(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132144
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】カーテンエアバッグ及びカーテンエアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
B60R 21/232 20110101AFI20230914BHJP
【FI】
B60R21/232
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037309
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】318002149
【氏名又は名称】Joyson Safety Systems Japan合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】杉森 栄
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054AA07
3D054AA18
3D054AA20
3D054BB21
3D054CC04
3D054CC25
3D054CC34
3D054CC42
(57)【要約】
【課題】折畳体の体積(パッケージボリューム)を小さくすることが可能なカーテンエアバッグ及びカーテンエアバッグ装置を提供する。
【解決手段】本実施形態によるカーテンエアバッグは、車両室内の側面に沿って下方に向って展開し、本体部10と、本体部10の上辺から上方へ延出したガス導入部20とを備え、インフレータ6からのガスがガス導入部20から本体部10に導入される。ガス導入部20は、本体部10を構成するメインパネル1,2とは別体のパイプパネル3を折り返し、側縁31a、31b同士を結合して形成される。パイプパネル3の折り返し部からなるガス導入部20の下部が本体部10内に配置され、折り返し部の前方の開口及び後方の開口を介して本体部10にガスが導入される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両室内の側面に沿って下方に向って展開し、本体部と、該本体部の上辺から上方へ延出したガス導入部とを備え、インフレータからのガスが前記ガス導入部から前記本体部に導入されるカーテンエアバッグであって、
前記ガス導入部は、前記本体部を構成するメインパネルとは別体のパイプパネルを折り返し、側縁同士を結合して形成され、
前記パイプパネルの折り返し部からなる前記ガス導入部の下部が前記本体部内に配置され、前記折り返し部の前方の開口及び後方の開口を介して前記本体部にガスが導入される、カーテンエアバッグ。
【請求項2】
前記パイプパネルを折り返して重なった側縁同士が結合され、この側縁結合部が前記本体部の上辺より上方に位置する、請求項1に記載のカーテンエアバッグ。
【請求項3】
前記本体部は、重ね合わされた第1メインパネル及び第2メインパネルを有し、
折り返された前記パイプパネルの一半側と前記第1メインパネルが結合され、前記パイプパネルの他半側と前記第2メインパネルが結合される、請求項1に記載のカーテンエアバッグ。
【請求項4】
前記パイプパネルと前記第1メインパネル及び前記第2メインパネルとの結合部は、該第1メインパネル及び該第2メインパネルの上辺と平行に延在する、請求項3に記載のカーテンエアバッグ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかのエアバッグと、該エアバッグを膨張させるインフレータとを有するエアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両室内の側面に沿って下方に向かって展開するカーテンエアバッグと、このカーテンエアバッグを備えたカーテンエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーテンエアバッグを備えた自動車は、側面衝突を受けたり横転したりした場合に、カーテンエアバッグがドアやピラーなどの車両室内の側面に沿って車体下方に向かって膨張する。
【0003】
特許文献1には、車両の窓の車内側を覆う遮蔽本体部と、上端側にインフレータ挿入用開口を有し、遮蔽本体部にインフレータからの膨張用ガスを流入させる接続口部と、を備えるカーテンエアバッグが記載されている。
【0004】
特許文献1に記載のカーテンエアバッグでは、接続口部が遮蔽本体部とは別体とされ、さらに接続口部内に、膨張用ガスの流入方向を制御するためのインナチューブやディフューザ布が配置されている。遮蔽本体部に膨張用ガスを流入させる開口周辺では、接続口部用素材、インナチューブ用素材、ディフューザ布など複数のパネルが折り重なり、パッケージボリュームが大きくなるため、収納時に車両の天井部材を変形させるなど、外観を損ねることが考えられる。そのため、開口周辺におけるパッケージボリュームを抑え、収納性を向上させることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、折畳体の体積(パッケージボリューム)を小さくすることが可能なカーテンエアバッグ及びカーテンエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のカーテンエアバッグは、車両室内の側面に沿って下方に向って展開し、本体部と、該本体部の上辺から上方へ延出したガス導入部とを備え、インフレータからのガスが前記ガス導入部から前記本体部に導入されるカーテンエアバッグであって、前記ガス導入部は、前記本体部を構成するメインパネルとは別体のパイプパネルを折り返し、側縁同士を結合して形成され、前記パイプパネルの折り返し部からなる前記ガス導入部の下部が前記本体部内に配置され、前記折り返し部の前方の開口及び後方の開口を介して前記本体部にガスが導入される。
【0008】
本発明の一態様では、前記パイプパネルを折り返して重なった側縁同士が結合され、この側縁結合部が前記本体部の上辺より上方に位置する。
【0009】
本発明の一態様では、前記本体部は、重ね合わされた第1メインパネル及び第2メインパネルを有し、折り返された前記パイプパネルの一半側と前記第1メインパネルが結合され、前記パイプパネルの他半側と前記第2メインパネルが結合される。
【0010】
本発明の一態様では、前記パイプパネルと前記第1メインパネル及び前記第2メインパネルとの結合部は、該第1メインパネル及び該第2メインパネルの上辺と平行に延在する。
【0011】
本発明のカーテンエアバッグは、本発明のカーテンエアバッグと、該カーテンエアバッグを膨張させるインフレータとを有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、カーテンエアバッグの折畳体の体積(パッケージボリューム)を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態に係るカーテンエアバッグの膨張前の側面図である。
【
図6】パイプパネルと第1及び第2メインパネルとの結合を説明する図である。
【
図7】カーテンエアバッグの縫製途中を示す平面図である。
【
図8】カーテンエアバッグの縫製途中を示す平面図である。
【
図9】
図1のIX-IX線に沿う概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、
図1~
図9を参照して本発明の実施の形態に係るカーテンエアバッグについて説明する。なお、以下の説明において、前後方向及び上下方向は、それぞれ、このカーテンエアバッグが車両に設置されたときの車両前後方向及び車両上下方向と一致する。
図1の図中左側が車両前方、右側が車両後方となる。
図1では、カーテンエアバッグは、平たく広げた、折り畳み前の状態にある。
【0015】
図1の通り、カーテンエアバッグの本体部10の上辺の長手方向の中央部に、筒状のガス導入部20が上方かつ斜め後方に延出している。このガス導入部20の先端にインフレータ6が差し込まれ、バンド(図示略)により結束される。インフレータ6は、取付部材(図示略)により自動車の車体のルーフサイド部に固定されている。
【0016】
ガス導入部20の下部は本体部10内に配置され、インフレータ6からのガスを本体部10の前方と後方とに分流させる。
【0017】
本体部10は、
図2に示す第1メインパネル1と、
図3に示す第2メインパネル2とを重ね合わせて結合することで形成される。第1メインパネル1は、前後方向の中央部よりやや後方が上下方向の幅が狭い狭幅部1aとなっている。また、幅狭部1aよりも前方の第1幅広部の(上下方向の)最大幅は、幅狭部1aよりも後方の第2幅広部の最大幅よりも大きくなっている。
【0018】
第2メインパネル2は、前後方向が長手方向となる略矩形状である。第2メインパネル2の上下方向の幅は、第1メインパネル1の第1幅広部の最大幅と同程度である。また、第1メインパネル1の前後方向の長さと、第2メインパネル2の前後方向の長さは同程度である。
【0019】
カーテンエアバッグのガス導入部20は、
図4、
図5に示すような略V字状のパイプパネル3を用いて形成される。
【0020】
パイプパネル3は、折り返し線Lで折り返した(折り畳んだ)際に、一半側の領域3aと他半側の領域3bとがぴったり重なり合う線対称な形状になっている。
図5に示すように、パイプパネル3を折り返し線Lで折り返した状態で本体部10に取り付けられる。
【0021】
パイプパネル3を平らに広げた状態で、側縁33a、33bの一端同士が折り返し線L上で接続しており、パネル中心側に向かうV字状の凹部を形成している。
図5に示すように、パイプパネル3を折り返し線Lで折り返した場合、側縁33a、33bの間は、本体部10の後方へ向かってガスを導入するガス導入口となる。
【0022】
図5に示すように、側縁33a、33bの他端には、後方かつ上方へ延びる側縁34a、34bが連なっている。側縁34a、34bの途中には、車両前方へ凹んだ切り欠きが設けられている。
【0023】
側縁34a、43bの後端(上端)には、インフレータ差込口を構成する側縁32a、32bの一端が連なる。側縁32a、32bの他端には、前方かつ下方へ延びる側縁31a、31b(上縁)が連なっている。
【0024】
側縁31a、31bの前端には、下方へ延びる側縁30a、30bの一端が接続されている。側縁30a、30bの他端同士が折り返し線L上で接続される。側縁30a、30bの間は、本体部10の前方へ向かってガスを導入するガス導入口となる。
図4に示すように、側縁30a、30bは、パイプパネル3を広げた状態で略円弧形に湾曲した凹部となる。
【0025】
図6~
図8に示すように、折り返し線Lで折り返したパイプパネル3の領域3aと第1メインパネル1とを線状結合部60により結合し、領域3bと第2メインパネル2とを線状結合部61により結合する。本実施形態において、結合部は、パネル同士を気密に結合し、カーテンエアバッグの内圧が所定上限圧力に上昇しても、パネル同士が離反しないような強固な結合手段(例えば、強度の高い縫糸による縫合や、接着力の高い接着剤による接着)により形成されている。
【0026】
例えば、折り返し線Lが、第1メインパネル1、第2メインパネル2の上辺と略平行になるようにする。折り返し線Lで折り返したパイプパネル3の側縁31a、31bより低位、かつ側縁30a、30b、33a、33bより高位な位置で、パイプパネル3と第1メインパネル1、第2メインパネル2とを結合する。
【0027】
線状結合部60、61は、第1メインパネル1、第2メインパネル2の上辺と平行になる。側縁31a、31b(上縁)は、第1メインパネル1、第2メインパネル2の上辺よりも上側に位置する。
【0028】
次に、パイプパネル3を結合した第1メインパネル1及び第2メインパネル2を重ね合わせ、
図1に示すように、パネル同士を線状結合部40~44及び環状結合部51~53により結合する。
【0029】
線状結合部40は、本体部10を略周回するように延在した周縁結合部である。線状結合部40は、パイプパネル3の側縁31a、31bに沿って第1領域3a及び第2領域3bを結合する。また、線状結合部40は、パイプパネル3の側縁34a、34bに沿って第1領域3a及び第2領域3bを結合する。これにより、パイプパネル3は、筒状のガス導入部20となる。
【0030】
線状結合部40は、パイプパネル3の側縁32a、32bの部分で断絶しており、これにより、インフレータ差込口が形成される。
【0031】
パイプパネル3の折り返し部の前方側は、側縁30a、30bが結合されずに、本体部10へのガス導入用の開口となっている。同様に、パイプパネル3の折り返し部の後方側は、側縁33a、33bが結合されずに、本体部10へのガス導入用の開口となっている。
【0032】
このカーテンエアバッグは、車体の前後方向に延在するように細長く折り畳まれる。
【0033】
このように構成されたカーテンエアバッグ装置を備えた自動車が衝突あるいは横転した場合、インフレータ6が作動し、このインフレータ6から本体部10内にガスが供給されて、本体部10が膨張を開始する。このカーテンエアバッグは、ルーフガーニッシュを押し開けて車室内の側面に沿って下方に展開する。
【0034】
インフレータ6から噴出されたガスは、ガス導入部20によって前方と後方とに分流される。
【0035】
ガス導入部20の下部(底部)にはインフレータ6から噴出されたガスによる負荷がかかる。本実施形態では、
図9に示すように、ガス導入部20の下部はパイプパネル3の折り返し部になる。従って、下部に縫い目がある構成と比較して、基布強度による耐性向上を図ることができる。
【0036】
また、インフレータ6の差し込み口からガスの分流までを単一のパイプパネル3で構成しているため、カーテンエアバッグ折畳体の体積(パッケージボリューム)を小さくすることができる。
【0037】
図10に示すように、第1メインパネル1及び第2メインパネル2の外面側のガス導入部20の近傍に、補強用のパッチパネル71、72を結合部70により結合してもよい。
【0038】
図11に示すように、パイプパネル3を二重にしてもよい。このとき、内側のパイプパネル3は、線状結合部60、61により、第1メインパネル1、第2メインパネル2に結合しないようにすることで、基布強度を向上させることができる。
【0039】
上記実施形態において、カーテンエアバッグの本体部10は、2枚の同一形状のメインパネルを用いて構成してもよい。あるいたまた、1枚のメインパネルを折り返し、周縁部を縫合して本体部10を形成してもよい。
【0040】
上記実施の形態は、本発明の一形態を示すものであり、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0041】
1 第1メインパネル
2 第2メインパネル
3 パイプパネル
6 インフレータ
10 本体部
20 ガス導入部