(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132061
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】進退移動装置
(51)【国際特許分類】
E05B 83/34 20140101AFI20230914BHJP
B60K 15/05 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
E05B83/34
B60K15/05 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037165
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 祥平
【テーマコード(参考)】
2E250
3D038
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250JJ41
2E250KK02
2E250LL13
2E250MM03
2E250RR12
2E250RR33
3D038CA34
3D038CB01
3D038CC16
(57)【要約】
【課題】リッドが車両ボディから浮き上がるのを防止することが可能な進退移動装置を提供する。
【解決手段】進退移動装置は、一端側がケースに収容され、他端側がケースから突出し、ケースの内部から外部に向かって進出し、ケースの外部から内部に向かって後退する進退部材と、付勢部材の付勢力による進退部材の進出を可能とする第1位置と、進退部材の進出を止める第2位置との間を移動する移動部材と、進退部材と共に移動する被係合部と、リッドが閉まるときの押付力によって、前進位置から後退位置に移動する押付力伝達部材と、押付力伝達部材と共に移動する係合部と、を備え、係合部と被係合部とは進退部材が進出する際に付勢部材の付勢力が押付力伝達部材に付与されるように係合状態となり、押付力伝達部材が後退位置に位置する際に付勢部材の付勢力が押付力伝達部材に付与されないように非係合状態となる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
一端側が前記ケースに収容され、他端側が前記ケースから突出し、前記ケースの内部から外部に向かう方向に進出し、前記ケースの外部から内部に向かう方向に後退する進退部材と、
前記進退部材を付勢する付勢部材と、
前記ケースに収容され、前記付勢部材の付勢力による前記進退部材の進出を可能とする第1位置と、前記進退部材の進出を止める第2位置との間を移動する移動部材と、
前記ケースの内部で前記進退部材と共に移動する被係合部と、
リッドが閉まるときの押付力によって、前進位置から後退位置に移動する押付力伝達部材と、
前記ケースの内部で前記押付力伝達部材と共に移動する係合部と、
を備え、
前記係合部と前記被係合部とは、前記進退部材が進出する際に前記付勢部材の付勢力が前記押付力伝達部材に付与されるように係合状態となり、前記押付力伝達部材が前記後退位置に位置する際に前記付勢部材の付勢力が前記押付力伝達部材に付与されないように非係合状態となる、
進退移動装置。
【請求項2】
前記被係合部は、前記進退部材が前記ケースの外部から内部に向かう方向に後退する場合に、前記係合部よりも長い距離を移動することにより、前記係合部と非係合状態となる請求項1に記載の進退移動装置。
【請求項3】
前記被係合部は、前記進退部材が前記ケースの内部から外部に向かう方向に進出する場合に、前記係合部よりも長い距離を移動することにより、前記係合部と係合状態となる請求項1または2のいずれか一項に記載の進退移動装置。
【請求項4】
前記押付力伝達部材の進退移動を案内する案内部と、
前記押付力伝達部材と前記案内部との間に配置された弾性を有するシール部材と、
をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の進退移動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、進退移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関搭載の車両において給油開口部を塞ぐ蓋であるリッド(フューエルリッド)や、バッテリ搭載の車両において受電用の開口部を塞ぐ蓋であるリッドを開閉するリッド開閉装置が知られている。
【0003】
例えば、リッド開閉装置として、給油開口部に取り付けられるケースと、ケースに対して進退移動してリッドを開閉する進退部材と、進退部材の進退移動を制限する制限部材と、リッドの開閉を検知する検知スイッチを作動させるための押付力伝達部材と、付勢部材とを備える装置が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
押付力伝達部材は、付勢部材の付勢力により突出方向(進退部材の進出方向)に付勢される。リッドが開位置から閉位置へ移動する場合、押付力伝達部材がリッドに押圧されて、付勢部材の付勢力に抗して後退方向に移動する。
【0005】
また、進退部材がリッドに押圧されて、後退位置に移動した際に、制限部材が進退部材に係合して、進退部材の進退移動を制限する。リッドが閉位置へ移動した状態では、進退部材のリッド係止部がリッドのリッド被係止部と係止されることによってリッドがロックされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記の特許文献1に記載されたリッド開閉装置では、リッドが閉位置へ移動した状態では、押付力伝達部材が付勢部材の付勢力により突出方向(進退部材の進出方向)に付勢されているため、押付力伝達部材によって、リッドが閉位置から開位置の方向へ押される。ここで、各部材間に隙間(例えば、リッド係止部とリッド被係止部との間の隙間)があると、押付力伝達部材に押されたリッドが、閉位置から開位置の方向へ隙間分移動する。リッドの移動量が大きい場合、リッドの車両ボディからの浮き上がりが目立つようになるため、美観が損なわれる。また、車両ボディから浮き上がったリッドと車両ボディとの間に、工具などを入れる隙間が生じてしまい、防犯上の問題も生じる。
【0008】
本発明の目的は、リッドが車両ボディから浮き上がるのを防止することが可能な進退移動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の進退移動装置は、
ケースと、
一端側が前記ケースに収容され、他端側が前記ケースから突出し、前記ケースの内部から外部に向かう方向に進出し、前記ケースの外部から内部に向かう方向に後退する進退部材と、
前記進退部材を付勢する付勢部材と、
前記ケースに収容され、前記付勢部材の付勢力による前記進退部材の進出を可能とする第1位置と、前記進退部材の進出を止める第2位置との間を移動する移動部材と、
前記ケースの内部で前記進退部材と共に移動する被係合部と、
リッドが閉まるときの押付力によって、前進位置から後退位置に移動する押付力伝達部材と、
前記ケースの内部で前記押付力伝達部材と共に移動する係合部と、
を備え、
前記係合部と前記被係合部とは、前記進退部材が進出する際に前記付勢部材の付勢力が前記押付力伝達部材に付与されるように係合状態となり、前記押付力伝達部材が前記後退位置に位置する際に前記付勢部材の付勢力が前記押付力伝達部材に付与されないように非係合状態となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、リッドが車両ボディから浮き上がるのを防止することが可能な進退移動装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態に係る進退移動装置を備えている開閉装置の構成例を示す図
【
図2】本発明の実施の形態に係る進退移動装置の構成例を示す図
【
図3】駆動部が駆動された際の進退移動装置の一部を拡大して示す図
【
図4】フューエルリッドが押し込まれたときの進退移動装置の状態を示す図
【
図6】
図4に示す進退移動装置の一部を拡大して示す図
【
図7】フューエルリッドが僅かに押し込まれたときの進退移動装置の状態を示す図
【
図8】フューエルリッドがさらに押し込まれたときの進退移動装置の状態を示す図
【
図9】フューエルリッドの押し込み操作が完了したときの進退移動装置の状態を示す図
【
図10】
図9に示す進退移動装置の一部を拡大して示す図
【
図11】フューエルリッドが開かれるときの進退移動装置の状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
[開閉装置100の構成]
図1は本発明の実施の形態に係る進退移動装置1を備えている開閉装置100の構成例を示す図、
図2は本発明の実施の形態に係る進退移動装置1の構成例を示す図である。
【0014】
開閉装置100は、車体2に設けられた給油開口部2aを塞ぐための蓋であるフューエルリッド120を開閉する装置である。開閉装置100は本発明の実施の形態に係る進退移動装置1を備えている。なお、進退移動装置1の構成の詳細については後述する。
【0015】
開閉装置100は、車体2に設けられた給油開口部2aに取り付けられている本体部110と、フューエルリッド120と、フューエルリッド120を回転可能に支持するヒンジ130と、進退移動装置1とを備えている。
【0016】
本体部110は、例えば給油管を囲む給油室を構成している。なお、給油管の先端に形成されている給油口は、スクリューキャップ160により閉塞されている。
【0017】
進退部材11は、フューエルリッド120を開くための部材である。進退部材11の先端にはリッド係止部12が設けられている。
【0018】
このように構成されている開閉装置100において、フューエルリッド120が閉じられると、フューエルリッド120に設けられたリッド被係止部140が進退部材11に接触する。このとき、進退部材11に設けられたリッド係止部12がリッド被係止部140の内部に挿入される。
【0019】
この状態で、フューエルリッド120が押し込まれると、進退部材11が車体2の内側に後退する。後退とは、進退部材11が後述するケースの外側からケースの内側に向かって移動することである。
【0020】
さらに、進退部材11が後退すると、リッド係止部12が回転して、リッド係止部12がリッド被係止部140に係止される。リッド係止部12がリッド被係止部140に係止されたとき、進退部材11は後退位置に配置されている。
【0021】
後退位置は、後退した進退部材11の停止位置である。後退位置は、フューエルリッド120が閉状態で保持される位置でもある。
【0022】
この状態で、後述する制限部材90が後述する進退部材側部材21の凹部に挿入されることによって、当該進退部材側部材21に保持される進退部材11の移動が規制された状態、すなわち進退部材11がロックされた状態となる。これにより、フューエルリッド120は、給油開口部2aを閉塞した状態で、ロックされる。
【0023】
フューエルリッド120を開くために、上記の制限部材90によって進退部材11がロックされた状態からロックが解徐された状態になると、進退部材11が車体2の外側へ前進する。前進は、進退部材11が後述するケースの内側からケースの外側に向かって移動することである。
【0024】
このとき、進退部材11に設けられたリッド係止部12が回転することによって、リッド係止部12のリッド被係止部140への係止が解かれる。これにより、リッド被係止部140からリッド係止部12が抜けて、フューエルリッド120が開くことができる。
【0025】
押圧力伝達部80は、規制部、案内部などを有する。規制部、案内部などの詳細は後述する。
【0026】
[進退移動装置1の構成]
次に
図2及び
図3を参照して、進退移動装置1の構成を説明する。
【0027】
図2に示されている進退移動装置1は、進退部材11をケース4に対して、前進又は後退させる装置である。進退移動装置1は、ケース4、進退部材11、進退部材側部材21、付勢部材27、移動部材31、駆動部60、及び規制部83を備える。
【0028】
[進退部材11]
進退部材11は、ケース4に対して進退移動可能な円柱状又は円筒状の部材である。進退部材11は、前側壁部40aに形成されている不図示の貫通穴に挿入されている。
【0029】
進退部材11は、ケース4に対して前進した前進位置と、ケース4に対して後退した後退位置との間を移動する。前進位置は、前進した進退部材11の停止位置である。前進位置は、
図1に示すリッド被係止部140へのリッド係止部12の係止が解かれたときの進退部材11の位置でもある。
【0030】
[進退部材側部材21]
進退部材側部材21は、進退部材11に対して相対的に回転可能に嵌合しており、進退部材11と共に移動する。進退部材側部材21は、規制部材21a、被係合部材21b、及び被係合部材21c(本発明の「被係合部」に対応する)を備えている。
【0031】
[規制部材21a]
規制部材21aは、進退部材11を回転可能に保持しながらケース4内で移動することにより、進退部材11の前進位置と後退位置とを規制する。
【0032】
規制部材21aは、ケース4が有する前側壁部40aと後側壁部40bとの間の領域に配置されている。規制部材21aは、前側壁部40aに接することにより、進退部材11の前進方向への移動を規制する。また規制部材21aは、後側壁部40bに接することにより、進退部材11の後退方向への移動を規制する。
【0033】
[被係合部材21b]
被係合部材21bは、制限部材90が係合することにより、規制部材21aの前進を規制する。このため、被係合部材21bには、制限部材90が係合する凹部が形成されている。当該凹部の詳細に関しては後述する。
【0034】
被係合部材21bは、規制部材21aから後側壁部40bに向かって延伸している。被係合部材21bは、規制部材83cに隣接して、規制部材83cと平行に設けられている。
【0035】
[被係合部材21c]
被係合部材21cは、規制部材21aから内部部材83bに向かって延伸している。
図2において、進退部材11が後退位置から前進位置に向かって移動する方向を上方向とし、進退部材11が前進位置から後退位置に向かって移動する方向を下方向とした場合、被係合部材21cは、内部部材83bから規制部材21aに向かって延伸している係合部材83e(本発明の「係合部」に対応する)よりも下方向の位置に配置されている。
図2に示す被係合部材21cは係合部材83eと係合状態となっている。つまり、被係合部材21cと係合部材83eとの間に上下方向の隙間が生じていない。この状態において、被係合部材21cが係合部材83eに対して下方向に移動することで、被係合部材21cと係合部材83eとの間に上下方向の隙間が生じ、被係合部材21cと係合部材83eとが互いに非係合状態となる。一方、被係合部材21cと係合部材83eとが互いに非係合状態であっても、被係合部材21cが係合部材83eに対して上方向に移動することで、被係合部材21cと係合部材83eとは互いに係合状態となる。なお、被係合部材21cと係合部材83eとが互いに係合状態となる場合の詳細について、また、被係合部材21cと係合部材83eとが互いに非係合状態となる場合の詳細については後述する。なお、被係合部材21は、進退部材側部材21に設けられているが、進退部材11の移動に追従して進退移動することができれば、進退部材11に直接設けることもできる。
【0036】
[付勢部材27]
付勢部材27は、後退位置に配置されている進退部材11を、前進位置に向かって移動させるための付勢力を発生するコイルバネである。
【0037】
付勢部材27は、例えば、ケース4の内部において、進退部材側部材21と後側壁部40bとの間の領域に配置されている。付勢部材27の一端は進退部材側部材21の内部に設けられたばね座に取り付けられ、付勢部材27の他端はケース4の後側壁部40bに設けられたばね座に取り付けられている。
【0038】
なお、付勢部材27は、コイルバネに限定されず、進退部材11を移動させる付勢力を発生する弾性部材であればよく、板バネなどでもよい。
【0039】
[規制部83]
規制部83は、押付力伝達部材83a、内部部材83b、規制部材83c、及び係合部材83eを備えている。
【0040】
[押付力伝達部材83a]
押付力伝達部材83aは、フューエルリッド120が閉まるとき、フューエルリッド120に設けられた突起121によって押し込まれる。押付力伝達部材83aは、フューエルリッド120が閉まるときの押し付け力を規制部材83cに伝達するための部材である。また、ケース4の内部に設けられたフューエルリッド120の開閉状態を検知する検知スイッチを操作する部材として用いることができる。例えば、押付力伝達部材83aがフューエルリッド120の突起121によって押し込まれた際に、押付力伝達部材83aと共に押し込まれる内部部材83bを介して検知スイッチを操作することができる。
【0041】
押付力伝達部材83aは、ケース4が有する前側壁部40aに形成されている案内部83dに挿入可能な柱状に形成されている。押付力伝達部材83aは、内部部材83bに固定されており、内部部材83bから、ケース4が有する前側壁部40aに形成されている押付力伝達部材83aの進退移動を案内する案内部83dを介して、ケース4の外側に突出している。
【0042】
押付力伝達部材83aは、
図2に示すように、フューエルリッド120が開かれたとき、ケース4の外側に突出する突出位置(本発明の「前進位置」に対応する)に移動する。
図2に示す押付力伝達部材83aは、突起121によって押し込まれていない。押付力伝達部材83aとフューエルリッド120に設けられた突起121との間には隙間が生じている。なお、押付力伝達部材83aの前進位置は、フューエルリッド120を閉じた際に、突起121によって押し込むことができれば、ケース4の外側に突出する突出位置のほかに、ケース4から突出しない位置であってもよい。
【0043】
押付力伝達部材83aは、
図9に示すように、フューエルリッド120が閉まるとき、フューエルリッド120に設けられた突起121によって押し込まれた引込位置(本発明の「後退位置」に対応する)に移動する。
【0044】
[内部部材83b]
内部部材83bは、ケース4の内部において、押付力伝達部材83aと嵌合しており、押付力伝達部材83aと共に移動可能に配置されている部材である。内部部材83bは、例えばケース4の内部に設けられている案内溝上に配置されている。
【0045】
内部部材83bは、
図1に示すフューエルリッド120が閉じられたとき、前側壁部40aから後側壁部40bに向かう方向に移動し、フューエルリッド120が開かれたとき、後側壁部40bから前側壁部40aに向かう方向に移動する。内部部材83bの前進位置は、ケース40との接触、例えば前側壁部40aと接触することに前進位置が規制される。
【0046】
[規制部材83c]
規制部材83cは、押付力伝達部材83aと共に移動し、フューエルリッド120が閉状態となることで押付力伝達部材83aがケース4の内部に押し込まれたとき、移動部材31が備えている制限部材90の移動を規制するための部材である。規制部材83cは、内部部材83bからケース4が有する後側壁部40bに向かって延伸している。規制部材の構成の詳細は後述する。
【0047】
規制部材83cの先端部は、フック状に形成されている。そして、規制部材83cには凹部83c1が形成されている。
【0048】
[係合部材83e]
係合部材83eは、内部部材83bから規制部材21aに向かって延伸している。係合部材83eは、規制部材21aから内部部材83bに向かって延伸している被係合部材21cよりも
図2における上方向の位置に配置されている。なお、係合部材83eと被係合部材21cとが互いに係合状態となる場合の詳細について、また、係合部材83eと被係合部材21cとが互いに非係合状態となる場合の詳細については後述する。また、係合部材83eと被係合部材21cとが互いに係合状態において、進退部材11から押付力伝達部材83aに伝わる付勢部材27の付勢力についても後述する。
【0049】
[シール部材83f]
図5は、
図9に示す進退移動装置のA-A線断面図である。
図9に示す進退移動装置は、
図2に示した進退移動装置と同じ装置である。
図5に示すように、押付力伝達部材83aと案内部83dの間にはシール部材83fが設けられている。シール部材83fは、弾性を有するシール部材であり、変形することによる復元力で押付力伝達部材83aに摩擦抵抗を付与する。押付力伝達部材83aに対し外力(本実施の形態では、進退部材11から押付力伝達部材83aに伝わる付勢部材27の付勢力)が作用しない場合、押付力伝達部材83aに対して
図5における下方向の力(例えば、重力)と摩擦抵抗による
図5における上方向の力とが釣り合うことで、押付力伝達部材83aが停止位置に保持される。そのため、押付力伝達部材83aを停止位置に保持することが可能なように、シール部材83fの材質、形状、大きさ、個数、及び配置が設定される。また、シール部材83fは、弾性の他に、耐磨耗性、耐水性、耐油性、加工性などを有する部材でもよい。これにより、シール部材83fは、ケース4の外側から押付力伝達部材83aと案内部83dの間の隙間を通ってケース4の内側に浸入しようとする雨水や、油や、埃などの侵入を抑止することが可能となる。
【0050】
[駆動部60]
駆動部60は、制限部材90を移動させる駆動力を発生するモータである。駆動部60の回転軸には、回転ギヤ64が接続されている。
【0051】
駆動部60が駆動することによって、制限部材90の先端部は、
図3に示すように、規制部材83cの先端部から一定距離離れた位置で、規制部材83cの先端部と対向する。これにより進退部材側21と制限部材90との係合状態が解除され、フューエルリッド120を開錠可能な状態となる。
【0052】
フューエルリッド120が開いた状態では、制限部材90の先端部は、
図2に示すように、被係合部材21bおよび/または制限部材83cと接触している。また、駆動部60が駆動した際には、制限部材90の先端部は、
図3に示すように、規制部材83cの先端部から一定距離離れた位置で、規制部材83cの先端部と対向している。このように、第1位置から
図4に示す第2位置への制限部材90の移動が規制されている。従って、
図2および
図3に示す制限部材90の位置(第1位置)においては、制限部材90は、被係合部材21bに設けられた凹部21b1に挿入されておらず(非係合状態)、進退部材11は制限部材90により移動を制限されていないため、進退部材11の前進が可能となる。なお、第2位置は、制限部材90の先端が被係合部材21bに設けられた
図6に示す凹部21b1に係合されているときの位置に等しい。
【0053】
[移動部材31]
図2および
図3に示すように、移動部材31は、回転ギヤ74、ラックギヤ93、制限部材90、及び付勢部材96を備えている。
【0054】
[回転ギヤ74]
回転ギヤ74は環状の歯車である。回転ギヤ74は、モータ又は手動による回転力を伝達し、該回転力によって移動部材31を移動させる回転力伝達部材である。
【0055】
回転ギヤ74は、回転ギヤ64と噛み合うことによって駆動部60の回転力を伝達し、該回転力によって制限部材90を移動させる伝達部材の一例である。回転ギヤ74には、回転ギヤ74と同軸に小歯車75が設けられている。小歯車75は、制限部材90に形成されるラックギヤ93と噛み合っている。
【0056】
[付勢部材96]
付勢部材96は、例えば、ケース4の内部において、制限部材90と、ケース4が有する後側壁部40bの内側に形成されている突起(ケース4が有する内側面壁から
図2の紙面垂直方向に突出している部分)との間の領域に配置されている。付勢部材96の一端は、制限部材90と対向し、付勢部材96の他端は、ケース4の後側壁部40bに形成されている突起と対向している。
【0057】
付勢部材96は、第1位置に配置されている制限部材90を、
図4または
図9に示す第2位置に向かって移動させるための付勢力を発生するコイルバネである。
【0058】
なお、付勢部材96は、コイルバネに限定されず、制限部材90を移動させる付勢力を発生する弾性部材であればよく、板バネなどでもよい。
【0059】
[制限部材90及びラックギヤ93]
制限部材90は、
図2に示されるケース4の内部に収容され、第1位置と第2位置との間を移動する部材である。制限部材90は、付勢部材96で発生する付勢力によって、第1位置から第2位置に向かって移動することができる。
【0060】
なお、制限部材90は、付勢部材96で発生する付勢力以外にも、不図示の駆動機構が手動で操作されたときに発生する回転力を利用して、移動させることもできる。
【0061】
制限部材90にはラックギヤ93が形成されている。ラックギヤ93は、回転運動を直線運動に変換するための歯車である。
【0062】
ラックギヤ93に噛み合う回転ギヤ74が回転することにより、制限部材90は、第1位置と第2位置との間を移動する。
【0063】
第1位置は、進退部材11の前進を可能とする位置である。制限部材90が第1位置に配置されている場合、被係合部材21bに形成されている
図6に示す凹部21b1に制限部材90が係合されていない。そのため、後退位置に配置されている進退部材11は、
図2に示す付勢部材27で発生する付勢力によって、前進することができる。
【0064】
第2位置は、
図2に示す進退部材11の前進を止める位置である。第2位置は、
図6に示す制限部材90の先端部が、被係合部材21bに設けられた凹部21b1に係合されているときの位置に等しい。
【0065】
このように制限部材90が第2位置に配置されている場合、被係合部材21bに形成されている凹部21b1に制限部材90が係合されるため、進退部材11は、後退位置に止まり、前進することができない。
【0066】
[進退移動装置1の動作]
次に
図2、
図3、
図4および
図6を参照して、フューエルリッド120が閉じられるときの進退移動装置1の動作を説明する。
図2、
図3、
図4および
図6はフューエルリッド120を閉じられるときの進退移動装置1の動作を説明するための図である。
図4はフューエルリッド120が押し込まれ、進退部材11が後退位置からさらに後退方向へ移動したときの進退移動装置1の状態を示す図、
図6は
図4に示す進退移動装置1の一部を拡大して示す図である。
【0067】
図2には、フューエルリッド120が押し込まれる前の進退移動装置1の状態が示されている。
【0068】
フューエルリッド120が押し込まれていないとき、進退部材11は、付勢部材27で生じた付勢力によって、前進位置に配置されている。また、押付力伝達部材83aは、フューエルリッド120に設けられた突起121に押し込まれていないとき、内部部材83bからケース4の外側に突出した突出位置(前進位置)に配置されている。
【0069】
このとき、内部部材83bから規制部材21aに向かって延伸する係合部材83eと、規制部材21aから内部部材83bに向かって延伸している被係合部材21cとが互いに係合した係合状態であるため、付勢部材27で生じた付勢力は、進退部材11から押付力伝達部材83aへ伝えられる。
【0070】
また、制限部材90の先端部は、
図2に示すように、規制部材83cの先端部が規制部材83cの先端部(凹部83cが設けられた部位よりも下側の部位)と接触している。このため、第1位置からに示す第2位置への制限部材90の移動が規制されている。
【0071】
この状態で、フューエルリッド120が押し込まれると、進退部材11は、付勢部材27で生じた付勢力に抗して、後退方向に移動する。フューエルリッド120が僅かに押し込まれると、進退部材11は、付勢部材27で生じた付勢力に抗して、後退方向への移動を開始する。
【0072】
進退部材11が後退方向に移動すると、進退部材側部材21は、進退部材11と共に後退方向に移動する。また、規制部材21aから内部部材83bに向かって延伸している被係合部材21cは、進退部材11と共に後退方向に移動する。
【0073】
図7には、フューエルリッド120が僅かに押し込まれたときの進退移動装置1の状態が示されている。
図7に押し込み方向を白抜きの矢印で示す。フューエルリッド120が僅かに押し込まれる状態では、押付力伝達部材83aは、依然としてフューエルリッド120に設けられた突起121によって押し込まれないため、押付力伝達部材83aと案内部83dの間に設けられているシール部材83f(
図5を参照)による摩擦抵抗で停止位置に保持される。つまり、押付力伝達部材83aは、突出位置(前進位置)に静止している。同様に、内部部材83bから規制部材21aに向かって延伸する係合部材83eは静止している。
【0074】
以上により、フューエルリッド120が僅かに押し込まれる状態では、被係合部材21cが後退方向に移動するのに対して、係合部材83eが静止しているため、係合部材83eと被係合部材21cとの間に隙間が生じて、係合部材83eと被係合部材21cとが互いに係合しない非係合状態となる。これにより、付勢部材27で生じた付勢力は、進退部材11から押付力伝達部材83aへ伝わらない。
【0075】
フューエルリッド120がさらに押し込まれた場合、進退部材11は、付勢部材27で生じた付勢力に抗して後退方向へ移動する。被係合部材21cが後退方向に移動するのに対して、係合部材83eが静止しているため、係合部材83eと被係合部材21cとの間に隙間が広がる。
【0076】
図8には、フューエルリッド120がさらに押し込まれたときの進退移動装置1の状態が示されている。
図8に押し込み方向を白抜きの矢印で示す。フューエルリッド120がさらに押し込まれた場合、進退部材11は、付勢部材27で生じた付勢力に抗して後退方向へ移動する。また、押付力伝達部材83aは、フューエルリッド120に設けられた突起121によって押し込まれる。これにより、押付力伝達部材83aが後退方向へ移動する。つまり進退部材11および押付力伝達部材83aのそれぞれが共に後退方向へ移動する。進退部材11および押付力伝達部材83aのそれぞれが共に後退方向へ移動するとき、係合部材83eと被係合部材21cとの間の隙間は一定に保たれる。
【0077】
図4には、フューエルリッド120がさらに押し込まれるときの進退移動装置1が示されている。フューエルリッド120がさらに押し込まれた場合、フューエルリッド120に設けられた突起121によって押付力伝達部材83aが押し込まれて、ケース4の前側壁部40aから後側壁部40bの方向に移動するため、規制部材83cの先端部が、ケース4が有する後側壁部40bに近づくように移動する。規制部材83cの先端部がケース4が有する後側壁部40bに近づくと、付勢部材96で生じた付勢力によって押された制限部材90の先端部が、規制部材83cに形成されている
図6に示す凹部83c1に挿入される。また、制限部材90の先端部は、規制部材83cの凹部83c1を通過した後、被係合部材21bに形成されている凹部21b1に挿入される。なお、このときの制限部材90の先端部の位置は、第2位置に等しい。
【0078】
また、フューエルリッド120がさらに押し込まれ、進退部材11が後退すると、リッド係止部12が回転して、リッド係止部12がリッド被係止部140に係止される。
【0079】
以上、
図2、
図4、
図7および
図8に示すように、フューエルリッド120が閉じられる場合、被係合部材21cは、係合部材83eよりも長い距離を移動することにより、係合部材83eと被係合部材21cとの間に隙間が生じて、進退部材11が後退位置に位置する際に、係合部材83eと被係合部材21cとが互いに非係合状態となる。
【0080】
図9はフューエルリッド120の押し込み操作が完了したときの進退移動装置1の状態を示す図、
図10は
図9に示す進退移動装置1の一部を拡大して示す図である。
図9に押し込み方向を白抜きの矢印で示す。
【0081】
フューエルリッド120の押し込みが完了すると、付勢部材27で生じた付勢力によって進退部材11は前進方向へ移動しようとするが、制限部材90の先端部が被係合部材21bに形成されている凹部21b1に挿入され、凹部21b1と係合するため、進退部材11の移動が制限される。
【0082】
すなわち、進退部材11がロックされた状態となる。これにより、フューエルリッド120は、給油開口部2aを閉塞した状態で、ロックされる。
【0083】
また、付勢部材27で生じた付勢力によって進退部材11が前進方向へ移動することで、係合部材83eと被係合部材21cとの間の隙間が
図4に示す隙間よりも狭くなるが、依然として係合部材83eと被係合部材21cが互いに非係合状態にあるため、付勢部材27で生じた付勢力が、進退部材11から押付力伝達部材83aへ伝わらない。このとき、押付力伝達部材83aは、案内部83dとの間に設けられているシール部材83f(
図5を参照)による摩擦抵抗で停止位置に保持されている。
【0084】
また、フューエルリッド120の押し込みが完了した状態では、付勢部材27で生じた付勢力が進退部材11から押付力伝達部材83aへ伝わらないため、押付力伝達部材によって、フューエルリッド120が閉状態の位置(閉位置)から開き方向へ押されることがない。フューエルリッド120は、閉位置に保持される。
【0085】
また、
図10に示すように、規制部材83cの凹部83c1に挿入されている制限部材90の先端部は、規制部材83cに接触することなく、被係合部材21bに形成されている凹部21b1に挿入されている。これにより、規制部材21aの前進方向への移動が制限されるため、
図9に示すフューエルリッド120が閉じられた状態を維持できる。
【0086】
次に、
図9および
図11を参照して、フューエルリッド120が開かれるときの進退移動装置1の動作を説明する。
図11は、フューエルリッド120が開かれるときの進退移動装置1の状態を示す図である。
図11に進退部材11の前進方向を白抜きの矢印で示す。
【0087】
図9に示す閉じられた状態のフューエルリッド120を閉位置から開位置に移動させる場合、駆動部60を駆動することによって、又は不図示の手動で回転力を発生する駆動機構を用いることによって、制限部材90を進退部材11側から離すことができる。
【0088】
これにより、制限部材90の先端部が被係合部材21bに形成されている凹部21b1から引き抜かれて、進退部材11の進退方向への移動規制状態が解除される。このように移動規制状態が解除された進退部材11は、付勢部材27の付勢力により前進方向に移動する。このとき、進退部材11は、ケース4に対して回転しながら進退部材11の軸方向に移動する。
【0089】
そして、進退部材11の回転により、進退部材11の先端に設けられているリッド係止部12も回転し、リッド被係止部140との係止めが解かれる。また、進退部材11は、前進方向へ移動することで、フューエルリッド120を押し上げる。
【0090】
一方、押付力伝達部材83aはシール部材83f(
図5を参照)による摩擦抵抗で停止位置に保持されているため、進退部材11が前進方向へ移動するに応じて、内部部材83bから規制部材21aに向かって延伸する係合部材83eと、規制部材21aから内部部材83bに向かって延伸している被係合部材21cとの間の隙間が狭くなり、やがて、
図11に示すように、係合部材83eと被係合部材21cとが互いに係合する係合状態となる。これにより、付勢部材27で生じた付勢力が進退部材11から押付力伝達部材83aへ伝わるため、押付力伝達部材83aが進退部材11と共に移動する。
【0091】
進退部材11はさらに前進方向へ移動して、前進位置に到達する。こうして、フューエルリッド120は開かれた状態となる。
【0092】
また、押付力伝達部材83aは、進退部材11と共に移動することで、内部部材83bからケース4の外側に突出した突出位置(前進位置)に移動する。
【0093】
以上、
図2、
図9および
図11に示すように、フューエルリッド120が開かれた場合、被係合部材21cは、係合部材83eよりも長い距離を移動することにより、係合部材83eと係合状態となる。これによって、付勢部材27で生じた付勢力が進退部材11から押付力伝達部材83aへ伝わるため、押付力伝達部材83aが進退部材11と共に移動する。
【0094】
以上説明してきたように本発明の実施の形態に係る進退移動装置1によれば、ケース4と、一端側がケース4に収容され、他端側がケース4から突出し、ケース4の内部から外部に向かう方向に進出し、ケースの外部から内部に向かう方向に後退する進退部材11と、進退部材11を付勢する付勢部材27と、ケース4に収容され、付勢部材27の付勢力による進退部材11の進出を可能とする第1位置と、進退部材11の進出を止める第2位置との間を移動する移動部材31と、ケース4の内部で進退部材11と共に移動する被係合部材21cと、フューエルリッド120が閉まるときの押付力によって、前進位置から後退位置に移動する押付力伝達部材83aと、ケース4の内部で押付力伝達部材83aと共に移動する係合部材83eと、を備え、係合部材83eと被係合部材21cは、進退部材11が進出する際に付勢部材27の付勢力が押付力伝達部材83aに付与されるように係合状態となり、押付力伝達部材83aが後退位置に位置する際に付勢部材27の付勢力が押付力伝達部材83aに付与されないように非係合状態となる。
【0095】
上記の構成により、進退部材11が進出する際に、係合部材83eと被係合部材21cとが互いに係合状態となって、付勢部材の付勢力が進退部材11から押付力伝達部材83aに付与されるため、押付力伝達部材83aを引込位置(後退位置)から突出位置(前進位置)へ移動する特別な部材が無くとも、押付力伝達部材83aを、進退部材11と共に突出位置(前進位置)に移動することが可能となる。また、進退部材11が後退する際に、係合部材83eと被係合部材21cとが互いに非係合状態となって、付勢部材の付勢力が進退部材11から押付力伝達部材83aに付与されないため、押付力伝達部材83aにフューエルリッド120が押されない。これにより、フューエルリッド120が車両ボディから浮き上がるのを防止することが可能となる。ひいては、車両ボディから浮き上がったフューエルリッド120と車両ボディとの間に、工具などを入れる隙間が生じないため、防犯性を高めることが可能となる。
【0096】
また、本発明の実施の形態に係る進退移動装置1によれば、被係合部材21cは、進退部材11がケース4の外部から内部に向かう方向に後退する場合に、係合部材83eよりも長い距離を移動することにより、係合部材83eと非係合状態となる。係合部材83eおよび被係合部材21cの互いの係合状態を解除するための部品を追加することなく、簡単な構成で、係合部材83eと被係合部材21cとを互いに非係合状態とすることができるため、進退移動装置1の製造コストを低減することが可能となる。
【0097】
また、本発明の実施の形態に係る進退移動装置1によれば、被係合部材21cは、進退部材11がケース4の内部から外部に向かう方向に進出する場合に、係合部材83eよりも長い距離を移動することにより、係合部材83eと係合状態となる。係合部材83eおよび被係合部材21cを互いに係合状態にするための部品を追加することなく、簡単な構成で、係合部材83eと被係合部材21cとを互いに係合状態とすることができるため、進退移動装置1の製造コストを低減することが可能となる。
【0098】
また、本発明の実施の形態に係る進退移動装置1によれば、押付力伝達部材83aの進退移動を案内する案内部83dと、押付力伝達部材83aと案内部83dとの間に配置された弾性を有するシール部材83fと、をさらに備える。これにより、シール部材83fによる摩擦抵抗で押付力伝達部材83aをより確実に停止位置に保持することが可能となり、さらには、係合部材83eを停止位置により確実に保持することが可能となる。その結果、停止位置に保持された係合部材83eと、進退部材11と共に移動する被係合部材21cとを互いに係合状態とすることや、反対に係合部材83eと被係合部材21cとを互いに非係合状態とする進退移動装置1の構成が簡素化され、進退移動装置1の信頼性が向上するとともに、進退移動装置1の製造コストを低減することが可能である。なお、押付力伝達部材83aと案内部83dとの間に生じる摩擦抵抗で押付力伝達部材83aを停止位置に保持することができるように、押付力伝達部材83aと案内部83dとのはめ合い公差が設定される場合、上記のシール部材83fは不要となる。
【0099】
なお、本発明の実施の形態では、進退部材11が後退する場合に、被係合部材21cが係合部材83eよりも長い距離を移動することにより、係合部材83eと非係合状態となるように、また、進退部材11が進出する場合に、被係合部材21cが係合部材83eよりも長い距離を移動することにより、係合部材83eと係合状態となるように構成したが、進退部材11が前進位置から後退位置に移動するまで間の所定の位置で、被係合部材21cと係合部材83eとの係合状態が非係合状態に切り替えられ、かつ、進退部材11が後退位置から前進位置に移動するまで間の所定の位置で、被係合部材21cと係合部材83eとの非係合状態が係合状態に切り替えられる構造であれば、当該構成例以外の構成を採用してもよい。例えば、進退部材11の移動方向を軸方向とし、その軸回りに被係合部材21cまたは係合部材83eのうちの一方の部材を回転可能に設け、進退部材11の所定の位置への移動に応じて一方の部材を所定位置から回転させることで、被係合部材21cが係合部材83eと非係合状態となり、進退部材11の前進位置への移動に応じて一方の部材を回転した位置から所定位置に回転させることで、被係合部材21cが係合部材83eと係合状態となるように、進退部材11が移動するときの動作に応じて一方の部材を回転させるカム機構を設けた構造でもよい。また、本発明の実施の形態では、制限部材による進退部材のロックが解除されることで、リッドが開く装置を事例として説明したが、例えば、ユーザーがリッドをプッシュ操作することにより進退部材を開位置と閉位置に進退移動させリッドを開閉する所謂プッシュ・プッシュ機構を備える装置に用いることもできる。
【0100】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等などの意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0101】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明に係る進退移動装置は、リッドが車両ボディから浮き上がるのを防止することができる装置として有用である。
【符号の説明】
【0103】
1 進退移動装置
2 車体
2a 給油開口部
4 ケース
11 進退部材
12 リッド係止部
21 進退部材側部材
21a 規制部材
21b 被係合部材
21c 被係合部材
21b1 凹部
27 付勢部材
31 移動部材
40a 前側壁部
40b 後側壁部
60 駆動部
64 回転ギヤ
74 回転ギヤ
75 小歯車
80 押圧力伝達部
83 規制部
83a 押付力伝達部材
83b 内部部材
83c 規制部材
83c1 凹部
83d 案内部
83e 係合部材
83f シール部材
90 制限部材
93 ラックギヤ
96 付勢部材
100 開閉装置
110 本体部
120 フューエルリッド
121 突起
130 ヒンジ
140 リッド被係止部
160 スクリューキャップ