(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131980
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】シリンダ及びシリンダの組み立て方法
(51)【国際特許分類】
F15B 15/14 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
F15B15/14 350
F15B15/14 355Z
F15B15/14 335C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037035
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅野 広太郎
(72)【発明者】
【氏名】田▲崎▼ 佳介
(72)【発明者】
【氏名】能澤 雄一郎
【テーマコード(参考)】
3H081
【Fターム(参考)】
3H081AA03
3H081BB02
3H081CC07
3H081CC14
3H081CC20
3H081CC21
3H081CC23
3H081DD13
3H081DD25
3H081DD39
3H081EE07
3H081EE10
3H081EE30
3H081HH01
(57)【要約】
【課題】分割式のダストシールにおいて、隙間を軽減し、緊迫力を維持すること。
【解決手段】油圧シリンダ1は、ロッドヘッドの近傍の所定位置に、シリンダチューブ2に収容される摺動部51より縮径された縮径部53が設けられたロッド5と、ダストシール8と、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッドヘッドの近傍の所定位置に、シリンダチューブに収容される摺動部より縮径された縮径部が設けられたロッドと、
ダストシールと、
を備えるシリンダ。
【請求項2】
前記縮径部は、前記シリンダが最も収縮した状態において、シリンダヘッドよりロッドヘッド側に位置する、
請求項1に記載のシリンダ。
【請求項3】
前記縮径部の外径は、前記ダストシールの内径より小さい、
請求項1又は請求項2に記載のシリンダ。
【請求項4】
前記縮径部の外径は、前記摺動部の0.90倍以上0.99倍以下である、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシリンダ。
【請求項5】
前記ダストシールは、周方向において分割されている、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のシリンダ。
【請求項6】
ロッドヘッドの近傍の所定位置に、シリンダチューブに収容される摺動部より縮径された縮径部が設けられたロッドと、
周方向において分割されたダストシールと、
を備えるシリンダの組み立て方法であって、
前記分割された前記ダストシールを、前記縮径部において結合して円環状にし、
結合された前記ダストシールを、シリンダボトム側へ移動させて、シリンダヘッドの内側へ装着する、
シリンダの組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シリンダ及びシリンダの組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械は、作業機と、作業機を作動させるために伸縮する油圧シリンダとを備える。油圧シリンダは、油圧シリンダのシリンダヘッドとロッドとの境界をシールするダストシールを備える。ダストシールは、油圧シリンダの内部空間の作動油が油圧シリンダの外部空間に漏出したり、油圧シリンダの外部空間の異物が油圧シリンダの内部空間に侵入したりすることを抑制するために設けられる。ダストシールは交換頻度が高いため、交換時の手間を軽減するために、分割式のダストシールを用いることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、分割式のダストシールは、隙間が生じるおそれがあり改善の余地がある。また、一体型のダストシールと同等の緊迫力を保つために改善の余地がある。
【0005】
本開示は、分割式のダストシールにおいて、隙間を軽減し、緊迫力を維持することができるシリンダ及びシリンダの組み立て方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、ロッドヘッドの近傍の所定位置に、シリンダチューブに収容される摺動部より縮径された縮径部が設けられたロッドと、ダストシールと、を備えるシリンダが提供される。
【0007】
本開示に従えば、ロッドヘッドの近傍の所定位置に、シリンダチューブに収容される摺動部より縮径された縮径部が設けられたロッドと、周方向において分割されたダストシールと、を備えるシリンダの組み立て方法であって、前記分割された前記ダストシールを、前記縮径部において結合して円環状にし、結合された前記ダストシールを、シリンダボトム側へ移動させて、シリンダヘッドの内側へ装着する、シリンダの組み立て方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、分割式のダストシールにおいて、隙間を軽減し、緊迫力を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る油圧シリンダの一部を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る油圧シリンダの一部を示す断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るハウジングを示す正面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る分割されたダストシールを示す正面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る分割されたダストシールを示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るダストシールの交換方法を説明するための図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るダストシールの交換方法を説明するための図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るダストシールの交換方法を説明するための図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係るダストシールの交換方法を説明するための図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係るダストシールの交換方法を説明するための図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係るダストシールの交換方法を説明するための図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係るダストシールの交換方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0011】
[油圧シリンダ]
図1は、実施形態に係る油圧シリンダ1の一部を示す斜視図である。
図2は、実施形態に係る油圧シリンダ1の一部を示す断面図である。
図1及び
図2に示すように、油圧シリンダ1は、シリンダチューブ2と、シリンダヘッド3と、ハウジング4と、ロッド5と、ロッドシール7と、ダストシール8とを備える。
【0012】
シリンダチューブ2は、円筒状の部材である。シリンダヘッド3及びハウジング4は、円環状の部材である。ロッド5は、円柱状の部材である。シリンダチューブ2の中心軸とシリンダヘッド3の中心軸とハウジング4の中心軸とロッド5の中心軸とは、一致する。
【0013】
また、以下の説明においては、中心軸に平行な方向を軸方向という。中心軸の放射方向を半径方向という。中心軸を中心とする回転方向を周方向という。
【0014】
油圧シリンダ1が伸長するようにロッド5が移動する方向を伸長方向という。油圧シリンダ1が収縮するようにロッド5が移動する方向を収縮方向という。伸長方向は、ロッド5のロッドヘッド5Aがシリンダチューブ2及びシリンダヘッド3から離間する方向である。収縮方向は、ロッド5のロッドヘッド5Aがシリンダチューブ2及びシリンダヘッド3に近付く方向である。
【0015】
シリンダチューブ2は、油圧シリンダ1の内部空間を規定する。シリンダチューブ2の伸長方向側の端面には、軸方向にネジ山が形成された、図示しない複数の孔を有する。シリンダチューブ2の伸長方向側の端面にシリンダヘッド3が接続される。シリンダチューブ2の収縮方向側の端面に図示しないボトムが接続される。シリンダチューブ2は、ロッド5の他端部に連結される図示しないピストンを移動可能に支持する。ピストンは、シリンダチューブ2の内部空間をヘッド室とボトム室とに区画する。油圧シリンダ1の伸縮動作に対応して、ボトム室又はヘッド室に作動油が供給される。
【0016】
シリンダヘッド3は、シリンダチューブ2に接続される。シリンダヘッド3は、ロッドシール7を保持する。シリンダヘッド3は、ロッドシール7を介して、ロッド5を移動可能に支持する。シリンダヘッド3は、シリンダチューブ2の伸長方向側の端面に接続される。シリンダチューブ2とシリンダヘッド3とは固定される。シリンダヘッド3は、ハウジング4の収縮方向側の端面に接続される。シリンダヘッド3とハウジング4とは、着脱可能である。
【0017】
シリンダヘッド3は、複数の孔32(
図8参照)を有する。孔32は、第1部材4Aの厚さ方向、言い換えると、軸方向に貫通する。シリンダヘッド3とハウジング4とを組み付けた状態では、孔32は、ハウジング4の孔42と接続される。
【0018】
ハウジング4は、シリンダヘッド3に接続される。ハウジング4は、ダストシール8を保持する。ハウジング4は、シリンダヘッド3の伸長方向側の端面に接続される。ハウジング4は、複数のボルト11Aにより、シリンダヘッド3を介して、シリンダチューブ2に接続される。シリンダヘッド3は、ボルト11Bによりシリンダチューブ2に接続される。シリンダヘッド3とハウジング4とは着脱可能である。
【0019】
ハウジング4は、ダストシール8の外面8dに対向する内面4cを有する。内面4cは、径方向内側を向く。ハウジング4の内面4cは、ダストシール8の外面8dに接触する。
【0020】
ハウジング4は、周方向において分割されている。より詳しくは、ハウジング4は、第1部材4Aと第2部材4Bとからなる。円環状のハウジング4を、ハウジング4の半径方向を含み、ハウジング4の中心軸と垂直な面において切断することにより、第1部材4Aと第2部材4Bとが形成される。第1部材4Aと第2部材4Bとは、略同一の形状であり、軸方向視において半円形状である。第1部材4Aは、周方向の一方に面した端面である端面4Aa(
図10参照)及び周方向の他方に面した端面である端面4Ab(
図10参照)を有する。第2部材4Bは、周方向の一方に面した端面である端面4Ba(
図10参照)及び周方向の他方に面した端面である端面4Bb(
図10参照)を有する。端面4Aa、端面4Ab、端面4Ba及び端面4Bbは、ハウジング4を分割した断面である。ハウジング4は、第1部材4Aと第2部材4Bとを組み付けて一体として構成される。第1部材4Aと第2部材4Bとは、同様に構成されているので、以下では第1部材4Aについて詳細を説明する。
【0021】
図3は、実施形態に係るハウジングを示す正面図である。第1部材4Aは、4つの孔42と、2つの孔43Aとを有する。第2部材4Bは、4つの孔42と、2つの孔43Bとを有する。孔42は、第1部材4Aの厚さ方向、言い換えると、軸方向に貫通している。シリンダヘッド3とハウジング4とを組み付けた状態では、孔42は、シリンダヘッド3の孔32と接続される。孔43Aは、第1部材4Aを厚さ方向と直交する方向にネジ山が形成されている。孔43Bは、第2部材4Bを厚さ方向と直交する方向に貫通している。第1部材4Aと第2部材4Bとを組み付けた状態では、第1部材4Aの孔43Aと第2部材4Bの孔43Bとが、ボルト11Bで接続される。孔42は、ハウジング4をシリンダヘッド3に固定するためのボルト11Aが挿入される。
【0022】
分割されたハウジング4は、複数のボルト11Bにより接続されて、円環状のハウジング4が形成される。より詳しくは、第1部材4Aの端面4Aa及び端面4Abと、第2部材4Bの端面4Ba及び端面4Bbとを向かい合わせにする。第1部材4Aの孔43Aと第2部材4Bの孔43Bとが向かい合う。この状態で、第1部材4Aの孔43Aと第2部材4Bの孔43Bとにボルト11Bを挿通する。これにより、円環状のハウジング4が形成される。
【0023】
円環状のハウジング4は、複数のボルト11Aにより、シリンダヘッド3に着脱可能に接続される。ハウジング4がシリンダヘッド3に固定されることにより、ハウジング4に保持されるダストシール8がシリンダヘッド3に固定される。
【0024】
ロッド5は、シリンダチューブ2、シリンダヘッド3、及びハウジング4に対して移動可能である。ロッド5は、中心軸の軸方向に沿って移動可能である。ロッド5は、シリンダヘッド3の内面に摺動可能に支持される。ロッド5の一端部に円環状のロッドヘッド5Aが設けられる。ロッド5は、ロッドヘッド5Aを介して、建設機械の作業機に連結される。ロッド5の図示しないロッドエンドは、ロッド5の軸方向において、ロッドヘッド5Aと反対側に位置する。ロッドエンドは、シリンダチューブ2内に位置する。
【0025】
ロッド5は、シリンダチューブ2から抜去されるように、又は、シリンダチューブ2に挿入されるように、軸方向に移動する。ロッド5がシリンダチューブ2から抜去されることにより、油圧シリンダ1は伸長する。ロッド5がシリンダチューブ2に挿入されることにより、油圧シリンダ1は収縮する。
【0026】
ロッド5は、摺動部51とロッドヘッド基部52と縮径部53とを含む。摺動部51の軸方向の全長のほとんどは、油圧シリンダ1が最も収縮した状態において、ハウジング4の伸長方向側端面より収縮方向側に位置する。摺動部51の軸方向の全長のほとんどは、油圧シリンダ1が最も収縮した状態において、シリンダチューブ2、シリンダヘッド3、及びハウジング4の内部に収容される。ロッドヘッド基部52は、油圧シリンダ1が最も収縮した状態において、ハウジング4より伸長方向側に位置する。ロッドヘッド基部52は、油圧シリンダ1が最も収縮した状態において、ハウジング4よりロッドヘッド5A側に位置する。
【0027】
縮径部53は、摺動部51とロッドヘッド基部52との間に設けられる。縮径部53は、ロッド5のロッドヘッド5Aの近傍に設けられる。縮径部53は、油圧シリンダ1が最も収縮した状態において、ハウジング4よりロッドヘッド5A側に位置する。縮径部53は、シリンダチューブ2に収容される摺動部51より縮径されている。縮径部53の外径L2は、摺動部51及びロッドヘッド基部52の外径L1より小さい。縮径部53の外径L2は、摺動部51及びロッドヘッド基部52の外径L1の0.90倍以上0.99倍以下である。縮径部53の外径L2は、ロッド5に取り付けられていない状態におけるダストシール8の内径より小さい。摺動部51と縮径部53との間には、収縮方向側に向かって外径が拡大するテーパ部54が設けられる。ロッドヘッド基部52と縮径部53との間には、伸長方向側に向かって外径が拡大するテーパ部55が設けられる。テーパ部54の傾きθは、回転軸と平行な軸に対して、例えば10°以上30°以下である。テーパ部55は、例えば、テーパ部54と同様の傾きを有する。
【0028】
[ロッドシール]
ロッドシール7は、油圧シリンダ1の内部空間の作動油が油圧シリンダ1の外部空間に漏出することを抑制する。ロッドシール7は、円環状の部材である。ロッドシール7は、シリンダヘッド3の内面とロッド5の外面5cとの間に配置される。ロッドシール7は、シリンダヘッド3に保持される。ロッドシール7の少なくとも一部は、ロッド5の外面5cに接触する。
【0029】
実施形態において、ロッドシール7は、軸方向に並んで配置されるダストシール71、ロッドパッキン72及びバッファリング73を含む。ダストシール71、ロッドパッキン72及びバッファリング73の区別を特に要しない場合、ロッドシール7と記載する。ダストシール71、ロッドパッキン72及びバッファリング73は、円環状の部材である。ダストシール71は、ロッドパッキン72よりも伸長方向側に配置される。ロッドパッキン72は、バッファリング73よりも伸長方向側に配置される。実施形態では、ロッドシール7が3つであるものとして説明したが、ロッドシール7の数は限定されない。
【0030】
[ダストシール]
ダストシール8は、油圧シリンダ1の外部空間の異物が油圧シリンダ1の内部空間に侵入することを抑制する。ダストシール8は、円環状の部材である。ダストシール8は、周方向において分割されている。ダストシール8は、ハウジング4の内面4cとロッド5の外面5cとの間に配置される。ダストシール8は、ハウジング4に保持される。ダストシール8は、ロッドシール7よりも伸長方向側に配置される。ダストシール8は、シリンダヘッド3よりも伸長方向側において、ロッド5の外周に配置される。ダストシール8の少なくとも一部は、ロッド5の外面5cに接触する。
【0031】
実施形態において、ダストシール8は、軸方向に並んで配置されるダストシール81、ダストシール82及びダストシール83を含む。ダストシール81、ダストシール82及びダストシール83の区別を特に要しない場合、ダストシール8と記載する。ダストシール81、ダストシール82及びダストシール83は、それぞれ、円周方向に分割された2つの部材を組み合わせ円環状の部材である。ダストシール81は、ダストシール82よりも伸長方向側に配置される。ダストシール82は、ダストシール83よりも伸長方向側に配置される。実施形態では、ダストシール8が3つであるものとして説明したが、ダストシール8の数は限定されない。
【0032】
実施形態では、ダストシール81、ダストシール82及びダストシール83は同様に構成されているので、以下ではダストシール81について詳細を説明する。
【0033】
図4は、実施形態に係る分割されたダストシール81を示す正面図である。
図5は、実施形態に係る分割されたダストシール81を示す断面図である。ダストシール81は、周方向において分割されている。より詳しくは、ダストシール81は、周方向において第1部材81Aと第2部材81Bとに分割されている。円環状のダストシール81を、ダストシール81の半径方向を含み、ダストシール81の中心軸と垂直な面において切断することにより、第1部材81Aと第2部材81Bとが形成される。第1部材81Aと第2部材81Bとは、同一の形状であり、軸方向視において半円形状である。ダストシール81は、第1部材81Aと第2部材81Bとを組み付けて一体として構成される。第1部材81Aと第2部材81Bとは、同様に構成されているので、以下では第1部材81Aについて詳細を説明する。第2部材81Bについては、図示及び説明を省略する。以下の説明において、第2部材81Bに係る記載は、各部に第1部材81Aと対応する符号を付して説明する。
【0034】
第1部材81Aは、シールリング811Aと保持部材812Aとを有する。シールリング811Aと保持部材812Aとは、一体に形成される。
【0035】
シールリング811Aは、シールする部材である。シールリング811Aは、弾性体である。シールリング811Aは、ポリウレタン製である。シールリング811Aを形成する材料は、例えば、ポリウレタン、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化ニトリルブタジエンゴム(HNBR)、シリコンゴム、及びフッ素ゴムの少なくとも一つである。シールリング811Aは、例えば、合成樹脂製でもよい。
【0036】
シールリング811Aは、軸方向視において半円形状である。シールリング811Aは、保持部材812Aの内面に配置される。シールリング811Aの少なくとも一部は、ロッド5の外面5cに接触する。シールリング811Aは、周方向の一方の端面である端面811Aa及び周方向の他方の端面である端面811Abを有する。
【0037】
シールリング811Aは、ロッド5の外面5cに対向する内面811Acを有する。シリンダヘッド3及びハウジング4に対してロッド5が軸方向に移動するとき、内面811Acがロッド5の外面5cに密着した状態を維持しながら摺動する。
【0038】
保持部材812Aを形成する材料は、例えば、材料は、例えば、ポリウレタン、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化ニトリルブタジエンゴム(HNBR)、シリコンゴム、及びフッ素ゴムの少なくとも一つである。保持部材812Aは、軸方向視において半円形状である。保持部材812Aは、シールリング811Aの外周に配置される。保持部材812Aは、周方向の一方の端面である端面812Aa及び周方向の他方の端面である端面812Abを有する。端面812Aaには、端面812Aaから突出した凸部813A及び凸部814Aが設けられる。端面812Abには、端面812Abに凹状に形成された凹部815A及び凹部816Aが設けられる。
【0039】
第1部材81Aのシールリング811Aの端面811Aa及び端面811Abと、第2部材81Bのシールリング811Bの端面811Bb及び端面811Baとが接続される。第1部材81Aのシールリング811Aと第2部材81Bのシールリング811Bとが接続されて、円環状になる。第1部材81Aの保持部材812Aの端面812Aa及び端面812Abと、第2部材81Bの保持部材812Bの端面812Bb及び端面812Baとが接続される。第1部材81Aの保持部材812Aと第2部材81Bの保持部材812Bとが接続されて、円環状になる。第1部材81Aの凸部813Aが第2部材81Bの凹部815Bに嵌合し、第1部材81Aの凸部814Aが第2部材81Bの凹部816Bに嵌合する。第2部材81Bの凸部813Bが第1部材81Aの凹部815Aに嵌合し、第2部材81Bの凸部814Bが第1部材81Aの凹部816Aに嵌合する。実施形態において、812Aaと812Bb、812Baと812Abの合わせ面に接着剤を塗布して結合される。結合方法は、これに限られない。これらにより、円環状のダストシール81が形成される。
【0040】
ダストシール8により、油圧シリンダ1の外部空間の異物が油圧シリンダ1の内部空間に侵入することが抑制される。
【0041】
[交換方法]
次に、
図6ないし
図12を用いて、ダストシール8の交換方法について説明する。
【0042】
はじめに、ダストシール8を油圧シリンダ1に取り付ける方法、言い換えると、油圧シリンダ1の組み立て方法について説明する。
図6は、実施形態に係るダストシール8の交換方法を説明するための図である。
図7は、実施形態に係るダストシール8の交換方法を説明するための図である。
図6、
図7に示すように、分割されたダストシール8を、ロッド5の縮径部53において結合して円環状にする。より詳しくは、ロッド5の縮径部53の外周に分割されたダストシール8が配置される。ダストシール8の一例として、ダストシール81の組み付けについて説明する。
【0043】
ロッド5の縮径部53の外周を覆うように、ダストシール81の第1部材81Aと第2部材81Bとが組み付けられる。より詳しくは、第1部材81Aのシールリング811Aの端面811Aa及び端面811Abと、第2部材81Bのシールリング811Bの端面811Bb及び端面811Baとが接続される。第1部材81Aの保持部材812Aの端面812Aa及び端面812Abと、第2部材81Bの保持部材812Bの端面812Bb及び端面812Baとが接続される。第1部材81Aの凸部813Aが第2部材81Bの凹部815Bに嵌合し、第1部材81Aの凸部814Aが第2部材81Bの凹部816Bに嵌合する。第2部材81Bの凸部813Bが第1部材81Aの凹部815Aに嵌合し、第2部材81Bの凸部814Bが第1部材81Aの凹部816Aに嵌合する。
【0044】
作業者は、同様にしてダストシール82及びダストシール83をロッド5の外周に取り付ける。
【0045】
このように、油圧シリンダ1が建設機械に搭載されている状態で、ロッド5の少なくとも一部がシリンダチューブ2に挿入されている状態で、作業者は、ロッド5の縮径部53の外周にダストシール8を取り付ける。
【0046】
図8は、実施形態に係るダストシール8の交換方法を説明するための図である。
図9は、実施形態に係るダストシール8の交換方法を説明するための図である。次に、
図8及び
図9に示すように、ロッド5の外周にダストシール8を配置した後、作業者は、油圧シリンダ1が建設機械に搭載されている状態で、ロッド5の少なくとも一部がシリンダチューブ2に挿入されている状態で、ダストシール8の外周にハウジング4を配置する。ロッド5の外周に配置されたダストシール8を覆うように、ハウジング4の第1部材4Aと第2部材4Bとが組み付けられる。より詳しくは、ハウジング4の第1部材4Aの端面4Aaと第2部材4Bの端面4Baとを対向させ、第1部材4Aの端面4Abと第2部材4Bの端面4Bbと対向させる。
【0047】
図10は、実施形態に係るダストシール8の交換方法を説明するための図である。
図11は、実施形態に係るダストシール8の交換方法を説明するための図である。次に、
図10及び
図11に示すように、ハウジング4の第1部材4Aの端面4Aaと第2部材4Bの端面4Baとを対向させ、第1部材4Aの端面4Abと第2部材4Bの端面4Bbとを対向させた状態で、第1部材4Aの孔43Aと第2部材4Bの孔43Bにボルト11Bを挿通して固定する。このようにして、作業者は、ロッド5の少なくとも一部がシリンダチューブ2に挿入されている状態で、ロッド5の縮径部53の外周において、ダストシール8の外周にハウジング4を配置する。
【0048】
次に、ロッド5の縮径部53の外周に取り付けられたハウジング4及びダストシール8を、ロッド5に沿って収縮方向へ移動させる。これにより、ハウジング4及びダストシール8は、ロッド5の摺動部51まで移動する。ハウジング4の端面4dが、シリンダヘッド3の端面3aに接触するまで移動する。
【0049】
ハウジング4及びダストシール8がロッド5の縮径部53から摺動部51へ移動することにより、ダストシール8は、ロッド5に対してより密着する。これにより、ダストシール8によって、油圧シリンダ1の外部空間の異物が油圧シリンダ1の内部空間に侵入することが抑制される。
【0050】
図12は、実施形態に係るダストシール8の交換方法を説明するための図である。次に、
図12に示すように、ハウジング4は、ハウジング4の孔42及びシリンダヘッド3の孔32にボルト11Aを挿入して、シリンダヘッド3を介して、シリンダチューブ2に固定される。
【0051】
このようにして、ダストシール8が油圧シリンダ1に取り付けられる。言い換えると、油圧シリンダ1が組み立てられる。
【0052】
次に、ダストシール8を油圧シリンダ1から取り外す方法、言い換えると、油圧シリンダ1を分解する方法について説明する。作業者は、油圧シリンダ1が建設機械に搭載されている状態で、ロッド5の少なくとも一部がシリンダチューブ2に挿入されている状態で、
図12に示すように、ハウジング4及びシリンダヘッド3からボルト11Aを外す。ハウジング4及びシリンダヘッド3からボルト11Aが外されることにより、ハウジング4とシリンダヘッド3は、シリンダチューブ2との固定が解除される。
【0053】
そして、作業者は、油圧シリンダ1が建設機械に搭載されている状態で、ロッド5の少なくとも一部がシリンダチューブ2に挿入されている状態で、
図11に示すように、ハウジング4及びダストシール8をロッド5に沿って伸長方向に移動する。ハウジング4及びダストシール8は、ロッド5の摺動部51から縮径部53まで移動される。
【0054】
そして、作業者は、
図10に示すように、ハウジング4からボルト11Bを外す。これにより、ハウジング4が、第1部材4Aと第2部材4Bとに分離されて、ロッド5から外される。そして、作業者は、露出したダストシール8を切断するなどしてロッド5から外す。
【0055】
このようにして、ダストシール8が油圧シリンダ1から取り外される。言い換えると、油圧シリンダ1が分解される。
【0056】
[効果]
以上説明したように、実施形態では、分割されたダストシール8は、ロッド5の縮径部53において結合されて円環状にされてから、摺動部51へ移動される。これにより、実施形態は、ダストシール8の締め代を確保できる。実施形態によれば、ダストシール8とロッド5の外周との間の隙間をなくし、緊迫力を維持することができる。
【0057】
実施形態では、ロッド5の縮径部53は、油圧シリンダ1が最も収縮した状態において、ハウジング4よりロッドヘッド5A側に位置する。実施形態では、ダストシール8を容易に交換することができる。
【0058】
実施形態では、ロッド5の縮径部53の外径L2は、ダストシール8の内径より小さい。実施形態では、ダストシール8を容易に交換することができる。
【0059】
実施形態では、ロッド5の縮径部53の外径L2は、摺動部51及びロッドヘッド基部52の外径L1の0.90倍以上0.99倍以下である。実施形態によれば、縮径部53において結合したダストシール8を、容易に摺動部51へ移動することができる。
【0060】
実施形態では、ダストシール8及びハウジング4は周方向において分割されている。これにより、作業者は、シリンダチューブ2からロッド5を抜去することなく、ダストシール8及びハウジング4をロッド5の外周に配置する作業、及び、ダストシール8及びハウジング4をロッド5から外す作業を簡単に実行することができる。したがって、ダストシール8の交換作業に要する時間が長くなることが抑制される。
【符号の説明】
【0061】
1…油圧シリンダ、2…シリンダチューブ、3…シリンダヘッド、4…ハウジング、4A…第1部材、4B…第2部材、5…ロッド、5A…ロッドヘッド、7…ロッドシール、8…ダストシール、11A…ボルト、11B…ボルト、51…摺動部、52…ロッドヘッド基部、53…縮径部、54…テーパ部、55…テーパ部、71…ダストシール、72…ロッドパッキン、73…バッファリング、81…ダストシール、81A…第1部材、81B…第2部材、82…ダストシール、83…ダストシール、811…シールリング、812…保持部材、813…凸部、814…凸部、815…凹部、816…凹部、L1…外径、L2…外径、θ…傾き。