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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132087
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】遮光装置および空気処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/20 20060101AFI20230914BHJP
   F04D 25/08 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
A61L9/20
F04D25/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037208
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】貴家 学
(72)【発明者】
【氏名】津崎 修
(72)【発明者】
【氏名】松本 卓馬
【テーマコード(参考)】
3H130
4C180
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC30
3H130CA29
4C180AA02
4C180AA07
4C180DD03
4C180HH05
4C180HH11
4C180LL15
(57)【要約】
【課題】空気の通気効率を向上できる遮光装置を提供する。
【解決手段】遮光装置は、軸部材と、軸部材の周囲に複数配設される遮光部材35と、を備える。遮光部材35は、頂点部50を介して所定の角度に設けられた板状の第1の遮光板部51および第2の遮光板部52を有する。頂点部50に沿った方向の第1の遮光板部51および第2の遮光板部52の一端側の辺51a,52aが他端側の辺51a,52bよりも短い。第1の遮光板部51および第2の遮光板部51の一端側の辺51a,52a側が軸部材側に配置される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部材と;
前記軸部材の周囲に複数配設される遮光部材と;
を備え、
前記遮光部材は、
頂点部を介して所定の角度に設けられた板状の第1の遮光板部および第2の遮光板部を有し、
前記頂点部に沿った方向の前記第1の遮光板部および前記第2の遮光板部の一端側の辺が他端側の辺よりも短く、
前記第1の遮光板部および前記第2の遮光板部の一端側の辺側が前記軸部材側に配置される
ことを特徴とする遮光装置。
【請求項2】
前記遮光部材は、
前記第1の遮光板部の一端側の辺から延びる第1の一端側取付板部と、
前記第1の遮光板部の一端側の辺と前記第1の一端側取付板部との間に前記頂点部の方向に向けて設けられた第1の溝部と、
前記第2の遮光板部の一端側の辺から前記第1の一端側取付板部に重なるように折曲された第2の一端側取付板部と、
前記第1の一端側取付板部と対向する前記第2の一端側取付板部の辺とは反対側の辺に設けられた第2の溝部と、を備え、
隣接する一方の前記遮光部材の前記第1の溝部に、隣接する他方の前記遮光部材の前記第2の一端側取付板部が係合されるとともに、隣接する他方の前記遮光部材の前記第2の溝部に、隣接する一方の前記遮光部材の前記第2の遮光板部が係合される
ことを特徴とする請求項1記載の遮光装置。
【請求項3】
前記遮光部材は、
前記第2の遮光板部の他端側の辺から折曲された第2の他端側取付板部と、
前記第2の他端側取付板部の前記頂点部側とは反対の辺に設けられた第3の溝部と、
前記第2の遮光板部の他端側の辺で前記第2の他端側取付板部と前記頂点部との間から延設された突起部と、を備え、
隣接する一方の前記遮光部材の前記突起部が、隣接する他方の前記遮光部材の前記第3の溝部に係合される
ことを特徴とする請求項1または2記載の遮光装置。
【請求項4】
前記遮光部材は、
前記第1の遮光板部の他端側の辺から延設された第1の他端側取付板部と、
前記第1の遮光板部の他端側の辺と前記第1の他端側取付板部との間に前記頂点部の方向に向けて設けられた第4の溝部と、
前記第2の遮光板部の前記第2の他端側取付板部の先端側に設けられた段差部と、を備え、
隣接する一方の前記遮光部材の前記第4の溝部に、隣接する他方の前記遮光部材の前記段差部が係合される
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の遮光装置。
【請求項5】
円形の開口部を有する遮光枠を備え、
前記遮光部材は、
前記第1の遮光板部の他端側の辺側に、前記遮光枠の前記開口部の縁部に係合する係合部を備える
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一記載の遮光装置。
【請求項6】
前記軸部材の周囲に複数取り付けられた遮光部材の周囲を覆う筒状の覆い部材を備える
ことを特徴とする請求項1ないし5いずれか一記載の遮光装置。
【請求項7】
前記遮光部材を通じて送風するファンを備える
ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか一記載の遮光装置。
【請求項8】
通気口を有する筐体と;
前記筐体内に配設される紫外線照射部と;
前記筐体内に配設される送風するファンと;
前記筐体内に配設される請求項1ないし6いずれか一記載の遮光装置と;
を備えることを特徴とする空気処理装置。
【請求項9】
前記遮光装置は、前記ファンよりも送風経路の下流側に配設される
ことを特徴とする請求項8記載の空気処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、遮光装置および空気処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、頂点部を介して所定の角度に折曲された板状の遮光部材を同じ方向に向けて複数配設し、通気性と遮光性を確保した遮光装置が知られている。
【0003】
この遮光装置の構成では、ファンと組み合わせ、遮光装置を通じて送風する場合、ファンの回転によって生じる旋回しながらの空気の流れと、隣接する遮光部材間の開口方向とが一致しない部分が生じ、空気の通過効率が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6-43498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、空気の通気効率を向上できる遮光装置、およびこの遮光装置を用いた空気処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の遮光装置は、軸部材と、軸部材の周囲に複数配設される遮光部材と、を備える。遮光部材は、頂点部を介して所定の角度に設けられた板状の第1の遮光板部および第2の遮光板部を有する。頂点部に沿った方向の第1の遮光板部および第2の遮光板部の一端側の辺が他端側の辺よりも短い。第1の遮光板部および第2の遮光板部の一端側の辺側が軸部材側に配置される。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の遮光装置によれば、空気の通気効率が向上することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態を示す遮光装置を用いた空気処理装置の模式図である。
図2】同上遮光装置の斜視図である。
図3】同上遮光装置の断面図である。
図4】同上遮光装置の分解斜視図である。
図5】同上遮光装置の遮光ユニットの分解斜視図である。
図6】同上遮光装置の遮光部材の斜視図である。
図7】同上遮光装置の隣接する遮光部材の一端側の取付構造を示す斜視図である。
図8】同上遮光装置の隣接する遮光部材の他端側の取付構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0010】
なお、以下の実施形態における空気処理装置は、空気処理装置の内部に流通する空気に対して、所定の手法により、殺菌、除菌、滅菌、減菌、脱臭、消臭のいずれかの処理を行う装置である。以下では、空気処理装置の処理としては殺菌処理として説明を行うが、殺菌処理は、除菌処理、滅菌処理、減菌処理、脱臭処理、消臭処理、などに置き換えて解釈可能である。また、ここでの所定の手法とは、光照射、光触媒などである。光照射は、UV-C領域、UV-B領域、UV-A領域、可視光領域、赤外領域などの波長の光を照射することをいう。光触媒は、空気処理装置の内部に配設された、酸化チタンなどの光触媒に光(紫外光や可視光)を照射することで生成される活性酵素やOHラジカルによって、空気中に浮遊する菌、ウイルス、においの元などの活動を抑制したり、水と二酸化炭素に分解したりすることをいう。
【0011】
図1に空気処理装置10の模式図を示す。空気処理装置10は、筐体11を備えている。筐体11は、鉛直方向に長尺で、四角形筒状の四角筐体(略直方体形状)に形成され、筐体11の内部には、通通する空気を殺菌処理する処理部である処理空間12が形成されている。なお、筐体11は、円筒状の円筒筐体に形成されていてもよい。処理空間12は、鉛直方向に長尺で、四角形筒状の四角筐体(略直方体形状)に形成される。なお、筐体11や処理空間12は、円筒状の円筒筐体(略円柱形状)に形成されていてもよい。
【0012】
筐体11の下端側に、筐体11の外部と処理空間12の下端側とを連通する第1の通気口である通気口13が形成され、また、この通気口13とは反対側であって、筐体11の上端側に、筐体11の外部と処理空間12の上端側とを連通する第2の通気口である通気口14が形成されている。本実施形態では、下端側の通気口13は吸込口、上端側の通気口14は排気口とされる。通気口13は、筐体11の下面側に開口され、例えば脚部材によって床面との間に隙間が形成され、外部の空気を吸い込み可能とする。通気口14は、筐体11の上面側に開口されている。なお、吸込口側の通気口13には通気性を有する例えば格子状の通気枠などが配置され、また、排気口側の通気口14には排気する空気の方向を整流するルーバーなどが配置されていてもよい。また、通気口13,14は、筐体11の側面に開口されていてもよい。
【0013】
筐体11内の処理空間12に臨む内面は、紫外線劣化しにくく、紫外線を反射する金属板などで形成されている。筐体11内には、通気口13側である処理空間12の下端側に、ファン15と、第1の遮光部である遮光ユニット16と、を有する遮光装置17が配設され、また、通気口14側である処理空間12の上端側に、第2の遮光部である遮光部18が配設され、この遮光部18よりも通気口13側であって下端側の遮光装置17との間に紫外線照射部19が配設されている。なお、遮光装置17は、遮光ユニット16のみを備え、ファン15は別構成であってもよい。また、空気処理装置10は、遮光部18を備えない構成であってもよい。
【0014】
また、図2ないし図4に示すように、遮光装置17は、ファン15と、遮光ユニット16と、を組み合わせて構成されている。
【0015】
ファン15は、軸流ファンが用いられる。ファン15は、軸方向に空気を送る羽根車21と、この羽根車21を回転させるモータ22と、このモータ22を支持するフレーム23と、を備えている。
【0016】
フレーム23は、取付枠部24と、この取付枠部24にモータ22を取り付ける複数の脚部25と、を備えている。取付枠部24には、羽根車21の一部が回転可能に配置される通風口26を有する円筒状の通風口部27が設けられている。
【0017】
ファン15は、回転軸を鉛直方向とし、羽根車21が図3の時計回り方向に回転することにより、通気口13から外部の空気を吸い込み、通気口14から外部に空気を排気し、処理空間12内に外部からの空気を循環させる気流を発生させる。ファン15は、軸流ファンであるため、羽根車21の回転により、空気を軸方向に送るとともに、羽根車21の回転方向に空気の旋回流を発生させる。
【0018】
図2ないし図5に示すように、遮光ユニット16は、遮光部材組立体31と、この遮光部材組立体31が配置される遮光枠32と、遮光部材組立体31の周囲を覆って遮光枠32との間に遮光部材組立体31を保持する覆い部材33と、を備えている。
【0019】
遮光部材組立体31は、中央の軸部材34と、この軸部材34の周囲に放射状に複数配設された遮光部材35と、を備えている。
【0020】
遮光枠32は、平板状で、中央に円形の開口部36が形成されている。開口部36は、ファン15の通風口26よりも大径に形成されている。遮光枠32は、ファン15の取付枠部24上に配設され、この配設状態で開口部36内に通風口部27の先端側が進入配置される。
【0021】
覆い部材33は、遮光枠32上に取り付けられる取付板部37と、この取付板部37から立設された円筒状の覆い枠部38と、を備えている。覆い枠部38の内側には軸方向に開口する開口部39が形成され、この開口部39内に遮光部材組立体31が配置される。覆い枠部38は、取付板部37から離れる先端側に向って径が小さくなる円錐状で、取付板部37側の径は遮光枠32の開口部36と略同一径もしくは開口部36よりも大径に形成されている。覆い枠部38の先端側には、遮光部材組立体31の周辺部上面側を押える押え部40が設けられている。押え部40は、取付板部37と略平行になるように構成されている。
【0022】
図5ないし図8に遮光部材35の構成を示す。図6には隣接する2つの遮光部材35を離した状態を示し、図7および図8には隣接する2つの遮光部材35を組み合わせた状態を示す。
【0023】
遮光部材35は、紫外線の反射率ないし透過率が低く、紫外線耐性が高い材料で形成され、例えば、1枚の亜鉛メッキされた鋼板によって形成されている。遮光部材35は、所定の角度に折曲された頂点部50と、この頂点部50から所定の角度の方向に向けて延びる板状(平板状)の第1の遮光板部51および第2の遮光板部52と、を有する断面略「く」の字形に形成されている。なお、第1の遮光板部51と第2の遮光板部52とは、別体とし、溶接などによる接合、あるいは嵌合構造によって、一体的に組み合わせて構成してもよい。
【0024】
第1の遮光板部51および第2の遮光板部52は、4辺を有する略四角形状で、第1の遮光板部51は、頂点部50の長手方向に沿った方向の一端側の辺51aが他端側の辺51bよりも短い台形状に、第2の遮光板部52は、頂点部50の長手方向に沿った方向の一端側の辺52aが他端側の辺52bよりも短い台形状に、形成されている。第1の遮光板部51および第2の遮光板部52の一端側の辺51a,52a側が軸部材34側であって遮光部材組立体31の中央側に配置され、他端側の辺51b,52bが遮光部材組立体31の周辺側に配置される。
【0025】
また、図6および図7に示すように、遮光部材35は、第1の遮光板部51の一端側の辺51aから、第1の遮光板部51と平行に延びる第1の一端側取付板部54と、第1の遮光板部51の一端側の辺51aと第1の一端側取付板部54との間に頂点部50の方向に向けて設けられた第1の溝部55と、第2の遮光板部52の一端側の辺52aから延出し、かつ第1の一端側取付板部54に対向して重なるように90度未満の角度に折曲された第2の一端側取付板部56と、を備えている。また、第2の一端側取付板部56は、第1の一端側取付板部54と対向する辺とは反対側の辺に設けられた第2の溝部57と、第2の遮光板部52の一端側の辺52aとは反対側の辺に設けられた第2の一端側段差部である段差部58と、を備えている。
【0026】
第1の溝部55の一部に、第2の一端側取付板部56が対向配置される。第1の遮光板部51の一端側の辺51aと、第2の一端側取付板部56と、の間に開口する第1の溝部55に、隣接して組み合させる遮光部材35の第2の一端側取付板部56の一部が挿通配置可能とする。
【0027】
段差部58は、第2の遮光板部52から折曲された第2の一端側取付板部56の辺とは反対側の辺で、第1の遮光板部52に対向する側が窪み、第1の遮光板部52に対して反対側が突出する段差形状に設けられている。
【0028】
そして、図7に示すように、隣接する2つの遮光部材35のうち、一方(図7における右側)の遮光部材35の第1の溝部55に、他方(図7における左側)の遮光部材35の第2の一端側取付板部56が係合されるとともに、他方(図7における左側)の遮光部材35の第2の溝部57に、一方(図7における右側)の遮光部材35の第2の遮光板部52が係合される。一方(図7における右側)の遮光部材35の第1の溝部55に係合された他方(図7における左側)の遮光部材35の第2の一端側取付板部56の段差部58が、第1の溝部55の縁部である第1の一端側取付板部54に係合されて抜け止めされる。これにより、隣接する2つの遮光部材35の一端側は、頂点部50の長手方向に沿った方向、および頂点部50の長手方向に交差する上下左右を含む方向の動きが規制された状態で固定される。
【0029】
また、図6および図8に示すように、遮光部材35は、第1の遮光板部51の他端側の辺51bから、第1の遮光板部51と平行に延設された第1の他端側取付板部60と、第1の遮光板部51の他端側の辺51bと第1の他端側取付板部60との間に、他端側の辺51bと平行になるように設けられた第4の溝部61と、第1の遮光板部51の他端側の辺51b側で、第1の他端側取付板部60の頂点部50側とは反対側の辺に窪み状に設けられた係合部62と、を備える。
【0030】
さらに、遮光部材35は、第2の遮光板部52の他端側の辺52bで、頂点部50から離れた位置から、第1の他端側取付板部60および第1の遮光板部51に対向して重なるように90度以上の角度に折曲された第2の他端側取付板部63と、第2の他端側取付板部63の頂点部50側とは反対側であって、第1の遮光板部51に対向する辺とは反対側の辺に設けられた第3の溝部64と、第2の遮光板部52の他端側の辺52bで、第2の他端側取付板部63と頂点部50との間から延設された突起部65と、第2の他端側取付板部63の先端側の辺に設けられた第2の他端側段差部である段差部66と、を備える。
【0031】
段差部66は、第2の他端側取付板部63の先端側の辺で、第1の遮光板部52に対向する側が窪み、第1の遮光板部52に対して反対側が突出する段差形状に設けられている。
【0032】
そして、図8に示すように、隣接する2つの遮光部材35のうち、一方(図8における右側)の遮光部材35の突起部65が、他方(図8における左側)の遮光部材35の第3の溝部64に係合されるとともに、一方(図8における右側)の遮光部材35の第4の溝部61に、他方(図8における左側)の遮光部材35の段差部66が係合される。これにより、隣接する2つの遮光部材35の他端側は、頂点部50の長手方向に沿った方向、および頂点部50の長手方向に交差する上下左右を含む方向の動きが規制された状態で固定される。
【0033】
遮光部材組立体31は、遮光部材35の頂点部50が軸部材34を中心とした周方向の一方(平面視時計回り方向)に向くように、複数の遮光部材35が周方向に並んで組み立てられている。つまり、遮光部材組立体31は、遮光部材35が、頂点部50が遮光板部51,52に対して、軸部材34を中心とした周方向の最も時計回り側、もしくは、最も反時計回り側となるように、配設されている。
【0034】
遮光部材組立体31の組立状態では、隣接する遮光部材35が、平面視、または上面視で、隣接する一方の遮光部材35の頂点部50または遮光板部51,52と、隣接する他方の遮光部材35の遮光板部51,52または頂点部50と、が重なり合うように配置されている。
【0035】
また、図5に示すように、軸部材34は、一対の円板状の保持板68を有し、一対の保持板68で遮光部材組立体31の中央部を軸方向両側から挟み込み、一対の保持板68がねじなどの軸で固定されることにより。遮光部材組立体31の中央側を保持する。
【0036】
また、遮光部材組立体31は、遮光枠32と覆い部材33との間に挟み込まれて保持される。このとき、遮光部材35は、第1の遮光板部51の他端側の辺51bに設けられた係合部62が、遮光枠32の開口部36の縁部に係合し、位置決め保持される。
【0037】
また、図3に示すように、ファン15と遮光ユニット16とを組みわせた状態では、遮光部材35の第1の遮光板部51がファン15に対向される。ファン15の羽根車21の回転によって遮光ユニット16に送り込まれる空気に旋回流(図3の時計周り方向)が発生するため、このファン15からの空気の旋回流の旋回方向と、第1の遮光板部51の傾斜方向と、が略同方向となる位置関係に配置される。
【0038】
また、図1において、遮光部18は、紫外線劣化しにくい金属などの材料で形成されている。遮光部18は、上端側の通気口14から排気する処理空間12の空気の通気性と通気口14から外部への紫外線の遮光性を備えていれば、どのような遮光構造であってもよく、例えば遮光ユニット16と同様の構造であってもよい。
【0039】
また、紫外線照射部19は、遮光部18の下側に配置され、下方の処理空間12内に向けて紫外線を照射する。紫外線照射部19は、紫外線発光素子や紫外線ランプなどの紫外線光源が用いられる。紫外線発光素子が用いられる場合、ピーク波長が300nm以下の紫外線波長域の光(UV-C)であって、好ましくは260~280nmの紫外線波長域の光(以下、紫外線という)を放射する紫外線LEDなどが用いられる。また、紫外線照射部19とは一体もしくは別体で、UV―A光を照射する照射部や、可視光を照射する照射部を備えていてもよい。
【0040】
そして、空気処理装置10の動作を説明する。
【0041】
図1に示すように、ファン15が回転すると、外部の空気を下端側の通気口13から吸い込み、遮光ユニット16を通じて処理空間12の下端側に空気を送り込むとともに、処理空間12の上端側の遮光部18を通じて上端側の通気口14から外部に空気を排気することで、処理空間12に外部からの空気が循環する。
【0042】
図3に示すように、複数の遮光部材35が軸部材34を中心に周方向に並設されている遮光ユニット16では、複数の遮光部材35間の間隙を通じて、ファン15から送り込まれる空気が処理空間12に送り込まれる。ファン15の回転によって遮光ユニット16に送り込まれる空気に旋回流が発生するが、このファン15からの空気の旋回流の旋回方向と、ファン15に対向する各遮光部材35の第1の遮光板部51の傾斜方向と、が略同方向となる位置関係にあるため、ファン15から遮光ユニット16内に効率よく空気を送り込むことができ、遮光ユニット16を通過した空気の旋回流を阻害しない構成となる。さらに、複数の遮光部材35の周囲を覆い部材33が覆っているため、ファン15から送り込まれる空気が複数の遮光部材35の周囲(側方)に流れ出るのを防止できる。これらに伴って、遮光ユニット16を通じて処理空間12内に送り込まれる空気の流量が増加することが期待できる。
【0043】
遮光ユニット16では、遮光部材35の第2の遮光板部52が処理空間12に臨み、この第2の遮光板部52の傾斜に沿った傾斜方向に向けて、ファン15から送り込まれる空気が吐出される。
【0044】
複数の遮光部材35が軸部材34を中心に周方向に並設され、各遮光部材35の第2の遮光板部52の傾斜に沿って吐出される空気の流れが軸部材34を中心に平面視反時計回り方向に向うため、図1に示すように、処理空間12内に平面視反時計回り方向の空気の旋回流が発生する。この空気の旋回流は、処理空間12の下端側から上端側に向って発生する。
【0045】
ここで、遮光部18についても、遮光ユニット16と同様の旋回流の発生機能を有する構造で、かつ遮光部18による旋回流の方向と同方向に旋回流を発生する向きに構成されていれば、処理空間12の上端側から下端側の全域に空気の旋回流を発生させることができる。
【0046】
紫外線照射部19が処理空間12の下方に向けて紫外線を照射し、旋回流となった空気に対して紫外線を照射する。旋回流となった空気に対して紫外線を照射することで、処理空間12の空気全体に紫外線を照射できるとともに、空気に対する紫外線の照射時間を長くすることができ、殺菌効果を向上できる。紫外線が照射されて殺菌された空気は遮光部18を通じて上端側の通気口14から筐体11の外部に排気される。
【0047】
筐体11の通気口13側に配設された遮光ユニット16によって通気口13側に向う紫外線が遮光され、紫外線が通気口13から筐体11の外部に漏れるのを防止できる。また、筐体11の通気口14側に配設された遮光部18によって通気口14側に向う紫外線が遮光され、紫外線が通気口14から筐体11の外部に漏れるのを防止できる。
【0048】
そして、実施形態の遮光装置17によれば、頂点部50を介して所定の角度に折曲された遮光板部51,52を有し、頂点部50に沿った方向の遮光板部51,52の一端側の辺51a,52aが他端側の辺51b,52bよりも短い遮光部材35を用い、遮光板部51,52の一端側の辺51a,52a側が軸部材34側に配置される状態で、軸部材34の周囲に遮光部材35が複数配置されるため、ファン15の回転によって生じる旋回しながらの空気の流れを阻害することがなく、空気の通気効率を向上できる。
【0049】
また、遮光部材35の一端側においては、隣接する遮光部材35のうち、一方の遮光部材35の第1の溝部55に、他方の遮光部材35の第2の一端側取付板部56が係合されるとともに、他方の遮光部材35の第2の溝部57に、一方の遮光部材35の第2の遮光板部52が係合されるため、隣接する遮光部材35の一端側の位置ずれを規制して固定できる。
【0050】
第2の一端側取付板部56は、第2の遮光板部52の一端側の辺52aから第1の一端側取付板部54に対向して重なるように90度未満の角度に折曲されるため、第1の溝部55に、第2の一端側取付板部56を係合可能にできる。
【0051】
また、遮光部材35の他端側においては、隣接する2つの遮光部材35のうち、一方の遮光部材35の突起部65が、他方の遮光部材35の第3の溝部64に係合されるため、隣接する2つの遮光部材35の他端側の位置ずれを規制して固定できる。
第3の溝部64が設けられる第2の他端側取付板部63が第2の遮光板部52から折曲されて設けられるため、外側方向への遮光効果を確保できる。
【0052】
さらに、一方の遮光部材35の第4の溝部61に、他方の遮光部材35の段差部66が係合されるため、隣接する2つの遮光部材35の他端側の位置ずれを規制して固定できる。
【0053】
また、第1の遮光板部51の他端側の辺51bに設けられた係合部62が、遮光枠32の開口部36の縁部に係合し、遮光部材35を遮光枠32に位置決め固定できる。
【0054】
また、複数の遮光部材35の周囲を覆い部材33が覆っているため、複数の遮光部材35の周囲から空気が流れ出るのを防止できるとともに、複数の遮光部材35の周囲に対する遮光効果を確保できる。
【0055】
また、空気処理装置10においては、遮光装置17によって筐体11内に循環される外部からの空気に旋回流を発生させ、この旋回流となった空気に紫外線を照射できるため、循環される空気全体に紫外線を均等に照射でき、殺菌効率を向上できる。
【0056】
しかも、筐体11内での空気の流れが旋回流となることで、筐体11内での空気の流れがスムーズになり、単位時間当たりの空気の殺菌処理量が増加し、殺菌効率を向上できる。
【0057】
なお、筐体11の下端側の通気口13は吸気口、上端側の通気口14は排気口のまま、遮光装置17を上端側の通気口14側に配設し、遮光部18を下端側の通気口13側に配設してもよい。
【0058】
この場合、遮光装置17の遮光ユニット16は、ファン15よりも送風経路の下流側に配設してもよい。遮光ユニット16は、意匠的に好ましい形態となるため、外から見える通気口14の位置に配置してもよい。
【0059】
また、筐体11の下端側の通気口13は排気口、上端側の通気口14は吸込口であってもよい。この場合、ファン15を逆回転させてもよいし、遮光装置17を上端側の通気口14側に配設するとともに遮光部18を通気口13側に配設してもよい。
【0060】
また、ファン15は、遮光ユニット16と遮光部18との間の外側に配設することが好ましいが、遮光ユニット16と遮光部18との間に配設してもよい。
【0061】
また、筐体11の処理空間12を円筒状とするとともに、この筐体11内に配設される遮光装置17および遮光部18を円筒状に構成してもよく、この場合、空気の旋回流を効率よく発生させることができる。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
10 空気処理装置
11 筐体
13,14 通気口
15 ファン
17 遮光装置
19 紫外線照射部
32 遮光枠
33 覆い部材
34 軸部材
35 遮光部材
36 開口部
50 頂点部
51 第1の遮光板部
51a 一端側の辺
51b 他端側の辺
52 第2の遮光板部
52a 一端側の辺
52b 他端側の辺
54 第1の一端側取付板部
55 第1の溝部
56 第2の一端側取付板部
57 第2の溝部
60 第1の他端側取付板部
61 第4の溝部
62 係合部
63 第2の他端側取付板部
64 第3の溝部
65 突起部
66 段差部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8