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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132026
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】液圧モータの2速切換弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/07 20060101AFI20230914BHJP
   F03C 2/00 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
F16K11/07 D
F03C2/00 A
F16K11/07 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037115
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳
【テーマコード(参考)】
3H067
3H084
【Fターム(参考)】
3H067AA17
3H067CC32
3H067CC33
3H067DD05
3H067DD12
3H067DD33
3H067EA02
3H067EA15
3H067EB03
3H067FF12
3H067FF17
3H067GG15
3H067GG22
3H084AA08
3H084AA45
3H084BB23
3H084CC32
3H084CC49
(57)【要約】
【課題】液圧モータの2速切換弁の製造コストを低減すること。
【解決手段】スプール75が収容される収容穴71の内周面には、第1アクチュエータポート51に接続された第1環状溝81と、第2アクチュエータポート52に接続された第2環状溝82と、第1モータポート53に接続された第3環状溝83と、第2モータポート54に接続された第4環状溝84と、第1ドレンポート55に接続された第5環状溝85と、第2ドレンポート56に接続された第6環状溝86と、が形成され、第1環状溝81は、第3環状溝83と第5環状溝85の間に位置し、第2環状溝82は、第4環状溝84と第6環状溝86の間に位置し、第1環状溝81と第2環状溝82の中央を中心Oとして、第3環状溝83と第4環状溝84は対称に位置し、第5環状溝85と第6環状溝86は対称に位置する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧モータの2速切換弁であって、
バルブボディと、
前記バルブボディに形成された収容穴と、
前記収容穴に収容され、パイロット圧に応じて移動して第1容量切換アクチュエータ及び第2容量切換アクチュエータへの作動流体の供給と排出を切り換え、前記液圧モータの容量を制御するスプールと、を備え、
前記スプールにパイロット圧が作用しない場合には、前記第1容量切換アクチュエータ及び前記第2容量切換アクチュエータにそれぞれ第1ドレン通路及び第2ドレン通路が連通して前記液圧モータが大容量となり、前記スプールにパイロット圧が作用する場合には、前記第1容量切換アクチュエータ又は前記第2容量切換アクチュエータに前記液圧モータの作動圧が導かれて前記液圧モータが小容量となり、
前記収容穴の内周面には、前記第1容量切換アクチュエータに連通する第1アクチュエータポートに接続された第1環状溝と、前記第2容量切換アクチュエータに連通する第2アクチュエータポートに接続された第2環状溝と、前記液圧モータに接続された一対のモータ通路の一方に連通する第1モータポートに接続された第3環状溝と、前記液圧モータに接続された前記一対のモータ通路の他方に連通する第2モータポートに接続された第4環状溝と、前記第1ドレン通路に連通する第1ドレンポートに接続された第5環状溝と、前記第2ドレン通路に連通する第2ドレンポートに接続された第6環状溝と、が形成され、
前記第1環状溝は、前記第3環状溝と前記第5環状溝の間に位置し、
前記第2環状溝は、前記第4環状溝と前記第6環状溝の間に位置し、
前記第1環状溝と前記第2環状溝の中央を中心として、前記第3環状溝と前記第4環状溝は対称に位置し、前記第5環状溝と前記第6環状溝は対称に位置する
ことを特徴とする液圧モータの2速切換弁。
【請求項2】
請求項1に記載の液圧モータの2速切換弁であって、
前記収容穴の内周面には、前記一対のモータ通路のうち高圧の作動流体を導く高圧選択ポートに接続された第7環状溝がさらに形成され、
前記スプールは、
パイロット圧が作用する一端面とは反対側の他端面に形成されたスプール挿入穴と、
前記スプール挿入穴に挿入されたサブスプールと、
前記スプール挿入穴と前記サブスプールにより区画され、前記高圧選択ポートからの作動流体が導かれる圧力室と、を有し、
前記液圧モータが小容量で作動している際に、前記高圧選択ポートから導かれる作動流体により前記スプールがパイロット圧に抗して移動した場合には、前記液圧モータは大容量に切り換わり、
前記第7環状溝は、前記第1環状溝と前記第2環状溝の中央に位置する
ことを特徴とする液圧モータの2速切換弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧モータの2速切換弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、油圧モータの容量を切り換える2速切換バルブが開示されている。2速切換バルブには、2つの2速ピストンと、油圧モータに接続された油圧駆動回路と、タンクと、が接続される。2速切換バルブは、パイロット圧が作用しないと2速ピストンをタンクに連通させ、パイロット圧が作用すると2速ピストンにモータ作動圧を導く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1-116301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような2速切換弁のバルブボディには、スプールが収容される収容穴が形成され、収容穴の内周面には、2速ピストン、油圧モータ、及びタンクのそれぞれに連通するポートに接続された環状溝が複数形成される。
【0005】
一般的に、複数の環状溝は、収容穴の両端から互いに異なるツールを挿入して加工される。したがって、2つのツールの管理が必要であり、加工の効率が良くない。結果として2速切換弁の製造コストが高くなってしまう。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、液圧モータの2速切換弁の製造コストを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、液圧モータの2速切換弁であって、バルブボディと、前記バルブボディに形成された収容穴と、前記収容穴に収容され、パイロット圧に応じて移動して第1容量切換アクチュエータ及び第2容量切換アクチュエータへの作動流体の供給と排出を切り換え、前記液圧モータの容量を制御するスプールと、を備え、前記スプールにパイロット圧が作用しない場合には、前記第1容量切換アクチュエータ及び前記第2容量切換アクチュエータにそれぞれ第1ドレン通路及び第2ドレン通路が連通して前記液圧モータが大容量となり、前記スプールにパイロット圧が作用する場合には、前記第1容量切換アクチュエータ又は前記第2容量切換アクチュエータに前記液圧モータの作動圧が導かれて前記液圧モータが小容量となり、前記収容穴の内周面には、前記第1容量切換アクチュエータに連通する第1アクチュエータポートに接続された第1環状溝と、前記第2容量切換アクチュエータに連通する第2アクチュエータポートに接続された第2環状溝と、前記液圧モータに接続された一対のモータ通路の一方に連通する第1モータポートに接続された第3環状溝と、前記液圧モータに接続された前記一対のモータ通路の他方に連通する第2モータポートに接続された第4環状溝と、前記第1ドレン通路に連通する第1ドレンポートに接続された第5環状溝と、前記第2ドレン通路に連通する第2ドレンポートに接続された第6環状溝と、が形成され、前記第1環状溝は、前記第3環状溝と前記第5環状溝の間に位置し、前記第2環状溝は、前記第4環状溝と前記第6環状溝の間に位置し、前記第1環状溝と前記第2環状溝の中央を中心として、前記第3環状溝と前記第4環状溝は対称に位置し、前記第5環状溝と前記第6環状溝は対称に位置することを特徴とする。
【0008】
この発明では、第1環状溝と第2環状溝の中央を中心として、第1,第3,第5環状溝と第2,第4,第6環状溝とがそれぞれ対称に位置する。したがって、バルブボディの収容穴の一方の開口部から挿入して第1,第3,第5環状溝を同時に加工するツールと、バルブボディの収容穴の他方の開口部から挿入して第2,第4,第6環状溝を同時に加工するツールとを共通化することができる。よって、第1から第6の環状溝を効率良く加工することができる。
【0009】
また、本発明は、前記収容穴の内周面には、前記一対のモータ通路のうち高圧の作動流体を導く高圧選択ポートに接続された第7環状溝がさらに形成され、前記スプールは、パイロット圧が作用する一端面とは反対側の他端面に形成されたスプール挿入穴と、前記スプール挿入穴に挿入されたサブスプールと、前記スプール挿入穴と前記サブスプールにより区画され、前記高圧選択ポートからの作動流体が導かれる圧力室と、を有し、前記液圧モータが小容量で作動している際に、前記高圧選択ポートから導かれる作動流体により前記スプールがパイロット圧に抗して移動した場合には、前記液圧モータは大容量に切り換わり、前記第7環状溝は、前記第1環状溝と前記第2環状溝の中央に位置することを特徴とする。
【0010】
この発明では、第7環状溝を中心として、第1,第3,第5環状溝と第2,第4,第6環状溝とがそれぞれ対称に位置する。よって、第1から第7の環状溝を効率良く加工することができる。また、スプールは、片方の端面に形成されたスプール挿入穴に挿入され圧力室を区画するサブスプールを有し、左右対称の構造ではない。スプールは左右対称の構造ではないにもかかわらず、各環状溝は左右対称であるため、各環状溝を効率良く加工することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、液圧モータの2速切換弁の製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る2速切換弁を含む液圧回路図である。
図2】本発明の実施形態に係る2速切換弁の断面図であって、低速ポジションである場合を示す。
図3】本発明の実施形態に係る2速切換弁の断面図であって、高速ポジションである場合を示す。
図4】2速切換弁のバルブボディの断面図であり、第1~第7の環状溝の配置を示す図である。
図5】本発明の実施形態の変形例に係る2速切換弁の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る液圧モータ1の2速切換弁100について説明する。
【0014】
液圧モータ1は、例えば、図示しない油圧ショベル等の作業機に搭載され、作業機の走行装置の駆動源として機能するものである。また、2速切換弁100は、液圧モータ1の容量を変化させて液圧モータ1の作動速度を切り換えるものである。なお、以下では、作動流体として、作動油が用いられる場合について説明するが、作動油に代わり、例えば水溶性代替液等の他の液体を用いてもよい。
【0015】
まず、図1を参照して、液圧モータ1を駆動するための油圧回路について説明する。液圧モータ1は、本実施形態では、斜板7の傾転角度に応じて押しのけ容積が変化する斜板式液圧ピストンモータである。液圧モータ1には、一対のモータ通路31,32が接続される。一対のモータ通路31,32は、制御弁(図示省略)のポジションに応じて、一方がポンプ(図示省略)に接続され他方がタンクTに接続される。ポンプから第1モータ通路31に作動油が供給されることにより回転軸1aは正転し、ポンプから第2モータ通路32に作動油が供給されることにより回転軸1aは逆転する。液圧モータ1の回転軸1aの回転は、減速機(図示省略)を介して作業機の駆動輪へ伝達される。
【0016】
液圧モータ1は、斜板7の傾転角度を切り換えることにより液圧モータ1の容量を切り換える第1容量切換アクチュエータ21及び第2容量切換アクチュエータ22と、液圧モータ1の容量が大きくなる方向に斜板7を付勢する斜板スプリング11と、駐車ブレーキ25の解除用シリンダ26と、を有する。
【0017】
斜板7の傾転角度は、斜板スプリング11の付勢力と第1及び第2容量切換アクチュエータ21,22の推力とに応じて変化する。
【0018】
駐車ブレーキ25では、解除用シリンダ26に作動油が導かれないと、ブレーキスプリング27の付勢力によって液圧モータ1の回転が制動され、ブレーキ解除通路29を通じて解除用シリンダ26に作動油が導かれると、ブレーキスプリング27による制動力が解除される。
【0019】
一対のモータ通路31,32には、液圧モータ1の作動を許容すると共に、液圧モータ1の停止状態を保持するカウンタバランス弁40が設けられる。カウンタバランス弁40は、第1作動ポジション40Aと、第2作動ポジション40Bと、停止ポジション40Cと、を有する。カウンタバランス弁40は、ポンプから第1モータ通路31に作動油が供給されると、パイロット室41aのパイロット圧により第1作動ポジション40Aとなり、ポンプから第2モータ通路32に作動油が供給されると、パイロット室41bのパイロット圧により第2作動ポジション40Bとなり、第1モータ通路31及び第2モータ通路32に作動油が供給されないと、スプリング42a,42bの付勢力により停止ポジション40Cとなる。
【0020】
カウンタバランス弁40は、第1作動ポジション40Aでは、逆止弁43を介して第1モータ通路31を通じた液圧モータ1への作動油の流れを許容すると共に、第2モータ通路32を通じた液圧モータ1からの作動油の排出を許容する。また、ブレーキ解除通路29を通じて解除用シリンダ26に作動油を導く。これにより、駐車ブレーキ25が解除される。カウンタバランス弁40は、第2作動ポジション40Bでは、逆止弁44を介して第2モータ通路32を通じた液圧モータ1への作動油の流れを許容すると共に、第1モータ通路31を通じた液圧モータ1からの作動油の排出を許容する。また、ブレーキ解除通路29を通じて解除用シリンダ26に作動油を導く。これにより、駐車ブレーキ25が解除される。カウンタバランス弁40は、停止ポジション40Cでは、逆止弁43,44により、液圧モータ1から排出される作動油の流れを遮断する。また、ブレーキ解除通路29を通じて解除用シリンダ26の作動油をタンクTへ排出する。これにより、駐車ブレーキ25が作動する。
【0021】
2速切換弁100は、第1容量切換アクチュエータ21に連通する第1アクチュエータポート51と、第2容量切換アクチュエータ22に連通する第2アクチュエータポート52と、第1モータ通路31に連通する第1モータポート53と、第2モータ通路32に連通する第2モータポート54と、第1ドレン通路33に連通する第1ドレンポート55と、第2ドレン通路34に連通する第2ドレンポート56と、を有する。
【0022】
2速切換弁100は、さらに、パイロット通路66を通じてパイロット圧が導かれるパイロット室63と、一対のモータ通路31,32のうち高圧の作動油が導かれる圧力室64と、を有する。
【0023】
作業機の走行速度を低速又は高速に切り換えるための操作レバー(図示省略)がオペレータによって高速側に操作された場合には、パイロット圧供給源からパイロット室63にパイロット圧が導かれ、操作レバーが低速側に操作された場合には、パイロット室63にパイロット圧は導かれない。なお、操作レバーに代えて、操作スイッチであってもよい。
【0024】
圧力室64には、カウンタバランス弁40に接続された導圧通路65を通じて作動油が導かれる。カウンタバランス弁40が第1作動ポジション40Aである場合には、第1モータ通路31の圧力が導圧通路65を通じて圧力室64に導かれ、カウンタバランス弁40が第2作動ポジション40Bである場合には、第2モータ通路32の圧力が導圧通路65を通じて圧力室64に導かれる。このように、圧力室64には、一対のモータ通路31,32のうち高圧の作動油が選択されて導かれる。
【0025】
2速切換弁100は、低速ポジション50Aと高速ポジション50Bの2ポジションタイプの切換弁である。
【0026】
操作レバーが低速側に操作されると、パイロット室63にパイロット圧が導かれないため、圧力室64の圧力により、2速切換弁100は低速ポジション50Aとなる(図1に示す状態)。低速ポジション50Aでは、第1アクチュエータポート51及び第2アクチュエータポート52にそれぞれ第1ドレンポート55及び第2ドレンポート56が連通し、第1モータポート53及び第2モータポート54は遮断される。これにより、第1及び第2容量切換アクチュエータ21,22の作動油はタンクTへ排出されるため、斜板スプリング11の付勢力により、斜板7の傾転角度が最大となり、液圧モータ1は大容量となる。この結果、液圧モータ1は低速で作動する。
【0027】
操作レバーが高速側に操作されると、パイロット室63にパイロット圧が導かれるため、2速切換弁100は高速ポジション50Bとなる。高速ポジション50Bでは、第1アクチュエータポート51及び第2アクチュエータポート52にそれぞれ第1モータポート53及び第2モータポート54が連通し、第1ドレンポート55及び第2ドレンポート56は遮断される。これにより、第1容量切換アクチュエータ21又は第2容量切換アクチュエータ22に、第1モータ通路31又は第2モータ通路32から液圧モータ1の作動圧が導かれるため、第1容量切換アクチュエータ21又は第2容量切換アクチュエータ22の推力によって斜板7の傾転角度が最小となり、液圧モータ1は小容量となる。この結果、液圧モータ1は高速で作動する。
【0028】
また、操作レバーが高速側にあり、2速切換弁100が高速ポジション50Bにある状態において、例えば、作業機が傾斜地を上るような状況では、液圧モータ1の負荷が高くなり、液圧モータ1の作動圧が高くなるため、カウンタバランス弁40から導圧通路65を通じて圧力室64に導かれる圧力が上昇する。圧力室64の圧力による荷重がパイロット室63のパイロット圧による荷重を超えた場合には、2速切換弁100は高速ポジション50Bから低速ポジション50Aへと自動的に切り換わる。これにより、液圧モータ1は大容量に切り換わり、トルクが増加する。このように、液圧モータ1の負荷増加時には、自動的にモータ容量が大きくなり駆動力が増加するため、作業機の操作性が向上する。
【0029】
次に、図2及び図3を参照して、2速切換弁100の構造について説明する。図2は低速ポジション50Aである場合の2速切換弁100の断面図であり、図3は、高速ポジション50Bである場合の2速切換弁100の断面図である。図2及び3において、図1で示した符号と同一の符号を付したものは、図1で示した構成と同一の構成である。
【0030】
2速切換弁100は、バルブボディ70と、バルブボディ70に形成された収容穴71と、収容穴71に収容されたスプール75と、を備える。スプール75は、パイロット室63のパイロット圧に応じて移動して第1容量切換アクチュエータ21及び第2容量切換アクチュエータ22への作動油の供給と排出を切り換え、液圧モータ1の容量を制御する。
【0031】
収容穴71は、両端部に開口部を有する穴であり、内周面に沿ってスプール75が移動する。収容穴71の両端部の開口部は、それぞれプラグ90,91により封止される。プラグ90とスプール75の一端面75dとの間にはパイロット室63が区画され、スプール75の一端面75dにはパイロット圧が作用する。プラグ90には、パイロット通路66の一部が形成される。
【0032】
スプール75は、パイロット圧が作用する一端面75dとは反対側の他端面75eに形成されたスプール挿入穴76と、スプール挿入穴76に摺動自在に挿入されたサブスプール77と、を有する。圧力室64は、スプール挿入穴76とサブスプール77により区画される。
【0033】
収容穴71の内周面には、第1アクチュエータポート51と、第2アクチュエータポート52と、第1モータポート53と、第2モータポート54と、第1ドレンポート55と、第2ドレンポート56と、一対のモータ通路31,32のうち高圧の作動流体を圧力室64に導く高圧選択ポート57と、が円形に開口して形成される。第1アクチュエータポート51とそれに選択的に連通する第1モータポート53及び第1ドレンポート55の3つのポートと、第2アクチュエータポート52とそれに選択的に連通する第2モータポート54及び第2ドレンポート56の3つのポートとは、高圧選択ポート57を中心として対称に位置する。
【0034】
収容穴71の内周面には、さらに、ブレーキ解除通路29に連通するブレーキ解除ポート58と、タンクTに連通する第3ドレンポート59と、が円形に開口して形成される。ブレーキ解除ポート58は、高圧選択ポート57に対向して形成される。第3ドレンポート59は、スプール75の他端面75eとプラグ91とで区画されたドレン室78に連通する。
【0035】
収容穴71の内周面には、第1アクチュエータポート51に接続された第1環状溝81と、第2アクチュエータポート52に接続された第2環状溝82と、第1モータポート53に接続された第3環状溝83と、第2モータポート54に接続された第4環状溝84と、第1ドレンポート55に接続された第5環状溝85と、第2ドレンポート56に接続された第6環状溝86と、高圧選択ポート57及びブレーキ解除ポート58に接続された第7環状溝87と、が形成される。第1から第7の環状溝81~87は、収容穴71の内周面の全周にわたって環状に形成される溝である。
【0036】
スプール75の外周面には、高速ポジション50Bにおいて第1環状溝81と第3環状溝83を連通させる第1スプール溝75aと、低速ポジション50Aにおいて第1環状溝81と第5環状溝85を連通させる第2スプール溝75bと、低速ポジション50Aにおいて第2環状溝82と第6環状溝86を連通させる一方、高速ポジション50Bにおいて第2環状溝82と第4環状溝84を連通させる第3スプール溝75cと、が形成される。第1から第3のスプール溝75a,75b,75cは、スプール75の外周面の全周にわたって環状に形成される溝である。
【0037】
スプール75には、圧力室64と第7環状溝87を連通し、高圧選択ポート57から圧力室64へ作動油を導くと共に、圧力室64からブレーキ解除ポート58へ作動油を導く通路79が形成される。
【0038】
以上のように構成される2速切換弁100の動作について説明する。
【0039】
操作レバーが低速側に操作され、2速切換弁100が低速ポジション50Aである場合には、パイロット室63にパイロット圧が導かれない一方、圧力室64に高圧選択ポート57を通じて液圧モータ1の作動圧が導かれる。これにより、図2に示すように、圧力室64の圧力により、スプール75及びサブスプール77は、圧力室64を拡大する方向への荷重を受け、スプール75はプラグ90に接触し、サブスプール77はプラグ91に接触する。この状態では、第2スプール溝75bを介して第1環状溝81と第5環状溝85が連通し、第3スプール溝75cを介して第2環状溝82と第6環状溝86が連通するため、第1アクチュエータポート51及び第2アクチュエータポート52にそれぞれ第1ドレンポート55及び第2ドレンポート56が連通し、第1モータポート53及び第2モータポート54は遮断される。これにより、上述したように、液圧モータ1は大容量となり、液圧モータ1は低速で作動する。
【0040】
操作レバーが高速側に操作され、2速切換弁100が高速ポジション50Bである場合には、パイロット室63にパイロット圧が導かれる一方、圧力室64に高圧選択ポート57を通じて液圧モータ1の作動圧が導かれる。これにより、図3に示すように、パイロット室63のパイロット圧とスプール75の受圧面積とから算出される荷重が、圧力室64の圧力とサブスプール77の受圧面積とから算出される荷重よりも大きくなり、スプール75はパイロット室63を拡大する方向への荷重を受け、プラグ91に接触する。この際、スプール75とプラグ91の間に区画されたドレン室78は、第3ドレンポート59を通じてタンクTに連通しているため、スプール75はスムーズに移動する。サブスプール77はプラグ91に接触した状態を保つ。この状態では、第1スプール溝75aを介して第1環状溝81と第3環状溝83が連通し、第3スプール溝75cを介して第2環状溝82と第4環状溝84が連通するため、第1アクチュエータポート51及び第2アクチュエータポート52にそれぞれ第1モータポート53及び第2モータポート54が連通し、第1ドレンポート55及び第2ドレンポート56は遮断される。これにより、上述したように、液圧モータ1は小容量となり、液圧モータ1は高速で作動する。
【0041】
また、操作レバーが高速側にあり、2速切換弁100が高速ポジション50Bにある状態において、液圧モータ1の負荷増加時には、圧力室64の圧力とサブスプール77の受圧面積とから算出される荷重が、パイロット室63のパイロット圧とスプール75の受圧面積とから算出される荷重よりも大きくなり、スプール75はパイロット室63のパイロット圧に抗して移動し、プラグ90に接触する(図1に示す状態)。サブスプール77はプラグ91に接触した状態を保つ。このように、液圧モータ1が小容量で作動している際に、高圧選択ポート57から導かれる作動油によりスプール75がパイロット圧に抗して移動した場合には、2速切換弁100は、高速ポジション50Bから低速ポジション50Aへと自動的に切り換わり、液圧モータ1は大容量に切り換わる。
【0042】
次に、図4を参照して、収容穴71の内周面に形成される第1から第7の環状溝81~87の配置、及び加工方法について説明する。図4は、2速切換弁100のバルブボディ70の断面図であり、第1~第7の環状溝81~87の配置を示す図である。
【0043】
第1環状溝81は、第3環状溝83と第5環状溝85の間に位置し、第2環状溝82は、第4環状溝84と第6環状溝86の間に位置する。第1環状溝81と第2環状溝82の中央を中心Oとして、第3環状溝83と第4環状溝84は対称に位置し、第5環状溝85と第6環状溝86は対称に位置する。
【0044】
また、第7環状溝87は、第1環状溝81と第2環状溝82の中央に位置する。つまり、第7環状溝87を中心として、第1,第3,第5環状溝81,83,85と第2,第4,第6環状溝82,84,86とがそれぞれ対称に位置する。
【0045】
具体的に説明すると、第1環状溝81と第2環状溝82の中央である中心Oと、第7環状溝87の中心とは一致する。中心Oから第7環状溝87の幅方向両端までの寸法はL1であり同じである。中心Oから第5環状溝85の幅方向一端までの寸法と、第6環状溝86の幅方向一端までの寸法とはL2であり同じである。中心Oから第5環状溝85の幅方向他端までの寸法と、第6環状溝86の幅方向他端までの寸法とはL3であり同じである。中心Oから第1環状溝81の幅方向一端までの寸法と、第2環状溝82の幅方向一端までの寸法とはL4であり同じである。中心Oから第1環状溝81の幅方向他端までの寸法と、第2環状溝82の幅方向他端までの寸法とはL5であり同じである。中心Oから第3環状溝83の幅方向一端までの寸法と、第4環状溝84の幅方向一端までの寸法とはL6であり同じである。中心Oから第3環状溝83の幅方向他端までの寸法と、第4環状溝84の幅方向他端までの寸法とはL7であり同じである。本実施形態では、第1から第6の環状溝81~86の幅寸法は同じであり、第7環状溝87の幅寸法は、第1から第6の環状溝81~86の幅寸法と異なる。本実施形態では、第7環状溝87の幅寸法は、第1から第6の環状溝81~86の幅寸法よりも大きいが、第1から第6の環状溝81~86の幅寸法と同じか、小さくてもよい。
【0046】
収容穴71の内周面への第1から第7の環状溝81~87の加工は、ツール(図示省略)を用いて中心Oを境にして2工程に分けて行われる。第1工程では、第3環状溝83、第1環状溝81、第5環状溝85、及び第7環状溝87に対応する歯を有するツールを、回転しているバルブボディ70の収容穴71の一方の開口部71aから挿入し、予め決められた収容穴71の内周面の位置に、第3環状溝83、第1環状溝81、第5環状溝85、及び第7環状溝87を同時に切削加工する。第3環状溝83、第1環状溝81、及び第5環状溝85の幅は同一であるため、ツールを収容穴71の軸方向に送って切削することにより、第3環状溝83、第1環状溝81、及び第5環状溝85を同時に加工することができる。第7環状溝87については、幅方向一端(図4中左端)から中心Oを越えた位置までの一部が加工される。
【0047】
次に、第2工程では、第1工程で用いたツールと同一のツールを、回転しているバルブボディ70の収容穴71の一方の開口部71bから挿入し、予め決められた収容穴71の内周面の位置に、第4環状溝84、第2環状溝82、第6環状溝86、及び第7環状溝87を同時に切削加工する。第4環状溝84、第2環状溝82、及び第6環状溝86の幅は同一であるため、ツールを収容穴71の軸方向に送って切削することにより、第4環状溝84、第2環状溝82、及び第6環状溝86を同時に加工することができる。第7環状溝87については、幅方向他端(図4中右端)から中心Oを越えた位置までの一部が加工される。第7環状溝87だけは、第1工程及び第2工程の2工程により加工される。
【0048】
以上のように、第7環状溝87を中心として、第1,第3,第5環状溝81,83,85と第2,第4,第6環状溝82,84,86とがそれぞれ対称に位置するため、ツールを共通化することができる。第7環状溝87を中心として、第1,第3,第5環状溝81,83,85と第2,第4,第6環状溝82,84,86とがそれぞれ対称でない場合には、収容穴71の開口部71aから挿入するツールと、収容穴71の開口部71bから挿入するツールとの2つのツールが必要となり、2つのツールを管理する必要となり、製造コストが増加する。しかし、本実施形態では、ツールを1つに集約することができるため、2速切換弁100の製造コストを低減することができる。
【0049】
なお、ツールを収容穴71の軸方向に送らずに加工する場合、例えば、型(ツール)を収容穴71の内周面に押し当ててプレス加工する場合には、第1から第6の環状溝81~86の幅が同一でない場合であっても、第3環状溝83、第1環状溝81、及び第5環状溝85を同時に加工すると共に、第4環状溝84、第2環状溝82、及び第6環状溝86を同時に加工することができる。
【0050】
また、第1から第7の環状溝81~87の加工方法として、バルブボディ70を固定した状態で、ツールを回転させつつ収容穴71の軸方向に送ることによって加工するようにしてもよい。
【0051】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0052】
第7環状溝87を中心として、第1,第3,第5環状溝81,83,85と第2,第4,第6環状溝82,84,86とがそれぞれ対称に位置する。したがって、収容穴71の一方の開口部71aから挿入して第3環状溝83、第1環状溝81、第5環状溝85、及び第7環状溝87を同時に加工するツールと、収容穴71の他方の開口部71bから挿入して第4環状溝84、第2環状溝82、第6環状溝86、及び第7環状溝87を同時に加工するツールとを共通化することができる。よって、第1から第7の環状溝81~87を効率良く加工することができるため、2速切換弁100の製造コストを低減することができる。
【0053】
また、2速切換弁100のスプール75は、片方の端面75eに形成されたスプール挿入穴76に挿入され圧力室64を区画するサブスプール77を有し、左右対称の構造ではない。スプール75が左右対称の構造ではないにもかかわらず、バルブボディ70の収容穴71に形成される第1,第3,第5環状溝81,83,85と第2,第4,第6環状溝82,84,86とは、第7環状溝87を中心としてそれぞれ対称に位置する。このように、2速切換弁100のスプール75は左右対称の構造ではないにもかかわらず、各環状溝は左右対称であるため、各環状溝を効率良く加工することができる。
【0054】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0055】
(1)図5に、上記実施形態の変形例に係る2速切換弁200を示す。図5は2速切換弁200の断面図である。図5において、上記実施形態と同様の機能を有する構成には、同一の符号を付す。2速切換弁200は、高速ポジション50Bから低速ポジション50Aへと自動的に切り換わる機能を有さず、また、駐車ブレーキ25を有さない。したがって、バルブボディ70には、高圧選択ポート57及びブレーキ解除ポート58が形成されず、収容穴71の内周面には、第7環状溝87が形成されない。2速切換弁200は、パイロット室63とは逆側からスプール75を付勢する付勢部材としてのスプリング95を有する。パイロット室63にパイロット圧が作用しないと、スプール75がスプリング95により付勢されて低速ポジション50Aとなり(図5中、スプール75の上半分の状態)、パイロット室63にパイロット圧が作用すると、スプール75がスプリング95の付勢力に抗して移動して高速ポジション50Bとなる(図5中、スプール75の下半分の状態)。2速切換弁200においても、上記実施形態に係る2速切換弁100と同様に、第1環状溝81と第2環状溝82の中央を中心Oとして、第3環状溝83と第4環状溝84は対称に位置し、第5環状溝85と第6環状溝86は対称に位置する。
【0056】
(2)2速切換弁100,200では、第1アクチュエータポート51に接続された第1環状溝81に対して、第1モータポート53に接続された第3環状溝83が収容穴71の開口部71a側に位置する一方、第1ドレンポート55に接続された第5環状溝85が収容穴71の中央側に位置し、同様に、第2アクチュエータポート52に接続された第2環状溝82に対して、第2モータポート54に接続された第4環状溝84が収容穴71の開口部71b側に位置する一方、第2ドレンポート56に接続された第6環状溝86が収容穴71の中央側に位置する。これに代えて、第3環状溝83と第5環状溝85の位置は、第1環状溝81を中心として反対であってもよく、また、第4環状溝84と第6環状溝86の位置は、第2環状溝82を中心として反対であってもよい。その場合には、スプール75の外周面に形成される第1から第3のスプール溝75a,75b,75cを変更する必要がある。このように、第1環状溝81は、第3環状溝83と第5環状溝85の間に位置すればよく、また、第2環状溝82は、第4環状溝84と第6環状溝86の間に位置すればよい。
【0057】
(3)上記実施形態に係る2速切換弁100において、パイロット室63とは逆側からスプール75を付勢する付勢部材としてのスプリングを設けてもよい。具体的には、スプール75の端面75eとプラグ91の間にスプリングを圧縮して配置してもよい。
【0058】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0059】
液圧モータ1の2速切換弁100,200は、バルブボディ70と、バルブボディ70に形成された収容穴71と、収容穴71に収容され、パイロット圧に応じて移動して第1容量切換アクチュエータ21及び第2容量切換アクチュエータ22への作動流体の供給と排出を切り換え、液圧モータ1の容量を制御するスプール75と、を備え、スプール75にパイロット圧が作用しない場合には、第1容量切換アクチュエータ21及び第2容量切換アクチュエータ22にそれぞれ第1ドレン通路33及び第2ドレン通路34が連通して液圧モータ1が大容量となり、スプール75にパイロット圧が作用する場合には、第1容量切換アクチュエータ21又は第2容量切換アクチュエータ22に液圧モータ1の作動圧が導かれて液圧モータ1が小容量となり、収容穴71の内周面には、第1容量切換アクチュエータ21に連通する第1アクチュエータポート51に接続された第1環状溝81と、第2容量切換アクチュエータ22に連通する第2アクチュエータポート52に接続された第2環状溝82と、液圧モータ1に接続された一対のモータ通路31,32の一方に連通する第1モータポート53に接続された第3環状溝83と、液圧モータ1に接続された一対のモータ通路31,32の他方に連通する第2モータポート54に接続された第4環状溝84と、第1ドレン通路33に連通する第1ドレンポート55に接続された第5環状溝85と、第2ドレン通路34に連通する第2ドレンポート56に接続された第6環状溝86と、が形成され、第1環状溝81は、第3環状溝83と第5環状溝85の間に位置し、第2環状溝82は、第4環状溝84と第6環状溝86の間に位置し、第1環状溝81と第2環状溝82の中央を中心Oとして、第3環状溝83と第4環状溝84は対称に位置し、第5環状溝85と第6環状溝86は対称に位置する。
【0060】
この構成では、第1環状溝81と第2環状溝82の中央を中心Oとして、第1,第3,第5環状溝81,83,85と第2,第4,第6環状溝82,84,86とがそれぞれ対称に位置する。したがって、バルブボディ70の収容穴71の一方の開口部71aから挿入して第1,第3,第5環状溝81,83,85を同時に加工するツールと、バルブボディ70の収容穴71の他方の開口部71bから挿入して第2,第4,第6環状溝82,84,86を同時に加工するツールとを共通化することができる。よって、第1から第6の環状溝81~86を効率良く加工することができるため、液圧モータ1の2速切換弁100,200の製造コストを低減することができる。
【0061】
また、収容穴71の内周面には、一対のモータ通路31,32のうち高圧の作動流体を導く高圧選択ポート57に接続された第7環状溝87がさらに形成され、液圧モータ1が小容量で作動している際に、高圧選択ポート57から導かれる作動流体によりスプール75がパイロット圧に抗して移動した場合には、液圧モータ1は大容量に切り換わり、第7環状溝87は、第1環状溝81と第2環状溝82の中央に位置する。
【0062】
この構成では、第7環状溝87を中心として、第1,第3,第5環状溝81,83,85と第2,第4,第6環状溝82,84,86とがそれぞれ対称に位置する。よって、第1から第7の環状溝81~87を効率良く加工することができる。
【0063】
また、スプール75は、パイロット圧が作用する一端面75dとは反対側の他端面75eに形成されたスプール挿入穴76と、スプール挿入穴76に挿入されたサブスプール77と、スプール挿入穴76とサブスプール77により区画され、高圧選択ポート57からの作動流体が導かれる圧力室64と、を有する。
【0064】
この構成では、スプール75は、片方の端面75dに形成されたスプール挿入穴76に挿入され圧力室64を区画するサブスプール77を有し、左右対称の構造ではない。スプール75は左右対称の構造ではないにもかかわらず、各環状溝81~87は左右対称であるため、各環状溝81~87を効率良く加工することができる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0066】
100,200・・・2速切換弁、1・・・液圧モータ、21・・・第1容量切換アクチュエータ、22・・・第2容量切換アクチュエータ、31・・・第1モータ通路、32・・・第2モータ通路、33・・・第1ドレン通路、34・・・第2ドレン通路、50A・・・低速ポジション、50B・・・高速ポジション、51・・・第1アクチュエータポート、52・・・第2アクチュエータポート、53・・・第1モータポート、54・・・第2モータポート、55・・・第1ドレンポート、56・・・第2ドレンポート、57・・・高圧選択ポート、63・・・パイロット室、64・・・圧力室、70・・・バルブボディ、71・・・収容穴、75・・・スプール、76・・・スプール挿入穴、77・・・サブスプール、81・・・第1環状溝、82・・・第2環状溝、83・・・第3環状溝、84・・・第4環状溝、85・・・第5環状溝、86・・・第6環状溝、87・・・第7環状溝
図1
図2
図3
図4
図5