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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131908
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】流体アシスト成形用の金型
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/26 20060101AFI20230914BHJP
   B29C 45/00 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
B29C45/26
B29C45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036920
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】390026538
【氏名又は名称】ダイキョーニシカワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新庄 竜之介
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK12
4F202CK27
4F202CK42
4F202CK43
4F202CS03
4F202CS04
4F202CS10
4F206JA07
4F206JL02
4F206JL05
4F206JL09
4F206JN27
4F206JQ81
4F206JQ90
(57)【要約】
【課題】金型の修正を容易にし、金型の修正に要するコストおよび作業期間を削減する。
【解決手段】ガスアシスト成形用の金型(10)は、キャビティ(C)として、成形キャビティ部(Cm)から加圧ガス(GS)の注入により樹脂(R)の余剰分が排出される捨てキャビティ部(Cd)を含む。捨てキャビティ部は、成形キャビティ部の長手方向における一端に繋がる第1捨てキャビティ部(Cd1)と、第1捨てキャビティ部を介して成形キャビティ部と直線状に連通する第2捨てキャビティ部(Cd2)とを含む。第2捨てキャビティ部の直径(D1)は、第1捨てキャビティ部の直径(D2)よりも大きい。成形キャビティ部のうち第1捨てキャビティ部に繋がる一部と第1捨てキャビティ部とを含む範囲は、取り換え可能な入れ子型(40)によって構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向を有する樹脂製の中空成形品(100)を流体アシスト成形により成形するための流体アシスト成形用の金型であって、
型閉じ状態で内部に形成されるキャビティ(C)と、
前記キャビティ(C)に溶融状態の樹脂(R)を射出するゲート(16)と、
前記キャビティ(C)内に射出された樹脂(R)の内部に加圧流体(GS)を注入する流体供給路(18)と、を有し、
前記キャビティ(C)は、前記中空成形品(100)を成形する成形キャビティ部(Cm)と、該成形キャビティ部(Cm)から前記加圧流体(GS)の注入により樹脂(R)の余剰分が排出される捨てキャビティ部(Cd)と、を含み、
前記捨てキャビティ部(Cd)は、前記成形キャビティ部(Cm)の長手方向における一端に繋がる第1捨てキャビティ部(Cd1)と、該第1捨てキャビティ部(Cd1)を介して前記成形キャビティ部(Cm)と直線状に連通する第2捨てキャビティ部(Cd2)と、を含み、
前記捨てキャビティ部(Cd)の中心線(CL3)に直交する幅方向において、前記第2捨てキャビティ部(Cd2)のうち少なくとも前記第1捨てキャビティ部(Cd1)に繋がる部分の寸法は、前記第1捨てキャビティ部(Cd1)のうち少なくとも前記第2捨てキャビティ部(Cd2)に繋がる部分の寸法よりも大きく、
前記成形キャビティ部(Cm)のうち前記第1捨てキャビティ部(Cd1)に繋がる一部と、前記第1捨てキャビティ部(Cd1)とを含む範囲は、前記成形キャビティ部(Cm)の他部を構成する母型(50)に対して取り換え可能な入れ子型(40)によって構成される
ことを特徴とする流体アシスト成形用の金型。
【請求項2】
請求項1に記載の流体アシスト成形用の金型において、
前記第1捨てキャビティ部(Cd1)および前記第2捨てキャビティ部(Cd2)はそれぞれ、円筒状の空間であり、
前記第2捨てキャビティ部(Cd2)の直径(D2)は、前記第1捨てキャビティ部(Cd1)の直径(D1)よりも大きい
ことを特徴とする流体アシスト成形用の金型。
【請求項3】
請求項2に記載の流体アシスト成形用の金型において、
前記第1捨てキャビティ部(Cd1)の中心線(CL4)と、前記第2捨てキャビティ部(Cd2)の中心線(CL5)とは、互いに一致する
ことを特徴とする流体アシスト成形用の金型。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の流体アシスト成形用の金型において、
前記成形キャビティ部(Cm)は、長手方向において湾曲した湾曲キャビティ部(Cm2,Cm4)を含む
ことを特徴とする流体アシスト成形用の金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体アシスト成形用の金型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹脂製の中空成形品を製造する技術として流体アシスト成形が知られている。流体アシスト成形では、金型のキャビティに溶融状態の樹脂を射出した後、その樹脂の内部にガスなどの加圧流体を注入することで、樹脂を中空状に成形すると共に金型の成形面に押し付けて固化させる。
【0003】
流体アシスト成形に用いられる金型は、成形キャビティ部と、捨てキャビティ部とを有する。成形キャビティ部は、管体を成形する空間である。捨てキャビティ部は、成形キャビティ部の一端に繋がる。このような金型を用いて流体アシスト成形により管体を製造する方法は、例えば特許文献1に開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-53954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、流体アシスト成形を用いて製造する管体には、設計要求が増しており、長手方向において湾曲する部分が設けられ、当該管体の全長が益々長くなっている。それに伴い、管体には、成形後の変形が生じ易くなる。このため、製品寸法を管理する必要がある。管体の寸法管理では、管体における成形時の樹脂流入側の一端である第1開口端を基準として、管体の他端である第2開口端の位置を管理する。管体の変形に起因して第2開口端が所定の位置からずれる場合、管体の変形分を見込んで金型を修正する。
【0006】
金型の修正は、金型のうち管体の第2開口端側の一部を成形する部分を刳り抜き、その刳り抜いた部分に修正用の入れ子型を取り付けることで行われる。しかし、金型において成形キャビティ部の第2開口端側の延長上には、捨てキャビティ部が設けられる。そのため、入れ子型が有するキャビティ部を捨てキャビティ部に対してスムーズ且つ段差のないように高い精度で繋げる必要がある。このことは、金型の修正に要するコストアップや作業期間の長期化を招く。
【0007】
本発明の目的は、金型の修正を容易にし、金型の修正に要するコストおよび作業期間を削減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明では、金型の修正を施す成形キャビティ部の一部を捨てキャビティ部の一部を含んで入れ子構造とし、入れ子構造をなす入れ子型のキャビティ部と母型の捨てキャビティ部とが、入れ子型を取り換えても好適に繋がるように工夫した。
【0009】
具体的には、第1の発明は、長手方向を有する樹脂製の中空成形品を流体アシスト成形により成形するための流体アシスト成形用の金型を対象とする。第1の発明に係る流体アシスト成形用の金型は、型閉じ状態で内部に形成されるキャビティと、前記キャビティに溶融状態の樹脂を射出するゲートと、前記キャビティ内に射出された樹脂の内部に加圧流体を注入する流体供給路とを有する。前記キャビティは、前記中空成形品を成形する成形キャビティ部と、該成形キャビティ部から前記加圧流体の注入により樹脂の余剰分が排出される捨てキャビティ部とを含む。前記捨てキャビティ部は、前記成形キャビティ部の長手方向における一端に繋がる第1捨てキャビティ部と、該第1捨てキャビティ部を介して前記成形キャビティ部と直線状に連通する第2捨てキャビティ部とを含む。前記捨てキャビティ部の中心線と直交する幅方向において、前記第2捨てキャビティ部のうち少なくとも前記第1捨てキャビティ部に繋がる部分の寸法は、前記第1捨てキャビティ部のうち少なくとも前記第2捨てキャビティ部に繋がる部分の寸法よりも大きい。前記成形キャビティ部のうち前記第1捨てキャビティ部に繋がる一部と、前記第1捨てキャビティ部とを含む範囲は、前記成形キャビティ部の他部を構成する母型に対して取り換え可能な入れ子型によって構成される。
【0010】
第2の発明は、第1の発明の流体アシスト成形用の金型において、前記第1捨てキャビティ部および前記第2捨てキャビティ部がそれぞれ、円筒状の空間である、流体アシスト成形用の金型である。第2の発明の流体アシスト成形用の金型において、前記第2捨てキャビティ部の直径は、前記第1捨てキャビティ部の直径よりも大きい。
【0011】
第3の発明は、第2の発明の流体アシスト成形用の金型において、前記第1捨てキャビティ部の中心線と、前記第2捨てキャビティ部の中心線とが、互いに一致する、流体アシスト成形用の金型である。
【0012】
第4の発明は、第1~第3の発明のいずれか1つの流体アシスト成形用の金型において、前記成形キャビティ部が、長手方向において湾曲した湾曲キャビティ部を含む、流体アシスト成形用の金型である。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明では、成形キャビティ部のうち第1捨てキャビティ部に繋がる一部と、第1捨てキャビティ部とを含む範囲が、予め入れ子型によって構成される。入れ子型は、成形キャビティ部の他部を構成する母型に対して取り換え可能である。そして、捨てキャビティ部の幅方向において、第2捨てキャビティ部のうち少なくとも第1捨てキャビティ部に繋がる部分の寸法は、第1捨てキャビティ部のうち少なくとも第2捨てキャビティ部に繋がる部分の寸法よりも大きい。そのことで、第2捨てキャビティ部に対する第1捨てキャビティ部の繋ぎ位置の変位について、捨てキャビティ部の幅方向にマージンを確保できる。これによって、金型の修正に当たり、取り換える入れ子型の第1捨てキャビティ部の上記繋ぎ位置が捨てキャビティ部の幅方向に変位しても、その変位を許容して、第1捨てキャビティ部を第2捨てキャビティ部に対してスムーズ且つ段差のないように高い精度で繋げることができる。したがって、金型の修正を、入れ子型を取り換えることで簡単に行える。その結果、金型の修正に要するコストおよび作業期間を削減できる。
【0014】
第2の発明では、第1捨てキャビティ部および第2捨てキャビティ部がそれぞれ円筒状の空間である。このことは、成形キャビティ部から捨てキャビティ部に排出された樹脂をスムーズに流すのに有利である。そして、第2捨てキャビティ部の直径は、第1捨てキャビティ部の直径よりも大きい。これによれば、第1捨てキャビティ部の繋ぎ位置の変位についての上記マージンを、捨てキャビティ部の中心線に直交する全方向に確保できる。よって、金型の修正に伴い、第1捨てキャビティ部の上記繋ぎ位置が捨てキャビティ部のいずれの幅方向に変位しても、第1捨てキャビティ部と第2捨てキャビティ部とをスムーズ且つ段差のないように高い精度で繋ぐことができる。
【0015】
第3の発明では、第1捨てキャビティ部の中心線と第2捨てキャビティ部の中心線とが互いに一致する。それにより、第2捨てキャビティ部に対する第1捨てキャビティ部の繋ぎ位置の変位について、同程度のマージンを、捨てキャビティ部の中心線に直交する全方向に確保できる。このことは、第1捨てキャビティ部と第2捨てキャビティ部とをスムーズ且つ段差のないように高い精度で繋ぐのに有利である。
【0016】
第4の発明では、成形キャビティ部が長手方向において湾曲した湾曲キャビティ部を含む。このような成形キャビティ部で成形される中空成形品には、湾曲キャビティ部にて成形される湾曲部が設けられる。湾曲部を有する管体には、成形後の変形が生じ易い。そのため、本発明は、成形キャビティ部として湾曲キャビティ部を含む流体アシスト成形用の金型において有効である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施形態のガスアシスト成形装置の概略構成を例示する図である。
図2図2は、実施形態のガスアシスト成形用の金型の概略構成を例示する分解斜視図である。
図3図3は、実施形態の金型の概略構成を例示する平面図である。図3では、キャビティおよび入れ子型を透過して示す。
図4図4は、実施形態の金型の第2捨てキャビティ部に対する初期の入れ子型における第1捨てキャビティ部の繋ぎ位置を例示する図である。
図5A図6Aは、実施形態の管体の製造方法において金型のキャビティに樹脂を射出充填した状態を概念的に例示する図3相当図である。
図5B図6Bは、実施形態の管体の製造方法において樹脂の内部に加圧ガスを注入しているときの様子を概念的に例示する図3相当図である。
図5C図6Cは、実施形態の管体の製造方法においてキャビティ内の樹脂に中空部を形成した状態を概念的に例示する図3相当図である。
図6図6は、実施形態の管体の製造方法において管体を脱型する様子を例示する斜視図である。
図7図7は、実施形態の金型で成形する管体の概略構成を例示する平面図である。
図8図8は、実施形態の金型の修正を行った要部を例示する平面図である。
図9図9は、実施形態の金型の修正を行った場合の第2捨てキャビティ部に対する第1捨てキャビティ部の繋ぎ位置を例示する図である。
図10図10は、管体が成形後に変形した様子を例示する平面図である。
図11図11は、管体の変形によって第2開口端が変位した状態と金型の修正後の第2開口端の成形位置を例示する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態では、本発明に係る金型について、ガスアシスト成形用の金型を例に挙げて説明する。なお、図面は、本発明を概念的に説明するためのものである。よって、図面では、本発明の理解を容易にするために寸法、比または数を、誇張あるいは簡略化して表す場合がある。また、以下に述べる「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【0019】
この実施形態の金型10は、ガスアシスト成形により管体100を成形するための金型である。ガスアシスト成形は、ガスインジェクション成形とも呼ばれる流体アシスト成形の一例である。ガスアシスト成形では、加圧流体としてガスが使用される。管体100は、長手方向を有する樹脂製の中空成形品である。管体100は、例えば、エンジンの冷却水を流すウォーターパイプである。
【0020】
-管体の構成-
図7に示すように、管体100は、円筒管であって、冷却水を流通させるための中空部102を有する。管体100は、例えば熱可塑性樹脂からなる。管体100に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、ナイロン6やナイロン66といったポリアミド樹脂(PA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリプロピレン(PP)が挙げられる。管体100の両端開口は、互いに反対方向に向く。管体100の両端開口の中心線CL1,CL2は、一直線上にない。
【0021】
管体100は、第1直管部104と、第1湾曲管部106と、第2直管部108と、第2湾曲管部110と、第3直管部112とを備える。これら第1直管部104、第1湾曲管部106、第2直管部108、第2湾曲管部110および第3直管部112は、一体に成形される。中空部102は、第1直管部104、第1湾曲管部106、第2直管部108、第2湾曲管部110および第3直管部112に連続して設けられる。
【0022】
第1直管部104は、第1方向Xに直線状に延びる。第1直管部104の一端は、管体100の第1開口端105を構成する。第1湾曲管部106の一端は、第1直管部104の他端に接続される。第1湾曲管部106の一端は、第1直管部104の他端から第1方向Xと直交する第2方向Yに湾曲する。第2直管部108の一端は、第1湾曲管部106の他端に接続される。第2直管部108は、第2方向Yに直線状に延びる。
【0023】
第2湾曲管部110の一端は、第2直管部108の他端に接続される。第2湾曲管部110は、第2直管部108の他端から第1方向Xに曲がる。第2湾曲管部110は、第1湾曲管部106とは反対側に凸面をなす。第3直管部112の一端は、第2湾曲管部110の他端に接続される。第3直管部112は、第1方向Xに直線状に延びる。第3直管部112の他端は、管体100の第2開口端113を構成する。
【0024】
-ガスアシスト成形用の金型-
上記構成の管体100は、ガスアシスト成形用の金型10を用いて製造される。ガスアシスト成形は、不良品の削減による品質の向上と、材料費の削減によるコストダウンとを両立できる手法である。本例の金型10は、図1に示すようなガスアシスト成形装置1を構成する。ガスアシスト成形装置1は、樹脂射出機3と、ガス供給機5と、金型10とを備える。
【0025】
樹脂射出機3は、成形材料である樹脂Rを加熱して溶融する。樹脂射出機3は、溶融状態の樹脂Rを、スプルー12、ランナー14およびゲート16を介して金型10内のキャビティCに射出する。ガス供給機5は、加圧流体としての加圧ガスGSを、ガス供給路18を介して金型10内のキャビティCに所定の圧力で注入する。本例のガスアシスト成形装置1では、加圧ガスGSとして、窒素ガスなどの不活性ガスが使用される。図2にも示すように、金型10は、固定型20と、可動型30とを備える。
【0026】
金型10は、固定型20と可動型30とを型閉じすることにより、それら両型20,30の間にキャビティCを形成する。すなわち、金型10は、型閉じ状態で内部に形成されるキャビティCを有する。金型10は、キャビティCの他、スプルー12、ランナー14およびゲート16と、ガス供給路18とを有する。可動型30には、ガス供給路18が形成される。ガス供給路18は、キャビティC内に射出された樹脂Rの内部に加圧ガスGSを注入するための通路である。ガス供給路18は、流体供給路の一例である。ガス供給路18は、キャビティC(厳密には、導入キャビティ部Ci)に開口する(図3参照)。
【0027】
固定型20には、スプルー12が形成される。スプルー12は、固定型20の外面に開口する。スプルー12の外面開口には、樹脂射出機3のノズルが接続される。ランナー14は、スプルー12に連通される。ゲート16は、ランナー14に連通され、キャビティC(厳密には、導入キャビティ部Ci)に開口する(図3参照)。ゲート16は、キャビティCに溶融状態の樹脂Rを射出する。固定型20は、第1成形面22を有する。第1成形面22は、管体100の径方向における一方側の表面、例えば外周面の片側半体を成形する。
【0028】
可動型30は、第2成形面32を有する。第2成形面32は、管体100の径方向における他方型の表面、例えば外周面の片側半体を成形する。可動型30は、図示しない移動機構により、固定型20に対して接近する方向および離間する方向に移動する。金型10は、可動型30を固定型20に接近させる方向に移動させることで、型閉じされる。金型10は、可動型30を固定型20から離間させる方向に移動させることで、型開きされる。可動型30には、図示しないが、複数のエジェクタピンが設けられる。
【0029】
図3に示すように、型閉じ状態の金型10は、キャビティCとして、成形キャビティ部Cmと、導入キャビティ部Ciと、捨てキャビティ部Cdとを含む。
【0030】
成形キャビティ部Cmは、管体100を成形するための空洞である。成形キャビティ部Cmは、管体100の外形に対応する広がりを持つクランク形状の空間に形成される。成形キャビティ部Cmは、固定型20の第1成形面22と、可動型30の第2成形面32とによって画定される。成形キャビティ部Cmは、第1ストレート部Cm1と、第1湾曲部Cm2と、第2ストレート部Cm3と、第2湾曲部Cm4と、第3ストレート部Cm5とを含む。
【0031】
第1ストレート部Cm1は、管体100の第1直管部104を成形する空洞である。第1ストレート部Cm1は、第1方向Xに直線状に延びる円柱状の空間からなる。第1湾曲部Cm2は、管体100の第1湾曲管部106を成形する空洞である。第1湾曲部Cm2は、成形キャビティ部Cmの長手方向において湾曲した円柱状の空間からなる。第2ストレート部Cm3は、管体100の第2直管部108を成形する空洞である。第2ストレート部Cm3は、第2方向Yに直線状に延びる円柱状の空間からなる。
【0032】
第2湾曲部Cm4は、管体100の第2湾曲管部110を成形する空洞である。第2湾曲部Cm4は、成形キャビティ部Cmの長手方向において第1湾曲部Cm2とは反対側に湾曲した円柱状の空間からなる。第3ストレート部Cm5は、管体100の第3直管部112を成形する空洞である。第3ストレート部Cm5は、第1方向Xに直線状に延びる円柱状の空間である。第1湾曲部Cm2および第2湾曲部Cm4はそれぞれ、湾曲キャビティ部の一例である。
【0033】
導入キャビティ部Ciは、溶融状態の樹脂Rおよび加圧ガスGSを成形キャビティ部Cmに導入する経路となる空洞である。導入キャビティ部Ciは、成形キャビティ部Cmの長手方向における一端に繋がる。成形キャビティ部Cmにおいて導入キャビティ部Ciの繋がる部分は、第1ストレート部Cm1である。導入キャビティ部Ciは、第1ストレート部Cm1に対して直線状に連通する。導入キャビティ部Ciには、ゲート16およびガス供給路18が開口する。ゲート16の開口は、導入キャビティ部Ciを画定する壁面の外周面に位置する。
【0034】
図2に示すように、可動型30には、固定型20側に突出したブロック状の凸部34が設けられる。凸部34は、導入キャビティ部Ciを画定する壁面のうち成形キャビティ部Cmとは反対側の部分を構成する。ガス供給路18は、凸部34に設けられる。ガス供給路18の開口は、凸部34の導入キャビティ部Ciに臨む壁面において、第1直管部104の開口に対応する箇所に位置する。固定型20の凸部34に対応する部分には、凹部24が設けられる。凹部24は、金型10を型閉じしたときに凸部34と嵌合する。
【0035】
捨てキャビティ部Cdは、成形キャビティ部Cmから加圧ガスGSの注入により樹脂Rの余剰分が排出される空洞である。本例の捨てキャビティ部Cdは、互いに径の異なる円柱状の空間の組合せからなる。
【0036】
具体的には、図3に示すように、捨てキャビティ部Cdは、第1捨てキャビティ部Cd1と、第2捨てキャビティ部Cd2とを含む。第1捨てキャビティ部Cd1は、成形キャビティ部Cmの長手方向における一端に繋がる。成形キャビティ部Cmにおいて第1捨てキャビティ部Cd1の繋がる部分は、第3ストレート部Cm5である。第1捨てキャビティ部Cd1は、第3ストレート部Cm5に対して直線状に連通する。第2捨てキャビティ部Cd2は、第1捨てキャビティ部Cd1を介して第3ストレート部Cm5と直線状に連通する。
【0037】
本例の第1捨てキャビティ部Cd1および第2捨てキャビティ部Cd2はそれぞれ、円柱状の空間である。第1捨てキャビティ部Cd1および第2捨てキャビティ部Cd2はそれぞれ、全体に亘って同径に形成される。図4に示すように、第2捨てキャビティ部Cd2の直径D2は、第1捨てキャビティ部Cd1の直径D1よりも大きい。例えば、第2捨てキャビティ部Cd2の直径D2は、第1捨てキャビティ部Cd1の直径D1の1.3倍以上且つ1.8倍以下に設定される。
【0038】
このように、捨てキャビティ部Cdの中心線CL3に直交する幅方向において、第2捨てキャビティ部Cd2のうち第1捨てキャビティ部Cd1に繋がる部分の寸法は、第1捨てキャビティ部Cd1のうち第2捨てキャビティ部Cd2に繋がる部分の寸法よりも大きい。第2捨てキャビティ部Cd2の直径D2は、第1捨てキャビティ部Cd1の直径D1に対して、6mm以上且つ20mm以下の範囲で大きいことが好ましい。この場合、第1捨てキャビティ部Cd1と第2捨てキャビティ部Cd2との間の段差は、3mm以上且つ10mm以下となる。
【0039】
第1捨てキャビティ部Cd1および第2捨てキャビティ部Cd2は、第3ストレート部Cm5と中心線CL4,CL5,CL6が一致するように直線状に延びる。第1捨てキャビティ部Cd1の中心線CL4と、第2捨てキャビティ部Cd2の中心線CL5とは、互いに一致する。第2捨てキャビティ部Cd2に対する初期の第1捨てキャビティ部Cd1の繋ぎ位置は、第2捨てキャビティ部Cd2の中心位置に設定される(図4参照)。本例の金型10では、第2捨てキャビティ部Cd2に対する第1捨てキャビティ部Cd2の繋ぎ位置の変位について、捨てキャビティ部Cdの径方向にマージンが設けられる。
【0040】
金型10は、成形キャビティ部Cmにおける所定の対象部分を修正するのに用いられる入れ子構造を有する。本例の金型10における修正の対象部分は、第3ストレート部Cm5を含む部分である。具体的には、金型10において、成形キャビティ部Cmのうち第1捨てキャビティ部Cd1に繋がる一部と、第1捨てキャビティ部Cd1とを含む範囲は、入れ子型40によって構成される。入れ子型40は、成形キャビティ部Cmの他部を構成する母型50に対して取り換え可能である。
【0041】
図2に示すように、入れ子型40は、固定型20および可動型30にそれぞれ設けられる。固定型20および可動型30の互いに対応する部分は、入れ子型40によって構成される。すなわち、金型10は、一対の入れ子型40を有する。入れ子型40は、割ブロックからなる。固定型20および可動型30の各入れ子型40は、成形キャビティ部Cmのうち第3ストレート部Cm5、第2湾曲部Cm4、および第2ストレート部Cm3の一部と、第1捨てキャビティ部Cd1とを含む範囲を構成する。
【0042】
固定型20および可動型30の各母型50は、成形キャビティ部Cmのうち第1ストレート部Cm1、第1湾曲部Cm2、および第2ストレート部Cm3の他部と、導入キャビティ部Ciとを構成する。各母型50において、入れ子型40がキャビティCを構成する範囲には、嵌込み凹部52が設けられる。嵌込み凹部52には、入れ子型40が嵌め込まれる。入れ子型40は、ボルトなどの締結具を用いて母型50に固定される。
【0043】
-管体の製造方法-
管体100の製造方法は、準備ステップと、樹脂射出ステップと、流体アシストステップと、脱型ステップとを含む。
【0044】
まず、準備ステップを行う。準備ステップでは、上述したガスアシスト成形装置1を準備する。そして、金型10を型閉じ状態にして、キャビティCを形成する。さらに、閉じた金型10に圧力をかけて型締め状態とする。
【0045】
次に、樹脂射出ステップを行う。樹脂射出ステップでは、樹脂射出機3を駆動させ、金型10のキャビティCに対してゲート16から溶融状態の樹脂Rを射出する。このとき、樹脂Rは、導入キャビティ部Ciに射出される。射出された樹脂Rは、導入キャビティ部Ciから第1ストレート部Cm1、第1湾曲部Cm2、第2ストレート部Cm3、第2湾曲部Cm4を経て、第3ストレート部Cm5に流入する。そして、図5Aに示すように、成形キャビティ部Cmの全域に樹脂Rを行き渡らせて、キャビティCの一部に樹脂Rを充填する。樹脂Rの充填速度は、管体100の外観や機能、形状の不良、重量のばらつきを少なくするように設定される。
【0046】
続いて、流体アシストステップを行う。流体アシストステップでは、ガス供給機5を駆動させ、成形キャビティ部Cm内の樹脂Rの内部へ加圧ガスGS(不活性ガス)を注入する。そのことにより、図5Bに示すように、第1成形面22および第2成形面32に樹脂Rを加圧しつつ、樹脂Rの余剰分を捨てキャビティ部Cdに押し出して、成形キャビティ部Cm内の樹脂Rに中空部102を形成する。本例の流体アシストステップは、樹脂射出ステップでの成形キャビティ部Cmに対する樹脂Rの射出充填の完了後に行われる。流体アシストステップは、成形キャビティ部Cmに対する樹脂Rの射出充填の進行中に行われてもよい。
【0047】
このとき、加圧ガスGSは、導入キャビティ部Ciに注入される。注入された加圧ガスGSは、導入キャビティ部Ciから第1ストレート部Cm1、第1湾曲部Cm2、第2ストレート部Cm3、第2湾曲部Cm4を経て、第3ストレート部Cm5に流入する。流体アシストステップでは、図5Cに示すように、加圧ガスGSを、捨てキャビティ部Cdの一部にも到達するように注入する。そして、加圧ガスGSを注入した後、所定時間に亘り加圧ガスGSによって樹脂Rにかかる圧力を保持する。中空部102が形成された樹脂Rは、金型10のキャビティC内で冷却することにより固化される。それにより、管体100を含む成形品200が成形される。
【0048】
その後、脱型ステップを行う。脱型ステップでは、金型10を型開きして、可動型30を固定型20から離間させる。金型10を型開きすると、成形品200は、可動型30の第2成形面32に残った状態となる。脱型ステップでは、可動型30からエジェクタピンを突き出させることで、成形品200を第2成形面32から浮かせる。そうして、図6に示すように、金型10から成形品200を取り出す。しかる後、成形品200における導入キャビティ部Ciおよび捨てキャビティ部Cdの余剰固形物202と、ゲート残渣物204とを切除する。
【0049】
以上のようにして、中空成形品としての管体100を製造することができる。
【0050】
-金型の修正-
管体100には、成形後の変形が生じる。管体100は、変形を生じた後の寸法(長さ寸法L、幅寸法Wを含む各方向の寸法)が公差内に収まるように寸法管理される。管体100の寸法管理では、管体100の第1開口端105を基準位置Prとして、管体100の第2開口端113の位置Piを検査して管理する(図7参照)。管体100の寸法検査により、管体100の寸法が公差内に収まらない場合には、金型10を修正して管体100の寸法を調整する必要がある。
【0051】
例えば、図10に示すように、管体100において、第2開口端113が第1湾曲管部106側に寄る方向に変位する変形が生じた場合、第2開口端113の位置Piが第1方向Xおよび第2方向Yにおいて設計通りの正規位置Pdからずれる。また、図11に実線で示すように、第1方向Xおよび第2方向Yと直交する第3方向Zにおいても、第2開口端113の位置Piが正規位置Pdからずれる。この場合、管体100の変形分を見込んで金型10を修正する。
【0052】
金型10の修正は、固定型20および可動型30の各入れ子型40を取り換えることで行われる。具体的には、固定型20および可動型30に取り付けられた対象の各入れ子型40(図8に二点鎖線で示す成形面42を有する入れ子型40)を母型50から取り外し、対象の各入れ子型40に代えて修正用の入れ子型40(図8に実線で示す成形面42を有する入れ子型40)を母型50に取り付ける。図8に示すように、修正用の入れ子型40は、管体100のうち第2開口端113の位置Piが変形する方向とは逆側に変位させた修正位置Pc(図11に二点鎖線で示す位置)となるように成形する成形面42(第1成形面22または第2成形面32)を有する。
【0053】
このように金型10を修正すると、図9に示すように、第2捨てキャビティ部Cd2の繋ぎ部分に対して第1捨てキャビティ部Cd1の繋ぎ部分が変位する。しかし、第2捨てキャビティ部Cd2の直径D2が第1捨てキャビティ部Cd1の直径D1よりも大きいので、第1捨てキャビティ部Cd1の繋ぎ部分の変位を許容でき、第1捨てキャビティ部Cd1と第2捨てキャビティ部Cd2とを、両者の間に段差を形成することなく容易に繋ぐことができる。そして、修正した金型10を用いて管体100を成形することにより、変形後の寸法が公差内に収まるように管体100を成形できる。
【0054】
-実施形態の特徴-
この実施形態の金型10では、成形キャビティ部Cmのうち第1捨てキャビティ部Cd1に繋がる一部と、第1捨てキャビティ部Cd1とを含む範囲が、予め入れ子型40によって構成される。入れ子型40は、成形キャビティ部Cmの他部を構成する母型50に対して取り換え可能である。そして、捨てキャビティ部Cdの幅方向において、第2捨てキャビティ部Cd2の第1捨てキャビティ部Cd1に繋がる部分の寸法は、第1捨てキャビティ部Cd1の第2捨てキャビティ部Cd2に繋がる部分の寸法よりも大きい。そのことで、第2捨てキャビティ部Cd2に対する第1捨てキャビティ部Cd1の繋ぎ位置の変位について、捨てキャビティ部Cdの幅方向にマージンを確保できる。これによって、金型10の修正に当たり、取り換える入れ子型40の第1捨てキャビティ部Cd1の上記繋ぎ位置が捨てキャビティ部Cdの幅方向に変位しても、その変位を許容して、第1捨てキャビティ部Cd1を第2捨てキャビティ部Cd2に対してスムーズ且つ段差のないように高い精度で繋げることができる。したがって、金型10の修正を、入れ子型40を取り換えることで簡単に行える。その結果、金型10の修正に要するコストおよび作業期間を削減できる。
【0055】
この実施形態の金型10では、第1捨てキャビティ部Cd1および第2捨てキャビティ部Cd2がそれぞれ円筒状の空間である。このことは、成形キャビティ部Cmから捨てキャビティ部Cdに排出された樹脂Rをスムーズに流すのに有利である。そして、第2捨てキャビティ部Cd2の直径D2は、第1捨てキャビティ部Cd1の直径D1よりも大きい。これによれば、第1捨てキャビティ部Cd1の繋ぎ位置の変位についての上記マージンを、捨てキャビティ部Cdの中心線CL3に直交する全方向に確保できる。よって、金型10の修正に伴い、第1捨てキャビティ部Cd1の上記繋ぎ位置が捨てキャビティ部Cdのいずれの幅方向に変位しても、第1捨てキャビティ部Cd1と第2捨てキャビティ部Cd2とをスムーズ且つ段差のないように高い精度で繋ぐことができる。
【0056】
この実施形態の金型10では、第1捨てキャビティ部Cd1の中心線CL4と第2捨てキャビティ部Cd2の中心線CL5とが互いに一致する。それにより、第2捨てキャビティ部Cd2に対する第1捨てキャビティ部Cd1の繋ぎ位置の変位について、同程度のマージンを、捨てキャビティ部Cdの中心線CL3に直交する全方向に確保できる。このことは、第1捨てキャビティ部Cd1と第2捨てキャビティ部Cd2とをスムーズ且つ段差のないように高い精度で繋ぐのに有利である。
【0057】
この実施形態の金型10では、成形キャビティ部Cmが長手方向において湾曲した第1湾曲部Cm2および第2湾曲部Cm4を含む。このような成形キャビティ部Cmで成形される管体100には、第1湾曲部Cm2にて成形される第1湾曲管部106、第2湾曲部Cm4にて成形される第2湾曲管部110が設けられる。第1湾曲管部106および第2湾曲管部110を有する管体100には、成形後の変形が生じ易い。そのため、この実施形態の金型10は、成形キャビティ部Cmとして第1湾曲部Cm2および第2湾曲部Cm4を含むガスアシスト成形用の金型10において有効である。
【0058】
以上のように、本発明の例示として、好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。上記各実施形態が例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せに、さらに色々な変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲に属することは当業者に理解されるところである。
【0059】
例えば、上記実施形態では、固定型20および可動型30の各入れ子型40が、成形キャビティ部Cmのうち第3ストレート部Cm5から第2ストレート部Cm3の一部と、第1捨てキャビティ部Cd1とを含む範囲を構成するとしたが、これに限らない。各入れ子型40は、第3ストレート部Cm5の一部または全部と第1捨てキャビティ部Cd1のみを含む範囲を構成するものであってもよい。金型において各入れ子型40が構成する範囲は、成形キャビティ部Cmのうち第1捨てキャビティ部Cd1に繋がる一部と、第1捨てキャビティ部Cd1とを含んでいれば、任意に設定可能である。
【0060】
また、上記実施形態では、第1捨てキャビティ部Cd1および第2捨てキャビティ部Cd2がそれぞれ全体に亘って同径に形成されるとしたが、これに限らない。第1捨てキャビティ部Cd1および第2捨てキャビティ部Cd2の直径D1,D2は、捨てキャビティ部Cdの長手方向において変化してもよい。第1捨てキャビティ部Cd1および第2捨てキャビティ部Cd2は、角柱状などの他の広がり形状を持つ空間であってもよい。要は、捨てキャビティ部Cdの中心線CL3に直交する幅方向において、第2捨てキャビティ部Cd2のうち少なくとも第1捨てキャビティ部Cd1に繋がる部分の寸法が、第1捨てキャビティ部Cd1のうち少なくとも第2捨てキャビティ部Cd2に繋がる部分の寸法よりも大きければよい。
【0061】
また、上記実施形態では、本発明に係る金型について、ガスアシスト成形用の金型10を例に挙げて説明したが、これに限らない。ガスアシスト成形用の金型10は、本発明に係る金型の具体的態様の一例に過ぎず、本発明は、加圧流体として水などの液体を使用するウォーターアシスト成形など、ガス以外の加圧流体を使用する他の流体アシスト成形に用いられる金型にも適用可能である。
【0062】
また、上記実施形態では、管体100がウォーターパイプに使用されるものであるとたが、これに限らない。本発明に係る金型は、長手方向を有する樹脂製の中空成形品であれば、ブローバイガスやEGR(Exhaust Gas Recirculation)ガスを流す配管など、任意の部品を成形対象とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上説明したように、本発明は、流体アシスト成形用の金型について有用である。
【符号の説明】
【0064】
C キャビティ
Cd 捨てキャビティ部
Cd1 第1捨てキャビティ部
Cd2 第2捨てキャビティ部
Cm 成形キャビティ部
GS 加圧ガス(加圧流体)
R 樹脂
10 金型
16 ゲート
18 ガス供給路(流体供給路)
40 入れ子型
50 母型
100 管体(中空成形品)
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11