、電流取得部40と、三相電流演算部50と、ベクトル制御部60と、キャリア波生成部70と、PWM信号生成部80と、シフト量算出部90と、判別部91と、を備える。
【0024】
電流取得部40は、直流電源3とインバータ2の間に流れる電流(母線電流)の値を後述の電流取得期間Pの中で取得する構成である。電流取得部40は、A/D(Analog to Digital)変換部41と、A/D変換制御部42と、を備える。
【0025】
A/D変換部41は、電流検出回路21から入力された検出信号Siを、A/D変換制御部42によって定められたタイミングでデジタル信号に変換する。そして、A/D変換部41は、当該デジタル信号を三相電流演算部50へ出力する。
【0026】
A/D変換制御部42は、A/D変換部41によるA/D変換のタイミングを制御する。当該タイミングは、図3(a)に示すように、繰り返される電流取得期間Pの中における後述の第1期間P1及び第2期間P2である。本実施形態では、後述のキャリア期間Sc毎の後半が電流取得期間Pである。なお、変形例として、図3(b)に示すようにキャリア期間Sc毎の前半が電流取得期間Pであってもよい。以下では、キャリア期間Sc毎の後半が電流取得期間Pであるとして説明を進める。
【0027】
電流取得部40のA/D変換部41は、電流取得期間Pの中の第1期間P1及び第2期間P2で、直流電源3とインバータ10の間に流れる電流(母線電流)の値を取得する。A/D変換部41は、電流取得期間Pの中の第1期間P1及び第2期間P2のそれぞれで、三相の電流Iu,Iv,Iwのうち、二相分の電流を取得する。
【0028】
三相電流演算部50は、電流取得期間Pの中でA/D変換部41が取得した二相分のモータ電流から、キルヒホッフの第1法則を用いて、三相の電流Iu,Iv,Iwを演算(再現)する。
【0029】
ベクトル制御部60は、周知のベクトル制御演算を実行し、外部から与えられたモータM1の回転速度指令ω0と、三相電流演算部50が演算した三相の電流Iu,Iv,Iwとに基づき、三相の電圧指令Vu*,Vv*,Vw*を算出する。
【0030】
なお、ベクトル制御部60は、後述のq軸電流Iq及びd軸電流Idの値と、後述のq軸電圧指令値Vq及びd軸電圧指令値Vdとに基づき、モータM1の角度θ(回転位置)を推定可能である。角度θは、モータM1のロータの磁極位置に相当する。また、ベクトル制御部60は、図示せぬ電圧センサからモータM1の端子電圧の上限値である最大電圧を取得可能である。また、ベクトル制御部60は、角度θを時間微分することで回転速度ωを推定可能である。
【0031】
ベクトル制御部60は、主な機能として、電流変換部61と、二軸電流指令値演算部62と、電圧指令値演算部63と、を備える。
【0032】
電流変換部61は、三相電流演算部50によって演算された三相の電流Iu,Iv,Iwを、角度θに基づいて、2相のq軸電流Iqとd軸電流Idに座標変換する。q軸電流IqはモータM1のトルク成分であり、d軸電流IdはモータM1の磁束成分である。
【0033】
二軸電流指令値演算部62は、q軸電流指令値Iq*及びd軸電流指令値Id*を算出する。例えば、二軸電流指令値演算部62は、モータM1の回転速度ω(推定値)を、外部から与えられたモータM1の回転速度指令ω0に一致させるべくq軸電流指令値Iq*を演算するフィードバック制御を行う。そして、二軸電流指令値演算部62は、q軸電流指令値Iq*に対応したd軸電流指令値Id*を演算する。q軸電流指令値Iq*に対するd軸電流指令値Id*の設定により、電流ベクトルを最小の電流で最大のトルクが得られるように制御する最大トルク制御、モータM1の磁束を減少させることでモータM1の誘起電圧を抑えてモータM1の回転速度を上げる弱め磁束制御等の各種制御が可能となる。二軸電流指令値演算部62は、回転速度ω及び前記の最大電圧と、予めROMに記憶されたデータ(テーブルデータ、最大トルク制御、弱め磁束制御の各理論に従う式を示すデータ等)とに基づきd軸電流指令値Id*を算出する。
【0034】
電圧指令値演算部63は、フィードバック制御を実行し、q軸電流Iqの値をq軸電流指令値Iq*に一致させるためのq軸電圧指令値Vq、及び、d軸電流Idの値をd軸電流指令値Id*に一致させるためのd軸電圧指令値Vdを演算する。当該フィードバック制御は、例えばPI制御であるが、PD制御、PID制御等であってもよい。二軸電流指令値演算部62が実行するフィードバック制御についても同様である。そして、電圧指令値演算部63は、q軸電圧指令値Vq及びd軸電圧指令値Vdを、角度θに基づいて、三相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に変換する。三相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*の各々の経時変化は、図6に示すように正弦波状である。
【0035】
キャリア波生成部70は、発振回路により生成された所定周波数のクロックに基づいて、図3(a)、図4に示すように、所定の周期の三角波をキャリア波Cwとして生成する。キャリア波Cwの周波数は、例えば、5kHz(周期は200μs)である。以下、キャリア波Cwの1波形分の期間を、キャリア期間Scと呼ぶ。
【0036】
PWM信号生成部80は、キャリア波生成部70が生成したキャリア波Cwと、モータM1の各相に対応する三相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*とに基づき、モータM1の各相に対応する三相のPWM信号を生成し、インバータ10に出力する。
【0037】
PWM信号生成部80は、電圧指令値調整部81と、PWM信号出力部82と、を備える。
【0038】
電圧指令値調整部81は、後述のシフト量算出部90によってシフト量が算出された場合に、当該シフト量に応じた値を三相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に加減算して得られる三相の調整後電圧指令値Vu1*,Vv1*,Vw1*を算出する。
【0039】
PWM信号出力部82は、三相の調整後電圧指令値Vu1*,Vv1*,Vw1*と、キャリア波Cwのレベルを比較することで、三相のPWM信号Up,Vp,Wpを生成し、出力する。なお、電圧指令値調整部81によって指令値が調整されなかった場合は、PWM信号出力部82は、三相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*とキャリア波Cwのレベルを比較することで、三相のPWM信号Up,Vp,Wpを生成し、出力する。出力されるPWM信号Up,Vp,Wpは、モータM1のU-V相間電圧、V-W相間電圧、W-U相間電圧の各相間電圧の平均電圧が正弦波状に変調された出力電圧となるように、キャリア期間Sc内でのそれぞれのデューティ比が異なる。本実施形態のモータ制御装置100は、三相変調方式でインバータ10を制御する。
【0040】
ここで、PWM信号出力部82によって生成され、出力される三相のPWM信号は、インバータ10の上アーム(スイッチング素子1u,1v,1w)駆動用の三相のPWM信号Up,Vp,Wpの他、インバータ10の下アーム(スイッチング素子2u,2v,2w)駆動用の三相のPWM信号Un,Vn,Wn(図示せず)も含む。U相に着目すれば、Upのオン/オフに応じて上アームのスイッチング素子1uがオン/オフされ、Unのオン/オフに応じて下アームのスイッチング素子2uがオン/オフされる。V,W相についても同様である。下アーム駆動用のPWM信号Un,Vn,Wnは、上アーム駆動用のPWM信号Up,Vp,Wpの極性を反転させ、必要に応じてデッドタイムを付加しただけのものであるため、本開示では、主に、上アーム駆動用のPWM信号Up,Vp,Wpを三相のPWM信号として取り扱う。
【0041】
図4は、電圧指令値調整部81によって指令値が調整されない場合に、三相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*をキャリア波Cwで変調して生成される三相のPWM信号Up,Vp,Wpを示す。本実施形態では、PWM信号出力部82は、一の相の電圧指令値よりも、キャリア波Cwの値が大きい場合に当該一の相のPWM信号がオンとなり、キャリア波Cwの値が小さい場合に当該一の相のPWM信号がオフとなる、三相のPWM信号Up,Vp,Wpを生成する。なお、キャリア波Cwの周波数は、三相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*の周波数よりも十分高いため、図4では、三相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を直線状に近似的に表した。
【0042】
以下では、一のキャリア期間Scにおける三相のPWM信号Up,Vp,Wpのうち、オンの期間が最も長いものを第1信号S1とし、オンの期間が第1信号S1の次に長いものを第2信号S2とし、オフの期間が最も長いものを第3信号S3とする。図4は、第1信号S1がWp、第2信号S2がVp、第3信号S3がUpである例を示している。実際は、三相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に応じて、三相のPWM信号Up,Vp,Wpと、第1~第3信号S1~S3との対応関係は変化していく。
【0043】
また、図4は、図3(a)のように繰り返される電流取得期間Pのうち、一の電流取得期間Pを示す。以下では、一の電流取得期間Pの中において、第1信号S1がオンで第2信号S2及び第3信号S3がオフである期間を第1期間P1とし、第1信号S1及び第2信号S2がオンで第3信号S3がオフである期間を第2期間P2とする。
【0044】
電流取得部40は、第1期間P1及び第2期間P2の各々で母線電流の値を取得する。図4に示す第1期間P1においては、上アームではスイッチング素子1wのみがオンしている状態となる。この状態では、モータM1へ流入する方向を電流の正の方向とすれば、母線電流はIwとなる。また、図4に示す第2期間P2においては、下アームではスイッチング素子2uのみがオンしている状態となる。この状態では、モータM1へ流入する方向を電流の正の方向とすれば、母線電流は-Iuとなる。残りのV相については、キルヒホッフの第1法則により、Iv=-(Iw-Iu)で求めることができる。このような手法により、一の電流取得期間Pの中で電流取得部40が取得する二相分のモータ電流から、前述の三相電流演算部50は、三相電流Iu,Iv,Iw(モータ電流)を演算(再現)する。
【0045】
また、以下では、電圧指令値調整部81によって指令値が調整されない場合に、三相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*をキャリア波Cwで変調して生成される第1信号S1、第2信号S2、第3信号S3を、特に、第1基準信号Sb1、第2基準信号Sb2、第3基準信号Sb3と呼ぶ。図4の例では、第1信号S1と第1基準信号Sb1が一致し、第2信号S2と第2基準信号Sb2が一致し、第3信号S3と第3基準信号Sb3が一致する。
【0046】
また、キャリア波Cwと、指令値が調整されない三相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*とから定まる時間軸方向における位置を基準位置Btとする。基準位置Btは、後述のようにPWM信号を時間軸方向にシフトする際の基準を示し、キャリア期間Sc内における位置であれば任意に設定可能であるが、説明の理解を容易とするため、本実施形態ではキャリア期間Scの中心位置とする。つまり、基準位置Btは、第1基準信号Sb1、第2基準信号Sb2及び第3基準信号Sb3の時間軸方向における中心位置である。
【0047】
図4に示す例では、キャリア波Cwが最小値を示してから次に最小値を示すまでの「Λ」状の波形が、1波形分のキャリア波Cwである。
なお、制御回路30の設定によっては、キャリア波Cwと電圧指令値の比較手法が逆の場合もある。この場合、一の相の電圧指令値よりも、キャリア波Cwの値が小さい場合に当該一の相のPWM信号がオンとなり、キャリア波Cwの値が大きい場合に当該一の相のPWM信号がオフとなる。このように、図4の例とは比較関係が逆の場合には、キャリア波Cwが最大値を示してから次に最大値を示すまでの「V」状の波形を、1波形分のキャリア波Cwと考えればよい。いずれの場合においても、キャリア波Cwの1波形分の期間であるキャリア期間Sc内において、電圧指令値に応じたデューティ比の1周期分の三相のPWM信号が生成される。
【0048】
シフト量算出部90は、第1期間P1及び第2期間P2を予測し、その予測結果に応じて、基準位置Btに対して第1信号S1及び第2信号S2の少なくともいずれかを時間軸方向にシフトさせる場合のシフト量を算出する。
【0049】
具体的に、シフト量算出部90は、予測した第1期間P1が予め定められた特定の長さ未満である場合は、第1期間P1を特定の長さとする第1信号S1に対するシフト量である第1シフト量を算出する。また、シフト量算出部90は、予測した第2期間P2が特定の長さ未満である場合は、第2期間を特定の長さとする第2信号S2に対するシフト量である第2シフト量を算出する。
この特定の長さは、電流取得部40が母線電流の値を安定して取得可能な時間として予めROMに記憶され、本実施形態では10μsである。この10μsという値は、制御回路30のA/D変換及び演算時間で5~6μs、母線電流が安定するまでの時間で1~2μs、それにマージンを加味した合計値として設定されている。つまり、電流取得部40は、第1期間P1及び第2期間P2の各々の開始時点から、6~8μs経過したタイミングで母線電流を取得することになる。なお、特定の長さは、電流取得部40が母線電流の値を安定して取得可能な時間であれば、10μsに限られず任意に設定可能である。
【0050】
具体的に、シフト量算出部90は、シフト対象の一周期分のPWM信号が出力される前(例えば、当該PWM信号の前の周期)に、キャリア波Cwと三相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*から定まる第1期間P1及び第2期間P2を予測する。より具体的に言えば、シフト量算出部90は、第1基準信号Sb1、第2基準信号Sb2及び第3基準信号Sb3から定まる第1期間P1及び第2期間P2を予測する。
【0051】
シフト量算出部90が第1シフト量を算出した場合、第1基準信号Sb1を第1シフト量だけシフトさせたものが第1信号S1であると考えることができる。また、シフト量算出部90が第2シフト量を算出した場合、第2基準信号Sb2を第2シフト量だけシフトさせたものが第2信号S2であると考えることができる。なお、本実施形態では、PWM信号をシフトさせる場合においても、第3信号S3はシフトさせない。つまり、本実施形態の第3信号S3は、常に第3基準信号Sb3と同義である。
【0052】
続いて、図5(a)を参照しつつ、シフト量の考え方について説明する。なお、同図の矩形の領域は、PWM信号がオンである期間を示す(図5(b)、(c)も同様)。
【0053】
以下では、U,V,W相のうち、第1信号S1に対応する相を「第1相」とし、第2信号S2に対応する相を「第2相」とし、第3信号S3に対応する相を「第3相」とすると共に、次のように記号を定義する。
an:第2基準信号Sb2がオンからオフになる時点と第3基準信号Sb3がオンからオフになる時点との差、又は、第2基準信号Sb2がオフからオンになる時点と第3基準信号Sb3がオフからオンになる時点との差。
bn:第1基準信号Sb1がオンからオフになる時点と第2基準信号Sb2がオンからオフになる時点との差、又は、第1基準信号Sb1がオフからオンになる時点と第2基準信号Sb2がオフからオンになる時点との差。
cn:第2相のPWM信号のシフト量(第2シフト量)
dn:第1相のPWM信号のシフト量(第1シフト量)
【0054】
なお、上記記号のインデックスnは、1,2であり、ある周期のPWM信号のインデックスnを1とし、それに続く周期のPWM信号のインデックスnを2とする。また、bn及びanを「相間差」と呼ぶ。具体的に、bnは第1相と第2相の相間差であり、anは第2相と第3相の相間差である。また、シフト方向などを説明する際に、時間が進む方向を「右」側とし、この逆方向を「左」側とする。これに対応して、一のキャリア期間Scの後半で母線電流の値を取得することを「右側取得」と呼び、一のキャリア期間Scの前半で母線電流の値を取得することを「左側取得」と呼ぶこともある。
【0055】
まず、相間差が10μs以上の場合、つまり、bn及びanが特定の長さ以上の場合(bn≧10μs、an≧10μs)は、電圧指令値が比較的大きい場合に相当する。この場合、第1シフト量dnは0、第2シフト量cnは0である。なお、シフト量算出部90がシフト量を算出した場合とは、本稿では、当該シフト量が0より大きい場合を指す。当該シフト量は、第1シフト量、第2シフト量だけでなく、後述の設定シフト量も含む。実際には、シフト量算出部90は、制御上、シフト量を「0(ゼロ)」と算出してもよいことは勿論である。
【0056】
相間差が10μs未満の場合、つまり、bn及びanが特定の長さ未満の場合(bn<10μs、an<10μs)は、電圧指令値が比較的小さい場合に相当する。
図5(a)は、図3(a)に対応して、一のキャリア期間Sc毎の後半が電流取得期間Pである例を示す。つまり、繰り返し「右側取得」が行われる例である。
図5(a)の例では、時間軸方向で隣り合うPWM信号において、dn=10-bn+cnが成り立ち、cn=10-anが成り立つ。この場合に出力されるPWM信号において、第1信号S1は第1基準信号Sb1(あるいは基準位置Bt)に対して第1シフト量であるdnだけ右側にシフトした波形となり、第2信号S2は第2基準信号Sb2(あるいは基準位置Bt)に対して第2シフト量であるcnだけ右側にシフトした波形となる。
【0057】
図5(a)の状態では、第1~第3基準信号Sb1~Sb3の周期をTとし、結果として出力されるPWM信号における第1信号S1、第2信号S2の周期をT1とすれば、以下の式が成り立つ。
第1信号S1の周期T1:T1=T-d1+d2
第2信号S2の周期T1:T1=T-c1+c2
したがって、図5(a)で隣り合う第1信号S1の周波数は、1/(T-d1+d2)となり、図5(a)で隣り合う第2信号S2の周波数は、1/(T-c1+c2)となる。なお、第1~第3基準信号Sb1~Sb3の周期Tは、キャリア波Cwの周期及びキャリア期間Scと同じ長さである。
【0058】
シフト量算出部90は、以上のように第1シフト量及び第2シフト量の少なくともいずれかを算出したか否かにかかわらず、予め定められた設定条件を満たす場合には、第1信号S1及び第2信号S2の少なくともいずれかに対するシフト量である設定シフト量αを算出する。なお、設定条件については、判別部91とともに説明する。設定シフト量αが算出された場合、二周期毎に、第1信号S1及び第2信号S2の少なくともいずれかが設定シフト量αだけシフトされたPWM信号が出力される。
ここで言う「二周期毎」とは、キャリア期間Scの1つ置きに相当する。つまり、一のキャリア期間Scの電流取得期間Pで設定シフト量αに応じてシフトされたPWM信号が出力された場合、続くキャリア期間Scの電流取得期間Pでは設定シフト量αに応じたシフトをPWM信号に施さない。また、一のキャリア期間Scの電流取得期間Pで設定シフト量αに応じたシフトをPWM信号に施さない場合、続くキャリア期間Scの電流取得期間Pで設定シフト量αに応じてシフトされたPWM信号が出力される。
【0059】
ここで、図5(b)、(c)を参照しつつ、設定シフト量αを考慮したシフト量の考え方について説明する。
【0060】
図5(b)の左側のPWM信号について説明する。この例では、第1信号S1は、第1基準信号Sb1(あるいは基準位置Bt)に対して第1シフト量d1に加えて設定シフト量αだけ右側にシフトした波形である。また、第2信号S2は、第2基準信号Sb2(あるいは基準位置Bt)に対して第2シフト量c1に加えて設定シフト量αだけ右側にシフトした波形である。一方、図5(b)の右側のPWM信号は、図5(a)の状態と同じである。
【0061】
図5(b)の状態では、第1~第3基準信号Sb1~Sb3の周期をTとし、結果として出力されるPWM信号における第1信号S1、第2信号S2の周期をT1とすれば、以下の式が成り立つ。
第1信号S1の周期T1:T1=T-d1+d2-α
第2信号S2の周期T1:T1=T-c1+c2-α
したがって、図5(b)で隣り合う第1信号S1の周波数は、1/(T-d1+d2-α)となり、図5(b)で隣り合う第2信号S2の周波数は、1/(T-c1+c2-α)となる。
【0062】
図5(c)の右側のPWM信号について説明する。この例では、第1信号S1は、第1基準信号Sb1(あるいは基準位置Bt)に対して第1シフト量d2に加えて設定シフト量αだけ右側にシフトした波形である。また、第2信号S2は、第2基準信号Sb2(あるいは基準位置Bt)に対して第2シフト量c2に加えて設定シフト量αだけ右側にシフトした波形である。一方、図5(c)の右側のPWM信号は、図5(a)の状態と同じである。
【0063】
図5(c)の状態では、第1~第3基準信号Sb1~Sb3の周期をTとし、結果として出力されるPWM信号における第1信号S1、第2信号S2の周期をT1とすれば、以下の式が成り立つ。
第1信号S1の周期T1:T1=T-d1+d2+α
第2信号S2の周期T1:T1=T-c1+c2+α
したがって、図5(c)で隣り合う第1信号S1の周波数は、1/(T-d1+d2+α)となり、図5(c)で隣り合う第2信号S2の周波数は、1/(T-c1+c2+α)となる。
【0064】
後述の設定条件を満たす場合、設定シフト量αによるシフトは、PWM信号の二周期毎(キャリア期間Scの1つ置き)に行われる。そのため、図5(b)の右側のPWM信号は、図5(c)の左側のPWM信号に相当する。あるいは、図5(c)の右側のPWM信号は、図5(b)の右側のPWM信号に相当すると考えることもできる。
【0065】
なお、図5(b)、(c)の例では、dn,cnが0より大きいように示されているが、dn,cnが0である場合もある。
【0066】
また、図5(b)、(c)の例では、第1相及び第2相ともにαでシフトされているが、第1相のみαでシフトするパターンも採用できる。これを考慮すると、時間軸方向で隣り合うPWM信号のうち、先の信号と後の信号のいずれかをαでシフトするパターンとしては、図8(a)に示すパターン1~4となる。
パターン1:先の信号の第1相及び第2相ともにαでシフト。
パターン2:後の信号の第1相及び第2相ともにαでシフト。
パターン3:先の信号の第1相のみαでシフト。
パターン4:後の信号の第1相のみαでシフト。
なお、先の信号と後の信号のいずれかで、第2相のみαでシフトするパターンは、相間差を保てなくなる虞があるので、上記パターンには含めていない。
【0067】
以上のようにシフト量算出部90によって算出されるシフト量に応じて、PWM信号生成部80は、以下のように、三相のPWM信号Up,Vp,Wpを出力する。
【0068】
PWM信号生成部80は、(i)三相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に応じて定まる第1信号S1、第2信号S2及び第3信号S3の各々のデューティ比が保たれた三相のPWM信号Up,Vp,Wpであって、(ii)第1シフト量が算出された場合には、第1シフト量に応じて第1信号S1がシフトされ、(iii)第2シフト量が算出された場合には、第2シフト量に応じて第2信号S2がシフトされ、(iv)さらに、後述の設定条件を満たす場合には、第1シフト量及び第2シフト量の少なくともいずれかに応じて第1信号S1及び第2信号S2の少なくともいずれかがシフトされるか否かにかかわらず、二周期毎に、第1信号S1及び第2信号S2のうち少なくとも第1信号S1が設定シフト量αに応じてシフトされた三相のPWM信号Up,Vp,Wpを出力する。
【0069】
なお、第1信号S1が設定シフト量αに応じてシフトされる場合のシフト方向は、第1期間P1を長くする方向であり、第1シフト量によるシフト方向と同じである。また、第2信号S2が設定シフト量αに応じてシフトされる場合のシフト方向は、第2期間P2を長くする方向であり、第2シフト量によるシフト方向と同じである。本実施形態は、「右側取得」の例であるため、各シフト量によるシフト方向は、全て右方向である。
【0070】
電圧指令値調整部81は、シフト量算出部90によって算出されたシフト量でのシフトを実現すべく、当該シフト量に応じた値を三相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に加減算することで、三相の調整後電圧指令値Vu1*,Vv1*,Vw1*を算出する。つまり、PWM信号生成部80は、三相の調整後電圧指令値Vu1*,Vv1*,Vw1*をキャリア波Cwで変調することで、シフト量に応じてシフトされた三相のPWM信号Up,Vp,Wpを生成し出力する。
【0071】
ここで、図6に示すように、三相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*の一周期分の位相を考えた場合に、60°毎に現れるエリア(期間)をA~Fとする。このようにエリアを定義した場合、U相のPWM信号Upに対するシフト量のパターンを図7にまとめる。図から理解できるように、PWM信号Upは、エリアA,Bで第1信号S1となり、エリアC,Fで第2信号S2となり、エリアD,Eで第3信号S3となる。図示しないが、PWM信号Vpは、エリアC,Dで第1信号S1となり、エリアE,Bで第2信号S2となり、エリアF,Aで第3信号S3となる。また、PWM信号Wpは、エリアE,Fで第1信号S1となり、エリアA,Dで第2信号S2となり、エリアB,Cで第3信号S3となる。
【0072】
図8(b)は、図6に示すエリア毎における上記実施形態(実施例)によるスイッチング周波数を、他の例(シフトなし、比較例)とともに示した表である。「実施例」の項では、パターン1とパターン2が交互に実施される場合の周波数の変化と、パターン3とパターン4が交互に実施される場合の周波数の変化を示した。「シフトなし」では、キャリア周波数がそのままスイッチング周波数となる。「比較例」は、設定シフト量αが存在しない場合の例である。図8(b)の表を参照すると、「実施例」は「比較例」に比べ、瞬時のスイッチング周波数を意図的に変化させることができていることが分かる。
【0073】
図2に戻って、判別部91は、コンプレッサ用のモータM1及びファンモータM2の回転数を取得し、取得したモータM1及びファンモータM2の回転数に応じて設定条件を満たすか否かを判別する。なお、判別部91がモータM1及びファンモータM2の回転数を取得するとは、外部から当該回転数の実測値を取得することだけでなく、制御回路30の機能で推定した当該回転数の推定値を取得または算出することを含む。当該回転数の取得または算出手法は、公知の手法を適宜採用できる。例えば、判別部91は、ベクトル制御部60から取得した回転速度ω、又は、ベクトル制御部60と同様の手法で推定した回転速度ωを、モータM1の回転数としてもよい。また、判別部91は、ファンモータM2の各相に流れる電流を検出する電流センサ(図示せず)から取得した値に基づいてファンモータM2の回転数(回転速度)を推定してもよい。
【0074】
ここで、空気調和機のコンプレッサ用のモータM1、ファンモータM2の回転数が比較的高い場合には、相対的に、ユーザは、キャリア周波数に起因する雑音が気にならなくなる。この特性を考慮し、設定条件は以下のようにして予め定められる。
【0075】
図9(a)に示すように、モータM1の回転数をXとすると、回転数Xの閾値として、0よりも大きい第1閾値F1と、第1閾値F1よりも大きい第2閾値F2が予め定められている。また、図9(b)に示すように、ファンモータM2の回転数をyとすると、回転数yの閾値として、0よりも大きい第3閾値f1と、第3閾値f1よりも大きい第4閾値f2が予め定められている。
【0076】
判別部91は、モータM1の回転数Xが第2閾値F1以上で、且つ、ファンモータM2の回転数xが第4閾値f2以上である第1の場合に設定条件を満たさないと判別する。つまり、第1の場合とは、F2≦X、且つ、f2≦xの場合である。この場合、図9(c)に示すように、設定シフト量αは0(ゼロ)である。
【0077】
一方、判別部91は、第1の場合以外の第2の場合に設定条件を満たすと判別する。つまり、第2の場合とは、モータM1の回転数Xが第2閾値F2未満(X<F2)と、ファンモータM2の回転数xが第4閾値f2未満(x<f2)との少なくともいずれかを満たす場合である。
【0078】
判別部91によって設定条件を満たすと判別された場合、シフト量算出部90は、設定シフト量αの予め定められた最大値をβとすると、下記[数3]に基づいてYを算出するとともに、下記[数4]に基づいてyを算出する。そして、シフト量算出部90は、Y≠yの場合は、Yとyのいずれか大きい方を設定シフト量αとして算出し、Y=yの場合は、Y又はyを設定シフト量αとして算出する。
【0079】
【数3】
【0080】
【数4】
【0081】
図9(a)は[数3]に従うグラフであり、図9(b)は[数4]に従うグラフである。図9(c)は、回転数X、xの条件に応じて算出される設定シフト量αの値を示す。なお、第1閾値F1と第3閾値f1は異なっていても同じでもよい。また、第2閾値F2と第4閾値f2は異なっていても同じでもよい。また、最大値βは、キャリア期間Scの1/4以下の長さであれば任意に設定可能である。
【0082】
図10(a)~(c)は、図8(b)で説明した比較例及び実施例のシミュレーション結果である。図10(a)~(c)では、周波数5kHzのキャリア波Cwを用い、電圧指令値として±5Vピークの正弦波を用いた。この電圧指令値では、相間差bn,anが10μs未満の場合に相当する。また、実施例1はパターン1とパターン2が交互に出現する例であり、実施例2はパターン3とパターン4が交互に出現する例であり、ともに設定シフト量αを10μsとした。なお、このシミュレーション結果は、U相のものであるが、V相、W相についても同様に考えることができる。
【0083】
図10(a)に示す比較例では、スイッチング周波数が時間に対してほぼ変化せず、また、スイッチング周波数の発生頻度を見ても、キャリア波Cwの周波数とあまり変化していないことが分かる。一方、図10(b)に示す実施例1では、電圧周期の2/3の範囲で、キャリア周波数に対して約±250Hzの可変が実現できていることが分かる。また、図10(c)に示す実施例2では、電圧周期の1/3の範囲で、キャリア周波数に対して約±250Hzの可変が実現できていることが分かる。
【0084】
図11(a)~(c)は、周波数5kHzのキャリア波Cwを用い、電圧指令値として±100Vピークの正弦波を用いた場合の比較例及び実施例のシミュレーション結果である。この電圧指令値では、相間差bn,anが10μs以上の場合に相当する。なお、電圧ピーク以外の条件は図10と同様である。また、このシミュレーション結果は、U相のものであるが、V相、W相についても同様に考えることができる。
【0085】
図11(a)に示す比較例では、スイッチング周波数が時間に対してほぼ変化せず、また、スイッチング周波数の発生頻度を見ても、キャリア波Cwの周波数とあまり変化していないことが分かる。一方、図11(b)に示す実施例1では、電圧周期の2/3の範囲で、キャリア周波数に対して約±250Hzの可変が実現できていることが分かる。また、図11(c)に示す実施例2では、電圧周期の1/3の範囲で、キャリア周波数に対して約±250Hzの可変が実現できていることが分かる。
【0086】
以上のように、本実施形態のモータ制御装置100によれば、1シャント方式でのモータ電流の検出タイミングを確保しつつ、結果として出力されるPWM信号の周波数(スイッチング周波数)を瞬時的に変化させることができる。これにより、キャリア周波数に起因する雑音を低減することができる。また、これを実現するための演算は上記のように単純であるため、モータ制御装置100による制御は簡易である。さらに、本実施形態のモータ制御装置100は、設定条件を満たす場合にのみ設定シフトαを考慮したPWM信号のシフトを実行するため、キャリア周波数に起因する雑音を特に低減する必要がない場合に、制御の安定性が損なわれることを防止できる。
【0087】
なお、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0088】
以上では、三相変調方式でインバータ10を制御する例を示したが、モータ制御装置100は、二相変調方式でインバータ10を制御してもよい。二相変調方式の場合、一のキャリア期間Scにおける第3信号S3は、常時オフ(デューティ比が0)となる。この場合、第2期間P2が特定の長さ未満となる事態は生じないと考えられるため、シフト量算出部90は第2シフト量を0とすればよい(第2シフト量を算出しなければよい)。この点以外は上記と同様の手法で、1シャント方式でのモータ電流の検出タイミングを確保しつつ、キャリア周波数に起因する雑音を低減することができる。
【0089】
図3(b)に示すように、キャリア期間Sc毎の前半が電流取得期間Pであってもよい。この場合、「左側取得」となるため、各シフト量によるシフト方向は、全て左方向である。また、以上では、キャリア波Cwが三角波の例を示したが、キャリア期間Scの中で上記の各シフト量に応じたPWM信号のシフトが可能である限りにおいては、キャリア波Cwは三角波に限られず、のこぎり波などであってもよい。
【0090】
以上では、パターン1とパターン2が交互に出現する例(第1相及び第2相ともにαでシフト)と、パターン3とパターン4が交互に出現する例(第1相のみαでシフト)を示したが、パターンの組み合わせはこれに限られない。パターン1とパターン4が交互に出現するようにしてもよいし、パターン3とパターン2が交互に出現するようにしてもよい。
【0091】
以上では、二周期毎(キャリア期間Scの1つ置き)に、第1信号S1及び第2信号S2のうち少なくとも第1信号S1が設定シフト量αに応じてシフトされた三相のPWM信号を出力する例を示したが、これに限られない。PWM信号生成部80は、キャリア期間Scの2つ置き、3つ置きといった複数周期毎に、第1信号S1及び第2信号S2のうち少なくとも第1信号S1が設定シフト量αに応じてシフトされた三相のPWM信号を出力するようにしてもよい。こうした場合でも、スイッチング周波数をキャリア周波数に対してずらすことができるため、キャリア周波数に起因する雑音を低減することができる。
【0092】
以上では、電圧指令値調整部81で電圧指令値を加減算することで、前記の条件を満たす三相のPWM信号を生成して出力する例を示したが、これに限られない。PWM信号生成部80は、三相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*をそのままキャリア波Cwで変調したPWM信号として、基準PWM信号をまず生成し、生成した基準PWM信号を、各シフト量及びシフト方向に応じて時間軸方向にシフトさせることでPWM信号Up,Vp,Wpを生成し、インバータ10へ出力してもよい。
【0093】
以上では、上記動作を実現するプログラムが制御回路30のROMに予め記憶されているものとしたが、着脱自在の記録媒体により配布・提供されてもよい。また、当該プログラムは、制御回路30と接続された他の機器からダウンロードされるものであってもよい。また、制御回路30は、他の機器と電気通信ネットワークなどを介して各種データの交換を行うことによりプログラムに従う各処理を実行してもよい。
【0094】
以上の説明では、本発明の理解を容易にするために、公知の技術的事項の説明を適宜省略した。
【0095】
本発明の実施の形態を説明したが、この実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
100…モータ制御装置、3…直流電源
10…インバータ、M1…モータ
20…ファンモータ駆動回路、M2…ファンモータ
21…電流検出回路、R…シャント抵抗、Si…検出信号
30…制御回路
40…電流取得部、41…A/D変換部、42…A/D変換制御部
50…三相電流演算部
60…ベクトル制御部
61…電流変換部、62…二軸電流指令値演算部、63…電圧指令値演算部
70…キャリア波生成部、Cw…キャリア波、Sc…キャリア期間
80…PWM信号生成部
81…電圧指令値調整部、82…PWM信号出力部
90…シフト量算出部
91…判別部
S1…第1信号、S2…第2信号、S3…第3信号
Sb1…第1基準信号、Sb2…第2基準信号、Sb3…第3基準信号
P…電流取得期間、P1…第1期間、P2…第2期間、Bt…基準位置
図1
図2
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図10
図11