(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131947
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20230914BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
G03G15/20 535
G03G21/00 370
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036974
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健大
(72)【発明者】
【氏名】石田 圭樹
【テーマコード(参考)】
2H033
2H270
【Fターム(参考)】
2H033AA26
2H033BB35
2H033BE06
2H033CA22
2H033CA39
2H270KA36
2H270LC14
2H270MA34
2H270MC44
2H270MC70
2H270MC72
2H270MD02
2H270MD12
(57)【要約】
【課題】定着装置のヒーターを一定の位置に固定し、前記定着装置における定着部材の摩耗を低減すること。
【解決手段】定着ユニット5bは、複数の第1被係合部542と係合することにより第1方向と第2方向とに交差する第3方向において加熱ユニット5aの移動を制限する複数の第1係合部553を有する。固定ユニット32は、第2被係合部544と係合することにより前記第1方向において前記加熱ユニット5aの移動を制限する第2係合部321を有する。前記定着ユニット5bは、可動ユニット56と、支持体55と、往復機構57とを備える。前記支持体55は、前記可動ユニット56を前記第1方向に沿って移動可能に支持する。前記往復機構57は、前記可動ユニット56を往復移動させる。前記往復機構は、複数枚のシートが前記第1回転体および前記第2回転体の間を通過するごとに前記可動ユニット56を1往復移動させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒーターを有し、本体内において第1方向に沿って配置される加熱ユニットと、
前記ヒーターにより加熱される第1回転体および前記第1回転体へシートを付勢する第2回転体を有し、前記本体内において前記加熱ユニットの横に前記第1方向に沿って配置される定着ユニットと、
前記加熱ユニットを前記定着ユニットに向けて付勢するユニット付勢部と、
前記本体に固定された固定ユニットと、を備え、
前記ユニット付勢部は、前記加熱ユニットおよび前記定着ユニットの配列方向である第2方向において前記定着ユニットに対する前記加熱ユニットの位置を保持し、
前記加熱ユニットは、複数の第1被係合部および第2被係合部を有し、
前記定着ユニットは、複数の前記第1被係合部と係合することにより前記第1方向と前記第2方向とに交差する第3方向において前記加熱ユニットの移動を制限する複数の第1係合部を有し、
前記固定ユニットは、前記第2被係合部と係合することにより前記第1方向において前記加熱ユニットの移動を制限する第2係合部を有し、
さらに前記定着ユニットは、
前記第1回転体および前記第2回転体を含む可動ユニットと、
前記可動ユニットを前記第1方向に沿って移動可能に支持する支持体と、
前記可動ユニットを前記第1方向に沿って往復移動させる往復機構と、を備え、
前記往復機構は、複数枚の前記シートが前記第1回転体および前記第2回転体の間を通過するごとに前記可動ユニットを1往復移動させる、画像形成装置。
【請求項2】
前記本体内に配置され、前記定着ユニットへ回転力を伝達する駆動回転体を有する駆動機構をさらに備え、
前記往復機構は、前記駆動回転体の回転運動を前記可動ユニットの往復運動へ変換する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記固定ユニットは、前記第1回転体および前記第2回転体の間を通過した前記シートを排出トレイへ排出可能な排出ローラー対を有する排出ユニットである、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記加熱ユニットは、前記第1方向に間隔を開けた2箇所に形成された一対の前記第1被係合部を有し、
前記定着ユニットは、一対の前記第1係合部に対応する2箇所に形成された一対の前記第1係合部を有し、
前記加熱ユニットは、一対の前記第1被係合部に対し前記第3方向において間隔を開けた2箇所に形成された一対の当接部を有し、
一対の前記第1被係合部は、前記ユニット付勢部の付勢力により一対の前記第1係合部に当接し、
一対の前記当接部は、前記ユニット付勢部の付勢力により前記定着ユニットに当接する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ヒーターは、電磁誘導加熱式の加熱装置である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱ユニットおよび定着ユニットを備える電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、トナー像を像担持体からシートへ転写し、定着装置によって前記トナー像を前記シートに定着させる。前記定着装置は、ヒーターと定着部材と加圧ローラーとを備える。
【0003】
前記定着部材および前記加圧ローラーは、それぞれ回転体である。前記ヒーターは、前記定着部材を加熱する。前記加圧ローラーは、前記定着部材へシートを付勢する。
【0004】
前記定着装置は、前記ヒーターを有する加熱ユニットと、前記定着部材および前記加圧ローラーを有する定着ユニットとに区分される場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記定着部材における前記シートの両側端と擦れる部分は、前記定着部材の他の部分よりも摩耗しやすい。
【0007】
また、前記定着部材が前記ヒーターによって安定的に加熱されるためには、前記ヒーターは、一定の位置に固定されることが望ましい。電磁誘導加熱式の加熱装置が前記ヒーターとして採用される場合、前記ヒーターの位置の変化が加熱性能に及ぼす影響が特に大きい。
【0008】
本発明の目的は、定着装置のヒーターを一定の位置に固定し、前記定着装置における定着部材の摩耗を低減することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の局面に係る画像形成装置は、加熱ユニットと、定着ユニットと、ユニット付勢部と、固定ユニットと、を備える。前記加熱ユニットは、ヒーターを有し、本体内において第1方向に沿って配置される。前記定着ユニットは、前記ヒーターにより加熱される第1回転体および前記第1回転体へシートを付勢する第2回転体を有し、前記本体内において前記加熱ユニットの横に前記第1方向に沿って配置される。前記固定ユニットは、前記本体に固定されている。前記ユニット付勢部は、前記加熱ユニットを前記定着ユニットに向けて付勢する。前記ユニット付勢部は、前記加熱ユニットおよび前記定着ユニットの配列方向である第2方向において前記定着ユニットに対する前記加熱ユニットの位置を保持する。前記加熱ユニットは、複数の第1被係合部および第2被係合部を有する。前記定着ユニットは、複数の前記第1被係合部と係合することにより前記第1方向と前記第2方向とに交差する第3方向において前記加熱ユニットの移動を制限する複数の第1係合部を有する。前記固定ユニットは、前記第2被係合部と係合することにより前記第1方向において前記加熱ユニットの移動を制限する第2係合部を有する。さらに前記定着ユニットは、可動ユニットと、支持体と、往復機構と、を備える。前記可動ユニットは、前記第1回転体および前記第2回転体を含む。前記支持体は、前記可動ユニットを前記第1方向に沿って移動可能に支持する。前記往復機構は、前記可動ユニットを前記第1方向に沿って往復移動させる。前記往復機構は、複数枚の前記シートが前記第1回転体および前記第2回転体の間を通過するごとに前記可動ユニットを1往復移動させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、定着装置のヒーターを一定の位置に固定し、前記定着装置における定着部材の摩耗を低減することができる画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る画像形成装置における定着装置の主要部の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る画像形成装置における本体フレームの斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る画像形成装置における加熱ユニットおよびその周辺部の構成を示す側面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る画像形成装置における加熱ユニットおよびその周辺部の構成を示す平面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る画像形成装置における往復機構の構成を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る画像形成装置における定着ユニットおよびカバー部材の周辺部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
[画像形成装置10の構成]
実施形態に係る画像形成装置10は、電子写真方式でプリント処理を実行する。前記プリント処理は、シート900に画像を形成する処理である。
【0014】
図1に示されるように、画像形成装置10は、シート収容部2、シート搬送装置3およびプリント装置4を備える。シート搬送装置3およびプリント装置4は、筐体である本体1に収容されている。
【0015】
シート収容部2は、複数枚のシート900を収容可能である。シート搬送装置3は、シート給送装置30および複数組の搬送ローラー対31を備える。
【0016】
シート給送装置30は、シート収容部2内のシート900を1枚ずつ搬送路300へ送り出す。搬送路300は、シート900の通路である。
【0017】
複数組の搬送ローラー対31は、シート900を搬送路300に沿って搬送する。複数組の搬送ローラー対31は、排出ローラー対31aを含む(
図1参照)。排出ローラー対31aは、画像が形成されたシート900を搬送路300から排出トレイ1a上へ排出する。
【0018】
プリント装置4は、搬送路300に沿って搬送されるシート900に対して前記プリント処理を実行する。シート900に形成される画像はトナー像である。
【0019】
プリント装置4は、光走査ユニット40、1つ以上の画像形成部4x、転写装置45および定着装置5を備える。画像形成部4xは、感光体41、帯電装置42、現像装置43およびドラムクリーニング装置44を備える。
【0020】
帯電装置42は、感光体41の表面を帯電させる。光走査ユニット40は、帯電した感光体41の表面にビーム光を走査する。これにより、光走査ユニット40は、感光体41の表面に静電潜像を形成する。
【0021】
現像装置43は、感光体41の表面にトナーを供給することにより、前記静電潜像をトナー像へ現像する。転写装置45は、感光体41の表面に形成された前記トナー像をシート900へ転写する。
【0022】
転写装置45は、搬送路300における転写位置P1において、前記静電潜像をシート900へ転写する。
【0023】
本実施形態において、プリント装置4は、複数の画像形成部4xを備えるタンデム式のカラープリント装置である。また、転写装置45は、中間転写ベルト450、複数の一次転写装置451、二次転写装置452およびベルトクリーニング装置453を備える。
【0024】
図1に示される例では、プリント装置4は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの4色のトナーに対応する4つの画像形成部4xを備える。転写装置45は、4つの画像形成部4xに対応する4つの一次転写装置451を備える。
【0025】
中間転写ベルト450は、複数の支持ローラー454によって回転可能に支持されている。複数の支持ローラー454の1つは、不図示のベルト駆動装置によって駆動されることにより回転する。これにより、中間転写ベルト450が回転する。
【0026】
一次転写装置451各々は、画像形成部4x各々において感光体41の表面に形成された前記トナー像を中間転写ベルト450の表面へ転写する。これにより、4色のトナー像が合成された合成トナー像が中間転写ベルト450の表面に形成される。
【0027】
中間転写ベルト450は、前記合成トナー像を担持して回転する。二次転写装置452は、転写位置P1において、中間転写ベルト450の表面に形成された前記合成トナー像をシート900へ転写する。
【0028】
ドラムクリーニング装置44は、感光体41の表面から一次廃トナーを除去する。前記一次廃トナーは、感光体41の表面における一次転写装置451を経由した部分に残存するトナーである。
【0029】
ベルトクリーニング装置453は、中間転写ベルト450の表面から二次廃トナーを除去する。前記二次廃トナーは、中間転写ベルト450の表面における二次転写装置452を経由した部分に残存するトナーである。
【0030】
定着装置5は、搬送路300における定着位置P2において、シート900上の前記合成トナー像を加熱しつつ加圧する。これにより、定着装置5は、シート900に前記合成トナー像を定着させる。定着位置P2は、転写位置P1に対しシート搬送方向の下流側の位置である。
【0031】
図2に示されるように、定着装置5は、ヒーター51、定着ベルト52、定着ローラー520、加圧ローラー53およびシート分離部材5200を備える。
【0032】
定着ベルト52は、定着ローラー520を内包する可撓性の筒状部材である。定着ベルト52は、ヒーター51によって加熱される。
【0033】
定着ローラー520は、定着ベルト52をその内側で支持する筒状の部材である。定着ローラー520は、筒状の芯金部521および芯金部521の外周に形成された弾性部522を有する。
【0034】
定着ローラー520は、回転可能に支持されている。定着ベルト52は、定着ローラー520とともに回転可能である。
【0035】
定着ベルト52は、導電性の基材と、前記基材の外周に形成された弾性層と、前記弾性層の外周に形成された離型層とを有する。
【0036】
ヒーター51は、定着ベルト52の外周面に対向して配置されている。本実施形態において、ヒーター51は電磁誘導加熱式の加熱装置である。ヒーター51は、主に定着ベルト52の前記基材を電磁誘導により加熱する。
【0037】
加圧ローラー53は、回転可能に支持されている。加圧ローラー53も、定着ローラー520と同様に、筒状の芯金部531および芯金部531の外周に形成された弾性部532を有する。
【0038】
加圧ローラー53は、不図示の駆動装置によって駆動され、回転する。定着ベルト52および定着ローラー520は、加圧ローラー53に連動して回転する。
【0039】
定着ベルト52がシート900に形成された前記トナー像を加熱する。加圧ローラー53は、前記トナー像をシート900へ向けて加圧する。
【0040】
なお、定着ベルト52は、ヒーター51により加熱される第1回転体の一例である。加圧ローラー53は、定着ベルト52へシート900を付勢する第2回転体の一例である。
【0041】
シート分離部材5200は、シート900が定着ベルト52に付着したときに、シート900を定着ベルト52から剥がす。
【0042】
排出ローラー対31aは、定着ベルト52および加圧ローラー53の間を通過したシート900を排出トレイ1aへ排出可能である(
図1参照)。
【0043】
本実施形態において、定着装置5は、加熱ユニット5aと定着ユニット5bとに区分されている(
図4,5参照)。加熱ユニット5aはヒーター51を含む。定着ユニット5bは、定着ベルト52および加圧ローラー53を含む。定着ユニット5bは、加熱ユニット5aの横に配置されている。
【0044】
また、排出ユニット32が、定着ユニット5bの上方に配置されている(
図1参照)。排出ユニット32は、排出ローラー対31aとシート案内部材とを含む。前記シート案内部材は、定着装置5から排出ローラー対31aへ搬送されるシート900を案内する。
【0045】
排出ユニット32は、本体フレーム1xに固定されている。排出ユニット32は、固定ユニットの一例である。
【0046】
加熱ユニット5aは、本体1内において第1方向D1に沿って配置される。定着ユニット5bも、本体1内において第1方向D1に沿って配置される。
【0047】
本実施形態において、第1方向D1は、画像形成装置10の奥行方向である。定着ユニット5bが本体1に装着されているときに、定着ベルト52および加圧ローラー53の回転の中心線に沿う方向が第1方向D1である。
【0048】
加熱ユニット5aおよび定着ユニット5bは、第2方向D2に並んで配置されている。即ち、第2方向D2は、加熱ユニット5aおよび定着ユニット5bの配列方向である。第2方向D2は第1方向D1に交差する方向である。
【0049】
加熱ユニット5aが定着ユニット5bから離れた位置へ移動されることにより、定着ユニット5bを本体1内から引き出すことが可能である。
【0050】
外装部材100は、開口部101およびカバー部材102を有する(
図7参照)。開口部101は、定着ユニット5bにおける第1方向D1の一端を開放する開口が形成された部分である。
【0051】
カバー部材102は、支軸102xによって支持されている。これにより、カバー部材102は、支軸102xを中心に回動可能である。カバー部材102は、開口部101を閉じる閉位置と開口部101を開放する開位置との間で回動可能である。
【0052】
定着ユニット5bが本体1内から引き出されるときに、定着ユニット5bは外装部材100の開口部101を通過可能である。
【0053】
ところで、定着ベルト52におけるシート900の両側端と擦れる部分は、定着ベルト52の他の部分よりも摩耗しやすい。
【0054】
また、定着ベルト52がヒーター51によって安定的に加熱されるためには、ヒーター51は、一定の位置に固定されることが望ましい。電磁誘導加熱式の加熱装置がヒーター51として採用される場合、ヒーター51の位置の変化が加熱性能に及ぼす影響が特に大きい。
【0055】
画像形成装置10は、ヒーター51を一定の位置に固定し、定着ベルト52の摩耗を低減するための構成を備える。以下、その構成について説明する。
【0056】
[加熱ユニット5aおよび定着ユニット5bの構成]
加熱ユニット5aは、ヒーター51と第1支持体54とを有する。第1支持体54は、ヒーター51を支持する部材である。
【0057】
定着ユニット5bは、第2支持体55と可動ユニット56とを有する(
図4,6参照)。可動ユニット56は、可動支持体560と、定着ベルト52と、定着ローラー520と、加圧ローラー53とを含む。
【0058】
可動支持体560は、定着ローラー520および加圧ローラー53を回転可能に支持する。定着ローラー520は、定着ベルト52を支持する。即ち、定着ベルト52は、定着ローラー520を介して可動支持体560によって支持される。
【0059】
第2支持体55は、可動ユニット56を第1方向D1に沿って移動可能に支持する。例えば、第2支持体55は、第1方向D1に沿って配置された複数の支持軸556を有する(
図4,6参照)。複数の支持軸556は、可動支持体560を第1方向D1に沿ってスライド可能に支持する。
【0060】
定着ユニット5bは、可動ユニット56を第1方向D1に沿って往復移動させる往復機構57をさらに備える(
図6参照)。往復機構57の構成については後述する。
【0061】
[加熱ユニット5aおよび定着ユニット5bを位置決めする機構]
画像形成装置10は、本体フレーム1xと外装部材100とを備える(
図3,7照)。本体フレーム1xは、本体1の骨格を形成する。外装部材100は、本体1の外装を形成する。
【0062】
本体フレーム1xは、複数の金属パイプの組み合わせにより構成されている(
図3参照)。加熱ユニット5aおよび定着ユニット5bは、本体フレーム1xによって支持されている。
【0063】
外装部材100は、本体フレーム1xに取り付けられている(
図9参照)。外装部材100は、画像形成装置10の外装を成している。
【0064】
本体フレーム1xを構成する複数の金属パイプは、2つの支柱部11と、2つの梁部12とを有する(
図3参照)。
【0065】
2つの支柱部11は、縦方向D3に延びて形成され、第1方向D1に間隔を空けて配置されている(
図3参照)。縦方向D3は上下方向である。
【0066】
2つの支柱部11は、定着ユニット5bの横において、縦方向D3に延びて形成されている(
図4,9参照)。
【0067】
2つの支柱部11は、画像形成装置10の前面側に配置された第1支柱部11aと、画像形成装置10の背面側に配置された第2支柱部11bとを含む(
図3参照)。
【0068】
2つの梁部12は、加熱ユニット5aおよび定着ユニット5bの下方において横方向に延びて形成され、第1方向D1に間隔を空けて配置されている(
図3,4参照)。横方向は、画像形成装置10の幅方向である。
【0069】
2つの梁部12は、それぞれ2つの支柱部11と連結されている(
図3参照)。例えば、2つの梁部12は、それぞれ2つの支柱部11と溶接によって連結されている。
【0070】
2つの梁部12は、画像形成装置10の前面側に配置された第1梁部12aと、画像形成装置10の背面側に配置された第2梁部12bとを含む(
図3参照)。
【0071】
定着ユニット5bは、加熱ユニット5aと2つの支柱部11との間に配置されている(
図3参照)。
【0072】
加熱ユニット5aの第1支持体54は、2つの梁部12に架け渡された状態で2つの梁部12に載置されている。同様に、定着ユニット5bの第2支持体55は、2つの梁部12に架け渡された状態で2つの梁部12に載置されている。
【0073】
即ち、加熱ユニット5aおよび定着ユニット5bは、いずれも本体フレーム1xに対してビスなどの固定具によって固定されていない。
【0074】
加熱ユニット5aおよび定着ユニット5bは、それぞれ長手方向が第1方向D1に沿う状態で2つの梁部12に載置されている(
図7,8参照)。
【0075】
画像形成装置10は、作用部材6、第1バネ60および連動機構7をさらに備える(
図4,5,7,8参照)。作用部材6および第1バネ60は、本体1内に配置されている。
【0076】
加熱ユニット5aの第1支持体54は、複数の第1被係合部542および第2被係合部544を有する(
図4,5参照)。さらに第1支持体54は、複数のユニット当接部543を有する(
図4参照)。
【0077】
定着ユニット5bの第2支持体55は、複数の第1被係合部542に対応する複数の第1係合部553を有する(
図4参照)。さらに第2支持体55は、複数のユニット当接部543に対応する複数の被当接部554を有する(
図4参照)。
【0078】
本実施形態において、第1支持体54は、第1方向D1に間隔を開けた2箇所に形成された一対の第1被係合部542を有する。第2支持体55は、一対の第1被係合部542に対応する2箇所に形成された一対の第1係合部553を有する。
【0079】
本実施形態において、第1被係合部542各々は、第2方向D2において開口する凹状である(
図4参照)。また、第1係合部553各々は、第1被係合部542各々に嵌まり込む凸状である。
【0080】
なお、第1被係合部542各々が凸状であってもよい。この場合、第1係合部553各々が、第2方向D2において開口する凹状である。
【0081】
また、排出ユニット32は、第2被係合部544に対応する第2係合部321を有する(
図4,5参照)。排出ユニット32は、本体1に固定された固定ユニットの一例である。
【0082】
一対の第1係合部553は、一対の第1被係合部542と係合することにより、縦方向D3において加熱ユニット5aの移動を制限する。縦方向D3は、第1方向D1と第2方向D2とに交差する第3方向の一例である。
【0083】
排出ユニット32の第2係合部321は、第2被係合部544と係合することにより、第1方向D1において加熱ユニット5aの移動を制限する。
【0084】
本実施形態において、第2係合部321は、第2方向D2に沿う凸状である(
図4,5参照)。第2被係合部544は、第1方向D1において対向する一対の起立部である(
図5参照)。第2係合部321は、第2被係合部544における一対の前記起立部の間に挿入される。これにより、第2係合部321は、第2被係合部544と係合する。
【0085】
第1バネ60は、弾性部材の一例である。第1バネ60は、本体1内において加熱ユニット5aに対し定着ユニット5b側の反対側に配置されている(
図4参照)。例えば、第1バネ60は、第1支持体54が有する突起部546によって支持されている。
【0086】
作用部材6は、加熱ユニット5aとの間に第1バネ60を挟む(
図4参照)。第1バネ60は、第1支持体54を第2支持体55へ向けて弾性力によって付勢する(
図4参照)。これにより、第1バネ60は、第2方向D2において定着ユニット5bに対する加熱ユニット5aの位置を保持する。第1バネ60は、ユニット付勢部材の一例である。
【0087】
第1バネ60の第1支持体54に対する付勢力F1は、2つの梁部12に対する加熱ユニット5aおよび定着ユニット5bの静止摩擦力よりも大きい(
図4参照)。
【0088】
第1支持体54は、2つの梁部12の上面に接する1つ以上のリブ541を有する。同様に、第2支持体55は、2つの梁部12の上面に接する複数のリブ551を有する。第1支持体54のリブ541および第2支持体55のリブ551は、前記静止摩擦力の低減のために設けられている。
【0089】
第1バネ60は、第1支持体54を付勢することにより第1支持体54を第2支持体55に当接させる。
【0090】
本実施形態において、一対の第1被係合部542は、第1バネ60の付勢力により一対の第1係合部553に当接する。具体的には、一対の第1被係合部542各々における凹状の部分の内面が、一対の第1係合部553各々に当接する(
図4参照)。
【0091】
さらに、一対のユニット当接部543は、第1バネ60の付勢力により一対の被当接部554に当接する。本実施形態において、一対のユニット当接部543各々は、湾曲面である。一対の被当接部554各々は、第1方向D1に沿う凸状である。
【0092】
一対のユニット当接部543は、一対の第1被係合部542に対し縦方向D3において間隔を開けた2箇所に形成されている(
図4参照)。即ち、一対の第1被係合部542および一対のユニット当接部543が、4箇所において定着ユニット5bに当接する。その結果、加熱ユニット5aの姿勢が安定する。
【0093】
さらに第1バネ60は、第1支持体54を付勢することにより第2支持体55を2つの支柱部11に当接させる。即ち、第1バネ60は、第1支持体54を介して第2支持体55を付勢する。
【0094】
また、第2支持体55は、2つの支柱部11に向かって突出する複数の柱当接部552を有する(
図4,5参照)。複数の柱当接部552が2つの支柱部11の側面に当接する。
【0095】
第2係合部321が第2被係合部544と係合することにより、加熱ユニット5aは、第1方向D1の目的の位置に位置決めされる。
【0096】
さらに、加熱ユニット5aおよび定着ユニット5bは、第1バネ60と2つの支柱部11との間に挟まれることにより、第2方向D2の目的の位置に位置決めされる。
【0097】
また、第1バネ60が弾性力によって加熱ユニット5aを定着ユニット5bへ付勢する。これにより、後述する連動機構7の機械的なあそびが加熱ユニット5aの位置決めに悪影響を及ぼすことが回避される。
【0098】
さらに、一対の第1係合部553が一対の第1被係合部542と係合することにより、加熱ユニット5aは、縦方向D3の目的の位置に位置決めされる。
【0099】
連動機構7は、所定の操作部に対する操作に応じて作用部材6を第2方向D2に沿って移動させる。例えば、カバー部材102が前記操作部を兼ねる。
【0100】
連動機構7は、前記操作部の移動に連動することにより、作用部材6を第1位置および第2位置の一方から他方へ移動させる。
【0101】
作用部材6が前記第1位置に存在するときに、加熱ユニット5aは、第1バネ60の付勢力によって第2方向D2の基準位置に位置決めされる。前記第2位置は、前記第1位置よりも定着ユニット5bから離れた位置である。
【0102】
連動機構7は、前記操作部に対する第1操作に応じて作用部材6を前記第1位置から前記第2位置へ移動させる。例えば、前記第1操作は、カバー部材102を前記閉位置から前記開位置へ移動させる操作である。
【0103】
加熱ユニット5aの第1支持体54は、作用部材6の一部に係合される被係合部545を有する(
図4参照)。
【0104】
作用部材6は、第1支持体54の被係合部545と係合可能な係合部62を有する(
図4参照)。作用部材6が前記第1位置から前記第2位置へ移動する途中で、係合部62が被係合部545と係合する。
【0105】
作用部材6が前記第1位置から前記第2位置へ移動するときに、加熱ユニット5aは、作用部材6から係合部62を通じて力を受け、前記基準位置から退避位置へ移動する。前記待避位置は、前記基準位置よりも定着ユニット5bから離れた位置である。
【0106】
加熱ユニット5aが前記退避位置に位置するときに、定着ユニット5bを本体1内から取外し方向D11へ引き出すことが可能である(
図5参照)。定着ユニット5bは、加熱ユニット5aと接触することなく本体1内から引き出される。取外し方向D11は、第1方向D1に沿う方向である。
【0107】
さらに連動機構7は、前記操作部に対する第2操作に応じて、作用部材6を前記第2位置から前記第1位置へ移動させる。例えば、前記第2操作は、カバー部材102を前記開位置から前記閉位置へ移動させる操作である。
【0108】
作用部材6が前記第2位置から前記第1位置へ移動するときに、加熱ユニット5aは、第1バネ60の付勢力を受け、前記退避位置から前記基準位置へ移動する。
【0109】
加熱ユニット5aが前記退避位置から前記基準位置へ移動する途中で、第2係合部321が第2被係合部544と係合する。さらに、加熱ユニット5aが前記基準位置に到達するときに、一対の第1係合部553が一対の第1被係合部542と係合する。
【0110】
さらに、加熱ユニット5aが前記基準位置に到達するときに、一対のユニット当接部543が一対の被当接部554に当接する。これにより、加熱ユニット5aが前記基準位置に位置決めされる。
【0111】
また、画像形成装置10は、カバー部材102の内側面に取り付けられたカバー付勢機構8をさらに備える(
図5参照)。また、定着ユニット5bの第2支持体55は、下面から下方へ突出する梁当接部555を有する(
図4,7参照)。
【0112】
カバー付勢機構8は、第2バネ80、バネケース81およびキャップ部82を備える(
図7参照)。
【0113】
バネケース81は、第2バネ80を収容している。キャップ部82は、バネケース81に対して移動可能に取り付けられている。第2バネ80は、弾性の定着ユニット付勢部材の一例である。
【0114】
第2バネ80は、カバー部材102が前記閉位置に位置するときに、カバー部材102と定着ユニット5bの第2支持体55との間に挟まれる。本実施形態では、第2バネ80およびキャップ部82が、カバー部材102と第2支持体55との間に挟まれる。
【0115】
第2バネ80は、カバー部材102と第2支持体55との間に挟まれることにより、第2支持体55を装着方向D12へ弾性力によって付勢する(
図5参照)。装着方向D12は、取外し方向D11の反対の方向である。
【0116】
また、カバー部材102が前記閉位置に位置するときに第2支持体55が第2バネ80から受ける力により、梁当接部555が2つの梁部12の一方の側面へ当接する。本実施形態において、梁当接部555は、第2梁部12bの側面に当接する。
【0117】
定着ユニット5bは、第2バネ80および梁当接部555の作用により、第1方向D1において位置決めされる。
【0118】
なお、カバー付勢機構8が、定着ユニット5bの第2支持体55に取り付けられてもよい。
【0119】
前述したように、往復機構57は、可動ユニット56を第1方向D1に沿って往復移動させる。また、画像形成装置10は、本体1内に配置された駆動機構9をさらに備える(
図6参照)。駆動機構9は、本体フレーム1xに固定されている。
【0120】
駆動機構9は、出力ギヤ911を含む減速ギヤ機構91と出力係合部92とを備える。出力係合部92は、出力ギヤ911と一体に形成されている。出力係合部92は、出力ギヤ911と同じ速度で回転する。
【0121】
減速ギヤ機構91は、不図示のモーターの回転力を減速しつつ出力ギヤ911へ伝達する。出力係合部92は、定着ユニット5bへ回転力を伝達する回転体である。出力係合部92は、駆動回転体の一例である。
【0122】
往復機構57は、入力係合部571と円筒カム572とを備える。入力係合部571は、出力係合部92と係合する。入力係合部571は、出力係合部92の回転力を円筒カム572へ伝達する。
【0123】
定着ユニット5bの可動ユニット56は、円筒カム572と係合するカム係合部561を有する。円筒カム572が回転することにより、カム係合部561が第1方向D1に沿って往復移動する。
【0124】
カム係合部561が第1方向D1に沿って往復移動することにより、可動ユニット56全体が第1方向D1に沿って往復移動する。即ち、往復機構57は、出力係合部92の回転運動を可動ユニット56の往復運動へ変換する。
【0125】
往復機構57は、複数枚のシート900が定着ベルト52および加圧ローラー53の間を通過するごとに可動ユニット56を1往復移動させる。
【0126】
例えば、可動ユニット56の第1方向D1における移動範囲が、3ミリメートルから10ミリメートル程度である。
【0127】
例えば、往復機構57は、1枚のシート900が定着装置5を通過するごとに可動ユニット56を0.02ミリメートルから0.08ミリメートル程度移動させる。
【0128】
画像形成装置10が採用されることにより、ヒーター51を含む加熱ユニット5aが一定の位置に固定される。さらに、往復機構57の作用により、定着ベルト52におけるシート900の両側端と擦れる位置が随時変化する。その結果、定着ベルト52の摩耗が低減される。
【符号の説明】
【0129】
1 :本体
1a :排出トレイ
1x :本体フレーム
4 :プリント装置
5 :定着装置
5a :加熱ユニット
5b :定着ユニット
6 :作用部材
7 :連動機構
8 :カバー付勢機構
9 :駆動機構
10 :画像形成装置
11 :支柱部
11a :第1支柱部
11b :第2支柱部
12 :梁部
12a :第1梁部
12b :第2梁部
30 :シート給送装置
31 :搬送ローラー対
31a :排出ローラー対
51 :ヒーター
52 :定着ベルト
53 :加圧ローラー
54 :第1支持体
55 :第2支持体
56 :可動ユニット
57 :往復機構
60 :第1バネ(ユニット付勢部材)
62 :係合部
80 :第2バネ
81 :バネケース
82 :キャップ部
91 :減速ギヤ機構
92 :出力係合部
321 :第2係合部
520 :定着ローラー
542 :第1被係合部
543 :ユニット当接部
544 :第2被係合部
545 :被係合部
552 :柱当接部
553 :第1係合部
554 :被当接部
555 :梁当接部
556 :支持軸
560 :可動支持体
561 :カム係合部
571 :入力係合部
572 :円筒カム
911 :出力ギヤ