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特開2023-131967発光素子駆動装置、および発光素子駆動システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131967
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】発光素子駆動装置、および発光素子駆動システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/10 20200101AFI20230914BHJP
   H05B 45/397 20200101ALI20230914BHJP
   H05B 45/345 20200101ALI20230914BHJP
   H05B 45/325 20200101ALI20230914BHJP
【FI】
H05B45/10
H05B45/397
H05B45/345
H05B45/325
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037015
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須山 真翔
(72)【発明者】
【氏名】桂 幸司
(72)【発明者】
【氏名】三浦 慧亮
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA10
3K273BA07
3K273CA02
3K273DA08
3K273FA03
3K273FA07
3K273FA14
3K273FA26
3K273FA27
3K273GA24
3K273GA25
3K273GA27
(57)【要約】
【課題】外部から入力されるパルス信号に基づき効果的にDC調光を行うことが可能となる発光素子駆動装置を提供する。
【解決手段】発光素子駆動装置(2)は、第1パルス信号(Vpls)を入力可能な第1外部端子(T1)と、前記第1パルス信号を第2パルス信号(PL2)にレベルシフトするように構成されるレベルシフタ(2A)と、前記第2パルス信号を平滑化するように構成される平滑化回路(2B)と、前記平滑化回路の出力に基づき発光素子(5)に流す発光素子電流(ILED)を生成するように構成される電流ドライバ(2H)と、を備え、前記第2パルス信号は、ハイレベルとローレベルの2値を有し、前記ハイレベルは基準電圧(Vref)であり、前記ローレベルはグランド電位である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1パルス信号を入力可能な第1外部端子と、
前記第1パルス信号を第2パルス信号にレベルシフトするように構成されるレベルシフタと、
前記第2パルス信号を平滑化するように構成される平滑化回路と、
前記平滑化回路の出力に基づき発光素子に流す発光素子電流を生成するように構成される電流ドライバと、
を備え、
前記第2パルス信号は、ハイレベルとローレベルの2値を有し、前記ハイレベルは基準電圧であり、前記ローレベルはグランド電位である、発光素子駆動装置。
【請求項2】
前記レベルシフタは、前記第1パルス信号を、内部電圧をハイレベル、前記グランド電位をローレベルとする第3パルス信号にレベルシフトするように構成されるシュミットバッファを有する、請求項1に記載の発光素子駆動装置。
【請求項3】
前記レベルシフタは、前記シュミットバッファの後段に設けられ、前記第3パルス信号を前記第2パルス信号に変換するように構成される後段レベルシフタを有する、請求項2に記載の発光素子駆動装置。
【請求項4】
前記基準電圧の所定比率の電圧を生成する電圧生成部と、
前記所定比率の電圧と前記第2パルス信号とが入力され、低いほうの入力を選択するセレクタと、
を備え、
前記電流ドライバは、前記セレクタの出力に基づき前記発光素子電流を生成するように構成される、請求項3に記載の発光素子駆動装置。
【請求項5】
前記電圧生成部は、前記基準電圧を分圧するように構成される分圧抵抗を有する、請求項4に記載の発光素子駆動装置。
【請求項6】
設定用抵抗を接続可能な第2外部端子と、
前記セレクタの出力が印加される非反転入力端と、反転入力端と、を有するアンプと、
前記アンプの出力端が接続される制御端と、前記反転入力端および前記第2外部端子に接続される第1端と、第2端と、を有するトランジスタと、
前記第2端に接続される入力端を有するカレントミラーと、
を備え、
前記電流ドライバは、前記カレントミラーから出力される電流に基づき前記発光素子電流を生成するように構成される、請求項4または請求項5に記載の発光素子駆動装置。
【請求項7】
前記後段レベルシフタは、
前記第3パルス信号が入力される第1インバータと、
前記第1インバータの出力が入力される第2インバータと、
前記第1インバータの出力に基づきオンオフを切り替えられる第1スイッチと、
前記第2インバータの出力に基づきオンオフを切り替えられる第2スイッチと、
を有し、
オン状態の前記第1スイッチにより出力される前記グランド電位をローレベル、オン状態の前記第2スイッチにより出力される前記基準電圧をハイレベルとして、前記第2パルス信号が生成される、請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の発光素子駆動装置。
【請求項8】
前記第1外部端子と前記シュミットバッファの入力端との間に接続されるプルダウン抵抗を備える、請求項2から請求項7のいずれか1項に記載の発光素子駆動装置。
【請求項9】
前記第1外部端子にプルアップ抵抗を外部接続可能である、請求項8に記載の発光素子駆動装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の発光素子駆動装置と、
前記第1外部端子に入力させる前記第1パルス信号を生成するように構成される制御装置と、
前記発光素子駆動装置と前記制御装置がそれぞれ搭載される別個の基板と、
を備える、発光素子駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光素子駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光素子の一例として、LED(light emitting diode;発光ダイオード)が知られ、消費電力が小さく寿命の長いLEDが様々な用途に用いられる。LEDを駆動するLED駆動装置の従来例は、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1のLED駆動装置は、LEDのカソードが接続可能に構成されるLED端子と、当該LED端子に接続される定電流ドライバと、を備える。定電流ドライバにより、LEDに定電流としてのLED電流が流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-21117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
LED駆動装置は、外部からDC(直流)電圧を入力可能であり、入力されたDC電圧に比例したLED電流をLEDに流すことで調光を行うDC調光機能を有する場合がある。しかしながら、システムによっては、外部からLED駆動装置にDC電圧を入力できず、パルス信号を入力せざるを得ない場合があり、このような場合でもDC調光を行うことが要望されていた。
【0006】
上記状況に鑑み、本開示は、外部から入力されるパルス信号に基づき効果的にDC調光を行うことが可能となる発光素子駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
例えば、本開示に係る発光素子駆動装置は、第1パルス信号を入力可能な第1外部端子と、
前記第1パルス信号を第2パルス信号にレベルシフトするように構成されるレベルシフタと、
前記第2パルス信号を平滑化するように構成される平滑化回路と、
前記平滑化回路の出力に基づき発光素子に流す発光素子電流を生成するように構成される電流ドライバと、を備え、
前記第2パルス信号は、ハイレベルとローレベルの2値を有し、前記ハイレベルは基準電圧であり、前記ローレベルはグランド電位である構成としている。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る発光素子駆動装置によれば、外部から入力されるパルス信号に基づき効果的にDC調光を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の第1実施形態に係るLED駆動システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、本開示の第2実施形態に係るLED駆動システムの構成を示すブロック図である。
図3図3は、本開示の実施形態に係るLEDドライバの構成例を示す図である。
図4図4は、パルス信号VplsのデューティDutyと制御電圧VAとの関係の一例を示す図である。
図5図5は、第1比較例に係るLED駆動システムの構成を示すブロック図である。
図6図6は、比較例に係るLEDドライバの構成例を示す図である。
図7図7は、DC電圧Vdcと制御電圧VAとの関係の一例を示す図である。
図8図8は、第2比較例に係るLED駆動システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発光素子の一例としてのLEDを駆動するシステムについて説明する。従って、以下に説明するLEDドライバは、発光素子駆動装置の一例である。
【0011】
<1.比較例>
ここでは、本開示に係る例示的な実施形態について説明する前に、対比のための比較例について説明する。このような比較例を説明することで、課題が明らかとなる。
【0012】
図5は、第1比較例に係るLED駆動システム40の構成を示すブロック図である。図5に示すLED駆動システム40は、マイコン10と、LEDドライバ20と、基板30と、を有する。マイコン10とLEDドライバ20は、同じ基板30に搭載される。
【0013】
マイコン10は、DA(デジタル・アナログ)変換機能を有し、DC電圧Vdcを出力可能である。DC電圧Vdcは、調光用の電圧である。マイコン10から出力されたDC電圧Vdcは、LEDドライバ20に入力される。LEDドライバ20は、図示しないLEDを駆動可能なIC(集積回路)である。LEDドライバ20は、入力されるDC電圧Vdcに比例したLED電流を生成し、生成されたLED電流をLEDに流す。これにより、DC電圧Vdcに応じた輝度でLEDを駆動することができ、DC調光が実施される。
【0014】
図6は、LEDドライバ20の構成例を示す図である。図6に示すLEDドライバ20は、セレクタ20Aと、アンプ20Bと、トランジスタ20Cと、カレントミラー20Dと、電流ドライバ20Eと、を1チップに集積化して有する。また、LEDドライバ20は、外部との電気的接続を確立するために外部端子であるDC入力端子Ta、抵抗接続端子Tb、およびLED接続端子Tcを有する。
【0015】
DC入力端子Taには、外部からDC電圧Vdcを入力可能である。セレクタ20Aの第1入力端には、基準電圧Vrefの印加端が接続される。セレクタ20Aの第2入力端には、DC入力端子Taが接続される。セレクタ20Aは、基準電圧VrefとDC電圧Vdcのうち低いほうを選択して出力する。
【0016】
セレクタ20Aの出力は、アンプ20Bの非反転入力端(+)に入力される。トランジスタ20Cは、NMOSトランジスタ(Nチャネル型MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor))により構成される。アンプ20Bの出力端は、トランジスタ20Cのゲートに接続される。トランジスタ20Cのソースは、アンプ20Bの反転入力端(-)に接続されるとともに、抵抗接続端子Tbに接続される。抵抗接続端子Tbには、設定用抵抗R20の一端が外部接続される。設定用抵抗R20の他端は、グランド電位の印加端に接続される。
【0017】
トランジスタ20Cのドレインは、カレントミラー20Dの入力端に接続される。電流ドライバ20Eは、抵抗Ra,Rbと、アンプApと、トランジスタMと、を有する。カレントミラー20Dの出力端は、抵抗Raの一端に接続される。抵抗Raの他端は、グランド電位の印加端に接続される。カレントミラー20Dと抵抗Raとが接続されるノードNbは、アンプApの非反転入力端(+)に接続される。トランジスタMは、NMOSトランジスタにより構成される。アンプApの出力端は、トランジスタMのゲートに接続される。トランジスタMのソースは、アンプApの反転入力端(-)に接続されるとともに、抵抗Rbの一端に接続される。抵抗Rbの他端は、グランド電位の印加端に接続される。トランジスタMのドレインは、LED接続端子Tcに接続される。LED接続端子Tcは、LED25のカソードに外部接続される。なお、図6では、LED25は、複数のLEDを直列に接続して構成しているが、単数のLEDとしてもよい。
【0018】
このような構成により、トランジスタ20Cと抵抗接続端子Tbとが接続されるノードNaに発生する制御電圧VAは、セレクタ20Aの出力電圧と一致するように制御される。制御電圧VAは、設定用抵抗R20により電流Iaに電圧・電流変換される。電流Iaは、カレントミラー20Dにより電流Ibにミラーリングされる。電流Ibは、抵抗RaによりノードNbに発生する制御電圧VBに電流・電圧変換される。トランジスタMと抵抗Rbとが接続されるノードNcに発生する制御電圧VCは、制御電圧VBと一致するように制御される。制御電圧VCは、抵抗RbによりLED25を流れるLED電流ILEDに電圧・電流変換される。
【0019】
従って、LED電流ILEDは、次のように表される。
LED=(Vdc/R20)×(Ra/Rb) (Vdc<Vrefの場合)
LED=(Vref/R20)×(Ra/Rb) (Vdc≧Vrefの場合)
【0020】
なお、図7には、DC入力端子Taに入力されるDC電圧Vdcと制御電圧VAとの関係の一例を示す。図7では、一例として基準電圧Vref=1.21Vとしている。
【0021】
このように、DC電圧Vdcが基準電圧Vrefより低い場合は、DC電圧Vdcに比例したLED電流ILEDが生成され、DC電圧Vdcが基準電圧Vref以上となる場合、LED電流ILEDは基準電圧Vrefに基づく値で一定とされる。従って、DC電圧Vdcに基づいてLED25の輝度を調整するDC調光が可能となる。
【0022】
ここで、マイコンには、DA変換機能を有さないものもあり、このような場合は、図8に示すような第2比較例に係るLED駆動システム400を用いることもできる。図8に示すLED駆動システム400は、マイコン100と、LEDドライバ200と、平滑化回路250と、基板300と、を有する。マイコン100、LEDドライバ200、および平滑化回路250は、同じ基板300に搭載される。なお、LEDドライバ200は、先述した第1比較例に係るLEDドライバ20(図6)と同様の構成である。
【0023】
マイコン100は、DA変換機能を有さないため、DC電圧は出力できず、代わりに調光用のパルス信号(パルス電圧)Vplsを出力する。パルス信号Vplsは、平滑化回路250に入力され、平滑化回路250により平滑化されてDC電圧Vdcに変換される。生成されたDC電圧Vdcは、LEDドライバ200に入力される。LEDドライバ200は、入力されたDC電圧Vdcに比例したLED電流を生成し、生成されたLED電流をLEDに流す。これにより、DA変換機能を有さないマイコン100によってもDC調光を実施することができる。
【0024】
しかしながら、このような第2比較例に係る構成では、LEDドライバ200に対して外付けの平滑化回路250が必要となる課題があった。
【0025】
<2.LED駆動システムの構成>
上記のような課題を解決すべく、以下説明する本開示の実施形態が実施される。図1は、本開示の第1実施形態に係るLED駆動システム4の構成を示すブロック図である。図1に示すLED駆動システム4は、マイコン1と、LEDドライバ2と、基板3と、を有する。マイコン1とLEDドライバ2は、同じ基板3に搭載される。
【0026】
マイコン1は、DA変換機能を有さないため、DC電圧は出力できず、代わりに調光用のパルス信号Vplsを出力する。パルス信号Vplsは、LEDドライバ2に入力される。LEDドライバ2は、平滑化回路2Bを内蔵している。LEDドライバ2に入力されたパルス信号Vplsは、平滑化回路2Bにより平滑化されてDC電圧に変換される。LEDドライバ2は、生成されたDC電圧に比例したLED電流を生成し、生成されたLED電流を図示しないLEDに流す。これにより、パルス信号Vplsに基づくDC調光が実施される。
【0027】
図1に示すような構成であれば、LEDドライバ2に外付けされる平滑化回路が不要となる。
【0028】
図2は、本開示の第2実施形態に係るLED駆動システム40の構成を示すブロック図である。図2に示すLED駆動システム40は、図1に示す構成と異なり、別個の基板31,32を有する。マイコン1は、基板31に搭載され、LEDドライバ2は、基板32に搭載される。このようにマイコン1とLEDドライバ2が搭載される基板31,32が別個のため、基板31,32でグランド電位の電位差が生じる可能性がある。しかしながら、後述するような本開示に係るLEDドライバ2の構成により、上記のようなグランド電位の電位差によるLED調光への影響を抑えることが可能となっている。
【0029】
<3.LEDドライバの構成>
図3は、本開示の実施形態に係るLEDドライバ2の構成例を示す図である。図3に示すように、LEDドライバ2は、レベルシフタ2Aと、平滑化回路2Bと、セレクタ2Cと、アンプ2Dと、トランジスタ2Eと、基準電圧生成部2Fと、カレントミラー2Gと、電流ドライバ2Hと、を1チップに集積化して有するICである。また、LEDドライバ2は、外部との電気的接続を確立するための外部端子としてパルス入力端子T1、抵抗接続端子T2、およびLED接続端子T3を有する。
【0030】
パルス入力端子T1には、外部からパルス信号Vplsが入力される。パルス信号Vplsは、ハイレベルとローレベルから構成され、デューティ(ハイレベルの1周期に対する比率)を有する。後述するように、この当該デューティに基づきDC調光が実施される。
【0031】
レベルシフタ2Aは、シュミットバッファSBと、後段レベルシフタLSと、を有する。シュミットバッファSBは、パルス入力端子T1に入力されるパルス信号Vplsをハイレベル=Vreg(内部電圧)、ローレベル=グランド電位と2値化したレベルシフト後のパルス信号PL1に変換して出力する。シュミットバッファSBは、パルス信号Vplsのレベルが所定の閾値電圧より高ければパルス信号PL1をハイレベルとし、そうでなければパルス信号PL1をローレベルとする。実際には閾値電圧に対してヒステリシス特性が付与される。
【0032】
シュミットバッファSBの後段には、後段レベルシフタLSが設けられる。後段レベルシフタLSは、インバータIV1,IV2と、スイッチSW1,SW2と、アンプA1と、を有する。スイッチSW1は、パルス信号PL1をインバータIV1により反転して得られるスイッチ制御信号SC1によりオンオフを切り替えられる。スイッチSW2は、スイッチ制御信号SC1をインバータIV2により反転して得られるスイッチ制御信号SC2信号によりオンオフを切り替えられる。
【0033】
アンプA1は、ボルテージフォロワを構成する。アンプA1の非反転入力端(+)には、基準電圧Vrefの印加端が接続される。スイッチSW2は、アンプA1の出力を出力するか否かを切り替える。スイッチSW1は、グランド電位の出力を出力するか否かを切り替える。スイッチSW1,SW2の出力としてパルス信号PL2が生成される。スイッチSW1,SW2は、スイッチ制御信号SC1,SC2がハイレベルの場合にオン状態となり、ローレベルの場合にオフ状態となる。従って、パルス信号PL1がハイレベルの場合、スイッチSW2がオン状態となり、パルス信号PL2は基準電圧Vrefとなり、パルス信号PL1がローレベルの場合、スイッチSW1がオン状態となり、パルス信号PL2はグランド電位となる。すなわち、基準電圧Vrefをハイレベル、グランド電位をローレベルとしたパルス信号PL2が生成される。
【0034】
このようにレベルシフタ2Aは、入力されるパルス信号Vplsをパルス信号PL2にレベルシフトする。パルス信号PL2は、平滑化回路2Bに入力される。平滑化回路2Bは、抵抗R1とコンデンサC1とから構成されるRCフィルタとして構成される。平滑化回路2Bは、入力されるパルス信号PL2を平滑化してDC電圧Vdcに変換する。パルス信号PL2のハイレベル=基準電圧Vrefに対して、DC電圧Vdcは、次のように表される。
Vdc=Vref×Duty
ただし、Duty:パルス信号Vplsのデューティ[%](=パルス信号PL2のデューティ)
【0035】
セレクタ2Cの第1入力端には、基準電圧Vref’の印加端が接続される。セレクタ2Cの第2入力端には、DC電圧Vdcが入力される。セレクタ20Aは、基準電圧Vref’とDC電圧Vdcのうち低いほうを選択して出力する。
【0036】
基準電圧Vref’は、基準電圧Vrefに基づき基準電圧生成部2Fにより生成される。基準電圧生成部2Fは、基準電圧Vrefとグランド電位との間に直列接続される分圧抵抗Rd1,Rd2を有する。基準電圧Vrefを分圧抵抗Rd1,Rd2により分圧することで基準電圧Vref’が生成される。分圧抵抗Rd1,Rd2を設ける理由については後述する。
【0037】
セレクタ2Cの出力は、アンプ2Dの非反転入力端(+)に入力される。セレクタ2Cより後段側の構成、すなわちアンプ2D、トランジスタ2E、設定用抵抗R2、カレントミラー2G、および電流ドライバ2Hの構成は、先述した比較例に係るLEDドライバ20における構成(図6)と同様であるため、ここでは詳述を省く。なお、トランジスタ2Eのソースは、抵抗接続端子T2を介して設定用抵抗R2に接続される。また、トランジスタMのドレインは、LED接続端子T3を介してLED5のカソードに接続される。
【0038】
このように、パルス入力端子T1に入力されたパルス信号Vplsは、シュミットバッファSBによりパルス信号PL1に変換後、後段レベルシフタLSによりパルス信号PL2に変換される。従って、パルス信号Vplsは、レベルシフタ2Aにより、ハイレベル=Vref、ローレベル=グランド電位とするパルス信号PL2にレベルシフトされる。これにより、先述した第2実施形態(図2)のようにマイコン1とLEDドライバ2が別個の基板31,32に搭載されることで、各基板31,32のグランド電位に電位差が生じた場合でも、LEDドライバ2が搭載される基板32のグランド電位を基準としたパルス信号PL2に変換されるため、LED5の調光への影響を抑えることができる。
【0039】
また、LED5に流すLED電流ILEDは、次のように表される。
LED=(Vdc/R2)×(Ra/Rb) (Vdc<Vref’の場合)
LED=(Vref’/R2)×(Ra/Rb) (Vdc≧Vref’の場合)
【0040】
ここで、
Vdc=Vref×Duty
Vref’=Vref×(Rd2/(Rd1+Rd2))=Vref×α
【0041】
従って、
LED=((Vref×Duty)/R2)×(Ra/Rb) (Duty<αの場合)
LED=((Vref×α)/R2)×(Ra/Rb) (Duty≧αの場合)
【0042】
すなわち、パルス信号VplsのデューティDutyが所定値αより小さい場合、当該デューティに比例したLED電流ILEDが生成され、デューティDutyが所定値α以上である場合、上記デューティ=αとした場合の値でLED電流ILEDが一定となる。αは、分圧抵抗Rd1,Rd2の分圧比として設定される。
【0043】
なお、図4には、パルス信号VplsのデューティDutyと制御電圧VAとの関係の一例を示す。図4では、一例として基準電圧Vref=1.21V、α=90%としている。この場合、90%以上のデューティでLED電流ILEDが一定となる。
【0044】
このように、パルス信号Vplsのデューティに基づいてLED5の輝度を調整するDC調光を実施することが可能となる。また、デューティが所定値α以上ではLED電流ILEDが一定となるため、デューティ=100%付近でLED電流ILEDの不感帯を設けることができる。
【0045】
なお、後段レベルシフタLSを設けずにシュミットバッファSBの出力を平滑化回路2Bに入力させた場合は、例えばVref’=1.2V、Vreg=5Vとした場合、パルス信号Vplsのデューティが24%以上でLED電流ILEDが一定となるため、調光の分解能が低くなってしまう。そこで、シュミットバッファSBの後段に後段レベルシフタLSを設けている。
【0046】
ただし、もしセレクタ2Cに例えばVref’としてVregに近い電圧を印加するような場合であれば、後段レベルシフタLSを設けなくてもよい。
【0047】
また、シュミットバッファSBの入力端とパルス入力端子T1との間にプルダウン抵抗Rpを接続している。これにより、パルス入力端子T1がオープンの場合に、シュミットバッファSBの入力をグランド電位に固定し、LED電流ILED=0Aとして、LED5を消灯することができる。
【0048】
なお、パルス入力端子T1の外部にプルアップ抵抗を接続すれば、シュミットバッファSBの入力をハイレベルに固定することができる。この場合、パルス信号Vplsのデューティ=100%として、LED5を点灯することができる。
【0049】
<4.その他>
以上、例示的な実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内において、実施形態は種々に変形が可能である。
【0050】
<5.付記>
以上の通り、例えば、本開示の一態様に係る発光素子駆動装置(2)は、
第1パルス信号(Vpls)を入力可能な第1外部端子(T1)と、
前記第1パルス信号を第2パルス信号(PL2)にレベルシフトするように構成されるレベルシフタ(2A)と、
前記第2パルス信号を平滑化するように構成される平滑化回路(2B)と、
前記平滑化回路の出力に基づき発光素子(5)に流す発光素子電流(ILED)を生成するように構成される電流ドライバ(2H)と、を備え、
前記第2パルス信号は、ハイレベルとローレベルの2値を有し、前記ハイレベルは基準電圧(Vref)であり、前記ローレベルはグランド電位である構成としている(第1の構成)。
【0051】
また、上記第1の構成において、前記レベルシフタ(2A)は、前記第1パルス信号(Vpls)を、内部電圧(Vreg)をハイレベル、前記グランド電位をローレベルとする第3パルス信号(PL1)にレベルシフトするように構成されるシュミットバッファ(SB)を有する構成としてもよい(第2の構成)。
【0052】
また、上記第2の構成において、前記レベルシフタ(2A)は、前記シュミットバッファ(SB)の後段に設けられ、前記第3パルス信号(PL1)を前記第2パルス信号(PL2)に変換するように構成される後段レベルシフタ(LS)を有する構成としてもよい(第3の構成)。
【0053】
また、上記第3の構成において、前記基準電圧(Vref)の所定比率(α)の電圧(Vref’)を生成する電圧生成部(2F)と、
前記所定比率の電圧と前記第2パルス信号(PL2)とが入力され、低いほうの入力を選択するセレクタ(2C)と、
を備え、
前記電流ドライバ(2H)は、前記セレクタの出力に基づき前記発光素子電流(ILED)を生成するように構成される構成としてもよい(第4の構成)。
【0054】
また、上記第4の構成において、前記電圧生成部(2F)は、前記基準電圧(Vref)を分圧するように構成される分圧抵抗(Rd1,Rd2)を有する構成としてもよい(第5の構成)。
【0055】
また、上記第4または第5の構成において、設定用抵抗(R2)を接続可能な第2外部端子(T2)と、
前記セレクタ(2F)の出力が印加される非反転入力端と、反転入力端と、を有するアンプ(2D)と、
前記アンプの出力端が接続される制御端と、前記反転入力端および前記第2外部端子に接続される第1端と、第2端と、を有するトランジスタ(2E)と、
前記第2端に接続される入力端を有するカレントミラー(2G)と、
を備え、
前記電流ドライバ(2H)は、前記カレントミラーから出力される電流に基づき前記発光素子電流(ILED)を生成するように構成される構成としてもよい(第6の構成)。
【0056】
また、上記第3から第6のいずれかの構成において、前記後段レベルシフタ(LS)は、前記第3パルス信号(PL1)が入力される第1インバータ(IV1)と、
前記第1インバータの出力が入力される第2インバータ(IV2)と、
前記第1インバータの出力に基づきオンオフを切り替えられる第1スイッチ(SW1)と、
前記第2インバータの出力に基づきオンオフを切り替えられる第2スイッチ(SW2)と、
を有し、
オン状態の前記第1スイッチにより出力される前記グランド電位をローレベル、オン状態の前記第2スイッチにより出力される前記基準電圧(Vref)をハイレベルとして、前記第2パルス信号(PL2)が生成される構成としてもよい(第7の構成)。
【0057】
また、上記第2から第7のいずれかの構成において、前記第1外部端子と前記シュミットバッファの入力端との間に接続されるプルダウン抵抗を備える構成としてもよい(第8の構成)。
【0058】
また、上記第8の構成において、前記第1外部端子にプルアップ抵抗を外部接続可能である構成としてもよい(第9の構成)。
【0059】
また、本開示の一態様に係る発光素子駆動システム(40)は、上記第1から第9のいずれかの構成の発光素子駆動装置(2)と、
前記第1外部端子(T1)に入力させる前記第1パルス信号(Vpls)を生成するように構成される制御装置(1)と、
前記発光素子駆動装置と前記制御装置がそれぞれ搭載される別個の基板(31,32)と、を備える。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本開示は、例えば、各種用途のLEDの駆動手段に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 マイコン
2 LEDドライバ
2A レベルシフタ
2B 平滑化回路
2C セレクタ
2D アンプ
2E トランジスタ
2F 基準電圧生成部
2G カレントミラー
2H 電流ドライバ
3 基板
4 LED駆動システム
5 LED
10 マイコン
20 LEDドライバ
20A セレクタ
20B アンプ
20C トランジスタ
20C セレクタ
20D カレントミラー
20E 電流ドライバ
25 LED
30 基板
31,32 基板
40 LED駆動システム
100 マイコン
200 LEDドライバ
250 平滑化回路
300 基板
400 LED駆動システム
A1 アンプ
Ap アンプ
C1 コンデンサ
IV1,IV2 インバータ
LS 後段レベルシフタ
M トランジスタ
R1 抵抗
R2 設定用抵抗
R20 設定用抵抗
Ra,Rb 抵抗
Rd1,Rd2 分圧抵抗
Rp プルダウン抵抗
SB シュミットバッファ
SW1,SW2 スイッチ
T1 パルス入力端子
T2 抵抗接続端子
T3 LED接続端子
Ta DC入力端子
Tb 抵抗接続端子
Tc LED接続端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8