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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131899
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】セキュリティシステム
(51)【国際特許分類】
   B65G 61/00 20060101AFI20230914BHJP
   G06Q 10/08 20230101ALI20230914BHJP
【FI】
B65G61/00 540
G06Q10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036906
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平岩 洋介
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC51
(57)【要約】
【課題】配送先に配送物が置けないことによる再配送を防ぎ、配送先に配送物を確実に配送することが可能なシステムを提供する。
【解決手段】配送システムおよび監視システムが相互に情報通信可能に構成されたセキュリティシステムであって、監視システムは、配達対象領域を監視する監視部と、監視部により得られる配達対象領域の状態を示す情報を含む監視情報を配送システムへ送信する情報送信部と、を含み、配送システムは、監視システムから送信される監視情報を受信する情報受信部と、配送手段に搭載される配送物の配送物情報と監視情報とを用いて、配送手段による配送対応を決定する配送対応決定部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配送手段を用いて配達対象領域に配送物を配送する配送システムと、前記配達対象領域を監視する監視システムと、を備え、前記配送システムおよび前記監視システムが相互に情報通信可能に構成されたセキュリティシステムであって、
前記監視システムは、
前記配達対象領域を監視する監視部と、前記監視部により得られる前記配達対象領域の状態を示す情報を含む監視情報を前記配送システムへ送信する情報送信部と、を含み、
前記配送システムは、
前記監視システムから送信される前記監視情報を受信する情報受信部と、
前記配送手段に搭載される前記配送物の配送物情報と前記監視情報とを用いて、前記配送手段による配送対応を決定する配送対応決定部と、
を備える、セキュリティシステム。
【請求項2】
前記配達対象領域内に前記配送物を配置可能な配置可能領域があるか否かを判定する判定部を備え、
前記配送対応決定部は、前記判定部による前記配達対象領域内に前記配置可能領域があるか否かの判定の結果に基づいて、前記配送対応を決定する、請求項1に記載のセキュリティシステム。
【請求項3】
前記判定部により、前記配達対象領域内に前記配置可能領域があると判定された場合に、
前記配送対応決定部は、前記配送手段により配送を開始するように前記配送対応を決定する、請求項2に記載のセキュリティシステム。
【請求項4】
前記監視システムは、前記判定部を有し、
前記判定部により、前記配達対象領域内に前記配置可能領域があると判定された場合に、
前記監視システムは、前記配送システムに対して前記配送物の置き場が確保されたことを示す置き場確保通知を送信し、
前記配送対応決定部は、前記置き場確保通知を受信した後に前記配送手段により配送を開始するように前記配送対応を決定する、請求項3に記載のセキュリティシステム。
【請求項5】
前記判定部により、前記配達対象領域内に前記配置可能領域がないと判定された場合に、
前記監視システムまたは前記配送システムは、ユーザに対して前記配送物の置き場を確保するように要求する置き場確保依頼を通知する、請求項2~請求項4のうちいずれか一項に記載のセキュリティシステム。
【請求項6】
前記判定部は、前記配置可能領域があると判定した後に、前記配達対象領域内の状態変化があるか否かを判定する機能をさらに有し、
前記判定部により、前記配達対象領域内に前記状態変化があると判定された場合に、
前記監視システムは、前記配達対象領域の周囲に対して、前記配置可能領域をなくさないように指示する請求項2~請求項5のうちいずれか一項に記載のセキュリティシステム。
【請求項7】
前記配送物情報は、前記配送物の大きさに対応したサイズ情報を含み、
前記判定部は、前記サイズ情報に基づいて前記配達対象領域内に前記配置可能領域があるか否かを判定する請求項2~請求項6のうちいずれか一項に記載のセキュリティシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セキュリティシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載されるように、居住者の不在時において宅配業者によって配達された宅配物を、配送先の玄関前の床面を利用し保管するシステムが知られている。このシステムは、玄関前を監視する監視装置を備え、宅配物を配置可能な床面上の配置領域の状態変化を監視し、宅配物の盗難等を抑止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-217029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記システムは、居住者の不在時に宅配業者によって宅配物が配達された際における宅配物の監視・保管を主の目的としたものであり、配送事前に、玄関前に宅配物を配達可能であるかを判断できない。このため、配送時に玄関前に既に荷物等の障害物が置いてあることにより宅配物を置くことができない場合には、再配達をせざるを得ず、配送遅延の問題が生じていた。
【0005】
本開示は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、配送先に配送物が置けないことによる再配送を防ぎ、配送先に配送物を確実に配送することが可能なシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本開示の一形態によれば、セキュリティシステムが提供される。セキュリティシステムは、配送手段を用いて配達対象領域に配送物を配送する配送システムと、前記配達対象領域を監視する監視システムと、を備え、前記配送システムおよび前記監視システムが相互に情報通信可能に構成されたセキュリティシステムであって、前記監視システムは、前記配達対象領域を監視する監視部と、前記監視部により得られる前記配達対象領域の状態を示す情報を含む監視情報を前記配送システムへ送信する情報送信部と、を含み、前記配送システムは、前記監視システムから送信される前記監視情報を受信する情報受信部と、前記配送手段に搭載される前記配送物の配送物情報と前記監視情報とを用いて、前記配送手段による配送対応を決定する配送対応決定部と、を備える。
この形態のセキュリティシステムによれば、配送システムが有する配送対応決定部は、監視システムが有する監視部において取得された監視情報を利用して、配送手段による配送対応を決定できる。すなわち、配送システムと監視システムとが連携しているため、監視システムから情報送信部により送信される配達対象領域の状態に応じて、配送対応を決定することができる。例えば、配達対象領域の状態が、荷物などの障害物が多く置かれているために、配送物を置くことができない状態であることが特定される場合には、その状態が改善されるまで配送を待機する等の処理を行うことができる。すなわち、上記のように、配送システムと監視システムとが連携したセキュリティシステムによれば、配送先に配送物が置けないことによる再配送を防ぎ、配送先に配送物を確実に配送することができる。
(2)上記形態のセキュリティシステムにおいて、前記配達対象領域内に前記配送物を配置可能な配置可能領域があるか否かを判定する判定部を備え、前記配送対応決定部は、前記判定部による前記配達対象領域内に前記配置可能領域があるか否かの判定の結果に基づいて、前記配送対応を決定してもよい。この形態のセキュリティシステムによれば、判定部による配送物を配置可能な配置可能領域があるか否かの判定に基づいて、配送対応決定部により、配送対応を決定することができるので、配置可能領域がないにも関わらず、配送物の配送を行うことを抑制できる。
(3)上記形態のセキュリティシステムにおいて、前記判定部により、前記配達対象領域内に前記配置可能領域があると判定された場合に、前記配送対応決定部は、前記配送手段により配送を開始するように前記配送対応を決定してもよい。
この形態のセキュリティシステムによれば、配達対象領域内に前記配置可能領域がある場合に、配送対応決定部により、配送手段による配送を開始するように決定できる。このように、配置可能領域がある状態で、配送が開始されるため、配送物を確実に配達することができる。
(4)上記形態のセキュリティシステムにおいて、前記監視システムは、前記判定部を有し、前記判定部により、前記配達対象領域内に前記配置可能領域があると判定された場合に、前記監視システムは、前記配送システムに対して前記配送物の置き場が確保されたことを示す置き場確保通知を送信し、前記配送対応決定部は、前記置き場確保通知を受信した後に前記配送手段により配送を開始するように前記配送対応を決定してもよい。
この形態のセキュリティシステムによれば、監視システムが有する判定部において配置可能領域があると判定された情報が、置き場確保通知として配送システムに送信される。すなわち、配送システムは、置き場確保通知を受信できることで、監視システム側において既に判定された配置可能領域があるという情報を共有できる。配送システムにおいて、判定処理をする必要がなく、配送システム側での処理負担を軽減できる。
(5)上記形態のセキュリティシステムにおいて、前記判定部により、前記配達対象領域内に前記配置可能領域がないと判定された場合に、前記監視システムまたは前記配送システムは、ユーザに対して前記配送物の置き場を確保するように要求する置き場確保依頼を通知してもよい。
この形態のセキュリティシステムによれば、判定部により、配達対象領域内に配置可能領域がないと判定された場合に、監視システムまたは配送システムは、ユーザに対して配送物の置き場を確保するように要求する置き場確保依頼を通知できる。このため、配達対象領域内に配置可能領域がない場合でも、通知を受けたユーザへ配送物の置き場を確保するように促すことができる。
(6)上記形態のセキュリティシステムにおいて、前記判定部は、前記配置可能領域があると判定した後に、前記配達対象領域内の状態変化があるか否かを判定する機能をさらに有し、前記判定部により、前記配達対象領域内に前記状態変化があると判定された場合に、前記監視システムは、前記配達対象領域の周囲に対して、前記配置可能領域をなくさないように指示してもよい。
この形態のセキュリティシステムによれば、判定部により、配達対象領域内に状態変化があると判定された場合に、監視システムは、配達対象領域の周囲に対して、配置可能領域をなくさないように指示するため、例えば、不審者等の訪問者により配置可能領域が失われることを防ぐことができる。
(7)上記形態のセキュリティシステムにおいて、前記配送物情報は、前記配送物の大きさに対応したサイズ情報を含み、前記判定部は、前記サイズ情報に基づいて前記配達対象領域内に前記配置可能領域があるか否かを判定してもよい。
この形態のセキュリティシステムによれば、配送物情報として配送物の大きさに対応したサイズ情報を含むため、サイズ情報に基づいて配達対象領域内に配置可能領域があるか否かを判定することができる。すなわち、配送物のサイズが小さければ、配達対象領域内に他の荷物が存在していても、該当の配送物が配置できるスペースさえあれば配置可能領域があると判定することもできる。例えば、一律に所定面積の空きスペースがある場合に配置可能領域があると判定するような場合と比較して、サイズ情報に基づいて判定することで、判定の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第1実施形態におけるセキュリティシステムを説明するための図である。
図2】監視システムが備える監視装置の電気的構成を示すブロック図である。
図3】飛行配送機の電気的構成を示すブロック図である。
図4】配送管理装置の電気的構成を示すブロック図である。
図5】監視システムの制御部が実行する待機モード処理の手順を示すフローチャートである。
図6】監視システムの制御部が実行するスペース監視モード処理の手順を示すフローチャートである。
図7】配送システムの制御部が実行する配送処理の手順を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。
A.第1実施形態:
A1.セキュリティシステム1の構成:
本開示の第1実施形態のセキュリティシステム1について、図1図7を参照して説明する。図1は、本開示の第1実施形態におけるセキュリティシステム1を説明するための図である。図1に示すように、セキュリティシステム1は、監視システム2と、配送システム3と、を備える。セキュリティシステム1は、配送先であるユーザ4の玄関扉DRの屋外周辺の配達対象領域MAを監視する監視システム2と、配送物Dの配送計画を立てるとともに、飛行配送機20(所謂、ドローン)を利用した配送業務全般を管理する配送システム3とが、互いに連携したシステムである。以下、セキュリティシステム1を構築する各構成について説明する。例えばセキュリティ会社の管理下にあり、配送システム3は、例えば配送会社の管理下にある。
【0010】
[監視システム2]
図2は、監視システム2が備える監視装置10の電気的構成を示すブロック図である。図2に示す監視装置10は、監視システム2における各種情報処理を行うホストコンピュータに相当する。この監視装置10は、図2に示すように、制御部11と、メモリ12と、操作部13と、表示部14と、撮像部15と、外部インタフェース16とを備えている。制御部11は、CPU、ROM等を有して構成されるマイクロコンピュータである。かかるマイクロコンピュータのCPUが、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、判定部17や情報送受信部18として機能する。情報送受信部18は「情報送信部」に相当する。メモリ12は、制御部11とともに情報処理装置を構成する。
【0011】
制御部11には、操作部13、表示部14、撮像部15、外部インタフェース16などが接続されている。操作部13は、制御部11に対して操作信号を与える構成をなしており、制御部11は、この操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行う。また、表示部14は、制御部11によって制御される構成をなしており、制御部11からの指令を受けて動作する。特に、表示部14は、液晶表示器や有機ELディスプレイなどの公知の表示装置によって構成され、制御部11による情報処理結果や監視装置10の動作状態などの各種情報を表示し得る構成となっている。
【0012】
撮像部15は、配達対象領域MAの天井に設置されて天井から重力方向下側の空間を俯瞰した撮像画像を取得する。ここでいう天井とは、密閉された部屋のうち重力方向上側の面の部分という意味だけでなく、配達対象領域MAの重力方向上側という意味も含む概念である。本実施形態では、撮像部15は、カラーフィルタを搭載した距離画像カメラ(デプスカメラ)である。なお、撮像部15は、配達対象領域MAの状態変化を監視できればよく、グレースケール画像のみのデプスカメラやステレオ測距方式を用いたステレオカメラであってもよい。また、撮像部15として、距離測定に赤外線が用いられる場合には、暗い場所においても安定して距離を測定することができる。本実施形態では、撮像部15は、配達対象領域MAを常時撮像している。撮像部15は、「監視部」に相当する。
【0013】
判定部17は、配達対象領域MA内に、配送物Dを配置可能な領域(以下、「配置可能領域PA」という)があるか否か判定する。また、判定部17は、一旦、配置可能領域PAがあると判定し、後述するスペース監視モードに入ったときには、配達対象領域MA内の状態変化があったか否かについても判定する。状態変化とは、具体的には配達対象領域MA内に飛行配送機20、人物、動物などが侵入したり、ユーザ4または訪問者が玄関扉DR前に荷物を置いてしまうことで配置可能領域PAを埋める障害物が置かれたりしたときなどが相当する。上記の各判定は、配送物Dのサイズ情報と、撮像画像に人物や荷物が写っているか否かの情報とを併せて判定する。判定部17は、予め設定された時間間隔毎に、その間隔の間において蓄積された撮像画像を用いて判定を行う。撮像画像は、監視システム2が有するメモリ12に蓄積される。
【0014】
外部インタフェース16は、ユーザ4が所有する携帯電話端末41やタブレット端末等の外部機器や、後述する配送システム3が備える配送管理装置30との間でデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部11の情報送受信部18と協働して通信処理を行う通信手段としての構成をなしている。このため、配送物Dを配置可能な配置可能領域PAがない場合には、ユーザ4へ置き場確保依頼を送信したり、配送システム3へ再配達を依頼したりといった連携が可能である。なお、監視システム2、配送システム3、およびユーザ4との相互の連携についての詳細は、各システム2,3が実行する処理のフローチャートの説明と併せて後述する。
【0015】
[配送システム3]
次に、配送システム3について説明する。本実施形態の配送システム3は、図1に示すように、飛行配送機20を利用して、配送物Dを配送先へ配送するシステムである。配送システム3は、配送物Dを配送可能な飛行配送機20と、この飛行配送機20を遠隔操作可能な配送管理装置30と、を備えている。
【0016】
[飛行配送機20の構成]
まず、飛行配送機20の構成について説明する。飛行配送機20は、配送管理装置30からの指示を受けて、自動操縦により無人飛行が可能に構成されている。飛行配送機20は、遠隔操作される無人自律飛行移動体に相当する。例えば、飛行配送機20は、配送管理装置30から送信される配送先の配送場所の位置情報と、GPSによって特定される位置情報と、に基づいて公知の方法で飛行経路などが設定されて飛行制御されるようになっている。
【0017】
図3は、飛行配送機20の電気的構成を示すブロック図である。図3に示すように、飛行配送機20は、制御部21、メモリ22、ブザー26、外部インタフェース27、電源部28、情報収集部29、飛行手段23、位置検出部24、および保持切替部25を備えている。制御部21は、飛行配送機20全体を制御する。制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、メモリ22とともに情報処理装置を構成している。なお、制御部21は、配送管理装置30からの指示に応じて飛行状態を制御するように機能する。メモリ22には、配送に関する各種処理等を実行するための所定のプログラムが制御部21により実行可能に予め格納されている。また、メモリ22には、後述する配送物Dのサイズや、配送先の住所などが記憶される。
【0018】
制御部21には、情報収集部29、飛行手段23、位置検出部24、保持切替部25、ブザー26、外部インタフェース27などが接続されている。また、飛行手段23、情報収集部29、位置検出部24、保持切替部25、ブザー26、および外部インタフェース27は、制御部21によって制御される構成をなしており、それぞれ、制御部21からの指令を受けて動作する。情報収集部29は、例えば安全に着地するために、外部の周辺情報を収集する。情報収集部29は、例えば、カメラなどで構成される。飛行手段23は、飛行配送機20の上昇、下降、前進、後進、ホバリング(空中停止)、旋回などの飛行状態を実現する公知の飛行手段であり、機体上部に設けられる複数の回転翼、これら回転翼に駆動力を伝達するモータなどによって構成されている。
【0019】
位置検出部24は、公知のGPS受信機などによって構成され、飛行配送機20の現在位置情報(例えば緯度及び経度の情報、或いは住所(所在地))を取得するように機能する。この位置検出部24は、例えば、図示しないGPS衛星からの情報を受信し、飛行配送機20の詳細な緯度及び経度を算出するように構成されている。保持切替部25は、例えば、機体下部に設けられる一対のアーム部として構成され、配送物Dを保持可能な保持状態(配送物Dを挟んだ状態)と配送物Dの保持が解除される保持解除状態(配送物Dから離間した状態)とに切り替え可能な構成となっている。
【0020】
外部インタフェース27は、配送管理装置30等の外部装置との間でネットワーク等を介してデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部21の情報送信部42と協働して通信処理を行う構成をなしている。すなわち、飛行配送機20は配送システム3と連携可能であり、配送システム3からの指令を受信することにより、配送計画に基づき配送を開始したり、一旦配送を開始した後でも、配送をキャンセルしたりすることが可能である。また、飛行配送機20には、電源部28が設けられており、この電源部28やバッテリ28aによって制御部21や各種電気部品に電力が供給されるようになっている。
【0021】
[配送管理装置30]
次に、配送管理装置30の電気的構成について、図4を参照して説明する。図4は、配送管理装置30の電気的構成を示すブロック図である。図4に示す配送管理装置30は、配送システム3における各種情報処理を行うホストコンピュータに相当し、飛行配送機20と通信可能となっている。また、配送管理装置30は、例えば販売店が取り扱う商品や商品が梱包された配送物Dなどを管理する管理センターに設けられ、インターネットを介してユーザ4との情報のやり取りを行い、ユーザ4から送信される商品の注文情報を管理するようになっている。また、監視システム2と、配達対象領域MAにおける情報のやり取りを行い、置き場確保通知などを受信する。
【0022】
この配送管理装置30は、図4に示すように、制御部31と、メモリ32と、操作部33と、表示部34と、外部インタフェース35とを備えている。制御部31は、CPU、ROM等を有して構成されるマイクロコンピュータである。かかるマイクロコンピュータのCPUが、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、配送対応決定部36や情報送受信部37として機能する。情報送受信部37は、「情報受信部」に相当する。メモリ32は、制御部31とともに情報処理装置を構成する。制御部31には、操作部33、表示部34、外部インタフェース35などが接続されている。操作部33は、制御部31に対して操作信号を与える構成をなしており、制御部31は、この操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行う。
【0023】
配送対応決定部36は、監視装置10が取得した配達対象領域MAの状態を示す情報を含む監視情報を利用して、配送物Dを配送する配送手段(本実施形態では飛行配送機20)の配送対応を決定する。配送対応とは、配送日時(配達対象領域MAへの配送物Dの到着時間)や、配送手段によって配送を開始する時間等の情報を含む。
【0024】
また、表示部34は、制御部31によって制御される構成をなしており、制御部31からの指令を受けて動作する。特に、表示部34は、液晶表示器や有機ELディスプレイなどの公知の表示装置によって構成され、制御部31による情報処理結果や配送管理装置30の動作状態などの各種情報を表示し得る構成となっている。また、外部インタフェース35は、飛行配送機20やユーザ4が所有する携帯電話端末41等の外部機器、および上記監視装置10との間でデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部31と協働して通信処理を行う構成をなしている。
【0025】
A2.監視システム2の処理について(待機モード処理):
次に、監視システム2の制御部11が実行する待機モード処理について説明する。待機モード処理とは、監視システム2が配送システム3から配達予定通知を受信しておらず、配送物Dの配送が開始される前の待機段階における処理である。なお、「配達予定通知」とは、配送物Dの配達予定日時および配送物Dのサイズに関する情報を含む通知である。
【0026】
図5は、監視システム2の制御部11が実行する待機モード処理の手順を示すフローチャートである。図5に示すように、待機モード処理が開始されると、まず、ステップ101(以下、ステップを「S」と省略する。)において、ウェイト処理が行われる。「ウェイト処理」とは、所定時間の待機を意味する。なお、以下に説明するフローチャート上の処理において、適宜「ウェイト処理」が出てくるが、各ウェイト処理における「所定時間」はいずれも同じでなくてもよく、その時点でのウェイト処理における最適な待機時間が適宜設定されるものである。S101でのウェイト処理は、例えば数時間~24時間程度に設定される。
【0027】
その後、S102において、配送管理装置30から、配送物Dの配達予定日時および配送物Dのサイズに関する通知、すなわち配達予定通知を受信したか否かが判断される。S102において、配達予定通知を受信した場合(S102:YES)には、S103に進み、配達対象領域MA内に配置可能領域PAがあるか否かが判定部17により判定される。一方、S102において、配達予定通知を受信していない場合(S102:NO)には、S101のウェイト処理へ戻る。
【0028】
S103において、配達対象領域MA内に配置可能領域PAがあると判定された場合(S103:YES)には、S104に進み、配送システム3(配送管理装置30)へ置き場確保通知が送信される。「置き場確保通知」とは、該当配送物Dを配置する置き場が確保されていることを示す通知である。なお、「置き場」は、「配置可能領域PA」と同じ領域を意味する。そして、S105において、待機モード処理を終了し、スペース監視モードへ移行する。スペース監視モード処理の詳細は後述する。
【0029】
一方、S103において、配達対象領域MA内に配置可能領域PAがないと判定された場合(S103:NO)には、S106に進み、ユーザ4に対して置き場確保依頼を送信する。この通知は、具体的には、監視装置10の表示部14に表示することにより行ってもよいし、ユーザ4が所有する携帯電話端末41等に送信することにより行ってもよい。通知後は、S107において、ウェイト処理が行われる。なお、このs107でのウェイト処理は、例えば、配送日時に対して例えば6時間前~12時間前までとなるように、設定される。配送がスタートしてしまうと、再配達の問題が生じるため、配送スタート前に、置き場確保通知を送信する必要があるためである。
【0030】
S107におけるウェイト処理後は、S108において、判定部17により、置き場が確保されたか否かが判定される。ここで、「置き場が確保された」とは、前述の「配達対象領域MA内に配置可能領域PAがある」と、同意味である。S107におけるウェイト処理の間に、通知を受けたユーザ4によって配達対象領域MA内の荷物がどかされて、配置可能領域PAがある状態となった場合には、S108において、判定部17により、置き場が確保されたと判断される。この場合(S108:YES)、S104に進み、配送システム3(配送管理装置30)へ置き場確保通知が送信される。
【0031】
一方、ユーザ4へ置き場を確保するように通知したにもかかわらず所定時間に配達対象領域MAが配送可能な状態に改善されない場合には、S108において、判定部17により、置き場が確保されなかったと判断され(S108:NO)、S109に進み、配送システム3(配送管理装置30)へ再配達依頼を送信する。その後は、S101に戻り、改めて再度の配達予定通知を受信するまで(S102:YES)、ウェイト処理が実行される。
【0032】
A3.監視システム2の処理について(スペース監視モード処理):
次に、監視システム2の制御部21が実行するスペース監視モード処理について説明する。スペース監視モードとは、配達対象領域MA内に配置可能領域PAがあると判定されて(S103:YES)、配送システム3(配送管理装置30)へ置き場確保通知が送信(S104)された後、実際に配送物Dが配送されるまでの間、確保されたスペースが失われていないかを監視し、もし失われている場合にはユーザ4への通知等の対応を取るための処理である。以下、詳細について説明する。
【0033】
図6は、監視システム2の制御部11が実行するスペース監視モード処理の手順を示すフローチャートである。図6に示すように、スペース監視モード処理が開始されると、まず、S201において、置き場監視がスタートされる。具体的には、撮像部15(デプスカメラ)により配達対象領域MAを撮像することにより監視する。次いで、S202において、配達対象領域MAに状態変化があるか否かが判定部17により判断される。配達対象領域MAに状態変化があると判定された場合(S202:YES)には、S203に進み、ユーザ4またはセキュリティ会社へ状態変化があった事を通知する。なお、ユーザ4とセキュリティ会社の両方に通知してもよいし、また、S203の処理自体を省略してもよい。一方、S202において、配達対象領域MAに状態変化がないと判定された場合(S202:NO)には、S201に戻り、監視が継続される。
【0034】
そして、S203においてユーザ4またはセキュリティ会社への通知が行われた後は、S204において、指定荷物配置指示または指定外荷物配置禁止指示が出される。「指定荷物」とは、ここで配送対象とされる配送物Dを意味する。「指定外荷物」とは、上記配送物D以外の荷物を意味する。このS204の処理では、具体的には、状態変化が配送物Dを配送する正規の飛行配送機20によるものであれば、指定荷物すなわち配送物Dを配置可能領域PAへ配置するように、例えば図示しないスピーカーにより音声で通知して指示する。
【0035】
一方、状態変化が、飛行配送機20以外の不審者を含む訪問者(以下、単に「配送外訪問者」という)によるものであれば、荷物等を配置可能領域PAへ配置しないように、例えば、図示しないスピーカーからアラート音を流す、または図示しない警告灯を点灯させる等により指示する。この処理の段階では、また配送物Dが配送されていないため、配置可能領域PAが失われることを防ぐためである。
【0036】
なお、状態変化が、飛行配送機20によるものか、配送外訪問者によるものであるか否かの判断は、例えば顔認証処理を含む画像認識等により行うことができ、その判断によりS204での処理が、指定荷物配置指示または指定外荷物配置禁止指示のいずれかに適宜選択される。また、例えば、ホームセキュリティ用の無線タグの保有の有無を、飛行配送機20が検出し、その結果に応じて、配送物Dの配送先のユーザ4か否かを判断してもよい。なお、このS204における「指定外荷物配置禁止指示」の処理が、監視システム2による、配達対象領域MAの周囲に対して、配置可能領域PAをなくさないように指示する処理に相当する。
【0037】
いずれかの指示が出された後は、S205において、ウェイト処理が行われる。このs205でのウェイト処理は、例えば、数分~15分程度の比較的短い時間に設定される。次に、S206において、配達完了通知を受信したか否かが判断される。配達完了通知とは、本実施形態では配送システム3(配送管理装置30)から送信されるものであり、配送物Dの配達が完了したことを知らせる通知である。配送管理装置30は、飛行配送機20の制御部21からの情報を受信することで、配達の完了を確認できる。配達完了通知を受信した場合には(S206:YES)、S207に進み、スペース監視モード処理を終了し、配送物監視モードへ移行する。
【0038】
一方、S206において、配達完了通知を受信しなかった場合には(S206:YES)、S208に進み、配置可能領域PAに相当する置き場が確保されているかが判定される。この処理の段階では、状態変化があったにも関わらず、その後のウェイト処理(S205)内に配達完了通知がなされていないため、状態変化は飛行配送機20の配達によるものではなく、配送外訪問者によるものと考えられる。よって、このS208における処理で、配送外訪問者によって例えば荷物が置かれることにより配置可能領域PAが失われたか否かを判断している。この判断は、判定部17により行うことができる。
【0039】
そして、S208において、置き場が確保されていると判定された場合には、S201に戻り、監視が継続される。一方、S208において、判定部17により、置き場が確保されていないと判定された場合には(S208:NO)、S209に進み、配送システム3へ再配達依頼を送信する。つまり、一旦、初めの配送計画はキャンセルされる。これは、置き場が確保されていないということは、配送外訪問者によって配置可能領域PAが失われたことが想定され、このままの状態で飛行配送機20が配送に訪れても、置き場がないので配送物Dを配置できないためである。そして、S209の後は、S210において、スペース監視モード処理を終了し、待機モード処理へ移行する。
【0040】
以上のように、監視システム2は、配達対象領域MAを監視し続けているため、配置可能領域PAが失われたときは、直ちに配送システム3側に情報を送信することができ、無駄な配達が行われることを回避できる。
【0041】
なお、S207における配送物監視モード処理は、配送物Dの配達が無事に完了した後に、監視システム2によって配送物Dを監視するための処理である。この監視モード処理では、例えば、状態変化を感知し、ユーザ4や不審者等を顔認証処理等により識別し、不審者の場合には、配送物Dが盗まれる前に警告したり、あるいは盗まれた後には速やかに監視システム2からセキュリティ会社へ通報したりするなどの処理が行われるようにしてもよい。
【0042】
なお、この監視モード処理では、監視装置10は配達対象領域MA内の状態変化があるか否かを監視し、状態変化があることが判断された場合、所定の報知を行うようにしてもよい。所定の報知とは、上記S203での通知と同様に、例えば、図示しないスピーカーからアラート音を流す、または図示しない警告灯を点灯させる等である。このように、認証が行われておらず許可されていない人物により配達対象領域MA内の状態変化があったことを、配達対象領域MA内で状態変化を行った人物に報知警告する。
【0043】
また、監視装置10は報知のタイミングで、通信手段を用いてユーザ4やセキュリティ会社等にアラートを送信してもよい。更に、スペース監視モード処理の最中に撮像部15により撮像した人物の画像をアラートとともに居住者やセキュリティ会社等に送信してもよい。このようにすることで、配送物Dの盗難等を抑制できる。
【0044】
A4.配送システム3の処理について:
次に、配送システム3の制御部31が実行する配送処理について説明する。図7は、配送システム3の制御部21,31が実行する配送処理の手順を示すフローチャートである。図7に示すように、配送処理が開始されると、まず、S301において、ウェイト処理が行われる。S301でのウェイト処理は、例えば数時間~24時間等に設定される。
【0045】
その後、S302において、ユーザ4からの注文を受信したか否かが判断される。S302において、S301でのウェイト処理の間に、ユーザ4からの注文(S401)を受信した場合(S302:YES)には、S303に進み、配送計画が立てられる。なお、注文の受信と併せて、配送物Dのサイズや重量、配送先の住所等の情報が取得される。配送計画では、例えば、商品を梱包し、配送手配が完了するまでを見込んだ上で、例えば、注文を受信した日から2,3日後に配送日を決定する。一方、S302において、ユーザ4からの注文を受信していない場合(S302:NO)には、S301のウェイト処理へ戻る。
【0046】
S303において配送計画が立案された後には、S304において、配送日時、荷物サイズを監視システム2(監視装置10)へ送信する。すなわち、配送システム3から監視システム2へ、配達予定通知が送信される。次に、S305において、ウェイト処理が行われる。このS305でのウェイト処理は、例えば、配送日時の6時間前~12時間前までの時間に設定される。配送がスタートしてしまうと、再配達の問題が生じるため、配送スタート前に、置き場確保通知を受信する必要があるためである。
【0047】
次に、S306において、置き場確保通知を受信したか否かが判断される。置き場確保通知を受信した場合には(S306:YES)、S307に進み、配送を開始する。なお、このS307での配送開始は、置き場確保通知を受信した後すぐに実行されるのではなく、配送日時まで該当配送物Dは待機状態とされ保管される。その間(S306からS307の間)、S209の再配達依頼を受信した場合には、配送計画は一旦キャンセルされ、S303の処理へ戻る。つまり、置き場確保通知を受信した後、不審者等により置き場が失われた場合には、S209における再配達依頼が送信されることにより、配送を直ちにストップすることができる。
【0048】
S307において配送が開始された後には、飛行配送機20は配送先に向けて出発し、S308において、配送物Dが配達置き場に配置される。また、配送が開始されてから、配送物Dが配達置き場に配置されるまでの間(S307からS308の間)に、S209の再配達依頼を受信した場合には、配送計画は一旦キャンセルされ、S303の処理へ戻る。S308の後には、S309において、配達完了通知を監視システム2に送信する。以上で、配送処理は終了する。上記説明したように、配送システム3(配送対応決定部36)は、S304において取得される配送物Dの大きさに対応したサイズ情報を含む配送物情報と、S306において取得される監視情報(置き場確保通知)とを用いて、飛行配送機20による配送対応を決定する。
【0049】
以上説明したセキュリティシステム1によれば、監視システム2のスペース監視モード処理により、常に置き場監視がなされているため、例えば飛行配送機20による配送が開始された後に、不審者等により置き場が失われた場合には、S209における再配達依頼が送信されることにより、配送を直ちにストップすることができる。
【0050】
A5.効果:
(1)以上説明したように、上記第1実施形態のセキュリティシステム1によれば、配送システム3が有する配送対応決定部36は、監視システム2が有する撮像部15において取得された監視情報を利用して、飛行配送機20による配送対応を決定できる。すなわち、配送システム3と監視システム2とが連携していることにより、監視システム2から送信される配達対象領域MAの状態に応じて、配送対応を決定することができる。
【0051】
このため、配達対象領域MAの状態が、例えば荷物などの障害物が多く存在しているために、配送物Dを置くことができない状態、すなわち配置可能領域PAがなない状態であれば、その状態が改善されるまで配送を待機する等の処理を行うことができる。すなわち、配送先に配送物Dが置けないことによる再配送を防ぎ、配送先に配送物Dを確実に配送することができる。
【0052】
(2)上記第1実施形態のセキュリティシステム1によれば、監視システム2は、スペース監視モード処理を実行することで、配達対象領域MAを常に監視し続けている。このため、配置可能領域PAが失われたときは、直ちに配送システム3側に情報を送信することができ、無駄な配達が行われることを回避できる。例えば配送が開始されたあとに、不審者等により配置可能領域PAが失われた場合であっても、S209における再配達依頼が送信されることにより、配送をストップすることができる。
【0053】
特に、配送手段である飛行配送機20としてドローンを利用する場合に、再配達を抑制する効果がシステム全体として大きな効果を奏する。ドローンは、自ら玄関前の荷物をどかしたり、ユーザ4の在不在を確認したりできないため、玄関前に既に荷物が置いてあるために配送物Dが置けない場合には、再配達をせざるを得なかった。また、ドローンは積載できる配送物Dの個数や重量も限られるため、1度の配送で配達が完了できないことのシステム全体としての時間ロスが大きく、再配達が頻繁に発生することが顕著な問題となっていた。
【0054】
その点、上記第1実施形態によれば、配送開始前に所謂置き配が可能か否かを判断し、置き配が可能な場合に配送が開始される。また、配送途中に配置可能領域PAが失われて置き配が不可となった場合であっても上記のように置き場が失われた時点で配送をストップできるため、効率的である。
【0055】
(3)上記第1実施形態のセキュリティシステム1によれば、S309において、配送システム3から監視システム2へ、配達完了通知を送信する。これにより、監視システム2側は、配置可能領域PAに置かれた配送物Dが、正規の配送物Dであることを認識できる。このため、監視システム2側において、配送物Dを置いた人物や配送物D自体の特定を、高度な画像解析等を用いて行う必要がない。すなわち、配送された物体が配送物Dであると認識するシステムを、監視システム2側で備える必要がなく、装置構成が簡単かつ処理も容易となる。なお、S309での送信処理は、例えば配送会社が実施するユーザ4への配達完了通知と併せて行うようにすれば、配送システム3側での負担も少ない。
【0056】
(4)上記第1実施形態のセキュリティシステム1によれば、S106において、ユーザ4に対して置き場確保依頼を送信する。この依頼により、通知を受けたユーザ4は、配達対象領域MA内の荷物をどかして配置可能領域PAを作ることができる。つまり、S103において、配置可能領域PAがないと判定された場合に、すぐに再配達とするのではなく、まず、ユーザ4へ置き場の改善を促し、それでも所定時間に改善されない場合にはじめて、S109において再配達依頼を送信することにより、なるべく配送計画を無駄にしない構成にできる。
【0057】
(5)上記第1実施形態のセキュリティシステム1によれば、配送物情報として配送物Dの大きさに対応したサイズ情報を含むため、サイズ情報に基づいて配達対象領域MA内に配置可能領域PAがあるか否かを判定することができる。すなわち、配送物Dのサイズが小さければ、配達対象領域MA内に仮に他の荷物が存在していても、該当の配送物Dが配置できるスペースさえあれば配置可能領域PAがあると判定することができる。例えば、一律に所定面積の空きスペースがある場合に配置可能領域PAがあると判定するような場合と比較して、サイズ情報に基づいて判定することで、判定の精度を向上させることができる。
【0058】
B.他の実施形態:
(B1)上記第1実施形態のセキュリティシステム1における配送手段は、飛行配送機20としたが、飛行配送機20でなくてもよい。例えば、移動ロボットや、配達人であってもよい。配達人の場合には、S309における配達完了通知の送信を配達人自身が、配送システム3と情報通信可能な携帯電話端末等を操作することにより行ってもよい。
【0059】
(B2)上記第1実施形態のセキュリティシステム1では、監視システム2が判定部17を有するものとしたが、配送システム3が判定部17を有するものとし、配送システム3において配置可能領域PAがあるか否かの判断が実行されてもよい。すなわち、配送システム3(配送管理装置30)は、監視システム2から監視情報として例えば撮像画像を受信し、受信した監視情報に基づいて時系列の認証比較による判定を実行してもよい。また、監視情報の受信は、常時または所定のタイミングで行ってもよいし、S303において配送計画を立案した後に、監視システム2へ監視情報を送信するように要求することにより受信してもよい。
【0060】
(B3)上記第1実施形態のセキュリティシステム1では、監視装置10が備える撮像部15は、カラーフィルタを搭載した距離画像カメラとしたが、配達対象領域MA内の状態変化を監視できればよく、レーザセンサでもよい。
【0061】
(B4)上記第1実施形態のセキュリティシステム1において、スペース監視モード処理におけるS202では、配達対象領域MA全体において状態変化があるか否かを判断したが、スペース監視モード処理において、荷物サイズに対応した配置可能領域PAのみを監視するようにしてもよい。最低限、配送物Dの配置予定のエリアである配置可能領域PAが監視されていれば、配達対象領域MA内の配置可能領域PA以外のその他の領域が失われても配達が可能なためである。
【0062】
(B5)上記第1実施形態のセキュリティシステム1において、配達対象領域MAは、配送先であるユーザ4の玄関扉DRの屋外周辺としたが、この場所に限られず、例えば、ユーザ4の希望により予め設定されたベランダ等の場所であってもよい。
【0063】
C.付記:
上記実施の形態から把握できる技術的思想について、以下に記載する。
(請求項1)
配送手段を用いて配達対象領域に配送物を配送する配送システムと、前記配達対象領域を監視する監視システムと、を備え、前記配送システムおよび前記監視システムが相互に情報通信可能に構成されたセキュリティシステムであって、
前記監視システムは、
前記配達対象領域を監視する監視部と、前記監視部により得られる前記配達対象領域の状態を示す情報を含む監視情報を前記配送システムへ送信する情報送信部と、を含み、
前記配送システムは、
前記監視システムから送信される前記監視情報を受信する情報受信部と、
前記配送手段に搭載される前記配送物の配送物情報と前記監視情報とを用いて、前記配送手段による配送対応を決定する配送対応決定部と、
を備える、セキュリティシステム。
(請求項2)
前記配達対象領域内に前記配送物を配置可能な配置可能領域があるか否かを判定する判定部を備え、
前記配送対応決定部は、前記判定部による前記配達対象領域内に前記配置可能領域があるか否かの判定の結果に基づいて、前記配送対応を決定する、請求項1に記載のセキュリティシステム。
(請求項3)
前記判定部により、前記配達対象領域内に前記配置可能領域があると判定された場合に、
前記配送対応決定部は、前記配送手段により配送を開始するように前記配送対応を決定する、請求項2に記載のセキュリティシステム。
(請求項4)
前記監視システムは、前記判定部を有し、
前記判定部により、前記配達対象領域内に前記配置可能領域があると判定された場合に、
前記監視システムは、前記配送システムに対して前記配送物の置き場が確保されたことを示す置き場確保通知を送信し、
前記配送対応決定部は、前記置き場確保通知を受信した後に前記配送手段により配送を開始するように前記配送対応を決定する、請求項3に記載のセキュリティシステム。
(請求項5)
前記判定部により、前記配達対象領域内に前記配置可能領域がないと判定された場合に、
前記監視システムまたは前記配送システムは、ユーザに対して前記配送物の置き場を確保するように要求する置き場確保依頼を通知する、請求項2~請求項4のうちいずれか一項に記載のセキュリティシステム。
(請求項6)
前記判定部は、前記配置可能領域があると判定した後に、前記配達対象領域内の状態変化があるか否かを判定する機能をさらに有し、
前記判定部により、前記配達対象領域内に前記状態変化があると判定された場合に、
前記監視システムは、前記配達対象領域の周囲に対して、前記配置可能領域をなくさないように指示する請求項2~請求項5のうちいずれか一項に記載のセキュリティシステム。
(請求項7)
前記配送物情報は、前記配送物の大きさに対応したサイズ情報を含み、
前記判定部は、前記サイズ情報に基づいて前記配達対象領域内に前記配置可能領域があるか否かを判定する請求項2~請求項6のうちいずれか一項に記載のセキュリティシステム。
(請求項8)
前記配送手段による前記配達対象領域への前記配送物の配達が完了したときに、
前記配送システムは、前記監視システムに対して、前記配送物の配達が完了したことを示す配達完了通知を送信する、請求項1~請求項7のうちいずれか一項に記載のセキュリティシステム。
(請求項9)
前記配送手段は、遠隔操作される無人自律飛行移動体である請求項1~請求項8のうちいずれか一項に記載のセキュリティシステム。
【0064】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した形態中の技術的特徴に対応する各実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1…セキュリティシステム、2…監視システム、3…配送システム、4…ユーザ、10…監視装置、11…制御部、12…メモリ、13…操作部、14…表示部、15…撮像部(監視部)、16…外部インタフェース、17…判定部、18…情報送受信部(情報送信部)、20…飛行配送機(配送手段)、21…制御部、22…メモリ、23…飛行手段、24…位置検出部、25…保持切替部、26…ブザー、27…外部インタフェース、28…電源部、28a…バッテリ、29…情報収集部、30…配送管理装置、31…制御部、32…メモリ、33…操作部、34…表示部、35…外部インタフェース、36…配送対応決定部、37…情報送受信部(情報受信部)、41…携帯電話端末、42…情報送受信部、51…制御部、D…配送物、DR…玄関扉、MA…配達対象領域、PA…配置可能領域
図1
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図6
図7