IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本信号株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ゲート装置 図1
  • 特開-ゲート装置 図2
  • 特開-ゲート装置 図3
  • 特開-ゲート装置 図4
  • 特開-ゲート装置 図5
  • 特開-ゲート装置 図6
  • 特開-ゲート装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132007
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】ゲート装置
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20230914BHJP
【FI】
G07B15/00 A
G07B15/00 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037081
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(72)【発明者】
【氏名】大串 寧
(72)【発明者】
【氏名】柏崎 良輔
(72)【発明者】
【氏名】和久井 淳史
【テーマコード(参考)】
3E127
【Fターム(参考)】
3E127AA22
3E127BA21
3E127CA02
3E127DA01
3E127DA02
3E127DA07
3E127DA30
3E127FA10
3E127FA12
3E127FA21
3E127FA25
3E127FA43
3E127FA50
(57)【要約】
【課題】ゲート装置において、設置に必要なスペースの増大やシステム構成の複雑化を抑制しつつ、通行者が携行している荷物を人物と誤検知することを防止し、これによってゲートによる不必要な通路の閉鎖を低減する。
【解決手段】ゲート装置1は、通路Tの側方に配置された装置本体3と、装置本体3の動作を制御する制御部5とを含む。装置本体3は、通行券情報を読み取る情報読取部31、通路Tを開閉可能なゲート32、通路Tを通行する物体の位置を検知する位置センサ33、前記物体の温度を検知する温度センサ34及び前記物体の高さを検知する高さセンサ35を有する。制御部5は、情報読取部31で読み取った通行券情報と、位置センサ33、温度センサ34及び高さセンサ35の検知信号とに基づいてゲート32を操作するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通路の側方に配置され、通行券情報を読み取る情報読取部、前記通路を開閉可能なゲート、前記通路を通行する物体の位置を検知する位置センサ、前記物体の温度を検知する温度センサ及び前記物体の高さを検知する高さセンサを有する装置本体と、
前記情報読取部で読み取った通行券情報と、前記位置センサ、前記温度センサ及び前記高さセンサの検知信号とに基づいて前記ゲートを操作する制御部と、
を含む、ゲート装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記温度センサ及び前記高さセンサの検知信号に基づいて前記物体が通行者であるか荷物であるかを識別し、識別結果を前記ゲートの操作に反映させるように構成されている、請求項1に記載のゲート装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記物体の高さが高さ閾値未満であり且つ前記物体の温度が設定温度範囲外である場合に前記物体が荷物であると特定する、請求項2に記載のゲート装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記物体の高さが高さ閾値以上である場合、又は、前記物体の高さが高さ閾値未満であり且つ前記物体の温度が設定温度範囲内である場合に前記物体が通行者であると特定する、請求項2に記載のゲート装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記物体の高さが前記高さ閾値以上である場合に前記物体が大人の通行者であると特定し、前記物体の高さが前記高さ閾値未満であり且つ前記物体の温度が前記設定温度範囲内である場合に前記物体が子供の通行者であると特定する、請求項4に記載のゲート装置。
【請求項6】
前記情報読取部は、前記装置本体の通路入口側の部位に配置され、前記ゲートは、前記装置本体の通路出口側の部位に配置され、前記位置センサ、前記温度センサ及び前記高さセンサは、前記装置本体の前記通路側の面に配置されている、請求項1~5のいずれか一つに記載のゲート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通路を開閉可能なゲートを有するゲート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動改札機などのゲート装置の多くは、通路の通行方向に沿って配置された複数の投光素子及び受光素子を含む光電センサからなる通過センサを含み、この通過センサにより、通路を通過しようとする人物(以下「通行者」という)を検知している(特許文献1等を参照)。この種の装置は、前記通過センサの検知結果に基づいていわゆる「共連れ」が発生したと判定すると、ゲートを閉鎖して前記通路の通過を阻止するように構成されていることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-216540公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような通過センサは、例えば通行者がキャリーケースのような荷物を携行している場合、つまり、通行者と荷物とが離れた状態で移動している場合、通行者が携行している荷物を人物(すなわち、前記通行者とは別の通行者)として誤検知してしまうことがある。このような誤検知は、ゲート装置による「共連れ」の誤判定、及びゲートによる不必要な通路の閉鎖を招き、その結果、通路の円滑な通行を妨げるおそれがあるため好ましくない。その対策として、カメラや3Dセンサなどを用いて荷物を検出する構成をゲート装置に追加することが考えられる。しかし、カメラや3Dセンサなどは、比較的高い位置に設置される必要があるため、ゲート装置を設置するために必要なスペース(すなわち、設置スペース)が増大してゲート装置の設置場所が制限されてしまう。また、専用の処理部を追加する必要があるなどシステム構成の複雑化も招く。
【0005】
そこで、本発明は、設置スペースの増大やシステム構成の複雑化を抑制しつつ、通行者が携行している荷物を人物と誤検知することを防止し、これによってゲートによる不必要な通路の閉鎖を低減することができるゲート装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によると、ゲート装置が提供される。このゲート装置は、通路の側方に配置され、通行券情報を読み取る情報読取部、前記通路を開閉可能なゲート、前記通路を通行する物体の位置を検知する位置センサ、前記物体の温度を検知する温度センサ、及び前記物体の高さを検知する高さセンサを有する装置本体と、前記情報読取部で読み取った通行券情報と、前記位置センサ、前記温度センサ及び前記高さセンサの検知信号とに基づいて前記ゲートを操作する制御部と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、設置スペースの増大やシステム構成の複雑化を抑制しつつ、通行者が携行している荷物を人物と誤検知することを防止し、これによってゲートによる不必要な通路の閉鎖を低減することができるゲート装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るゲート装置の外観構成を示す図である。
図2】実施形態に係るゲート装置の制御系構成を示すブロック図である。
図3】実施形態に係るゲート装置の制御部による処理の一例を示すフローチャートである。
図4】実施形態に係るゲート装置の制御部による処理の一例を示すフローチャートである。
図5】実施形態に係るゲート装置の制御部による処理の一例を示すフローチャートである。
図6】実施形態に係るゲート装置の制御部による処理の一例を示すフローチャートである。
図7】実施形態に係るゲート装置の制御部による処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係るゲート装置1の外観構成を示す図であり、図2は、ゲート装置1の制御系構成を示すブロック図である。実施形態に係るゲート装置1は、装置本体3と、装置本体3の全体動作を制御する制御部5とを含む。
【0011】
装置本体3は、通路Tの側方に通路Tに隣接して配置されている。装置本体3は、情報読取部31、ゲート32、位置センサ33、温度センサ34、高さセンサ35及び報知部36を有する。
【0012】
情報読取部31は、通路Tに向かって移動してくる通行者から見て手前側、つまり、装置本体3における通路Tの入口側の部位に設けられている。情報読取部31は、例えば通行者が自身の通行券媒体を情報読取部31に翳すことにより、当該通行券媒体からそこに記録された通行券情報を読み取るように構成されている。読み取られた通行券情報は、制御部5に出力される。前記通行券情報は、通路Tを通過するために必要な情報である。つまり、通路Tを通過しようとする通行者は、適正(又は有効)な通行券情報が記録された通行券媒体を情報読取部31に翳すことによって通路Tを通過することが可能になる。また、前記通行券媒体は、前記通行券情報を記録可能な各種の媒体であり、入場券媒体、乗車券媒体及び搭乗券媒体などを含む。
【0013】
なお、情報読取部31は、前記通行券媒体からそこに記録された通行券情報を読み取ることに加えて、前記通行券媒体に情報を書き込むことができる情報読取/書込部として構成されてもよい。
【0014】
ゲート32は、通路Tに向かって移動してくる通行者から見て奥側、つまり、装置本体3における通路Tの出口側の部位に設けられている。ゲート32は、回動により通路Tを開閉するように構成されている。具体的には、ゲート32は、一端側が装置本体3に回動可能に支持されており、装置本体3の通路T側の面にほぼ平行な第1姿勢(図1において一点鎖線で示された状態)と、装置本体3の通路T側の面にほぼ直角となる第2姿勢(図1において実線で示された状態)との間で回動するように構成されている。そして、ゲート32は、前記第1姿勢にあるときに通路Tを開放して通行者が通路Tを矢印方向に通過することを許容し、前記第2姿勢にあるときに通路Tを閉鎖して通行者が通路Tを矢印方向に通過することを阻止するように構成されている。ゲート32は、制御部5によって操作される。
【0015】
本実施形態において、ゲート32の通常姿勢は、前記第2姿勢である。すなわち、ゲート32は、通常、通路Tを閉鎖して通行者が通路Tを矢印方向に通過することを阻止している状態にある。なお、以下の説明においては、前記第1姿勢にあるゲート32を前記第2姿勢に姿勢変化(回動)させること、つまり、通路Tを閉鎖するようにゲート32を操作することを「ゲート32を閉操作する」という。また、前記第2姿勢にあるゲート32を前記第1姿勢に姿勢変化(回動)させること、つまり、通路Tを開放するようにゲート32を操作することを「ゲート32を開操作する」という。
【0016】
位置センサ33は、通路Tを通行する物体の位置を検知する。より具体的には、位置センサ33は、通路Tへの物体の進入、通路T内における物体の位置、及び通路Tからの物体の進出を検知可能に構成されている。特に限定されないが、本実施形態において、位置センサ33は、2組の透過型光電センサで構成されており、装置本体3の通路T側の面に上下2段に設置された上側受光部33a及び下側受光部33bと、通路Tを挟んでこれらに対向する上側投光部及び下側投光部(いずれも図示省略)とを有する。
【0017】
上側受光部33aは、通路Tに沿って配置された複数の受光素子を含み、前記上側投光部は、通路Tを挟んで上側受光部33aの前記複数の受光素子に対向配置された複数の投光素子を含む。また、下側受光部33bは、通路Tに沿って配置された複数の受光素子を含み、前記下側投光部は、通路Tを挟んで下側受光部33bの前記複数の受光素子に対向配置された複数の投光素子を含む。
【0018】
そして、位置センサ33は、上側受光部33aの受光素子が前記上側投光部の対応する投光素子からの光を受光しない場合、及び/又は、下側受光部33bの受光素子が前記下側投光部の対応する投光素子からの光を受光しない場合、つまり、前記上側投光部及び/又は前記下側投光部からの光が物体によって遮られることにより、通路T内に物体が存在すること及びその位置を検知するように構成されている。位置センサ33の信号(検知信号)は、制御部5に出力される。
【0019】
ここで、上側受光部33aと前記上側投光部とで一組の透過型光電センサ(一つの位置センサ)が構成され、下側受光部33bと前記下側投光部とでもう一組の透過型光電センサ(もう一つの位置センサ)が構成されている。また、本実施形態において、上側受光部33a及び前記上側投光部は、装置本体3の高さ方向の中間位置により上側に配置され、下側受光部33bと前記下側投光部は前記中間位置より下側に配置されている。したがって、位置センサ33は、前記中間位置よりも上側で通路Tを通行する物体の位置を検知する上側位置センサ33Uと、前記中間位置よりも下側で通路Tを通行する物体の位置を検知する下側位置センサ33Lとで構成されているということもできる。
【0020】
温度センサ34は、通路Tを通行する物体の温度(表面温度)を検知する。特に限定されないが、本実施形態において、温度センサ34は、対象物の温度を非接触で測定可能な放射温度計で構成されている。温度センサ34は、位置センサ33と同様、装置本体3の通路T側の面に配置されている。具体的には、本実施形態において、温度センサ34は、通路Tの通路方向中央より入口側であって、且つ、高さ方向においては位置センサ33を構成する上側位置センサ33Uと下側位置センサ33Lとの間に配置されている。温度センサ34の信号(検知信号)は、制御部5に出力される。なお、温度センサ34は、通路Tに進入した物体の温度を検知するということもできる。
【0021】
高さセンサ35は、通路Tを通行する物体の高さを検知する。具体的には、本実施形態において、高さセンサ35は、通路Tを通行する物体が、あらかじめ設定された所定の高さ(以下「高さ閾値」という)以上の高さを有するか否かを検知する。特に限定されないが、前記高さ閾値は、例えば通路Tの路面から1.0m~1.5mの間の任意の高さ位置に設定され得る。また、特に限定されないが、本実施形態において、高さセンサ35は、投光部及び受光部を含む反射型光電センサで構成されている。高さセンサ35は、位置センサ33及び温度センサ34と同様、装置本体3の通路T側の面に配置されている。具体的には、本実施形態において、高さセンサ35は、通路Tの通路方向中央より入口側であって、且つ、装置本体3の上部近傍(位置センサ33よりも上側)に配置されている。高さセンサ35の信号(検知信号)は、制御部5に出力される。なお、高さセンサ35は、通路Tに進入した物体の高さを検知するということもできる。また、高さセンサ35は、位置センサ33と同様、透過型光電センサで構成されてもよい。
【0022】
ここで、図には示されていないが、ゲート装置1は、装置本体3と対をなすもう一つの装置本体を有してもよい。前記もう一つの装置本体は、通路Tを挟んで装置本体3と対向配置される。この場合、前記もう一つの装置本体は、ゲート32と対をなすと共にゲート32と連動するもう一つのゲートを有することができる。また、前記上側投光部及び前記下側投光部が前記もう一つの装置本体の通路T側の面に上下二段に設置され得る。さらに、温度センサ34と対をなすもう一つの温度センサ、及び/又は、高さセンサ35と対をなすもう一つの高さセンサが前記もう一つの装置本体の通路T側の面に設置され得る。
【0023】
報知部36は、装置本体3の任意の部位に設けられている。報知部36は、主に通行者による通路Tの通過を阻止する場合にそのことを通行者や係員などに報知するために設けられている。特に限定されないが、報知部36は、報知光を発光する発光部、報知音を発生させる音発生部、及び/又は報知表示を行う表示部を含み得る。報知部36の動作は、制御部5によって制御される。
【0024】
制御部5は、装置本体3の内部に配置されている。制御部5は、情報読取部31で読み取った通行券情報、位置センサ33の検知信号、温度センサ34の検知信号及び高さセンサ35の検知信号を入力する。そして、制御部5は、入力された通行券情報及び各センサの検知信号に基づいて、ゲート32の開閉及び報知部36の動作を制御するように構成されている。
【0025】
次に、制御部5が行う処理(換言すれば、ゲート装置1の動作)について具体的に説明する。図3図6は、制御部5が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【0026】
図3のステップS1において、制御部5は、前記通行券情報の入力を待ち受ける。換言すれば、ゲート装置1は、情報読取部31が前記通行券媒体からそこに記録された前記通行券情報を読み取るのを待つ。
【0027】
ステップS2において、制御部5は、物体が通路Tに進入したか否かを判定する。この判定は、位置センサ33の検知信号に基づいて行われる。そして、物体が通路Tに進入した場合(ステップS2:YES)、制御部5は、ステップS8(図5)の処理に進む。他方、物体が通路Tに進入していない場合(ステップS2:NO)、制御部5は、ステップS3の処理に進む。
【0028】
ステップS3において、制御部5は、前記通行券情報が入力されたか否かを判定する。そして、前記通行券情報が入力された場合(ステップS3:YES)、制御部5は、ステップS4の処理に進む。他方、前記通行券情報が入力されていない場合(ステップS3:NO)、制御部5は、ステップS1に戻り、前記通行券情報の入力の待ち受け状態を維持する。
【0029】
ステップS4において、制御部5は、ステップS3で入力された前記通行券情報が適正(有効)であるか否かを判定する。そして、前記通行券情報が適正(有効)である場合(ステップS4:YES)、制御部5は、ステップS5の処理に進む。他方、前記通行券情報が適正(有効)でない場合には通行者による通路Tの通過が許可されない。よって、前記通行券情報が適正(有効)でない場合(ステップS4:NO)、制御部5は、ステップS31(図6)の処理に進み、報知部36を作動させ、その後、係員などによって解除操作がなされるまで報知部36の作動を継続させる(ステップS31~S33)。
【0030】
ステップS5において、制御部5は、通行権利数をインクリメントする。具体的には、制御部5は、通行権利数を「0」から「+1」に変更する。前記通行権利数は、通路Tの通過を許可する通行者(人物)の人数に相当する。
【0031】
ステップS6において、制御部5は、ゲート32を開操作する。これにより、通路Tが開放され、通行者が通路Tを矢印方向に通過することが可能になる。
【0032】
ステップS7において、制御部5は、ステップS2と同様、物体が通路Tに進入したか否かを判定する。そして、物体が通路Tに進入すると、制御部5は、ステップS12の処理に進む。
【0033】
上述のステップS2の処理で物体が通路Tに進入したと判定された場合、ステップS8(図5)において、制御部5は、ステップS3と同様に、前記通行券情報が入力されたか否かを判定する。そして、前記通行券情報が入力された場合(ステップS8:YES)、制御部5は、ステップS9の処理に進む。他方、前記通行券情報が入力されていない場合(ステップS8:NO)、制御部5は、ステップS12の処理に進む。
【0034】
ステップS9において、ステップS8で入力された前記通行券情報が適正(有効)であるか否かを判定する。そして、前記通行券情報が適正(有効)である場合(ステップS9:YES)、制御部5は、ステップS10の処理に進む。他方、前記通行券情報が適正(有効)でない場合(ステップS9:NO)、制御部5は、ステップS31(図6)の処理に進み、報知部36を作動させ、その後、係員などによって解除操作がなされるまで報知部36の作動を継続させる(ステップS31~S33)。
【0035】
ステップS10において、制御部5は、通行権利数をインクリメントし、ステップS11において、制御部5は、ゲート32を開操作する。そして、制御部5は、ステップS11においてゲート32を開操作すると、ステップS12の処理に進む。なお、ステップS8~S11の処理は、ステップS3~S6の処理と基本的に同じである。
【0036】
ステップS12において、制御部5は、通路Tに進入した物体の識別処理を行う。具体的には、本実施形態において、制御部5は、通路Tに進入した物体が人物であるか荷物であるかを識別する。
【0037】
図7は、ステップS12における物体の識別処理の一例を示すフローチャートである。図7のステップS121において、制御部5は、通路Tに進入した物体の高さが前記高さ閾値以上であるか否かを判定する。この判定は、高さセンサ35の検知信号に基づいて行われる。通路Tに進入した物体の高さが前記高さ閾値未満である場合(ステップS121:NO)、制御部5は、ステップS122の処理に進む。他方、通路Tに進入した物体の高さが前記高さ閾値以上である場合(ステップS121:YES)、制御部5は、ステップS123の処理に進む。
【0038】
ステップS122において、制御部5は、通路Tに進入した物体の温度(表面温度)が設定温度範囲内であるか否かを判定する。この判定は、温度センサ34の検知信号に基づいて行われる。前記設定温度範囲は、一般的な人の(衣服上の)表面温度に相当する温度範囲である。特に限定されないが、前記設定温度範囲は、例えば30~45℃であり得る。通路Tに進入した物体の温度が前記設定温度範囲内である場合(ステップS122:YES)、制御部5は、ステップS124の処理に進む。他方、通路Tの進入した物体の温度が前記設定温度範囲外である場合(ステップS122:NO)、制御部5は、ステップS125の処理に進む。
【0039】
ステップS123において、制御部5は、通路Tに進入した物体が人物(すなわち、通行者)、さらに言えば、大人の通行者であると特定する。ステップS124において、制御部5は、通路Tに進入した物体が人物(通行者)、さらに言えば、子供の通行者であると特定する。ステップS125において、制御部5は、通路Tに進入した物体が荷物であると特定する。つまり、本実施形態においては、通路Tに進入した物体の高さが前記高さ閾値以上の場合、又は通路Tの進入した物体の高さが前記高さ閾値未満であり且つ通路Tに進入した物体の温度が前記設定範囲内である場合、制御部5は、当該物体が人物(通行者)であると特定し、通路Tに進入した物体の高さが前記高さ閾値未満であり且つ通路Tに進入した物体の温度が前記設定温度範囲外である場合に、制御部5は、当該物体を人物(通行者)が携行する荷物であると特定する。
【0040】
図3に戻り、ステップS13において、制御部5は、通路Tに進入した物体とステップS12の識別結果とを紐づける。これにより、制御部5は、通路Tに進入した物体(=通路T内を移動する物体)が人物(通行者)及び荷物のいずれであるかを認識する。
【0041】
ステップS14において、制御部5は、前記物体に続いて別の物体が通路Tに進入したか否かを判定する。そして、別の物体が通路Tに進入した場合(ステップS14:YES)、制御部5は、ステップS15の処理に進む。他方、別の物体が通路Tに進入していない場合(ステップS14:NO)、制御部5は、ステップS17(図4)の処理に進む。
【0042】
ステップS15において、制御部5は、通路Tに進入した別の物体の識別処理を行う。この識別処理は、ステップS12における物体の識別処理と基本的に同じであり、制御部5は、通路Tに進入した別の物体が人物であるか荷物であるかを識別する(図7参照)。
【0043】
ステップS16において、制御部5は、通路Tに進入した別の物体とステップS15の識別結果とを紐づける。これにより、制御部5は、前記物体に続いて通路Tに進入した別の物体(=通路T内を移動する別の物体)が人物(通行者)及び荷物のいずれであるかを認識する。
【0044】
ステップS17(図4)において、制御部5は、ステップS13及びステップS16における紐づけの結果と、位置センサ33の検知信号とに基づき、人物と認識された物体(以下単に「人物」という)が通路Tの中央位置に到達したか否かを判定する。そして、人物が通路Tの中央位置に到達すると、制御部5は、ステップS18の処理に進む。
【0045】
ステップS18において、制御部5は、前記通行権利数が1以上であるか否かを判定する。前記通行権利数が1未満(すなわち、0)である場合、通路Tの中央位置に到達した人物は、情報読取部31に適正な通行券情報が記録された通行券媒体を翳すことなく通路Tに進入した人物、すなわち、通路Tの通過が許可されない人物であると考えられる。よって、前記通行権利数が1未満(すなわち、0)である場合(ステップS18:NO)、制御部5は、ステップS31(図6)の処理に進み、報知部36を作動させ、その後、係員などによって解除操作がなされるまで報知部36の作動を継続させる(ステップS31~S33)。
【0046】
他方、前記通行権利数が1以上である場合、通路Tの中央位置に到達した人物は、適正な通行券情報が記録された通行券媒体を情報読取部31に翳した上で通路Tに進入した人物、すなわち、通路Tの通過が許可された人物であると考えられる。よって、前記通行権利数が1以上である場合(ステップS18:YES)、制御部5は、そのままステップS19の処理に進む。
【0047】
ステップS19において、制御部5は、通路Tの中央位置に到達した人物がその後にゲート32を通過したか否かを判定する。この判定は、位置センサ33の検知信号に基づいて行われる。そして、前記人物がゲート32を通過すると、制御部5は、ステップS20の処理に進む。なお、制御部5は、前記人物がゲート32を通過したか否かを判定することに代えて、前記人物が通路Tから進出したか否かを判定してもよい。
【0048】
ステップS20において、制御部5は、前記通行権利数をデクリメントする。具体的には、制御部5は、通行権利数を「1」から「0」に変更する。
【0049】
ステップS21において、制御部5は、ゲート32を通過した人物に続く物体(後続物体)が存在するか否かを判定する。そして、後続物体が存在する場合(ステップS21:YES)、制御部5は、ステップS22の処理に進む。他方、後続物体が存在しない場合(ステップS21:NO)、制御部5は、ステップS24の処理に進み、ゲート32を閉操作する。
【0050】
ステップS22において、制御部5は、前記後続物体が荷物であるか否かを判定する。この判定は、主にステップS12及び/又はステップS15における識別処理の結果に基づいて行われる。前記後続物体が荷物である場合、前記後続物体は、ゲート32を通過した前記人物が携行している荷物であると考えられる。よって、ゲート32の閉操作は、当該物体(荷物)がゲート32を通過するのを待って行う必要がある。そのため、前記後続物体が荷物である場合(ステップS22:YES)、制御部5は、ステップS23の処理に進み、前記後続物体(すなわち、荷物)がゲート32を通過したか否かを判定し、前記後続物体(荷物)がゲート32を通過すると、ステップS24の処理に進んでゲート32を閉操作する。
【0051】
他方、前記後続物体が荷物でない場合、すなわち、前記後続物体が人物である場合、前記後続物体は、通路Tの通過が許可されない人物であると考えられる(すでに前記通行権利数が0になっている)。よって、前記後続物体が荷物でない場合(ステップS22:NO)、制御部5は、前記後続物体(人物)の通過を阻止するため、すなわち、通路Tの通過を許可されない人物が共連れで通路Tを通過することを防止すため、ステップS24の処理に進んで速やかにゲート32を閉操作する。
【0052】
以上説明したように、実施形態に係るゲート装置1は、通路Tの側方に通路Tに隣接して配置された装置本体3と、装置本体3の全体動作を制御する制御部5とを含む。装置本体3は、情報読取部31と、ゲート32と、位置センサ33と、温度センサ34と、高さセンサ35とを有する。制御部5は、情報読取部31で読み取った前記通行券情報と、位置センサ33、温度センサ34及び高さセンサ35の検知信号に基づいてゲート32を開閉操作するように構成されている。
【0053】
具体的には、制御部5は、情報読取部31で読み取った通行券情報が適正である場合にゲート32を開操作して(図3のステップS3~S6、図5のステップS8~S11参照)、通行者が通路Tを通過できるように通路Tを開放する。また、制御部5は、位置センサ33の検知信号に基づき物体が通路Tに進入したことを検知すると、温度センサ34及び高さセンサ35の検知信号に基づき、通路Tに進入した物体が人物(通行者)であるか荷物であるかを識別する(図3のステップS12、S15、図6参照)。そして、制御部5は、通路Tに進入した物体が人物(通行者)であるか荷物であるかの識別結果を、ゲート32の操作(特に閉操作)に反映させる。すなわち、制御部5は、通路T内を移動する各物体が人物及び荷物のいずれであるかを認識した上でゲート32を閉操作する(図3のステップS12~S16、図4のステップS17~S24参照)。
【0054】
このため、実施形態に係るゲート装置1によれば、通行者が携行している荷物を人物(別の通行者)と誤検知することが防止され、ゲート32による不必要な通路Tの閉鎖が低減される。また、通路Tに進入した物体が人物(通行者)であるか荷物であるかを識別するために用いられる温度センサ34及び高さセンサ35は、装置本体3に、より具体的には、装置本体3の通路T側の面に設置され得る。よって、ゲート装置1の設置スペースが増大することはなく、ゲート装置1は、従来の同種の装置が設置されていたスペースに設置することが可能である。さらに、制御部5は、通路Tに進入した物体が人物(通行者)であるか荷物であるかを識別する際、通路Tに進入した物体の高さが前記高さ閾値以上であるか否か、及び通路Tに進入した物体の(表面)温度が前記設定温度範囲内であるか否かを判定すればよく、複雑な処理は必要とされない。よって、システム構成の複雑化も抑制され得る。
【0055】
また、制御部5は、温度センサ34及び高さセンサ35の検知信号に基づいて、通路Tに進入した物体が大人の通行者であるか、子供の通行者であるか、荷物であるかを識別している。このため、制御部5は、通行者が大人である場合と子供である場合とで異なる処理などを行うことも可能である。例えば、制御部5は、物体が子供の通行者である場合、当該物体(子供)を荷物とみなして処理するようなことも可能である。
【0056】
なお、上述の実施形態において、情報読取部31は、自身に翳された前記通行券媒体から前記通行券情報を読み取るように構成されている。しかし、これに限られるものではない。情報読取部31は、自身に接近してくる通行者の前記通行券媒体からそこに記録されている前記通行券情報を読み取るように構成されてもよい。
【0057】
また、上述の実施形態において、制御部5は、(通路Tに進入した)物体の高さが前記高さ閾値以上である場合に当該物体を大人の通行者であると特定し、物体の高さが前記高さ閾値未満であり且つ物体の温度が前記設定温度範囲内である場合に当該物体を子供の通行者であると特定し、物体の高さが前記高さ閾値未満であり且つ物体の温度が前記設定温度範囲外である場合に当該物体を荷物であると特定している。しかし、これに限られるものではない。制御部5は、物体の高さが前記高さ閾値以上であり且つ物体の温度が前記設定温度範囲内である場合に当該物体を大人の通行者であると特定し、物体の高さが前記高さ閾値未満であり且つ物体の温度が前記設定温度範囲内である場合に当該物体を子供の通行者であると特定し、物体の温度が前記設定温度範囲外である場合に当該物体を荷物であると特定してもよい。
【0058】
以上、本発明の実施形態及びその変形について説明したが、本発明は、上述の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいてさらなる変形及び変更が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0059】
1…ゲート装置、3…装置本体、5…制御部、31…情報読取部、32…ゲート、33…位置センサ、34…温度センサ、35…高さセンサ、36…報知部、T…通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7