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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131985
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】火災検知器及び受光装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/12 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
G08B17/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037042
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 孝治
【テーマコード(参考)】
5C085
【Fターム(参考)】
5C085AA13
5C085BA31
5C085CA11
5C085FA11
5C085FA16
5C085FA20
5C085FA35
(57)【要約】
【課題】光を受光する装置の光透過部の汚損を抑制するための設備を別途設けることなく、この光透過部の汚損を抑制する。
【解決手段】火災検知器1は、受光窓22Aを有し、受光窓22Aを介して光を受光し火災を検知する火災検知部20と、外部の空気を受光窓22Aに導く風洞部40Aとを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過部を有し、前記光透過部を介して光を受光し火災を検知する火災検知部と、
外部の空気を前記光透過部に導く風洞部と
を備える火災検知器。
【請求項2】
前記光透過部である第1光透過部とは異なる第2光透過部を有し、試験光を前記第2光透過部を介して前記火災検知部に照射する試験用発光部をさらに備え、
前記風洞部と前記試験用発光部とは、前記風洞部により導かれた前記空気の流れ方向と交わる方向に沿って並べて配置される
請求項1に記載の火災検知器。
【請求項3】
前記風洞部は、第1風洞と第2風洞とを含み、
前記試験用発光部は、前記第1風洞と前記第2風洞の間に配置される
請求項2に記載の火災検知器。
【請求項4】
前記火災検知部は、設置面から突出する筐体を有し、
前記光透過部は、前記筐体の側面に設けられ、
前記風洞部は、前記筐体の側面において前記火災検知部が前記火災の検知に使用しない領域を経由して前記光透過部に前記空気を導く
請求項1から3のいずれか1項に記載の火災検知器。
【請求項5】
前記風洞部は、第1風洞部と第2風洞部とを含み、
前記第1風洞部と前記第2風洞部とは、自器が設けられるトンネルの一方の口から他方の口へと向かう方向に沿って並んで設けられ、
前記火災検知部は、前記第1風洞部と前記第2風洞部との間に配置される
請求項1から4のいずれか1項に記載の火災検知器。
【請求項6】
前記風洞部は、内部に前記空気が通る通路を有し、
前記通路は、前記光透過部のうち前記火災検知部と対向する領域に他の領域より多く前記空気を導く方向に延び、前記空気の入口から出口に向かうにつれて徐々に窄まる形状を有する
請求項1から5のいずれか1項に記載の火災検知器。
【請求項7】
光透過部と、
前記光透過部を介して光を受光する受光部と、
外部の空気を前記光透過部に導く風洞部と
を備える受光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光透過部の汚損を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
火災検知器の周辺に風洞を付けて、火災検知器の受光ガラスの汚損を抑制する技術が知られている(例えば特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6713245号公報
【特許文献2】特開2001-118166公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1及び2に記載の技術では、火災検知器等の光を受光する装置とは別に、その装置の周辺に風洞を設ける必要がある。
【0005】
本発明は、光を受光する装置の光透過部の汚損を抑制するための設備を別途設けることなく、この光透過部の汚損を抑制することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、光透過部を有し、前記光透過部を介して光を受光し火災を検知する火災検知部と、外部の空気を前記光透過部に導く風洞部とを備える火災検知器を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光を受光する装置の光透過部の汚損を抑制するための設備を別途設けることなく、この光透過部の汚損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る火災検知器の一例を示す正面図である。
図2】火災検知器の一例を示す底面図である。
図3】火災検知器の一例を示す左側面図である。
図4】風洞部の作用の一例を示す図である。
図5】風洞部の作用の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。なお、図面においては、発明を理解し易いように、実際の寸法、形状、それらの比率とは異なる場合がある。また、図中のx軸方向、y軸方向、及びz軸方向は、互いに直交する方向である。-x軸方向、-y軸方向、及び-z軸方向は、それぞれ、x軸方向、y軸方向、及びz軸方向と反対の方向である。
【0010】
図1は、本実施形態に係る火災検知器1の一例を示す正面図である。図2は、火災検知器1の一例を示す底面図である。図3は、火災検知器1の一例を示す左側面図である。火災検知器1は、火災を検知し、火災の発生を防災受信盤等の外部装置(図示せず)に通知する。火災検知器1の表面は、塵、埃、土砂、車両の排気ガス、化学物質等の汚損物質によって汚損する。火災検知器1は、外部の気流を利用してこの汚損を抑制する。
【0011】
一例において、火災検知器1は、自動車道路用のトンネルの壁面に所定の間隔で設置され、トンネル内で発生した火災を検知する。図1に示される例では、トンネルは図中のx方向に沿って延びる。トンネル内を走行する自動車は、図中のx方向又は-x方向に沿って走行する。この自動車の走行により、トンネル内には主に図中のx方向又は-x方向の気流が生じる。火災検知器1は、トンネル内の気流を利用してこの汚損を抑制する。
【0012】
図1に示されるように、火災検知器1は、基台10と、火災検知部20と、試験用発光部30A及び30B(以下、総称して「試験用発光部30」ともいう。)と、風洞部40A及び40B(以下、総称して「風洞部40」ともいう。)とを備える。風洞部40A及び40Bは、火災検知器1と一体に設けられる。火災検知器1は、開口部を有する内箱(図示せず)に収容される。内箱は、さらに開口部を有する外箱(図示せず)に収容される。外箱は、設置面に固定される。一例において、外箱は、トンネルの壁面に固定される。火災検知器1は内箱及び外箱の開口部から外部に露出する。なお、火災検知器1は、必ずしも内箱及び外箱に収容されなくてもよい。火災検知器1は、トンネルの壁面等の設置面に直接固定されてもよい。
【0013】
基台10は、内箱の内部に固定される板状の部材である。基台10上には、火災検知部20と、試験用発光部30と、風洞部40とが設けられる。図1に示されるように、火災検知部20は、基台10の中央部に配置される。試験用発光部30Aは、基台10の図中の-x方向における端部と火災検知部20との間に配置される。試験用発光部30Bは、基台10の図中のx方向における端部と火災検知部20との間に配置される。風洞部40Aと風洞部40Bとはトンネルの一方の口から他方の口へと向かう方向(図中のx方向)に沿って並んで配置される。風洞部40Aと風洞部40Bとの間には火災検知部20が配置される。風洞部40A及び40Bは、それぞれ、本発明に係る「第1風洞部」及び「第2風洞部」の一例である。
【0014】
火災検知部20は、炎が発する赤外線を受光し炎を検知する。図1に示されるように、火災検知部20は、筐体21と、受光窓22A及び22B(以下、総称して「受光窓22」ともいう。)と、検出素子23A及び23B(以下、総称して「検出素子23」ともいう。)とを備える。
【0015】
筐体21は、検出素子23を収容する。筐体21は、光を遮蔽する素材で形成される。筐体21は、基台10から突出し、検出素子23A及び23Bを覆う。一例において、筐体21は略四角錐台形状を有する。図2に示されるように、筐体21の左側面及び右側面は、いずれも基台10の表面に対して傾斜する平面である。
【0016】
受光窓22は、筐体21の外部から発せられた光を内部に通す。ここでいう「光」には、赤外線、紫外線等の不可視光線と可視光線とが含まれる。受光窓22は、筐体21に設けられる。受光窓22は、光を透過する素材で形成され、光を透過する。一例において、受光窓32はガラスで形成される平面ガラス板である。図2に示されるように、受光窓22A及び22Bは、それぞれ、筐体21の左側面及び右側面において筐体21の突出先端側(図中のz方向)の端部に配置される。受光窓22は、本発明に係る「光透過部」又は「第1光透過部」の一例である。
【0017】
図1に示されるように、筐体21の左側面及び右側面において筐体21の突出基端側(図中の-z方向)の端部には、受光窓22A及び22Bは設けられない。これらの端部は、それぞれ、当接領域24A及び24B(以下、「当接領域24」ともいう。)となる。当接領域24は、火災検知部20が火災の検知に使用しない領域である。当接領域24は、風洞部40により導かれた空気の流れ方向において風洞部40と受光窓22との間に位置する。当接領域24は、風洞部40により導かれる空気の汚れが受光窓22に付着するのを防ぐために用いられる。
【0018】
検出素子23は、筐体21に内蔵され、受光窓22を介して光を受光する。検出素子23が炎から発せられた赤外線を受光すると、火災が検出される。より具体的には、この火災の検出は、赤外線2波長式又は赤外線3波長式により行われる。検出素子23は、主に受光窓22のうち検出素子23と対向する領域(以下、「主領域」という。)から赤外線を受光する。そのため、この主領域が汚損すると、他の領域が汚損した場合に比べて火災の検知精度への影響が大きくなる。検出素子23の例としては、焦電素子、フォトダイオード、サーモパイルが挙げられる。一例において、検出素子23Aは、図中の-x方向の検出範囲から発せられた赤外線を受光窓22Aを介して受光する。検出素子23Bは、図中のx方向の検出範囲から発せられた赤外線を受光窓22Bを介して受光する。検出素子23Aと検出素子23Bとの組み合わせにより、火災検知部20の検出範囲は180度以上となる。
【0019】
試験用発光部30は、検出素子23に試験光を照射する。試験光は、受光窓22の汚損状況を確認するための汚損試験に用いられる。また、試験光は、汚損試験に加えて、検出素子23が正常に動作するか否かを確認するための動作試験に用いられてもよい。図1に示されるように、試験用発光部30A及び30Bは、それぞれ、筐体31A及び31B(以下、総称して「筐体31」ともいう。)と、受光窓32A及び32B(以下、総称して「受光窓32」ともいう。)と、発光素子33A及び33B(以下、総称して「発光素子33」ともいう。)とを備える。
【0020】
筐体31は、発光素子33を収容する。筐体31は、光を遮蔽する素材で形成される。筐体31A及び31Bは、それぞれ、基台10から突出し、発光素子33A及び33Bを覆う。一例において、図1及び図3に示されるように、筐体31A及び31Bは、それぞれ、風洞部40A及び40Bと一体に形成される。
【0021】
受光窓32は、筐体31の内部から発せられた光を外部に通す。受光窓32は、筐体31に設けられる。受光窓32は、光を透過する素材で形成され、光を透過する。一例において、受光窓32はガラスで形成される平面ガラス板である。図2に示されるように、受光窓32A及び32Bは、それぞれ、筐体31A及び31Bの火災検知部20側の端面に設けられる。受光窓32は、本発明に係る「第2光透過部」の一例である。
【0022】
発光素子33は、筐体31に内蔵され、受光窓32を介して試験光を照射する。発光素子33から照射された試験光は、受光窓32を透過した後、筐体21の受光窓22を透過して検出素子23に照射される。発光素子33の例としては、赤外線発光ダイオードが挙げられる。図2に示されるように、発光素子33A及び33Bは、それぞれ、受光窓32A及び32Bを介して試験光を照射する。これらの試験光は、それぞれ、受光窓32A及び32Bを透過した後、受光窓22A及び22Bを透過して検出素子23A及び23Bに照射される。
【0023】
風洞部40は、外部の空気を筐体21の当接領域24を経由して受光窓22に導く。風洞部40Aは、外部の空気が図中のx方向に流れる場合に、この空気を受光窓22Aに導くために用いられる。一方、風洞部40Bは、外部の空気が図中の-x方向に流れる場合に、この空気を受光窓22Bに導くために用いられる。風洞部40のz方向の高さは、火災検知部20による火災検知動作を妨げないように、検出素子23による火災の検出の妨げにならない高さに設定される。図2に示されるように、風洞部40のz方向の高さは筐体21のz方向の高さより小さい。
【0024】
風洞部40Aは、第1風洞41Aと、第2風洞42Aとを備える。図1に示されるように、第1風洞41A、第2風洞42A、及び試験用発光部30Aは、図中のy方向に沿って並んで配置される。図中のy方向は、第1風洞41A及び第2風洞42Aにより導かれた空気の流れ方向と交わる方向である。第1風洞41Aと第2風洞42Aとの間には、試験用発光部30Aが配置される。
【0025】
第1風洞41Aは、-x方向の端部に入口43、x方向の端部に出口44を有し、入口43から出口44に貫通するトンネル型の形状を有する。図2に示されるように、出口44のz方向の高さは、当接領域24Aのz方向の高さより小さい。
【0026】
図1に示されるように、第1風洞41A内の通路は、図中のx方向に対して受光窓22Aの主領域により多くの空気を導く方向に斜めに延びる。当接領域24において図中のy方向における中央部は、第1風洞41Aにより導かれる空気の流れ方向において、第1風洞41Aの出口44と受光窓22Aの主領域との間に位置する。そのため、第1風洞41A内の通路は、この当接領域24の中央部に向けて図中のx方向に対して斜めに延びる。第1風洞41A内の通路は、入口43から出口44に向かうにつれて、当接領域24の中央部を通りx方向に延びる仮想線に徐々に近づく。出口44は、入口43よりもこの仮想線に近い位置に形成される。
【0027】
第1風洞41A内の通路は、第1風洞41Aにより導かれる空気の流速を大きくするために、入口43から出口44に向かうにつれて徐々に窄まる形状を有する。出口44の断面積は入口43の断面積より小さい。一例において、出口44は入口43より図中のy方向の幅が小さい。或いは、出口44は入口43より図中のz方向の高さが小さくてもよい。
【0028】
第1風洞41A内の通路には、空気の流れを一定に整える整流板(図示せず)が設けられもよい。一例において、清流板は網目形状を有する。ただし、清流板の形状は網目形状に限定されず、縦格子形状、多孔形状等、空気の流れを整える機能を実現できる形状であればどのような形状であってもよい。
【0029】
第2風洞42Aは第1風洞41Aと同様の構成を有するが、火災検知部20の図中のy方向における中央を通り図中のx方向に延びる仮想線を軸として第1風洞41Aと線対称に配置される。第1風洞41B及び第2風洞42Bは、それぞれ、第1風洞41A及び第2風洞42Aと同様の構成を有するが、火災検知部20の図中のx方向における中央を通り図中のy方向に延びる仮想線を軸として第1風洞41A及び第2風洞42Aと線対称に配置される。したがって、第1風洞41B及び第2風洞42Bは、いずれも、x方向の端部に入口43、-x方向の端部に出口44を有する。なお、以下の説明では、第1風洞41A及び41Bを総称して「第1風洞41」、第2風洞42A及び42Bを総称して「第2風洞42」ともいう。
【0030】
図4及び図5は、風洞部40の作用の一例を示す図である。ここでは、火災検知器1の設置場所では図中のx方向に空気が流れるものとする。例えば火災検知器1の近傍を自動車が図中のx方向に走行する場合、図中のx方向の気流が形成される。この空気の少なくとも一部は、第1風洞41A及び第2風洞42Aの入口43に入り、第1風洞41A及び第2風洞42A内の通路を通過して出口44から排出される。図1に示されるように、第1風洞41A及び第2風洞42A内の通路は、当接領域24の図中のy方向における中央部に向けて図中のx方向に対して斜めに延びる。そのため、第1風洞41A及び第2風洞42A内の通路を通過した空気は、当接領域24Aの図中のy方向における中央部に向かって排出される。また、第1風洞41A及び第2風洞42A内の通路は、入口43から出口44にかけて徐々に窄まるため、流速が大きくなる。
【0031】
図4に示されるように、第1風洞41A及び第2風洞42Aの出口44から排出された空気は、当接領域24Aに衝突する。この衝突により、空気の汚れが当接領域24に付着する。このようにして汚れが除去された清浄な空気は、筐体21の左側面の表面を筐体21の突出先に向かって流れる。なお、ここでいう「清浄」とは、当接領域24Aに衝突する前よりも汚れが少ないことをいい、汚れが含まれていてもよい。このとき、清浄な空気が受光窓22Aの表面に吹き付けられ、受光窓22Aと接触する。これにより、受光窓22Aへの汚損物質の付着が抑制される。また、清浄な空気は、特に受光窓22Aの主領域に吹き付けられるため、受光窓22Aの主領域への汚損物質の付着が抑制される。
【0032】
また、図4に示されるように、外部の空気の少なくとも一部は、第1風洞41A及び第2風洞42Aのz方向側の空間を通って受光窓22Aに向かって流れる。しかし、上述したように受光窓22Aの表面には清浄な空気が吹き付けられるため、この空間を通る汚れた空気は、受光窓22Aの表面上を流れる清浄な空気に引っ張られて、清浄な空気層の上を流れる。この清浄な空気層により汚れた空気が受光窓22Aの表面に直接接触しないため、汚れた空気の接触による受光窓22Aの汚損が防止される。
【0033】
さらに、図1に示されるように、試験用発光部30Aの受光窓32Aは、図中のy方向に沿って第1風洞41A及び第2風洞42Aの出口44と並んで配置される。図中のy方向は、第1風洞41A及び第2風洞42Aにより導かれた空気が流れる方向と交わる方向である。そのため、試験用発光部30Aの受光窓32Aには、第1風洞41A及び第2風洞42Aを通過した汚れた空気が接触しない。また、図5に示されるように、試験用発光部30Aの受光窓32Aは、第1風洞41A及び第2風洞42Aのz方向側の空間を通って受光窓22Aに向かって流れる空気の経路から見て窪んだところに設けられているため、この空間を通る汚れた空気に接触しない。そのため、汚れた空気の接触による受光窓32Aの汚損が防止される。
【0034】
風洞部40Bについても上述した風洞部40Aと同様の作用を有する。例えば火災検知器1の近傍を自動車が図中の-x方向に走行する場合、図中の-x方向の気流が形成される。この場合、風洞部40Bは、上述した風洞部40Aと同様に、この空気の少なくとも一部を利用して受光窓22Bに清浄な空気を導く。
【0035】
以上説明した実施形態によれば、火災検知器1に風洞部40が設けられているため、火災検知器1の受光窓22の汚損を抑制するための設備を別途設けることなく、この受光窓22の汚損を抑制することができる。また、試験用発光部30は、風洞部40により導かれる空気の流れと交わる方向に沿って風洞部40と並べて配置されるとともに、第1風洞41と第2風洞42との間に設けられるため、第1風洞41と第2風洞42を通過した汚れた空気の接触による受光窓32の汚損が防止される。さらに、第1風洞41及び第2風洞42を通過した汚れた空気は、筐体21の当接領域24に衝突して汚れが除去されてから受光窓22に接触するため、第1風洞41及び第2風洞42を通過した汚れた空気との接触による受光窓22の汚損を防止することができる。さらに、風洞部40A及び風洞部40Bは、図中のx方向に沿って並べて配置されているため、トンネル内をx方向に空気が流れる場合にも-x方向に空気が流れる場合にも、この空気を利用して受光窓22の汚損を抑制することができる。
【0036】
本発明は、上述した実施形態に限定されない。上述した実施形態は、以下の変形例のように変形して実施されてもよい。また、以下の変形例のうち2以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
【0037】
上述した実施形態において、空気の汚れが当接領域24に付着しやすくなるように、当接領域24の表面が加工されてもよい。一例において、当接領域24の表面にギザギザの凹凸が形成されてもよい。他の例において、当接領域24の表面に汚れが付着しやすい素材で形成されたシートが付加されてもよい。この加工によれば、汚れた空気が当接領域24に衝突したときに当接領域24に汚れが付着しやすくなるため、より清浄な空気を受光窓22に導くことができる。
【0038】
上述した実施形態において、当接領域24に付着した汚れが飛散して受光窓22の方へ移動し難くなるように、当接領域24に窪みが設けられてもよい。当接領域24の窪みに付着した汚れは窪みの中に留まるため、受光窓22の方へ移動し難くなる。これにより、当接領域24に付着した汚れの飛散による受光窓22の汚損を抑制することができる。
【0039】
上述した実施形態において、外部の空気の汚れを除去する効果を高めるために、第1風洞41及び第2風洞42の内部に空気の汚れを除去するフィルターが設けられてもよい。このフィルターにより、第1風洞41及び第2風洞42を通過する空気の汚れが除去されるため、より清浄な空気を受光窓22に導くことができる。
【0040】
上述した実施形態において、筐体21の形状は、略四角錐台形状に限定されない。筐体21の形状は、平面形状であってもよいし、半球形状や半長球形状であってもよい。ただし、風洞部40により受光窓22の汚損を抑制する効果を高めるには、筐体21は少なくとも一部に平面を有し、その平面に受光窓22が設けられるのが好ましい。この変形例に係る構成であっても、受光窓22の汚損を抑制することができる。
【0041】
上述した実施形態において、火災検知器1の構成は上述した例に限定されない。火災検知器1は、上述した構成を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の構成を含まずに構成されてもよい。また、火災検知器1の構造及び配置は一例であり、これに限定されない。例えば検出素子23の数は2つに限定されず、1つ又は3つ以上であってもよい。受光窓22が設けられる場所は、筐体21の側面に限定されず、上底面であってもよい。
【0042】
上述した実施形態において、風洞部40は、風洞部40を有さない既存の火災検知器に後から設けられてもよい。この場合、風洞部40は、既存の火災検知器において外部の空気を受光窓に導くことができる位置に設けられる。要するに、本発明は、風洞部40を有する風洞装置を提供してもよい。この変形例によれば、風洞部40を有さない既存の火災検知器であっても受光窓の汚損を抑制することができる。
【0043】
上述した実施形態において、火災検知器1は、自動車道路用トンネル以外のトンネルに設置されてもよい。自動車道路用トンネル以外のトンネルとしては、例えば鉄道用トンネル、工事用トンネル、人道用トンネルが挙げられる。トンネル内を走行する車両は、上述した自動車に限定されず、電車、工事用の機械であってもよい。また、火災検知器1は、トンネル以外の場所に設置されてもよい。火災検知器1が設置される場所は、基本的には一定方向の気流が存在されることが好ましい。ただし、一定方向の気流が存在しない場合には、例えば火災検知器1の設置場所に送風機を設けて、一定方向の気流が形成されるようにしてもよい。この変形例に係る構成であっても、受光窓22の汚損を抑制することができる。
【0044】
上述した実施形態において、火災検知部20は、炎が発する赤外線を受光し炎を検知するものに限定されない。他の例において、火災検知部20は、赤外線を利用して測定された温度に応じて火災を検知してもよい。この例では、検出素子23は放射温度センサであり、受光窓22を介して受光した赤外線に応じて温度を測定する。さらに他の例において、火災検知部20は、カメラにより撮影された周辺の画像を解析することにより火災を検知してもよい。この例では、検出素子23は小型のカメラであり、光学系と撮像素子とを有する。撮像素子は、受光窓22を介して受光した光により画像を撮影する。この画像は、可視光画像であってもよいし、赤外線画像であってもよい。要するに、火災検知器1は、受光窓22を介して光を受光する受光部を有し、受光部により受光された光を利用して火災を検知するものであれば、どのような方式又は構成を用いて火災を検知してもよい。この変形例に係る構成であっても、受光窓22の汚損を抑制することができる。
【0045】
本発明は、火災検知器1以外の受光装置に適用されてもよい。一例において、受光装置はカメラ装置であってもよい。カメラ装置の筐体には、受光窓22と風洞部40とが設けられる。カメラ装置は、光学系と撮像素子とを有し、画像を撮影する。この画像は、可視光画像であってもよいし、赤外線画像であってもよい。撮像素子は、受光窓22を介して受光した光により画像を撮影する。カメラ装置により撮影された画像は、例えば火災の検知に用いられてもよいし、人の検知や交通の監視に用いられてもよい。風洞部40は、外部の空気を受光窓22に導く。これにより受光窓22の汚損を抑制することができる。なお、受光装置は、カメラ装置に限定されず、受光窓22と、受光窓22を介して光を受光する受光部と、外部の空気を受光窓22に導く風洞部40とを備えるものであれば、どのような装置であってもよい。要するに、本発明は、光透過部と、前記光透過部を介して光を受光する受光部と、外部の空気を前記光透過部に導く風洞部とを備える受光装置を提供してもよい。カメラ装置は、本発明に係る「受光装置」の一例である。撮像素子は、本発明に係る「受光部」の一例である。この変形例によれば、受光装置の受光窓22の汚損を抑制することができる。
【0046】
上述した実施形態において、火災検知部20は、基台10の中央部に配置されなくてもよい。例えば基台10の図1中のx方向の端部及び-x方向の端部に、それぞれ、2つの火災検知部20が配置されてもよい。
【0047】
上述した実施形態において、受光窓22A及び22Bは、筐体21の左側面及び右側面において筐体21の突出基端側(図中の-z方向)の端部に亘って設けられてもよい。ただし、受光窓22A及び22Bのうち筐体21の突出基端側(図中の-z方向)の端部は、風洞部40により導かれる空気が衝突する当接領域となり、火災検知部20による火災の検知には使用されない。この変形例に係る構成であっても、第1風洞41及び第2風洞42を通過した汚れた空気は、受光窓22A及び22Bのうち筐体21の突出基端側(図中の-z方向)の端部に衝突して汚れが除去されてから受光窓22A及び22Bに接触するため、第1風洞41及び第2風洞42を通過した汚れた空気との接触による受光窓22の汚損を防止することができる。
【0048】
上述した実施形態において、試験用発光部30Aの筐体31Aと風洞部40A、試験用発光部30Bの筐体31Bと風洞部40Bとは、必ずしも一体に形成されなくてもよい。例えば受光窓22A及び22Bに対して図2中のz方向の端部又は-z方向の端部に受光窓22A及び22Bから突出するように、それぞれ、試験用発光部30A及び30Bが別途設けられてもよい。この変形例に係る構成であっても、風洞部40により受光窓22の汚損を抑制することができるとともに、試験用発光部30により汚損試験を行うことができる。
【符号の説明】
【0049】
1:火災検知器、10:基台、20:火災検知部、21:筐体、22:受光窓、23:検出素子、24:当接領域、30:試験用発光部、31:筐体、32:受光窓、33:発光素子、40:風洞部、41:第1風洞、42:第2風洞
図1
図2
図3
図4
図5