(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131907
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】作業機およびブレードユニット
(51)【国際特許分類】
A01D 34/13 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
A01D34/13 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036919
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大石 晃平
(72)【発明者】
【氏名】飯尾 剛良
(72)【発明者】
【氏名】沓名 知之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 聡
【テーマコード(参考)】
2B382
【Fターム(参考)】
2B382GA02
2B382GB05
2B382GC03
2B382GC05
2B382GC13
2B382GC14
2B382HA04
2B382HA12
2B382HB02
2B382HC27
2B382HH04
2B382HH05
2B382HH13
2B382HH22
2B382JA02
(57)【要約】
【課題】保持ユニットが摩耗することを抑制することができる技術を開示する。
【解決手段】作業機は、原動機と、原動機の回転に伴い動作する変換機構と、変換機構に接続されている第1ブレードと、上下方向に第1ブレードと重なり合っている第2ブレードと、第1ブレードと第2ブレードが上下方向に重なり合った状態に、第1ブレードと第2ブレードを保持する保持ユニットと、を備えている。第1ブレードは、変換機構が動作すると、第2ブレードに対して、上下方向に直交する往復方向に往復運動する。第1ブレードは、往復方向に長手方向を有する第1長孔を有している。第2ブレードは、往復方向に長手方向を有する第2長孔を有している。保持ユニットは、第1ブレードの第1長孔と第2ブレードの第2長孔に挿入されている保持部と、円筒形状を有しており、保持部の周りを回転可能に保持部に支持されている外側スリーブと、を備えている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機と、
前記原動機の回転に伴い動作する変換機構と、
前記変換機構に接続されている第1ブレードと、
上下方向に前記第1ブレードと重なり合っている第2ブレードと、
前記第1ブレードが前記第2ブレードと前記上下方向に重なり合った状態に、前記第1ブレードと前記第2ブレードを保持する保持ユニットと、を備えており、
前記第1ブレードは、前記変換機構が動作すると、前記第2ブレードに対して、前記上下方向に直交する往復方向に往復運動し、
前記第1ブレードは、前記往復方向に長手方向を有する第1長孔を有しており、
前記第2ブレードは、前記往復方向に長手方向を有する第2長孔を有しており、
前記保持ユニットは、
前記第1ブレードの前記第1長孔と前記第2ブレードの前記第2長孔に挿入されている保持部と、
円筒形状を有しており、前記保持部の周りを回転可能に前記保持部に支持されている外側スリーブと、を備えている、作業機。
【請求項2】
前記外側スリーブは、前記第1長孔と前記第2長孔に配置されている、請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記保持部は、前記外側スリーブに挿入されており、外周面が円形断面形状を有する内側スリーブを備えており、
前記外側スリーブの前記上下方向の長さは、前記内側スリーブの前記上下方向の長さよりも短い、請求項1または2に記載の作業機。
【請求項4】
前記保持部は、
頭部を備えており、前記内側スリーブを支持するボルト部材と、
前記ボルト部材に螺合するナット部材と、
前記ボルト部材が挿入されており、前記内側スリーブと前記頭部との間に配置されるワッシャ部材と、をさらに備えており、
前記内側スリーブと、前記ボルト部材と、前記ナット部材と、前記ワッシャ部材が、前記第1ブレードが前記第2ブレードと前記上下方向に重なり合った状態に、前記第1ブレードと前記第2ブレードを保持する、請求項3に記載の作業機。
【請求項5】
前記内側スリーブは、前記ボルト部材と別体である、請求項4に記載の作業機。
【請求項6】
前記外側スリーブの硬度は、前記内側スリーブの硬度と異なる、請求項3から5のいずれか一項に記載の作業機。
【請求項7】
前記外側スリーブの材質は、前記内側スリーブの材質と異なる、請求項3から6のいずれか一項に記載の作業機。
【請求項8】
前記第1ブレードは、前記往復方向に並んで配置されている複数の前記第1長孔を有しており、
前記第2ブレードは、前記往復方向に並んで配置されている複数の前記第2長孔を有しており、
前記複数の第1長孔は、前記往復方向における一端に配置されている一端側第1長孔を備えており、
前記複数の第2長孔は、前記往復方向における一端に配置されており、前記一端側第1長孔と前記上下方向に重なり合っている一端側第2長孔を備えており、
前記保持部は、前記一端側第1長孔と前記一端側第2長孔に挿入されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の作業機。
【請求項9】
複数の前記保持ユニットを備えており、
前記複数の第1長孔は、前記往復方向における他端に配置されている他端側第1長孔をさらに備えており、
前記複数の第2長孔は、前記往復方向における他端に配置されており、前記他端側第1長孔と前記上下方向に重なり合っている他端側第2長孔をさらに備えており、
前記複数の保持ユニットのうちの1つの前記保持ユニットの前記保持部が、前記一端側第1長孔と前記一端側第2長孔に挿入されており、
前記複数の保持ユニットのうちの他の1つの前記保持ユニットの前記保持部が、前記他端側第1長孔と前記他端側第2長孔に挿入されている、請求項8に記載の作業機。
【請求項10】
変換機構を介して原動機の動作が伝達されるブレードユニットであって、
前記変換機構に接続される第1ブレードと、
上下方向に前記第1ブレードと重なり合っている第2ブレードと、
前記第1ブレードが前記第2ブレードと前記上下方向に重なり合った状態に、前記第1ブレードと前記第2ブレードを保持する保持ユニットと、を備えており、
前記第1ブレードは、前記原動機の前記動作に伴い前記変換機構が動作すると、前記第2ブレードに対して、前記上下方向に直交する往復方向に往復運動し、
前記第1ブレードは、前記往復方向に長手方向を有する第1長孔を有しており、
前記第2ブレードは、前記往復方向に長手方向を有する第2長孔を有しており、
前記保持ユニットは、
前記第1ブレードの前記第1長孔と前記第2ブレードの前記第2長孔に挿入されている保持部と、
円筒形状を有しており、前記保持部の周りを回転可能に前記保持部に支持されている外側スリーブと、を備えている、ブレードユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機およびブレードユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、作業機が開示されている。作業機は、原動機と、原動機の回転に伴い動作する変換機構と、変換機構に接続されている第1ブレードと、上下方向に第1ブレードと重なり合っている第2ブレードと、第1ブレードが第2ブレードに重なり合った状態に、第1ブレードと第2ブレードを保持する保持ユニットと、を備えている。第1ブレードは、変換機構が動作すると、第2ブレードに対して、上下方向に直交する往復方向に往復運動する。第1ブレードは、往復方向に長手方向を有する第1長孔を有している。第2ブレードは、往復方向に長手方向を有する第2長孔を有している。保持ユニットは、第1ブレードの第1長孔と第2ブレードの第2長孔に挿入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の作業機では、第1ブレードが第2ブレードに対して往復運動することにより、保持ユニットは、第1ブレードと擦れ合って摩耗する。本明細書では、保持ユニットが摩耗することを抑制することができる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する作業機は、原動機と、原動機の回転に伴い動作する変換機構と、変換機構に接続されている第1ブレードと、上下方向に第1ブレードと重なり合っている第2ブレードと、第1ブレードと第2ブレードが上下方向に重なり合った状態に、第1ブレードと第2ブレードを保持する保持ユニットと、を備えている。第1ブレードは、変換機構が動作すると、第2ブレードに対して、上下方向に直交する往復方向に往復運動する。第1ブレードは、往復方向に長手方向を有する第1長孔を有している。第2ブレードは、往復方向に長手方向を有する第2長孔を有している。保持ユニットは、第1ブレードの第1長孔と第2ブレードの第2長孔に挿入されている保持部と、円筒形状を有しており、保持部の周りを回転可能に保持部に支持されている外側スリーブと、を備えている。
【0006】
上記の構成によれば、第1ブレードが第2ブレードに対して往復運動すると、外側スリーブが、第1ブレードの往復運動に合わせて保持部の周りを回転する。これにより、外側スリーブが第1ブレードと擦れ合って摩耗することを抑制することができる。
【0007】
本明細書が開示するブレードユニットは、変換機構を介して原動機の動作が伝達されるブレードユニットである。ブレードユニットは、変換機構に接続される第1ブレードと、上下方向に第1ブレードと重なり合っている第2ブレードと、第1ブレードと第2ブレードが上下方向に重なり合った状態に、第1ブレードと第2ブレードを保持する保持ユニットと、を備えている。第1ブレードは、原動機の動作に伴い変換機構が動作すると、第2ブレードに対して、上下方向に直交する往復方向に往復運動する。第1ブレードは、往復方向に長手方向を有する第1長孔を有している。第2ブレードは、往復方向に長手方向を有する第2長孔を有している。保持ユニットは、第1ブレードの第1長孔と第2ブレードの第2長孔に挿入されている保持部と、円筒形状を有しており、保持部の周りを回転可能に保持部に支持されている外側スリーブと、を備えている。
【0008】
上記の構成によれば、上記の作業機と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】第1実施例の作業機2の後端ユニット6近傍の斜視図である。
【
図3】第1実施例の作業機2の電動モータ32と減速機構34の斜視図である。
【
図4】第1実施例の作業機2の前端ユニット8近傍の斜視図である。
【
図5】第1実施例の作業機2の前端ユニット8近傍の縦断面図である。
【
図6】第1実施例の作業機2のブレードユニット46の分解斜視図である。
【
図7】第1実施例の作業機2の保持ユニット80の分解斜視図である。
【
図8】第1実施例の作業機2のブレードユニット46の縦断面図である。
【
図9】第1実施例の作業機2の前端ユニット8近傍の上断面図である。
【
図10】第2実施例の作業機2のブレードユニット246の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、以下に開示される追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された作業機およびブレードユニット、その製造方法及び使用方法を提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
【0011】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、上記及び下記の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、独立及び従属クレームに記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
【0012】
本明細書及び/又は特許請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び/又はクレームに記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
【0013】
1またはそれ以上の実施形態において、外側スリーブは、第1長孔と第2長孔に配置されていてもよい。
【0014】
上記の構成によれば、第1ブレードが第2ブレードに対して往復運動しても、外側スリーブのみが第1ブレードと第2ブレードに接触し、保持部は、第1ブレードと第2ブレードと接触しない。これにより、保持ユニットが摩耗することを抑制することができる。
【0015】
1またはそれ以上の実施形態において、保持部は、外側スリーブに挿入されており、外周面が円形断面形状を有する内側スリーブを備えていてもよい。外側スリーブの上下方向の長さは、内側スリーブの上下方向の長さよりも短くてもよい。
【0016】
一般的な作業機では、第1ブレードと第2ブレードは、第1部材と第2部材との間に挟まれていることがある。外側スリーブの上下方向の長さが、内側スリーブの上下方向の長さよりも長い構成であると、外側スリーブが第1部材と第2部材との間に挟まれることにより、外側スリーブが内側スリーブの周りを回転することができないことがある。上記の構成によれば、外側スリーブが内側スリーブの周りを回転することができなくなることを抑制することができる。
【0017】
1またはそれ以上の実施形態において、保持部は、頭部を備えており、内側スリーブを支持するボルト部材と、ボルト部材に螺合するナット部材と、ボルト部材が挿入されており、内側スリーブと頭部との間に配置されるワッシャ部材と、をさらに備えていてもよい。内側スリーブと、ボルト部材と、ナット部材と、ワッシャ部材が、第1ブレードと第2ブレードが上下方向に重なり合った状態に、第1ブレードと第2ブレードを保持してもよい。
【0018】
上記の構成によれば、保持部の簡素な構成により、第1ブレードと第2ブレードが上下方向に重なり合った状態に、第1ブレードと第2ブレードを保持することができる。
【0019】
1またはそれ以上の実施形態において、内側スリーブは、ボルト部材と別体であってもよい。
【0020】
内側スリーブとボルト部材が一体部材である構成であると、一体部材の構造が複雑となる。上記の構成によれば、内側スリーブとボルト部材の構造が複雑となることを抑制することができる。
【0021】
1またはそれ以上の実施形態において、外側スリーブの硬度は、内側スリーブの硬度と異なっていてもよい。
【0022】
外側スリーブが内側スリーブの周りを回転すると、摩擦熱が発生する。外側スリーブの硬度が内側スリーブの硬度と同じである構成であると、摩擦熱により、外側スリーブが内側スリーブと固着することがある。上記の構成によれば、外側スリーブが内側スリーブと固着することを抑制することができる。
【0023】
1またはそれ以上の実施形態において、外側スリーブの材質は、内側スリーブの材質と異なっていてもよい。
【0024】
外側スリーブが内側スリーブに対して回転すると、摩擦熱が発生する。外側スリーブの材質が内側スリーブの材質と同じである構成であると、摩擦熱により、外側スリーブが内側スリーブと固着することがある。上記の構成によれば、外側スリーブが内側スリーブと固着することを抑制することができる。
【0025】
1またはそれ以上の実施形態において、第1ブレードは、往復方向に並んで配置されている複数の第1長孔を有していてもよい。第2ブレードは、往復方向に並んで配置されている複数の第2長孔を有していてもよい。複数の第1長孔は、往復方向における一端に配置されている一端側第1長孔を備えていてもよい。複数の第2長孔は、往復方向における一端に配置されており、一端側第1長孔と上下方向に重なり合っている一端側第2長孔を備えていてもよい。保持部は、一端側第1長孔と一端側第2長孔に挿入されていてもよい。
【0026】
一般的に、第1ブレードが往復運動すると、第1ブレードには所定方向の振動が生じる。この所定方向の振動は、第1ブレードの往復方向における一端に向かうにつれて大きくなる。保持部が、往復方向における端に配置されている第1長孔と、往復方向における端に配置されている第2長孔に挿入されている構成であると、保持ユニットは、第1ブレードの往復運動により、第1ブレードに大きな力で押し付けられる。上記の構成によれば、保持ユニットが第1ブレードに押し付けられても、外側スリーブが保持部の周りを回転することにより、保持ユニットは、第1ブレードから受ける力を逃がすことができる。これにより、保持ユニットが摩耗することを抑制することができる。
【0027】
1またはそれ以上の実施形態において、作業機は、複数の保持ユニットを備えていてもよい。複数の第1長孔は、往復方向における他端に配置されている他端側第1長孔をさらに備えていてもよい。複数の第2長孔は、往復方向における他端に配置されており、他端側第1長孔と上下方向に重なり合っている他端側第2長孔をさらに備えていてもよい。複数の保持ユニットのうちの1つの保持ユニットの保持部が、一端側第1長孔と一端側第2長孔に挿入されていてもよい。複数の固定部材のうちの他の1つの保持ユニットの保持部が、他端側第1長孔と他端側第2長孔に挿入されていてもよい。
【0028】
第1ブレードの往復運動に伴う第1ブレードの振動は、第1ブレードの往復方向における一端に向かうにつれて大きくなるとともに、第1ブレードの往復方向における他端に向かうにつれて大きくなる場合もある。上記の構成によれば、第1ブレードの振動により、複数の保持ユニットのうちの他の1つの保持ユニットが第1ブレードに押し付けられても、外側スリーブが保持部の周りを回転することにより、複数の保持ユニットのうちの他の1つの保持ユニットも、第1ブレードから受ける力を逃がすことができる。これにより、複数の保持ユニットのうちの他の1つの保持ユニットが摩耗することを抑制することができる。
【0029】
(第1実施例)
図1に示すように、第1実施例の作業機2は、園芸用の電動作業機、例えば、グラウンドトリマであって、地面に生える草や芝等を刈るために用いられる。作業機2は、直線状に延びる操作棹4と、操作棹4の長手方向の一端に取り付けられた後端ユニット6と、操作棹4の長手方向の他端に取り付けられた前端ユニット8と、操作棹4の長手方向の他端近傍に取り付けられた一対の車輪10と、操作棹4の長手方向の中央近傍に取り付けられたループハンドル12と、バッテリパックBPと、を備えている。作業機2は、バッテリパックBPから供給される電力を使用して動作する。ユーザは、一方の手で後端ユニット6を把持し、他方の手でループハンドル12を把持した状態で、作業機2を前側に押し出して一対の車輪10を回転させることにより、作業機2を地面上で移動させながら、地面に生える草や芝等を切断することができる。以下では、一対の車輪10が回転することにより作業機2が移動する方向を前後方向と呼び、地面に直交する方向を上下方向と呼び、前後方向および上下方向の両方に直交する方向を左右方向と呼ぶ。また、作業機2を使用して地面に生える草や芝等を切断するために作業機2を移動させる方向(本実施例では作業機2を押し出す方向)を前方向と呼び、前方向と反対の方向を後方向と呼ぶ。
【0030】
図2に示すように、後端ユニット6は、後端ハウジング16を備えている。後端ハウジング16は、支持部18と、把持部20と、バッテリ取付部22と、を備えている。
【0031】
支持部18には、操作棹4が挿入されている。支持部18の上面には、主電源スイッチ24が配置されている。主電源スイッチ24は、作業機2のオン状態とオフ状態とを切り替える。
【0032】
把持部20は、支持部18の後側に配置されている。把持部20の前側下部には、トリガ26が回動可能に取り付けられている。トリガ26は、把持部20を把持したユーザの手の指で押し込まれる。作業機2がオン状態であるときに、トリガ26が押し込まれると、後述する電動モータ32(
図3参照)が動作する。
【0033】
また、把持部20の前側上部には、シャークフィン28が回動可能に取り付けられている。シャークフィン28は、把持部20を把持したユーザの手の平で押し込まれる。シャークフィン28が押し込まれている状態では、ユーザは、トリガ26を押し込むことができる。一方、シャークフィン28が押し込まれていない状態では、ユーザは、トリガ26を押し込むことができない。
【0034】
バッテリ取付部22は、把持部20の後側に配置されている。バッテリ取付部22の後端には、バッテリパックBPが着脱可能に取り付けられる。バッテリパックBPをバッテリ取付部22の後端に沿って、バッテリ取付部22に対して上側から下側に向かってスライドさせることにより、バッテリパックBPをバッテリ取付部22に取り付けることができる。また、バッテリパックBPがバッテリ取付部22に取り付けられた状態から、バッテリパックBPをバッテリ取付部22の後端に沿って、バッテリ取付部22に対して下側から上側に向かってスライドさせることにより、バッテリパックBPをバッテリ取付部22から取り外すことができる。このため、バッテリパックBPを、バッテリ取付部22から取り外して充電することができる。
【0035】
バッテリ取付部22の内部には、
図3に示すように、電動モータ32と、減速機構34が収容されている。電動モータ32は、原動機の一例である。電動モータ32は、例えば、ブラシレスモータである。変形例では、電動モータ32は、ブラシ付きモータであってもよい。電動モータ32は、バッテリパックBP(
図2参照)から供給される電力により動作(回転)する。
【0036】
減速機構34は、第1減速ギヤ34aと、第2減速ギヤ34bと、を備えている。第1減速ギヤ34aと第2減速ギヤ34bは、スパーギヤである。第1減速ギヤ34aは、電動モータ32のモータシャフト32aに連結されている。第2減速ギヤ34bは、第1減速ギヤ34aと噛み合っている。第2減速ギヤ34bの歯数は、第1減速ギヤ34aの歯数よりも多い。第1減速ギヤ34aが電動モータ32のモータシャフト32aの回転に伴い回転すると、第2減速ギヤ34bは、第1減速ギヤ34aの回転数よりも低い回転数で回転する。
【0037】
第2減速ギヤ34bには、伝達シャフト36が連結されている。伝達シャフト36は、後端ユニット6(
図1参照)から、操作棹4(
図1参照)の内部を通過して、前端ユニット8(
図1参照)まで延びている。伝達シャフト36は、第2減速ギヤ34bの回転に伴い回転する。
【0038】
図4に示すように、前端ユニット8は、一対の車輪10よりも前側において、操作棹4に取り付けられている。前端ユニット8は、前端ハウジング40と、減速機構42(
図5参照)と、変換機構44(
図5参照)と、ブレードユニット46と、を備えている。
【0039】
図5に示すように、前端ハウジング40は、ギヤハウジング50と、カバー部材52と、を備えている。ギヤハウジング50は、操作棹4の前端にねじ(図示省略)を用いて連結されている。カバー部材52は、ギヤハウジング50の下端開口を閉じる。これにより、ギヤハウジング50とカバー部材52との間に、ギヤ収容室56が形成されている。
【0040】
減速機構42は、ギヤ収容室56に配置されている。減速機構42は、第3減速ギヤ42aと、第4減速ギヤ42bと、を備えている。第3減速ギヤ42aと第4減速ギヤ42bは、ベベルギヤである。第3減速ギヤ42aは、伝達シャフト36の前端に連結されている。第4減速ギヤ42bは、第3減速ギヤ42aと噛み合っている。第4減速ギヤ42bの歯数は、第3減速ギヤ42aの歯数よりも多い。第3減速ギヤ42aが伝達シャフト36の回転に伴い回転すると、第4減速ギヤ42bは、第3減速ギヤ42aの回転数よりも低い回転数で回転する。また、第4減速ギヤ42bは、上下方向に沿う回転軸の周りを回転する。
【0041】
変換機構44は、カムクランク式の変換機構である。変換機構44は、電動モータ32(
図3参照)の動作を別の動作に変換する。また、変換機構44は、電動モータ32の動作をブレードユニット46に伝達する。変換機構44は、クランクシャフト60と、上ディスク62と、下ディスク64と、を備えている。クランクシャフト60は、ベアリング66、68を介して、ギヤハウジング50とカバー部材52に回動可能に支持されている。クランクシャフト60は、第4減速ギヤ42bに連結されている。また、クランクシャフト60は、カバー部材52を貫通しており、クランクシャフト60の下端は、ギヤ収容室56の外部に配置されている。
【0042】
上ディスク62と下ディスク64は、クランクシャフト60の下端に連結されている。上ディスク62と下ディスク64は、円板形状を有する。上ディスク62と下ディスク64は、クランクシャフト60の回転により回転する。
図9に示すように、上ディスク62の回転中心は、上ディスク62の円板形状の中心からオフセットしており、下ディスク64の回転中心は、下ディスク64の円板形状の中心からオフセットしている。上ディスク62が後側から前側に向かって回転すると、下ディスク64は前側から後側に向かって回転し、上ディスク62が前側から後側に向かって回転すると、下ディスク64は後側から前側に向かって回転する。
【0043】
図6を参照して、ブレードユニット46を説明する。本実施例のブレードユニット46は、地面に生える草や芝等を刈ることができる。ブレードユニット46は、第1ブレード70と、第2ブレード72と、中間プレート74と、第1ガイド部材76と、第2ガイド部材78と、複数(本実施例では5個)の保持ユニット80と、を備えている。
【0044】
第1ブレード70は、第1ブレード本体82と、複数の第1刃先84と、第1クランクプレート86と、を備えている。第1ブレード本体82は、左右方向に延びている。第1ブレード本体82の下面(摺動面)は、上下方向に直交している。第1ブレード本体82は、左右方向に長手方向を有する複数(本実施例では5個)の第1長孔88を有する。第1長孔88は、第1ブレード本体82を厚み方向(上下方向)に貫通している。5個の第1長孔88は、1個の第1中央長孔90と、4個の第1サイド長孔92と、を備えている。第1中央長孔90は、5個の第1長孔88のうちの中央に配置されている第1長孔88に対応する。第1中央長孔90の前後方向の幅は、第1サイド長孔92の前後方向の幅よりも短い。第1中央長孔90の左右方向の幅は、第1サイド長孔92の左右方向の幅と略同一である。2個の第1サイド長孔92は、第1中央長孔90よりも右側に配置されており、残り2個の第1サイド長孔92は、第1中央長孔90よりも左側に配置されている。以下では、最も右側に配置されている第1サイド長孔92を、第1右端長孔92aと呼び、最も左側に配置されている第1サイド長孔92を、第1左端長孔92bと呼ぶことがある。
【0045】
複数の第1刃先84は、第1ブレード本体82の前面から前側に向かって突出している。複数の第1刃先84は、左右方向に並んでいる。第1クランクプレート86は、第1ブレード本体82の左右方向の中央近傍であって、第1ブレード本体82の後側に配置されている。第1クランクプレート86は、第1クランクプレート86を上下方向に貫通する第1クランク開口94を有する。上ディスク62(
図5参照)が第1クランク開口94に配置されることにより、第1ブレード70は、変換機構44(
図5参照)に接続されている。
【0046】
第2ブレード72は、上下方向に関して、第1ブレード70の下側に重なり合っている。第2ブレード72は、第1ブレード70の形状と一致する形状を有する。第2ブレード72は、第2ブレード本体96と、複数の第2刃先98と、第2クランクプレート100と、を備えている。第2ブレード本体96は、左右方向に延びている。第2ブレード本体96の上面(摺動面)は、上下方向に直交している。第2ブレード本体96の上面は、第1ブレード本体82の下面と対向している。第2ブレード本体96は、左右方向に長手方向を有する複数(本実施例では5個)の第2長孔102を有する。第2長孔102は、第1長孔88と上下方向に重なり合っている。第2長孔102は、第2ブレード本体96を厚み方向(上下方向)に貫通している。5個の第2長孔102は、1個の第2中央長孔104と、4個の第2サイド長孔106と、を備えている。第2中央長孔104は、5個の第2長孔102のうちの中央に配置されている第2長孔102に対応する。第2中央長孔104の前後方向の幅は、第1中央長孔90の前後方向の幅と略同一であり、第2サイド長孔106の前後方向の幅よりも短い。第2中央長孔104の左右方向の幅は、第1中央長孔90の左右方向の幅と第2サイド長孔106の左右方向の幅のそれぞれと略同一である。第2サイド長孔106の前後方向の幅は、第1サイド長孔92の前後方向の幅と略同一である。2個の第2サイド長孔106は、第2中央長孔104よりも右側に配置されており、残り2個の第2サイド長孔106は、第2中央長孔104よりも左側に配置されている。以下では、最も右側に配置されている第2サイド長孔106を、第2右端長孔106aと呼び、最も左側に配置されている第2サイド長孔106を、第2左端長孔106bと呼ぶことがある。
【0047】
複数の第2刃先98は、第2ブレード本体96の前面から前側に向かって突出している。複数の第2刃先98は、左右方向に並んでいる。第2クランクプレート100は、第2ブレード本体96の左右方向の中央近傍であって、第2ブレード本体96の後側に配置されている。第2クランクプレート100は、第2クランクプレート100を上下方向に貫通する第2クランク開口108を有する。下ディスク64(
図5参照)が第2クランク開口108に配置されることにより、第2ブレード72は、変換機構44(
図5参照)に接続されている。
【0048】
中間プレート74は、上下方向に関して、第1ブレード70の上側に重なり合っている。中間プレート74は、左右方向に延びている。中間プレート74の両端には、前側に向かって延びる突片110が形成されている。中間プレート74は、複数の第1長孔88を上側から塞いでいる。中間プレート74は、中間プレート74を厚み方向(上下方向)に貫通する複数(本実施例では5個)の中間ねじ孔74aを有する。複数の中間ねじ孔74aは、左右方向に並んでいる。
【0049】
第1ガイド部材76は、上下方向に関して、中間プレート74の上側に重なり合っている。第1ガイド部材76は、左右方向に延びている。第1ガイド部材76は、第1ガイド部材76を厚み方向(上下方向)に貫通する複数(本実施例では5個)の第1ねじ孔76aを有する。複数の第1ねじ孔76aは、左右方向に並んでいる。
【0050】
第2ガイド部材78は、上下方向に関して、第2ブレード72の下側に重なり合っている。第2ガイド部材78は、第2ガイド部材本体112と、カバー部材114と、を備えている。第2ガイド部材本体112は、左右方向に延びている。第2ガイド部材本体112は、上下方向に関して、複数の第2長孔102を下側から塞いでいる。第2ガイド部材本体112は、第2ガイド部材本体112を厚み方向(上下方向)に貫通する複数の第2前側ねじ孔112aを有する。複数の第2前側ねじ孔112aは、左右方向に並んでいる。カバー部材114は、第2ガイド部材本体112の左右方向の中央近傍であって、第2ガイド部材本体112の後側に配置されている。カバー部材114は、カバー部材114を厚み方向(上下方向)に貫通する複数の第2後側ねじ孔114aを有する。ねじ116が第2後側ねじ孔114aに挿入されることにより、第2ガイド部材78は、カバー部材52(
図5参照)に固定されている。
【0051】
5個の保持ユニット80は、2個の第1保持ユニット120と、2個の第2保持ユニット122と、1個の第3保持ユニット124と、を備えている。
図7に示すように、第1保持ユニット120は、外側スリーブ126と、内側スリーブ128と、ボルト部材130と、ナット部材132と、ワッシャ部材134と、を備えている。以下では、内側スリーブ128と、ボルト部材130と、ナット部材132と、ワッシャ部材134を、保持部136と呼ぶことがある。
【0052】
外側スリーブ126は、円筒形状を有する。外側スリーブ126は、金属材料または樹脂材料からなる。
図8に示すように、外側スリーブ126は、第1サイド長孔92と第2サイド長孔106に配置されている。外側スリーブ126の外周面の直径は、第1サイド長孔92の前後方向の幅と第2サイド長孔106の前後方向の幅のそれぞれよりも小さい。外側スリーブ126の厚み(上下方向の幅)は、第1ブレード本体82の厚み(上下方向の幅)と第2ブレード本体96の厚み(上下方向の幅)の合計の厚み以上である。変形例では、外側スリーブ126の厚みは、第1ブレード本体82の厚みと第2ブレード本体96の厚みの合計の厚みよりも小さくてもよい。
【0053】
図7に示すように、内側スリーブ128は、円筒形状を有する。内側スリーブ128は、金属材料または樹脂材料からなる。内側スリーブ128の材質は、外側スリーブ126の材質と異なる。内側スリーブ128の硬度は、外側スリーブ126の硬度と異なる。即ち、内側スリーブ128の硬度は、外側スリーブ126の硬度よりも小さくてもよく、外側スリーブ126の硬度よりも大きくてもよい。内側スリーブ128の硬度が外側スリーブ126の硬度と異なる場合、内側スリーブ128の材質は、外側スリーブ126の材質と同一であってもよい。
【0054】
図8に示すように、内側スリーブ128は、第1サイド長孔92と第2サイド長孔106に配置されている。内側スリーブ128は、外側スリーブ126に挿入されている。内側スリーブ128の外周面は、外側スリーブ126の内周面と対向している。内側スリーブ128の外周面の直径は、外側スリーブ126の内周面の直径よりもわずかに小さい。このため、外側スリーブ126は、内側スリーブ128の周りを回転可能である。内側スリーブ128の厚み(上下方向の幅)は、第1ブレード本体82の厚みと第2ブレード本体96の厚みの合計の厚みよりも大きい。このため、内側スリーブ128は、中間プレート74と第2ガイド部材78との間に挟まれている。内側スリーブ128は、中間プレート74と第2ガイド部材78に対して動くことができない。また、内側スリーブ128の厚みは、外側スリーブ126の厚みよりも大きい。このため、外側スリーブ126は、中間プレート74と第2ガイド部材78との間に挟まれていない。外側スリーブ126は、中間プレート74と第2ガイド部材78に対して動くことができる。
【0055】
図7に示すように、ボルト部材130は、軸部138と、頭部140と、を備えている。軸部138は、上下方向に延びている。軸部138の一端近傍は、ナット部材132と螺合可能である。頭部140は、軸部138の他端に配置されている。
【0056】
図8に示すように、軸部138は、内側スリーブ128と、第1サイド長孔92と、第2サイド長孔106と、中間ねじ孔74aと、第1ねじ孔76aを貫通している。軸部138は、内側スリーブ128を支持している。
【0057】
図7に示すように、ワッシャ部材134は、中心に貫通孔134aを有する円板形状を有する。
図8に示すように、軸部138は、貫通孔134aを貫通している。ワッシャ部材134は、内側スリーブ128と頭部140との間および第2ブレード72と頭部140との間に挟まれている。
【0058】
ナット部材132が軸部138に螺合すると、第1ブレード70と、第2ブレード72と、中間プレート74と、第1ガイド部材76は、ナット部材132とワッシャ部材134との間に挟まれる。これにより、第1ブレード70に対する第2ブレード72と、中間プレート74と、第1ガイド部材76の上下方向の位置が保持部136により固定される。即ち、保持部136は、第1ガイド部材76と、中間プレート74と、第1ブレード70と、第2ブレード72が上下方向に重なり合った状態に、第1ガイド部材76と、中間プレート74と、第1ブレード70と、第2ブレード72を保持する。
【0059】
図6に示すように、第2保持ユニット122は、外側スリーブ126と、内側スリーブ128と、ボルト部材130と、ナット部材132と、を備えている。第2保持ユニット122では、第2ガイド部材本体112が、ワッシャ部材として機能する。また、軸部138は、内側スリーブ128と、第2前側ねじ孔112aと、第1サイド長孔92と、第2サイド長孔106と、中間ねじ孔74aと、第1ねじ孔76aを貫通している。
【0060】
第3保持ユニット124は、内側スリーブ128と、ボルト部材130と、ナット部材132と、を備えている。第3保持ユニット124では、第2ガイド部材本体112が、ワッシャ部材として機能する。内側スリーブ128のみが、第1中央長孔90と第2中央長孔104に配置されている。また、軸部138は、内側スリーブ128と、第2前側ねじ孔112aと、第1中央長孔90と、第2中央長孔104と、中間ねじ孔74aと、第1ねじ孔76aを貫通している。
【0061】
次に、第1ブレード70と第2ブレード72の動作を説明する。
図9に示すように、電動モータ32(
図3参照)が動作(回転)すると、上ディスク62が第1クランク開口94の内面に当接しながら回転し、下ディスク64が第2クランク開口108の内面に当接しながら回転する。これにより、第1ブレード70と第2ブレード72は、前端ハウジング40に対して左右方向に往復運動する。第1ブレード70が左側に移動すると、第2ブレード72が右側に移動し、第1ブレード70が右側に移動すると、第2ブレード72が左側に移動する。
【0062】
第1ブレード70と第2ブレード72が往復運動しているとき、第1中央長孔90と第2中央長孔104では、内側スリーブ128は、第1中央長孔90の内面と第2中央長孔104の内面に当接しながら、第1ブレード70と第2ブレード72をガイドしている。内側スリーブ128は、中間プレート74(
図6参照)と第2ガイド部材78(
図6参照)との間に挟まれているために、軸部138の周りを回転しない。
【0063】
また、第1ブレード70と第2ブレード72が往復運動しているとき、第1サイド長孔92と第2サイド長孔106では、外側スリーブ126は、第1サイド長孔92の内面と第2サイド長孔106の内面に当接しながら、第1ブレード70と第2ブレード72をガイドしている。外側スリーブ126は、中間プレート74(
図6参照)と第2ガイド部材78(
図6参照)との間に挟まれていないために、第1ブレード70と第2ブレード72の往復運動に連動して、内側スリーブ128の周りを回転する。内側スリーブ128は、中間プレート74(
図6参照)と第2ガイド部材78(
図6参照)との間に挟まれているために、外側スリーブ126が回転しても回転しない。
【0064】
第1ブレード70と第2ブレード72が往復運動すると、第1ブレード70と第2ブレード72には、前後方向の振動が発生する。この前後方向の振動は、クランクシャフト60から離れた位置ほど、即ち、第1ブレード70および第2ブレード72の左右方向の中心から両端に向かうほど大きくなる。このため、第1サイド長孔92と第2サイド長孔106近傍での第1ブレード70と第2ブレード72の前後方向の振動は、第1中央長孔90と第2中央長孔104近傍での第1ブレード70と第2ブレード72の前後方向の振動よりも大きい。また、第1右端長孔92aと、第1左端長孔92bと、第2右端長孔106aと、第2左端長孔106b近傍において、第1ブレード70と第2ブレード72の前後方向の振動が最も大きい。第1右端長孔92aと、第1左端長孔92bと、第2右端長孔106aと、第2左端長孔106b近傍では、第1ブレード70と第2ブレード72の前後方向の振動に伴い、第1ブレード70と第2ブレード72が外側スリーブ126に大きな力で押し付けられる。第1ブレード70と第2ブレード72が外側スリーブ126に大きな力で押し付けられても、外側スリーブ126が内側スリーブ128の周りを回転するために、外側スリーブ126が摩耗し難い。
【0065】
(効果)
作業機2は、電動モータ32(原動機の一例)と、電動モータ32の回転に伴い動作する変換機構44と、変換機構44に接続されている第1ブレード70と、上下方向に第1ブレード70と重なり合っている第2ブレード72と、第1ブレード70が第2ブレード72と上下方向に重なり合った状態に、第1ブレード70と第2ブレード72を保持する保持ユニット80と、を備えている。第1ブレード70は、変換機構44が動作すると、第2ブレード72に対して、上下方向に直交する左右方向(往復方向の一例)に往復運動する。第1ブレード70は、左右方向に長手方向を有する第1長孔88を有している。第2ブレード72は、左右方向に長手方向を有する第2長孔102を有している。保持ユニット80は、第1ブレード70の第1長孔88と第2ブレード72の第2長孔102に挿入されている保持部136と、円筒形状を有しており、保持部136の周りを回転可能に保持部136に支持されている外側スリーブ126と、を備えている。
【0066】
上記の構成によれば、第1ブレード70が第2ブレード72に対して往復運動すると、外側スリーブ126が、第1ブレード70の往復運動に合わせて保持部136の周りを回転する。これにより、外側スリーブ126が第1ブレード70と擦れ合って摩耗することを抑制することができる。
【0067】
また、ブレードユニット46は、変換機構44を介して電動モータ32(原動機の一例)の動作が伝達されるブレードユニットである。ブレードユニット46は、変換機構44に接続される第1ブレード70と、上下方向に第1ブレード70と重なり合っている第2ブレード72と、第1ブレード70が第2ブレード72と上下方向に重なり合った状態に、第1ブレード70と第2ブレード72を保持する保持ユニット80と、を備えている。第1ブレード70は、電動モータ32の動作に伴い変換機構44が動作すると、第2ブレード72に対して、上下方向に直交する左右方向(往復方向の一例)に往復運動する。第1ブレード70は、左右方向に長手方向を有する第1長孔88を有している。第2ブレード72は、左右方向に長手方向を有する第2長孔102を有している。保持ユニット80は、第1ブレード70の第1長孔88と第2ブレード72の第2長孔102に挿入されている保持部136と、円筒形状を有しており、保持部136の周りを回転可能に保持部136に支持されている外側スリーブ126と、を備えている。
【0068】
上記の構成によれば、上記の作業機と同様の効果を奏することができる。
【0069】
また、外側スリーブ126は、第1長孔88と第2長孔102に配置されている。
【0070】
上記の構成によれば、第1ブレード70が第2ブレード72に対して往復運動しても、外側スリーブ126のみが第1ブレード70と第2ブレード72に接触し、保持部136は、第1ブレード70と第2ブレード72と接触しない。これにより、保持ユニット80が摩耗することを抑制することができる。
【0071】
また、保持部136は、外側スリーブ126に挿入されており、外周面が円形断面形状を有する内側スリーブ128を備えている。外側スリーブ126の上下方向の長さは、内側スリーブ128の上下方向の長さよりも短い。
【0072】
一般的な作業機では、第1ブレード70と第2ブレード72は、中間プレート74(第1部材の一例)と第2ガイド部材78(第2部材の一例)との間に挟まれていることがある。外側スリーブ126の上下方向の長さが、内側スリーブ128の上下方向の長さよりも長い構成であると、外側スリーブ126が中間プレート74と第2ガイド部材78との間に挟まれることにより、外側スリーブ126が内側スリーブ128の周りを回転することができないことがある。上記の構成によれば、外側スリーブ126が内側スリーブ128の周りを回転することができなくなることを抑制することができる。
【0073】
また、保持部136は、頭部140を備えており、内側スリーブ128を支持するボルト部材130と、ボルト部材130に螺合するナット部材132と、ボルト部材130が挿入されており、内側スリーブ128と頭部140との間に配置されるワッシャ部材134と、をさらに備えている。内側スリーブ128と、ボルト部材130と、ナット部材132と、ワッシャ部材134が、第1ブレード70と第2ブレード72が上下方向に重なり合った状態に、第1ブレード70と第2ブレード72を保持する。
【0074】
上記の構成によれば、保持部136の簡素な構成により、第1ブレード70と第2ブレード72が上下方向に重なり合った状態に、第1ブレード70と第2ブレード72を保持することができる。
【0075】
また、内側スリーブ128は、ボルト部材130と別体である。
【0076】
内側スリーブ128とボルト部材130が一体部材である構成であると、一体部材の構造が複雑となる。上記の構成によれば、内側スリーブ128とボルト部材130の構造が複雑となることを抑制することができる。
【0077】
また、外側スリーブ126の硬度は、内側スリーブ128の硬度と異なる。
【0078】
外側スリーブ126が内側スリーブ128の周りを回転すると、摩擦熱が発生する。外側スリーブ126の硬度が内側スリーブ128の硬度と同じである構成であると、摩擦熱により、外側スリーブ126が内側スリーブ128と固着することがある。上記の構成によれば、外側スリーブ126が内側スリーブ128と固着することを抑制することができる。
【0079】
また、外側スリーブ126の材質は、内側スリーブ128の材質と異なる。
【0080】
外側スリーブ126が内側スリーブ128に対して回転すると、摩擦熱が発生する。外側スリーブ126の材質が内側スリーブ128の材質と同じである構成であると、摩擦熱により、外側スリーブ126が内側スリーブ128と固着することがある。上記の構成によれば、外側スリーブ126が内側スリーブ128と固着することを抑制することができる。
【0081】
また、第1ブレード70は、左右方向に並んで配置されている複数の第1長孔88を有している。第2ブレード72は、左右方向に並んで配置されている複数の第2長孔102を有している。複数の第1長孔88は、左右方向における右端(一端の一例)に配置されている第1右端長孔92a(一端側第1長孔の一例)を備えている。複数の第2長孔102は、左右方向における右端(一端の一例)に配置されており、第1右端長孔92aと上下方向に重なり合っている第2右端長孔106a(一端側第2長孔の一例)を備えている。保持ユニット80は、第1右端長孔92aと第2右端長孔106aに挿入されている。
【0082】
一般的に、第1ブレード70が往復運動すると、第1ブレード70には所定方向の振動が生じる。この所定方向の振動は、第1ブレード70の左右方向における右端に向かうにつれて大きくなる。保持部136が、左右方向における端に配置されている第1右端長孔92aと、左右方向における端に配置されている第2右端長孔106aに挿入されている構成であると、保持ユニット80は、第1ブレード70の往復運動により、第1ブレード70に大きな力で押し付けられる。上記の構成によれば、保持ユニット80が第1ブレード70に押し付けられても、外側スリーブ126が保持部136の周りを回転することにより、保持ユニット80は、第1ブレード70から受ける力を逃がすことができる。これにより、保持ユニット80が摩耗することを抑制することができる。
【0083】
また、作業機2は、複数の保持ユニット80を備えている。複数の第1長孔88は、左右方向における左端(他端の一例)に配置されている第1左端長孔92b(他端側第1長孔の一例)をさらに備えている。複数の第2長孔102は、左右方向における左端(他端の一例)に配置されており、第1左端長孔92bと上下方向に重なり合っている第2左端長孔106bをさらに備えている。複数の保持ユニット80のうちの1つの保持ユニット80の保持部136が、第1右端長孔92aと第2右端長孔106aに挿入されている。複数の保持ユニット80のうちの他の1つの保持ユニット80の保持部136が、第1左端長孔92bと第2左端長孔106bに挿入されている。
【0084】
第1ブレード70の往復運動に伴う第1ブレード70の振動は、第1ブレード70の左右方向における右端に向かうにつれて大きくなるとともに、第1ブレード70の左右方向における左端に向かうにつれて大きくなる場合もある。上記の構成によれば、第1ブレード70の振動により、複数の保持ユニット80のうちの他の1つの保持ユニット80が第1ブレード70に押し付けられても、外側スリーブ126が保持部136の周りを回転することにより、複数の保持ユニット80のうちの他の1つの保持ユニット80も、第1ブレード70から受ける力を逃がすことができる。これにより、複数の保持ユニット80のうちの他の1つの保持ユニット80が摩耗することを抑制することができる。
【0085】
(第2実施例)
図10を参照して、第2実施例を説明する。第2実施例では、第1実施例と異なる点のみを説明し、第1実施例と同様の点については、同様の符号を付して説明を省略する。第2実施例のブレードユニット246は、ヘッジトリマに使用される。ブレードユニット246は、前端ハウジング40(
図4参照)に固定される。
【0086】
ブレードユニット246は、第1ブレード270と、第2ブレード272と、第1ガイド部材276と、第2ガイド部材278と、複数(本実施例では4個)の保持ユニット80と、を備えている。第1ブレード270は、前後方向に延びている第1ブレード本体282と、第1ブレード本体282の左面と右面の両方に配置されている複数の第1刃先284と、上ディスク62(
図4参照)に接続される第1クランクプレート286と、を備えている。第1ブレード本体282は、前後方向に長手方向を有する複数(本実施例では4個)の第1長孔288を有する。以下では、最も前側に配置されている第1長孔288を、第1前端長孔288aと呼び、最も後側に配置されている第1長孔288を、第1後端長孔288bと呼ぶ。また、第1前端長孔288aの後側に配置されている第1長孔288を、第1中央長孔288cと呼び、第1後端長孔288bの前側に配置されている第1長孔288を、第1中央長孔288dと呼ぶ。
【0087】
第2ブレード272は、上下方向に関して、第1ブレード270の下側に重なり合っている。第2ブレード272は、前後方向に延びている第2ブレード本体296と、第2ブレード本体296の左面と右面の両方に配置されている複数の第2刃先298と、下ディスク64(
図4参照)に接続される第2クランクプレート300と、を備えている。第2ブレード本体296は、前後方向に長手方向を有する複数(本実施例では4個)の第2長孔302を有する。第2長孔302は、第1長孔288と上下方向に重なり合っている。以下では、最も前側に配置されている第2長孔302を、第2前端長孔302aと呼び、最も後側に配置されている第2長孔302を、第2後端長孔302bと呼ぶ。また、第2前端長孔302aの後側に配置されている第2長孔302を、第2中央長孔302cと呼び、第2後端長孔302bの前側に配置されている第2長孔302を、第2中央長孔302dと呼ぶ。
【0088】
第1ガイド部材276は、上下方向に関して、第1ブレード270の上側に重なり合っている。第2ガイド部材278は、上下方向に関して、第2ブレード272の下側に重なり合っている。
【0089】
4個の保持ユニット80は、2個の第1保持ユニット120と、2個の第2保持ユニット122と、を備えている。一方の第1保持ユニット120は、第1前端長孔288aと第2前端長孔302aに挿入されており、他方の第1保持ユニット120は、第1中央長孔288cと第2中央長孔302cに挿入されている。一方の第2保持ユニット122は、第1後端長孔288bと第2後端長孔302bに挿入されており、他方の第2保持ユニット122は、第1中央長孔288dと第2中央長孔302dに挿入されている。
【0090】
4個の保持ユニット80のそれぞれにおいて、ナット部材132が軸部138の上部に螺合すると、第1ブレード270に対する第2ブレード272と、第1ガイド部材276と、第2ガイド部材278の上下方向の位置が保持部136により固定される。即ち、保持部136は、第1ガイド部材276と、第1ブレード270と、第2ブレード272と、第2ガイド部材278が上下方向に重なり合った状態に、第1ガイド部材276と、第1ブレード270と、第2ブレード272と、第2ガイド部材278を保持する。内側スリーブ128は、第1ガイド部材276と第2ガイド部材278との間に挟まれている一方、外側スリーブ126は、第1ガイド部材276と第2ガイド部材278との間に挟まれていない。なお、第2保持ユニット122では、第2ガイド部材278がワッシャ部材として機能する。
【0091】
次に、第1ブレード270と第2ブレード272の動作を説明する。電動モータ32(
図3参照)が動作(回転)すると、第1ブレード270と第2ブレード272は、前端ハウジング40(
図4参照)に対して前後方向に往復運動する。本実施例では、前後方向が往復方向の一例である。第1ブレード270が前側に移動すると、第2ブレード272が後側に移動し、第1ブレード270が後側に移動すると、第2ブレード272が前側に移動する。
【0092】
第1ブレード70と第2ブレード72が往復運動しているとき、外側スリーブ126は、第1長孔88の内面と第2長孔302の内面に当接しながら、第1ブレード270と第2ブレード272をガイドしている。外側スリーブ126は、第1ガイド部材276と第2ガイド部材278との間に挟まれていないために、第1ブレード270と第2ブレード272の往復運動に連動して、内側スリーブ128の周りを回転する。
【0093】
第1ブレード270と第2ブレード272が往復運動すると、第1ブレード270と第2ブレード272には、左右方向の振動が発生する。この左右方向の振動は、クランクシャフト60(
図5参照)から離れた位置ほど、即ち、第1ブレード270および第2ブレード272の後端から前端に向かうほど大きくなる。このため、第1前端長孔288aと第2前端長孔302a近傍において、第1ブレード270と第2ブレード272の左右方向の振動が最も大きい。第1前端長孔288aと第2前端長孔302a近傍では、第1ブレード270と第2ブレード272の左右方向の振動に伴い、第1ブレード270と第2ブレード272が外側スリーブ126に大きな力で押し付けられる。第1ブレード270と第2ブレード272が外側スリーブ126に大きな力で押し付けられても、外側スリーブ126が内側スリーブ128の周りを回転するために、外側スリーブ126が摩耗し難い。
【0094】
(変形例)
一実施形態において、内側スリーブ128とボルト部材130が一体部材であってもよい。
【0095】
一実施形態において、外側スリーブ126と内側スリーブ128は、ボールベアリングを構成していてもよく、ニードルベアリングを構成していてもよい。
【0096】
上記の実施例では、保持ユニット80は、外側スリーブ126と内側スリーブ128、即ち、2個のスリーブを備えているが、それに限られず、3個以上のスリーブを備えていてもよい。
【0097】
一実施形態において、作業機2は、芝生バリカンであってもよい。
【0098】
一実施形態において、作業機2は、バッテリパックBPを備えておらず、外部コードを介して外部電源から供給される電力を使用して動作してもよい。
【0099】
一実施形態において、作業機2は、一対の車輪10を備えていなくてもよい。
【0100】
一実施形態において、作業機2は、電動モータ32に代えて、エンジンを備えていてもよい。
【符号の説明】
【0101】
2 :作業機
8 :前端ユニット
32 :電動モータ
44 :変換機構
46、246:ブレードユニット
70、270:第1ブレード
72、272:第2ブレード
74 :中間プレート
76、276:第1ガイド部材
78、278:第2ガイド部材
80 :保持ユニット
88、288:第1長孔
90 :第1中央長孔
92 :第1サイド長孔
92a :第1右端長孔
92b :第1左端長孔
102、302:第2長孔
104 :第2中央長孔
106 :第2サイド長孔
106a :第2右端長孔
106b :第2左端長孔
120 :第1保持ユニット
122 :第2保持ユニット
124 :第3保持ユニット
126 :外側スリーブ
128 :内側スリーブ
130 :ボルト部材
132 :ナット部材
134 :ワッシャ部材
136 :保持部
138 :軸部
140 :頭部
288a :第1前端長孔
288b :第1後端長孔
288c :第1中央長孔
288d :第1中央長孔
302a :第2前端長孔
302b :第2後端長孔
302c :第2中央長孔
302d :第2中央長孔
BP :バッテリパック