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特開2023-131942半導体装置、及び半導体装置の製造方法
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  • 特開-半導体装置、及び半導体装置の製造方法 図2A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131942
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】半導体装置、及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20230914BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20230914BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
H01L29/78 301S
H01L29/78 301V
H01L29/78 652J
H01L29/78 652T
H01L29/78 653A
H01L29/78 652K
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036969
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100154036
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】大久保 謙一
【テーマコード(参考)】
5F140
【Fターム(参考)】
5F140AA25
5F140AA29
5F140AA39
5F140BA01
5F140BB04
5F140BB05
5F140BD05
5F140BE07
5F140BF04
5F140BF43
5F140BG27
5F140BH05
5F140BH06
5F140BH13
5F140BH14
5F140BH18
5F140BH27
5F140BH30
5F140BK17
5F140BK18
5F140CB04
5F140CC03
5F140CE07
(57)【要約】
【課題】より小型の構造で耐圧性能を向上させることが可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】第1半導体材料で構成された第1導電型のソース領域と、前記ソース領域と隣接し、前記第1半導体材料で構成された第2導電型のチャネル領域と、前記チャネル領域と隣接し、前記第1半導体材料のバンドギャップよりも広いバンドギャップを有する第2半導体材料で構成された前記第2導電型の第1ドレイン領域と、前記第1ドレイン領域と隣接し、前記第2半導体材料で構成された前記第1導電型の第2ドレイン領域と、を備える、半導体装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1半導体材料で構成された第1導電型のソース領域と、
前記ソース領域と隣接し、前記第1半導体材料で構成された第2導電型のチャネル領域と、
前記チャネル領域と隣接し、前記第1半導体材料のバンドギャップよりも広いバンドギャップを有する第2半導体材料で構成された前記第2導電型の第1ドレイン領域と、
前記第1ドレイン領域と隣接し、前記第2半導体材料で構成された前記第1導電型の第2ドレイン領域と、
を備える、半導体装置。
【請求項2】
前記第1半導体材料は、Siであり、
前記第2半導体材料は、SiC、GaN、AlN、InN、GaAs、ダイヤモンド、ZnO、又はAlGaNである、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1導電型は、N型又はP型の一方であり、
前記第2導電型は、前記第1導電型と異なるN型又はP型の他方である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ソース領域、前記チャネル領域、前記第1ドレイン領域、及び前記第2ドレイン領域は、前記第1半導体材料で構成された第1半導体層の面内方向に互いに隣接して設けられる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1ドレイン領域、及び前記第2ドレイン領域は、前記第1半導体層の一部を前記第2半導体材料で置換した領域に設けられる、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2ドレイン領域は、前記第1ドレイン領域の内部に設けられる、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
絶縁膜を介して前記チャネル領域に隣接するゲート電極をさらに備える、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1半導体層は、フィン形状にて設けられ、
前記ゲート電極は、前記チャネル領域と2面以上で隣接する、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記ソース領域、前記チャネル領域、前記第1ドレイン領域、及び前記第2ドレイン領域は、前記第2半導体材料で構成された第2半導体層の厚み方向に互いに隣接して設けられる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記ソース領域、及び前記チャネル領域は、前記第2半導体層の一部を前記第1半導体材料で置換した領域に設けられる、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第2半導体層に埋め込まれたゲート電極をさらに備え、
前記ゲート電極は、絶縁膜を介して前記チャネル領域に隣接する、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項12】
第1半導体材料で構成された第1半導体層の一部を、前記第1半導体材料のバンドギャップよりも広いバンドギャップを有する第2半導体材料で置換することでドレイン領域を形成することと、
前記ドレイン領域と隣接する前記第1半導体層の上に絶縁膜を介してゲート電極を形成することと、
前記ゲート電極が形成された領域と隣接する前記第1半導体層にソース領域を形成することと、
を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
第1半導体材料で構成された第1半導体層の上に絶縁膜を介してゲート電極を形成することと、
前記ゲート電極が形成された領域と隣接する前記第1半導体層の一部を、前記第1半導体材料のバンドギャップよりも広いバンドギャップを有する第2半導体材料で置換することでドレイン領域を形成することと、
前記ゲート電極が形成された領域と隣接する前記第1半導体層にソース領域を形成することと、
を含む、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置、及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多様なアプリケーションに対応するために、大電流を扱うことが可能な高耐圧トランジスタの需要が高まっている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、チャネルとドレインとの間にドリフト層が形成された電界効果トランジスタが開示されている。特許文献1に開示された電界効果トランジスタは、ドレインへの電圧印加によってドリフト層が空乏化されることで電界集中を抑制することができるため、高い耐圧性能を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-258328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の特許文献1に開示された電界効果トランジスタの耐圧性能は、チャネルとドレインとの間に形成されたドリフト層の長さに依存する。したがって、特許文献1に開示された電界効果トランジスタは、所望の耐圧性能を確保しつつ小型化することが困難であった。
【0006】
そこで、本開示では、より小型の構造で耐圧性能を向上させることが可能な、新規かつ改良された半導体装置、及び半導体装置の製造方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、第1半導体材料で構成された第1導電型のソース領域と、前記ソース領域と隣接し、前記第1半導体材料で構成された第2導電型のチャネル領域と、前記チャネル領域と隣接し、前記第1半導体材料のバンドギャップよりも広いバンドギャップを有する第2半導体材料で構成された前記第2導電型の第1ドレイン領域と、前記第1ドレイン領域と隣接し、前記第2半導体材料で構成された前記第1導電型の第2ドレイン領域と、を備える、半導体装置が提供される。
【0008】
また、本開示によれば、第1半導体材料で構成された第1半導体層の一部を、前記第1半導体材料のバンドギャップよりも広いバンドギャップを有する第2半導体材料で置換することでドレイン領域を形成することと、前記ドレイン領域と隣接する前記第1半導体層の上に絶縁膜を介してゲート電極を形成することと、前記ゲート電極が形成された領域と隣接する前記第1半導体材料層にソース領域を形成することと、を含む、半導体装置の製造方法が提供される。
【0009】
また、本開示によれば、第1半導体材料で構成された第1半導体層の上に絶縁膜を介してゲート電極を形成することと、前記ゲート電極が形成された領域と隣接する前記第1半導体層の一部を、前記第1半導体材料のバンドギャップよりも広いバンドギャップを有する第2半導体材料で置換することでドレイン領域を形成することと、前記ゲート電極が形成された領域と隣接する前記第1半導体材料層にソース領域を形成することと、を含む、半導体装置の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係る半導体装置の構成を示す縦断面図である。
図2A】半導体装置の第1の製造方法の一工程を説明する縦断面図である。
図2B】半導体装置の第1の製造方法の一工程を説明する縦断面図である。
図2C】半導体装置の第1の製造方法の一工程を説明する縦断面図である。
図2D】半導体装置の第1の製造方法の一工程を説明する縦断面図である。
図2E】半導体装置の第1の製造方法の一工程を説明する縦断面図である。
図3A】半導体装置の第2の製造方法の一工程を説明する縦断面図である。
図3B】半導体装置の第2の製造方法の一工程を説明する縦断面図である。
図3C】半導体装置の第2の製造方法の一工程を説明する縦断面図である。
図3D】半導体装置の第2の製造方法の一工程を説明する縦断面図である。
図3E】半導体装置の第2の製造方法の一工程を説明する縦断面図である。
図4】第1の変形例に係る半導体装置の構成を示す側面図である。
図5】第2の変形例に係る半導体装置の構成を示す縦断面図である。
図6】第3の変形例に係る半導体装置の構成を示す縦断面図である。
図7】第4の変形例に係る半導体装置の構成を示す側面図である。
図8】第5の変形例に係る半導体装置の構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.構成例
2.製造方法
2.1.第1の製造方法
2.2.第2の製造方法
3.変形例
【0013】
<1.構成>
まず、図1を参照して、本開示の一実施形態に係る半導体装置の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る半導体装置1の構成を示す縦断面図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る半導体装置1は、例えば、半導体層100と、チャネル領域110と、ソース領域120と、第1ドレイン領域131と、第2ドレイン領域132と、素子分離層101と、ゲート絶縁膜141と、ゲート電極140とを備える。
【0015】
本実施形態に係る半導体装置1では、チャネル領域110及びソース領域120が第1半導体材料で構成されると共に、第1ドレイン領域131及び第2ドレイン領域132が第1半導体材料よりもバンドギャップが広い第2半導体材料で構成される。具体的には、第1半導体材料がSi(シリコン)である場合、第2半導体材料は、SiC、GaN、AlN、InN、GaAs、ダイヤモンド、ZnO、又はAlGaNである。より詳細には、第1半導体材料がSiである場合、第2半導体材料は、SiCであってもよい。
【0016】
第2半導体材料は、第1半導体材料よりも広いバンドギャップを有する。そのため、第2半導体材料の絶縁破壊電界は、第1半導体材料の絶縁破壊電界よりも高くなる。したがって、半導体装置1は、第2半導体材料で構成された第1ドレイン領域131及び第2ドレイン領域132に空乏層を形成することで、空乏層の厚みが小さい場合でも高い耐圧性能を確保することが可能である。
【0017】
半導体層100は、第1半導体材料で構成された層である。半導体層100には、導電型不純物の導入によってチャネル領域110及びソース領域120が形成されると共に、第2半導体材料で構成された第1ドレイン領域131及び第2ドレイン領域132が埋め込まれる。例えば、半導体層100は、各種基板の上に設けられたSi層であってもよく、Si基板であってもよい。
【0018】
素子分離層101は、無機絶縁性材料で構成され、半導体層100の内部に延在して設けられることで、半導体装置1を他の素子等から電気的に絶縁する。具体的には、素子分離層101は、半導体層100の一部を除去することで形成された開口に無機絶縁性材料を埋め込むことで設けられてもよい。例えば、素子分離層101は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、又は酸窒化シリコン(SiON)などで構成されてもよい。
【0019】
ソース領域120は、半導体層100に設けられた第1導電型(例えばN型)の領域である。例えば、ソース領域120は、第1半導体材料で構成された半導体層100に第1導電型不純物(リン(P)又はヒ素(As))をイオン注入することで設けられてもよい。
【0020】
チャネル領域110は、半導体層100に設けられた第2導電型(例えばP型)の領域であり、ソース領域120に隣接して設けられる。チャネル領域110は、第1半導体材料で構成された半導体層100に第2導電型不純物(ホウ素(B)又はアルミニウム(Al))をイオン注入することで設けられてもよい。なお、半導体層100が第2導電型(例えばP型)のSi層又はSi基板である場合、チャネル領域110は、ソース領域120と第1ドレイン領域131との間の領域として設けられてもよい。
【0021】
第1ドレイン領域131は、第2半導体材料にて形成された第2導電型(例えばP型)の領域であり、チャネル領域110に隣接して設けられる。例えば、第1ドレイン領域131は、半導体層100に埋め込まれた第2半導体材料に第2導電型不純物(ホウ素(B)又はアルミニウム(Al))を導入することで設けられてもよい。
【0022】
第2ドレイン領域132は、第2半導体材料にて形成された第1導電型(例えばN型)の領域であり、第1ドレイン領域131に隣接して設けられる。また、第2ドレイン領域132は、第1ドレイン領域131を介してチャネル領域110と隣接するように設けられる。例えば、第2ドレイン領域132は、第2半導体材料で構成された第1ドレイン領域131の一部に第1導電型不純物(リン(P)又はヒ素(As))を導入することで設けられてもよい。これによれば、半導体装置1は、ドレイン(第2ドレイン領域132)に高電圧が印加された際に、第2ドレイン領域132から第1ドレイン領域131に向かって空乏層を形成することができるため、チャネル領域110と第2ドレイン領域132との間に高抵抗の耐圧領域を形成することができる。
【0023】
ゲート電極140は、導電性材料で構成され、ゲート絶縁膜141を介して半導体層100の上に設けられる。具体的には、ゲート電極140は、チャネル領域110の上にゲート絶縁膜141を介して設けられてもよい。例えば、ゲート電極140は、poly-Siにて構成されてもよく、ゲート絶縁膜141は、酸化シリコン(SiO)にて構成されてもよい。これによれば、半導体装置1は、ゲート電極140、ゲート絶縁膜141、及びチャネル領域110にてMIS(Metal-Insulator-Semiconductor)ゲート構造を形成することができるため、ゲート電極140への電圧印加によってチャネル領域110の導通を制御することができる。
【0024】
本実施形態に係る半導体装置1では、ドレイン(第2ドレイン領域132)に高電圧が印加された際に、第2ドレイン領域132から第1ドレイン領域131に向かって空乏層が形成される。第1ドレイン領域131及び第2ドレイン領域132は、第1半導体材料よりも絶縁破壊電界が高い第2半導体材料で構成されるため、第1ドレイン領域131に形成される空乏層は、小さな幅でもより高い耐圧性を示すことができる。したがって、半導体装置1は、より小型であっても十分な耐圧性能を確保することが可能である。これによれば、半導体装置1は、ESD(Electro-Static Discharge)などによってドレイン(第2ドレイン領域132)に高電圧が印加された場合に半導体装置1が破壊されることを抑制することができる。
【0025】
また、半導体装置1は、第1ドレイン領域131に形成される空乏層の幅が小さいため、第1ドレイン領域131及び第2ドレイン領域132における導電型不純物の濃度が高い場合でも十分な空乏層を形成することができる。したがって、半導体装置1は、第1ドレイン領域131及び第2ドレイン領域132の導電型不純物の濃度を高めることができるため、第1ドレイン領域131及び第2ドレイン領域132の電気抵抗を低下させることができる。よって、半導体装置1は、オン抵抗をより低減することが可能である。
【0026】
<2.製造方法>
(2.1.第1の製造方法)
続いて、図2A図2Eを参照して、本実施形態に係る半導体装置1の第1の製造方法について説明する。図2A図2Eは、半導体装置1の第1の製造方法の一工程を説明する縦断面図である。図2A図2Eは、半導体層100の厚み方向に半導体装置1を切断した断面を示す。
【0027】
まず、図2Aに示すように、半導体層100として第2導電型(例えばP型)のSi層が形成され、半導体層100に素子分離層101が形成される。具体的には、半導体層100には、半導体装置1が形成される領域の全周を囲むように開口が形成され、形成された開口をSiOで埋め込むことで素子分離層101が形成される。
【0028】
次に、図2Bに示すように、素子分離層101で囲まれた領域の半導体層100の一部をエッチングで除去することで、開口100Hが形成される。
【0029】
その後、図2Cに示すように、開口100Hを埋め込むように第1ドレイン領域131及び第2ドレイン領域132が形成される。具体的には、まず、開口100Hの内部に第2導電型(例えばP型)のSiCをエピタキシャル成長させることで第2ドレイン領域132が形成される。続いて、第2ドレイン領域132の上部の一部領域に第1導電型不純物(例えばホウ素(B)又はアルミニウム(Al))をイオン注入することで、第1ドレイン領域131が形成される。なお、第1ドレイン領域131及び第2ドレイン領域132を形成した後の半導体層100の表面は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)などを用いて平坦化されてもよい。
【0030】
続いて、図2Dに示すように、ゲート絶縁膜141及びゲート電極140が形成される。具体的には、ゲート絶縁膜141は、半導体層100の表面を熱酸化することで形成されたSiO膜である。半導体層100の表面を熱酸化した後、ゲート絶縁膜141の上にpoly-Siを堆積し、堆積されたpoly-Siをパターニングすることでゲート電極140が形成される。
【0031】
その後、図2Eに示すように、第1ドレイン領域131のゲート電極140を挟んで反対側の半導体層100にソース領域120が形成される。具体的には、第1ドレイン領域131のゲート電極140を挟んで反対側の半導体層100に第1導電型不純物(例えばリン(P)又はヒ素(As))をイオン注入することで、ソース領域120が形成される。
【0032】
以上の工程により、本実施形態に係る半導体装置1が製造される。第1の製造方法では、第1ドレイン領域131及び第2ドレイン領域132を形成した後にゲート電極140を形成することで、半導体装置1を製造することができる。
【0033】
(2.2.第2の製造方法)
次に、図3A図3Eを参照して、本実施形態に係る半導体装置1の第2の製造方法について説明する。図3A図3Eは、半導体装置1の第2の製造方法の一工程を説明する縦断面図である。図3A図3Eは、半導体層100の厚み方向に半導体装置1を切断した断面を示す。
【0034】
まず、図3Aに示すように、半導体層100として第2導電型(例えばP型)のSi層が形成され、半導体層100に素子分離層101が形成される。具体的には、半導体層100には、半導体装置1が形成される領域の全周を囲むように開口が形成され、形成された開口をSiOで埋め込むことで素子分離層101が形成される。
【0035】
次に、図3Bに示すように、半導体層100の上にゲート電極140及び絶縁層142が形成された後、絶縁層142及び半導体層100を掘り込む開口100Hが形成される。具体的には、まず、表面を熱酸化された半導体層100の上にpoly-Siを堆積し、堆積されたpoly-Siをパターニングすることでゲート電極140が形成される。次に、CVD(Chemical Vapor Deposition)を用いてゲート電極140を覆うようにSiOを堆積することで、絶縁層142が形成される。続いて、素子分離層101で囲まれた領域の絶縁層142、及び半導体層100の一部をエッチングで除去することで、開口100Hが形成される。
【0036】
その後、図3Cに示すように、開口100Hを埋め込むように第1ドレイン領域131及び第2ドレイン領域132が形成される。具体的には、まず、開口100Hの内部に第2導電型(例えばP型)のSiCをエピタキシャル成長させることで第2ドレイン領域132が形成される。続いて、第2ドレイン領域132の上部の一部領域に第1導電型不純物(例えばホウ素(B)又はアルミニウム(Al))をイオン注入することで、第1ドレイン領域131が形成される。
【0037】
続いて、図3Dに示すように、絶縁層142が除去される。具体的には、半導体層100の上に堆積された絶縁層142がエッチング等によって除去される。これにより、ゲート電極140と半導体層100との間に残存したSiO層がゲート絶縁膜141となる。
【0038】
その後、図3Eに示すように、第1ドレイン領域131のゲート電極140を挟んで反対側の半導体層100にソース領域120が形成される。具体的には、第1ドレイン領域131のゲート電極140を挟んで反対側の半導体層100に第1導電型不純物(例えばリン(P)又はヒ素(As))をイオン注入することで、ソース領域120が形成される。
【0039】
以上の工程により、本実施形態に係る半導体装置1が製造される。第2の製造方法では、ゲート電極140を形成した後に第1ドレイン領域131及び第2ドレイン領域132を形成することで、半導体装置1を製造することができる。
【0040】
なお、上記の第1の製造方法、及び第2の製造方法では、第1ドレイン領域131は、第2ドレイン領域132への第1導電型不純物の導入によって形成されるとしたが、本実施形態はかかる例示に限定されない。
【0041】
例えば、第1ドレイン領域131は、開口100Hの内部に第2ドレイン領域132を形成した後、第2ドレイン領域132の上に第1導電型のSiCをさらにエピタキシャル成長させることで形成されてもよい。具体的には、第2ドレイン領域132は、開口100Hの側面及び底面に第2導電型のSiCを一様にエピタキシャル成長させることで形成されてもよい。また、第1ドレイン領域131は、内部に第2ドレイン領域132が形成された開口100Hを埋め込むように第1導電型のSiCをエピタキシャル成長させることで形成されてもよい。
【0042】
<3.変形例>
次に、図4図8を参照して、本実施形態に係る半導体装置1の第1~第5の変形例について説明する。
【0043】
(第1の変形例)
図4は、第1の変形例に係る半導体装置1Aの構成を示す側面図である。図4に示すように、半導体装置1Aは、FinFET(Fin Field-Effect Transistor)として設けられてもよい。
【0044】
具体的には、ソース領域120、チャネル領域110、第1ドレイン領域131、及び第2ドレイン領域132が設けられた半導体層100は、図1に示す断面を側面に露出させるようにフィン状に突出して設けられる。ゲート電極140は、フィン状に突出する半導体層100に跨るように設けられることで、図示しないゲート絶縁膜を介してチャネル領域110を上面及び両側面の3面で囲むことができる。これによれば、半導体装置1Aは、マルチゲート構造を形成することで実効的なチャネル長を長くすることができるため、短チャネル効果を抑制することができる。
【0045】
(第2の変形例)
図5は、第2の変形例に係る半導体装置1Bの構成を示す縦断面図である。図5に示すように、半導体装置1Bは、半導体層100にゲート電極140が埋め込まれた縦型ゲートトランジスタとして設けられてもよい。
【0046】
第2の変形例では、半導体層100は、第1導電型(例えばN型)の第2半導体材料で構成された層として設けられる。これにより、半導体層100は、第2ドレイン領域132として機能することができる。また、半導体層100には、半導体層100の厚み方向に第1ドレイン領域131、チャネル領域110、及びソース領域120が設けられる。
【0047】
第1ドレイン領域131は、第1導電型(例えばN型)の第2半導体材料で構成された半導体層100を第2導電型(例えばP型)に変換することで構成される。一方、チャネル領域110及びソース領域120は、半導体層100に埋め込まれた第1半導体材料で構成される。具体的には、チャネル領域110は、第2導電型(例えばP型)の第1半導体材料で構成され、ソース領域120は、第1導電型(例えばN型)の第1半導体材料で構成される。これにより、半導体層100には、半導体層100の厚み方向にソース領域120、チャネル領域110、第1ドレイン領域131、及び第2ドレイン領域132が順に積層される。
【0048】
ゲート電極140は、ソース領域120、チャネル領域110、第1ドレイン領域131、及び第2ドレイン領域132の積層構造の側面に隣接する領域に、半導体層100を厚み方向に掘り込んで設けられる。ゲート電極140は、導電性材料で構成され、無機絶縁性材料で構成されたゲート絶縁膜141を介してチャネル領域110とMISゲート構造を形成することができる。これによれば、半導体層100の内部に延在するゲート電極140は、ゲート絶縁膜141を介してチャネル領域110の導通を制御することができる。
【0049】
半導体装置1Bは、ドレイン(第2ドレイン領域132)に高電圧が印加された際に、第1半導体材料よりもバンドギャップが広い第2半導体材料で構成された第1ドレイン領域131に空乏層を形成することができる。したがって、半導体装置1Bは、図1に示す半導体装置1と同様に、より小型でも十分な耐圧性能を確保することが可能である。
【0050】
(第3の変形例)
図6は、第3の変形例に係る半導体装置2の構成を示す縦断面図である。図6に示すように、半導体装置2は、図1で示した半導体装置1に対して、導電型不純物の極性が逆である点が異なる。
【0051】
具体的には、ソース領域120は、第1半導体材料で構成された第2導電型(例えばP型)の領域として設けられ、チャネル領域110は、第1半導体材料で構成された第1導電型(例えばN型)の領域として設けられる。また、第1ドレイン領域131は、第2半導体材料で構成された第1導電型(例えばN型)の領域として設けられ、第2ドレイン領域132は、第2半導体材料で構成された第2導電型(例えばP型)の領域として設けられる。
【0052】
このような場合、半導体装置2は、P型チャネルトランジスタとして機能することができる。半導体装置2は、図1に示す半導体装置1と同様に、第1半導体材料よりもバンドギャップが広い第2半導体材料で構成された第1ドレイン領域131に空乏層を形成することができるため、より小型でも十分な耐圧性能を確保することが可能である。
【0053】
(第4の変形例)
図7は、第4の変形例に係る半導体装置2Aの構成を示す側面図である。図7に示すように、半導体装置2Aは、図4で示した半導体装置1Aに対して、導電型不純物の極性が逆である点が異なる。
【0054】
具体的には、ソース領域120は、第1半導体材料で構成された第2導電型(例えばP型)の領域として設けられ、チャネル領域110は、第1半導体材料で構成された第1導電型(例えばN型)の領域として設けられる。また、第1ドレイン領域131は、第2半導体材料で構成された第1導電型(例えばN型)の領域として設けられ、第2ドレイン領域132は、第2半導体材料で構成された第2導電型(例えばP型)の領域として設けられる。
【0055】
このような場合、半導体装置2Aは、P型チャネルのFinFETとして機能することができる。半導体装置2Aは、図4で示す半導体装置1Aと同様に、第1半導体材料よりもバンドギャップが広い第2半導体材料で構成された第1ドレイン領域131に空乏層を形成することができるため、より小型でも十分な耐圧性能を確保することが可能である。
【0056】
(第5の変形例)
図8は、第5の変形例に係る半導体装置2Bの構成を示す縦断面図である。図8に示すように、半導体装置2Bは、図5で示した半導体装置1Bに対して、導電型不純物の極性が逆である点が異なる。
【0057】
具体的には、ソース領域120は、第1半導体材料で構成された第2導電型(例えばP型)の領域として設けられ、チャネル領域110は、第1半導体材料で構成された第1導電型(例えばN型)の領域として設けられる。また、第1ドレイン領域131は、第2半導体材料で構成された第1導電型(例えばN型)の領域として設けられ、第2ドレイン領域132は、第2半導体材料で構成された第2導電型(例えばP型)の領域として設けられる。
【0058】
このような場合、半導体装置2Bは、P型チャネルの縦型ゲートトランジスタとして機能することができる。半導体装置2Bは、図5で示した半導体装置1Bと同様に、第1半導体材料よりもバンドギャップが広い第2半導体材料で構成された第1ドレイン領域131に空乏層を形成することができるため、より小型でも十分な耐圧性能を確保することが可能である。
【0059】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0060】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0061】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
第1半導体材料で構成された第1導電型のソース領域と、
前記ソース領域と隣接し、前記第1半導体材料で構成された第2導電型のチャネル領域と、
前記チャネル領域と隣接し、前記第1半導体材料のバンドギャップよりも広いバンドギャップを有する第2半導体材料で構成された前記第2導電型の第1ドレイン領域と、
前記第1ドレイン領域と隣接し、前記第2半導体材料で構成された前記第1導電型の第2ドレイン領域と、
を備える、半導体装置。
(2)
前記第1半導体材料は、Siであり、
前記第2半導体材料は、SiC、GaN、AlN、InN、GaAs、ダイヤモンド、ZnO、又はAlGaNである、前記(1)に記載の半導体装置。
(3)
前記第1導電型は、N型又はP型の一方であり、
前記第2導電型は、前記第1導電型と異なるN型又はP型の他方である、前記(1)又は(2)に記載の半導体装置。
(4)
前記ソース領域、前記チャネル領域、前記第1ドレイン領域、及び前記第2ドレイン領域は、前記第1半導体材料で構成された第1半導体層の面内方向に互いに隣接して設けられる、前記(1)~(3)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(5)
前記第1ドレイン領域、及び前記第2ドレイン領域は、前記第1半導体層の一部を前記第2半導体材料で置換した領域に設けられる、前記(4)に記載の半導体装置。
(6)
前記第2ドレイン領域は、前記第1ドレイン領域の内部に設けられる、前記(5)に記載の半導体装置。
(7)
絶縁膜を介して前記チャネル領域に隣接するゲート電極をさらに備える、前記(4)~(6)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(8)
前記第1半導体層は、フィン形状にて設けられ、
前記ゲート電極は、前記チャネル領域と2面以上で隣接する、前記(7)に記載の半導体装置。
(9)
前記ソース領域、前記チャネル領域、前記第1ドレイン領域、及び前記第2ドレイン領域は、前記第2半導体材料で構成された第2半導体層の厚み方向に互いに隣接して設けられる、前記(1)~(3)のいずれか一項に記載の半導体装置。
(10)
前記ソース領域、及び前記チャネル領域は、前記第2半導体層の一部を前記第1半導体材料で置換した領域に設けられる、前記(9)に記載の半導体装置。
(11)
前記第2半導体層に埋め込まれたゲート電極をさらに備え、
前記ゲート電極は、絶縁膜を介して前記チャネル領域に隣接する、前記(9)又は(10)に記載の半導体装置。
(12)
第1半導体材料で構成された第1半導体層の一部を前記第1半導体材料のバンドギャップよりも広いバンドギャップを有する第2半導体材料で置換することで、ドレイン領域を形成することと、
前記ドレイン領域と隣接する前記第1半導体層の上に絶縁膜を介してゲート電極を形成することと、
前記ゲート電極が形成された領域と隣接する前記第1半導体層にソース領域を形成することと、
を含む、半導体装置の製造方法。
(13)
第1半導体材料で構成された第1半導体層の上に絶縁膜を介してゲート電極を形成することと、
前記ゲート電極が形成された領域と隣接する前記第1半導体層の一部を前記第1半導体材料のバンドギャップよりも広いバンドギャップを有する第2半導体材料で置換することで、ドレイン領域を形成することと、
前記ゲート電極が形成された領域と隣接する前記第1半導体層にソース領域を形成することと、
を含む、半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0062】
1,1A,1B,2,2A,2B 半導体装置
100 半導体層
101 素子分離層
110 チャネル領域
120 ソース領域
131 第1ドレイン領域
132 第2ドレイン領域
140 ゲート電極
141 ゲート絶縁膜
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5
図6
図7
図8