(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131941
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20230914BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20230914BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20230914BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20230914BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
H01L29/78 652H
H01L29/78 652G
H01L29/78 653A
H01L29/78 658E
H01L29/78 658A
H01L29/78 658G
H01L29/78 658F
H01L29/78 652K
H01L29/78 652B
H01L29/78 652C
H01L29/78 652J
H01L29/78 656B
H01L29/78 626A
H01L29/78 617K
H01L29/78 616T
H01L29/78 616V
H01L27/088 331E
H01L27/088 E
H01L27/088 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036968
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100154036
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】大久保 謙一
【テーマコード(参考)】
5F048
5F110
【Fターム(参考)】
5F048AC01
5F048AC06
5F048BA16
5F048BB06
5F048BB11
5F048BB19
5F048BC03
5F048BD07
5F048BD09
5F048BD10
5F048CB01
5F110AA30
5F110BB11
5F110BB12
5F110CC09
5F110EE09
5F110EE24
5F110EE42
5F110FF02
5F110FF03
5F110FF04
5F110GG02
5F110GG42
5F110HJ06
5F110HJ13
5F110HM04
5F110HM12
5F110NN62
5F110NN74
5F110NN78
5F110QQ19
(57)【要約】
【課題】小型化に適した構造を有すると共に、高耐圧化を実現することが可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】面内の第1方向に延在すると共に、前記第1方向と直交する第2方向に第1導電型の半導体領域、及び第2導電型の半導体領域を交互に複数配列することで構成されたSJ層と、前記第1方向の一端側の前記SJ層と電気的に接続された前記第1導電型の第1ドレイン層と、前記第1方向の他端側の前記SJ層の上に設けられた前記第2導電型のチャネル層と、前記チャネル層の上に設けられた前記第1導電型の第1ソース層と、前記チャネル層及び前記第1ソース層の前記第1方向の側方に第1絶縁層を介して設けられた第1ゲート電極と、を備える、半導体装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面内の第1方向に延在すると共に、前記第1方向と直交する第2方向に第1導電型の半導体領域、及び第2導電型の半導体領域を交互に複数配列することで構成されたSJ層と、
前記第1方向の一端側の前記SJ層と電気的に接続された前記第1導電型の第1ドレイン層と、
前記第1方向の他端側の前記SJ層の上に設けられた前記第2導電型のチャネル層と、
前記チャネル層の上に設けられた前記第1導電型の第1ソース層と、
前記チャネル層及び前記第1ソース層の前記第1方向の側方に第1絶縁層を介して設けられた第1ゲート電極と、
を備える、半導体装置。
【請求項2】
前記第1絶縁層は、前記第1ゲート電極を埋め込まれて前記SJ層の上に設けられる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1ゲート電極は、前記チャネル層及び前記第1ソース層と、前記第1ドレイン層との間に設けられる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記SJ層は、前記チャネル層を越えて前記第1方向に延在して設けられ、
前記SJ層の前記チャネル層を越えて延在された端部には、前記第1導電型の第2ドレイン層がさらに設けられ、
前記チャネル層及び前記第1ソース層の前記第1ゲート電極が設けられた側と反対側の側方には、第2絶縁層を介して第2ゲート電極が設けられる、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極は、前記チャネル層及び前記第1ソース層の全周を囲むように連続して設けられる、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1ゲート電極は、前記チャネル層及び前記第1ソース層に対して、前記第1ドレイン層が設けられた側と反対側に設けられる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記チャネル層は、前記第1ゲート電極の全周を囲むように設けられる、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記SJ層は、前記チャネル層を越えて前記第1方向に延在して設けられ、
前記SJ層の前記チャネル層を越えて延在された端部には、前記第1導電型の第2ドレイン層がさらに設けられ、
前記第1ゲート電極と、前記第2ドレイン層との間の前記チャネル層の上には、第2ソース層が設けられる、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記チャネル層と、前記SJ層との間には、前記第1導電型の中間層がさらに設けられる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記SJ層の前記第1導電型の半導体領域には、空乏層が形成される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記SJ層は、絶縁性材料で構成された層間絶縁層の上に設けられる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記層間絶縁層は、半導体基板と積層されており、
前記SJ層は、前記層間絶縁層及び前記半導体基板を含む積層基板の上に設けられる、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記積層基板には、ロジック回路、又はフォトダイオードを含む画素が設けられる、請求項12に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多様なアプリケーションに対応するために、大電流を扱うことが可能な高耐圧トランジスタの需要が高まっている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、P型領域及びN型領域の繰り返し構造(いわゆるスーパージャンクション構造)のドリフト層を備える縦型トランジスタが開示されている。特許文献1に開示された縦型トランジスタは、ドリフト層に分厚い空乏層が形成されるため、耐圧性をより高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の特許文献1に開示された縦型トランジスタは、高耐圧化されるほどにドリフト層の膜厚が厚くなるため、高背化してしまう。したがって、特許文献1に開示された縦型トランジスタは、小型化には適していなかった。
【0006】
そこで、本開示では、高耐圧化を実現することが可能であると共に、小型化に適した構造を有する、新規かつ改良された半導体装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、面内の第1方向に延在すると共に、前記第1方向と直交する第2方向に第1導電型の半導体領域、及び第2導電型の半導体領域を交互に複数配列することで構成されたSJ層と、前記第1方向の一端側の前記SJ層と電気的に接続された前記第1導電型の第1ドレイン層と、前記第1方向の他端側の前記SJ層の上に設けられた前記第2導電型のチャネル層と、前記チャネル層の上に設けられた前記第1導電型の第1ソース層と、前記チャネル層及び前記第1ソース層の前記第1方向の側方に第1絶縁層を介して設けられた第1ゲート電極と、を備える、半導体装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態に係る半導体装置の構成を示す透過斜視図である。
【
図2】同実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【
図3A】同実施形態に係る半導体装置の製造の一工程を説明する斜視図である。
【
図3B】同実施形態に係る半導体装置の製造の一工程を説明する斜視図である。
【
図3C】同実施形態に係る半導体装置の製造の一工程を説明する斜視図である。
【
図3D】同実施形態に係る半導体装置の製造の一工程を説明する斜視図である。
【
図3E】同実施形態に係る半導体装置の製造の一工程を説明する斜視図である。
【
図3F】同実施形態に係る半導体装置の製造の一工程を説明する斜視図である。
【
図3G】同実施形態に係る半導体装置の製造の一工程を説明する斜視図である。
【
図3H】同実施形態に係る半導体装置の製造の一工程を説明する斜視図である。
【
図3I】同実施形態に係る半導体装置の製造の一工程を説明する斜視図である。
【
図3J】同実施形態に係る半導体装置の製造の一工程を説明する斜視図である。
【
図3K】同実施形態に係る半導体装置の製造の一工程を説明する斜視図である。
【
図4】第1の変形例に係る半導体装置の構成を示す上面図である。
【
図5】第2の変形例に係る半導体装置の構成を示す上面図である。
【
図6】第3の変形例に係る半導体装置の構成を示す透過斜視図である。
【
図7】第4の変形例に係る半導体装置の構成を示す上面図である。
【
図8】第5の変形例に係る半導体装置の構成を示す上面図である。
【
図9】第6の変形例に係る半導体装置の構成を示す透過斜視図である。
【
図10】第7の変形例に係る半導体装置の構成を示す透過斜視図である。
【
図11】本開示の一実施形態に係る半導体装置を適用した積層型半導体装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0010】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.構成例
2.製造方法
3.変形例
4.適用例
【0011】
<1.構成例>
まず、
図1及び
図2を参照して、本開示の一実施形態に係る半導体装置の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る半導体装置1の構成を示す透過斜視図である。
図1では、図に正対して横方向をX軸方向、図に正対して縦方向をZ軸方向、図の紙面に対して前後方向をY軸方向として定義する。
図2は、本実施形態に係る半導体装置1の構成を示す断面図である。
図2は、
図1に示す半導体装置1をZX平面で切断した断面を示す。
【0012】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る半導体装置1は、基底絶縁層110と、SJ(Super Junction)層120と、チャネル層130と、ソース層140と、ドレイン層150と、ゲート電極160と、絶縁層170と、素子分離層175とを備える。
【0013】
以下では、第1導電型とは、P型又はN型のいずれか一方を表し、第2導電型とは、第1導電型とは異なるP型又はN型のいずれか他方を表すものとする。すなわち、第1導電型がN型である場合、第2導電型はP型である。また、第1導電型がP型である場合、第2導電型はN型である。
【0014】
基底絶縁層110は、無機絶縁性材料で構成され、SJ層120及びドレイン層150を支持すると共に、SJ層120及びドレイン層150をZ軸方向下方の構成(例えば、半導体装置1を支持する半導体基板など)から絶縁する。半導体装置1は、SJ層120の下に絶縁性の基底絶縁層110を設けることで、Z軸方向の耐圧性を高めることができる。例えば、基底絶縁層110は、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)、又は酸窒化シリコン(SiON)などで構成されてもよい。
【0015】
SJ層120は、第1導電型(例えば、N型)の半導体領域120Nと、第2導電型(例えば、P型)の半導体領域120Pとによって構成され、基底絶縁層110の上に設けられる。具体的には、SJ層120は、X軸方向(すなわち第1方向)に延在する半導体領域120N及び半導体領域120Pを、X軸方向と直交するY軸方向(すなわち第2方向)に交互に繰り返し配列したSi層として設けられてもよい。
【0016】
SJ層120では、第1導電型の半導体領域120Nが導通路として機能する。具体的には、ゲート電極160への電圧印加によってチャネル層130がオン状態となることで、ソース層140からチャネル層130、及びSJ層120の半導体領域120Nを介してドレイン層150に電流が流れる。
【0017】
SJ層120は、上述したように、第1導電型の半導体領域120Nと、第2導電型の半導体領域120PとがY軸方向に交互に配置されたスーパージャンクション構造にて設けられる。スーパージャンクション構造では、ドレイン層150-ソース層140間に電圧が印加されることで、例えば、第2導電型の半導体領域120Pから第1導電型の半導体領域120Nに空乏層が広がる。これにより、第1導電型の半導体領域120Nには、ほぼ均一の電界強度を有するため降伏現象が生じにくく、かつ分厚い空乏層が形成されるため、SJ層120は、極めて高い耐圧性を有することができる。
【0018】
また、SJ層120では、第1導電型の半導体領域120Nにおける空乏層の広がり幅が小さいため、第1導電型の半導体領域120Nは、導電型不純物の濃度がより高い場合でも空乏層を適切に形成することができる。したがって、SJ層120は、第1導電型の半導体領域120Nに含まれる導電型不純物の濃度をより高めることで、半導体領域120Nの電気抵抗をより低くすることができる。これによれば、半導体装置1は、オン抵抗をより低くすることが可能である。
【0019】
ドレイン層150は、第1導電型の半導体で構成され、SJ層120のX軸方向の一端側と接してZ軸方向に延在して設けられる。具体的には、ドレイン層150は、SJ層120のX軸方向の一端側(例えば、
図1及び
図2では右側)の側面と電気的に接して基底絶縁層110の上に設けられてもよい。これによれば、ドレイン層150は、複数の第1導電型の半導体領域120Nの側面から基底絶縁層110と反対側のZ軸方向にドレイン電流を取り出すことができる。例えば、ドレイン層150は、N型のSi層として設けられてもよい。
【0020】
チャネル層130は、第2導電型の半導体で構成され、X軸方向のドレイン層150が設けられた一端側と反対の他端側(例えば、
図1及び
図2では左側)のSJ層120の上に設けられる。具体的には、チャネル層130は、X軸方向の他端側のSJ層120の上に、複数の第1導電型の半導体領域120Nの上に広がって設けられてもよい。例えば、チャネル層130は、P型のSi層として設けられてもよい。
【0021】
ソース層140は、第1導電型の半導体で構成され、チャネル層130の上に設けられる。具体的には、ソース層140は、SJ層120との間でチャネル層130をZ軸方向に挟持するように、チャネル層130の上に設けられてもよい。例えば、ソース層140は、N型のSi層として設けられてもよい。
【0022】
絶縁層170は、無機絶縁性材料で構成され、チャネル層130及びソース層140の積層体と、ドレイン層150との間を埋め込むようにSJ層120の上に設けられる。絶縁層170は、例えば、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)、又は酸窒化シリコン(SiON)などで構成されてもよい。
【0023】
ゲート電極160は、導電性材料で構成され、チャネル層130及びソース層140の積層体の側方に絶縁層170を介して設けられる。具体的には、ゲート電極160は、チャネル層130及びソース層140、並びにSJ層120と離隔して、X軸方向の他端側の絶縁層170に埋め込まれるように設けられる。例えば、ゲート電極160は、poly-Siにて構成されてもよい。
【0024】
これにより、半導体装置1は、ゲート電極160、絶縁層170、及びチャネル層130にてMIS(Metal-Insulator-Semiconductor)ゲート構造を形成することができるため、ゲート電極160への電圧印加にてチャネル層130の導通を制御することができる。すなわち、半導体装置1は、ソース層140とドレイン層150との間を電気的に接続する導通路がチャネル層130にZ軸方向に形成される、縦型ゲート構造の電界効果トランジスタである。
【0025】
素子分離層175は、無機絶縁性材料で構成され、基底絶縁層110の上にZ軸方向に延在して設けられることで、半導体装置1を他の素子等から電気的に絶縁する。素子分離層175は、例えば、チャネル層130及びソース層140の積層体のドレイン層150側と反対の側方にZ軸方向に延在して設けられてもよい。例えば、素子分離層175は、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)、又は酸窒化シリコン(SiON)などで構成されてもよい。
【0026】
本実施形態に係る半導体装置1では、チャネル層130とドレイン層150との間にスーパージャンクション構造を有するSJ層120が設けられる。SJ層120は、ドレイン層150-ソース層140間の電圧印加によって、チャネル層130とドレイン層150との間に分厚い空乏層を形成することができるため、半導体装置1の耐圧性をより高めることができる。SJ層120では、Y軸方向に空乏層が広がるため、SJ層120における導電型不純物の濃度が高い場合でも空乏層を十分に形成することができる。したがって、半導体装置1は、SJ層120の導電型不純物の濃度を高めることでSJ層120の電気抵抗を低下させることができるため、オン抵抗をより低減することが可能である。
【0027】
また、本実施形態に係る半導体装置1では、SJ層120は、厚み方向(すなわち、Z軸方向)ではなく、XY面内方向に延在して設けられる。したがって、半導体装置1は、SJ層120がZ軸方向に延在して設けられる場合と比較して、装置全体の厚みをより低くする(すなわち、低背化させる)ことが可能である。
【0028】
さらに、本実施形態に係る半導体装置1では、ソース層140、ゲート電極160、及びドレイン層150は、基底絶縁層110側の面とは反対側の上面に露出するように設けられる。これによれば、半導体装置1は、ソース層140、ドレイン層150、及びゲート電極160との電気的な接続を同一の面側から形成することが可能であるため、これらへの配線をより容易に形成することが可能である。
【0029】
<2.製造方法>
続いて、
図3A~
図3Kを参照して、本実施形態に係る半導体装置1の製造方法の一例について説明する。
図3A~
図3Kは、本実施形態に係る半導体装置1の製造の一工程を説明する斜視図である。
【0030】
まず、
図3Aに示すように、X軸方向に延在する基底絶縁層110の上に第1導電型のSJ前駆体層121が形成される。例えば、SiO
2で形成された基底絶縁層110の上に、第1導電型(例えば、N型)のSiをエピタキシャル成長させることでSJ前駆体層121が形成される。
【0031】
次に、
図3Bに示すように、第1導電型のSJ前駆体層121に第2導電型不純物が導入されることでSJ層120が形成される。例えば、Y軸方向に所定の間隔を空けて縞状にパターニングされた、X軸方向に延在するレジストをマスクとして、第1導電型のSJ前駆体層121に第2導電型不純物(例えば、ホウ素又はアルミニウムなど)がイオン注入される。これにより、X軸方向に延在する第1導電型(例えば、N型)の半導体領域120N、及び第2導電型(例えば、P型)の半導体領域120PがY軸方向に交互に配列されたSJ層120が形成される。
【0032】
続いて、
図3Cに示すように、SJ層120の上に第2導電型のチャネル層130が形成される。例えば、SJ層120の上に第2導電型(例えば、P型)のSiをエピタキシャル成長させることでチャネル層130が形成される。
【0033】
次に、
図3Dに示すように、基底絶縁層110の上に設けられたX軸方向の他端側(図に正対して左側)のチャネル層130及びSJ層120がエッチングにて除去されることで、開口175Hが形成される。
【0034】
その後、
図3Eに示すように、開口175Hが無機絶縁性材料で埋め込まれることで、素子分離層175が形成される。例えば、開口175Hを埋め込むように、CVD(Chemical Vapor Deposition)などを用いてSiO
2を堆積することで素子分離層175が形成される。
【0035】
さらに、
図3Fに示すように、基底絶縁層110の上に設けられたX軸方向の他端側と反対の一端側(図に正対して右側)のチャネル層130及びSJ層120がエッチングにて除去されることで、開口150Hが形成される。
【0036】
その後、
図3Gに示すように、開口150Hを埋め込むようにドレイン層150が形成される。例えば、開口150Hを埋め込むように、第1導電型(例えば、N型)のSiを基底絶縁層110の上にエピタキシャル成長させることでドレイン層150が形成される。
【0037】
次に、
図3Hに示すように、X軸方向の他端側の一部のチャネル層130を残して、SJ層120の上のチャネル層130がエッチングにて除去されることで、開口170Hが形成される。
【0038】
続いて、
図3Iに示すように、開口170Hを埋め込むように絶縁層170が形成される。例えば、開口170Hを埋め込むように、CVDなどを用いてSiO
2を堆積することで絶縁層170が形成される。
【0039】
その後、
図3Jに示すように、チャネル層130の側方に、絶縁層170に埋め込まれたゲート電極160が形成される。例えば、まず、チャネル層130の側方、かつチャネル層130と離隔した領域の一部の絶縁層170がエッチングにて除去されることで開口が形成される。次に、形成された開口を埋め込むようにpoly-Siが堆積された後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)にて絶縁層170の表面が平坦化されることで、絶縁層170に埋め込まれたゲート電極160が形成される。
【0040】
さらに、
図3Kに示すように、チャネル層130の上部に第1導電型不純物が導入されることでソース層140が形成される。例えば、チャネル層130に第1導電型不純物(例えば、リン又はヒ素など)がイオン注入されることで、チャネル層130の上部にソース層140が形成される。
【0041】
以上の工程により、本実施形態に係る半導体装置1が製造される。半導体装置1では、半導体装置1の厚み方向(すなわちZ軸方向)と直交するXY面内方向にSJ層120が延在して設けられる。したがって、本実施形態によれば、オン抵抗が低く、かつ高耐圧な半導体装置1をより低背化して製造することができる。
【0042】
<3.変形例>
次に、
図4~
図10を参照して、本実施形態に係る半導体装置1の第1~第7の変形例について説明する。
【0043】
(第1の変形例)
図4は、第1の変形例に係る半導体装置1Aの構成を示す上面図である。
図4は、Z軸方向から半導体装置1Aの上面を平面視した構成を示す。
【0044】
図4に示すように、半導体装置1Aでは、ゲート電極160は、チャネル層130及びソース層140の積層体の側方全周を囲むように設けられてもよい。具体的には、ゲート電極160は、SJ層120のX軸方向の他端側(図に正対して左側)、かつY軸方向の中央に島状に設けられたチャネル層130及びソース層140の積層体の全周を囲むようにSJ層120の上に設けられてもよい。
【0045】
これによれば、第1の変形例に係る半導体装置1Aは、チャネル層130の側面4面をゲートとすることができるため、実効的なゲート長をより長くすることが可能である。したがって、第1の変形例に係る半導体装置1Aは、ショートチャネル効果を抑制することで、オフ状態でのリーク電流をより抑制することが可能である。
【0046】
(第2の変形例)
図5は、第2の変形例に係る半導体装置1Bの構成を示す上面図である。
図5は、Z軸方向から半導体装置1Bの上面を平面視した構成を示す。
【0047】
チャネル層130及びソース層140の積層体と、ゲート電極160とは、絶縁層170を介して互いに対向していればよいため、チャネル層130及びソース層140の積層体と、ゲート電極160との位置関係は、入れ替わっていてもよい。すなわち、
図5に示すように、半導体装置1Bでは、チャネル層130及びソース層140の積層体は、ゲート電極160の全周を囲むように設けられてもよい。
【0048】
具体的には、チャネル層130及びソース層140の積層体は、SJ層120のX軸方向の他端側(図に正対して左側)、かつY軸方向の中央に島状に設けられたゲート電極160の全周を囲むようにSJ層120の上に設けられてもよい。このような場合であっても、半導体装置1Bは、絶縁層170を介して互いに対向するゲート電極160及びチャネル層130によってMISゲート構造を形成することができる。
【0049】
これによれば、第2の変形例に係る半導体装置1Bは、ゲート電極160の全周を囲むチャネル層130によってゲート電極160の側面4面にゲートを形成することができる。したがって、第2の変形例に係る半導体装置1Bは、実効的なゲート長をより長くすることで、ショートチャネル効果を抑制することが可能である。
【0050】
(第3の変形例)
図6は、第3の変形例に係る半導体装置2の構成を示す透過斜視図である。
図6では、図に正対して横方向をX軸方向、図に正対して縦方向をZ軸方向、図の紙面に対して前後方向をY軸方向として定義する。
【0051】
図6に示すように、半導体装置2は、基底絶縁層110と、SJ層120と、チャネル層130と、ソース層140と、第1ドレイン層151と、第1ゲート電極161と、第1絶縁層171と、第2ドレイン層152と、第2ゲート電極162と、第2絶縁層172とを備える。
【0052】
半導体装置2では、基底絶縁層110及びSJ層120は、チャネル層130及びソース層140の積層体を越えてX軸方向に延在して設けられる。半導体装置2では、チャネル層130及びソース層140の積層体のX軸方向の一端側(図に正対して右側)に第1ゲート電極161及び第1ドレイン層151が設けられると共に、他端側(図に正対して左側)に第2ゲート電極162及び第2ドレイン層152が設けられる。
【0053】
具体的には、X軸方向に延在して設けられたSJ層120のX軸方向の中央には、チャネル層130及びソース層140の積層体が設けられる。また、SJ層120のX軸方向の一端側には、第1導電型の第1ドレイン層151がZ軸方向に延在して設けられ、SJ層120のX軸方向の他端側には、第1導電型の第2ドレイン層152がZ軸方向に延在して設けられる。
【0054】
さらに、チャネル層130及びソース層140の積層体と、第1ドレイン層151との間を埋め込むようにSJ層120の上に第1絶縁層171が設けられ、第1絶縁層171のチャネル層130側に第1ゲート電極161が埋め込まれる。これにより、第1絶縁層171を介して対向する第1ゲート電極161及びチャネル層130によってMISゲート構造が形成される。
【0055】
同様に、チャネル層130及びソース層140の積層体と、第2ドレイン層152との間を埋め込むようにSJ層120の上に第2絶縁層172が設けられ、第2絶縁層172のチャネル層130側に第2ゲート電極162が埋め込まれる。これにより、第2絶縁層172を介して対向する第2ゲート電極162及びチャネル層130によってMISゲート構造が形成される。
【0056】
これによれば、第3の変形例に係る半導体装置2は、チャネル層130及びソース層140の積層体を挟んでX軸方向の両側に縦型トランジスタをそれぞれ形成することが可能である。
【0057】
(第4の変形例)
図7は、第4の変形例に係る半導体装置2Aの構成を示す上面図である。
図7は、Z軸方向から半導体装置1Aの上面を平面視した構成を示す。
【0058】
図7に示すように、半導体装置2Aでは、第1ゲート電極161及び第2ゲート電極162は、チャネル層130及びソース層140の積層体の全周を囲むように連続して設けられてもよい。具体的には、第1ゲート電極161及び第2ゲート電極162は、SJ層120のX軸方向の中央、かつY軸方向の中央に島状に設けられたチャネル層130及びソース層140の積層体の全周を囲むようにSJ層120の上に連続して設けられてもよい。
【0059】
これによれば、第4の変形例に係る半導体装置2Aは、チャネル層130の複数の側面をゲートとすることができるため、実効的なゲート長をより長くすることが可能である。したがって、第4の変形例に係る半導体装置2Aは、ショートチャネル効果を抑制することで、オフ状態でのリーク電流をより抑制することが可能である。
【0060】
(第5の変形例)
図8は、第5の変形例に係る半導体装置2Bの構成を示す上面図である。
図8は、Z軸方向から半導体装置2Bの上面を平面視した構成を示す。
【0061】
チャネル層130及びソース層140の積層体と、ゲート電極160とは、絶縁層170を介して互いに対向していればよいため、チャネル層130及びソース層140の積層体と、ゲート電極160との位置関係は、入れ替わっていてもよい。すなわち、
図8に示すように、半導体装置2Bでは、チャネル層130は、第1ゲート電極161及び第2ゲート電極162の機能を実現するゲート電極160の全周を囲むように設けられてもよい。
【0062】
具体的には、チャネル層130は、SJ層120のX軸方向の中央、かつY軸方向の中央に島状に設けられたゲート電極160の全周を囲むようにSJ層120の上に設けられる。また、第1ソース層141は、ゲート電極160と第1ドレイン層151との間に設けられたチャネル層130の上に、Y軸方向に延在して設けられる。第2ソース層142は、ゲート電極160と第2ドレイン層152との間に設けられたチャネル層130の上に、Y軸方向に延在して設けられる。このような場合であっても、半導体装置2Bは、絶縁層170を介して互いに対向するゲート電極160及びチャネル層130によってMISゲート構造を形成することができる。
【0063】
これによれば、第5の変形例に係る半導体装置2Bは、ゲート電極160の全周を囲むチャネル層130によってゲート電極160の側面4面にゲートを形成することができる。したがって、第5の変形例に係る半導体装置2Bは、実効的なゲート長をより長くすることで、ショートチャネル効果を抑制することが可能である。
【0064】
(第6の変形例)
図9は、第6の変形例に係る半導体装置2Cの構成を示す透過斜視図である。
図9では、図に正対して横方向をX軸方向、図に正対して縦方向をZ軸方向、図の紙面に対して前後方向をY軸方向として定義する。
【0065】
図9に示すように、半導体装置2Cでは、ソース層140、チャネル層130、第1ドレイン層151、及び第2ドレイン層152の導電型の極性が
図6に示す半導体装置2と逆になっていてもよい。具体的には、半導体装置2Cでは、ソース層140は、第2導電型(例えばP型)で設けられ、チャネル層130は、第1導電型(例えばN型)で設けられ、第1ドレイン層151、及び第2ドレイン層152は、第2導電型(例えばP型)でそれぞれ設けられてもよい。
【0066】
これによれば、半導体装置2Cは、
図6に示す半導体装置2がN型チャネルトランジスタとして機能するのに対して、P型チャネルトランジスタとして機能することができる。このような場合でも、半導体装置2Cは、オン抵抗を低減すると共に耐圧性を高めた縦型トランジスタをより低背化した構造で形成することができる。
【0067】
(第7の変形例)
図10は、第7の変形例に係る半導体装置2Dの構成を示す透過斜視図である。
図10では、図に正対して横方向をX軸方向、図に正対して縦方向をZ軸方向、図の紙面に対して前後方向をY軸方向として定義する。
【0068】
図10に示すように、半導体装置2Dでは、第1絶縁層171、第2絶縁層172、及びチャネル層130とSJ層120との間に、第1導電型(例えばN型)の中間層180が設けられる。中間層180は、SJ層120の上にX軸方向に延在して設けられることで、チャネル層130と、第1ドレイン層151及び第2ドレイン層152との間の電気抵抗を低減することができる。これによれば、半導体装置2Dは、オン抵抗をさらに低減することが可能である。
【0069】
<4.適用例>
さらに、
図11を参照して、本実施形態に係る半導体装置1の適用例について説明する。
図11は、本実施形態に係る半導体装置1を適用した積層型半導体装置3の構成を示す断面図である。
図11は、積層型半導体装置3をZX平面で切断した断面を示す。
【0070】
図11に示すように、積層型半導体装置3は、第1階部10と第2階部20とを積層した構造を有する。
【0071】
第1階部10は、例えば、Si基板などの半導体基板11と、SiO2などの絶縁性材料で構成された層間絶縁層12との積層構造体である。第1階部10には、例えば、ロジック回路を構成するトランジスタ5が設けられてもよく、イメージセンサを構成するフォトダイオードなどが設けられてもよい。
【0072】
第2階部20は、例えば、本実施形態に係る半導体装置1を含む。本実施形態に係る半導体装置1は、厚みが小さいため、複数の基板等を積層した積層型半導体装置3が過度に高背化することを抑制することができる。したがって、本実施形態に係る半導体装置1は、積層型半導体装置3をより小型化することが可能である。
【0073】
なお、第2階部20は、層間絶縁層12の上に設けられた半導体層に形成された通常のプレーナ型のトランジスタ5をさらに含んでもよいことは言うまでもない。
【0074】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0075】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0076】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
面内の第1方向に延在すると共に、前記第1方向と直交する第2方向に第1導電型の半導体領域、及び第2導電型の半導体領域を交互に複数配列することで構成されたSJ層と、
前記第1方向の一端側の前記SJ層と電気的に接続された前記第1導電型の第1ドレイン層と、
前記第1方向の他端側の前記SJ層の上に設けられた前記第2導電型のチャネル層と、
前記チャネル層の上に設けられた前記第1導電型の第1ソース層と、
前記チャネル層及び前記第1ソース層の前記第1方向の側方に第1絶縁層を介して設けられた第1ゲート電極と、
を備える、半導体装置。
(2)
前記第1絶縁層は、前記第1ゲート電極を埋め込まれて前記SJ層の上に設けられる、前記(1)に記載の半導体装置。
(3)
前記第1ゲート電極は、前記チャネル層及び前記第1ソース層と、前記第1ドレイン層との間に設けられる、前記(1)又は(2)に記載の半導体装置。
(4)
前記SJ層は、前記チャネル層を越えて前記第1方向に延在して設けられ、
前記SJ層の前記チャネル層を越えて延在された端部には、前記第1導電型の第2ドレイン層がさらに設けられ、
前記チャネル層及び前記第1ソース層の前記第1ゲート電極が設けられた側と反対側の側方には、第2絶縁層を介して第2ゲート電極が設けられる、前記(3)に記載の半導体装置。
(5)
前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極は、前記チャネル層及び前記第1ソース層の全周を囲むように連続して設けられる、前記(4)に記載の半導体装置。
(6)
前記第1ゲート電極は、前記チャネル層及び前記第1ソース層に対して、前記第1ドレイン層が設けられた側と反対側に設けられる、前記(1)又は(2)に記載の半導体装置。
(7)
前記チャネル層は、前記第1ゲート電極の全周を囲むように設けられる、前記(6)に記載の半導体装置。
(8)
前記SJ層は、前記チャネル層を越えて前記第1方向に延在して設けられ、
前記SJ層の前記チャネル層を越えて延在された端部には、前記第1導電型の第2ドレイン層がさらに設けられ、
前記第1ゲート電極と、前記第2ドレイン層との間の前記チャネル層の上には、第2ソース層が設けられる、前記(7)に記載の半導体装置。
(9)
前記チャネル層と、前記SJ層との間には、前記第1導電型の中間層がさらに設けられる、前記(1)~(8)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(10)
前記SJ層の前記第1導電型の半導体領域には、空乏層が形成される、前記(1)~(9)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(11)
前記SJ層は、絶縁性材料で構成された層間絶縁層の上に設けられる、前記(1)~(10)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(12)
前記層間絶縁層は、半導体基板と積層されており、
前記SJ層は、前記層間絶縁層及び前記半導体基板を含む積層基板の上に設けられる、前記(11)に記載の半導体装置。
(13)
前記積層基板には、ロジック回路、又はフォトダイオードを含む画素が設けられる、前記(12)に記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0077】
1,1A,1B,2,2A,2B,2C,2D 半導体装置
110 基底絶縁層
120 SJ層
130 チャネル層
140 ソース層
141 第1ソース層
142 第2ソース層
150 ドレイン層
151 第1ドレイン層
152 第2ドレイン層
160 ゲート電極
161 第1ゲート電極
162 第2ゲート電極
170 絶縁層
171 第1絶縁層
172 第2絶縁層
180 中間層