(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132126
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】電気掃除機の移動装置
(51)【国際特許分類】
A47L 9/00 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
A47L9/00 102Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037280
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 佑朔
(72)【発明者】
【氏名】原田 秀行
【テーマコード(参考)】
3B006
【Fターム(参考)】
3B006KA06
(57)【要約】
【課題】本体が障害物の角に沿ってきれいに使用者に追従できる移動装置を提供する
【解決手段】掃除機本体部2に対して回動可能かつ復元力を有する移動装置部3を備え、移動装置部3に任意のキャスター角を有する複数のキャスター5を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機と、集塵部と、を有する掃除機本体と、
前記掃除機本体が載置される移動装置部と、を備える電気掃除機であって、
前記移動装置部は前記掃除機本体を床面垂直軸方向に回動可能なことを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
請求項1記載の電気掃除機であって、
前記移動装置部と前記掃除機本体は弾性部材によって結合していることを特徴とする電気掃除機。
【請求項3】
請求項2記載の電気掃除機であって、
前記弾性部材によって、前記掃除機本体の正面と前記移動装置部の正面の向きが一致する方向に復元することを特徴とする電気掃除機。
【請求項4】
請求項1または2記載の電気掃除機であって、
複数のキャスターがすべて任意のキャスター角を有して設けられていることを特徴とする電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機の移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の本体に車輪やキャスターなどの移動装置を有する掃除機(キャニスタータイプとも呼ばれる)は、床面に置かれた掃除機本体を、本体に接続されたホースを引っ張ることで使用者に追従するように移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1においては掃除機本体が障害物の角を曲がる際に、本体外郭が障害物の角に引っかかってしまい、使用者に追従することが困難となる場合がある。これは、移動装置部分の旋回性が低く、障害物に引っかかった状態でホースを引っ張っても、掃除機本体が回転できない場合に起こりうる。
【0005】
一方で旋回性が高い場合、掃除機本体が障害物の角を曲がる際に、掃除機本体に加わる慣性力によって、壁を曲がる前の進行方向に大きく飛び出してしまい、壁沿いを進む使用者の軌跡に合わせて追従することが難しい場合がある。
【0006】
本発明は、障害物の角に沿って使用者を追従可能な移動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下二つの要素で構成されている。一つは複数のキャスターが取り付けられた移動装置部と掃除機本体部が、床面垂直軸方向に回動可能でかつ、掃除機本体部正面と移動装置部正面が同じ方向となる向きに復元力を有する構造である。もう一つは移動装置部に設けられたキャスター角を有する複数のキャスターである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、掃除機本体が障害物の角に沿って使用者に追従できる移動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る電気掃除機の掃除機本体部と移動装置部を示す外観斜視図である。
【
図4】移動装置部に取り付けられたキャスターの図である。
【
図5】掃除機が壁に沿って曲がる様子を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態について適宜図面を参照して説明するが、本実施形態は以下の内容に限定されるものではなく、本発明の範囲内において適宜変更して実施可能である。
【0011】
図1は、本実施形態に係る電気掃除機の本体部分と移動装置部を示す外観斜視図である。
図1に示すように、電気掃除機1は、掃除機本体部2と移動装置部3を備えて構成されている。掃除機本体部2にはホース4が接続されており、ホース4、もしくはその先に接続された持ち手を引っ張ることで掃除機全体が使用者に追従するように移動する。移動装置部3は複数のキャスター5が取り付けられている。なお
図1に示す掃除機本体形状やキャスター5の個数、取り付け位置は一例でありこの限りでない。
【0012】
図2は、掃除機本体部と移動装置部の側面図である。掃除機本体部2と移動装置部3は間に回動部を介して接続されており、床面垂直軸方向に回動可能である。
【0013】
図3は、掃除機本体部と移送装置部の上面図である。なお
図3では掃除機本体部2の上面図を四角形で示す。掃除機本体部2と移動装置部3は、引張ばね6(弾性部材)で接続されている。なお、本実施例では弾性部材の一例としてばねを用いているが、この限りではなく、ゴムなどの伸縮して元に戻る部材であれば代用可能である。
【0014】
掃除機本体部2は、ホースを引っ張った場合でも、常にホース4の軸方向が掃除機本体の正面となるように移動装置部3に対して回動する。
図3(b)のように掃除機本体部2が回動した場合、引張ばね6の復元力によって移動装置部3は、正面が掃除機本体部2の正面(ホース軸方向)と一致する向きに回動する。これによって電気掃除機が角を曲がる際に、掃除機本体部2はホース軸方向に合わせて回動しつつ、移動装置部3はばねの復元力によって、遅れて掃除機本体部と正面の向きが一致する方向に回動する。
【0015】
図4は移動装置部に取り付けられたキャスターの図である。移動装置部3に取り付けられたすべてのキャスター5は、移動装置部3に対して任意のキャスター角αを設けて取り付けられている。なお、キャスター角とは、床面からの垂直軸に対するキャスターの回転軸の傾斜角を示す。ただし、ここでのキャスターの回転軸とは、進行する車輪の回転軸とは異なり、方向を回転させる回転軸である。
【0016】
従来のような
図4(b)で示すようにキャスター角を持たないキャスター5は、キャスター5がつねに滑らかに回動してしまうため、キャスター5を付けた移動装置部3は方向性をもたず、すべての方向に対して等しく移動できてしまう。
図4(a)で示すようにキャスター5にキャスター角を持たせることで、キャスター5は本体などに加わる重力の影響で、回転しても初期方向への復元力が加わり、キャスター5の向きに制限をかけることができる。これによってキャスターの持つ旋回性は維持したまま、移動装置部3に方向性を付与することができる。キャスター5は移動装置部3の正面に進みやすい方向性を持つようにキャスター角を付けて移動装置部3に設ける。
【0017】
図5は、掃除機が壁に沿って曲がる様子を示した図である。掃除機本体部2と方向性を有する移動装置部3は回動可能なので、
図5(a)に示すようにホース軸向きに合わせて掃除機本体部2が回動することで、壁際に沿って掃除機が移動できる。
【0018】
図5(b)に示すように、掃除機が壁の端に到達したとき、掃除機本体部と正面の向きが合うように移動装置部3が回動する。移動装置部3は正面に進みやすい方向性を持つため、壁の端から飛び出したときに加わる慣性力が抑制され、
図5(c)のようにスムーズに走行できる。
【符号の説明】
【0019】
1 電気掃除機
2 掃除機本体部
3 移動装置部
4 ホース
5 キャスター
6 引張ばね