(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132062
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】直定規
(51)【国際特許分類】
B43L 7/00 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
B43L7/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037166
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】521410326
【氏名又は名称】品田 伸吾
(71)【出願人】
【識別番号】722002513
【氏名又は名称】明田 和也
(72)【発明者】
【氏名】品田伸吾
(72)【発明者】
【氏名】明田和也
【テーマコード(参考)】
2C071
【Fターム(参考)】
2C071AA01
2C071AA08
2C071AB05
2C071AC10
2C071AD00
(57)【要約】
【課題】
安価に製造できる簡単な構造で直定規の機能を向上させる。また、機能を増やし多機能な直定規を提供する。
【解決手段】
一つの直定規が二つの部品から構成され、分離・一体化することで従来の直定規が備えていた機能を向上させ、新たな機能を備えることが可能になる。分離・一体化には適切な磁力を用いることで二つの部品が自動的に整列し密着することを可能にする。分離・一体化の機能を利用することで直定規に書類を綴じる新たな機能が加わり、直定規が従来からもっていた直線描画機能を平行線描画機能にまで向上し、直角二等辺三角形や正三角形など正確な図形の描画を可能にし、直線寸法計測機能を立体物寸法計測機能にまで向上させる。さらに視認性のよいガイドラインを備えることで、事務書類の精読を補助する機能を向上させることが可能になる。なお、寸法も従来の直定規と変わらないので収納性、携帯性にも優れている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1長尺板部品と第2長尺板部品を有し、該第1長尺板部品と第2長尺板部品が密着し一体化又は離間し分割する構造を持つことを特徴とする直定規。
【請求項2】
請求項1の直定規において、一方の長尺板部品の寸法が、もう一方の長尺板部品の寸法に収まることを特徴とする直定規。
【請求項3】
請求項1から2の直定規において、少なくとも一方の長尺板部品には磁石を有し、もう一方の長尺板部品には着磁部を備えていることを特徴とする直定規。
【請求項4】
請求項3の直定規において、上記長尺板に使用される磁石の1個あたりの吸着力が0.3kgf以上2.0kgf以下であることを特徴とする直定規。
【請求項5】
請求項3から4の直定規において、前記第1長尺板部品と前記第2長尺板部品に設けられた磁石及び着磁部は、磁力が働くようにそれぞれ対応する位置に設けられており、これを除く部分には磁性を持たない材質を使用することを特徴とする直定規。
【請求項6】
請求項5の直定規において、前記着磁部には強磁性体を用いることを特徴とする直定規。
【請求項7】
請求項5の直定規において、前記着磁部には磁石を用いることを特徴とする直定規。
【請求項8】
請求項1から7の直定規において、前記第1長尺板部品と前記第2長尺板部品を直交もしくは斜交した状態でスライド可能に組み合わせる係合部が設けられていることを特徴とする直定規。
【請求項9】
請求項8の直定規において、前記係合部は、前記第1長尺板部品に設けられた、前記第2長尺板部品の幅と一致する溝であることを特徴とする直定規。
【請求項10】
請求項8の直定規において、前記係合部は、前記第1長尺板部品に設けられた凸構造と前記第2長尺板部品に設けられた凹構造のレールであることを特徴とする直定規。
【請求項11】
請求項8から10の直定規において、前記第2長尺板部品の長辺には目盛りを備え、一方の短辺を目盛りの始点とすることを特徴とする直定規。
【請求項12】
請求項1から請求項11の直定規において、いずれかの長尺板部品の長辺に沿って視認性のよい直線が描画されていることを特徴とする直定規。
【請求項13】
請求項12の直定規において、前記第1長尺板部品の短辺の寸法が前記第2長尺板部品よりも短く、前記第1長尺板部品に曲線加工が施されていることを特徴とする直定規。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多機能を実現可能な直定規に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より直線を引いたり、直線を確認するために長尺の長方形状の定規がある。以下、長方形状の定規を直定規と称する。また、長さを測るためにはその直定規に目盛りを印刷または刻印している。直定規はそういうものとして扱われてきたが、直定規についても色々な用途の利用が求められ多機能化の要求がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に直定規は直線を引き、目盛り表示により直線の寸法を計測する目的で開発され使用されており、機能が限定された文房具だった。ノギスをはじめとする専門家向けの多機能計測器や多機能定規も存在するが大変高価であり、用途も限定的で一般のデスクワークには不向きである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、第1長尺板部品と第2長尺板部品を有し、該第1長尺板部品と第2長尺板部品が密着し一体化又は離間し分割する構造を持つことを特徴とする。
【0005】
本発明における他の発明は、一方の長尺板部品の寸法がもう一方の長尺板部品の寸法に収まることを特徴とする。
【0006】
本発明における他の発明は、少なくとも一方の長尺板部品には磁石を有し、もう一方の長尺板部品には着磁部を備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明における他の発明は、上記長尺板に使用される磁石の1個あたりの吸着力が0.3kgf以上2.0kgf以下であることを特徴とする。
【0008】
本発明における他の発明は、前記第1長尺板部品と前記第2長尺板部品に設けられた磁石及び着磁部は、磁力が働くようにそれぞれ対応する位置に設けられており、これを除く部分には磁性を持たない材質を使用することを特徴とする。
【0009】
本発明における他の発明は、前記着磁部には強磁性体を用いることを特徴とする。
【0010】
本発明における他の発明は前記着磁部には磁石を用いることを特徴とする、。
【0011】
本発明における他の発明は、前記第1長尺板部品と前記第2長尺板部品を直交もしくは斜交した状態でスライド可能に組み合わせる係合部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明における他の発明は、前記第1長尺板部品に設けられた、前記第2長尺板部品の幅と一致する溝であることを特徴とする。
【0013】
本発明における他の発明は、前記係合部は、前記第1長尺板部品に設けられた凸構造と前記第2長尺板部品に設けられた凹構造のレールであることを特徴とする。
【0014】
本発明における他の発明は、前記第2長尺板部品の長辺には目盛りを備え、一方の短辺を目盛りの始点とすることを特徴とする。
【0015】
本発明における他の発明は、いずれかの長尺板部品の長辺に沿って視認性のよい直線が描画されていることを特徴とする。
【0016】
本発明における他の発明は、前記第1長尺板部品の短辺の寸法が前記第2長尺板部品よりも短く、前記第1長尺板部品に曲線加工が施されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、1本の直定規が二つの部品から構成され、一体化又は離間し分離することで、直定規がすでに持っている機能を向上させ、さらには新たな機能を付与することが可能になる。また、二つの部品は一方の寸法に収まることにより、従来使用されてきた直定規と同様の機能性、収納性、携帯性をも合わせ持つことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に関わる直定規
1の正面図、裏面図、側面図である。(a)は正面図、(b)は裏面図、(c)はA方向透視側面図、(d)はB方向透視側面図である。
【
図2】直定規
1を構成する操作部
100の正面図、裏面図、側面図である。(a)は正面図、(b)は裏面図、(c)はA方向側面図である。
【
図3】直定規
1を構成するベース部
150の正面図と裏面図である。(a)は正面図、(b)は裏面図である。
【
図4】直定規
1を使用して書類を綴じる方法を示している。(a)は書類を綴じる前、(b)は書類を綴じた後、(c)はホワイトボード等への貼付け(d)は冊子状態での使用を示した図である。
【
図5】直定規
1を使用して直交スライドする方法を示している。(a)は部品が分離した状態、(b)は直交スライドできる状態を示した図である。
【
図6】直交スライド定規
500を使用して平行線を描画する方法を示している。(a)は第1線の描画、(b)は第2線、第3線の描画を示した図である。
【
図7】直交スライド定規
500を使用して立体物の寸法計測を行う方法を示した図である。
【
図8】直定規
1を使用して事務書類の精読を補助する使用方法を示した図である。
【
図9】本発明に関わる直定規
2の正面図、裏面図、側面図である。(a)は正面図、(b)は裏面図、(c)はA方向透視側面図、(d)はB方向透視側面図である。
【
図10】直定規
2を構成する操作部
200の正面図、裏面図、側面図である。(a)は正面図、(b)は裏面図、(c)はA方向側面図である。
【
図11】直定規
2を構成するベース部
250の正面図、裏面図、側面図である。(a)は正面図、(b)は裏面図、(c)はA方向側面図、(d)はB方向側面図である。
【
図12】直定規
2を使用して直交スライドする方法を示している。(a)は部品が分離した状態、(b)は直交スライドが可能になった状態を示した図である。
【
図13】本発明に関わる直定規
3の正面図、裏面図、側面図である。(a)は正面図、(b)は裏面図、(c)はA方向透視側面図、(d)はB方向透視側面図である。
【
図14】直定規
3を構成する操作部
300の正面図、裏面図、側面図である。(a)は正面図、(b)は裏面図、(c)はA方向側面図である(d)はB方向透視側面図である。
【
図15】直定規
3を構成するベース部
350の正面図、裏面図、側面図である。(a)は正面図、(b)は裏面図である。
【
図16】本発明に関わる直定規
4の操作部
400の正面図、裏面図、側面図である。(a)は正面図、(b)は裏面図、(c)はA方向側面図である。
【
図17】直定規
4を使用して斜交スライドする方法を示している。(a)は部品が分離した状態、(b)は斜交スライドできる状態を示している。
【
図18】直定規4を使用して直角二等辺三角形を描画する方法を示している。(a)は第1線と第2線の描画、(b)は直角二等辺三角形を描画する方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態である直定規1を説明する。直定規1は第1長尺板部品である操作部100と第2長尺板部品であるベース部150から構成される。
【0020】
図1において、直定規
1は正面図(a)、裏面図(b)が示すように、操作部
100とベース部
150は同じ寸法としている。なお、操作部
100とベース部
150は、一方の寸法に収まるものであれば、もう一方の寸法は同じである必要はない。少なくとも一方の寸法に収まる形状を用いることで、直定規
1の収納性が向上し、持ち運びにも便利になる。
【0021】
図1において、直定規
1は正面図(a)、裏面図(b)及び透視側面図(c)、(d)が示すように形状は長方形であり、短辺の寸法は15mmから40mm程度、長辺の寸法は150mmから500mm程度、厚みは2mmから10mm程度とする。このような寸法に設定することにより、机上での使用に好適となる。また、この発明の効果をよりよくもたらすために、各部品の面は直交スライド溝103の箇所を除いて凸凹の無い平面であることが望ましい。また、操作部基体101及びベース部基体151の材質には金属、プラスチック類等の樹脂材、木材など硬くて壊れにくい素材を用いることが望ましい。操作部基体101とベース部基体151は同じ材質を用いる必要はなく、例えば一方は金属、もう一方は木材などとしてもよい。
【0022】
図1のA方向透視側面図(c)が示すように、直定規
1は操作部基体101とベース部基体151が磁石の作用によって容易に分離し一体化する構造を持つ。すなわち、操作部基体101は操作部磁石102を内蔵しており、ベース部基体151はベース部磁石152を内蔵しており、直定規
1が操作部
100とベース部
150とに分離し、結合密着することを可能にする。
【0023】
このように、直定規1は操作部100とベース部150という二つの部品が分離し一体化するが、一体化した状態においては従来の直定規と全く同様の用途に使用することが可能となる。例えば、直線を描画したり、直線を確認したり、直線に紙を切ったり、目盛りを表示して直線の寸法を測る用途などである。
【0024】
直定規1の一体化にあっては、操作部100とベース部150が自動的に整列し密着結合することが最適である。自動的な整列密着とは、決められた部品が決められた位置に、磁石の磁力によって自ずから向かって戻ろうとする作用のことを指す。
【0025】
操作部100とベース部150が自動的に整列密着することで、分離した二つの部品のズレを正して整列させる手間不便がなくなり、予期せず部品を紛失することを防ぎ、いつでも従来の直定規と同様の使用方法が可能となる。また、後に説明する書類を綴じる使用方法においても、操作部100とベース部150が自動的に整列密着することによって、操作部100とベース部150との一体化におけるズレを防ぎ、正しく書類を綴じることが可能になる。
【0026】
直定規1においては、自動的な整列密着を可能にするために、操作部100とベース部150の両部品に、決められた位置と磁極を備えた磁石を設けている。このような構造にすることで、磁極の作用によってお互いの部品が正しい位置に引き寄せられ、磁極の作用によって誤った位置への取り付けは反発され、自動的な整列密着動作が可能になる。
【0027】
操作部磁石102もしくはベース部磁石152の一方の磁石の代わりに、着磁部として強磁性体金属を用いることでも、反発する作用は持たないが、もう一方の磁石が着磁部を求めて着磁しようとする作用が働くために自動整列密着には有効である。強磁性体金属には例えば鉄、ステンレスSUS430、ニッケルなどの素材を用いるとよい。
【0028】
操作部100とベース部150を自動的に整列密着させるには、操作部基体101とベース部基体151には非磁性体または弱磁性体、例えばアルミニウム、ステンレスSUS304、真鍮、プラスチック、アクリルなどを用いて、操作部磁石102とベース部磁石152との間にのみお互いの磁力が働くように、磁石の位置と磁極を設置することが最適である。
【0029】
直定規1では各基体に複数個の磁石を備えているが、磁石が自ら求めて着磁する位置を複数もつことになり、より強固な自動整列密着に最適である。特に長辺の両端部近くに設置することは直定規1の両端を密着させるために一体化には効果がある。なお、両端に磁極を有する長方形の磁石をそれぞれの基体に一つ内蔵させる方法なども自動整列密着には有効である。その場合は、高価にはなるが、各基体の長辺の寸法と同じ程度の長さの磁石を用いることが望ましい。
【0030】
操作部磁石102、ベース部磁石152には、コンパクトで吸着力にすぐれたネオジム磁石を用いることが最適である。磁石の磁力が微弱であれば、一体化した直定規1が期せずして分離したり、綴じた書類が抜け落ちることにつながるため、操作部磁石102とベース部磁石152には適切な磁力が求められる。次に直定規1に必要な磁石の磁力について説明する。
【0031】
操作部100とベース部150の間に発生する磁石による磁力は、一体化した直定規1が不意に分離せず、また、少なくとも書類1枚を確実に綴じることを可能にし、なおかつ人の力によって操作部100とベース部150を容易に分離できるよう、実施される磁石の1個あたりの吸着力が0.3kgf以上2.0kgf以下であることが望ましい。また、磁石部品をコンパクトに収めるためには、磁石1個あたりの表面磁束密度が1,200ガウス以上4,000ガウス以下であることが望ましい。フェライト磁石またはネオジム磁石やフェライト磁石の粉末を混ぜて生成されるプラスチック磁石、ラバー磁石、シート磁石などは表面磁束密度や吸着力が微弱なために、直定規1に必要な磁力を考慮して用いることが望ましい。
【0032】
自動的な整列密着結合を必要とせず、分離・密着結合のみを可能にするためには別の方法を用いてもよい。例えば、ベース部磁石152のかわりにベース部基体151の材質自体に強磁性体金属を用いて操作部磁石102を着磁させる方法などである。
【0033】
分離・密着結合のみを可能とするには磁石を使用せずに別の方法を用いてもよい。例えば、操作部基体101とベース部基体151のそれぞれ両端に面ファスナー等を用いて分離・密着させる方法である。
【0034】
以下、直定規
1を分離して使用するための構造、機能について説明する。
図1において、直定規
1はB方向透視側面図(d)が示すように、ベース部
150との係合部として操作部
100に直交スライド溝103を有する。直交スライド溝103の構造については、後に説明する。
【0035】
図1において、直定規
1の裏面図(b)に示すように、ベース部
150には、操作部
100と結合した場合に隠れない面に目盛り153を表示する。このように、直定規
1には1か所に目盛りの表示がなされているが、この他に操作部
100に目盛りを表示するなど、目盛り153とは別の箇所に目盛りを付随表示させることで寸法測定場所の自由度が向上する。
【0036】
図2において、操作部
100は操作部基体101、操作部磁石102、直交スライド溝103、ガイドライン104から構成される。操作部磁石102は正面からも見える加工でもよいし、操作部基体101の材質の中に埋め込むなどして正面からも裏面からも見えなくてもよい。また、裏面図(b)、A方向側面図(c)に示すように、係合部である直交スライド溝103の位置は、後に説明する平行線描画での使用、立体物の寸法計測での使用を考慮して長辺の寸法2/3程度の箇所に設けることが望ましいが、長辺のどの位置に設けても差し支えない。
【0037】
図3において、ベース部
150はベース部基体151、ベース部磁石152、目盛り153から構成される。ベース部磁石152は、例えばベース部基体151の材質の中に埋め込むなど正面、裏面から見えない加工でもよい。
【0038】
図4を用いて、本発明の定規の使用方法の一例を説明する。書類を綴じる前(a)に示すように、直定規
1を操作部
100とベース部
150に分離し、あいだに書類900を挟む。操作部磁石102とベース部磁石152が磁石の吸着力によって引き合い、書類を綴じた後(b)のように直定規
1となって一体化し、書類が綴じられた状態となる。ホワイトボード等へ貼付け(c)に示すように、直定規
1は操作部
100、ベース部
150のいずれかに磁石を内蔵しているため、磁性をもつ壁などへの貼付けも可能となる。直定規
1で実施している磁石の1個あたりの表面磁束密度は2,600ガウス、吸着力は0.8kgf程度の磁力となるが、20枚程度の書類を綴じることが可能となり、冊子状態での使用(d)に示す通り、書類900が抜け落ちることなく、一時的な冊子としても使用が可能となる。
【0039】
図5を用いて、本発明の定規の他の使用法を説明する。部品が分離した状態(a)に示すように、直定規
1を操作部
100とベース部
150に分離し、直交スライド溝103と係合するべく準備する。直交スライドできる状態(b)が示すように、操作部
100の直交スライド溝103にベース部150を係合させることで直交可能となり、ベース部
150上に沿って操作部
100が上下に滑ることで直交スライド動作が可能となる。直定規
1を十字に組み合わせた状態を以下「直交スライド定規
500」と称する。直交スライド溝103の幅は、直交スライドの動作を滞りなく行うために、ベース部
150の短辺寸法と一致することが最適となる。また、直交スライド溝103の深さは、やはり直交スライドの動作を滞りなく行うために、少なくとも0.5mm以上であることが好ましく、ベース部
150の厚みと一致することが最適である。
【0040】
図6において、本発明の使用法の他の例として平行線を引く例を説明する。この使用法は
図5に示された直交スライド定規
500の動作を利用することで可能となる。第1線の描画(a)に示すように、紙902に直交スライド定規
500をあてがい任意の箇所で操作部
100を固定し、ペン903を操作部
100にあてながら第1線904を描画する。第2線の描画(b)に示すように、ベース部
150を固定しながら操作部
100を任意の箇所までスライド動作させて固定し、ペン903を操作部
100にあてながら第2線905を描画する。この使用方法により、第1線904と第2線905の平行線描画が可能となる。
【0041】
図6の平行線描画の使用法においては、目盛り153を使用することで平行線間隔を測りながら描画することが可能になり、ベース部
150に沿って直線を描画することで第1線904や第2線905に対する直交線となる第3線906を描画することも可能になる。
【0042】
図6の平行線描画の使用法においては、直交スライド定規
500を紙902にあてがった際に直交スライド定規
500がすべらないように、直交スライド定規
500には滑り止めの加工があるとよい。例えば、直交スライド定規
500が紙902と接する面に、シリコーンラバー等の滑り止めシートを張り付ける加工などである。
【0043】
図7において、本発明の使用法の他の例として立体物の寸法測定方法を説明する。この使用法も
図5に示された直交スライド定規
500の動作を利用することで可能となる。水平面911に計測対象物907を設置し、となりに目盛りゼロ短辺908が水平面911に面するように直交スライド定規
500を直立固定させる。固定されたベース部
150に沿って操作部
100をスライドさせて計測対象物頂点909に接触した箇所で操作部
100を固定し、寸法計測値910を読むことで立体物の寸法測定が可能となる。
【0044】
図7において、ベース部
150の長辺に表示される目盛り153は向かって左右どちらから目盛りが開始されてもよいが、必ず一方の短辺を目盛りがゼロになるように表示されなければならない。目盛りゼロ短辺908が破損すると計測値に誤差が生じやすくなるため、目盛りゼロ短辺908周辺の材質は破損の恐れの少ない、より強度のある素材、例えば金属等を使用することが最適である。
【0045】
図8において、本発明の使用法の他の例として事務書類の精読を補助する方法を説明する。事務書類912の精読したい行にガイドライン104を添えることで、自身が今現在読んでいる行を見失うことなく事務書類912の目的行を読むことが可能になる。事務書類の精読を補助するためには、ガイドライン104は直定規
1の操作部基体101の長辺に沿って1~5mm幅程度の視認性のよい直線が描画されていることが最適であるが、操作部基体101全体に視認性のよい色彩を使用することで、操作部基体101自体にガイドライン104と同様の効果を持たせることができる。
【0046】
ガイドライン104の視認性をよくするためには、操作部基体101の色彩を明るくし、ガイドライン104の色彩を暗くするとよい。すなわち操作部基体101の色彩は、色彩標準数値であるところのマンセル値で言えば、明度7以上または彩度2以下であることが望ましい。また、ガイドライン104の色彩はマンセル値の明度3以下または彩度8以上が望ましい。なお、色相はいずれの色相を用いてもよい。
【0047】
ガイドライン104は、操作部100、ベース部150のいずれかの長辺に沿って描画されていればよいが、直定規1として操作部100とベース部150が一体化している状態において、見える箇所に設けることが望ましい。なお、直定規1では操作部100に1本のガイドラインを設けているが、ベース部150の目盛り表示以外の箇所に別のガイドラインを設けることで、直定規1を分離して、複数箇所の書類精読補助を可能にする。
【0048】
ガイドライン104の描画は、すぐに剥げ落ちることのない加工が望ましい。例えば基体が金属であればレーザー加工や彫刻加工、エッチング加工などである。また、基体が樹脂であれば剥げ落ち防止処理がされた印刷などである。描画のかわりにガイドライン104と同じ幅の視認性のよいシート等を基体に貼り付けることも有効である。
【0049】
(第2の実施の形態)
以下
図9から
図12を用いて本発明の第2の実施の形態である直定規
2を説明する。直定規
2は第1の実施形態である直定規
1とは係合部においてのみ構造を異にする。係合部の構造以外の形状、寸法、材質、磁石、磁石の吸着力、目盛り表示、ガイドライン等については直定規
1と形態を同じくする。このことで、
図4、
図8に示した使用法は直定規
2についても可能となる。
【0050】
図9を用いて、直定規
2の係合部の構造について説明する。正面図(a)、裏面図(b)が示すように、直定規
2は操作部
200とベース部
250から構成される。裏面図(b)に示すように、直定規
2は係合部としてベース部
250にスライドレール254を有する。また、A方向透視側面図(c)、B方向透視側面図(d)が示すように、レール用凸凹合体部299を有する。スライドレール254、レール用凸凹合体部299については、後にその詳細な構造を説明する。
【0051】
図10を用いて、本実施形態の操作部
200の係合部の構造について説明する。裏面図(b)、A方向側面図(c)が示すように操作部基体201にはベース部
250との係合部としてレール用凸部203を有する。レール用凸部203の形状は直方体であることが最適であるが、後に説明するベース部
250との直交スライド動作が可能であればこの限りではない。例えばカマボコ状に上面が湾曲している形状などである。レール用凸部203の幅は、他の部品寸法との兼ね合いや直定規
1よりも精度のあるスライド動作を可能にするために、1~5mm程度が最適であるが、10mm程度でもよい。レール用凸部203の高さは、1~3mm程度が最適であるが、実施する直定規
2の厚みに応じて変えてもよい。
【0052】
レール用凸部203は操作部基体201に部品として取り付けることが最適であるが、操作部基体201を切削して加工してもよい。ベース部250との直交スライド動作を可能にし、摩耗による動作不良、精度低下、部品欠損などを防ぐために、硬くて丈夫な材質である金属を用いることが最適である。
【0053】
図11を用いて、本実施形態のベース部
250の係合部の構造を説明する。正面図(a)、B方向側面図(d)が示すように、ベース部基体251には、レール用凸部203の収納部分としてレール用凹部255を有する。直定規
2として操作部
200とベース部
250が一体化している状態でレール用凸部203を無駄なく収納するためには、レール用凹部255の寸法は、レール用凸部203の寸法と一致することが最適である。
【0054】
レール用凹部255の材質は、操作部200との直交スライド動作を可能にし、摩耗による動作不良、精度低下、部品欠損などを防ぐためには、硬くて丈夫な材質である金属を用いることが最適である。また、レール用凹部255はベース部基体251に部品として組み込むことが最適であるが、ベース部基体251を切削して加工してもよい。
【0055】
図11の裏面図(b)、A方向側面図(c)が示すように、ベース部基体251にはスライドレール254を有する。スライドレール254はベース部基体251に溝を通した凹構造であり、ベース部基体251の長辺に平行して正確な直線である。スライドレール254の溝の幅、深さの寸法はレール用凸部203の幅と高さの寸法と一致することが最適である。また、その材質は、操作部
250との直交スライド動作を可能にし、摩耗による動作不良、精度低下、部品欠損などを防ぐために硬くて丈夫な材質である金属を用いることが最適である。スライドレール254はベース部基体251に部品として組み込むことが最適であるが、ベース部基体251を切削して加工してもよい。
【0056】
直定規
2として操作部
200とベース部
250が一体化した状態では、レール用凸部203はレール用凹部255に収納されレール用凸凹合体部299として一体化する。
図9のA方向側面図(c)、B方向側面図(d)が示すように、スライドレール254とレール用凸凹合体部299は構造上、十字に交差することとなるが、それぞれの部品を精密に加工することによって、直交スライド動作や一体化には影響を与えずに動作させることができる。
【0057】
図12を用いて、本実施形態の使用法を説明する。部品が分離した状態(a)に示すように、直定規
2を操作部
200とベース部
250に分離し、レール用凸部203とスライドレール254を係合させるべく準備する。直交スライドできる状態(b)に示すように、レール用凸部203をスライドレール254にはめ込むことで係合し、直交状態となる。そのままベース部
250上に沿って操作部
200を上下させることにより直交スライド動作が可能となる。直交スライド動作が可能になった状態では、
図6、
図7で示した使用法についても同様の使用が可能となる。
【0058】
スライド動作に必要な係合部の溝の幅を小さくすることで、係合部に発生する隙間による公差(ブレ幅)を小さくすることが可能になるため、高価にはなるが、本発明の定規の係合部に直定規2の形態を用いることで、直定規1の係合部の形態よりも精密な直交スライド動作を行うことが可能になる。
【0059】
(第3の実施の形態)
以下
図13から
図15を用いて本発明の第3の実施の形態である直定規
3を説明する。直定規
3は第1の実施形態である直定規
1とは操作部、ベース部の一部形状においてのみ構造を異にする。以下に説明する部分の形状以外の形状、寸法、材質、磁石、磁石の吸着力、目盛り表示、係合部等については直定規
1と形態を同じくする。このことで、
図4、
図6、
図7、
図8に示した使用法は直定規
3についても可能となる。第3の実施形態を用いることで、
図6、
図8の使用法において更なる便利が可能となるため、以下にその特徴と効果を説明する。
【0060】
図13を用いて直定規
1と異なる直定規
3の形状を説明する。正面図(a)が示すように、直定規
3の操作部基体301の短辺寸法はベース部基体351の短辺寸法よりも短い。また、ガイドライン354はベース部基体351に描画される。A方向透視側面図(c)が示すように、操作部基体301とベース部基体351との短辺寸法の違いにより段差399が発生するが、このことで
図8に示した書類精読の用途が直定規
1よりもさらに機能的になる。すなわち、ガイドライン354の書類上の移動操作は、人の手が直定規
3を操作することによって行われるが、操作部
300とベース部
350の間の段差399が手に引っ掛かりを生み出し、操作がしやすくなる。
【0061】
図14を用いて操作部
300の形状を説明する。A方向側面図(c)が示すように、操作部
300は長辺に沿って曲線加工が施されている。
図8に示した書類精読の用途においては、操作部
300の操作は人の手によって行われるが、操作部基体301の形状において、手に接触する部分を曲線加工することによって、より手にフィット感が増し操作がしやすくなる。このフィット感を得るためには、操作部曲線305は1~2R程度の曲線加工が望ましく、操作部曲線306は50~100R程度の曲線加工が望ましい。また、操作部基体301の材質は、手に触れる部品であることを考慮して、通年を通して温度の変化がすくない木材を用いることが望ましい。また、B方向側面図(d)が示すように、長辺端に操作部曲線307のような曲線加工を施すことで、角の破損を低減させることが可能となる。
【0062】
図8に示した書類精読の用途においては、直定規
3を対象書類にあてがいガイドライン354を用いた行間移動操作を行うが、より円滑な移動操作を可能にするためには、ベース部
350の裏面は滑りやすい平面であることが最適であり、滑り抵抗係数(CSR値)で言えば0.4以下が望ましい。また、ガイドライン354を用いて書類を精読している最中に誤って直定規
3を動かしたりしないように、直定規
3は適度な重量があるとよいが、およそ40グラムから150グラム程度が適当である。特に80グラムから150グラム程度の重量に設定することで、ペーパーウェイトとしての機能を持たせることも可能となる。
【0063】
図8に示した書類精読の用途において、直定規
3はよく使用する書類の大きさに相応しい寸法がよい。現在の一般のデスクワークでよく使用される書類の規格はA4(縦297mm×横210mm)サイズがもっとも多く、このことから直定規
3の寸法の長辺は200mm~300mm程度が好ましい。
【0064】
図6に示した平行線描画の用途において、直定規
3を紙902にあてがった際に任意の位置から動かないように、直定規
3が紙902に接触する面には滑り止めの加工を設けている。直定規
3では、
図14の裏面図(b)が示すように、操作部
300に操作部滑り止めシート304を備え、
図15の正面図(a)が示すように、ベース部
350にベース部滑り止めシート355を備えている。この滑り止め加工の滑り抵抗係数(CSR値)は0.7以上であれば、軽く抑える程度で直定規
3を固定することが可能となる。
【0065】
直定規3においても、直定規2と同様の係合部を用いることは可能であることから、直定規3と直定規2を組み合わせた実施も可能となる。
【0066】
(第4の実施の形態)
以下
図16から
図18を用いて、本発明の第4の実施の形態である直定規
4を説明する。直定規
4は第1の実施形態である直定規
1の操作部
100に角度のある係合部を追加した構造となる。追加された係合部以外の形状、寸法、材質、磁石、磁石の吸着力、目盛り表示、ガイドライン等については直定規
1と形態を同じくする。直定規
4のベース部には直定規
1のベース部
150を使用する。このことで、
図4、
図6、
図7、
図8に示した使用法は直定規
4においても可能となる。直定規
1の係合部では十字に交わる直交スライドの動作のみが可能であったが、直定規
4においては斜めに交わってスライドする動作も可能となる。以下、その詳しい構造と効果について説明する。
【0067】
図16を用いて直定規
4の追加された係合部について説明する。正面図(a)、裏面図(b)、A方向側面図(c)が示すように、操作部
400は直定規
1の操作部
100と形態を同じくするが、斜交スライド溝404が新たに追加される。斜交スライド溝404は直交スライド溝403と同様にベース部
150と係合してスライド動作を可能にする。直交スライド溝403の幅は操作部
400の長辺に対して直角であるが、斜交スライド溝404の幅は操作部
400の長辺に対して角度を持つ。斜交スライド溝404の長辺に対する角度以外の溝の幅、深さは直交スライド溝403と同じである。
【0068】
図17を用いて、操作部400の斜交スライド溝404とベース部
150の係合方法を説明する。部品が分離した状態(a)に示すように、直定規
4を分離し、操作部
400の備える斜交スライド溝404とベース部
150を係合するべく準備する。斜交スライドできる状態(b)が示すように、斜交スライド溝404とベース部
150が係合することによって斜交し、ベース部
150に沿って操作部
400を上下に滑らすことによってスライド動作が可能となる。
【0069】
斜交スライド溝404に設けられた角度に従ってスライド動作することによって、
図6に示した平行線描画方法は、この角度に従った平行線の描画も可能となる。
【0070】
図18を用いて、直定規
4を用いて直角二等辺三角形を描画する方法を説明する。この場合、斜交スライド溝404の角度は操作部
400の長辺に対して45度とする。第1線、第2線の描画(a)に示すように、直定規
4の直交スライド溝403を用いて直交線となる第1線と第2線を描画する。直角二等辺三角形の描画(b)が示すように、斜交スライド溝404を用いて第1線と第2線に交わる第3線を描画することによって正確な直角二等辺三角形を描画することが可能となる。斜交スライド溝404の角度は30度から60度程度につけるとよいが、どのような角度であっても差支えない。45度であれば正確な直角二等辺三角形を描画することが可能となり、60度であれば正確な正三角形を描画することも可能となる。
【0071】
直定規4に直定規2の係合部、直定規3の操作部を用いることは可能であることから、直定規4と直定規2の組み合わせの実施や直定規4と直定規3との組み合わせの実施も可能となる。
【0072】
直定規4には複数の斜交スライド溝を追加することも可能である。また、直定規4に直定規2の係合部を実施することで、係合部の幅が小さくなることから、さらに多くの斜交スライドの係合部を追加することが可能になる。複数の角度を持つ係合部を実施することで、直定規4ではより多彩で正確な図形描画も可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
机上文房具としての利用が見込まれる。
【符号の説明】
【0074】
1 直定規(第1の実施形態)
2 直定規(第2の実施形態)
3 直定規(第3の実施形態)
4 直定規(第4の実施形態)
100 操作部
101 操作部基体
102 操作部磁石
103 直交スライド溝
104 ガイドライン
150 ベース部
151 ベース部基体
152 ベース部磁石
153 目盛り
200 操作部
201 操作部基体
202 操作部磁石
203 レール用凸部
204 ガイドライン
250 ベース部
251 ベース部基体
252 ベース部磁石
253 目盛り
254 スライドレール
299 レール用凸凹合体部
300 操作部
301 操作部基体
302 操作部磁石
303 直交スライド溝
304 操作部滑り止めシート
305 操作部曲線
306 操作部曲線
307 操作部曲線
350 ベース部
351 ベース部基体
352 ベース部磁石
353 目盛り
354 ガイドライン
355 ベース部滑り止めシート
399 段差
400 操作部
401 操作部基体
402 操作部磁石
403 直交スライド溝
404 斜交スライド溝
500 直交スライド定規
900 書類
901 ホワイトボード
902 紙
903 ペン
904 第1線
905 第2線
906 第3線
907 計測対象物
908 目盛りゼロ短辺
909 計測対象物頂点
910 寸法計測値
911 水平面
912 事務書類
913 第1線
914 第2線
915 第3線