(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131895
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】転落防止装置
(51)【国際特許分類】
E04F 11/18 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
E04F11/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036902
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】591091641
【氏名又は名称】三宅 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100083172
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 豊明
(72)【発明者】
【氏名】三宅 晃
【テーマコード(参考)】
2E301
【Fターム(参考)】
2E301GG06
2E301HH18
2E301JJ05
2E301JJ10
2E301KK01
2E301KK09
(57)【要約】
【課題】景観を損なわない簡単な構成で、しかもコストを抑えた転落防止装置
【解決手段】軸に対して、一方向にのみ回転する回転体を備えた回転桟を構成し、当該回転桟を、取り付け金具を利用して、前記軸を利用して家屋の手すりの上端付近に取付けるようになっている。ここで、前記回転体の径を幼児が掴めない太さにする。また、前記回転方向を家屋側にすることによって、回転体を掴もうとする幼児がベランダ側に倒れるようにする。前記回転体の回転に伴って、警報音、チャイム等の音あるいは動物や鳥の鳴き声等、あらゆる音が鳴るようにすると、幼児にとって、おもちゃ的な要素となり、気を紛らわせることになる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸に対して、1方向にのみ回転する回転体と、
前記回転体を、前記軸を利用して家屋の手すりの上端付近に取付ける取り付け金具と、
を備えたことを特徴とする転落防止装置。
【請求項2】
前記回転体の回転に伴って音を発する請求項1に記載の転落防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転落防止装置に関し、特に、マンション等のベランダからの幼児の転落防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
手すりの上端の桟に手が届く程度の年齢の幼児がマンション等の手すりによじ登り転落する事故が頻発している。このような事故は、手すりの高さを高くすることで解決することは明らかであるが、圧迫感や景観の観点から、一般に手すりは大人の胸あたりの高さになっている。この高さは、少し成長した幼児が手を伸ばせば届く高さであり、上記のような事故が絶えないことになる。
【0003】
このような事故を防止しようとする試みは特許出願上も多数ある。例えば、特許文献1(特許5950242号公報)には上部支柱と下部支柱を、前後自在に作動可能にする部材で繋いで一体にし、支柱の下部に取付け金具を設け、上部を複数の手すりで繋いで、一体にした構造を開示している。
【0004】
この構造で、下部を既設の手すりに固定した状態で上部の手すりを幼児が持つと、前記の自在繋の部分が折れて、幼児が手すりの上まで登れないようになっている。
【0005】
また、特許文献2(特開2018-9284号公報)には、手すりの縦パイプの頂部を折り返して、曲形頂部となし、当該頂部には横パイプを入れない構成にし、これによって、幼児が横桟を持って登れない構造にする。加えて、前記折り返した縦パイプにコイルバネを介して、手すり棒を横設する。当該手すり棒を幼児が持って登ろうとすると、コイルバネが撓んで手すり棒が返り、そのまま掴んでよじ登れない構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5950242号公報
【特許文献2】特開2018-9284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1あるいは2のいずれの構成も、幼児が掴もうとする部分を不安定にし、うまく掴めないようになっている。しかしながら、特許文献1では、既設の手すりとは別の手すりを構成して、既設の手すりに取付けるようになっているので、嵩高になり、また、景観も悪くなる。
【0008】
特許文献2の構成を既設の手すりに適用した場合は、加工に手間がかかりコストアップにつながり、また、既設の手すりに取付ける構成(
図5)にする場合も、コスト高となる上、景観が一層悪くなる。
【0009】
本発明は従来の上記課題を解決し、景観を損なわない簡単な構成で、しかもコストを抑えた転落防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は以下の構成を採用する。
【0011】
軸に対して、一方向にのみ回転する回転体を備えた回転桟を構成し、当該回転桟を、取り付け金具を利用して、前記軸を利用して家屋の手すりの上端付近に取付けるようになっている。ここで、前記回転体の径を幼児が掴めない太さにする。また、前記回転方向を家屋側にすることによって、回転体を掴もうとする幼児がベランダ側に倒れるようにする。
【0012】
前記回転体の回転に伴って、警報音、チャイム等の音あるいは動物や鳥の鳴き声等、あらゆる音が鳴るようにすると、幼児にとって、おもちゃ的な要素となり、気を紛らわせることになる。
【発明の効果】
【0013】
上記構成により、幼児が手すりに登ろうとしても、手を掛けることができないので、登ることを諦めてしまう効果がある。加えて、前記回転体の回転に伴って音が発生するようにしておくと、おもちゃとなり、前記効果を一層高めることになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に使用する回転桟を示す斜視図である。
【
図2】回転桟の取り付け金具示す拡大斜視図である。
【
図3】軸受け片を挿入した取り付け金具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明の全体構造を示す斜視図、
図2はその取り付け金具を拡大して示す斜視図である。
【0016】
軸1に対して1方向にのみ回転可能な円筒状の回転体2が取り付けられ、回転桟10を構成する。前記軸1の長さは例えばベランダの手すりの長さとし、前記回転体2を、軸方向に少なくとも1つ(図面上は4つ)取付ける構成とする。
【0017】
前記「1方向にのみ」に回転する構造としては、ラッチ機構を採用することができる。
【0018】
このように構成された回転桟10は、以下のようにしてマンション等のベランダの手すりに取付ける。
【0019】
まず、
図2の拡大図に示すように、逆U字の取り付け金具30が構成される。当該取り付け金具30は、内外の挟み板21、22よりなり、水平方向内側の挟み板21の上端と外側の挟み板22の上端を相互に水平に屈曲し、当該水平部を重ね合わせるようにする。
【0020】
外側の挟み板22の、前記水平部の先端は、内側の挟み板21の厚みに対応する空隙を残して、上側に折り返して挿通部24を形成しておき、前記折り返し部25に雌ネジ穴23が設けられている。
【0021】
一方、手で絞められる大きさの頭を持つビス26が用意され、前記外側の挟み板22の前記挿通部24に内側の挟み板21の水平部を挿通し、前記ビス26が雌ネジ穴23に螺着され、手で締め付けられようになっている。この構成により、ベランダの壁の厚みに対応して、前記取付け金具30の内外の挟み板21、22の幅を調整することができる。
【0022】
ここでベランダの家屋側を「内」その反対側を「外」としている。
内側の挟み板21には、当該挟み板21の縦辺に内側に突出したポケット31が設けられ、当該ポッケット31の縦方向中央に以下に説明するT字の軸受け片40の縦辺が挿通できる縦溝32が設けられている。
【0023】
一方、
図2に示すように、T字の縦辺に軸1に対応する軸孔42が開けられた軸受け片40が用意され、前記軸孔42に前記回転桟10の軸1を嵌め込んだ状態としておく。
【0024】
前記取付け金具30は、家屋のベランダの手すりの前壁の上端に嵌め込まれ、前記軸1を挿通した軸受け片40を、回転体2の回転方向がベランダの内側になるように、前記ポケット31に、嵌め込むようになっている。このとき、
図3に示すように、T字の横辺はポケット31の左右の溝に、縦辺は前記縦溝32に嵌り込み、前記軸孔42が、回転桟10の軸1を受けた状態となっている。
【0025】
この構成により、回転桟10はベランダの手すりの上端部の内側にあることになり、幼児が手すりの上に登ろうとしても、回転体2はベランダの内側に回転するようになっているので、幼児は、手すりを超えることができないことになる。
【0026】
尚、前記回転体2の回転に伴ってチャイムあるいは動物や鳥の鳴き声等、あらゆる音が鳴るようにすると、幼児の興味は、手すりを超えることより、音の方に引かれ、より効果を増すことになる。また、幼児が興味を引く動物や鳥、漫画のキャラクターの絵を描いておくことでも同様の効果がある。
【0027】
尚、上記回転体2の径は50~60mmで幼児が掴めない大きさではあるが、手すりの上端付近の内側に取付けられるので、景観を壊すことはない。
以上説明したように、発明は幼児が手すりに登ることを防止できる効果があり、しかも景観を損なわずに、安価に製造できる効果がある。
【符号の説明】
【0028】
1 軸
2 回転体
10 回転桟
21、22 挟み板
30 取付け金具
31 ポケット
32 縦溝
40 軸受け片
42 軸孔