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特開2023-132128開き戸のロック装置、及び当該装置を備えた梯子/ブーム搭載車
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  • 特開-開き戸のロック装置、及び当該装置を備えた梯子/ブーム搭載車 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132128
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】開き戸のロック装置、及び当該装置を備えた梯子/ブーム搭載車
(51)【国際特許分類】
   E05C 1/04 20060101AFI20230914BHJP
   E05B 65/06 20060101ALI20230914BHJP
   B66F 9/06 20060101ALI20230914BHJP
   A62C 27/00 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
E05C1/04 G
E05B65/06 B
B66F9/06 M
A62C27/00 506
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037284
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000192073
【氏名又は名称】株式会社モリタホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】永井 守
(72)【発明者】
【氏名】竹中 佑介
【テーマコード(参考)】
2E189
3F333
【Fターム(参考)】
2E189AB01
3F333AA08
3F333AC01
3F333AC07
3F333FG03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】梯子/ブーム搭載車のバスケットにも適用でき、低コストで操作性に優れた開き戸のロック装置を提供すること。
【解決手段】開き戸のロック装置10は、ロック本体11と、ロック本体11が上方へ移動することを規制する規制体12と、開き戸9を閉めるときにロック本体11と接触するロック係合体13とを備え、開き戸9を閉めるとき、ロック本体11に一方側から接近したロック係合体13がロック本体11を押し退けて他方側へ進み、ロック本体11は、ロック係合体13に押されるにつれて弧を描いて定位置から上方へ移動し、ロック係合体13が他方側へ通過すると定位置に戻り、開き戸9が閉まっているとき、ロック本体11はロック係合体13によって他方側から押されても規制体12に当接して定位置から動かず、錠をかけた状態が維持される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入口に設けられている開き戸に錠をかけるロック装置であって、
前記出入口に設けられ、定位置から上方へ移動させることができるロック本体と、
前記ロック本体の一方の側方に隣接して設けられ、前記ロック本体が上方へ移動することを規制する規制体と、
前記開き戸に設けられ、前記開き戸を閉めるときに前記ロック本体と接触するロック係合体とを備え、
前記開き戸を閉めるとき、
前記ロック本体に一方側から接近した前記ロック係合体が前記ロック本体を押し退けて他方側へ進み、
前記ロック本体は、前記ロック係合体に押されるにつれて弧を描いて前記定位置から上方へ移動し、前記ロック係合体が前記他方側へ通過すると前記定位置に戻り、
前記開き戸が閉まっているとき、
前記ロック本体は前記ロック係合体によって前記他方側から押されても前記規制体に当接して前記定位置から動かず、錠をかけた状態が維持されることを特徴とする開き戸のロック装置。
【請求項2】
前記定位置にある前記ロック本体を上から押さえる押え体を備えることを特徴とする請求項1に記載の開き戸のロック装置。
【請求項3】
前記押え体は下方に付勢されていることを特徴とする請求項2に記載の開き戸のロック装置。
【請求項4】
前記ロック本体は筒状であり、
前記ロック本体を軸方向に貫通した心棒と、前記心棒の両端を支持する支持体を有し、
前記ロック本体は、前記定位置にあるとき、前記心棒にぶら下がった状態であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の開き戸のロック装置。
【請求項5】
前記ロック本体の内径は、前記心棒の外径の1.5倍以上8倍以下であることを特徴とする請求項4に記載の開き戸のロック装置。
【請求項6】
前記ロック本体は、長さが10mm以上であり、外径が前記長さの1倍以上5倍以下であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の開き戸のロック装置。
【請求項7】
前記ロック本体は断面が正円形であることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の開き戸のロック装置。
【請求項8】
前記心棒はボルトであり、前記ボルトの両端が前記支持体にナットで固定されていることを特徴とする請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の開き戸のロック装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の開き戸のロック装置を梯体又はブームの先端に取り付けられたバスケットに備えることを特徴とする梯子/ブーム搭載車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消防用梯子車のバスケット等の出入口に設けられている扉やゲート等の開き戸が閉じているときに錠をかける開き戸のロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
消防用梯子車や高所作業車など、伸縮自在の梯子やブームの先端に人が乗るバスケットやカゴを備えた車両が知られている。
例えば、特許文献1には、乗降口を開閉する扉は、上下方向に所定の間隔を空けて配列された3つの横リンク部材と、1つの縦リンク部材とを備え、横リンク部材の一端部は、乗降口の一方の側縁側に立設されている支柱にそれぞれ第1の枢軸(リンク節)を介して上下方向に回動自在に連結され、横リンク部材の他端部は、縦リンク部材にそれぞれ第2の枢軸(リンク節)を介して上下方向に回動自在に連結され、扉を斜め上方に持ち上げると、横リンク部材が上方に回動しつつ、扉は折り畳まれた状態で、乗降口の一方の側縁側の支柱の近傍の位置まで移動する高所作業車のバスケットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-024668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、バスケットの扉の開閉に要するスペースを可及的に縮小することができると共に、少ない動作で扉を開閉することができ、かつ、扉を開いたときに乗降口から円滑に乗降することができる。しかしながら、構造がやや複雑であるため、コスト面では他の方式よりも高くなる場合がある。
そこで、本発明は、消防用梯子車や高所作業車などの梯子/ブーム搭載車のバスケットにも適用でき、低コストで操作性に優れた開き戸のロック装置、及び当該装置を備えた梯子/ブーム搭載車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明の開き戸のロック装置10は、出入口に設けられている開き戸9に錠をかけるロック装置であって、出入口に設けられ、定位置から上方へ移動させることができるロック本体11と、ロック本体11の一方の側方に隣接して設けられ、ロック本体11が上方へ移動することを規制する規制体12と、開き戸9に設けられ、開き戸9を閉めるときにロック本体11と接触するロック係合体13とを備え、開き戸9を閉めるとき、ロック本体11に一方側から接近したロック係合体13がロック本体11を押し退けて他方側へ進み、ロック本体11は、ロック係合体13に押されるにつれて弧を描いて定位置から上方へ移動し、ロック係合体13が他方側へ通過すると定位置に戻り、開き戸9が閉まっているとき、ロック本体11はロック係合体13によって他方側から押されても規制体12に当接して定位置から動かず、錠をかけた状態が維持されることを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の開き戸のロック装置10において、定位置にあるロック本体11を上から押さえる押え体14を備えることを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項2に記載の開き戸のロック装置10において、押え体14は下方に付勢されていることを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の開き戸のロック装置10において、ロック本体11は筒状であり、ロック本体11を軸方向に貫通した心棒16と、心棒16の両端を支持する支持体17を有し、ロック本体11は、定位置にあるとき、心棒16にぶら下がった状態であることを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項4に記載の開き戸のロック装置10において、ロック本体11の内径は、心棒16の外径の1.5倍以上8倍以下であることを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項4又は請求項5に記載の開き戸のロック装置10において、ロック本体11は、長さが10mm以上であり、外径が長さの1倍以上5倍以下であることを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の開き戸のロック装置10において、ロック本体11は断面が正円形であることを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の開き戸のロック装置10において、心棒16はボルトであり、ボルトの両端が支持体17にナットで固定されていることを特徴とする。
請求項9記載の本発明の梯子/ブーム搭載車は、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の開き戸のロック装置10を梯体又はブームの先端に取り付けられたバスケット7に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、消防用梯子車や高所作業車などの梯子/ブーム搭載車のバスケットにも適用でき、低コストで操作性に優れた開き戸のロック装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例による消防用梯子車を示す図
図2】同消防用梯子車のバスケットを示す図
図3】同バスケットにおける開き戸のロック装置周辺を示す図
図4】同一部透視化したロック装置の側面図
図5】同一部透視化したロック本体周辺の斜視図
図6】同開き戸を閉めるときのロック装置の動作を示す図
図7】同ロック状態においてロック本体のうち心棒よりも下側が他方側に押された場合のロック装置の動作を示す図
図8】同開き戸を開けるときのロック装置の動作を示す図
図9】本発明の他の実施例によるバスケットにおける開き戸のロック装置周辺を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の第1の実施の形態による開き戸のロック装置は、出入口に設けられている開き戸に錠をかけるロック装置であって、出入口に設けられ、定位置から上方へ移動させることができるロック本体と、ロック本体の一方の側方に隣接して設けられ、ロック本体が上方へ移動することを規制する規制体と、開き戸に設けられ、開き戸を閉めるときにロック本体と接触するロック係合体とを備え、開き戸を閉めるとき、ロック本体に一方側から接近したロック係合体がロック本体を押し退けて他方側へ進み、ロック本体は、ロック係合体に押されるにつれて弧を描いて定位置から上方へ移動し、ロック係合体が他方側へ通過すると定位置に戻り、開き戸が閉まっているとき、ロック本体はロック係合体によって他方側から押されても規制体に当接して定位置から動かず、錠をかけた状態が維持されるものである。
本実施の形態によれば、開き戸を閉めたときに自動的に錠が掛かったロック状態にすることができる。また、ロック状態でロック係合体がロック本体を押してもロックは解除されないため、意図せず開き戸が開いてしまうことを防止できる。なお、開き戸が閉まっているときにロック本体が「所定位置から動かず」というのは、厳密に所定位置から動かない場合だけでなく、ロック状態が維持される程度に殆ど動かないことを含む。
【0009】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による開き戸のロック装置において、定位置にあるロック本体を上から押さえる押え体を備えるものである。
本実施の形態によれば、ロック本体が揺れ等により定位置からずれて意図せず開き戸が開いてしまうことを防止できる。
【0010】
本発明の第3の実施の形態は、第2の実施の形態による開き戸のロック装置において、押え体は下方に付勢されているものである。
本実施の形態によれば、ロック本体が揺れ等により定位置からずれて意図せず開き戸が開いてしまうことをより確実に防止できる。
【0011】
本発明の第4の実施の形態は、第1から第3のいずれか一つの実施の形態による開き戸のロック装置において、ロック本体は筒状であり、ロック本体を軸方向に貫通した心棒と、心棒の両端を支持する支持体を有し、ロック本体は、定位置にあるとき、心棒にぶら下がった状態となるものである。
本実施の形態によれば、簡便かつ十分にロック装置としての機能を発揮することができる。
【0012】
本発明の第5の実施の形態は、第4の実施の形態による開き戸のロック装置において、ロック本体の内径は、心棒の外径の1.5倍以上8倍以下としたものである。
本実施の形態によれば、ロック本体の内径を心棒の外径よりも十分大きくすることで、開き戸を閉めるときにロック係合体に押されたロック本体がスムーズに上方へ移動しやすくなる。
【0013】
本発明の第6の実施の形態は、第4又は第5の実施の形態による開き戸のロック装置において、ロック本体は、長さが10mm以上、外径が長さの1倍以上5倍以下としたものである。
本実施の形態によれば、ロック本体の外径をロック本体の長さと同等以上に大きくすることで、ロック本体が規制体にしっかりと当接しやすくなるため、開き戸が閉まっているときにロック本体が開方向に押されても、ロック本体が上方へ移動することをより確実に防止できる。
【0014】
本発明の第7の実施の形態は、第4から第7のいずれか一つの実施の形態による開き戸のロック装置において、ロック本体は断面が正円形としたものである。
本実施の形態によれば、ロック本体が回転してロック係合体や規制体と接触する部分が開き戸を開閉するたびに変わったとしても、接触状態は同じであるため、ロック係合体によるロック本体の押し上げ具合や、規制体へのロック本体の掛かり具合が変わらず、ロック装置としての機能を一定に発揮することができる。また、ロック本体の外面のどの部分に触れても感触は同じであるため、開き戸の開操作の際にロック本体を持ち上げた消防隊員等は違和感をもつことなく作業に集中することができる。
【0015】
本発明の第8の実施の形態は、第4から第7のいずれか一つの実施の形態による開き戸のロック装置において、心棒はボルトであり、ボルトの両端が支持体にナットで固定されているものである。
本実施の形態によれば、心棒やその取付に用いる部材の調達が容易となりコストも低減しやすくなる。
【0016】
本発明の第9の実施の形態による梯子/ブーム搭載車は、第1から第8のいずれか一つの実施の形態による開き戸のロック装置を梯体又はブームの先端に取り付けられたバスケットに備えるものである。
本実施の形態によれば、バスケットにおける開き戸のロック装置を、より操作が簡単で低コストのものにすることができる。
【実施例0017】
以下、本発明の一実施例による開き戸のロック装置について説明する。
図1は本実施例による消防用梯子車を示す図、図2は消防用梯子車のバスケットを示す図、図3はバスケットにおける開き戸のロック装置周辺を示す図である。
消防用梯子車は、梯子又はブームを搭載した梯子/ブーム搭載車の一つであり、車両前部に位置し運転席を有するキャビン1と、キャビン1よりも後方に位置する車体2と、キャビン1及び車体2よりも上方において伏臥した状態で収納される梯子3と、車体2の後部に位置するジャイロターンテーブル4と、ジャイロターンテーブル4の上に位置し梯子3の後端を支持する支持フレーム5と、キャビン1の後面に近接した位置において梯子3を下から受け支える受け装置6と、梯子3の先端に取り付けられたバスケット7と、アウトリガ8を備える。
バスケット7は、消防隊員が乗降する際に通る出入口を両側に有し、出入口には蝶番を介してバスケット本体に取り付けられたゲート(扉)9が設けられている。
バスケット7は、消火又は救助作業中は、床面が略水平の状態(正面を向いた状態)であるが、走行中など梯体が収納(格納)されているときは、その状態から90度上方へ回動して床面が略鉛直の状態(ゲートが上を向いた状態)となる。なお、以下の説明において「上」及び「下」等の向きは、出入口が正面を向いた状態におけるものである。
ゲート9は、内開きの開き戸であり、錠をかけるのに用いるロック装置10が設けられている。
【0018】
図4は一部透視化したロック装置の側面図、図5は一部透視化したロック本体周辺の斜視図である。
ロック装置10は、出入口に設けられ定位置から上方へ移動させることができる筒状のロック本体11と、ロック本体11の一方の側方に隣接して設けられロック本体11が一方側回りで上方へ移動することを規制する規制体12と、ゲート9に設けられ、ゲート9を閉めるときにロック本体11と接触するロック係合体13と、定位置にあるロック本体11を上から押さえる板状の押え体14と、押え体14を下方に付勢する付勢体15と、ロック本体11に通された心棒16と、心棒16の両端を支持する支持体17を備える。
【0019】
ロック本体11は、輪切り断面が正円形の円筒であり、軸方向を水平として配置されている。心棒16は、ロック本体11内の空洞部分において、ロック本体11を軸方向に貫通して配置されている。ロック本体11は、人の手やロック係合体13によって押し上げられていないときは心棒16にぶら下がった状態で定位置に位置し、その状態で心棒16よりも下側の部分を一方側から水平に押されたとき、又は下方から押されたときに、上方へ移動する。これにより、後述するように、簡便かつ十分にロック装置としての機能を発揮することができる。また、ロック本体11となる円筒は、一般的な金属パイプを所定の長さに切断することで形成できるため、ロック装置10の製造の容易化とコスト低減を図れる。
本実施例における心棒16は、両端にねじが切られているボルトとし、両端を支持体17の穴に通してナット18で固定している。ボルト・ナットによる取り付けは比較的容易であるため、ロック本体11や心棒16の取付作業を効率的に行うことができる。また、ボルト及びナットは一般的なものを用いることも可能であるため、心棒16やその取付に用いる部材の調達が容易となりコストを低減しやすくなる。
【0020】
本実施例における規制体12と支持体17は、背面板と二つの側面板とからなる部材で一体的に構成されており、背面板を規制体12、側面板を支持体17としている。二つの側面板のそれぞれには心棒16を通す穴が開けられている。
また、本実施例においては、ばね蝶番を付勢体15としている。ばね蝶番の一方の蝶番片15aは規制体12に取り付けられ、他方の蝶番片15bは押え体14の後端側に取り付けられている。押え体14は前下がりとなっており、先端側の下面がロック本体11と接している。
【0021】
ロック係合体13は、棒状部材で構成されており、ゲート9の内側を基端としてゲート9に対して垂直に延びた支持部分13aと、支持部分13aの先端から90度方向を変えて延びた係合部分13bを有する。支持部分13aの長さはロック本体11の外径よりも大きく、ゲート9と係合部分13bとの間は、ロック本体11が収まるスペースとなっている。
【0022】
図6は開き戸を閉めるときのロック装置の動作を示す図である。
図6(a)は、ゲート9がバスケット7の出入口の開口面に一方側(バスケット内側)から近づいている様子を示している。ロック係合体13はロック本体11から離れた位置にあり、ロック本体11は心棒16にぶら下がって定位置にある。
図6(b)は、ゲート9が更に閉まっていき、バスケット7内に進入したロック係合体13の係合部分13bがロック本体11に当たって押し始めた様子を示している。係合部分13bが当接しているのは、ロック本体11のうち心棒16よりも下側である。ロック本体11は、ロック係合体13によって押される力が押え体14によって押さえ付けられている力を上回ると、他方側(バスケット外側)へ動き心棒16にガイドされて弧を描くように徐々に押し上げられていく。
図6(c)、(d)は、ゲート9が更に閉まっていき、それに伴い更に上昇するロック本体11がロック係合体13の係合部分13bに乗り上げていく様子を示している。
図6(e)は、ゲート9が完全に閉じられてロック状態となった様子を示している。ロック状態においては、ロック係合体13の係合部分13bはロック本体11よりも他方側に位置し、ロック本体11は定位置に戻りゲート9と係合部分13bとの間のスペースに収まっている。
このように、ゲート9を閉めるとき、ロック係合体13は、ロック本体11に一方側から接近してロック本体11を押し退けて他方側へ進む。ロック本体11は、ロック係合体13に押されるにつれて弧を描いて定位置から上方へ移動し、ロック係合体13が他方側へ通過すると定位置に戻る。
【0023】
図7はロック状態においてロック本体のうち心棒よりも下側が他方側から押された場合のロック装置の動作を示す図である。
ロック本体11は、他方側から押されることによって一方側へ移動して弧を描くように少し持ち上げられるが、一方側には規制体12が隣接しているため、規制体12に掛かった状態となり、それ以上は上方に移動しない。このため、ロック係合体13の係合部分13bはロック本体11を押し退けて一方側に移動することができない。
このように、閉じたゲート9はロック装置10によって自動的に錠が掛かったロック状態となる。また、ゲート9が閉じているとき、ロック本体11はロック係合体13の係合部分13b等によって他方側から押されても規制体12に当接して定位置から殆ど動かないため、ロック状態が維持され、意図せずゲート9が開いてしまうことを防止できる。特に消防用梯子車のバスケット7の場合は、上述のように走行中など梯子3が収納された状態ではゲートが上向きとなり、ロック係合体13の係合部分13bがロック本体11の上側に位置することになるため、係合部分13bが常にロック本体11を開方向へ押すことになるが、このような状態でもロック状態を維持することができる。
また、押え体14がロック本体11を定位置方向に押え付けているため、ロック本体11が振動などによって定位置からずれることがなく、意図せずロックが解除されゲート9が開いてしまうことをより確実に防止できる。このことは、特に消防用梯子車のバスケット7のように揺れるものにロック装置10を取り付ける場合において有用である。
さらに、押え体14を、付勢体15であるばね蝶番によってロック本体11を押える方向に付勢することで、ロック本体11が振動などにより定位置からずれてしまうことをより確実に防止できる。
【0024】
図8は開き戸を開けるときのロック装置の動作を示す図である。
図8(a)は、ロック状態にあるゲート9を示している。上述のように、この状態ではゲート9を開けることはできない。
図8(b)は、ロックを解除する様子を示している。消防隊員等は、ゲート9を開けるときは、手などでロック本体11を持ち上げる。これにより、ロック係合体13の係合部分13bがロック本体11の下方を通り抜けられる状態となる。
図8(c)、(d)は、ゲート9を開け始めた様子を示している。ロック係合体13の係合部分13bは、定位置から上がった状態にあるロック本体11の下を通り一方側へ移動していく。なお、係合部分13bがロック本体11を下から支えるように接触する位置まで移動した後は、手でロック本体11を持ち上げている必要はない。
係合部分13bが一方側へ完全に抜けると、下方からの支持が失われたロック本体11は定位置に戻る。
このように、ゲート9を開けるときは、ロック本体11を手で押し上げながらロック係合体13を押せばよいため、片手による一つの操作で済む。これに対し、従来のように閂を用いる方式の錠の場合は、ゲート9を開けるときに閂をスライドさせて外した後にゲート9を押す必要があるため、片手又は両手での二つの操作が少なくとも必要である。
【0025】
ロック本体11の内径は、その内部に通された心棒16の外径よりも大きく形成している。ロック本体11の内径は、心棒16の外径の1.5倍以上8倍以下であることが好ましい。ロック本体11の内径を心棒16の外径よりも十分大きくすることで、ゲート9を閉めるときにロック係合体13の係合部分13bに押されたロック本体11がスムーズに上方へ移動しやすくなる。
また、ロック本体11は、長さを10mm以上とし、外径はロック本体11の長さの1倍以上5倍以下とすることが好ましい。ロック本体11の長さを所定以上とし、外径をその長さと同等以上にすることで、ロック本体11が規制体12にしっかりと当接しやすくなるため、ロック状態においてロック本体11が他方側からロック係合体13の係合部分13bに押されても、ロック本体11が上方へ移動しロックが解除されてしまうことをより確実に防止できる。なお、ロック本体11の長さは、あまり長すぎると他の部材と干渉しやすくなるため、50mm以下にとすることが好ましい。また、ロック本体11の外径と内径との差(厚み)は、例えば約1mm~5mmとする。
【0026】
ロック本体11は、輪切り断面が楕円形や多角形の筒状とすることも可能であるが、本実施例のように断面が正円形の円筒とすれば、ロック本体11が回転フリーであることによりロック係合体13又は規制体12と接触するロック本体11の部分がゲート9の開閉等のたびに変わっても、接触状態は同じであるため、ロック係合体13によるロック本体11の押し上げ具合や、規制体12へのロック本体11の掛かり具合が変わらず、ロック装置としての機能を一定に発揮することができる。また、ロック本体11の外面のどの部分に触れても感触は同じであるため、ゲート9の開操作の際にロック本体11を持ち上げた消防隊員等は違和感をもつことなく作業に集中することができる。
【0027】
以下、本発明の他の実施例による開き戸のロック装置について説明する。なお、上記した実施例と同一機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
図9は本実施例によるバスケットにおける開き戸のロック装置周辺を示す図であり、図9(a)は斜視図、図9(b)は正面図である。なお、図9(b)ではロック係合体の図示を省略している。
本実施例のロック装置100においては、インデックスプランジャを用い、インデックスプランジャのピンを押え体140、インデックスプランジャの内蔵ばねを付勢体150としている。
インデックスプランジャは、支持体17である二つの側面板のうち上方へ鉛直に延出している一方の側面板において、他方の側面板の方へ折れ曲がった上部の水平部分に取付穴を介して上下二つのナットで取り付けられている。押え体140であるピンは、付勢体150である内蔵ばねによって下方に付勢されており、定位置にあるロック本体11を上から押え付けている。
このように、インデックスプランジャを押え体140及び付勢体150として用いることで、ロック本体11が振動などによって定位置からずれて意図せずロックが解除されてゲート9が開いてしまうことをより確実に防止できる。また、インデックスプランジャは一般的なものを用いることも可能であるため、部材の調達が容易となりコストを低減しやすくなる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の開き戸のロック装置10は、例えば、消防用梯子車などの梯子/ブーム搭載車の梯体又はブームの先端に取り付けられたバスケット7の出入口に設けられたゲート9に適用することができ、これにより、バスケット7における開き戸のロック装置を、従来よりも操作が簡単で低コストのものにすることができる。
【符号の説明】
【0029】
7 バスケット
9 開き戸(ゲート)
10、100 ロック装置
11 ロック本体
12 規制体
13 ロック係合体
14、140 押え体
15、150 付勢体
16 心棒
17 支持体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9