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特開2023-131906金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法及びその表示プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131906
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法及びその表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/04 20120101AFI20230914BHJP
【FI】
G06Q40/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036916
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】522096651
【氏名又は名称】モダルポイント株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522096662
【氏名又は名称】安藤 剛
(71)【出願人】
【識別番号】522096673
【氏名又は名称】タン ウイピン
(74)【代理人】
【識別番号】100090044
【弁理士】
【氏名又は名称】大滝 均
(72)【発明者】
【氏名】タン ウイピン
(72)【発明者】
【氏名】安藤 剛
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB52
(57)【要約】
【課題】
金融商品等の取引における取引量、時間軸単位及び取引回数に基づき、「モダルポイント」、「活発領域」、「極ヒゲ」を既存のチャート表示に重ねたチャート表示をする。
【解決手段】
金融商品取引における単位時間内の最多頻度の価格に基づきモダルポイント、金融商品取引における同単位時間内の始値及び/又は終値に基づく活発領域、金融商品取引における最安値及び/又は最高値に基づく極ひげを決定し、モダルポイントを従来バーの中央軸上の中央に、活発領域を、従来バーの中心軸に始値及び終値で囲む所定幅長方形状で、極ひげを従来バーの中心軸の最安値および又は最安値の両端及び/又は一方の単端に幅広線で重ね表示する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネット等ネットワーク回線に接続された金融商品等取引市場から市場要素を取得する少なくともチャートプログラム及びこれを実行する中央演算装置を有するバー表示システムにおいて、
金融商品取引における単位時間内の最多頻度の価格に基づきモダルポイントとして決定し、金融商品取引における同単位時間内の始値及び/又は終値に基づく領域を活発領域として決定し、金融商品取引における最安値及び/又は最高値に基づく極ひげを決定し、モダルポイントについては、金融商品取引表示に従来から使用される従来バーの中央軸上の中央に重ね表示し、活発領域については、従来バーの中心軸に始値及び終値で囲む所定幅長方形状に重ね表示し、極ひげについては、を従来バーの中心軸の最安値および又は最安値の両端及び/又は一方の単端に幅広線で重ね表示することを特徴とする金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法。
【請求項2】
モダルポイントが、以下の式に基づく加重平均により求めるものであることを特徴とする請求項1に記載の金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法
MP=(50%MPv+25%MPt+25%MPc)/100%
ここに、「MPv」は、最多取引高価格を、「MPt」は、最多時間軸単位価格を、「MPc」は、最多取引回数価格である。
【請求項3】
活発領域が全取引活動中の平均価格±全取引価格の第一標準偏差定数で求められることを特徴とする請求項1に記載の金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法。
【請求項4】
モダルポイントは、従来のバー表示のバーの仮想軸(高値と安値を結ぶ仮想線)上の丸印又は小さな点として、「活発領域」は、従来のバー表示のバーの中心軸(高値と安値を繋ぐ線)の周りを対称的に取り囲むような長方形で、極ヒゲは、同仮想軸上に区別できる明確な色又は太線として従来バー表示に重ねて表示されることを特徴とする請求項1に記載の金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法。
【請求項5】
従来バーチャートに重ねて画面表示されるモダルポイント、活発領域、極ひげは、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット端末、スマートホン等のデジタル機器で作動するプログラムあることを特徴とする請求項1ないし請求項4に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、金融商品又は商品相場取引における市場動向の重要要素を既存のチャート表示と共に金融商品の取引時間単位内の取引指標たるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法及びその表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の金融商品や株式相場を扱うチャート、例えば、バーチャート(金融商品等の単位取引時間内の高値と安値を引いた線で表して、始値と終値を横棒で示した表示)や日本のローソク足チャート(同単位時間内の相場を始値、高値、安値、終値の四本値を用いて一本の棒状の端を生成し、形状がローソクのよう形状になる表示)においては、特定の時間間隔で金融商品(株式、指数、通貨、暗号資産など)の取引する始値、高値、安値、終値が表示され、これらの四本値価格の時系列分析に基づいてトレーダーやアナリストたちが将来の価格変動を予測する手段として最もよく使用され、金融商品等の市場における各価格を時間毎に表示するようにしたものである。
【0003】
図15Aは、従来のバーチャートのバーを示す図であり、図15B(I)(II)は、従来の日本のローソク足チャートのバーを示す図であり、始値位置と終値位置が逆位置であることを明らかにするために、図15B(I)(II)と分けて示している。
図15A及び図15B(I)(II)に示されるように、各バーには、市場における対象とする金融商品の「始値」、「終値」、「高値」、「安値」が示され、特定の時間における金融商品市場の状況が瞬時に分かるように表示されている。ここで、「始値」とは、金融商品の市場開始時の「値」、「終値」は、市場終了時の「値」、「高値」は、所定時間内(例えば、情報収集時間内の)最も「高い値」、「安値」は、同最も「安い値」である。
【0004】
この種の金融商品等のチャート表示に関しては、例えば、(1)特表2012-527060号公報(発明名称「自然ローソク足ホログラフィックの数学モデル応用と証券テクニカル分析におけるその応用」)、(2)特開2013-058104号公報(発明名称「時間軸を軌道として売買ポイントを判断するために用いるプログラム及び装置」)、(3)特開2019-003236号公報(発明名称「チャート生成プログラムおよびチャート生成システム」)、(4)特許6732309号公報(発明名称「情報処理装置、情報処理方法、および、情報処理プログラム」)、(5)特許6815051号公報(発明名称「売買支援装置」)等に開示のものが知られている。
【0005】
上記の(1)特表2012-527060号公報、(2)特開2013-058104号公報、(3)特開2019-003236号公報、(4)特許6732309号公報、(5)特許6815051号公報等の開示をはじめとする従来の金融商品取引のおけるチャートは、基本的には上述するように価格と時間に基づいて市場状況を表示するものであり、ある銘柄の一定時間の始値、高値、安値、終値の四本値を軸にしたチャート表示が一般的となっている。
しかしながら、実際の市場参加者になって市場を観察すると体験できるが、一定時間の最も取引の多かった価格や最も取引回数の多かった価格が将来的に相場の攻防の大事な分岐点になることはしばしば観察でき、また、一定時間の高値、安値も取引高を伴って価格が出合う場合と、しばし損切り局面などに見られるように、非常に出来高の少ない状況で取引が成立するような場合も観察できるものの上述の四本値だけでは表しきれない重要な要素が多く存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2012-527060号公報
【特許文献2】特開2013-058104号公報
【特許文献3】特開2019-003236号公報
【特許文献4】特許6732309号公報
【特許文献5】特許6815051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本願発明においては、金融商品等の取引において、上述の従来の四本値だけでは表しきれない重要な要素として、三つの要素(取引量、時間軸単位、取引回数)を同時に算出し、その値を元に最も重要な価格要素として「モダルポイント」を導き出し、加えて、統計的に重要な価格帯「活発領域」を特定し、さらには一時的な騙しとなるような極端な値動きをした水準「極ヒゲ」など、実際の相場動向の観察において重要な要素を、既存のチャートに合わせて同時に一覧できるチャート表示とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本願請求項1に係る発明は、インターネット等ネットワーク回線に接続された金融商品等取引市場から市場要素を取得する少なくともチャートプログラム及びこれを実行する中央演算装置を有するバー表示システムにおいて、金融商品取引における単位時間内の最多頻度の価格に基づきモダルポイントとして決定し、金融商品取引における同単位時間内の始値及び/又は終値に基づく領域を活発領域として決定し、金融商品取引における最安値及び/又は最高値に基づく極ひげを決定し、モダルポイントについては、金融商品取引表示に従来から使用される従来バーの中央軸上の中央に重ね表示し、活発領域については、従来バーの中心軸に始値及び終値で囲む所定幅長方形状に重ね表示し、極ひげについては、を従来バーの中心軸の最安値および又は最安値の両端及び/又は一方の単端に幅広線で重ね表示することを特徴とする金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法。
また、本願請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載の金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法において、モダルポイントが、以下の式に基づく加重平均により求めるものであることを特徴とする
MP=(50%MPv+25%MPt+25%MPc)/100%
ここに、「MPv」は、最多取引高価格を、「MPt」は、最多時間軸単位価格を、「MPc」は、最多取引回数価格である。
さらに、本願請求項3に係る発明は、請求項1に記載の金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法において、活発領域が全取引活動中の平均価格±取引価格の第一標準偏差定数で求められることを特徴とする。
そして、本願請求項4に係る発明は、前記請求項1に記載の金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法において、モダルポイントは、従来のバー表示のバーの仮想軸(高値と安値を結ぶ仮想線)上の丸印又は小さな点として、「活発領域」は、従来のバー表示のバーの中心軸(高値と安値を繋ぐ線)の周りを対称的に取り囲むような長方形で、極ヒゲは、同仮想軸上に区別できる明確な色又は太線として従来バー表示に重ねて表示されることを特徴とする。
また、本願請求項5に係る発明は、請求項1ないし請求項4に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法において、従来バーチャートに重ねて画面表示されるモダルポイント、活発領域、極ひげは、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット端末、スマートホン等のデジタル機器で作動するプログラムあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記の構成としたので、本発明に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法による表示を見る利用者は、金融商品取引市場における動向を瞬時に把握することができ、取引を円滑かつ容易に行うことができることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法及びその表示プログラムの一実施例である金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法及びその表示プログラムの基本的システム構成に係る実施例1を示す図である。
図2図2は、図1に示す本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法において、利用者11からのチャート要求12を受け取った後の市場内要素を計算し、「モダルポイント」、「活発領域」、「極ひげ」を計算するプロセスを示すチャートプログラム3のフロー図である。
図3図3A図3Bは、取引日のうちの特定の時間(9:00に開き、13:00に閉じる)の各15分毎(よりキメの細かな相場動向把握のためには時間軸単位を5分まで短く設定しても良い。)の価格データを4時間の頻度分布図を作成する例示的な実施形態を示す図である。
図4図4は、金融商品の取引の出現頻度に基づき、最も高い頻度の価格を「モダルポイント」として指標表示し、モダルポイントを中心として活発に取引された価格帯を統計的に算出した領域を「活発領域」とし、また、それぞれ高値・安値を外れる頻度を「極ひげ」として指標表示するものであり、これらを従来のバーチャートに重ねて表示する概要を示したものである。
図5図5Aは、ある単位時間内の特定の価格について、どの程度の取引高があったかを示す「価格ー取引高データ表」であり、図5Bは、このデータに基づいてその分布を示す頻度分布図である。
図6図6は、図1に示す本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法おいて、利用者11からチャート要求12が出された時のプロセスを示すチャートプログラム3のフロー図である。
図7図7A図7Bは、本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法おいて、従来バーチャートに重ね表示された表示例を示す図である。
図8】実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法おける表示の変形例を示す図である。
図9】同
図10】同
図11】同
図12図12は、本実施例2に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法において、標準偏差に基づいて「活発領域」を決定するための表である。
図13図13は、活発比率を決定して、「活発領域」を計算するプロセスを示すフロー図である。
図14図14は、システム内を更新するプロセスのフロー図である。
図15図15Aは、従来のバーチャートのバーを示す図であり、図15B(I)(II)は、従来の日本のローソク足チャートのバーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法及びその表示プログラムを実施するための形態として一実施例を図面に基づき詳細に説明する。
【実施例0012】
図1は、本発明に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法及びその表示プログラムの一実施例である金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法及びその表示プログラムの基本的システム構成に係る実施例1を示す図であり、データ取得から利用者11の利用までの全体的なプロセスの流れに対応して表している。
【0013】
図1において、符号1は、中央演算装置、符号2は、必要なデータを蓄積保存するデータベース、符号3は、チャート表示を実現するチャートプログラム、4は、当該中央演算装置1に接続され、市場のロイター、ブルームバーグ、日経クイック、暗号資産取引所等の諸情報を提供するデータベンダー5との間でチャート要求6及びデータ受信7をそれぞれ行うデーターインターフェース4、符号8は、当該中央演算装置1との間でチャート要求9及びチャート受信10)を行い、また、利用者11との間でチャート要求12及びデータ送信13を行うユーザーインターフェース8である。
【0014】
図1から明らかなように、本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法においては、前記データインターフェース4を介してデーターベンダー5から常時又はチャート要求6に応じてデータ受信7を行い、それらの情報を中央演算装置1のデーターベース2に蓄積、保存し、しかる後、データーベース2の情報を適宜読み込み、後述する所定の処理を行い、その結果をもデータベース2に蓄積・保存するようにするものである。
【0015】
(頻度分布に基づく「モダルポイント」、「活発領域」、「極ひげ」の計算)
次に、本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法において、従来の四本値チャート表示だけでは表しきれない重要な要素を「モダルポイント」、「活発領域」、「極ひげ」として、「取引量」、「時間軸単位」、「取引回数」の3つの要素から同時に算出し、その値を「モダルポイント」、「活発領域」、「極ヒゲ」として表示するための計算について説明する。
なお、本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法における「モダルポイント」、「活発領域」、「極ひげ」は、次のように定義される。
【0016】
本願発明は、上述するように、金融商品等の取引における三つの重要な最多価格(取引量、時間軸単位、取引回数)を同時に算出し、その値を元に最も重要な価格として「モダルポイント」、「活発領域」、「極ひげ」を既存のチャートに合わせてチャート表示することを目的とするものだからである。
【0017】
ここに、「モダル」とは、一般的にあるシステムにおいてユーザーに注意を促したり、選択肢を提示するポップアップを指し、「モダルポイント(以下「MP」とも称する)」とは、価格ー時間チャート上で、それぞれのバーに対して最も取引量の多い価格を最多取引回数価格に基づいて算出し、さらに時間軸と取引回数を考慮してより実践的に重要になりえる少なくとも1つの価格レベルを特定し、利用者に対して相場判断に重要な価格であることの注意を促すための、画面上にポップアップする表示をいい、「活発領域(以下「アクティブレンジ「AR」とも称する)」とは、頻度数正規分布の第一標準偏差の範囲を統計的に活発に取引のあった価格帯をいう。本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法においては、例えば、統計用語で正規分布の第一標準偏差=68.27%を「活発比率」とし、全ての値動きは時間軸単位で頻度数に置き換え、その頻度数の個数が平均値を中心として総度数の68.27%の個数(切り上げた整数値)に収まっている価格幅をいう。
標準偏差の手法を用いて連続した価格帯を見つけることによって、市場取引の重要な四本値の外にその中の活発で有用な価格帯情報を特定することができるからである。
【0018】
また、「極ヒゲ(以下「GH」とも称する)」とは、一般的に、単位時間内の「高値」近辺と「安値」近辺の上下又は上下の片方に出現する極端な値動き価格を指標として表示するものをいう。相場の高値、安値近辺で極端な取引活動を含むバーの両端にある連続した価格帯を特定することはとても重要であり、バーの高値あるいは安値付近で、時間または量のいずれかにおいて、当該価格が統計的範囲の中でどの程度の動きをするかがわかることで、その近辺でのレジスタンスあるいはサポートが重要な意味を持つかどうかを判別する指標(例えば、極めて取引高が少ないにも関わらず、一時的に大きく高値あるいは安値の取引が起きた時に、そのことが明示される。)として重要要素となるからである。
【0019】
図2は、図1に示す本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法において、利用者11からのチャート要求12を受け取った後の市場内要素を計算し、「モダルポイント」、「活発領域」、「極ひげ」を計算するプロセスを示すチャートプログラム3のフロー図である。
【0020】
図2においては、利用者11からチャート要求12が出されると、チャートプログラム3により、「モダルポイント」、「活発領域」、「極ひげ」を計算するプロセスが「開始」され(ステップ1)、「データベース2に蓄積されているパラメーターファイルから時間及び取引などのパラメーターを取得」し(ステップ2)、これらの時間と取引高のパラメーターに基づく「データベース2に蓄積されている取引などの時間軸単位の値に基づいて、「頻度分布図を作成(描画)」し(ステップ3)、作成(描画された)「頻度分布図」に基づいて、後に詳述するように、「(活発領域・モダルポイント・極ひげ)」を計算し(ステップ4)、それらの計算後、当該プロセスは終了する(ステップ5)からなるプロセスを示している。
【0021】
本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法においては、このプロセスにおける時間軸単位の値は5分単位で詳細に解析する仕様としている。例えば、市場における「時間及び取引高」などは5分を1単位時間としてデータべース2に蓄積する。そして、図2のステップ2に示す「パラメーター」は、利用者11の要望等により様々な値、例えば、市場における「時間及び取引高」などのデータべース2に蓄積される数値をいい、ステップ3に示す「頻度分布図」における「頻度分布」とは、単位時間別あるいは取引高別の2つの方法による「取引高」の出現頻度をいう。
【0022】
(「頻度分布図」の作成)
本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法における「頻度分布図」の作成を説明する。
上述してきた「モダルポイント」、「活発領域」、「極ひげ」の算定は、その前提として取引における取引頻度の「頻度分布」が重要要素となる。なぜならば、利用者11は、市場における取引頻度に基づくモダルポイント・活発領域・極ひげの表示を見れば、瞬時に当該時間の市場の状況が把握できるからである。
なお、本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法においては、「モダルポイント」、「活発領域」、「極ひげ」の3要素は、取引市場における「時間別」あるいは「取引高別」の2つの方法による「取引高」の出現頻度により求めても良い。
【0023】
図3A図3Bは、取引日のうちの特定の時間(9:00に開き、13:00に閉じる)の各15分毎(よりキメの細かな相場動向把握のためには時間軸単位を5分まで短く設定できる。)の価格データを4時間の頻度分布図を作成する例示的な状況を示しており、図3Aは、9時~13時までの15分間隔ごとの高値-安値を示す「価格-時間データ」を示す表であり、図3Bは、それを頻度分布表として示したものである。
【0024】
図3Aに示す「価格-時間データ」表の左端は、午前9時から始まる15分毎の時間帯を、左端から2番目は、それらの時間帯における「高値」を、左端から3番目は、「安値」を,右端の「TBU(Time Base Unit)」は、単位価格毎の時間軸価格であり(図3A図3Bにおいては、50円を単位基準として検討しており、図3Bにおいては、その取引を「X」で表示する)、当該時間帯における取引価格の頻度回数であり、図3Bは、図3Aに示されるデータを「頻度分布図」として表示したものである。
【0025】
すなわち、図3A及び図3Bにおいては、単位価格50(円)とした場合の9:00-9:15に対応する最初の基本バーには、2000円(安値)、2050円(中値)、2100円(高値)の取引があり、それらの2000円(安値)、2050円(中値)、2100円(高値)が、図3Bにおいて、それぞれに時間軸単位(「X」)がマークされ、その3つの時間軸単位が、図3Aの左端の「時間軸価格(TBU)」に数値「3」として表示され、そして、図3Bにおいては、左端の50円を単位とする取引価格毎に、最下端に表示される9:00-9:15間に2100円(高値)、2050円(中値)、2000円(安値)の各価格が一つづつ存在し、これらの各時間軸価格(「X」)が各15分の間にそれぞれ取引され、図3Bの頻度分布表の右端にその頻度数値である価格ごとの時間軸単位の数とその平均値(AVG=5.5)であることを示している。
【0026】
図4は、金融商品の取引の出現頻度(価格「2350円」の頻度「3」から最高頻度「14」)に基づき、最も頻度出現の多い領域を「活発領域」とし、最も高い頻度「14」の価格「2350円」を「モダルポイント」とし、また、それぞれ高値・安値を外れる頻度(例えば、頻度「1」)を「極ひげ」として、指標表示のために決定するものであり、これらを従来のバーチャートに重ねて表示する概要を示したものである。
【0027】
なお、上述してきた「モダルポイント」の算出においては、時間と取引高の関係が最も市場に影響力がある価格であることから、本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法においては、最多取引高価格を「主」として表示するようにしているが、実際の市場では一部の大口取引の実行によって極端な取引高になるケースもありうることであり、こうした状況を補正するために、基準となる時間軸単位で判断した最多単位価格と最多取引回数価格を「副」として、以下のような割合で加重平均したものを「モダルポイント」として算出しても良いものである。
【0028】
すなわち、(a)時間と取引高の分布から測定された価格(最多取引高価格)、(b)時間軸単位で計測される単位数分布の模様を個別に数値化して測定した最も時間軸単位で取引の多い価格(最多時間軸単位価格)、さらに、(c)最も取引回数の多い価格(最多取引回数価格)の3つを市場における重要な価格とし、これらの重要な価格に基づいて算出されるた価格を下記式1で示される「モダルポイント(MP)」としたものである。
【0029】
(数1)
MP=(50%MPv+25%MPt+25%MPc)/100% ・・数式1
【0030】
ここに、「MPv」は、取引高ベースの最多価格、すなわち、最多取引高価格を、「MPt」は、時間軸単位でみた最多価格、すなわち、最多時間軸単位価格を、「MPc」は、取引回数でみた最多価格、すなわち、最多取引回数価格である。
換言すれば、上述する式1は、「最多取引高価格」、「最多時間軸単位価格」、「最多取引回数価格」を所定の比率「最多取引高価格(50%)、最多時間軸単位価格(25%)、最多取引回数価格(25%)」で加算することが特徴であり、このような加算により、取引高が不明な金融商品(相対取引が主流の為替相場など)のような取引高価格や取引回数価格が不明な場合でも、当該式1によれば、値動きデータさえ入手できれば、時間軸単位を元に最多単位価格に基づいたモダルポイントを算出することができることとなる。
【0031】
これは、相対取引などのケースの場合には、取引高や回数の計測がでないが、通常の一定の取引が行われる銘柄については、その価格の取引「滞在」時間と取引高の量はかなり高い相関関係にあり、実際には、相対取引で最多取引価格を観測する場合にはユーザーが画面で値動きと滞在時間を見て取引が多い価格帯としてメモしておいて記録を残すことが現在でも行われる実情がある。このため、こうした時間と値動きのデータさえあれば計算出来るので、実際に為替相場の相場予測においてかなり有効に機能することとなるからである。
【0032】
このことは、最近では暗号資産取引のようなデジタルでオンライン主流のネット取引が誕生し、今後の主流になると予想されるので、さらに複数の要因を折り込むことができ、最多取引高価格を「主」とし、基準となる時間軸単位で判断した最多単位価格と最多取引回数価格を「副」として補正した加重平均したものをモダルポイントとして算出できることとなるからである。
上記式1が示すように、実際の取引において重要な内容を反映した基準価格をモダルポイントとして算定する仕組みとして、「モダルポイント」を従来のチャートに関連付けて表示し、従来のチャートに新しい視点を盛り込んだ新しいテクニカル分析を提供している。
【0033】
(「活発領域」の決定)
次に、本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法における「活発領域」の決定について説明する。
「活発領域」とは、上述するように、「実態のある活発に取引された少なくとも1つの連続する重要な価格帯において、市場取引の重要な四本値(始値、高値、安値、終値)の中での活発で有用な価格帯情報を特定することができる領域」であるが、この「活発領域」の決定は次のようにして決定される。
【0034】
図3ABにおける各時間軸単位は、特定の価格に対する頻度の単位(時間或いは取引高)を表され、したがって、図3ABに示される頻度分布図3、それぞれが個別の価格を表す単位の母集団の集まりということができるので、本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法においては、単位価格の母集団の平均及び標準偏差を計算するようにしたものである。
【0035】
つまり、活発領域を(全取引活動の平均±全取引価格の第一標準偏差定数)の値として定義し(定数は、デフォルト値1として事前定義すると、デフォルトによる活発領域は、バー上の価格の範囲を表すこととなり、時間あるいは取引高のいずれかから全取引活動の68.27%(第1標準偏差)を含むこととなる。)、そこで、一時的な急激な動きやいわゆる騙しを排除するために、図2に示す「パラメーターファイルからパラメーターを取得」(ステップ2)により定数値を読み取ると、その値に基づく「活発領域」は、「@±Ω」に等しく、該当する金融商品の単位と参照しながら68%の近似値で算出される(「@」は、「平均値」、「Ω」は、「第1標準偏差」であり、該当する金融商品の単位を参照しつつ第1標準偏差(68.27%)で算出されることを示す式である。)。ここから、「活発領域」は、概ね取引の68.27%(正規分布の第一標準偏差)を占めているので、バー間隔を通して利用者が取得したいと思う重要な価格範囲に絞り込まれることとなり、より公正な価格範囲と推測できることとなり、適切な「活発領域」を決定することができることとなる。
【0036】
なお、「活発領域」の計算の変形例として、平均価格の代わりに、最頻値あるいは中央値を用いる標準偏差の概念を取り入れて計算するによる計算としても良い。これらも「パラメーター」として事前に設定することが可能である。
これらを具体的に示すと、図3ABに示す「頻度分布図」の右端から2列目の最下端に示される単位数の総数は「93」であり、その68.27%の端数を切り上げた整数「64」を求める。図3ABに示すこの数値に基づき、本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法において、「活発領域」を計算するには、図13に示すようなフローとなる。
【0037】
すなわち、「活発比率を選択し、頻度分布図の単位総数を掛けて、その結果をXで表示(300)」(ステップ21)の結果の「X」の値は64となる。
次に、「平均値を含めてサンプルを作成(310)」(ステップ22)すると、まず平均値は図12にある様2118円である。これに最も近い価格帯は図3ABの価格「2100円」である。そこが起点となり、最初の単位数は14となる。
【0038】
そして、次に、「サンプルの上(P1)下(P2)の価格帯領域を確認」を実行すると(ステップ23)、図3Bに示す価格「2150」及び価格「2050」が,これらの単位数を比較して加えて「64」以内に収まっているかを判断する。次いで、「P1の時間軸単位数>P2比較」でどちらの値がより多くの単位数を持つかが比較される(ステップ24)。
【0039】
図3Bに示すように、価格「2150」が価格「2050」より単位数が多いため(13対12)、単位数が大きい場合(「YES」の場合)には、「P1をサンプルに入れる」に進み、(P1=2100)の値「14」を入れ(ステップ25)、同時に、「(P2=2150)の値「13」を入れる」(ステップ26)。そうすると、合計単位数「27」となり、この合計単位数「27」に基づいて、「サンプルの時間軸単位>=X判断(360)」が実行され(ステップ27)、その結果、サンプルには、64より少ない27の単位数しか含まれない場合には、「サンプルの上(P1)下(P2)の価格帯領域を確認」(ステップ23)に戻り、その後ステップ24等の手順が実行されることとなる。
【0040】
そして、母集団の単位数の総数の68.27%の切り上げ後整数値に当たるサンプル単位数「64」以上に大きくなると、「サンプルの領域内の価格が活発領域となる」と判断し(ステップ28)、この結果、合計単位が64<69となる時点で「活発領域」決定のフローは終了する
【0041】
(「モダルポイント」の決定)
次に、本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法における「モルダルポイント(MP)」の決定について説明する。
本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法における「モルダルポイント(MP)」は、単位時間内の「価格ー取引高データ」に基づいて決定する。
【0042】
図5Aは、ある単位時間内の特定の価格について、どの程度の取引高があったかを示す「価格ー取引高データ表」であり、図5Bは、このデータに基づいてその分布を示す頻度分布図である。ここで、「価格」とは、単位時間内で取引される各「価格」を意味し、「取引高」とは、当該価格における取引額合計(価格x取引数(頻度))をいう。すなわち、図5Aでは、価格1650円から50円毎の価格差で2500円までの各価格における取引高を示し、図5Aにおいては、価格2100円において、その価格での最多の取引高が22000円であることを示している。そして、これに基づいて、図5ABが示すように、各価格での取引頻度を「X」で示している。図5Bに示すように、最も頻度の高い価格2100円を「モダルポイント(MP)」として決定する。
なお、図5Bに示す例において、「高値」及び「安値」の最も少ない頻度(図5Bでは、1750円の安値の頻度と、2500円の高値の頻度)で示されるのが、後述する「極ひげ」であり、その決定についても後述する。
【0043】
本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法においては、「モルダルポイント(MP)」を「価格ー取引高」に基づいて決定するようにしたが、前述する「活発領域」と同様に図3Bに示す頻度分布図から求めて決定しても良い。すなわち、図3Bに示すように、左端の価格軸を横に見た場合、例えば、価格2100円においては、一番多くの取引単位を呈している。仮に、この価格、2100円を「最多時間軸単位価格(MPt)」と称するとすると、通常の取引状況では、単位時間内で算定される「最多時間軸単位価格(MPt)」は、単位時間内の取引高で算定されるものに近似することが経験上知りうる。これは、市場が特定の価格に長くとどまるほど、自然とその地点での取引量が増えることになるからである。
【0044】
ただし、例外的には、取引量の少ない金融商品で一度に大口の注文が入る場合などは乖離する場合もあるので、こうした要素を補正するために、本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法においては、前述の「価格ー取引高分布(図5B)」から決定される価格(「最多取引高価格(MPv)」)と、前述の最も単位時間内で最も取引の多い価格(「最多単位価格(MPt)」)、最も取引回数の多い価格(「最多取引回数価格(MPc)」)の3つの重要な価格に基づいて加重計算で算定される価格を最終的に「モダルポイント(MP)」としてもよい。
【0045】
(「極ひげ(GH)」の決定)
金融商品等の取引においては、相場の高値、安値近辺で極端な取引活動が行われることがある。このような極端な(相場の動きから外れる極端な価格取り引く等)について、この価格帯を特定し、表示することはとても重要である。取引において高値あるいは安値付近で、時間または量のいずれかにおいて、当該価格が統計的範囲の中でどの程度の動きをするかがわかることで、その近辺でのレジスタンスあるいはサポートが重要な意味を持つかどうかを判別する指標となるからである。例えば、極めて取引高が少ないにも関わらず、一時的に大きく高値あるいは安値の取引が起きた時等に、それを表示できれば利用者にとって利便性が向上するからである。
【0046】
このことから、この指標を「極ひげ(GH)」と称している。「極ひげ(GH)」については、本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法においては、次のように決定し、従来バーの高値近辺と安値近辺の上下(両端)又は上下の一方(単端)に幅広線で重ね表示する。
つまり、図3A図3Bに示される単位時間内の「最安値」、「最高値」が表示される従来のバーにおいては、その従来バーの端部(両端又は片端)を幅広線で重ね表示する(従来バー表示においても、単位時間内取引において、「安値」又は「高値」の指標を示す「ひげ」が存在しない場合には、従来バー表示に従い、「極ひげ(GH)」を重ね表示し、又は重ね表示しない。)。
【0047】
(従来バーチャートへの「モダルポイント」、「活発領域」、「極ひげ」の重ね表示)
次に、本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法おいて、上述してきたように決定された「モダルポイント」、「活発領域」、「極ひげ」を従来バーチャートへの重ね表示について説明する。
【0048】
図6は、図1に示す本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法おいて、利用者11からチャート要求12が出された時のプロセスを示すチャートプログラム3のフロー図であり、本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法おいて、上述してきたように決定された「モダルポイント」、「活発領域」、「極ひげ」を従来バーチャートに重ね表示するプロセスのフロー図である。
【0049】
図6において、符号ステップ11は、「開始」、ステップ12は、「ユーザーチャート要求」、ステップ13は、「データ検索作業」、ステップ14は、「市場内要素の計算」、ステップ15は、「通常の価格ー時間チャート描画」、ステップ16は、「一部の要素を価格ー時間チャートに重ねる」、ステップ17は、「リアルタイム更新作業」、ステップ18は、「終了」を示している。
図6に示すように、利用者11からチャート要求12が出されると、チャートプログラム3の処理が「開始」され(ステップ11)、利用者11からのチャート要求12に基づき「ユーザーチャート要求」が出され(ステップ12)、これに基づいて、同チャートプログラム3により、データベース2に「データ検索作業」が行われ(ステップ13)、次いで、必要な「市場内要素(金融商品名、価格、日付、時間、出来高及び他の関連した情報等)の計算」が行われる(ステップ14)。
【0050】
そして、その結果を「通常の価格ー時間チャート描画」を行うと共に(ステップ15)、「一部の要素を価格ー時間チャートに重ねて」表示する(ステップ16)。これらは適宜の時間間隔で更新する「リアルタイム更新作業」を行いつつ(ステップ17)、これらのプロセスが「終了」する(ステップ18)。
【0051】
上述のプロセスのフローにおいて、「通常の価格-時間チャート」とは、上述してきた図15A図15Bに示す従来のバーチャート又は従来の日本のローソク足チャートをいい、「一部の要素」とは、チャートプログラム3により決定される「モダルポイント」、「活発領域」、「極ひげ」をいい、具体的には、それらの決定に基づいて、PC等の画面上の座標位置に重ね合わせるPCプログラムに従い重ね表示する。
つまり、本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法おいては、上述の「モダルポイント(MP)」の決定に基づき、「モダルポイント(MP)」を従来バーの中央軸上の中央に色付き丸点又は色抜き丸点として重ね表示する。
【0052】
さらに、上述してきたように、「始値」及び「終値」で決定される「活発領域」については、従来バーの中心軸の周りを対照的(ローソク足のようにバーを中心とした長方形)に「始値」及び「終値」で囲む所定幅の長方形状に従来バーに重ね表示する。
【0053】
図7A図7Bは、本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法おいて、このようにして従来バーチャートに重ね表示された表示例を示す図であり、図7A(I)は、終値が始値を上回る場合を白抜きで、図7A(II)は、終値が始値を下回っている場合を黒塗りで、また、図7B(I)は、終値が始値を上回っている場合を、図7B(II)は、終値が始値を下回っている場合を示している。
【0054】
図7A(I)(II)、図7B(I)(II)のいずれの図においても、「モダルポイント(MP)」は、バーの中心軸上に色付きの点として表示するようにしても良く、また、上記「活発領域」を、「モダルポイント(MP)」を囲むように、「安値極ひげ(GH)」及び「高値極ひげ(GH)」をそれぞれ安値表示、高値表示の近辺に表示する。
すなわち、いずれの図においても、「活発領域」は、バーの中心軸(高値と安値を繋ぐ線)の周りを対称的に取り囲むような長方形で重ね表示する。
【0055】
また、終値が始値の上か下かを区別するために色分けによる重ね表示をしても良く、さらには、図7A(I)に示すように、終値が始値より上にある場合には、上記の活発領域の長方形は、白抜きで重ね表示するようにしても良い。そうでない場合(終値が始値を下回っている場合)は、図7A(II)に示すように、色塗り重ね表示としても良い。
【0056】
このように配色表示することによって、「活発領域」の長方形は、日本のローソク足のチャートの本体に似た表示を呈し、本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法おける従来バー表示に重ね表示されたバーは、日本のローソク足チャートを見慣れた利用者にも見慣れた馴染みのある表示となる。
また、図7A(I)(II)、図7B(I)(II)に示すように、「極ヒゲ(GH)」は、バーの中心軸に重ねて、太く、はっきりした線で表示される。(色つき表示でも良い)
【0057】
図7A(I)(II)、図7B(I)(II)に示す例では、基礎となる価格ー時間チャートが日本のローソク足チャートの場合には、「モダルポイント(MP)」は、バーの仮想軸(高値と安値を結ぶ仮想線)上の小さな点として表示しても良い。また、「極ヒゲ(GH)」は、仮想軸上に重ねられ、区別できる明確な色の線として表示しても良い。なお、図7Bでは、「活発領域」が通常のローソク足の中に表示されている。
【0058】
なお、他の変形表示例として、上記の活発領域長方形、色つき点表示である「モダルポイント(MP)」、太線表示の「極ひげ(GH)」は、通常の作図知識に基づく異なる幾何学図形、サイズ、配色、構造を用いた表示でも良く、バー上に重ねられた要素の一部又は全てを含む図形の組み合わせとしても良い。要は、多くの利用者が見慣れている従来のバーチャートや日本のローソク足チャートのバーと比較して、重ね合わされてできたバーが、奇妙だと感じないように、視覚的に容易な方法で、四本値バーに市場内要素を重ね合わせを含むものである。
【0059】
すなわち、図7A(I)(II)、図7B(I)(II)に示す例では従来の四本値チャート上のそれぞれのバーのあらかじめ設定された時間枠表示の中に、市場内要素を計算し、値を重ねるソフトウエアプログラムのアプリケーションを使用するものであり、このプログラム使用によって、利用者は、重ねる要素や形式(幾何学形状、色、サイズ等)を選択することができるようにしても良く、以下に示す例は、その一つのデフォルト例を示すもので、表示例が限定されるものではない。
【0060】
図8図8A図8H)、図9図9A図9F)、図10図10A図10F)は、さまざまな表示の変形例を示す図であり、図11A図11Bに示す例は、2つの「モダルポイント(MP)」を表示する例である。
このような変形例に係る表示をすることにより、以前は量及び時間の分布情報を追跡したい利用者は、自らの手作業でしなければならず、また、一貫した定量化基準もないまま大まかな見積もりのみに依存していた作業が、本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法により、各金融商品の市場内情報が定量化され、チャートに重ね表示されるので、トレーダー自身で観察し、マニュアルで記録することなく、即座に検索できることとなり、さらには、本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法により得られる表示である「モダルポイント(MP)」、「活発領域」、「極ヒゲ(GH)」などの指標により、時系列の動きや通常の四本値の関係の比較分析が容易となる。
【0061】
そして、さらには、相対取引の場合には実際の取引高が不明なため、連続した期間での取引量の大小を比較することが難しかったが、本発明では取引高が不明な相対取引の場合でも、頻度数分布の分析から、モダルポイントになった価格の頻度数の個数を「モダルカウント」として算出し、その一定期間の平均と比べることで当該定期間のモダルポイント同士の強弱も分析できる。例としては、一定期間の平均よりも高いモダルカウントなら相場の分岐点になる確度が高くなる等の判断基準を提供できる。これによって新しい洞察がより簡単に形成できることとなる。
【実施例0062】
次に、本発明に係る実施例2を説明する。
本実施例2に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法においては、実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法の「活発領域」を標準偏差法を用いて決定するようにしたものである。
【0063】
すなわち、図3に示す頻度分布図に基づき,これに標準偏差法の手法により、以下のように「活発領域」を計算し、決定する。
図12は、本実施例2に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法において、取引頻度の標準偏差に基づいて「活発領域」を決定するための表である。図3の表において、左端は取引価格、左端から2番目は頻度(F)を、左端から3番目は、当該価格における取引高(PxF)を、右端は、標準偏差((P-μ)2×F)を示し、最下端に頻度総数(n=93)、取引高下端に加重平均した平均値(Σf(x)=196,950、μ=(Σ(x)/n)=2118)及び分散下端に標準偏差 143.4308)((Σ(f(x)ーμ)2=1913232、δ’=√Σ(f(x)-μ)2/n=143.4308)を示す。
【0064】
また、図13は、活発比率を決定して、「活発領域」を計算するプロセスを示すフロー図であり、図13において、ステップ20は、「開始」、ステップ21は、「活発比率を選択し、頻度分布図の単位総数を掛けて、その結果を「X」で表示」、ステップ22は、「平均値を含めてサンプルを作成」、ステップ23は、「サンプルの上(P1)下(P2)の価格帶領域を確認」、ステップ24は、「P1の時間軸単位数>P2比較」であり、ステップ25は、ステップ24が、「YES」の場合に「P1をサンプルに入れる」、ステップ26は、ステップ24が、「NO」の場合に「P2をサンプルに入れる」、ステップ27は、ステップ25の「YES」又はステップ26の「YES]に基づき、「サンプルの時間軸(単位>=X判断)」、ステップ28は、ステップ27が「YES]の場合に「サンプルの領域内の価格が活発領域となる」、ステップ27が「NO」の場合にステップ23に戻り、最終的にステップ29で「終了」とするプロセスからなるものである。
【0065】
図13から明らかなように、上述してきた図3A及び図3Bに示す頻度分布図に基づいて平均値から第一標準偏差から範囲となる頻度数の数を求め、その頻度数が含まれる価格を「活発領域」として計算するというものである。
なお、本実施例2に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法においては、図13における「中央モダルポイントを含めてサンプル作成」(Step22)のパラメーターを「平均値」としてサンプル作成している。
【0066】
これは、図3と同様に、各単位時間軸は、特定の価格に対する頻度の単位(時間あるいは取引高)に基づく、したがって、この場合の頻度分布図3、それぞれが個別の価格を表す単位の母集団の集まりということができるので、本実施例2に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法においては、まず、単位価格の母集団の平均及び分散を計算する。
次に、「活発領域」を(平均±第一標準偏差定数)の値として定義すると(標準偏差定数は、デフォルト値1とすると、デフォルトにおける「活発領域」は、バー上の価格の範囲を表すこととなり、これは、時間あるいは取引高のいずれかで全取引活動の68.27%(第1標準偏差)を含むことになる。
【0067】
そこで、本実施例2に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法においては、図2に示した「パラメーターファイル」から定数値を読み取る。その場合の「活発領域」は、@±Ωに等しく(「@」及び「Ω」は、前述の第1標準偏差)、該当する金融商品の単位と参照しながら68.27%が算出され、求められ表示される「活発領域」は、概ね取引の3分の2を占めているため、一時的な急激な動きやいわゆる騙しを排除でき、バー間隔を通して利用者が取得したいと思う重要な価格範囲に絞り込むことができ、より公正な価格範囲と推測できることとなる。
【実施例0068】
次に、上述してきた本実施例1に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法及び本実施例2に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法の双方について、図1に示す「データベンダー」5からの送られてくる諸要素情報(金融商品名、価格、日付、時間、出来高及び他の関連した情報)に基づき、システム内を更新するプロセスについて、実施例3として説明する。
【0069】
図14は、システム内を更新するプロセスのフロー図を示すものであり、ステップ50は、「開始」、ステップ51は、「データを抽出してシステム構成に入れる」、ステップ52は、「セキュリティパケットのコードをチェックする」、ステップ53は、「受診したパケットのコードは既存のチャートのコードと一致」、ステップ54は、「パケット内の類似時間をチェック」、ステップ55は、「市場内要素を算出し、データベースに保存」、ステップ56は、「パケット時間は既存チャートの最後のバーの時間帯にあるのか比較」、ステップ57は、「最後のバーのみ、表示を更新し、市場内要素の新しい値を重ねる」、ステップ58は、「新しいバーをチャート毎に左に移動させ、パケットから表示された新しいバーに加える。新しいバーの市場内要素を重ねる必要なし」、ステップ59は、「データ構成をデータベースに保存」、ステップ60は、「終了」を示している。
【0070】
このプロセスにおいては、前記「セキュリティーパケットのコードをチェックする」(ステップ52)で取得する情報は、図14に示す「パケット」(ここに、「パケット」は、データベンダーから取り込んだ価格情報)から取り出され、「受信したパケットのコードは既存のチャートのコードと一致」(ステップ53)で、当該「パケット」のコードは、現在のチャートのコードに対してチェックするようにする。
【0071】
また、対応する金融商品が、表示されたチャートの金融商品ではなかった場合には、チャート表示のアップデート(更新)はせず、対応する金融商品が、表示されたチャートの金融商品と同じであった場合のみアップデート(更新)する。
また、後の検索の必要から、当該「パケット」データは、「データ構成をデータベースに保存」(ステップ59)により、図1に示す「データベース」に蓄積する。一方、価格に関する「価格パケット」については、対応する金融商品の取得時タイムスタンプが、「パケット内の類似時間をチェック」(ステップ54)でチェックされ、当該取得時タイムスタンプを「パケット時間は既存チャートの最後のバーの時間帯にあるのか比較」(ステップ56)の後、チャート内の最新のバーに代表される時間間隔内にある場合は、図1の「チャートプログラム」を「最後のバーのみの表示を更新し、市場内要素の新しい値を重ねる」(ステップ57)、チャートの最新のバー表示のみを更新する。
【0072】
例えば、チャートが時間単位で、最新のバーが11:00-12:00の時間内のタイムスタンプが11:45である場合には、チャートプログラムは、この最新のバーを更新する。
ここに、最新のバーの更新とは、最新バーの内部要素について、パケットからの追加価格を加えて、「市場内要素を算出し、データベースに保存」(ステップ59)で再計算されて、市場の四本値の新しい値に基づいてバー内要素を表示し、再計算された値で図1の「データベース」に更新して書き込む。
【0073】
一方、タイムスタンプが、チャート内の最新のバーの時間間隔を超えている場合、チャート全体が1基準時間単位ごとに左に移動し、「新しいバーをチャート毎に左に移動させ、パケットから提示された新しいバーを加える。新しいバーの市場内要素を重ねる必要なし」(ステップ58)で作成し、新しいバーは、パケットの値に等しい四本値全てを新しいバーに対応する市場内要素を「市場内要素を算出し、データベースに保存」(ステップ55)で計算するものの、この時点ではバーに1つの価格しか含んでないので、要素の視覚化は無意味であるので、図1の「チャートプログラム」は、市場内要素を表示しないようにする。表示することで本体がぼやけてしまうからである。
【0074】
上述してきたように、本実施例3に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法においては、予め設定された単位時間内で市場からの諸要素をアップデート(更新)を行い、適切な表示を従来バーチャートに表示することができることとなる。
【実施例0075】
本実施例1~3に係る金融商品表示におけるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法は、図1に示すチャートプログラム2として、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット端末、スマートホン等のデジタル機器で作動するプログラムとして提供しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本件発明は、金融商品又は商品相場取引における市場動向の重要要素を既存のチャート表示と共に金融商品の取引時間単位内の取引指標たるモダルポイント・活発領域・極ひげチャート表示方法及びその表示プログラムに利用される。
【符号の説明】
【0077】
1・・・中央演算装置
2・・・データベース
3・・・チャートプログラム
4・・・データーインターフェイス
5・・・データーベンダー
6・・・チャート要求
7・・・データ受信
8・・・ユーザーインターフェース
9・・・チャート要求
10・・・チャート受信
11・・・利用者
12・・・チャート要求
13・・・チャート受信
14・・・チャート要求
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15