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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132198
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】積層セラミックコンデンサ
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
H01G4/30 201M
H01G4/30 512
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037382
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
(74)【代理人】
【識別番号】100167966
【弁理士】
【氏名又は名称】扇谷 一
(72)【発明者】
【氏名】青砥 匠吾
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC10
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E001AH01
5E001AH03
5E001AH05
5E001AH06
5E001AH07
5E001AH09
5E001AJ01
5E001AJ03
5E082AB03
5E082BC19
5E082BC40
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE26
5E082EE35
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG54
5E082GG10
5E082GG26
5E082GG28
5E082LL02
5E082LL03
5E082MM24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ツームストーン現象を抑制しつつ耐湿性を向上する積層セラミックコンデンサを提供する。
【解決手段】積層セラミックコンデンサ10において、第1の端面12eには、第1、第2の主面側外層部20a、20b、第1、第2の側面側外層部22a、22bが位置する部分において、第1の主面12a又は第2の主面12b、第1の側面12c又は第2の側面12dのうちの少なくとも2つの面に沿って対向するように延びる第1の突出部40aが配置されており、第2の端面12fには、第1、第2の主面側外層部20a、20b、第1、第2の側面側外層部22a、22bが位置する部分において、第1の主面12a又は第2の主面12b、第1の側面12c又は第2の側面12dのうちの少なくとも2つの面に沿って対向するように延びる第2の突出部40bが配置されており、第1、第2の突出部40a、40bは、内層部18には掛からないように配置される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の誘電体層を含み、高さ方向に相対する第1の主面および第2の主面と、高さ方向に直交する幅方向に相対する第1の側面および第2の側面と、高さ方向および幅方向に直交する長さ方向に相対する第1の端面および第2の端面と、を有する積層体と、
前記複数の誘電体層上に配置され、前記第1の端面に露出する複数の第1の内部電極層と、
前記複数の誘電体層上に配置され、前記第2の端面に露出する複数の第2の内部電極層と、
前記第1の端面上に配置された下地電極層と、前記下地電極層に上に配置されためっき層と、を有する第1の外部電極と、
前記第2の端面上に配置された下地電極層と、前記下地電極層に上に配置されためっき層と、を有する第2の外部電極と、
を有する積層セラミックコンデンサにおいて、
前記積層体は、
前記複数の第1の内部電極層と前記複数の第2の内部電極層とが対向する内層部と、
前記第1の主面側に位置し、前記第1の主面と前記第1の主面側の前記内層部の最表面とその最表面の延長線上との間に位置する前記複数の誘電体層から形成される第1の主面側外層部と、
前記第2の主面側に位置し、前記第2の主面と前記第2の主面側の前記内層部の最表面とその最表面の延長線上との間に位置する複数の誘電体層から形成される第2の主面側外層部と、
前記第1の側面側に位置し、前記第1の側面と前記第1の側面側の前記内層部の最表面との間に位置する前記複数の誘電体層から形成される第1の側面側外層部と、
前記第2の側面側に位置し、前記第2の側面と前記第2の側面側の前記内層部の最表面との間に位置する前記複数の誘電体層から形成される第2の側面側外層部と、
を有し、
前記第1の端面には、前記第1の主面側外層部および前記第2の主面側外層部、前記第1の側面側外層部および前記第2の側面側外層部が位置する部分において、前記第1の主面または前記第2の主面、前記第1の側面または前記第2の側面のうちの少なくとも2つの面に沿って対向するように延びる第1の突出部が配置されており、
前記第2の端面には、前記第1の主面側外層部および前記第2の主面側外層部、前記第1の側面側外層部および前記第2の側面側外層部が位置する部分において、前記第1の主面または前記第2の主面、前記第1の側面または前記第2の側面のうちの少なくとも2つの面に沿って対向するように延びる第2の突出部が配置されており、
前記第1の突出部および前記第2の突出部は、前記内層部には掛からないように配置される、積層セラミックコンデンサ。
【請求項2】
前記第1の突出部の前記第1の端面に面する部分の長手方向の長さおよび前記第2の突出部の前記第2の端面に面する部分の長手方向の長さは、前記第1の主面または前記第2の主面、前記第1の側面または前記第2の側面の辺の長さと同等である、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項3】
前記第1の突出部の前記第1の端面に面する部分の短手方向の長さおよび前記第2の突出部の前記第2の端面に面する部分の短手方向の長さは、前記第1の主面側外層部および前記第2の主面側外層部、前記第1の側面側外層部および前記第2の側面側外層部の前記第1の端面または前記第2の端面に面する短手方向の長さに対して、40%以上80%以下である、請求項1または請求項2に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項4】
前記第1の突出部および前記第2の突出部の前記積層体の長さ方向にあたる長さは、前記下地電極層の長さ方向の最も厚い部分の厚さに対して、0.1%以上39%以下である、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項5】
前記第1の突出部および前記第2の突出部以外の前記第1の端面および前記第2の端面の表面は平坦な形状を有する、請求項1ないし4のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項6】
積層された複数の誘電体層を含み、高さ方向に相対する第1の主面および第2の主面と、高さ方向に直交する幅方向に相対する第1の側面および第2の側面と、高さ方向および幅方向に直交する長さ方向に相対する第1の端面および第2の端面と、を有する積層体と、
前記複数の誘電体層上に配置され、前記第1の端面に露出する複数の第1の内部電極層と、
前記複数の誘電体層上に配置され、前記第2の端面に露出する複数の第2の内部電極層と、
前記第1の端面上に配置された下地電極層と、前記下地電極層に上に配置されためっき層と、を有する第1の外部電極と、
前記第2の端面上に配置された下地電極層と、前記下地電極層に上に配置されためっき層と、を有する第2の外部電極と、
を有する積層セラミックコンデンサにおいて、
前記積層体は、
前記複数の第1の内部電極層と前記複数の第2の内部電極層とが対向する内層部と、
前記第1の主面側に位置し、前記第1の主面と前記第1の主面側の前記内層部の最表面とその最表面の延長線上との間に位置する前記複数の誘電体層から形成される第1の主面側外層部と、
前記第2の主面側に位置し、前記第2の主面と前記第2の主面側の前記内層部の最表面とその最表面の延長線上との間に位置する前記複数の誘電体層から形成される第2の主面側外層部と、
前記第1の側面側に位置し、前記第1の側面と前記第1の側面側の前記内層部の最表面との間に位置する前記複数の誘電体層から形成される第1の側面側外層部と、
前記第2の側面側に位置し、前記第2の側面と前記第2の側面側の前記内層部の最表面との間に位置する前記複数の誘電体層から形成される第2の側面側外層部と、
を有し、
前記第1の端面には、前記積層体の四隅に位置する4つの第1の突出部が配置されており、
前記第2の端面には、前記積層体の四隅に位置する4つの第2の突出部が配置されており、
前記第1の突出部および前記第2の突出部は、前記内層部には掛からないように配置されている、積層セラミックコンデンサ。
【請求項7】
前記第1の突出部および前記第2の突出部のそれぞれの前記幅方向の長さは、前記積層体の幅方向の寸法に対して、30%以上45%以下である、請求項6に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項8】
前記第1の突出部および前記第2の突出部のそれぞれの前記高さ方向の長さは、前記積層体の高さ方向の寸法に対して、30%以上45%以下である、請求項6または請求項7に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項9】
前記第1の突出部および前記第2の突出部の前記長さ方向の長さは、前記下地電極層の長さ方向の最も厚い部分の厚さに対して、0.1%以上39%以下である、請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項10】
前記第1の突出部および前記第2の突出部以外の前記第1の端面および前記第2の端面の表面は平坦な形状を有する、請求項6ないし請求項9のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミックコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品においては、電子部品の小型化が一層進行している。従って、セラミック焼結体(積層体)についても、より一層小さくなってきている。このようにセラミック焼結体(積層体)が小さくなると、それに伴い、セラミック焼結体(積層体)の重量も軽くなる。その結果、プリント回路基板上の電極ランドに半田を用いて積層セラミック電子部品を実装する場合、セラミック焼結体(積層体)の重量が軽くなった分だけ、半田の固化時の収縮に伴う半田の表面張力により、セラミック焼結体(積層体)が立ち上がりやすくなる、いわゆるツームストーン現象と称されている現象が生じ易くなる。さらに、セラミック焼結体(積層体)の端面が平坦な場合においては、導電性ペーストにセラミック焼結体(積層体)の端面を浸漬した後、導電性ペーストからセラミック焼結体(積層体)の端面を引き上げる、いわゆるディップ工法が用いられている。ディップ工法にてセラミック焼結体(積層体)の端面に外部電極を形成すると、導電性ペーストからセラミック焼結体(積層体)の端面を引き上げる際に、導電性ペーストの重力と表面張力により、導電性ペーストはセラミック焼結体(積層体)の端面の中央部に集まるため、セラミック焼結体(積層体)の端面の四隅の導電性ペーストの厚みは、セラミック焼結体(積層体)の端面の中央部に比べて薄くなる。このような場合には、外部電極の外表面は平坦ではないため、半田が固化する際の収縮により、セラミック焼結体(積層体)の端面の四隅に引っ張り応力が働いて、一方のセラミック焼結体(積層体)の端面が立ち上がって、ツームストーン現象がさらに生じ易くなるという課題がある。
【0003】
上記の課題を解決するものとして、例えば、特許文献1が開示されている。特許文献1の構成は、セラミック焼結体(積層体)と、前記セラミック焼結体(積層体)内においてセラミック層を介して厚み方向に重なり合うように配置された複数の内部電極と、前記セラミック焼結体(積層体)の対向し合う第1の端面および第2の端面にそれぞれ形成されており、かつ何れかの内部電極に電気的に接続された第1の外部電極および第2の外部電極とを備え、前記セラミック焼結体(積層体)の第1の端面および第2の端面が中間高さ位置でへこんだ凹状面とされている構成である。前記構成のように、第1および第2の端面を凹状にすることで、外部電極の外表面が平坦化されるため、ツームストーン現象の発生を効率的に抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-49032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の問題点としては、耐湿性の低下が挙げられる。すなわち、特許文献1においては、端面が凹状になっているセラミック焼結体(積層体)に、ディップ工法で外部電極を形成している。この場合には、導電性ペーストに、セラミック焼結体(積層体)の端面を浸漬し、一定時間保持した上で、導電性ペーストからセラミック焼結体(積層体)の端面を引き上げて、導電性ペーストをセラミック焼結体(積層体)の端面を覆うように付着させる。その後、導電性ペーストを焼き付けることにより、外部電極が形成される。この時、導電性ペーストからセラミック焼結体(積層体)の端面を引き上げる際には、導電性ペーストの表面張力および重力により、導電性ペーストは、セラミック焼結体(積層体)の端面の中央部に集まる。この結果、セラミック焼結体(積層体)の端面の中央部の外部電極の厚みよりも、セラミック焼結体(積層体)の端面の四隅の外部電極の厚みの方が薄くなる。この時、外部電極の上にめっき層を形成した場合においては、セラミック焼結体(積層体)の端面の四隅の外部電極の厚みが薄い部分から、めっき液が侵入しやすくなる。特許文献1の構成では、めっき液が侵入した場合には、耐湿性が低下する。
【0006】
したがって、本発明は、ツームストーン現象を抑制しつつ耐湿性の向上を達成できる積層セラミックコンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる積層セラミックコンデンサは、積層された複数の誘電体層を含み、高さ方向に相対する第1の主面および第2の主面と、高さ方向に直交する幅方向に相対する第1の側面および第2の側面と、高さ方向および幅方向に直交する長さ方向に相対する第1の端面および第2の端面と、を有する積層体と、複数の誘電体層上に配置され、第1の端面に露出する第1の内部電極層と、複数の誘電体層上に配置され、第2の端面に露出する第2の内部電極層と、第1の端面上に配置された下地電極層と、下地電極層に上に配置されためっき層と、を有する第1の外部電極と、第2の端面上に配置された下地電極層と、下地電極層に上に配置されためっき層と、を有する第2の外部電極と、を有する積層セラミックコンデンサにおいて、積層体は、複数の内部電極層が対向する内層部と、第1の主面側に位置し、第1の主面と第1の主面側の内層部の最表面とその最表面の延長線上との間に位置する複数の誘電体層から形成される第1の主面側外層部と、第2の主面側に位置し、第2の主面と第2の主面側の内層部の最表面とその最表面の延長線上との間に位置する複数の誘電体層から形成される第2の主面側外層部と、第1の側面側に位置し、第1の側面と第1の側面側の内層部の最表面との間に位置する複数の誘電体層から形成される第1の側面側外層部と、第2の側面側に位置し、第2の側面と第2の側面側の内層部の最表面との間に位置する複数の誘電体層から形成される第2の側面側外層部と、を有し、第1の端面には、第1の主面側外層部および第2の主面側外層部、第1の側面側外層部および第2の側面側外層部が位置する部分において、第1の主面または第2の主面、第1の側面または第2の側面のうちの少なくとも2つの面に沿って対向するように延びる第1の突出部が配置されており、第2の端面には、第1の主面側外層部および第2の主面側外層部、第1の側面側外層部および第2の側面側外層部が位置する部分において、第1の主面または第2の主面、第1の側面または第2の側面のうちの少なくとも2つの面に沿って対向するように延びる第2の突出部が配置されており、第1の突出部および第2の突出部は、内層部には掛からないように配置されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる積層セラミックコンデンサは、積層された複数の誘電体層を含み、高さ方向に相対する第1の主面および第2の主面と、高さ方向に直交する幅方向に相対する第1の側面および第2の側面と、高さ方向および幅方向に直交する長さ方向に相対する第1の端面および第2の端面と、を有する積層体と、複数の誘電体層上に配置され、第1の端面に露出する第1の内部電極層と、複数の誘電体層上に配置され、第2の端面に露出する第2の内部電極層と、第1の端面上に配置された下地電極層と、下地電極層に上に配置されためっき層と、を有する第1の外部電極と、第2の端面上に配置された下地電極層と、下地電極層に上に配置されためっき層と、を有する第2の外部電極と、を有する積層セラミックコンデンサにおいて、積層体は、複数の内部電極層が対向する内層部と、第1の主面側に位置し、第1の主面と第1の主面側の内層部の最表面とその最表面の延長線上との間に位置する複数の誘電体層から形成される第1の主面側外層部と、第2の主面側に位置し、第2の主面と第2の主面側の内層部の最表面とその最表面の延長線上との間に位置する複数の誘電体層から形成される第2の主面側外層部と、第1の側面側に位置し、第1の側面と第1の側面側の内層部の最表面との間に位置する複数の誘電体層から形成される第1の側面側外層部と、第2の側面側に位置し、第2の側面と第2の側面側の内層部の最表面との間に位置する複数の誘電体層から形成される第2の側面側外層部と、を有し、第1の端面には、積層体の四隅に位置する4つの第1の突出部が配置されており、第2の端面には、積層体の四隅に位置する4つの第2の突出部が配置されており、第1の突出部および第2の突出部は、内層部には掛からないように配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ツームストーン現象を抑制しつつ耐湿性の向上を達成できる積層セラミックコンデンサを提供することができる。
【0010】
本発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの一例を示す外観斜視図である。
図2図1の線II-IIにおける断面図である。
図3図2のA部拡大図である。
図4図3の線IV-IVにおける断面図である。
図5図3の線V-Vにおける断面図である。
図6】第1の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの模式図を示す。
図7】第1の実施の形態の変形例にかかる積層セラミックコンデンサの一例を示す外観斜視図である。
図8図7の線VIII-VIIIにおける断面図である。
図9図8のB部拡大図である。
図10図8の線X-Xにおける断面図である。
図11図8の線XI-XIにおける断面図である。
図12】第2の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの一例を示す外観斜視図である。
図13A図12の線XIIIA-XIIIAにおける断面図である。
図13B図12の線XIIIB-XIIIBにおける断面図である。
図14図13のC部拡大図である。
図15A図13Aの線XVA-XVAにおける断面図である。
図15B図13Aの線XVB-XVBにおける断面図である。
図16図14の線XVI-XVIにおける断面図である。
図17図14の線XVII-XVIIにおける断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施の形態)
1-1.積層セラミックコンデンサ
第1の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサ10について図1ないし図6に基づいて説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの一例を示す外観斜視図である。図2は、図1の線II-IIにおける断面図である。図3は、図2のA部拡大図である。図4は、図3の線IV-IVにおける断面図である。図5は、図3の線V-Vにおける断面図である。図6は、第1の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの模式図を示す。
【0013】
図1ないし図6に示すように、積層セラミックコンデンサ10は、積層体12と、外部電極30とを含む。積層体12は、複数の誘電体層14と複数の内部電極層16とが交互に積層された構成となっている。以下に積層セラミックコンデンサ10の各構成について詳細に説明する。
【0014】
(積層体)
積層体12は、複数の積層された誘電体層14を含み、互いに対向する第1の主面12aおよび第2の主面12bと、互いに対向する第1の側面12cおよび第2の側面12dと、互いに対向する第1の端面12eおよび第2の端面12fと、を有する。
第1の主面12aと第2の主面12bとを結ぶ方向をx方向とし、第1の側面12cと第2の側面12dとを結ぶ方向をy方向とし、第1の端面12eと第2の端面12fとを結ぶ方向をz方向とする。
【0015】
積層体12は、直方体形状である。また、積層体12は、角部または稜線部に丸みがつけられていても良い。なお、角部とは、積層体12の隣接する3面が交わる部分のことであり、稜線部とは、積層体12の隣接する2面が交わる部分のことである。さらに、第1の主面12aおよび第2の主面12b、ならびに第1の側面12cおよび第2の側面12d、ならびに第1の端面12eおよび第2の端面12fの一部または全部に凹凸などが形成されていてもよい。
【0016】
積層体12の長さ方向zの寸法をL寸法とする。L寸法は、1.5mm以上3.0mm以下であることが好ましい。積層体12の幅方向yの寸法をW寸法とする。W寸法は、0.8mm以上2.4mm以下であることが好ましい。積層体12の高さ方向xの寸法をT寸法とする。T寸法は、0.8mm以上2.4mm以下であることが好ましい。
【0017】
(誘電体層)
積層体12は、複数の誘電体層14と複数の内部電極層16とを含む。また、積層体12は、複数の内部電極層16が対向する内層部18を有する。
【0018】
積層体12は、第1の主面12a側に位置し、第1の主面12aと第1の主面12a側の内層部18の最表面とその最表面の延長線上との間に位置する複数の誘電体層14から形成される第1の主面側外層部20aを有する。
同様に、積層体12は、第2の主面12b側に位置し、第2の主面12bと第2の主面12b側の内層部18の最表面とその最表面の延長線上との間に位置する複数の誘電体層14から形成される第2の主面側外層部20bを有する。
【0019】
積層体12は、第1の側面12c側に位置し、第1の側面12cと第1の側面12c側の内層部18の最表面とその最表面の延長線上との間に位置する複数の誘電体層14から形成される第1の側面側外層部22aを有する。
同様に、積層体12は、第2の側面12d側に位置し、第2の側面12dと第2の側面12d側の内層部18の最表面とその最表面の延長線上との間に位置する複数の誘電体層14から形成される第2の側面側外層部22bを有する。
【0020】
積層体12は、第1の端面12e側に位置し、第1の端面12eと第1の端面12e側の内層部18の最表面とその最表面の延長線上との間に位置する複数の誘電体層14から形成される第1の端面側外層部24aを有する。
同様に、積層体12は、第2の端面12f側に位置し、第2の端面12fと第2の端面12f側の内層部18の最表面とその最表面の延長線上との間に位置する複数の誘電体層14から形成される第2の端面側外層部24bを有する。
【0021】
誘電体層14を構成するセラミック材料としては、例えば、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、CaZrO3などの主成分からなる誘電体セラミックを用いることができる。また、これらの主成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの副成分を添加したものを用いてもよい。
【0022】
積層体12の内部には、略矩形状の複数の第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bが高さ方向xに沿って等間隔に交互に配置されている。第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bのそれぞれは、第1の主面12aおよび第2の主面12bとほぼ平行である。第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bは、高さ方向xにおいて、誘電体層14を介して、互いに対向している。なお、誘電体層14の厚みは、0.5μm以上10μm以下であることが好ましい。
【0023】
第1の端面12eには、第1の主面側外層部20aおよび第2の主面側外層部20bが位置する部分において、第1の主面12aおよび第2の主面12bに沿って対向するように延びる第1の突出部40aが配置されている。
同様に、第2の端面12fには、第1の主面側外層部20aおよび第2の主面側外層部20bが位置する部分において、第1の主面12aおよび第2の主面12bに沿って対向するように延びる第2の突出部40bが配置されている。
また、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bは、内層部18には掛からないように配置されている。
【0024】
より詳細には、第1の突出部40aは、第1の端面12eから見たときに、第1の主面側外層部20aが位置する部分において、第1の主面12aに沿って延びる第1の主面12a側の第1の突出部40a1と、第2の主面側外層部20bが位置する部分において、第2の主面12bに沿って延びる第2の主面12b側の第1の突出部40a2とを有する。第1の端面12eにおいて、第1の主面12a側の第1の突出部40a1と第2の主面12b側の第1の突出部40a2とは、互いに対向するように配置される。また、第2の突出部40bは、第2の端面12fから見たときに、第1の主面側外層部20aが位置する部分において、第1の主面12aに沿って延びる第1の主面12a側の第2の突出部40b1と、第2の主面側外層部20bが位置する部分において、第2の主面12bに沿って延びる第2の主面12b側の第2の突出部40b2とを有する。第2の端面12fにおいて、第1の主面12a側の第2の突出部40b1と第2の主面12b側の第2の突出部40b2とは、互いに対向するように配置される。
【0025】
第1の突出部40aおよび第2の突出部40bのそれぞれの高さ方向xの長さをTPとし、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bのそれぞれの幅方向yの長さをWPとし、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bのそれぞれの長さ方向zの長さをLPとする。
【0026】
積層体12の第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bを設けることで、図3に示すように、積層体12の第1の端面12eおよび第2の端面12fが側面視凹状となる構造になる。このような構成にすることで、積層体12に導電性ペーストをディップした際に、第1の端面12eおよび第2の端面12fの中央部がくぼんでいるため、表面張力と重力の影響によって、積層体12の第1の端面12eおよび第2の端面12fの中央部の導電性ペーストの厚みが薄くなり、外部電極30の外表面を平坦化できるため、ツームストーン現象を抑制できる。
【0027】
また、図6(a)は、本実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサ10の模式図であり、図6(b)は、従来の積層セラミックコンデンサの模式図である。図6(a)に示すように、積層体12の第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bがあることから、積層体12の第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅の外部電極30の厚みは、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの厚みの分だけ厚くすることができる。そのため、積層体12の第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅から内部電極層16へのめっき液の侵入経路が長くなり(図6(a)および(b)の黒矢印を参照)、耐湿性を向上させることができる。
【0028】
さらに、積層体12の第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bがあることで、外部電極30と積層体12とのアンカー効果が発生し、積層体12と外部電極30との密着性が増加するため、積層体12と外部電極30との隙間が無くなる。このため、めっき液などの水分を侵入させない効果がある。ここで、仮に、めっき液などの水分が入ったとしても、積層体12の第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの長さ方向zの長さLPを適正な値に調整しているため、積層体12の第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅の外部電極30の厚みが、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの長さ方向zの長さLPの分だけ十分に厚く形成される。そのため、積層体12の第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅から内部電極層16へのめっき液などの水分の侵入経路が長くなり、耐湿性を向上させることができる。
したがって、積層体12の第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bを有することにより、ツームストーン現象を抑制しつつ耐湿性を向上させることができる。
【0029】
第1の突出部40aおよび第2の突出部40bは、第1の主面側外層部20aおよび第2の主面側外層部20bに連続して形成されない部分を含んでいてもよい。
【0030】
第1の主面側外層部20aおよび第2の主面側外層部20bに連続して第1の突出部40aおよび第2の突出部40bがある場合において、ディップ工法で外部電極30を形成した場合には、第1の主面側外層部20aおよび第2の主面側外層部20bに連続して第1の突出部40aおよび第2の突出部40bがあるために、積層体12を導電性ペーストに浸漬させる前に積層体12の第1の端面12eまたは第2の端面12fに存在していた空気の抜け道が無く、導電性ペーストから積層体12の第1の端面12eまたは第2の端面12fを引き上げる際に、積層体12の第1の端面12eまたは第2の端面12fに付着した導電性ペースト中に気孔が残存し、積層体12の第1の端面12eまたは第2の端面12fに付着した導電性ペーストを焼き付けて形成した外部電極30中にはピンホールが発生する。
【0031】
第1の突出部40aおよび第2の突出部40bは、第1の主面側外層部20aおよび第2の主面側外層部20bに連続して形成されない部分を含む構成にすることで、第1の主面側外層部20aおよび第2の主面側外層部20bの一部に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bが形成されていない領域から、積層体12の第1の端面12eまたは第2の端面12fを導電性ペーストへ浸漬させる前に積層体12の第1の端面12eまたは第2の端面12fに存在していた空気が抜けていくことができる。このため、導電性ペーストから積層体12の第1の端面12eまたは第2の端面12fを引き上げる際に、積層体12の第1の端面12eまたは第2の端面12fに付着した導電性ペースト中の気孔の残存を抑制することができる。さらに、積層体12の第1の端面12eまたは第2の端面12fに付着した導電性ペーストを焼き付けて形成した外部電極30中のピンホールの発生を抑制することができる。
【0032】
第1の突出部40aの第1の端面12eに面する部分の長手方向の長さWPおよび第2の突出部40bの第2の端面12fに面する部分の長手方向の長さWPは、第1の主面12aまたは第2の主面12bの辺の長さWと同等であることが好ましい。
言い換えると、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bは、第1の主面12aおよび第2の主面12b側の縁辺付近の領域において幅方向yに連続的に配置されていることが好ましい。
このように第1の突出部40aおよび第2の突出部40bが配置されていることで、ディップ工法で外部電極30を形成した場合に、導電性ペーストの形成量が少なくなる第1の側面12cおよび第2の側面12d側の縁辺付近の領域、または、第1の主面12aおよび第2の主面12b側の縁辺付近の領域の外部電極30の厚みを連続的に厚くできるため、外部電極30の外表面が平坦化でき、ツームストーン現象を抑制することができる。
【0033】
第1の突出部40aの第1の端面12eに面する部分の短手方向の長さTPおよび第2の突出部40bの第2の端面12fに面する部分の短手方向の長さTPは、第1の主面側外層部20aおよび第2の主面側外層部20bの短手方向の長さTgapに対して40%以上80%以下であることが好ましい。このような構成にすることで、耐湿性の向上と外観不良をさらに低減することができる。
また、第1の突出部40aの第1の端面12eに面する部分の短手方向の長さTPおよび第2の突出部40bの第2の端面12fに面する部分の短手方向の長さTPが、第1の主面側外層部20aおよび第2の主面側外層部20bの短手方向の長さTgapに対して40%未満になると、第1の側面12cおよび第2の側面12d側の縁辺付近の領域、または、第1の主面12aおよび第2の主面12b側の縁辺付近の領域の外部電極30の厚みを十分に確保できないため、積層体12の第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅から内部電極層16へのめっき液の侵入経路が短くなり、耐湿性が低下する。
さらに、第1の突出部40aの第1の端面12eに面する部分の短手方向の長さTPおよび第2の突出部40bの第2の端面12fに面する部分の短手方向の長さTPが、第1の主面側外層部20aおよび第2の主面側外層部20bの短手方向の長さTgapに対して80%以上になると、マスキング用治具によって第1の突出部40aおよび第2の突出部40bを設ける際に、マスキングされていない領域が小さくなる。ここで、マスキング用治具の寸法にバラつきがあると、本来ならマスキング用治具の開口部(すなわち、マスキングされていない領域)は、内部電極層16の領域にかからない位置に配置されるべきところが、マスキング用治具の開口部が内部電極層16の領域よりも狭くなり、本来なら研磨されるべき内部電極層16の領域までマスキングがされた状態になってしまう。このため、サンドブラスト処理時に、内部電極層16の一部が研磨されない領域が発生し、一部に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bが無い構成となる。この結果、積層体12の第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅から内部電極層16へのめっき液の侵入経路が短くなり、耐湿性が低下する。
【0034】
第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの積層体12の長さ方向zにあたる長さLPは、下地電極層32の長さ方向zの最も厚い部分の厚さLTOPに対して0.1%以上39%以下であることが好ましい。
このような構成にすることで、耐湿性の向上と外観不良をさらに低減することができる。
また、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの積層体12の長さ方向zにあたる長さLPが、下地電極層32の長さ方向の最も厚い部分の厚さLTOPに対して0.1%未満のものは、製造上作製することが困難である。
また、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの積層体12の長さ方向zにあたる長さLPが、下地電極層32の長さ方向の最も厚い部分の厚さLTOPに対して39%より大きくなると、外部電極30の表面に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bが露出しやすい構成となり、外観不良が発生する確率が高くなる。
【0035】
さらに、第1の突出部40aおよび第2の突出部40b以外の第1の端面12eおよび第2の端面12fの表面は平坦な形状を有することが好ましい。
第1の突出部40aおよび第2の突出部40b以外の第1の端面12eおよび第2の端面12fの表面が平坦であると、第1の突出部40aおよび第2の突出部40b以外の第1の端面12eおよび第2の端面12fの表面上に形成される下地電極層32の表面も平坦にすることができる。これにより、下地電極層32の端面中央部の厚みが厚くなるため、下地電極層32の端面の四隅の厚みが薄い場合に生じるツームストーン現象を抑制することができる。
【0036】
次に、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの寸法を測定する方法について説明する。
まず、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの幅方向yおよび高さ方向xの寸法の測定方法について説明する。積層体12の長さ方向zから外部電極30を研磨紙で研磨し、長さ方向zに存在する外部電極30を全て除去して、第1の突出部40aまたは第2の突出部40bを露出させる。次に、マイクロスコープにて、第1の突出部40aまたは第2の突出部40bを露出させたWT面全体が視認できるように、倍率50倍、100倍にて観察し、マイクロスコープに付属の画像処理ソフトを用いて測定する。
次に、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの長さ方向zの寸法の測定方法について説明する。積層体12の幅方向yから研磨紙で研磨し、幅方向yに存在する外部電極30を全て除去して、第1の突出部40aまたは第2の突出部40bを露出させる。次に、マイクロスコープにて、第1の突出部40aまたは第2の突出部40bを露出させたLT面全体が視認できるように、倍率50倍、100倍にて観察し、マイクロスコープに付属の画像処理ソフトを用いて測定する。
【0037】
(内部電極層)
内部電極層16は第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bを有する。また、第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bは、複数の誘電体層14と交互に積層される。
第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bは、端部が積層体12の表面に引き出されており露出部を形成している。より詳細には、第1の内部電極層16aは、第1の端面12eに露出しており、第1の主面12aおよび第2の主面12b、第1の側面12cおよび第2の側面12d、並びに第2の端面12fには露出していない。また、第2の内部電極層16bは、第2の端面12fに露出しており、第1の主面12aおよび第2の主面12b、第1の側面12cおよび第2の側面12d、並びに第1の端面12eには露出していない。さらに詳細には、第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bの端部は、第1の端面12eまたは第2の端面12fから少しだけ後退している。
【0038】
また、第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bは、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bに掛からないように配置されている。
【0039】
さらに、第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bは、互いに対向する対向部26と、対向部26から第1の端面12eおよび第2の端面12fに引出された引出し部28と、を有する。
【0040】
本実施の形態では、内部電極層16の対向部26同士が誘電体層14を介して対向することにより静電容量が形成され、コンデンサの特性が発現する。
【0041】
第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bは、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Auなどの金属や、Ag-Pd合金等の、それらの金属の少なくとも一種を含む合金などの適宜の導電材料により構成することができる。
【0042】
内部電極層16を構成する金属は、外部電極30の下地電極層32として導電性樹脂層を設ける場合、導電性樹脂層に含まれる金属と化合物を形成する。
【0043】
第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bのそれぞれの厚みは、例えば、0.2μm以上2.0μm以下であることが好ましい。
【0044】
(外部電極)
外部電極30は、第1の外部電極30aと第2の外部電極30bとを有する。
第1の外部電極30aは、第1の内部電極層16aに接続され、第1の端面12e上に配置されている。また、第1の主面12aの一部および第2の主面12bの一部、第1の側面12cの一部および第2の側面12dの一部にも配置されていてもよい。本実施の形態では、第1の端面12e上から第1の主面12aの一部および第2の主面12bの一部、第1の側面12cの一部および第2の側面12dの一部にまで延びて形成されている。
第2の外部電極30bは、第2の内部電極層16bに接続され、第2の端面12f上に配置されている。また、第1の主面12aの一部および第2の主面12bの一部、第1の側面12cの一部および第2の側面12dの一部にも配置されていてもよい。本実施の形態では、第2の端面12f上から第1の主面12aの一部および第2の主面12bの一部、第1の側面12cの一部および第2の側面12dの一部にまで延びて形成されている。
【0045】
第1の外部電極30aは、第1の端面12e上に配置される第1の下地電極層32aを有しており、第1の下地電極層32a上に配置される第1のめっき層34aを有していることが好ましい。
第2の外部電極30bは、第2の端面12f上に配置される第2の下地電極層32bを有しており、第2の下地電極層32b上に配置される第2のめっき層34bを有していることが好ましい。
【0046】
(下地電極層)
下地電極層32は、第1の下地電極層32aと第2の下地電極層32bとを有する。
下地電極層32は、焼付け層、導電性樹脂層、薄膜層等から選ばれる少なくとも1つを含む。以下、下地電極層32を焼付け層、導電性樹脂層、薄膜層とした場合の各構成について説明する。
【0047】
(焼付け層の場合)
焼付け層は、ガラスと金属とを含む。焼付け層のガラスとしては、B、Si、Ba、Sr、Ca、Mg、Al、Ti、Zr、K、Na、Liから選ばれる少なくとも1つを含む。焼付け層の金属としては、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等から選ばれる少なくとも1つを含む。焼付け層は、複数層であってもよい。また、焼付け層は、ガラスおよび金属を含む導電性ペーストを積層体に塗布して焼き付けたものであり、内部電極層16と同時焼成したものでもよく、内部電極層16を焼成した後に焼き付けてもよい。
【0048】
第1の端面12eおよび第2の端面12fに下地電極層32として焼付け層を設ける場合は、第1の端面12eおよび第2の端面12f上に位置する第1の下地電極層32aおよび第2の下地電極層32bである第1の焼付け層および第2の焼付け層の高さ方向xの中央部における厚みは、例えば、10μm以上150μm以下程度であることが好ましい。
また、第1の主面12aおよび第2の主面12b、第1の側面12cおよび第2の側面12d上に下地電極層32として焼付け層を設ける場合には、第1の主面12aおよび第2の主面12b、第1の側面12cおよび第2の側面12d上に位置する第1の下地電極層32aおよび第2の下地電極層32bである第1の焼付け層および第2の焼付け層の長さ方向zの中央部における厚みは、例えば、10μm以上100μm以下程度であることが好ましい。
【0049】
(導電性樹脂層の場合)
導電性樹脂層は、第1の導電性樹脂層と第2の導電性樹脂層とを有する。
第1の導電性樹脂層は、例えば、第1の焼付け層を覆うように配置されており、第2の導電性樹脂層は、第2の焼付け層を覆うように配置されている。具体的には、第1および第2の導電性樹脂層は、第1の端面12eおよび第2の端面12f上に位置する第1および第2の焼付け層上に配置され、第1の主面12aおよび第2の主面12b、並びに第1の側面12cおよび第2の側面12d上に位置する第1および第2の焼付け層上にも至るように設けられていることが好ましい。もっとも、第1および第2の導電性樹脂層は、第1の端面上に位置する第1および第2の焼付け層上にのみに配されていてもよい。
また、導電性樹脂層は焼付け層を形成せずに積層体上に直接形成してもよい。
【0050】
第1および第2の導電性樹脂層は、熱硬化性樹脂と、金属成分と、を含む。
【0051】
熱硬化性樹脂の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などの公知の種々の熱硬化性樹脂を使用することができる。その中でも、耐熱性、耐湿性、密着性などに優れたエポキシ樹脂は最も適切な樹脂の一つである。
【0052】
第1および第2の導電性樹脂層には、熱硬化性樹脂とともに、硬化剤を含むことが好ましい。硬化剤としては、ベース樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂の硬化剤としては、フェノール系、アミン系、酸無水物系、イミダゾール系など公知の種々の化合物を使用することができる。
【0053】
第1および第2の導電性樹脂層に含まれる金属としては、Ag、Cu、またはそれらの合金を使用することができる。また、金属粉の表面にAgコーティングされたものを使用することができる。金属粉の表面にAgコーティングされたものを使用する際には金属粉としてCuやNiを用いることが好ましい。またCuに酸化防止処理を施したものを使用することもできる。Agコーティングされた金属を用いる理由としては、上記のAgの特性は保ちつつ、母材の金属を安価なものにすることが可能になるためである。
【0054】
第1および第2の導電性樹脂層に含まれる金属は、導電性樹脂層全体の体積に対して、35vol%以上75vol%以下で含まれていることが好ましい。
第1および第2の導電性樹脂層に含まれる金属の形状は、特に限定されない。第1および第2の導電性樹脂層に含まれる金属は、球形状、扁平状などのものを用いることができるが、球形状金属粉と扁平状金属粉とを混合して用いるのが好ましい。
第1および第2の導電性樹脂層に含まれる金属の平均粒径は、特に限定されない。第1および第2の導電性樹脂層に含まれる金属の平均粒径は、例えば、0.3μm以上10μm以下であってもよい。
第1および第2の導電性樹脂層に含まれる金属は、主に導電性樹脂層の通電性を担う。具体的には、第1および第2の導電性樹脂層に含まれる金属どうしが接触することにより、導電性樹脂層内部に通電経路が形成される。
【0055】
第1および第2の導電性樹脂層は、熱硬化性樹脂を含むため、例えば、めっき膜や導電性ペーストの焼成物からなる下地電極層32よりも柔軟性に富んでいる。このため、積層セラミックコンデンサに物理的な衝撃や熱サイクルに起因する衝撃が加わった場合であっても、導電性樹脂層が緩衝層として機能し、積層セラミックコンデンサへのクラックを防止することができる。
【0056】
第1および第2の導電性樹脂層の厚みは、例えば10μm以上200μm以下であることが好ましい。
【0057】
(薄膜層の場合)
薄膜層は、スパッタリング法または蒸着法等の薄膜形成法により形成され、金属粒子が堆積された1μm以下の層である。
【0058】
(めっき層)
めっき層34は、第1のめっき層34aと第2のめっき層34bとを有する。
めっき層34は、下地電極層32を覆うように形成されている。具体的には、めっき層34は、下地電極層32上の第1の端面12eおよび第2の端面12fに配され、下地電極層32上の第1の主面12aおよび第2の主面12b並びに第1の側面12cおよび第2の側面12dにも至るように設けられていることが好ましい。もっとも、めっき層34は、下地電極層32上の第1の端面12eおよび第2の端面12fの上のみに配されていてもよい。
【0059】
また、めっき層34としては、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等から選ばれる少なくとも1つを含む。
【0060】
さらに、めっき層34は複数層により形成されていてもよい。好ましくは、Niめっき、Snめっきの2層構造であることが好ましい。下地電極層32を覆うようにNiめっきからなるめっき層34を設けることにより、積層セラミックコンデンサ10を実装する際に、実装に用いられる半田によって下地電極層32が侵食されることを防止することができる。また、Niめっき層からなるめっき層34の上に、さらにSnめっき層からなるめっき層34を設けることにより、積層セラミックコンデンサ10を実装する際に、実装に用いられる半田の濡れ性を向上させ、容易に実装することができる。
【0061】
また、Niめっき層の厚みは、1μm以上15μm以下であることが好ましい。Snめっき層の厚みは、1μm以上15μm以下であることが好ましい。
【0062】
積層セラミックコンデンサ10の長さ方向zの寸法をLM寸法とする。LM寸法は、1.6mm以上3.2mm以下であることが好ましい。積層セラミックコンデンサ10の幅方向yの寸法をWM寸法とする。WM寸法は、0.8mm以上2.5mm以下であることが好ましい。積層セラミックコンデンサ10の高さ方向xの寸法をTM寸法とする。TM寸法は、0.8mm以上2.5mm以下であることが好ましい。
【0063】
1-2.積層セラミックコンデンサの製造方法
次に第1の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ10の製造方法について説明する。
【0064】
まず、誘電体シートおよび内部電極用の導電性ペーストを準備する。誘電体シートや内部電極用の導電性ペーストには、バインダおよび溶剤が含まれる。バインダおよび溶剤は公知のものを用いることができる。
【0065】
次に、内部電極パターンが印刷されていない誘電体シートと、誘電体シート上に、例えば、スクリーン印刷やグラビア印刷などにより所定のパターンで内部電極用の導電性ペーストを印刷し、第1の内部電極パターンが印刷された誘電体シートおよび第2の内部電極パターンが印刷された誘電体シートと、を準備する。
【0066】
次に、内部電極パターンが印刷されていない誘電体シートを所定枚数積層して第1の主面側外層部20aとなる部分を形成し、その上に、第1の内部電極パターンおよび第2の内部電極パターンが印刷された誘電体シートを順次積層し内層部18となる部分を形成し、さらに内層部18となる部分の上に内部電極パターンが印刷されていない誘電体シートを所定枚数積層して第2の主面側外層部20bとなる部分を形成し、積層シートを作製する。
【0067】
次に、積層シートを静水圧プレスなどの手段により積層方向にプレスし積層ブロックを作製する。
【0068】
次に、積層ブロックを所定のサイズにカットし、積層チップを切り出す。このとき、バレル研磨などにより積層チップの角部および稜線部に丸みをつけてもよい。
【0069】
次に、積層チップを焼成し積層体12を作製する。焼成温度は、誘電体層14や内部電極層16の材料にもよるが、900℃以上1400℃以下であることが好ましい。
【0070】
次に、積層チップ固定用治具を、積層チップの第1の端面12eまたは第2の端面12f側に配置して、積層チップを固定する。
【0071】
次に、積層チップが配置されていない側の第1の端面12eまたは第2の端面12f側にマスキング用治具を配置する。
【0072】
次に、積層チップが配置されていない側の第1の端面12eまたは第2の端面12f側から、例えばサンドブラスト処理を実施し、第1の端面12eおよび第2の端面12fのマスキングされていない領域を研磨する。ここで、マスキングをした領域においては、サンドブラストによる加工がされないことから、積層チップの研磨がされず、マスキングをした領域は第1の突出部40aおよび第2の突出部40bとなる。第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの長さ方向zの寸法、幅方向yの寸法、高さ方向xの寸法は、サンドブラストの時間や吹き付ける強さ、マスキング位置やマスキングの形状によりコントロールすることができる。ここで、サンドブラスト処理に用いるブラスト材は、アルミナ粉を用いることができる。
【0073】
次に、金属成分とガラス成分を含む下地電極用の導電性ペーストを準備する。
【0074】
次に、積層体12の第1の端面12eおよび第2の端面12fに下地電極層32およびとなる導電性ペーストを塗布し、下地電極層32を形成する。例えば、ディッピングやスクリーン印刷などの方法により、積層体12の第1の端面12eおよび第2の端面12fに導電性ペーストを塗布し、その後、焼付け処理を行い、下地電極層32を形成する。この時の焼付け処理の温度は、700℃以上900℃以下であることが好ましい。
【0075】
必要に応じて、下地電極層32の表面にめっきを施しめっき層34を形成する。本実施の形態では、下地電極層32の表面にめっき層34を2層形成した。具体的には、下地電極層32上にNiめっき層およびSnめっき層を形成した。Niめっき層およびSnめっき層は、例えばバレルめっき法により、順次形成される。
【0076】
上記のようにして、本実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサ10が製造される。
【0077】
(第1の実施の形態の変形例)
1-3.積層セラミックコンデンサ
第1の実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサの変形例について、図7ないし図11に基づいて説明する。図7は、第1の実施の形態の変形例に係る積層セラミックコンデンサの一例を示す外観斜視図である。図8は、図7の線VIII-VIIIにおける断面図である。図9は、図8のB部拡大図である。図10は、図8の線X-Xにおける断面図である。図11は、図8の線XI-XIにおける断面図である。
【0078】
第1の実施の形態の変形例に係る積層セラミックコンデンサ10Aは、第1の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ10と比較して、積層体12の第1の端面12eおよび第2の端面12fに設けられる第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの形状のみが異なる。したがって、第1の実施の形態の構成要素に相当するものについては同じ符号を付すとともに、その詳細な説明を省略する。
【0079】
図7ないし図11に示すように、積層セラミックコンデンサ10Aは、積層体12Aと、外部電極30とを含む。積層体12Aは、複数の誘電体層14と内部電極層16とが交互に積層された構成となっている。
【0080】
(積層体)
積層体12Aは、複数の積層された誘電体層14を含み、互いに対向する第1の主面12aおよび第2の主面12bと、互いに対向する第1の側面12cおよび第2の側面12dと、互いに対向する第1の端面12eおよび第2の端面12fと、を有する。
第1の主面12aと第2の主面12bとを結ぶ方向をx方向とし、第1の側面12cと第2の側面12dとを結ぶ方向をy方向とし、第1の端面12eと第2の端面12fとを結ぶ方向をz方向とする。
【0081】
(誘電体層)
積層体12Aは、複数の誘電体層14と複数の内部電極層16とを含む。また、積層体12Aは、複数の内部電極層16が対向する内層部18を有する。
【0082】
積層体12Aは、第1の主面12a側に位置し、第1の主面12aと第1の主面12a側の内層部18の最表面とその最表面の延長線上との間に位置する複数の誘電体層14から形成される第1の主面側外層部20aを有する。
同様に、積層体12Aは、第2の主面12b側に位置し、第2の主面12bと第2の主面12b側の内層部18の最表面とその最表面の延長線上との間に位置する複数の誘電体層14から形成される第2の主面側外層部20bを有する。
【0083】
積層体12Aは、第1の側面12c側に位置し、第1の側面12cと第1の側面12c側の内層部18の最表面とその最表面の延長線上との間に位置する複数の誘電体層14から形成される第1の側面側外層部22aを有する。
同様に、積層体12Aは、第2の側面12d側に位置し、第2の側面12dと第2の側面12d側の内層部18の最表面とその最表面の延長線上との間に位置する複数の誘電体層14から形成される第2の側面側外層部22bを有する。
【0084】
積層体12Aは、第1の端面12e側に位置し、第1の端面12eと第1の端面12e側の内層部18の最表面とその最表面の延長線上との間に位置する複数の誘電体層14から形成される第1の端面側外層部24aを有する。
同様に、積層体12Aは、第2の端面12f側に位置し、第2の端面12fと第2の端面12f側の内層部18の最表面とその最表面の延長線上との間に位置する複数の誘電体層14から形成される第2の端面側外層部24bを有する。
【0085】
第1の端面12eには、第1の側面側外層部22aおよび第2の側面側外層部22bが位置する部分において、第1の側面12cおよび第2の側面12dに沿って対向するように延びる第1の突出部40aが配置されている。
同様に、第2の端面12fには、第1の側面側外層部22aおよび第2の側面側外層部22bが位置する部分において、第1の側面12cおよび第2の側面12dに沿って対向するように延びる第2の突出部40bが配置されている。
また、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bは、内層部18には掛からないように配置されている。
【0086】
より詳細には、第1の突出部40aは、第1の端面12eから見たときに、第1の側面側外層部22aが位置する部分において、第1の側面12cに沿って延びる第1の側面12c側の第1の突出部40a1と、第2の側面側外層部22bが位置する部分において、第2の側面12dに沿って延びる第2の側面12d側の第1の突出部40a2とを有する。第1の端面12eにおいて、第1の側面12c側の第1の突出部40a1と第2の側面12d側の第1の突出部40a2とは、互いに対向するように配置される。また、第2の突出部40bは、第2の端面12fから見たときに、第1の側面側外層部22aが位置する部分において、第1の側面12cに沿って延びる第1の側面12c側の第2の突出部40b1と、第2の側面側外層部22bが位置する部分において、第2の側面12dに沿って延びる第2の側面12d側の第2の突出部40b2とを有する。第2の端面12fにおいて、第1の側面12c側の第2の突出部40b1と第2の側面12d側の第2の突出部40b2とは、互いに対向するように配置される。
【0087】
第1の突出部40aおよび第2の突出部40bのそれぞれの高さ方向xの長さをTPとし、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bのそれぞれの幅方向yの長さをWPとし、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bのそれぞれの長さ方向zの長さをLPとする。
【0088】
積層体12Aの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bを設けることで、図8に示すように、積層体12Aの第1の端面12eおよび第2の端面12fが平面視凹状となる構造になる。このような構成にすることで、積層体12Aに導電性ペーストをディップした際に、第1の端面12eおよび第2の端面12fの中央部がくぼんでいるため、表面張力と重力の影響によって、積層体12Aの第1の端面12eおよび第2の端面12fの中央部の導電性ペーストの厚みが薄くなり、外部電極30の外表面を平坦化できるため、ツームストーン現象を抑制できる。
【0089】
また、積層体12Aの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bがあることから、積層体12Aの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅の外部電極30の厚みは、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの厚みの分だけ厚くすることができる。そのため、積層体12Aの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅から内部電極層16へのめっき液の侵入経路が長くなり、耐湿性を向上させることができる。
【0090】
さらに、積層体12Aの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bがあることで、外部電極30と積層体12Aとのアンカー効果が発生し、積層体12Aと外部電極30との密着性が増加するため、積層体12Aと外部電極30との隙間が無くなる。このため、めっき液などの水分を侵入させない効果がある。ここで、仮に、めっき液などの水分が入ったとしても、積層体12Aの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの長さ方向zの長さLPを適正な値に調整しているため、積層体12Aの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅の外部電極30の厚みが、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの長さ方向zの長さLPの分だけ十分に厚くなるため、積層体12Aの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅から内部電極層16へのめっき液などの水分の侵入経路が長くなり、耐湿性を向上させることができる。
したがって、積層体12Aの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bを有することにより、ツームストーン現象を抑制しつつ耐湿性を向上させることができる。
【0091】
第1の突出部40aおよび第2の突出部40bは、第1の側面側外層部22aおよび第2の側面側外層部22bに連続して形成されない部分を含んでいてもよい。
【0092】
第1の側面側外層部22aおよび第2の側面側外層部22bに連続して第1の突出部40aおよび第2の突出部40bがある場合において、ディップ工法で外部電極30を形成した場合には、第1の側面側外層部22aおよび第2の側面側外層部22bに連続して第1の突出部40aおよび第2の突出部40bがあるために、積層体12Aを導電性ペーストに浸漬させる前に積層体12Aの第1の端面12eまたは第2の端面12fに存在していた空気の抜け道が無く、導電性ペーストから積層体12Aの第1の端面12eまたは第2の端面12fを引き上げる際に、積層体12Aの第1の端面12eまたは第2の端面12fに付着した導電性ペースト中に気孔が残存し、積層体12Aの第1の端面12eまたは第2の端面12fに付着した導電性ペーストを焼き付けて形成した外部電極30中にはピンホールが発生する。
【0093】
第1の突出部40aおよび第2の突出部40bは、第1の側面側外層部22aおよび第2の側面側外層部22bに連続して形成されない部分を含む構成にすることで、第1の側面側外層部22aおよび第2の側面側外層部22bの一部に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bが形成されていない領域から、積層体12Aの第1の端面12eまたは第2の端面12fを導電性ペーストへ浸漬させる前に積層体12Aの第1の端面12eまたは第2の端面12fに存在していた空気が抜けていくことができる。このため、導電性ペーストから積層体12Aの第1の端面12eまたは第2の端面12fを引き上げる際に、積層体12Aの第1の端面12eまたは第2の端面12fに付着した導電性ペースト中の気孔の残存を抑制することができる。さらに、積層体12Aの第1の端面12eまたは第2の端面12fに付着した導電性ペーストを焼き付けて形成した外部電極30中のピンホールの発生を抑制することができる。
【0094】
第1の突出部40aの第1の端面12eに面する部分の長手方向の長さTPおよび第2の突出部40bの第2の端面12fに面する部分の長手方向の長さTPは、第1の側面12cまたは第2の側面12dの辺の長さTと同等であることが好ましい。このような構成にすることで、めっき液などの水分が積層体12Aの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅から内部電極層16へ侵入する経路が長くなり、耐湿性を向上させることができる。
【0095】
第1の突出部40aおよび第2の突出部40bは、第1の側面12cおよび第2の側面12d側の縁辺付近の領域において高さ方向xに連続的に配置されていることが好ましい。
このように第1の突出部40aおよび第2の突出部40bが配置されていることで、ディップ工法で外部電極30を形成した場合に、導電性ペーストの形成量が少なくなる第1の側面12cおよび第2の側面12d側の縁辺付近の領域、または、第1の主面12aおよび第2の主面12b側の縁辺付近の領域の外部電極30の厚みを連続的に厚くできるため、外部電極30の外表面が平坦化でき、ツームストーン現象を抑制することができる。
【0096】
第1の突出部40aの第1の端面12eに面する部分の短手方向の長さWPおよび第2の突出部40bの第2の端面12fに面する部分の短手方向の長さWPは、第1の側面側外層部22aおよび第2の側面側外層部22bの短手方向の長さWgapに対して40%以上80%以下であることが好ましい。このような構成にすることで、耐湿性の向上と外観不良をさらに低減することができる。
また、第1の突出部40aの第1の端面12eに面する部分の短手方向の長さWPおよび第2の突出部40bの第2の端面12fに面する部分の短手方向の長さWPが、第1の側面側外層部22aおよび第2の側面側外層部22bの短手方向の長さWgapに対して40%未満になると、第1の側面12cおよび第2の側面12d側の縁辺付近の領域、または、第1の主面12aおよび第2の主面12b側の縁辺付近の領域の外部電極30の厚みを十分に確保できないため、積層体12Aの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅から内部電極層16へのめっき液の侵入経路が短くなり、耐湿性が低下する。
また、第1の突出部40aの第1の端面12eに面する部分の短手方向の長さWPおよび第2の突出部40bの第2の端面12fに面する部分の短手方向の長さWPが、第1の側面側外層部22aおよび第2の側面側外層部22bの短手方向の長さWgapに対して、80%以上になると、マスキング用治具によって第1の突出部40aおよび第2の突出部40bを設ける際に、マスキングされていない領域が小さくなる。ここで、マスキング用治具の寸法にバラつきがあると、本来ならマスキング用治具の開口部(すなわち、マスキングされていない領域)は、内部電極層16の領域にかからない位置に配置されるべきところが、マスキング用治具の開口部が内部電極層16の領域よりも狭くなり、本来なら研磨されるべき内部電極層16の領域までマスキングがされた状態になってしまう。このため、マスキング用治具のバラつきにより、サンドブラスト処理時に、内部電極層16の一部が研磨されない領域が発生し、一部に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bが無い構成となる。この結果、積層体12の第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅から内部電極層16へのめっき液の侵入経路が短くなり、耐湿性が低下する。
【0097】
第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの積層体12Aの長さ方向zにあたる長さLPは、下地電極層32の長さ方向zの最も厚い部分の厚さLTOPに対して0.1%以上39%以下であることが好ましい。
このような構成にすることで、耐湿性の向上と外観不良をさらに低減することができる。
また、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの積層体12Aの長さ方向zにあたる長さLPが、下地電極層32の長さ方向zの最も厚い部分の厚さLTOPに対して0.1%未満のものは、製造上作製することが困難である。
また、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの積層体12Aの長さ方向zにあたる長さLPが、下地電極層32の長さ方向zの最も厚い部分の厚さLTOPに対して39%より大きくなると、外部電極30の表面に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bが露出しやすい構成となり、外観不良が発生する確率が高くなる。
【0098】
さらに、第1の突出部40aおよび第2の突出部40b以外の第1の端面12eおよび第2の端面12fの表面は平坦な形状を有することが好ましい。
第1の突出部40aおよび第2の突出部40b以外の第1の端面12eおよび第2の端面12fの表面が平坦であると、第1の突出部40aおよび第2の突出部40b以外の第1の端面12eおよび第2の端面12fの表面上に形成される下地電極層32の表面も平坦にすることができる。これにより、下地電極層32の端面中央部の厚みが厚くなるため、下地電極層32の端面の四隅の厚みが薄い場合に生じるツームストーン現象を抑制することができる。
【0099】
(第2の実施の形態)
2.積層セラミックコンデンサ
第2の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ10Bについて、図12ないし図17に基づいて説明する。図12は、第2の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサの一例を示す外観斜視図である。図13Aは、図12の線XIIIA-XIIIAにおける断面図である。図13Bは、図12の線XIIIB-XIIIBにおける断面図である。図14は、図13のC部拡大図である。図15Aは、図13Aの線XVA-XVAにおける断面図である。図15Bは、図13Aの線XVB-XVBにおける断面図である。図16は、図14の線XVI-XVIにおける断面図である。図17は、図14の線XVII-XVIIにおける断面図である。
【0100】
第2の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ10Bは、第1の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ10と比較して、積層体12の第1の端面12eおよび第2の端面12fに設けられる第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの形状のみが異なる。したがって、第1の実施の形態の構成要素に相当するものについては同じ符号を付すとともに、その詳細な説明を省略する。
【0101】
図12ないし図17に示すように、積層セラミックコンデンサ10Bは、積層体12Bと、外部電極30とを含む。積層体12Bは、複数の誘電体層14と内部電極層16とが交互に積層された構成となっている。
【0102】
(積層体)
積層体12Bは、複数の積層された誘電体層14を含み、互いに対向する第1の主面12aおよび第2の主面12bと、互いに対向する第1の側面12cおよび第2の側面12dと、互いに対向する第1の端面12eおよび第2の端面12fと、を有する。
第1の主面12aと第2の主面12bとを結ぶ方向をx方向とし、第1の側面12cと第2の側面12dとを結ぶ方向をy方向とし、第1の端面12eと第2の端面12fとを結ぶ方向をz方向とする。
【0103】
(誘電体層)
積層体12Bは、複数の誘電体層14と複数の内部電極層16とを含む。また、積層体12Bは、複数の内部電極層16が対向する内層部18を有する。
【0104】
積層体12Bは、第1の主面12a側に位置し、第1の主面12aと第1の主面12a側の内層部18の最表面とその最表面の延長線上との間に位置する複数の誘電体層14から形成される第1の主面側外層部20aを有する。
同様に、積層体12Bは、第2の主面12b側に位置し、第2の主面12bと前記第2の主面12b側の内層部18の最表面とその最表面の延長線上との間に位置する複数の誘電体層14から形成される第2の主面側外層部20bを有する。
【0105】
積層体12Bは、第1の側面12c側に位置し、第1の側面12cと第1の側面12c側の内層部18の最表面とその最表面の延長線上との間に位置する複数の誘電体層14から形成される第1の側面側外層部22aを有する。
同様に、積層体12Bは、第2の側面12d側に位置し、第2の側面12dと第2の側面12d側の内層部18の最表面とその最表面の延長線上との間に位置する複数の誘電体層14から形成される第2の側面側外層部22bを有する。
【0106】
積層体12Bは、第1の端面12e側に位置し、第1の端面12eと第1の端面12e側の内層部18の最表面とその最表面の延長線上との間に位置する複数の誘電体層14から形成される第1の端面側外層部24aを有する。
同様に、積層体12Bは、第2の端面12f側に位置し、第2の端面12fと第2の端面12f側の内層部18の最表面とその最表面の延長線上との間に位置する複数の誘電体層14から形成される第2の端面側外層部24bを有する。
【0107】
第1の端面12eには、積層体12Bの四隅に位置する4つの第1の突出部40aが配置されており、第2の端面12fには、積層体12Bの四隅に位置する4つの第2の突出部40bが配置されており、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bは、内層部18には掛からないように配置されている。
言い換えると、第1の突出部40aは、積層体12Bの第1の端面12eの四隅に位置し、第1の端面12eから見たときに、左上の第1の突出部40a1、右上の第1の突出部40a2、左下の第1の突出部40a3、右下の第1の突出部40a4から構成される。同様に、第2の突出部40bは、積層体12Bの第2の端面12fの四隅に位置し、第2の端面12fから見たときに、左上の第2の突出部40b1、右上の第2の突出部40b2、左下の第2の突出部40b3、右下の第2の突出部40b4から構成される。
【0108】
積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bを設けることで、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fが凹状となる構造になる。このような構成にすることで、積層体12Bに導電性ペーストをディップした際に、第1の端面12eおよび第2の端面12fの中央部がくぼんでいるため、表面張力と重力の影響によって、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fの中央部の導電性ペーストの厚みが薄くなり、外部電極30の外表面が平坦化できるため、ツームストーン現象を抑制できる。
【0109】
また、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bがあることから、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅の外部電極30の厚みは、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの厚みの分だけ厚くすることができる。そのため、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅から内部電極層16へのめっき液の侵入経路が長くなり、耐湿性を向上させることができる。
【0110】
さらに、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bがあることで、外部電極30と積層体12Bとのアンカー効果が発生し、積層体12Bと外部電極30との密着性が増加するため、積層体12Bと外部電極30との隙間が無くなる。このため、めっき液などの水分を侵入させない効果がある。ここで、仮に、めっき液などの水分が入ったとしても、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの長さ方向zの長さLPを適正な値に調整しているため、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅の外部電極30の厚みが、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの長さ方向zの長さLPの分だけ十分に厚くなるため、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅から内部電極層16へのめっき液などの水分の侵入経路が長くなり、耐湿性を向上させることができる。
したがって、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bを有することにより、ツームストーン現象を抑制しつつ耐湿性を向上させることができる。
【0111】
また、本実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサ10Bの第1の突出部40aおよび第2の突出部40bは、第1の主面側外層部20aおよび第2の主面側外層部20bおよび第1の側面側外層部22aおよび第2の側面側外層部22bに連続して形成されない部分を含んでいてもよい。
【0112】
第1の突出部40aおよび第2の突出部40bのそれぞれの幅方向yの長さWPは、積層体12Bの幅方向yの寸法Wに対して、30%以上45%以下であることが好ましい。すなわち、上記の構成では、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bは、幅方向yに対して、連続的に配置されない部分が存在する。言い換えると、第1の主面側外層部20aおよび第2の主面側外層部20bに連続して形成されない部分が存在する。
第1の主面側外層部20aおよび第2の主面側外層部20bに連続して第1の突出部40aおよび第2の突出部40bがある場合において、ディップ工法で外部電極30を形成する場合には、第1の主面側外層部20aおよび第2の主面側外層部20bに連続して第1の突出部40aおよび第2の突出部40bがあるために、導電性ペーストに浸漬する前に、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fに存在していた空気の抜け道が無くなる。そのため、導電性ペーストから積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fを引き上げる際に、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fに付着した導電性ペースト中に気孔が残存し、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fに付着した導電性ペーストを焼き付けて形成した外部電極30中にはピンホールが発生する。
本実施の形態のように、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bは、第1の主面側外層部20aおよび第2の主面側外層部20bに連続して形成されない部分を含む構成にすることで、第1の主面側外層部20aおよび第2の主面側外層部20bの一部に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bが形成されていない領域から、導電性ペーストへの浸漬前に積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fに存在していた空気が抜けていくことができるため、導電性ペーストから積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fを引き上げる際に、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fに付着した導電性ペースト中の気孔の残存を抑制でき、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fに付着した導電性ペーストを焼き付けて形成した外部電極30中のピンホールの発生を抑制することができる。
【0113】
また、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bのそれぞれの積層体12Bの高さ方向xの長さTPは、積層体12Bの高さ方向xの寸法Tに対して、30%以上45%以下であることが好ましい。すなわち、上記の構成では、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bは、積層体12Bの高さ方向xに対して、連続的に配置されない部分が存在する。言い換えると、第1の側面側外層部22aおよび第2の側面側外層部22bに連続して形成されない部分が存在する。
第1の側面側外層部22aおよび第2の側面側外層部22bに連続して第1の突出部40aおよび第2の突出部40bがある場合において、ディップ工法で外部電極30を形成した場合には、第1の側面側外層部22aおよび第2の側面側外層部22bに連続して第1の突出部40aおよび第2の突出部40bがあるために、導電性ペーストへの浸漬前に積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fに存在していた空気の抜け道が無く、導電性ペーストから積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fを引き上げる際に、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fに付着した導電性ペースト中に気孔が残存し、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fに付着した導電性ペーストを焼き付けて形成した外部電極30中にはピンホールが発生する。
本実施の形態のように、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bは、第1の側面側外層部22aおよび第2の側面側外層部22bに連続して形成されない部分を含む構成にすることで、第1の側面側外層部22aおよび第2の側面側外層部22bの一部に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bが形成されていない領域から、導電性ペーストへの浸漬前に積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fに存在していた空気が抜けていくことができるため、導電性ペーストから積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fを引き上げる際に、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fに付着した導電性ペースト中の気孔の残存を抑制でき、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fに付着した導電性ペーストを焼き付けて形成した外部電極30中のピンホールの発生を抑制することができる。
【0114】
また、本実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサ10Bの第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの積層体12Bの長さ方向zにあたる長さLPは、下地電極層32の長さ方向zの最も厚い部分の厚さLTOPに対して0.1%以上39%以下であることが好ましい。
上記構成にすることで、耐湿性の向上と外観不良をさらに低減することができる。また、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの積層体12Bの長さ方向zにあたる長さLPは、下地電極層32の長さ方向の最も厚い部分の厚さLTOPに対して0.1%未満のものは、製造上作製することが困難である。また、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの積層体12Bの長さ方向zにあたる長さLPは、下地電極層32の長さ方向の最も厚い部分の厚さLTOPに対して39%より大きくなると、外部電極30の表面に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bが露出しやすい構成となり、外観不良が発生する確率が高くなる。
【0115】
さらに、本実施の形態にかかる積層セラミックコンデンサ10Bの第1の突出部40aおよび第2の突出部40b以外の第1の端面12eおよび第2の端面12fの表面は平坦な形状を有することが好ましい。
第1の突出部40aおよび第2の突出部40b以外の第1の端面12eおよび第2の端面12fの表面が平坦であると、第1の突出部40aおよび第2の突出部40b以外の第1の端面12eおよび第2の端面12fの表面上に形成される下地電極層32の表面も平坦にすることができる。これにより、下地電極層32の端面中央部の厚みが厚くなるため、下地電極層32の端面の四隅の厚みが薄い場合に生じるツームストーン現象を抑制することができる。
【0116】
3.実験例
(実験例1)
上記の製造方法にしたがって、図1または図7に示す積層セラミックコンデンサを作製し、耐湿性評価試験および外観検査を行った。
【0117】
(1)実施例および比較例に用いた積層セラミックコンデンサ
(a)積層セラミックコンデンサの寸法:LM×WM×TM=3.2mm×2.5mm×2.5mm
(b)積層セラミックコンデンサの積層体のみの寸法:L×W×T=3.0mm×2.4mm×2.4mm
(c)誘電体層のセラミック材料:BaTiO3
(d)内部電極層:Ni
(e)静電容量:22μF
(f)定格電圧:16V
(g)外部電極の構造
(i)下地電極層:導電性金属(Cu)とガラス成分(Si)とを含む電極層
各端面中央部の厚み:約120μm
(ii)めっき層:Niめっき層とSnめっき層との2層を形成
Niめっき層の厚み:約2.5μm
Snめっき層の厚み:約5.5μm
(h)突出部の大きさ:表1参照
【0118】
耐湿性評価試験および外観検査は以下の方法により行った。
【0119】
(2)耐湿性評価試験
積層セラミックコンデンサを温度85℃、湿度85%RH、印加電圧16Vの条件で、40320個のサンプルに対し耐湿性評価試験を行った。24時間経過後に、絶縁抵抗IRを測定した。絶縁抵抗IRは、IRメータを用いて測定した。IRメータでの測定は、積層セラミックコンデンサの外部電極にIRメータの測定端子を当てて絶縁抵抗IRを測定した。IR(Ω)の値が106Ω以下となるサンプルを不良品とした。さらに、耐湿性評価試験の合否判定として、不良品の数がゼロである場合に「○」、不良品の数が0以上50ppm(0.005%)未満の場合に「△」、不良品の数が50ppm(0.005%)以上の場合に「×」と評価した。各試料番号のサンプル40320個あたりの不良品の数および耐湿性評価試験の合否判定結果を表1に示す。
【0120】
(3)外観検査
積層セラミックコンデンサのめっき層を形成した後に、拡大鏡(ルーペ)を用いて視認した。めっき層から突出部が露出していたサンプル、または、めっき層の表面に気泡が存在したサンプルを不良品とした。さらに、外観検査の合否判定として、不良品の数がゼロである場合に「○」、不良品の数が0以上5個未満の場合に「△」、不良品の数が5個以上の場合に「×」と評価した。各試料番号のサンプル2500個あたりの不良品の数および外観検査の合否判定結果を表1に示す。
【0121】
(4)実験結果
実験例1で作成した積層セラミックコンデンサの測定値ならびに耐湿性評価試験および外観検査の結果を表1に示す。
【0122】
【表1】
【0123】
表1に示すように、各実施例と比較例1-1とを比較すると、積層体の各端面に突出部を設けることで、耐湿性を向上させることができた。
また、各実施例と比較例1-2ないし1-5とを比較すると、積層体を端面側から見たときに、内層部に掛からないように突出部を設けることで、耐湿性を向上させることができた。特に、突出部を各主面側外層部に設けた場合(実施例1-4ないし1-6)、突出部の短手方向の長さを各主面側外層部に対して40%以上80%以下にすることで、より耐湿性を向上させることができ、外観不良も生じなかった。また、突出部を各側面側外層部に設けた場合(実施例1-11ないし1-13)、突出部の短手方向の長さを各側面側外層部に対して40%以上80%以下にすることで、より耐湿性を向上させることができ、外観不良も生じなかった。
さらに、各実施例と比較例1-6および1-7とを比較すると、積層体に設けた突出部の長さ方向の長さを下地電極層の長さ方向の長さに対して50%以下とすると、耐湿性を向上させることができ、外観不良も生じなかった。特に、積層体に設けた突出部の長さ方向の長さを下地電極層の長さ方向の長さに対して0.1%以上39%以下にすることで、より耐湿性を向上させることができ、外観不良も生じなかった。
【0124】
(実験例2)
上記の製造方法にしたがって、図12に示す積層セラミックコンデンサを作製し、耐湿性評価試験および外観検査を行った。
【0125】
(1)実施例および比較例に用いた積層セラミックコンデンサ
(a)積層セラミックコンデンサの寸法:LM×WM×TM=3.2mm×2.5mm×2.5mm
(b)積層セラミックコンデンサの積層体のみの寸法:L×W×T=3.0mm×2.4mm×2.4mm
(c)誘電体層のセラミック材料:BaTiO3
(d)内部電極層:Ni
(e)静電容量:22μF
(f)定格電圧:16V
(g)外部電極の構造
(i)下地電極層:導電性金属(Cu)とガラス成分(Si)とを含む電極層
各端面中央部の厚み:約120μm
(ii)めっき層:Niめっき層とSnめっき層との2層を形成
Niめっき層の厚み:約2.5μm
Snめっき層の厚み:約5.5μm
(h)突出部の大きさ:表2参照
【0126】
耐湿性評価試験および外観検査は実験例1と同様の方法により行った。
【0127】
(2)実験結果
実験例2で作成した積層セラミックコンデンサの測定値ならびに耐湿性評価試験および外観検査の結果を表2に示す。
【0128】
【表2】
【0129】
表2に示すように、各実施例と比較例2-1とを比較すると、積層体の端面側の四隅に突出部を設けることで、耐湿性を向上させることができた。
また、各実施例と比較例2-2とを比較すると、積層体の端面側から見たときに、各主面側外層部または各側面側外層部に連続して形成されない部分を設けることで、耐湿性を向上させることができ、外観不良も生じなかった。特に、積層体に設けた各突出部の高さ方向の長さを積層体の高さ方向の寸法Tに対して30%以上45%以下、および各突出部の幅方向の長さを積層体の幅方向の寸法Wに対して30%以上45%以下にすることで、より耐湿性を向上させることができ、外観不良も生じなかった。さらに、積層体に設けた各突出部の長さ方向の長さを下地電極層の長さ方向の長さに対して0.1%以上39%以下にすることで、より耐湿性を向上させることができ、外観不良も生じなかった。
【0130】
以上の結果から、本発明に係る積層セラミックコンデンサ10,10Aの積層体12,12Aにおいて、第1の端面12eには、第1の主面側外層部20aおよび第2の主面側外層部20b、第1の側面側外層部22aおよび第2の側面側外層部22bが位置する部分において、第1の主面12aまたは第2の主面12b、第1の側面12cまたは第2の側面12dのうちの少なくとも2つの面に沿って対向するように延びる第1の突出部40aが配置されており、第2の端面12fには、第1の主面側外層部20aおよび第2の主面側外層部20b、第1の側面側外層部22aおよび第2の側面側外層部22bが位置する部分において、第1の主面12aまたは第2の主面12b、第1の側面12cまたは第2の側面12dのうちの少なくとも2つの面に沿って対向するように延びる第2の突出部40bが配置されており、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bは、内層部18には掛からないように配置されることにより、ツームストーン現象を抑制しつつ耐湿性を向上させることができる。
【0131】
より詳細に説明すると、積層体12,12Aの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bを設けることで、積層体12,12Aの第1の端面12eおよび第2の端面12fが側面視または平面視凹状となる構造になる。このような構成にすることで、積層体12に導電性ペーストをディップした際に、第1の端面12eおよび第2の端面12fの中央部がくぼんでいるため、表面張力と重力の影響によって、積層体の第1の端面12eおよび第2の端面12fの中央部の導電性ペーストの厚みが薄くなり、外部電極30の外表面が平坦化できるため、ツームストーン現象を抑制できる。
【0132】
また、積層体12,12Aの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bがあることから、積層体12,12Aの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅の外部電極30の厚みは、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの厚みの分だけ厚くすることができる。そのため、積層体12,12Aの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅から内部電極層16へのめっき液の侵入経路が長くなり、耐湿性を向上させることができる。
【0133】
さらに、積層体12,12Aの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bがあることで、外部電極30と積層体12,12Aとのアンカー効果が発生し、積層体12,12Aと外部電極30との密着性が増加するため、積層体12,12Aと外部電極30との隙間が無くなる。このため、めっき液などの水分を侵入させない効果がある。ここで、仮に、めっき液などの水分が入ったとしても、積層体12,12Aの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの長さ方向zの長さLPを適正な値に調整しているため、積層体12,12Aの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅の外部電極30の厚みが、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの長さ方向zの長さの分だけ十分に厚くなるため、積層体12の第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅から内部電極層16へのめっき液などの水分の侵入経路が長くなり、耐湿性を向上させることができる。
【0134】
また、本発明にかかる積層セラミックコンデンサ10,10Aにおいて、第1の突出部40aの第1の端面12eに面する部分の長手方向の長さおよび第2の突出部40bの第2の端面12fに面する部分の長手方向の長さは、第1の主面12aまたは第2の主面12b、第1の側面12cまたは第2の側面12dの辺の長さと同等であることが好ましい。このように構成することで、めっき液などの水分が積層体12,12Aの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅から内部電極層16へ侵入する経路が長くなり、耐湿性を向上させることができる。
【0135】
さらに、本発明にかかる積層セラミックコンデンサ10,10Aにおいて、第1の突出部40aの第1の端面12eに面する部分の短手方向の長さおよび第2の突出部40bの第2の端面12fに面する部分の短手方向の長さは、第1の主面側外層部20aおよび第2の主面側外層部20b、第1の側面側外層部22aおよび第2の側面側外層部22bの第1の端面12eまたは第2の端面12fに面する短手方向の長さに対して、40%以上80%以下であることが好ましい。
このような構成にすることで、耐湿性の向上と外観不良をさらに低減することができる。
また、第1の突出部40aの第1の端面12eに面する部分の短手方向の長さおよび第2の突出部40bの第2の端面12fに面する部分の短手方向の長さが、第1の主面側外層部20aおよび第2の主面側外層部20bの短手方向の長さに対して、40%未満になると、第1の側面12cおよび第2の側面12d側の縁辺付近の領域、または、第1の主面12aおよび第2の主面12b側の縁辺付近の領域の外部電極30の厚みを十分に確保できないため、積層体12の第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅から内部電極層16へのめっき液の侵入経路が短くなり、耐湿性が低下する。
さらに、第1の突出部40aの第1の端面12eに面する部分の短手方向の長さおよび第2の突出部40bの第2の端面12fに面する部分の短手方向の長さが、第1の主面側外層部20aおよび第2の主面側外層部20bの短手方向の長さに対して、80%以上になると、マスキング用治具によって第1の突出部40aおよび第2の突出部40bを設ける際に、マスキングされていない領域が小さくなる。ここで、マスキング用治具の寸法にバラつきがあると、本来ならマスキング用治具の開口部(すなわち、マスキングされていない領域)は、内部電極層16の領域にかからない位置に配置されるべきところが、マスキング用治具の開口部が内部電極層16の領域よりも狭くなり、本来なら研磨されるべき内部電極層16の領域までマスキングがされた状態になってしまう。このため、マスキング用治具のバラつきにより、サンドブラスト処理時に、内部電極層16の一部が研磨されない領域が発生し、一部に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bが無い構成となる。この結果、積層体12の第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅から内部電極層16へのめっき液の侵入経路が短くなり、耐湿性が低下する。
【0136】
また、本発明にかかる積層セラミックコンデンサ10,10Aにおいて、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの積層体12,12Aの長さ方向にあたる長さは、下地電極層32の長さ方向の最も厚い部分の厚さLTOPに対して0.1%以上39%以下であることが好ましい。
このような構成にすることで、耐湿性の向上と外観不良をさらに低減することができる。
また、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの積層体12の長さ方向zにあたる長さLPが、下地電極層32の長さ方向の最も厚い部分の厚さLTOPに対して0.1%未満のものは、製造上作製することが困難である。
また、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの積層体12の長さ方向zにあたる長さLPが、下地電極層32の長さ方向の最も厚い部分の厚さLTOPに対して39%より大きくなると、外部電極30の表面に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bが露出しやすい構成となり、外観不良が発生する確率が高くなる。
【0137】
さらに、本発明にかかる積層セラミックコンデンサ10,10Aにおいて、第1の突出部40aおよび第2の突出部40b以外の第1の端面12eおよび第2の端面12fの表面は平坦な形状を有することが好ましい。このような構成にすることで、下地電極層32の端面中央部の厚みが厚くなるため、下地電極層32の端面の四隅の厚みが薄い場合に生じるツームストーン現象を抑制することができる。
【0138】
また、本発明にかかる積層セラミックコンデンサ10Bにおいて、第1の端面12eには、積層体12Bの四隅に位置する4つの第1の突出部40aが配置されており、第2の端面12fには、積層体12Bの四隅に位置する4つの第2の突出部40bが配置されており、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bは、内層部18には掛からないように配置されている。
積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bを設けることで、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fが凹状となる構造になる。このような構成にすることで、積層体12Bに導電性ペーストをディップした際に、第1の端面12eおよび第2の端面12fの中央部がくぼんでいるため、表面張力と重力の影響によって、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fの中央部の導電性ペーストの厚みが薄くなり、外部電極30の外表面が平坦化できるため、ツームストーン現象を抑制できる。
【0139】
また、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bがあることから、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅の外部電極30の厚みは、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの厚みの分だけ厚くすることができる。そのため、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅から内部電極層16へのめっき液の侵入経路が長くなり、耐湿性を向上させることができる。
【0140】
さらに、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bがあることで、外部電極30と積層体12Bとのアンカー効果が発生し、積層体12Bと外部電極30との密着性が増加するため、積層体12Bと外部電極30との隙間が無くなる。このため、めっき液などの水分を侵入させない効果がある。ここで、仮に、めっき液などの水分が入ったとしても、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの長さ方向zの長さLPを適正な値に調整しているため、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅の外部電極30の厚みが、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの長さ方向zの長さの分だけ十分に厚くなるため、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅から内部電極層16へのめっき液などの水分の侵入経路が長くなり、耐湿性を向上させることができる。
したがって、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fの四隅に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bを有することにより、ツームストーン現象を抑制しつつ耐湿性を向上させることができる。
【0141】
さらに、本発明にかかる積層セラミックコンデンサ10Bにおいて、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bのそれぞれの幅方向yの長さWPは、積層体12Bの幅方向yの寸法Wに対して、30%以上45%以下であることが好ましい。
このように構成することで、第1の主面側外層部20aおよび第2の主面側外層部20bの一部に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bが形成されていない領域から、導電性ペーストへの浸漬前に積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fに存在していた空気が抜けていくことができるため、導電性ペーストから積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fを引き上げる際に、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fに付着した導電性ペースト中の気孔の残存を抑制でき、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fに付着した導電性ペーストを焼き付けて形成した外部電極30中のピンホールの発生を抑制することができる。
【0142】
また、本発明にかかる積層セラミックコンデンサ10Bにおいて、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bのそれぞれの高さ方向xの長さTPは、積層体12Bの高さ方向xの寸法Tに対して、30%以上45%以下であることが好ましい。
このように構成することで、第1の側面側外層部22aおよび第2の側面側外層部22bの一部に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bが形成されていない領域から、導電性ペーストへの浸漬前に積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fに存在していた空気が抜けていくことができるため、導電性ペーストから積層体12の第1の端面12eおよび第2の端面12fを引き上げる際に、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fに付着した導電性ペースト中の気孔の残存を抑制でき、積層体12Bの第1の端面12eおよび第2の端面12fに付着した導電性ペーストを焼き付けて形成した外部電極30中のピンホールの発生を抑制することができる。
【0143】
さらに、本発明にかかる積層セラミックコンデンサ10Bにおいて、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの積層体12の長さ方向zにあたる長さLPは、下地電極層32の長さ方向zの最も厚い部分の厚さLTOPに対して0.1%以上39%以下であることが好ましい。
このように構成することで、耐湿性の向上と外観不良をさらに低減することができる。また、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの積層体12Bの長さ方向zにあたる長さLPは、下地電極層32の長さ方向の最も厚い部分の厚さLTOPに対して、0.1%未満のものは、製造上作製することが困難である。また、第1の突出部40aおよび第2の突出部40bの積層体12Bの長さ方向zにあたる長さLPは、下地電極層32の長さ方向の最も厚い部分の厚さLTOPに対して39%より大きくなると、外部電極30の表面に第1の突出部40aおよび第2の突出部40bが露出しやすい構成となり、外観不良が発生する確率が高くなる。
【0144】
さらに、本発明にかかる積層セラミックコンデンサ10Bにおいて、第1の突出部40aおよび第2の突出部40b以外の第1の端面12eおよび第2の端面12fの表面は平坦な形状を有することが好ましい。
このように構成することで、下地電極層32の端面中央部の厚みが厚くなるため、下地電極層32の端面の四隅の厚みが薄い場合に生じるツームストーン現象を抑制することができる。
【0145】
なお、以上のように、本発明の実施の形態は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置または配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0146】
10,10A,10B 積層セラミックコンデンサ
12 積層体
12a 第1の主面
12b 第2の主面
12c 第1の側面
12d 第2の側面
12e 第1の端面
12f 第2の端面
14 誘電体層
20a 第1の主面側外層部
20b 第2の主面側外層部
22a 第1の側面側外層部
22b 第2の側面側外層部
16 内部電極層
16a 第1の内部電極層
16b 第2の内部電極層
18 内層部
26 対向部
28 引出し部
30 外部電極
30a 第1の外部電極
30b 第2の外部電極
32 下地電極層
32a 第1の下地電極層
32b 第2の下地電極層
34 めっき層
34a 第1のめっき層
34b 第2のめっき層
40 突出部
40a 第1の突出部
40b 第2の突出部
x 高さ方向
y 幅方向
z 長さ方向
T 積層体の高さ方向の長さ
W 積層体の幅方向の長さ
L 積層体の長さ方向の長さ
TP 突出部の高さ方向の長さ
WP 突出部の幅方向の長さ
LP 突出部の長さ方向の長さ
TOP 下地電極層の長さ方向の最も厚い部分の長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図11
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図13A
図13B
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図15A
図15B
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