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特開2023-132194食品についての判定システム、判定方法及び判定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132194
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】食品についての判定システム、判定方法及び判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20230914BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20230914BHJP
   G06T 7/90 20170101ALI20230914BHJP
   G06V 20/68 20220101ALI20230914BHJP
   G06V 10/56 20220101ALI20230914BHJP
   G01N 33/02 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
G01N21/27 A
G06Q50/10
G06T7/90 Z
G06V20/68
G06V10/56
G01N33/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037374
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】竹村 真也
【テーマコード(参考)】
2G059
5L049
5L096
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB04
2G059BB08
2G059BB11
2G059EE02
2G059EE13
2G059FF01
2G059KK04
2G059MM05
2G059MM10
5L049CC11
5L096AA02
5L096BA03
5L096BA18
5L096CA02
5L096DA02
5L096GA40
5L096JA03
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】対象食品について、食べ頃の状態に対して前後いずれの期間であるかを適切に判定する食品についての判定システムを提供すること。
【解決手段】実施形態によれば、食品についての判定システムは、判定部及び通知制御部を備える。判定部は、対象食品について入力された入力情報、及び、対象食品が属する品目についての食べ頃の状態に対する類似度と色度との関係に基づいて、対象食品が食べ頃の前後のいずれであるかを判定する。通知制御部は、判定部での対象食品についての判定結果を含む対象食品についての通知情報を通知させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象食品について入力された入力情報、及び、前記対象食品が属する品目についての食べ頃の状態に対する類似度と色度との関係に基づいて、前記対象食品が前記食べ頃の前後のいずれであるかを判定する判定部と;
前記判定部での前記対象食品についての判定結果を含む前記対象食品についての通知情報を通知させる通知制御部と;
を具備する、食品についての判定システム。
【請求項2】
前記判定部は、前記入力情報を用いて前記対象食品の色度情報を算出し、算出した前記対象食品の前記色度情報、及び、前記対象食品が属する前記品目についての前記類似度と前記色度との前記関係に基づいて、前記対象食品について判定する、請求項1の判定システム。
【請求項3】
前記対象食品についての前記入力情報を取得した環境に基づいて、前記対象食品が属する前記品目についての前記類似度と前記色度との前記関係を補正する補正部をさらに具備し、
前記判定部は、前記環境に対応して補正された前記類似度と前記色度との前記関係に基づいて、前記対象食品について判定する、
請求項1又は2の判定システム。
【請求項4】
前記補正部は、前記対象食品が属する前記品目に関して、前記入力情報を取得した前記環境において前記類似度が1つ以上の設定値のそれぞれになる場合の色度情報を算出し、前記類似度に関する前記1つ以上の設定値と算出した前記色度情報との関係に基づいて、前記対象食品が属する前記品目についての前記類似度と前記色度との前記関係を補正する、
請求項3の判定システム。
【請求項5】
対象食品について入力された入力情報、及び、前記対象食品が属する品目についての食べ頃の状態に対する類似度と色度との関係に基づいて、前記対象食品が前記食べ頃の前後のいずれであるかを判定するステップと;
前記対象食品についての判定結果を含む前記対象食品についての通知情報を通知するステップと;
を具備する、食品についての判定方法。
【請求項6】
処理装置に、
対象食品について入力された入力情報、及び、前記対象食品が属する品目についての食べ頃の状態に対する類似度と色度との関係に基づいて、前記対象食品が前記食べ頃の前後のいずれであるかを判定させ、
前記対象食品についての判定結果を含む前記対象食品についての通知情報を通知させる、
食品についての判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、食品についての判定システム、判定方法及び判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
判定対象となる対象食品について、食べ頃の状態に対する類似度は、例えば、人の感覚に基づいて判定される。ただし、食べ頃の状態に対する対象食品の類似度を人の感覚に基づいて判定する場合、判定を行う人の知識及び経験等が必要となる。このため、対象食品の前述の類似度を人の感覚に基づいて判定する場合、人ごとに意見が異なったり、対象食品となる品目に対して知識及び経験等が不足したりする等して、適切な判定が行われない可能性がある。したがって、人の感覚に頼ることなく、判定対象となる対象食品について食べ頃の状態に対する類似度を適切に判定することが、求められている。
【0003】
また、果物等では、収穫時が必ずしも食べ頃ではなく、収穫時からある程度経過した時期が食べ頃となる。このため、判定対象となる対象食品の食べ頃の状態に対する類似度に加え、対象食品が食べ頃の前後のいずれであるかを適切に判定することが、求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-85117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、対象食品について、食べ頃の状態に対して前後いずれの期間であるかを適切に判定する食品についての判定システム、判定方法及び判定プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、食品についての判定システムは、判定部及び通知制御部を備える。判定部は、対象食品について入力された入力情報、及び、対象食品が属する品目についての食べ頃の状態に対する類似度と色度との関係に基づいて、対象食品が食べ頃の前後のいずれであるかを判定する。通知制御部は、判定部での対象食品についての判定結果を含む対象食品についての通知情報を通知させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、対象食品について、食べ頃の状態に対して前後いずれの期間であるかを適切に判定する食品についての判定システム、判定方法及び判定プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係る判定システムを概略的に示すブロック図である。
図2図2は、第1の実施形態において関係データに含まれる、ある1つの品目についての食べ頃の状態に対する類似度と色度との関係の一例を示す概略図である。
図3図3は、第1の実施形態において関係データに含まれる、図2において示される品目とは別のある1つの品目についての食べ頃の状態に対する類似度と色度との関係の一例を示す概略図である。
図4図4は、第1の実施形態においてデータ記憶部に記憶される関係データの一例を示す概略図である。
図5図5は、第1の実施形態において判定部によって行われる、対象食品についての判定処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
図6図6は、第1の実施形態における判定部による対象食品についての判定結果として、複数の例を示す概略図である。
図7図7は、第1の実施形態において補正部によって行われる、対象食品が属する品目についての類似度と色度との関係の補正処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
図8図8は、第1の実施形態において、図2で示される品目についての類似度と色度との関係の、補正部による補正結果の一例を示す概略図である。
図9図9は、第1の実施形態において、図2で示される品目についての類似度と色度との関係の、補正部による補正結果の図8とは別の一例を示す概略図である。
図10図10は、ある変形例に係る判定システムを概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態の食品についての判定システム(1)は、判定部(15)及び通知制御部(17)を備える。判定部(15)は、対象食品について入力された入力情報、及び、対象食品が属する品目についての食べ頃の状態に対する類似度(ε)と色度との関係に基づいて、対象食品が食べ頃の前後のいずれであるかを判定する。通知制御部(17)は、判定部(15)での対象食品についての判定結果を含む対象食品についての通知情報を通知させる。これにより、人の感覚に頼ることなく、対象食品について、食べ頃の前後のいずれであるかが、適切に判定される。また、判定システム(1)のユーザ等は、対象食品が食べ頃の前後のいずれであるか等を含む対象食品に関する情報を、適切に把握可能となる。
【0010】
実施形態の判定システム(1)では、判定部(15)は、入力情報を用いて対象食品の色度情報を算出する。そして、判定部(15)は、算出した対象食品の色度情報、及び、対象食品が属する品目についての類似度(ε)と色度との関係に基づいて、対象食品について判定する。これにより、対象食品について、食べ頃の前後のいずれであるか等が、さらに適切に判定される。
【0011】
実施形態の判定システム(1)は、補正部(16)をさらに備え、補正部(16)は、対象食品についての入力情報を取得した環境に基づいて、対象食品が属する品目についての類似度(ε)と色度との関係を補正する。判定部(15)は、入力情報を取得した環境に対応して補正された類似度(ε)と色度との関係に基づいて、対象食品について判定する。これにより、対象食品についての入力情報を取得した環境に対応させて、対象食品について、食べ頃の前後のいずれであるか等が、適切に判定される。
【0012】
実施形態の判定システム(1)では、補正部(16)は、対象食品が属する品目に関して、入力情報を取得した環境において類似度(ε)が1つ以上の設定値のそれぞれになる場合の色度情報を算出する。そして、補正部(16)は、類似度(ε)に関する1つ以上の設定値と算出した色度情報との関係に基づいて、対象食品が属する品目についての類似度(ε)と色度との関係を補正する。これにより、対象食品についての入力情報を取得した環境に対応させて、対象食品が属する品目についての類似度(ε)と色度との関係が、適切に補正される。
【0013】
実施形態の食品についての判定方法は、対象食品について入力された入力情報、及び、対象食品が属する品目についての食べ頃の状態に対する類似度(ε)と色度との関係に基づいて、対象食品が食べ頃の前後のいずれであるかを判定する。判定方法では、対象食品についての判定結果を含む対象食品についての通知情報を通知する。これにより、人の感覚に頼ることなく、対象食品について、食べ頃の前後のいずれであるかが、適切に判定される。また、人等は、対象食品が食べ頃の前後のいずれであるか等を含む対象食品に関する情報を、適切に把握可能となる。
【0014】
実施形態の食品についての判定プログラムは、処理装置(10;10,100)に、対象食品について入力された入力情報、及び、対象食品が属する品目についての食べ頃の状態に対する類似度(ε)と色度との関係に基づいて、対象食品が食べ頃の前後のいずれであるかを判定させる。そして、判定プログラムは、処理装置(10;10,100)に、対象食品についての判定結果を含む対象食品についての通知情報を通知させる。これにより、人の感覚に頼ることなく、対象食品について、食べ頃の前後のいずれであるかが、適切に判定される。また、人等は、対象食品が食べ頃の前後のいずれであるか等を含む対象食品に関する情報を、適切に把握可能となる。
【0015】
以下、実施形態について図面を参照にして説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
まず、実施形態の一例として、第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態に係る判定システム1を示す。図1に示すように、判定システム1は、処理装置(分析装置)10を備える。処理装置10は、処理実行部11、データ記憶部12、通信インタフェース13及びユーザインタフェース14を備える。処理実行部11は、判定部15、補正部16及び通知制御部17を備え、判定部15、補正部16及び通知制御部17のそれぞれは、処理実行部11によって行われる処理の一部を行う。
【0017】
ある一例では、処理装置10は、例えば、スマートフォン等の端末装置又はコンピュータ等であり、プロセッサ又は集積回路、及び、メモリ等の記憶媒体を備える。処理装置10では、プロセッサ又は集積回路が処理実行部11として機能し、記憶媒体がデータ記憶部12として機能する。処理装置10のプロセッサ又は集積回路は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイコン、FPGA(Field Programmable Gate Array)、及び、DSP(Digital Signal processor)等のいずれかを含む。処理装置10は、集積回路等を1つのみ備えてもよく、集積回路等を複数備えてもよい。また、処理装置10は、記憶媒体を1つのみ備えてもよく、記憶媒体を複数備えてもよい。
【0018】
処理装置10では、記憶媒体等に記憶されるプログラム等をプロセッサ等が実行することにより、処理実行部11による後述の処理が行われる。ある一例では、処理装置10において、プロセッサ等によって実行されるプログラムは、インターネット等のネットワークを介して接続されたコンピュータ(サーバ)、又は、クラウド環境のサーバ等に格納されてもよい。この場合、処理装置10のプロセッサ等は、ネットワーク経由でプログラムをダウンロードする。例えば、処理装置10がスマートフォン等の端末装置である場合は、ネットワーク経由で専用のアプリケーションをダウンロードすることにより、処理装置10のプロセッサ等によって、処理実行部11による後述の処理を実行可能となる。
【0019】
また、ある一例では、処理装置10は、クラウド環境のサーバから構成される。クラウド環境のインフラは、仮想CPU等の仮想プロセッサ及びクラウドメモリによって、構成される。処理装置10となるクラウド環境のサーバでは、仮想プロセッサ等が処理実行部11として機能し、仮想プロセッサ等によって、処理実行部11による後述の処理が行われる。そして、クラウドメモリが、データ記憶部12として機能する。
【0020】
判定システム1では、処理装置10は、通信インタフェース13を介して、他の処理装置と通信してもよい。これにより、処理装置10は、他の処理装置から情報を受信可能であるとともに、他の処理装置へ情報を送信可能である。処理装置10のユーザ等は、ユーザインタフェース14において、操作を入力可能である。そして、処理装置10のユーザインタフェース14では、処理装置10のユーザ等へ情報を通知可能である。ユーザインタフェース14では、例えば、画面表示及び音声の発信等のいずれかによって、情報が通知される。ある一例では、ユーザインタフェース14は、タッチパネルを備える。そして、タッチパネルにおいて操作を入力可能であるとともに、タッチパネルに情報等が表示される。なお、ユーザインタフェース14は、処理装置10とは別体で設けられてもよい。
【0021】
本実施形態では、判定対象となる対象食品について、判定システム1を用いた判定が行われる。対象食品が属する品目は、人間や動物(陸上動物や水中動物も含む)が口から摂取する食品であれば、特に限定されない。ここで、食品の品目には、例えば、生鮮品目があり、野菜の品目、肉の品目及び果物の品目等が含まれる。具体的には、例えば、野菜の品目としては“ピーマン”、“トマト”及び“キャベツ”等が、肉の品目としては“鶏肉”及び“豚肉”等が、果物の品目としては“リンゴ”及び“バナナ”等が、それぞれ挙げられる。また、食品の品目には、例えば、加工品目があり、乾物・干物・燻製の品目、酒の品目、乳製品の品目及び発酵食品の品目等が含まれる。具体的には、例えば、乾物・干物・燻製の品目としては“魚”、“肉”及び“果物”等(“鯵”等さらに具体的な品目でもよい)が、酒の品目としては“ワイン”及び“日本酒”等が、乳製品の品目としては“チーズ”及び“ヨーグルト”等が、発酵食品の品目としては“納豆”等が、それぞれ挙げられる。処理実行部11は、対象食品について入力された入力情報を取得する。対象食品についての入力情報には、例えば、対象食品を撮影した画像が含まれる。また、対象食品についての入力情報には、対象食品の色データや大きさデータ等が含まれていてもよく、対象食品の色データは、例えば、対象食品の分光スペクトルの計測結果であってもよい。
【0022】
対象食品についての入力情報は、ユーザインタフェース14での操作等によって処理装置10に入力されてもよく、他の処理装置や、処理装置ではない装置(例えば、スマートフォン、通信機能を有するカメラ装置及びコンピュータ等)から通信インタフェース13を介して処理装置10によって受信されてもよい。また、ある一例では、処理装置10は、スマートフォン等の端末装置であり、カメラ等の撮影部を備える。そして、処理実行部11は、撮影部が撮影した対象食品の画像を、対象食品についての入力情報として取得する。
【0023】
データ記憶部12には、関係データが記憶され、関係データでは、複数の食品の品目のそれぞれについて、すなわち、1つの品目ごとに、食べ頃の状態に対する類似度と、食品の色度と、の関係が示される。ある一例では、1つ以上の品目の野菜、1つ以上の品目の肉、及び、1つ以上の品目の果物のそれぞれについて、前述の類似度と色度との関係が、関係データにおいて示される。言い換えると、データ記憶部12は、1つの品目ごとに、食べ頃の状態に対する類似度と、食品色度(色度座標)と、を関連付けた関係データを記憶する。なお、データ記憶部12は、1つの品目において、1つの類似度と食品色度とを関連付けた関係データを記憶していてもよいし、複数の類似度と食品色度とを関連付けた関係データを記憶していてもよい。
【0024】
なお、以下の説明では、“食べ頃の状態に対する類似度”等のように“類似度”という用語を用いるが、“類似度”の代わりに“合致度”、“近似度”及び“近さ”等といった用語を用いてもよい。すなわち、“食べ頃の状態に対する類似度”等のように、今の食品の状態が、食べ頃の状態(最良の状態)と比較してどの程度似ているか(一致しているか)を示すパラメータが、規定されればよい。“食べ頃の状態に対する類似度”は、食べ頃の状態に近いほど、高くなる。なお、“食べ頃の状態に対する乖離度”のように、今の状態が、食べ頃の状態(最良の状態)と比較してどの程度乖離しているかを示すパラメータであってもよい。この場合、“食べ頃の状態に対する乖離度”は、食べ頃の状態に近いほど、小さくなる。また、“食べ頃”とは、食品を食べるのに最も適した時期を示す。以下の説明では、“食べ頃の状態に対する類似度”のパラメータとして、“類似度ε”を規定する。
【0025】
関係データでは、複数の品目のそれぞれについて、所定の色空間における色度座標で、色度が示される。このため、関係データでは、複数の品目のそれぞれについて、類似度εと所定の色度図における色度座標との関係が、類似度εと色度との関係として示される。ある一例では、複数の品目のそれぞれについて、食べ頃の状態に対する類似度εとxy色度図又はLab色度図における色度座標との関係が、関係データにおいて示される。
【0026】
また、関係データでは、1つの品目ごとに、類似度εと所定の色度図における色度座標との関係として、類似度εの変化に対応した所定の色度図での色度座標の変化についての情報が、示される。ある一例では、類似度εの変化に対応した所定の色度図での色度座標の変化についての情報は、所定の色度図での軌跡で示される。ここで、“類似度εの変化に対応した所定の色度図での色度座標の変化についての情報となる軌跡”を、“軌跡T”とする。関係データでは、1つの品目ごとに、軌跡Tの式情報が、類似度εと所定の色度図における色度座標との関係として示される。このため、関係データにおいては、1つの品目について、軌跡Tの式情報(xy色度座標系においてはxのN次の方程式。N:自然数)として、1つの類似度と食品色度とを関連付けた関係データを記憶していてもよいし、軌跡Tが通る複数の座標データとして、複数の類似度と食品色度とを関連付けた関係データを記憶していてもよい。
【0027】
関係データでは、軌跡Tのそれぞれは、始点及び終点を有する。そして、複数の品目のそれぞれについて、軌跡Tに対応する期間の中で収穫時(収獲時)からの経過時間が最も短い時点での色度が、軌跡Tの始点の色度座標で示され、軌跡Tに対応する期間の中で収穫時(収獲時)からの経過時間が最も長い時点での色度が、軌跡Tの終点の色度座標で示される。また、軌跡Tのそれぞれでは、両端(始点及び終点)を含むその軌跡T上の複数の色度座標(点)のそれぞれに対して、食べ頃の状態に対する類似度εが設定される。したがって、関係データでは、1つの品目ごとに、軌跡Tを構成する複数の色度座標(点)のそれぞれに対して、類似度εが設定される。
【0028】
図2は、ある1つの品目α1について、食べ頃の状態に対する類似度εと色度(色度座標)との関係の一例を示す。図2において類似度εと色度座標との関係が示される品目α1は、キャベツ及びニンジン等の野菜の一部の品目、及び、肉等と同様に、収穫時(収獲時)が食べ頃となり、かつ、収穫時(収獲時)から時間が経過するにつれて類似度εが低下する。また、加工食品についても、品目α1に該当するものは存在する。また、図2の一例の関係では、類似度εは、0以上100以下のいずれかの値で設定され、食べ頃の状態に対する類似度εが高いほど、大きい値に設定される。図2の一例では、品目α1に関して、類似度εとxy色度図における色度座標との関係が示され、類似度εの変化に対応した所定の色度図での色度座標の変化についての情報となる前述の軌跡Tとして、軌跡Taが示される。
【0029】
図2に示す品目α1についての類似度εと色度との関係では、軌跡Taの始点A1に相当する色度座標に対して、最高値である100が類似度εの値として設定され、軌跡Taの終点A2に相当する色度座標に対して、最低値である0が類似度εの値として設定される。そして、始点A1から終点A2までの軌跡Ta上の複数の色度座標(点)のそれぞれに対して、類似度εの値が設定される。図2に示す品目α1についての関係では、軌跡Taに沿って始点A1から終点A2に向かうにつれて、類似度εの値が低くなる。例えば、軌跡Ta上では、点A3,A4,A5,A6に相当する色度座標に対して、それぞれ、80,60,40,20が類似度εの値として設定される。
【0030】
また、xy色度図での軌跡Taに沿った移動量に対する類似度εの変化量の比率を、規定する。言い換えれば、単位距離あたりの類似度εの変化量を、規定する。図2の一例では、前述の比率は、軌跡Ta上の始点A1及びその近傍の領域において、軌跡Ta上の終点A2及びその近傍の領域に比べて、高い。このため、類似度εの値が100の始点A1から類似度εの値が80の点A3までの軌跡Taに沿った移動距離は、類似度εの値が20の点A6から類似度εの値が0の終点A2までの軌跡Taに沿った移動距離に比べて、小さい。前述のように、図2に示す品目α1についての関係では、軌跡Taに沿った移動量に対する類似度εの変化量の比率は、軌跡Taにおける領域に対応して変化し、不均一になる。ただし、前述の比率は、不均一になることが好ましいが、始点A1から終点A2までの軌跡Taの全体に渡って、均一又は略均一になってもよい。
【0031】
図3は、図2において示される品目α1とは別のある1つの品目α2について、食べ頃の状態に対する類似度εと色度(色度座標)との関係の一例を示す。図3において類似度εと色度座標との関係が示される品目α2は、トマト等の野菜の一部の品目、及び、果物等と同様に、収穫時が必ずしも食べ頃ではなく、収穫時からある程度経過した時期が食べ頃となる。また、加工食品についても、ワイン等の品目α2に該当するものは存在する。また、品目α2は、食べ頃の後において、時間が経過するにつれて、類似度εが低下する。図3の一例の関係でも、類似度εは、0以上100以下のいずれかの値で設定され、食べ頃の状態に対する類似度εが高いほど、大きい値に設定される。図3の一例では、品目α2に関して、類似度εとxy色度図における色度座標との関係が示され、類似度εの変化に対応した所定の色度図での色度座標の変化についての情報となる前述の軌跡Tとして、軌跡Tbが示される。
【0032】
図3に示す品目α2についての類似度εと色度との関係でも、軌跡Tbは、始点B1及び終点B2を有し、始点B1から終点B2までの軌跡Tb上の複数の色度座標(点)のそれぞれに対して、類似度εの値が設定される。そして、軌跡Tbの終点B2に相当する色度座標に対して、最低値である0が類似度εの値として設定される。ただし、図3に示す品目α2についての関係では、軌跡Tbの始点B1に相当する色度座標に対して、70が類似度εの値として設定される。そして、軌跡Tb上の始点B1と終点B2との間の点B3に相当する色度座標に対して、最高値である100が類似度εの値として設定される。このように、食品によっては、軌跡Tの始点は、食べ頃(軌跡Tの中で最も高い類似度εとなる座標)ではないこともある。この場合、始点ではない座標のどこかで、食べ頃となる点が存在する。また、食品によっては、軌跡Tの中で一度低下した類似度εが、上昇に転じることもある。
【0033】
図3に示す品目α2についての関係では、食べ頃における色度が、点B3の色度座標で示される。そして、軌跡Tbにおいて始点B1から点B3までの間に対応する期間が、品目α2の食べ頃の状態に対する類似度が上昇している期間に相当し、品目α2の食べ頃より前の期間に相当する。一方、軌跡Tbにおいて点B3から終点B2までの間に対応する期間が、品目α2の食べ頃の状態に対する類似度が下降している期間に相当し、品目α2の食べ頃より後の期間に相当する。
【0034】
図4は、複数の品目のそれぞれについての食べ頃の状態に対する類似度εと色度との関係が示される関係データの一例を示す。図4の一例の関係データでは、ピーマン、鶏肉及びリンゴを含む複数の品目のそれぞれについて、類似度εと色度との関係が示される。また、図4の関係データでは、1つの品目ごとに、類似度εの変化に対応したxy色度図での色度座標の変化についての情報となる軌跡T、及び、軌跡Tの式情報が、示される。例えば、ピーマン、鶏肉及びリンゴについて、軌跡Tの式情報として、それぞれ、xのN次(N:自然数)の方程式であるy=f1(x),y=f2(x),y=f3(x)が示される。
【0035】
また、図4の関係データでは、複数の品目のそれぞれについて、軌跡Tの始点及び終点の色度座標が示される。例えば、ピーマン、鶏肉及びリンゴについて、軌跡Tの始点の色度座標として、それぞれ、(x1a,y1a),(x2a,y2a),(x3a,y3a)が示され、軌跡Tの終点の色度座標として、それぞれ、(x1b,y1b),(x2b,y2b),(x3b,y3b)が示される。また、図4の関係データでは、いずれの品目についても、軌跡Tの終点に相当する色度座標に対して、0等の最低値が類似度εの値として設定される。なお、図4には記載を省略しているが、それぞれの色度座標は、それぞれの色度座標における類似度εと関連付けられていることが、好ましい。
【0036】
また、ピーマン及び鶏肉等の収穫時(収獲時)が食べ頃となる品目については、軌跡Tの始点に相当する色度座標に対して、100等の最高値が類似度εの値として設定される。そして、収穫時(収獲時)が食べ頃となる品目については、軌跡Tの始点が軌跡Tにおいて類似度εが最高値になる点であることが、示される。一方、収穫時からある程度経過した時期が食べ頃となる品目については、軌跡Tの始点及び終点の色度座標に加えて、軌跡Tにおいて類似度εが100等の最高値となる点の色度座標が、示される。例えば、リンゴについては、軌跡Tにおいて類似度εが最高値になる点の色度座標として、(x3c,y3c)が示される。
【0037】
ここで、関係データの生成について、説明する。関係データの生成は、処理装置10の処理実行部11等を用いて行われてもよく、処理装置10とは別の処理装置を用いて行われてもよい。関係データの生成では、複数の品目のそれぞれについて、食べ頃の状態に対する類似度εと色度との前述の関係を示す情報を生成する。ある一例では、品目α1についての前述の関係を示す情報は、以下のようにして生成される。なお、品目α1以外の品目についても、類似度εと色度との関係を示す情報は、品目α1についての前述の関係を示す情報と同様にして、生成される。
【0038】
品目α1についての前述の関係を示す情報の生成では、収穫時(収獲時)以後の複数の時点のそれぞれで、品目α1に属する食品の画像等を取得する。そして、画像等に基づいて、画像等を取得した複数の時点のそれぞれについて、品目α1の色情報を取得する。この際、色情報として、画像の所定の領域のRGB値等を取得する。そして、画像等を取得した複数の時点のそれぞれについて、品目α1の色情報に基づいて、品目α1の色度情報を算出し、例えば、画像等を取得した時点のそれぞれについて、xy色度図等の所定の色度図における色度座標を、品目α1の色度情報として算出する。
【0039】
また、画像等を取得した複数の時点のそれぞれについて、品目α1の食べ頃の状態に対する類似度εの設定値が、設定される。この際、類似度εの設定値は、例えば、品目α1に関して知識及び経験等が豊富な人によって入力される情報等に基づいて、設定される。そして、画像等を取得した複数の時点についての色度座標を曲線補間又は曲線フィッティングする等して、品目α1に関して、類似度εの変化に対応した所定の色度図での色度座標の変化についての情報となる前述の軌跡Tを形成し、形成した軌跡Tの式情報を算出する。
【0040】
軌跡Tの式情報の算出では、フィッティング計算によって、式情報の式の定数を導出してもよい。品目α1について、軌跡Tの式情報が算出されることにより、品目α1の軌跡Tにおいて始点及び終点に相当する色度座標等が、算出される。また、品目α1についての前述の関係を示す情報の生成では、画像等を取得した複数の時点のそれぞれについて設定された類似度εの設定値に基づいて、形成された軌跡T上の複数の色度座標(点)のそれぞれに対して、品目α1の食べ頃の状態に対する類似度εの値を設定する。以上のようにして、品目α1について、類似度εと色度との関係を示す情報が生成される。
【0041】
判定部15は、判定対象となる対象食品についての入力情報、及び、対象食品が属する品目についての類似度εと色度との関係に基づいて、対象食品について判定する。図5は、判定部15によって行われる、対象食品についての判定処理を示す。図5の処理を開始すると、判定部15は、撮影された対象食品の画像等の対象食品についての入力情報を取得する(S51)。そして、判定部15は、対象食品が属する品目を特定する(S52)。すなわち、対象食品が、ピーマン、鶏肉及びリンゴ等のいずれの品目に該当するかが、特定される。対象食品が属する品目の特定は、人等によってユーザインタフェース14等で入力された情報に基づいて行われてもよく、AIを用いて対象品目の画像に基づいて特定してもよい。
【0042】
そして、判定部15は、対象食品についての入力情報を用いて対象食品の色度情報を算出する(S53)。ある一例では、判定部15は、撮影された対象食品の画像において所定の領域(所定の画素)でのRGB値等を、対象食品の色情報として抽出する。そして、判定部15は、前述のRGB値等の抽出した対象食品の色情報に基づいて、対象食品の色度情報を算出する。この際、対象食品の色度情報を算出する前に、対象食品のRGB値等に対して適宜の補正処理が行われてもよい。
【0043】
対象食品の色度情報は、例えば、所定の色度図における色度座標で示される。ある一例では、対象食品の色度情報は、xy色度図又はLab色度図における色度座標で示される。そして、判定部15は、対象食品が属する品目についての食べ頃の状態に対する類似度εと色度との関係を取得する(S54)。この際、判定部15は、例えば、データ記憶部12に記憶される関係データ等から、対象食品が属する品目についての前述の関係を読取る。
【0044】
そして、判定部15は、対象食品についての入力情報に対応した対象食品の色度情報、及び、対象食品が属する品目についての前述の関係に基づいて、食べ頃の状態に対する対象食品の類似度εを判定する(S55)。また、判定部15は、対象食品の色度情報、及び、対象食品が属する品目についての前述の関係に基づいて、対象食品が食べ頃の前後のいずれであるかを判定する(S56)。これにより、対象食品について、既に食べ頃が過ぎているか否かが判定される。なお、収穫時(収獲時)が食べ頃となる品目に対象食品が属する場合は、いずれの状況でも、対象食品が食べ頃の以後であると判定される。そして、判定部15は、対象食品についての判定結果を出力する(S57)。なお、判定部15によって行われる、対象食品についての判定処理においては、ステップS55と、ステップS56とは、いずれか一方のみが実行される形態であってもよい。
【0045】
図6は、判定部15による対象食品についての判定結果として、複数の例を示す。図6に示す例では、対象食品は、前述した品目α1に属する。そして、品目α1についての類似度εと色度との関係では、図2の一例と同様に、類似度εの変化に対応したxy色度図での色度座標の変化についての情報となる軌跡Tとして、軌跡Taが示される。図6に示す複数の例の1つでは、対象食品の色度情報として、xy色度図において軌跡Ta上の点M1に相当する色度座標が、算出される。この場合、判定部15は、軌跡Taにおいて点M1に相当する色度座標を特定して、特定した色度座標に対して設定された類似度εの値を、食べ頃の状態に対する対象食品の類似度εとする。このため、対象食品の類似度εとして、点M1に対して設定された値である65が導出される。
【0046】
また、図6に示す複数の例の別の1つでは、対象食品の色度情報として、xy色度図において軌跡Taから外れた点M2に相当する色度座標が、算出される。この場合、判定部15は、軌跡Taにおいて点M2に最も近い色度座標(位置)を特定して、特定した色度座標に対して設定された類似度εの値を、食べ頃の状態に対する対象食品の類似度εとする。このため、軌跡Taにおいて点M2に最も近い位置として、点A7が特定されて、対象食品の類似度εとして、点A7に相当する色度座標に対して設定された値である45が導出される。
【0047】
また、ある一例では、対象食品の色度座標が軌跡Taから外れている場合に、軌跡Taにおいて最も近い色度座標(位置)までの対象食品の色度座標からの直線距離を、判定部15が算出する。例えば、対象食品の色度情報として点M2に相当する色度座標が算出された場合、判定部15は、点M2と軌跡Ta上の点A7との間の直線距離d1を算出する。この場合、判定部15は、算出した直線距離に基づいて、対象食品の類似度ε等についての判定結果の尤度を算出する。この際、算出された直線距離が小さいほど、尤度が高くなる。
【0048】
また、対象食品は、前述した品目α2に属し、品目α2についての類似度εと色度との関係では、図3の一例と同様に、類似度εの変化に対応したxy色度図での色度座標の変化についての情報となる軌跡Tとして、軌跡Tbが示されるものとする。この場合も、図6の複数の例で説明した処理と同様の処理を行うことにより、食べ頃の状態に対する対象食品の類似度εが、算出される。また、対象食品が品目α2に属し、品目α2についての類似度εと色度との関係において図3の一例と同様の軌跡Tbが示される場合、図6の複数の例で説明した処理と同様の処理を行うことにより、対象食品が食べ頃の前後のいずれであるかが判定される。
【0049】
例えば、対象食品の色度座標、又は、軌跡Tbにおいて対象食品の色度座標に最も近い位置が、軌跡Tbの始点B1と点B3との間に位置する場合は、判定部15は、対象食品が食べ頃の前であり、食べ頃の状態に対する対象食品の類似度εが上昇中であると判定する。一方、対象食品の色度座標、又は、軌跡Tbにおいて対象食品の色度座標に最も近い位置が、軌跡Tbの点B3と終点B2との間に位置する場合は、判定部15は、対象食品が食べ頃の後であり、食べ頃の状態に対する対象食品の類似度εが下降中であると判定する。
【0050】
通知制御部17は、判定部15での前述のようにして判定された対象食品についての判定結果を含む対象食品についての通知情報を、生成する。そして、通知制御部17は、ユーザインタフェース14を構成する表示画面において生成した通知情報を表示する等して、対象食品についての通知情報を通知させる。対象食品についての通知情報では、食べ頃の状態に対する対象食品の類似度εについての判定結果が示され、対象食品の類似度εについての判定結果は、例えば、前述した0以上100以下のいずれかの値で示される。
【0051】
ある一例では、通知情報において、対象食品の類似度εについての判定結果は、3段階評価及び5段階評価等のいずれかで示されてもよい。また、対象食品の類似度εについての判定結果は、数値ではなく、“丸”、”三角”及び”バツ”等の記号で示されてもよい。ある一例では、対象食品についての通知情報において、対象食品が属する品目についての前述の軌跡Tが示される。そして、対象食品の類似度εについての判定結果として、軌跡T上における対象食品に対応する色度座標(位置)が示される。また、ある一例では、通知情報において、対象食品の類似度ε等についての判定結果に加えて、前述のようにして導出した判定結果の尤度が示されてもよい。
【0052】
また、収穫時からある程度経過した時期が食べ頃となる品目に対象食品が属する場合は、対象食品の類似度εについての判定結果に加えて、又は、対象食品の類似度εについての判定結果に代えて、対象食品が食べ頃の前後のいずれであるかについての判定結果が、通知情報において示される。例えば、対象食品が品目α2に属し、品目α2についての類似度εと色度との関係において図3の一例と同様の軌跡Tbが示される場合、通知情報において、対象食品についての判定結果として、例えば、“73(上昇中)”等と示される。対象食品についての判定結果として“73(上昇中)”と示される場合、食べ頃の状態に対する対象食品の類似度εが73であるとともに、対象食品は食べ頃の前の状態であることが、示される。
【0053】
また、対象食品についての判定処理が判定部15によって前述のようにして行われる前に、補正部16は、対象食品が属する品目についての類似度εと色度との前述の関係を補正してもよい。この場合、補正部16は、対象食品についての入力情報を取得した環境に基づいて、対象食品が属する品目についての前述の関係を補正する。補正部16による補正が行われた場合、判定部15は、入力情報を取得した環境に対応して補正された類似度εと色度との関係に基づいて、対象食品について前述のようにして判定する。
【0054】
図7は、補正部16によって行われる、対象食品が属する品目についての類似度εと色度との関係の補正処理を示す。図7の処理は、判定部15による前述の判定処理が行われる前に、行われる。つまり、図7の処理は、図5に示すフローチャートにおけるステップS55の処理が実行される前に、行われる。図7の処理を開始すると、補正部16は、対象食品についての入力情報を取得した環境に関する情報を取得する(S71)。そして、補正部16は、前述した関係データから読取る等して、対象食品が属する品目についての類似度εと色度との関係を取得する(S72)。
【0055】
そして、補正部16は、対象食品についての入力情報を取得した環境に基づいて、対象食品が属する品目に関する前述の軌跡Tを補正する(S73)。これにより、対象食品が属する品目に関して、類似度εの変化に対応した所定の色度図での色度座標の変化についての情報となる軌跡Tが、対象食品についての入力情報を取得した環境に対応させて、補正される。そして、補正部16は、補正した軌跡Tの所定の色度図における式情報を算出する(S74)。軌跡Tの補正、及び、補正後の軌跡Tの式情報の算出では、補正前の軌跡Tの平行移動、補正前の軌跡Tの拡大又は縮小(部分的な拡大・縮小、全体的な拡大・縮小を含む)、及び、フィッティング計算等のいずれかが行われる。
【0056】
そして、補正部16は、補正した軌跡T上の複数の色度座標(点)のそれぞれに対して、対象食品が属する品目の食べ頃の状態に対する類似度εの値を設定する(S75)。この際、例えば、補正前の軌跡Tにおいて色度座標のそれぞれに対して設定されていた類似度εの値等に基づいて、補正後の軌跡T上の色度座標のそれぞれに対して、類似度εの値が設定される。前述のような処理が行われることにより、対象食品が属する品目についての類似度εと色度との関係が、補正される。
【0057】
ある一例では、対象食品についての入力情報に、撮影された対象食品の画像が含まれ、対象食品についての入力情報を取得した環境に関する情報として、対象食品を撮影した撮影装置のスペック情報、対象食品の撮影時における照明環境、対象食品の撮影時における対象食品の背景色についての情報等が、取得される。この場合、補正部16は、前述した情報等に基づいて、対象食品についての入力情報を取得した環境、すなわち、対象食品を撮影した環境について識別する。そして、補正部16は、対象食品を撮影した環境について識別結果に基づいて、対象食品が属する品目に関する前述の軌跡Tを補正する等して、対象食品が属する品目についての類似度εと色度との関係を補正する。
【0058】
また、別のある一例では、対象食品が属する品目に関して、食べ頃の状態に対する類似度εが1つ以上の設定値のそれぞれになる食品を、対象食品についての入力情報を取得した環境と同一の環境で撮影する。この際、例えば、対象食品が属する品目に関して、類似度εの値が100(最高値)及び0(最低値)のそれぞれになる食品が、対象食品についての入力情報を取得した環境で、撮影される。そして、補正部16は、類似度εが1つ以上の設定値のそれぞれになる食品を撮影した画像を、対象食品についての入力情報を取得した環境に関する情報として、取得する。例えば、対象食品についての入力情報を取得する前に、対象食品についての入力情報を取得する環境と同じ環境で、類似度εの値が100となるサンプル品と、類似度εの値が0となるサンプル品と、等の複数の類似度εとなるサンプル品を前もって撮影することで、軌跡Tの補正が行われる。このとき、サンプル品は、対象食品と同じ現物サンプル(食べることが可能なサンプル)であってもよいし、樹脂などで作成された食品サンプル(食べることが不可能なサンプル)であってもよい。また、サンプル品は、撮影部において仮想的に表示された仮想サンプル(触れることが不可能なサンプル)であってもよい。
【0059】
補正部16は、類似度εが1つ以上の設定値のそれぞれになる食品の画像から、対象食品が属する品目に関して、対象食品についての入力情報を取得した環境において類似度εが1つ以上の設定値のそれぞれになる場合の色度情報を、算出する。この際、色度情報として、所定の色度図における色度座標等が算出される。そして、補正部16は、対象食品が属する品目についての類似度εに関する前述の1つ以上の設定値と算出した色度情報との関係に基づいて、対象食品が属する品目についての類似度εと色度との関係を補正する。この際、補正部16は、例えば、類似度εが1つ以上の設定値のそれぞれになる場合の所定の色度図における色度座標を、補正前の軌跡Tから補正する。そして、補正部16は、類似度εが1つ以上の設定値のそれぞれになる場合の色度座標の補正後の位置に対応させて、軌跡Tを補正する。
【0060】
図8は、図2において示される品目α1についての類似度εと色度との関係の、補正部16による補正結果の一例を示す。図8の一例では、品目α1についての類似度εと色度との関係の補正によって、前述の軌跡Taが補正される。図8の一例では、品目α1に関して、類似度εの前述の1つ以上の設定値として、最高値である100が設定される。そして、品目α1において類似度εが設定値である100となる食品を、対象食品についての入力情報を取得した環境において撮影する。
【0061】
そして、補正部16は、類似度εが100となる食品を撮影した画像に基づいて、品目α1に関して、対象食品についての入力情報を取得した環境において類似度εが100になる場合のxy色度図における色度座標(色度情報)を、算出する。これにより、入力情報を取得した環境において類似度εが100になる場合の色度座標として、点N1に相当する色度座標が算出される。そして、補正部16は、軌跡Taから始点となる色度座標を点N1に相当する色度座標に補正し、点N1が始点となる状態に、xy色度図において補正前の軌跡Taを平行移動する。これにより、軌跡Taが、点N1を始点とする軌跡Tnに補正される。そして、補正部16によって補正後の軌跡Tnの式情報等が算出され、品目α1についての類似度εと色度との関係が補正される。
【0062】
図9は、図2において示される品目α1についての類似度εと色度との関係の、補正部16による補正結果の図8とは別の一例を示す。図9の一例でも、品目α1についての類似度εと色度との関係の補正によって、前述の軌跡Taが補正される。図9の一例では、品目α1に関して、類似度εの前述の1つ以上の設定値として、最高値である100及び最低値である0が設定される。そして、品目α1において、類似度εが設定値である100となる食品、及びを、類似度εが設定値である0になる食品のそれぞれを、対象食品についての入力情報を取得した環境において撮影する。
【0063】
そして、補正部16は、類似度εが100となる食品を撮影した画像に基づいて、品目α1に関して、対象食品についての入力情報を取得した環境において類似度εが100になる場合のxy色度図における色度座標(色度情報)を、算出する。これにより、入力情報を取得した環境において類似度εが100になる場合の色度座標として、点Q1に相当する色度座標が算出される。また、補正部16は、類似度εが0となる食品を撮影した画像に基づいて、品目α1に関して、対象食品についての入力情報を取得した環境において類似度εが0になる場合のxy色度図における色度座標(色度情報)を、算出する。これにより、入力情報を取得した環境において類似度εが0になる場合の色度座標として、点Q2に相当する色度座標が算出される。
【0064】
そして、補正部16は、軌跡Taから、始点となる色度座標を点Q1に相当する色度座標に補正し、終点となる色度座標を点Q2に相当する色度座標に補正する。そして、補正部16は、点Q1が始点となり、かつ、点Q2が終点となる状態に、補正前の軌跡Taを補正し、軌跡Taは、点Q1を始点とし、かつ、点Q2を終点とする軌跡Tqに補正される。そして、補正部16によって補正後の軌跡Tqの式情報等が算出され、品目α1についての類似度εと色度との関係が補正される。ここで、補正前の軌跡Taは、xy色度図において、例えば、平行移動及び縮小等することにより、軌跡Tqに補正される。また、軌跡Tqの式情報の算出では、フィッティング計算によって、式情報の式の定数を導出してもよい。
【0065】
なお、品目α1以外の品目についても、図8の一例、及び、図9の一例のいずれかと同様にして、類似度εと色度との関係を補正可能である。また、類似度εに関する前述の1つ以上の設定値として、100(最高値)及び0(最低値)以外の値が設定せれる場合も、図8の一例、及び、図9の一例等のいずれかと同様にして、類似度εと色度との関係を補正可能である。この場合、品目α1に関して知識及び経験等が豊富な人によって入力される情報等に基づいて、設定される。
【0066】
また、ある一例では、対象食品が属する品目において対象食品とは異なる任意の複数の食品のそれぞれを、対象食品についての入力情報を取得した環境と同一の環境で撮影する。例えば、対象食品が属する品目がピーマンである場合、対象食品とは異なる任意の複数のピーマンのそれぞれを、対象食品についての入力情報を取得した環境で撮影する。そして、補正部16は、任意の複数の食品のそれぞれを撮影した画像を、対象食品についての入力情報を取得した環境に関する情報として、取得する。
【0067】
本一例では、補正部16は、撮影された複数の食品のそれぞれに関して、撮影された画像に基づいて、対象食品についての入力情報を取得した環境における色度情報を算出する。そして、補正部16は、撮影された任意の複数の食品のそれぞれについての色度情報に基づいて、対象食品が属する品目についての類似度εと色度との関係を補正する。例えば、対象食品が属する品目において対象食品とは異なる任意の2つの食品を、対象食品についての入力情報を取得した環境で撮影し、補正部16は、撮影された2つの食品のそれぞれに関して、対象食品についての入力情報を取得した環境における色度情報として、xy色度図での色度座標を算出したとする。この場合、補正部16は、例えば、撮影された2つの食品の色度座標を結んだ直線の傾き等に基づいて、対象食品が属する品目についての類似度εと色度との関係を補正する。
【0068】
また、別のある一例では、対象食品が属する品目を模擬した所定のレプリカ、又は、所定の白色になる物体を、対象食品に関する入力情報を取得した条件と同一の条件で撮影する。例えば、対象食品の属する品目がリンゴである場合は、リンゴのレプリカが撮影される。また、所定の白色になる物体としては、例えば、スーパー等において対象食品の近傍に配置される値札等が、挙げられる。そして、補正部16は、所定のレプリカ、又は、所定の白色になる物体を撮影した画像を、対象食品についての入力情報を取得した環境に関する情報として、取得する。
【0069】
本一例では、補正部16は、撮影された所定のレプリカ又は所定の白色の物体に関して、撮影された画像に基づいて、対象食品についての入力情報を取得した環境における色度情報を算出する。そして、補正部16は、撮影されたレプリカ又は白色の物体についての色度情報に基づいて、対象食品が属する品目についての類似度εと色度との関係を補正する。例えば、補正部16は、所定のレプリカ又は所定の白色の物体に関して、対象食品についての入力情報を取得した環境における色度情報として、xy色度図での色度座標を算出したとする。この場合、補正部16は、レプリカ又は白色の物体の色度座標に基づいて、対象食品が属する品目についての類似度εと色度との関係を補正する。
【0070】
前述のように本実施形態では、関係データにおいて、1つの品目ごとに、食べ頃の状態に対する類似度εと色度との関係が示される。そして、判定部15は、対象食品についての入力情報、及び、対象食品が属する品目についての類似度εと色度との関係に基づいて、食べ頃の状態に対する対象食品の類似度ε、及び、対象食品が食べ頃の前後のいずれであるかを、判定する。このため、人の感覚に頼ることなく、対象食品について、食べ頃の状態に対する類似度ε、及び、食べ頃の前後のいずれであるかが、適切に判定される。
【0071】
また、本実施形態では、対象食品についての前述の判定結果を含む対象食品についての通知情報が、通知される。このため、判定システム1及び処理装置10のユーザ等は、対象食品についての前述の類似度ε、及び、対象食品が食べ頃の前後のいずれであるか等を含む対象食品に関する情報を、適切に把握可能となる。
【0072】
また、本実施形態では、判定部15は、対象食品についての入力情報を用いて、対象食品の色度情報を算出する。そして、判定部15は、算出した対象食品の色度情報、及び、対象食品が属する品目についての類似度εと色度との関係に基づいて、対象食品について判定する。このため、対象食品について、食べ頃の状態に対する類似度ε、及び、食べ頃の前後のいずれであるか等が、さらに適切に判定される。
【0073】
また、本実施形態では、補正部16は、対象食品についての入力情報を取得した環境に基づいて、対象食品が属する品目についての類似度εと色度との関係を補正する。そして、判定部15は、入力情報を取得した環境に対応して補正された類似度εと色度との関係に基づいて、対象食品について判定する。このため、対象食品についての入力情報を取得した環境に対応させて、対象食品について、食べ頃の状態に対する類似度ε、及び、食べ頃の前後のいずれであるか等が、適切に判定される。
【0074】
また、本実施形態のある一例では、補正部16は、対象食品が属する品目に関して、入力情報を取得した環境において類似度εが1つ以上の設定値のそれぞれになる場合の色度情報を算出する。そして、補正部16は、類似度εに関する1つ以上の設定値と算出した色度情報との関係に基づいて、対象食品が属する品目についての類似度εと色度との関係を補正する。このため、対象食品についての入力情報を取得した環境に対応させて、対象食品が属する品目についての類似度εと色度との関係が、適切に補正される。
【0075】
(変形例)
図10に示すある変形例では、判定システム1は、2つの処理装置10,100を備える。本変形例では、処理装置10は、前述の処理実行部11、データ記憶部12及び通信インタフェース13を備える。そして、処理装置100は、処理実行部101、データ記憶部102、通信インタフェース103及びユーザインタフェース104を備える。本変形例では、処理装置10の処理実行部11が、前述した判定部15による処理及び補正部16による処理を行い、処理装置100の処理実行部101が、前述した通知制御部17による処理を行う。
【0076】
処理装置100は、スマートフォン等の端末装置又はコンピュータ等であり、プロセッサ又は集積回路、及び、メモリ等の記憶媒体を備える。そして、処理装置100では、プロセッサ又は集積回路が処理実行部101として機能し、記憶媒体がデータ記憶部102として機能する。また、処理装置100は、通信インタフェース103を介して、処理装置10等の他の処理装置と通信する。また、ユーザインタフェース104の構成等は、前述したユーザインタフェース14と同様である。本変形例では、処理装置10は、処理装置100とは別のコンピュータ、又は、クラウド環境のサーバである。処理装置10では、コンピュータのプロセッサ又は集積回路、又は、仮想プロセッサが、処理実行部11として機能し、コンピュータの記憶媒体、又は、クラウドメモリが、データ記憶部12として機能する。
【0077】
本変形例の判定システム1では、処理装置10の処理実行部11及び処理装置100の処理実行部101が協働して、判定部15、補正部16及び通知制御部17による前述の処理が行われる。すなわち、複数の処理装置が協働して、判定部15、補正部16及び通知制御部17による前述の処理が行われる。本変形例でも、前述の実施形態等と同様に、判定部15、補正部16及び通知制御部17による前述の処理が行われる。したがって、本変形例でも、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0078】
なお、ある変形例では、判定部15による処理が、処理装置100の処理実行部101で行われてもよく、別のある変形例では、補正部16による処理が、処理装置100の処理実行部101で行われてもよい。また、ある変形例では、判定部15による処理の一部が、処理装置100の処理実行部101で行われ、判定部15による処理の残りの一部が、処理装置10の処理実行部11で行われてもよい。この場合、例えば、処理実行部101が、対象食品についての入力情報に基づいて、対象食品の色度情報を算出する。そして、処理実行部11が、対象食品の色度情報、及び、対象食品が属する品目についての類似度εと色度との関係に基づいて、対象食品について前述のように判定する。
【0079】
したがって、実施形態等では、判定システム1を構成する端末装置、コンピュータ及びクラウド環境のサーバの1つ以上によって、判定部15、補正部16及び通知制御部17による前述の処理が行われればよい。これにより、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0080】
これら少なくとも一つの実施形態によれば、対象食品について入力された入力情報、及び、対象食品が属する品目についての食べ頃の状態に対する類似度と色度との関係に基づいて、対象食品が食べ頃の前後のいずれであるかが、判定される。これにより、対象食品について、食べ頃の状態に対して前後いずれの期間であるかを適切に判定する食品についての判定システム、判定方法及び判定プログラムを提供することができる。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1…判定システム、10,100…処理装置、11,101…処理実行部、12,102…データ記憶部、15…判定部、16…補正部、17…通知制御部、ε…類似度。
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