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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131910
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】報知装置および報知システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20230914BHJP
   B62D 1/08 20060101ALI20230914BHJP
   B62D 1/10 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B62D1/08
B62D1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036922
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】加藤 頌健
【テーマコード(参考)】
3D030
5H181
【Fターム(参考)】
3D030DB16
3D030DB17
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181LL04
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】自車に相対的に接近する接近対象物の方向に関わらず、当該接近対象物の接近を発光部で報知することができるとともに、当該発光部に対する視認性が向上する報知装置および報知システムを提供することを目的とする。
【解決手段】報知装置3は、ステアリング6に設けられ、自車に相対的に接近する接近対象物に関する情報を報知する。報知装置3は、光を発する発光部5Lおよび発光部5Rを備える。発光部5Lおよび発光部5Rは、光の点灯状態が変化することにより、自車に対する接近対象物の方位と、接近対象物との距離とのうちの、少なくとも一方を報知する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングに設けられ、自車に相対的に接近する接近対象物に関する情報を報知する報知装置であって、
光を発する発光部を備え、
前記発光部は、前記光の点灯状態が変化することにより、前記自車に対する前記接近対象物の方位と、前記接近対象物との距離とのうちの、少なくとも一方を報知する報知装置。
【請求項2】
前記発光部は、前記ステアリングの操作者から見た正面視で、前記点灯状態が上方から下方に向かって変化することにより、前記接近対象物の前側からの接近を報知し、前記点灯状態が下方から上方に向かって変化することにより、前記接近対象物の後側からの接近を報知する、請求項1に記載の報知装置。
【請求項3】
前記発光部は、前記ステアリングの操作者から見た正面視で、前記点灯状態が右方から左方に向かって変化することにより、前記接近対象物の右側からの接近を報知し、前記点灯状態が左方から右方に向かって変化することにより、前記接近対象物の左側からの接近を報知する、請求項1に記載の報知装置。
【請求項4】
前記発光部は、該発光部での前記光の発光面積が増加することにより、前記接近対象物との距離が短くなることを報知し、前記発光面積が減少することにより、前記接近対象物との距離が長くなることを報知する、請求項1に記載の報知装置。
【請求項5】
前記点灯状態は、前記接近対象物との距離の長短に応じて、段階的に変化する、請求項1に記載の報知装置。
【請求項6】
前記発光部は、前記ステアリングの回転中心に対して、その左右両側に、少なくとも1つずつ配置される、請求項1に記載の報知装置。
【請求項7】
前記発光部は、帯状をなす、請求項6に記載の報知装置。
【請求項8】
前記発光部は、前記ステアリングの回転中心を囲むリング状をなす、請求項1に記載の報知装置。
【請求項9】
前記発光部は、前記ステアリングの正面視で、前記ステアリングの回転中心に対して左側の前記点灯状態が変化することにより、前記接近対象物の左側からの接近を報知し、前記ステアリングの回転中心に対して右側の前記点灯状態が変化することにより、前記接近対象物の右側からの接近を報知する、請求項6または8に記載の報知装置。
【請求項10】
ステアリングに設けられ、自車に相対的に接近する接近対象物に関する情報を報知する報知装置と、該報知装置を制御する制御装置と、を備える報知システムであって、
前記報知装置は、
光を発する発光部を備え、
前記発光部は、前記光の点灯状態が変化することにより、前記自車に対する前記接近対象物の方位と、前記接近対象物との距離とのうちの、少なくとも一方を報知する報知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、報知装置および報知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、運転操作の支援を行う運転支援機能を有する自動車が知られている。この運転支援機能を有する自動車としては、例えば特許文献1に、インスツルメントパネルに設けられた発光スポットの発光色が、自車両の前方に位置する歩行者の接近の程度に応じて変化する(異なる)自動車が開示されている。例えば、歩行者が自車両に近づくほど、この歩行者に対するリスクレベルが高くなり、発光スポットの発光色は、歩行者の接近に伴って、黄色、アンバー、赤色の順に変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6319349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、自車両の前方に位置する歩行者等に対してのみ運転支援機能を発揮可能であるが、自車両の後方や側方からの接近には、運転支援機能を発揮することができない。また、例えばインスツルメントパネル上での発光スポットの配置箇所や運転者の目線の高さによっては、発光スポットがステアリングホイール(ステアリング)に遮られてしまい、発光スポットを十分に視認するのが困難となるおそれがある。
【0005】
本発明は、自車に相対的に接近する接近対象物の方向に関わらず、当該接近対象物の接近を発光部で報知することができるとともに、当該発光部に対する視認性が向上する報知装置および報知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の報知装置は、ステアリングに設けられ、自車に相対的に接近する接近対象物に関する情報を報知する報知装置であって、光を発する発光部を備え、発光部は、光の点灯状態が変化することにより、自車に対する接近対象物の方位と、接近対象物との距離とのうちの、少なくとも一方を報知する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、自車に相対的に接近する接近対象物の方向に関わらず、当該接近対象物の接近を発光部で報知することができるとともに、当該発光部に対する視認性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る第1実施形態の報知装置を備える報知システムのブロック図である。
図2図1に示す報知装置が備える発光部において、光の点灯状態の変化を示す正面図である。
図3図2に示す光の点灯状態の変化が生じる際の道路交通状況を示す上面図である。
図4図1に示す報知装置が備える発光部における光の点灯状態の変化(変形例)を示す正面図である。
図5図4に示す光の点灯状態の変化が生じる際の道路交通状況を示す上面図である。
図6】本発明に係る第2実施形態の報知装置が備える発光部において、光の点灯状態の変化を示す正面図である。
図7図6に示す光の点灯状態の変化が生じる際の道路交通状況を示す上面図である。
図8】本発明に係る第3実施形態の報知装置が備える発光部において、光の点灯状態の変化を示す正面図である。
図9】本発明に係る第3実施形態の報知装置が備える発光部において、光の点灯状態の変化(変形例)を示す正面図である。
図10】本発明に係る第3実施形態の報知装置が備える発光部において、光の点灯状態の変化(変形例)を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、以下の各実施形態に記載されている構成はあくまで例示に過ぎず、本発明の範囲は各実施形態に記載されている構成によって限定されることはない。
【0010】
<第1実施形態>
以下、図1図5を参照して、第1実施形態について説明する。図1に示す報知システム1は、制御装置2、報知装置3、情報取得装置4を備える。報知システム1は、自動車10(図3図5参照)に搭載される。なお、自動車10には、例えば、乗用車やバス、トラック等の普通自動車、小型乗用車や小型トラック等の小型自動車、軽自動車や軽トラック等の軽自動車、ロードローラやブルドーザー等の大型特殊自動車、農耕用トラクタやフォークリフト等の小型特殊自動車等が含まれる。制御装置2は、例えばECUの一部からなる。制御装置2は、報知装置3および情報取得装置4と通信可能に接続され、これらの作動を制御する。情報取得装置4は、例えば、自動車10の周囲の情報を取得する装置であり、例えば、カーナビゲーションシステム、車車間通信システム、路車間通信システム、車載カメラ、マイク等の各種周辺情報を取得可能な装置で構成される。制御装置2は、情報取得装置4で取得された情報に基づいて、報知装置3の作動を制御する。
【0011】
図2図4に示すように、報知装置3は、ステアリング6に設けられている。報知装置3は、ステアリング6を備える自動車10(自車)に相対的に接近する接近対象物に関する情報を報知する装置である。ステアリング6は、自動車10の運転手(運転者)から見て左に向けて突出するステアリングスポーク61Lと、右に向けて突出するステアリングスポーク61Rと、ステアリングコラム(図示せず)と略同心にステアリングスポーク61Lおよびステアリングスポーク61Rの各端部に連結された円形のステアリングホイール62とを備える。自動車10の運転手は、ステアリング6を操作することにより、自動車10の進行方向を転換することができる。ステアリングスポーク61Lとステアリングスポーク61Rとの間には、ホーンパッド63が設けられている。ホーンパッド63は、ステアリング6の回転中心と重なる位置に配置されている。また、接近対象物に関する情報は、情報取得装置4で取得された情報から得られる。この接近対象物としては、例えば、自動車、歩行者、工事や事故等が挙げられ、本実施形態では、緊急車両20を一例とする。緊急車両20は、パトロールカーである(図3図5参照)。
【0012】
図2図4に示すように、報知装置3は、ステアリング6の操作者、すなわち、運転手から見た正面視(以下「ステアリング6の正面視」と言う)で、左側のステアリングスポーク61Lに設けられた発光部5Lと、右側のステアリングスポーク61Rに設けられた発光部5Rとを備える。発光部5Lおよび発光部5Rは、それぞれ、独立して光を発するものであり、当該光の点灯状態(発光状態)が変化することにより、自動車10に対する緊急車両20の方位と、緊急車両20との距離とのうちの、少なくとも一方を運転手に報知することができる。なお、本実施形態では、点灯状態の変化に「点滅状態の変化」も含まれる。発光部5Lおよび発光部5Rは、それぞれ、例えば、複数のLEDが集合した集合体、液晶ディスプレイ、有機EL(Organic Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成され、単色発光するものであってもよいし、多色発光するものであってもよい。発光部5Lは、帯状をなし、本実施形態ではホーンパッド63(ステアリング6の回転中心)から遠ざかる方向、すなわち、外側に向かって弓なり状(円弧状)に湾曲しているが、これに限定されず、例えば、直線状であってもよい。また、発光部5Lは、帯状をなし、本実施形態では発光部5Lと反対側に向かって弓なり状(円弧状)に湾曲しているが、これに限定されず、例えば、直線状であってもよい。
【0013】
ここで、図3図5に示す道路交通状況に応じた、発光部5Lおよび発光部5Rの点灯状態の一例について説明する。図3に示す道路交通状況は、片側2車線の道路において、自動車10が左側の道路の第2走行車線を走行し、緊急車両20が右側の道路(対向車線)の第2走行車線を自動車10側に向かって走行している。図3に示す道路交通状況の場合、まず、図2(a)に示すように、発光部5Lおよび発光部5Rは、いずれも消灯状態となっている。そして、時間の経過とともに、発光部5Rの点灯状態は、順に、図2(b)に示す状態、図2(c)に示す状態、図2(d)に示す状態に変化して、再度図2(a)に示す状態に戻る。この点灯状態の変化は、自動車10が緊急車両20とすれ違うまで繰り返される。図2(b)に示す状態では、発光部5Rの全発光領域の上側の1/3(図中の「黒塗り」の部分)が発光している。図2(c)に示す状態では、発光部5Rの全発光領域の上側の2/3(図中の「黒塗り」の部分)が発光している。図2(d)に示す状態では、発光部5Rの全発光領域全体(図中の「黒塗り」の部分)が発光している。なお、発光部5Lは、発光部5Rの点灯状態が変化している最中でも、消灯状態のままである。このように、図3に示す道路交通状況下では、発光部5Lおよび発光部5Rのうちの、右側にある発光部5Rの点灯状態が変化する。具体的には、発光部5Rは、ステアリング6の正面視で、点灯状態が上方から下方に向かって変化する。これにより、右前側からの緊急車両20の接近が運転手に報知されることとなり、運転手は、当該道路交通状況に適した運転を行うことができる。
【0014】
図5に示す道路交通状況は、片側2車線の道路において、自動車10が左側の道路の第2走行車線を走行し、緊急車両20が同じ側の道路の第1走行車線を自動車10側に向かって走行している。図5に示す道路交通状況の場合、まず、図4(a)に示すように、発光部5Lおよび発光部5Rは、いずれも消灯状態となっている。そして、時間の経過とともに、発光部5Lの点灯状態は、順に、図4(b)に示す状態、図4(c)に示す状態、図4(d)に示す状態に変化して、再度図4(a)に示す状態に戻る。この点灯状態の変化は、自動車10が緊急車両20に抜かされるまで繰り返される。図4(b)に示す状態では、発光部5Lの全発光領域の下側の1/3(図中の「黒塗り」の部分)が発光している。図4(c)に示す状態では、発光部5Lの全発光領域の下側の2/3(図中の「黒塗り」の部分)が発光している。図4(d)に示す状態では、発光部5Lの全発光領域全体(図中の「黒塗り」の部分)が発光している。なお、発光部5Rは、発光部5Lの点灯状態が変化している最中でも、消灯状態のままである。このように、図4に示す道路交通状況下では、発光部5Lおよび発光部5Rのうちの、左側にある発光部5Lの点灯状態が変化する。具体的には、発光部5Lは、ステアリング6の正面視で、点灯状態が下方から上方に向かって変化する。これにより、左後側からの緊急車両20の接近が運転手に報知されることとなり、運転手は、当該道路交通状況に適した運転を行うことができる。
【0015】
以上のように、報知装置3は、自動車10に相対的に接近する緊急車両20の方向に関わらず、当該緊急車両20の接近を発光部5Lまたは発光部5Rで報知することができる。また、運転手は、点灯状態の段階的な変化、すなわち、光の動きによって、自動車10に対する緊急車両20の方位を直感的に認識することができる。前述したように、発光部5Lまたは発光部5Rは、いずれもステアリング6に設けられている。これにより、運転手が正面を注視して(見て)いても、最小限の視線移動で発光部5Lおよび発光部5Rを視認できる状態となる。さらに、正面を注視したまま左右後方からの緊急車両20の接近を認識することができる。また、インスツルメンタルパネルにアイコン等で表示する方法と比較して、動的に表示をすることで、より直感的に認識することができる。これにより、例えば、緊急車両20の接近を迅速に把握することができる。また、発光部5Lと発光部5Rとは、ホーンパッド63に対して、その左右両側に1つずつ配置されている。これにより、緊急車両20の左側からの接近と、緊急車両20の右側からの接近とで、発光部5Lと発光部5Rとを使い分けることでき、自動車10に対する緊急車両20の方位の迅速に把握することができる。その結果、走行の安全性向上に寄与する。
【0016】
なお、発光部5Lおよび発光部5Rにおける各点灯状態の切り替えタイミングは、任意である。例えば、発光部5Lは、0.5~1秒間で図2(a)に示す状態~図2(d)に示す状態に変化するよう構成されていてもよい。同様に、発光部5Rも、0.5~1秒間で図4(a)に示す状態~図4(d)に示す状態に変化するよう構成されていてもよい。また、発光部5Lおよび発光部5Rにおける各点灯状態の切り替えタイミングは、緊急車両20の相対速度に応じて変更されてもよい。例えば、発光部5Lは、緊急車両20の相対速度が大となればなるほど、図2(a)に示す状態~図2(d)に示す状態に変化する周期が早くなるよう構成されていてもよい。発光部5Rについても同様とすることができる。また、緊急車両20の相対速度に応じて、光の色も変更されてもよい。発光部5Lは、緊急車両20の相対速度が大となればなるほど、青色、黄色、赤色等の順に光の色が変更可能に構成されていてもよい。
【0017】
<第2実施形態>
以下、図6図7を参照して、第2実施形態について説明する。図6に示すように、本実施形態では、左側のステアリングスポーク61Lに、3つの発光部5Lが並んで設けられている。以下、これら3つの発光部5Lを左側から順に「発光部5L1」、「発光部5L2」、「発光部5L3」と言う。発光部5L1、発光部5L2、発光部5L3は、同じ形状であるが、大きさが異なる。発光部5L1の大きさが最小であり、発光部5L3の大きさが最大である。発光部5L2は、発光部5L1と発光部5L3との中間の大きさである。
【0018】
右側のステアリングスポーク61Rには、3つの発光部5Rが並んで設けられている。以下、これら3つの発光部5Rを右側から順に「発光部5R1」、「発光部5R2」、「発光部5R3」と言う。発光部5R1、発光部5R2、発光部5R3は、同じ形状であるが、大きさが異なる。発光部5R1の大きさが最小であり、発光部5R3の大きさが最大である。発光部5R2は、発光部5R1と発光部5R3との中間の大きさである。また、発光部5L1と発光部5R1とは、大きさが同じであり、発光部5L2と発光部5R2とは、大きさが同じであり、発光部5L3と発光部5R3とは、大きさが同じである。このように、発光部5L1~発光部5L3と、発光部5R1~発光部5R3とは、ホーンパッド63に関して対称的な関係にある。なお、発光部5L1~発光部5L3の形状、数量および大きさ、発光部5R1~発光部5R3の形状、数量および大きさは、図6に示すものに限定されない。
【0019】
ここで、図7に示す道路交通状況に応じた、発光部5Lおよび発光部5Rの点灯状態の一例について説明する。図7に示す道路交通状況は、片側2車線の道路において、自動車10が左側の道路の第1走行車線を走行しており、同じ側の第2走行車線の一部が道路工事領域30で占められている。また、自動車10は、道路工事領域30の隣りを走行しているが、徐々に道路工事領域30に近づきつつある。道路工事領域30は、自動車10に対して右側に位置し、本実施形態では、この道路工事領域30を接近対象物の一例とする。
【0020】
図7に示す道路交通状況の場合、まず、図6(a)に示すように、発光部5L1~発光部5L3と、発光部5R1~発光部5R3とは、いずれも消灯状態となっている。そして、時間の経過とともに、発光部5R1~発光部5R3の点灯状態は、順に、図6(b)に示す状態、図6(c)に示す状態、図6(d)に示す状態に変化して、再度図6(a)に示す状態に戻る。この点灯状態の変化は、自動車10が道路工事領域30を超えるか、または、道路工事領域30に対する自動車10の右側への接近が解消されるまで繰り返される。図6(b)に示す状態では、発光部5R1の全発光領域全体(図中の「黒塗り」の部分)が発光している。図6(c)に示す状態では、発光部5R1の発光状態が維持されたまま、発光部5R2の全発光領域(図中の「黒塗り」の部分)が発光している。図6(d)に示す状態では、発光部5R1および発光部5R2の発光状態が維持されたまま、発光部5R3の全発光領域全体(図中の「黒塗り」の部分)が発光している。なお、発光部5L1~発光部5L3は、発光部5R1~発光部5R3の点灯状態が変化している最中でも、消灯状態のままである。このように、図7に示す道路交通状況下では、発光部5L1~発光部5L3、発光部5R1~発光部5R3のうちの、右側にある発光部5R1~発光部5R3の点灯状態が変化する。具体的には、発光部5R1~発光部5R3は、ステアリング6の正面視で、点灯状態が右方から左方に向かって順に変化する。これにより、右側からの道路工事領域30の接近が運転手に報知されることとなり、運転手は、当該道路交通状況に適した運転、すなわち、自動車10を道路工事領域30から左側へ離間させる運転を行うことができる。
【0021】
また、本実施形態の報知装置3(報知システム1)は、自動車10と道路工事領域30との距離の長短に応じて、発光部5R1~発光部5R3の点灯状態が段階的に変化することも可能である。すなわち、発光部5R1~発光部5R3を合わせた総発光面積が増加することにより、道路工事領域30との距離が短くなることを報知し、総発光面積が減少することにより、道路工事領域30との距離が長くなることを報知することができる。例えば、発光部5R1が発光した状態から、発光部5R2がさらに発光した場合、発光部5R1と発光部5R2とを合わせた総発光面積は、発光部5R1のみが発光したときの発光面積よりも増加する。この場合、道路工事領域30との距離が短くなりつつあることが報知される。また、発光部5R1~発光部5R3が全て発光した状態から、発光部5R3のみが消灯した場合、発光部5R1~発光部5R3を合わせた総発光面積は、発光部5R1および発光部5R2が発光したときの発光面積よりも減少する。この場合、道路工事領域30との距離が長くなりつつあることが報知される。このような自車と通知対象との相対的な距離を発光部5R1~発光部5R3の点灯状態を動的に変化させることにより、右側からの道路工事領域30の接近がどの程度であるのかが運転手に報知されることとなり、運転手は、当該道路交通状況に適した運転を行うことができる。
【0022】
なお、発光部5Lと発光部5Rとは、本実施形態ではホーンパッド63の左右両側に3つずつ配置されているが、配置数ついては、3つに限定されず、例えば、2つまたは4つ以上であってもよい。また、本実施形態では、自動車10が道路工事領域30に右側から接近した場合を一例としたが、自動車10が道路工事領域30に左側から接近した場合も同様である。具体的には、ステアリング6の正面視で、左側にある発光部5L1~発光部5L3の点灯状態が左方から右方に向かって順に変化する。これにより、左側からの道路工事領域30の接近が運転手に報知されることとなり、運転手は、当該道路交通状況に適した運転、すなわち、自動車10を道路工事領域30から右側へ離間させる運転を行うことができる。
【0023】
<第3実施形態>
以下、図8図10を参照して、第3実施形態について説明する。図8図10に示すように、本実施形態では、報知装置3は、ホーンパッド63を囲むリング状の発光部5を備える。
【0024】
ここで、図3図5図7に示す道路交通状況に応じた、発光部5Lおよび発光部5Rの点灯状態の一例について説明する。図3に示す道路交通状況の場合、まず、図8(a)に示すように、発光部5は消灯状態となっている。そして、時間の経過とともに、発光部5の点灯状態は、順に、図8(b)に示す状態、図8(c)に示す状態、図8(d)に示す状態に変化して、再度図8(a)に示す状態に戻る。図8(b)に示す状態では、発光部5の全発光領域の右上側の1/3、すなわち、クロックポジションで12時~2時の方向(図中の「黒塗り」の部分)が発光している。図8(c)に示す状態では、発光部5の全発光領域の右上側の2/3、すなわち、12時~4時の方向(図中の「黒塗り」の部分)が発光している。図8(d)に示す状態では、発光部5の全発光領域の右側全体、すなわち、12時~6時の方向(図中の「黒塗り」の部分)が発光している。なお、発光部5の左側半分は、消灯状態のままである。このように、図3に示す道路交通状況下では、ステアリング6の正面視で、発光部5の右側半分の点灯状態が上方から下方に向かって変化する。これにより、右前側からの緊急車両20の接近が運転手に報知されることとなり、運転手は、当該道路交通状況に適した運転を行うことができる。
【0025】
図5に示す道路交通状況の場合、まず、図9(a)に示すように、発光部5は消灯状態となっている。そして、時間の経過とともに、発光部5の点灯状態は、順に、図9(b)に示す状態、図9(c)に示す状態、図9(d)に示す状態に変化して、再度図9(a)に示す状態に戻る。図9(b)に示す状態では、発光部5の全発光領域の左下側の1/3、すなわち、クロックポジションで6時~8時の方向(図中の「黒塗り」の部分)が発光している。図9(c)に示す状態では、発光部5の全発光領域の左下側の2/3、すなわち、6時~10時の方向(図中の「黒塗り」の部分)が発光している。図9(d)に示す状態では、発光部5の全発光領域の左側全体、すなわち、クロックポジションで6時~12時の方向(図中の「黒塗り」の部分)が発光している。なお、発光部5の右側半分は、消灯状態のままである。このように、図9に示す道路交通状況下では、ステアリング6の正面視で、発光部5の左側半分の点灯状態が下方から上方に向かって変化する。これにより、左後側からの緊急車両20の接近が運転手に報知されることとなり、運転手は、当該道路交通状況に適した運転を行うことができる。
【0026】
図7に示す道路交通状況の場合、まず、図10(a)に示すように、発光部5は消灯状態となっている。そして、時間の経過とともに、発光部5の点灯状態は、順に、図10(b)に示す状態、図10(c)に示す状態、図10(d)に示す状態に変化して、再度図10(a)に示す状態に戻る。図10(b)に示す状態では、発光部5の全発光領域の右側、すなわち、クロックポジションで2時~4時の方向(図中の「黒塗り」の部分)が発光している。図10(c)に示す状態では、1時~5時の方向(図中の「黒塗り」の部分)が発光している。図10(d)に示す状態では、発光部53の全発光領域の右側全体、すなわち、12時~6時の方向(図中の「黒塗り」の部分)が発光している。なお、発光部5の左側半分は消灯状態のままである。このように、図7に示す道路交通状況下では、ステアリング6の正面視で、発光部5の右側半分の点灯状態が右方から左方に向かって順に変化する。これにより、右側からの道路工事領域30の接近が運転手に報知されることとなり、運転手は、当該道路交通状況に適した運転を行うことができる。
【0027】
なお、発光部5は、ステアリング6の回転とともに回転するよう構成されていてもよいし、その回転がステアリング6の回転に関わらず規制されるよう構成されていてもよい。発光部5の回転が規制されている場合、ステアリング6の回転角に依存せずに、接近対象物の方位の報知が可能である。
【0028】
<変形例>
接近対象物として、第1実施形態では自動車10(自車)が走行する車線と平行に隣接する車線を走行する緊急車両20、第2実施形態では自車が走行する車線と平行に隣接する車線に設けられた道路工事領域30を一例に挙げたが、これに限定されない。接近対象物の他の例としては、例えば、中央線(センタライン)や車線境界線(車両通行帯境界線)等の道路標示用の線、丁字路や十字路の交差点に進入して自動車10に接近してくると予想される他車両、自動車10が交差点を曲がった先にある道路工事現場や事故現場等が挙げられる。
【0029】
接近対象物が道路標示用の線の場合、報知装置3の発光部(発光部5L、発光部5R、発光部5)により、道路標示用の線までの距離の程度や、道路標示用の線越え(車線逸脱)等を報知することができる。接近対象物が交差点に進入してくる他車両の場合、報知装置3の発光部により、他車両の方位、他車両までの距離の程度等を報知することができる。接近対象物が交差点の先にある道路工事現場や事故現場の場合、報知装置3の発光部により、当該現場までの距離の程度等を報知することができる。そして、これらの報知は、いずれも、自動車10の走行の安全性向上に寄与する。
【0030】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した各実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。また、本発明は上述した各実施形態同士を組み合わせてもよい。例えば、報知装置は、ステアリングの正面視で、ステアリングが直進状態でも回動状態でも、当該ステアリングの回動角度に合わせて、発光部の点灯方向を自動的に補正可能に構成されていてもよい。また、発光部は、ステアリングホイールに設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 報知システム
3 報知装置
5 発光部
5L 発光部
5R 発光部
6 ステアリング
10 自動車
20 緊急車両
30 道路工事領域
図1
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