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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132202
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】積層型電池の製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20230914BHJP
   H01M 50/466 20210101ALI20230914BHJP
   H01M 50/403 20210101ALI20230914BHJP
   H01M 10/0525 20100101ALI20230914BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALN20230914BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M50/466
H01M50/403 C
H01M10/0525
H01M10/0585
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037386
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000141886
【氏名又は名称】株式会社京都製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 祥之
(72)【発明者】
【氏名】本荘 ▲晃▼
【テーマコード(参考)】
5H021
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5H021BB11
5H021BB19
5H021CC18
5H028AA05
5H028BB00
5H028BB05
5H028BB19
5H028CC11
5H029AJ14
5H029AK03
5H029AL07
5H029BJ12
5H029CJ01
5H029CJ04
5H029CJ05
5H029CJ30
5H029DJ04
(57)【要約】
【課題】高精度な品質を維持しつつ、生産性の向上を実現することができる積層型電池の製造方法、及び当該方法を実施する製造装置を提供する。
【解決手段】複数の正極板13A及び負極板10Aを交互に積層し、当該複数の正極板13A及び負極板10Aの間にセパレータ11・12を各々介在させてなる積層型電池Bの製造方法であって、一列に並べた複数の正極板13Aまたは負極板10Aを上下から長尺のセパレータ11・12で挟み込む工程と、セパレータ11・12に対し一つの正極板13Aまたは負極板10Aの上下を挟み込むセパレータ11・12ごとに分割する分割工程と、分割したセパレータ11・12に挟まれた負極板10Aと正極板13Aとを交互に積層することで、セパレータ11・12を介在して所定枚数毎に積層された複数の正極板13A及び負極板10Aからなる電極積層体15を形成する積層工程とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の正極板及び負極板を交互に積層し、当該複数の正極板及び負極板の間にセパレータを各々介在させてなる積層型電池の製造方法であって、
一列に並べた複数の正極板または負極板を上下から長尺のセパレータで挟み込む工程と、
前記セパレータに対し一つの正極板または負極板の上下を挟み込むセパレータごとに分割する分割工程と、
前記分割したセパレータに挟まれた負極板と正極板とを交互に積層することで、前記セパレータを介在して所定枚数毎に積層された複数の正極板及び負極板からなる電極積層体を形成する積層工程と
を備える、
ことを特徴とする積層型電池の製造方法。
【請求項2】
前記積層工程において、
前記複数の正極板または負極板を上下から長尺のセパレータで挟んだ状態で、1枚の正極板または負極板の周囲を囲むように上下の前記セパレータを袋状に形成しつつ溶着する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の積層型電池の製造方法。
【請求項3】
前記積層工程において、
前記複数の正極板および負極板を交互に積層する際に、前記正極板または負極板のいずれか一方を積層位置へ配置すると同時に、前記正極板または負極板のいずれか一方を積層位置へ移動させるために保持する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の積層型電池の製造方法。
【請求項4】
前記分割工程の前において、
前記複数の正極板または負極板を上下から長尺のセパレータで挟んだ状態で、前記1枚の正極板または負極板の周りの上下のセパレータを複数の箇所で接着し、
1枚の正極板または負極板の周囲を囲むように上下の前記セパレータを切断する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の積層型電池の製造方法。
【請求項5】
複数の正極板及び負極板を交互に積層し、当該複数の正極板及び負極板の間にセパレータを各々介在させてなる積層型電池の製造装置であって、
一列に並べた複数の正極板または負極板を上下から長尺のセパレータで挟み込むセパレータ供給装置と、
前記セパレータに対し一つの正極板または負極板の上下を挟み込むセパレータごとに分割する分割装置と、
前記分割したセパレータに挟まれた負極板と正極板とを交互に積層することで、前記セパレータを介在して所定枚数毎に積層された複数の正極板及び負極板からなる複数の電極積層体を形成する電極板載置装置と
を備える、
ことを特徴とする積層型電池の製造装置。
【請求項6】
前記電極板載置装置は、
前記複数の正極板または負極板を上下から長尺のセパレータで挟んだ状態で、1枚の正極板または負極板の周囲を囲むように上下の前記セパレータを袋状に形成しつつ溶着する、
ことを特徴とする、請求項5に記載の積層型電池の製造装置。
【請求項7】
前記電極板載置装置は、
前記複数の正極板および負極板を交互に積層する際に、前記正極板または負極板のいずれか一方を積層位置へ配置すると同時に、前記正極板または負極板のいずれか一方を積層位置へ移動させるために保持する、
ことを特徴とする、請求項5に記載の積層型電池の製造方法。
【請求項8】
前記分割装置の上流側において、
前記複数の正極板または負極板を上下から長尺のセパレータで挟んだ状態で、前記1枚の正極板または負極板の周りの上下のセパレータを複数の箇所で接着する接着装置を備える、
ことを特徴とする、請求項5に記載の積層型電池の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電池の製造方法、及び当該製造方法を実施する、積層型電池の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、セパレータを各々介在させた状態で、例えば正極板及び負極板からなる複数の電極板を、互いに交互に順に積層して形成された積層型電池が知られている。
前記積層型電池の製造方法については、様々な手法が提案されており、例えば特許文献1においては、負極活物質層が塗工された長尺帯状の負極芯体からなる負極シートの両面に、接着シートまたは接着剤等からなる接着層を介して、長尺帯状の第1セパレータ及び第2セパレータを各々接着することにより積層シートを形成し、形成された積層シートを所定形状に切断した後、切断された複数の積層シート(2枚のセパレータによって挟持された負極板)と、予め用意されている複数の正極板とを、互いに交互に積層することにより、複数の正極板と負極板とがセパレータを介して交互に積層された、上記積層型電池を製造する方法が開示されている。
また、例えば、特許文献2においては、正極シートおよび負極シートを絶縁するセパレータの積層方法の一つとして、負極シートの両面にセパレータが積層された状態で、接着剤によって少なくとも部分的に接着することで積層型電池を製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/021263号公報
【特許文献2】特開2020-161331公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、このような構成からなる積層型電池の需要は増々高まり、当該積層型電池の製造工程において、生産性(単位時間当たりの積層型電池の製造個数)の向上を求める要望が増々高くなっている。
しかしながら、前記特許文献1における製造方法においては、積層シートを切断することにより、予め2枚のセパレータによって挟持された負極板を用意しておくことから、例えば、複数の正極板及び負極板と、複数のセパレータとを、1枚毎に順に交互に積層する場合と比べて、多少の生産性の向上は期待できるものの、依然として、複数の正極板及び負極板を積層する際には、長尺帯状の第1セパレータ及び第2セパレータを各々接着することにより積層シートを生成するための時間がかかり、上記要望に合った十分な効果を得ることは困難である。
また、前記特許文献2における製造方法においては、負極シートの両面にセパレータが積層された状態で、接着剤によって少なくとも部分的に接着することから、上記特許文献1における製造方法に比べて、少なくとも接着層を設ける工程を省略することができ、より生産性の向上は望めるものの、当該製造方法によっても、上記要望に合った十分な効果を得ることは困難であった。
【0005】
本発明は、以上に示した現状の問題点に鑑みてなされたものであり、高精度な品質を維持しつつ、生産性の向上を実現することができる積層型電池の製造方法、及び当該方法を実施する製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、本発明に係る積層型電池の製造方法は、複数の正極板及び負極板を交互に積層し、当該複数の正極板及び負極板の間にセパレータを各々介在させてなる積層型電池の製造方法であって、一列に並べた複数の正極板または負極板を上下から長尺のセパレータで挟み込む工程と、前記セパレータに対し一つの正極板または負極板の上下を挟み込むセパレータごとに分割する分割工程と、前記分割したセパレータに挟まれた負極板と正極板とを交互に積層することで、前記セパレータを介在して所定枚数毎に積層された複数の正極板及び負極板からなる電極積層体を形成する積層工程と、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る積層型電池の製造装置は、複数の正極板及び負極板を交互に積層し、当該複数の正極板及び負極板の間にセパレータを各々介在させてなる積層型電池の製造装置であって、一列に並べた複数の正極板または負極板を上下から長尺のセパレータで挟み込むセパレータ供給装置と、前記セパレータに対し一つの正極板または負極板の上下を挟み込むセパレータごとに分割する分割装置と、前記分割したセパレータに挟まれた負極板と正極板とを交互に積層することで、前記セパレータを介在して所定枚数毎に積層された複数の正極板及び負極板からなる複数の電極積層体を形成する電極板載置装置とを備えることを特徴とする。
このように、本発明に係る積層型電池の製造方法及び製造装置においては、一列に並べた複数の正極板または負極板を上下から長尺のセパレータで挟み込み、セパレータに対し一つの正極板または負極板の上下を挟み込むセパレータごとに分割して、分割したセパレータに挟まれた負極板と正極板とを交互に積層することで、前記セパレータを介在して所定枚数毎に積層された複数の正極板及び負極板からなる電極積層体を形成する構成となっている。
従って、正極シート及び負極シートの上下に長尺帯状のセパレータを各々接着することにより積層シートを生成して電極積層体を形成する従来のような積層型電池の製造装置に比べて、少なくとも、接着層の形成工程を減らし、工程を短縮することが可能となり、製造される積層型電池の生産性を向上させることができる。
また、上記のように、形成された複数の電極積層体は、切断されて、各電極積層体に分割されることから、各々の正極板と負極板との間に介在するセパレータが袋状となり、各正極板および負極板が、十分に保持されることとなり、例えば、積層された正極板及び負極板に荷崩れ等が発生するのを防止し、高品質な積層型電池を得ることができる。
【0008】
また、本発明に係る積層型電池の製造方法においては、前記積層工程において、前記複数の正極板または負極板を上下から長尺のセパレータで挟んだ状態で、1枚の正極板または負極板の周囲を囲むように上下の前記セパレータを袋状に形成しつつ溶着することが好ましい。
また、本発明に係る積層型電池の製造装置においては、前記電極板載置装置は、前記複数の正極板または負極板を上下から長尺のセパレータで挟んだ状態で、1枚の正極板または負極板の周囲を囲むように上下の前記セパレータを袋状に形成しつつ溶着する、ことが好ましい。
このような構成を有することにより、上下から長尺のセパレータで挟んだ状態で、1枚の正極板または負極板の周囲を囲むように上下の前記セパレータを袋状に形成しつつ溶着することにより、袋状に形成されたセパレータ内に1枚の正極板または負極板を確実に配置することができ、安定して高品質な積層型電池を得ることができる。
【0009】
また、本発明に係る積層型電池の製造方法においては、前記積層工程において、前記複数の正極板および負極板を交互に積層する際に、前記正極板または負極板のいずれか一方を積層位置へ配置すると同時に、前記正極板または負極板のいずれか一方を積層位置へ移動させるために保持することが好ましい。
また、本発明に係る積層型電池の製造装置においては、前記電極板載置装置は、前記複数の正極板および負極板を交互に積層する際に、前記正極板または負極板のいずれか一方を積層位置へ配置すると同時に、前記正極板または負極板のいずれか一方を積層位置へ移動させるために保持することが好ましい。
このような構成を有することにより、正極板および負極板を交互に積層する際に、正極板または負極板のいずれか一方の積層位置への配置と、他方の積層位置への移動を同時に行うことができるため、さらに安定して高品質な積層型電池を得ることができる。
【0010】
また、本発明に係る積層型電池の製造方法においては、前記分割工程の前において、前記複数の正極板または負極板を上下から長尺のセパレータで挟んだ状態で、前記1枚の正極板または負極板の周りの上下のセパレータを複数の箇所で接着することが好ましい。
また、本発明に係る積層型電池の製造装置においては、前記分割装置の上流側において、前記複数の正極板または負極板を上下から長尺のセパレータで挟んだ状態で、前記1枚の正極板または負極板の周りの上下のセパレータを複数の箇所で接着する接着装置を備えることが好ましい。
このような構成を有することにより、袋状のセパレータによって包装される位置に正極板または負極板をずれることなく配置することができ、袋状のセパレータの内部に正極板または負極板を配置した状態で確実に溶着することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明に係る積層型電池の製造方法及び製造装置によれば、高精度な品質を維持しつつ、生産性の向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る積層型電池の製造方法を経時的に順に示した図であって、(a)~(e)によって形成される積層型電池の各状態を示した断面模式図である。
図2】本発明に係る積層型電池の製造装置の全体構成を示した正面図である。
図3】本発明に係る積層型電池の製造装置の全体構成を示した平面図である。
図4】帯状の電極板を所定形状に切断する際の手順を示した模式図である。
図5】本発明の第二の実施形態に係る積層型電池の製造方法を経時的に順に示した図であって、(a)~(f)によって形成される積層型電池の各状態を示した断面模式図である。
図6】本発明の第二の実施形態に係る積層型電池の製造装置の全体構成を示した正面図である。
図7】本発明の第二の実施形態に係るセパレータ供給装置の構成を示した正面図である。
図8】本発明の第二の実施形態に係る接着装置の構成を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の一実施形態について、図1から図4を用いて説明する。
【0014】
[積層型電池の製造方法]
本発明の積層型電池Bは、充放電が可能な二次電池であり、正極の電極シートである正極シートと、負極の電極シートである負極シートと、これらの正極シートおよび負極シートを絶縁するセパレータが積層された電極積層体を備える。正極シートは、正極集電体(アルミニウム等)と、正極集電体の両面に形成される正極合剤層とを含む。正極合剤層は、正極活物質(コバルト酸リチウム等)や導電剤、バインダを含む正極合剤スラリーで構成される。負極シートは、負極集電体(銅等)と、負極集電体の両面に形成される負極合剤層とを含む。負極合剤層は、負極活物質(グラファイト等)や導電剤、バインダを含む負極合剤スラリーで構成される。
【0015】
[積層型電池の製造装置(第一の実施形態)]
第一の実施形態にかかる積層型電池Bの製造方法は、負極シート10から負極板10Aに切断する第一の工程と、負極板10Aに負極タブ10Aaを形成する第二の工程と、切断された複数の負極板10Aを並べた状態で上下から長尺のセパレータ11・12で挟む第三の工程と、複数の負極板10Aを上下から長尺のセパレータ11・12で挟んだ状態で、一つの負極板10Aの上下を挟むセパレータ11・12ごとに分割する第四の工程と、第四の工程で分割したセパレータ11・12に挟まれた負極板10Aと正極板13Aとを交互に積層する第五の工程と、第五の工程において積層された負極板10Aと正極板13Aの間に挟まれたセパレータ11・12の周囲の部分を溶着して袋状のセパレータとする第六の工程と、第六の工程において袋状に包まれた負極板10Aおよび正極板13Aの積層体である電極積層体15をセパレータ16により包装する第七の工程とを含む。
【0016】
図1を用いて、第一の実施形態にかかる積層型電池Bの形成過程について説明する。
第一の工程および第二の工程において形成された負極タブ10Aaを有する負極シート10は製造装置100下流へと送られる。図1(a)に示されるように、第三の工程において、複数の負極板10Aを並べた状態で上下から長尺のセパレータ11・12で挟み込まれる。次に、図1(b)に示すように、第四の工程において、一つの負極板10Aの上下を挟むセパレータ11・12ごとに分割する。次に、図1(c)および(d)に示すように、第五の工程において、第四の工程で分割したセパレータ11・12に挟まれた負極板10Aと正極板13Aとを交互に積層する。次に、図1(e)に示すように、第六の工程において、第五の工程で積層された負極板10Aと正極板13Aの間に挟まれたセパレータ11・12の周囲の部分を溶着して袋状のセパレータとする。最後に、第七の工程において、負極板10Aおよび正極板13Aの積層体である電極積層体15をセパレータ16により包装する。
【0017】
なお、本実施形態においては、分割された各電極積層体15に対して、更に数回、積層構造を拘束するようにして、セパレータ16により包装することにより、積層型電池Bを構築することとしているが、これに限定されるものではなく、当該セパレータ16を有することなく、分割された各電極積層体15をもって、積層型電池Bとしてもよい。
【0018】
[積層型電池の製造装置(第一の実施形態)]
次に、図2および図3を用いて、第一の実施形態にかかる積層型電池Bの製造装置100の構成について説明する。
【0019】
図2は、図1(a)~(e)に示した第一の実施形態における電極積層体15を製造する製造装置100の構成を模式的に示した図である。
【0020】
図2に示すように、製造装置100は、両端側に配置された負極シート10および正極シート13を中央側へ搬送する過程において、一枚の負極板10Aおよび正極板13Aに加工し、中央の回転テーブル56上で、電極積層体15を形成する装置である。まず、負極シート10から負極板10Aへ加工する負極板10Aの加工レーン21について説明する。負極板10Aの加工レーン21の最上流側に、負極シート10を巻回したロール10Rが配置されている。
【0021】
ロール10Rの下流側には、搬送ローラ22が設けられている。搬送ローラ22は、ロール10Rから繰り出した長尺の負極シート10を、テンションをかけた状態で加工レーン21の下流へ搬送する。搬送ローラ22の下流側には、トリミング装置23が配置されている。トリミング装置23は、図4に示されるように、一端部を切断することで、負極タブ10Aaを形成する装置である。
【0022】
負極板10Aの負極タブ10Aaは、負極板10Aの一端の一部を切り欠くことにより形成される。負極板10Aの負極タブ10Aa以外の部分には、負極合剤層10Abが形成されている。
【0023】
トリミング装置23のさらに下流側には切断装置24が配置されている。切断装置24は、負極タブ10Aaが形成された長尺の負極シート10を短冊状の負極板10Aに分割する装置である。切断装置24は、レーザー光やカッター等を用いることができる。
【0024】
一つの短冊状の負極板10Aには、一つの負極タブ10Aaが配置されるように分割される。また、切断装置24においては、図4に示すように負極タブ10Aaが形成される端部と反対側の端部を面取りするように切断する。
【0025】
切断装置24の下流側にはセパレータ供給装置25が配置されている。セパレータ供給装置25は複数枚の負極板10Aの上下にセパレータ11・12を配置する装置である。セパレータ供給装置25は、複数枚の負極板10Aを上方へ移動させる把持部31と、複数枚の負極板10Aの下方にセパレータ11・12を敷設する下部セパレータ供給部32と、複数枚の負極板10Aの上方にセパレータ12を敷設する上部セパレータ供給部33と、を備える。
【0026】
把持部31は、複数枚の負極板10Aを上方に移動させて把持する装置である。下部セパレータ供給部32は、長尺のセパレータ11を巻回したロール11Rと、ロール11Rから長尺のセパレータ11を繰出す繰出し部32aと、を備える。繰出し部32aは、吸引ベルトと繰出しローラから構成されセパレータ11を吸引ベルトによって吸引して繰出す。また、上部セパレータ供給部33は、長尺のセパレータ12を巻回したロール12Rと、ロール12Rから長尺のセパレータ12を繰出す繰出し部33aと、を備える。繰出し部33aは、吸引ベルトと繰出しローラから構成されセパレータ12を吸引ベルトによって吸引して繰出す。
【0027】
セパレータ供給装置25の下流側には、セパレータ切断装置26が配置されている。セパレータ切断装置26は、長尺のセパレータ11・12に挟まれた一枚の負極板10Aの周囲を包装可能なサイズに切断して分割する分割装置である。セパレータ切断装置26は、セパレータ11・12を切断することにより、一枚の負極板10Aの上下にセパレータ11・12を載置した状態で複数枚が整列する。
【0028】
次に、図2を用いて、正極シート13から正極板13Aへ加工する正極板13Aの加工レーン41について説明する。正極板13Aの加工レーン41の最上流側に、正極シート13を巻回したロール13Rが配置されている。
【0029】
ロール13Rの下流側には、搬送ローラ42が設けられている。搬送ローラ42は、ロール13Rから繰り出した長尺の正極シート13を、テンションをかけた状態で加工レーン41の下流へ搬送する。搬送ローラ42の下流側には、トリミング装置43が配置されている。トリミング装置43は、図4に示されるように、一端部を切断することで、正極タブ13Aaを形成する装置である。正極板13Aの正極タブ13Aaは、正極板13Aの一端の一部を切り欠くことにより形成される。正極板13Aの正極タブ13Aa以外の部分には、正極合剤層13Abが形成されている。
【0030】
トリミング装置43のさらに下流側には切断装置44が配置されている。切断装置44は、正極タブ13Aaが形成された長尺の正極シート13を短冊状の正極板13Aに分割する装置である。切断装置44は、レーザー光やカッター等を用いることができる。
【0031】
一つの短冊状の正極板13Aには、一つの正極タブ13Aaが配置されるように分割される。また、切断装置44においては、図4に示すように正極タブ13Aaが形成される端部と反対側の端部を面取りするように切断する。
【0032】
負極板10Aの加工レーン21の下流端および正極板13Aの加工レーン41の下流端が配置される製造装置100の中央部には、電極板載置装置の一例である電極板保持装置51が配置される。
【0033】
電極板保持装置51は、複数の正極板13Aおよび負極板10Aを交互に積層する装置である。より詳しくは、電極板保持装置51は、正極板13Aまたは負極板10Aのいずれか一方を積層位置へ配置(プレイス)すると同時に、正極板13Aまたは負極板10Aのいずれか一方を積層位置へ移動させるために保持(ピック)する装置である。電極板保持装置51は、第一搬送アーム52および第二搬送アーム53と当該第一搬送アーム52および第二搬送アーム53を回動可能に支持する支持柱54とを備える。
【0034】
第一搬送アーム52および第二搬送アーム53は先端に複数の負極板10Aおよび正極板13Aを把持可能な把持装置55を有している。第一搬送アーム52の把持装置55は、空気吸引によりセパレータ11・12に挟まれた負極板10Aを把持する。また、第二搬送アーム53の把持装置55は、空気吸引により正極板13Aを把持する。
【0035】
第一搬送アーム52および第二搬送アーム53は支持柱54を中心として平面視において90度に配置されている。すなわち、第一搬送アーム52および第二搬送アーム53は一方が負極板10Aもしくは正極板13Aを把持している際には、一方は、回転テーブル56の上方に配置される。
【0036】
回転テーブル56は、上下方向に延びる支軸を中心として回転可能に構成されている。回転テーブル56上には、電極積層体15を載置するパレット57が、180度対向する位置に設けられている。
【0037】
[積層型電池の製造装置の動作手順(第一の実施形態)]
次に、図2および図3を参照しながら、積層型電池Bの製造装置100の動作手順について説明する。
【0038】
図3に示すように、負極タブ10Aaが形成された負極シート10は、さらに下流側の切断装置24によって、短冊状の負極板10Aに分割される。一つの短冊状の負極板10Aには、一つの負極タブ10Aaが配置されるように分割される。また、切断装置24においては、図4に示すように負極タブ10Aaが形成される端部と反対側の端部を面取りするように切断する。
【0039】
切断された負極板10Aは、複数枚を並べた状態で、下流側のセパレータ供給装置25へ搬送される。複数枚の負極板10Aの下方には下部セパレータ供給部32によってセパレータ11が敷設される。まず、複数枚の負極板10Aは把持部31によって上方に移動する。セパレータ11は下部セパレータ供給部32のロール11Rに巻回されており、繰出し部32aによって繰出されて、複数枚の負極板10Aの下面に配置される。次に、把持部31が下降して、セパレータ11の上面に複数枚の負極板10Aが配置される。
【0040】
次に、複数枚の負極板10Aの上方には上部セパレータ供給部33によってセパレータ12が敷設される。上流側において下方に敷設されたセパレータ11とともに複数枚の負極板10Aが下流側に搬送される。セパレータ12は、上部セパレータ供給部33のロール12Rに巻回されており、繰出し部33aによって繰出されて、複数枚の負極板10Aの上面に配置される。
【0041】
次に、セパレータ切断装置26によって、長尺のセパレータ11・12を、一枚の負極板10Aの周囲を包装可能なサイズに切断する。セパレータ11・12を切断することにより、一枚の負極板10Aの上下にセパレータ11・12を載置した状態で複数枚が整列する。
【0042】
一方正極板13Aの加工レーン41からは、正極板13Aが搬送される。ロール13Rから引き出された正極シート13は、搬送ローラ42によってテンションをかけた状態で正極板13Aの加工レーン41の下流へ搬送される。下流へ搬送された正極シート13には、図4に示されるように、トリミング装置43によって、一端部を切断することで、正極タブ13Aaが形成される。正極板13Aの正極タブ13Aaは、正極板13Aの一端の一部を切り欠くことにより形成される。正極板13Aの正極タブ13Aa以外の部分には、正極合剤層13Abが形成されている。
【0043】
図2に示すように、正極タブ13Aaが形成された正極シート13Aは、さらに下流側の切断装置44によって、短冊状の正極板13Aに分割される。一つの短冊状の正極板13Aには、一つの正極タブ13Aaが配置されるように分割される。また、切断装置44においては、図4に示すように正極タブ13Aaが形成される端部と反対側の端部を面取りするように切断する。
【0044】
次に、電極板保持装置51を用いて複数の正極板13Aおよび負極板10Aを交互に積層する。回転テーブル56において、第一搬送アーム52の把持装置55からパレット57上に載置(プレイス)された、上下にセパレータ11・12を備えた負極板10Aの上に、第二搬送アーム53の把持装置55から載置(ピック)された正極板13Aが載置(プレイス)される。これを繰り返すことにより、電極積層体15が回転テーブル56のパレット57に載置される。
【0045】
回転テーブル56が180°回転することにより、上流側で形成された電極積層体15が回転テーブル56の下流側に搬送される。回転テーブル56下流側に搬送された電極積層体15はさらに製造装置100の下流側にある図示せぬ包装装置に搬送される。前記包装装置において、電極積層体15は、積層された負極板10Aと正極板13Aとの間に挟まれたセパレータ11・12の周囲の部分を溶着して袋状のセパレータを形成する。さらに袋状のセパレータを複数重ねた電極積層体15の最外周にセパレータ16を巻回することにより包装する。
【0046】
[積層型電池の製造装置(第二の実施形態)]
第二の実施形態にかかる積層型電池Bの製造方法は、負極シート10から負極板10Aに切断する第一の工程と、負極板10Aに負極タブ10Aaを形成する第二の工程と、切断された複数の負極板10Aを並べた状態で上下から長尺のセパレータ11・12で挟む第三の工程と、複数の負極板10Aを上下から長尺のセパレータ11・12で挟んだ状態で、一つの負極板10Aの上下のセパレータ11・12を複数の箇所で接着する、第四の工程と、第四の工程により接着された部分を切断してセパレータ11・12ごとに分割する第五の工程と、第五の工程で分割したセパレータ11・12に挟まれた負極板10Aと正極板13Aとを交互に積層する第六の工程と、第六の工程において積層された負極板10Aと正極板13Aの間に挟まれたセパレータ11・12の周囲の部分を溶着して袋状のセパレータとする第七の工程と、第七の工程において袋状に包まれた負極板10Aおよび正極板13Aの積層体である電極積層体15をセパレータ16により包装する第八の工程とを含む。
【0047】
なお、本実施形態においては、分割された各電極積層体15に対して、更に数回、積層構造を拘束するようにして、セパレータ16により包装することにより、積層型電池Bを構築することとしているが、これに限定されるものではなく、当該セパレータ16を有することなく、分割された各電極積層体15をもって、積層型電池Bとしてもよい。
【0048】
図5を用いて、第二の実施形態にかかる積層型電池の形成過程について説明する。
第一の工程および第二の工程において形成された負極タブ10Aaを有する負極シート10は製造装置100下流へと送られる。図5(a)に示されるように、第三の工程において、複数の負極板10Aを並べた状態で上下から長尺のセパレータ11・12で挟み込まれる。次に、図5(b)に示すように、第四の工程において、一つの負極板10Aの周りの上下のセパレータ11・12を複数の箇所で接着する。次に、図5(c)に示すように、第五の工程において、接着した箇所を含む部分を切断することで分割する。次に、図5(d)および(e)に示すように、第六の工程において、第五の工程で分割したセパレータ11・112に挟まれた負極板10Aと正極板13Aとを交互に積層する。次に、図5(f)に示すように、第七の工程において、第六の工程で積層された負極板10Aと正極板13Aとの間に挟まれたセパレータ11・12の周囲の部分を溶着して袋状のセパレータとする。最後に、第八の工程において、負極板10Aおよび正極板13Aの積層体である電極積層体15をセパレータ16により包装する。
【0049】
[積層型電池の製造装置(第二の実施形態)]
次に、図6および図7を用いて、第二の実施形態にかかる積層型電池Bの製造装置200の構成について説明する。
【0050】
図6は、図5(a)~(f)に示した第二の実施形態における電極積層体15を製造する製造装置200の構成を模式的に示した図である。
【0051】
図6に示すように、製造装置200は、両端側に配置された負極シート10および正極シート13を中央側へ搬送する過程において、一枚の負極板10Aおよび正極板13Aに加工し、中央の搬送パレット88で、電極積層体15を形成する装置である。まず、負極シート10から負極板10Aへ加工する負極板10Aの加工レーン61について説明する。負極板10Aの加工レーン61の最上流側に、負極シート10を巻回したロール10Rが配置されている。
【0052】
ロール10Rの下流側には、搬送ローラ62が設けられている。搬送ローラ62は、ロール10Rから繰り出した長尺の負極シート10を、テンションをかけた状態で加工レーン61の下流へ搬送する。搬送ローラ62の下流側には、トリミング装置63が配置されている。トリミング装置63は、図4に示されるように、一端部を切断することで、負極タブ10Aaを形成する装置である。
【0053】
負極板10Aの負極タブ10Aaは、負極板10Aの一端の一部を切り欠くことにより形成される。負極板10Aの負極タブ10Aa以外の部分には、負極合剤層10Abが形成されている。
【0054】
トリミング装置63のさらに下流側には送りローラ64が設けられている。送りローラ64は、一定の長さの負極シート10を下流側の切断装置65へ送るローラである。送りローラ64の下流側には、切断装置65が配置されている。
【0055】
切断装置65は、負極タブ10Aaが形成された長尺の負極シート10を短冊状の負極板10Aに分割する装置である。切断装置65は、レーザー光やカッター等を用いることができる。
【0056】
一つの短冊状の負極板10Aには、一つの負極タブ10Aaが配置されるように分割される。また、切断装置65においては、図4に示すように負極タブ10Aaが形成される端部と反対側の端部を面取りするように切断する。
【0057】
切断装置65の下流側には送りローラ66が設けられている。送りローラ66は、切断された負極板10Aを下流側のセパレータ供給装置67へ送るローラである。送りローラ66の下流側には、セパレータ供給装置67が配置されている。セパレータ供給装置67は複数枚の負極板10Aの上下にセパレータ11・12を配置する装置である。セパレータ供給装置67は、複数枚の負極板10Aの下方にセパレータ11を敷設する下部セパレータ供給部71と、複数枚の負極板の上方にセパレータ12を敷設する上部セパレータ供給部72と、を備える。
【0058】
下部セパレータ供給部71は、長尺のセパレータ11を巻回したロール11Rと、ロール11Rから長尺のセパレータ11を繰出す繰出し部71aと、を備える。繰出し部71aは、吸引ベルトと繰出しローラから構成されセパレータ11を吸引ベルトによって吸引して繰出す。また、上部セパレータ供給部72は、長尺のセパレータ12を巻回したロール12Rと、ロール12Rから長尺のセパレータ12を繰出す繰出し部72aと、を備える。繰出し部72aは、吸引ベルトと繰出しローラから構成されセパレータ12を吸引ベルトによって吸引して繰出す。
【0059】
セパレータ供給装置67の下流側には接着装置68が設けられている。接着装置68は、上下のセパレータ11・12の接着箇所を押圧し熱を加えることで熱溶着する装置である。接着装置68は、熱押圧部分を有するシールローラや、熱押圧部分を有する棒状のシールバーによって構成されている。
【0060】
接着装置68の下流側には、セパレータ切断装置69が配置されている。セパレータ切断装置69は、長尺のセパレータ11・12に挟まれた一枚の負極板の周囲を包装可能なサイズに切断する装置である。セパレータ切断装置69は、セパレータ11・12を切断することにより、一枚の負極板10Aの上下にセパレータ11・12を載置した状態で複数枚が整列する。
【0061】
次に、正極シート13から正極板13Aへ加工する正極板13Aの加工レーン81について説明する。正極板13Aの加工レーン81の最上流側に、正極シート13を巻回したロール13Rが配置されている。
【0062】
ロール13Rの下流側には、搬送ローラ82が設けられている。搬送ローラ82は、ロール13Rから繰り出した長尺の正極シート13を、テンションをかけた状態で加工レーン81の下流へ搬送する。搬送ローラ82の下流側には、トリミング装置83が配置されている。トリミング装置83は、図7に示されるように、一端部を切断することで、正極タブ13Aaを形成する装置である。正極板13Aの正極タブ13Aaは、正極板13Aの一端の一部を切り欠くことにより形成される。正極板13Aの正極タブ13Aa以外の部分には、正極合剤層13Abが形成されている。
【0063】
トリミング装置83のさらに下流側には切断装置84が配置されている。切断装置84は、正極タブ13Aaが形成された長尺の正極シート13を短冊状の正極板13Aに分割する装置である。切断装置84は、レーザー光やカッター等を用いることができる。
【0064】
一つの短冊状の正極板13Aには、一つの正極タブ13Aaが配置されるように分割される。また、切断装置84においては、図4に示すように正極タブ13Aaが形成される端部と反対側の端部を面取りするように切断する。
【0065】
負極板10Aの加工レーン61の下流端および正極板13Aの加工レーン81の下流端が配置される製造装置200の中央部には、電極板載置装置の一例である移載アーム85が配置される。
【0066】
移載アーム85は、複数の正極板13Aおよび負極板10Aを交互に積層する装置である。より詳しくは、移載アーム85は、正極板13Aまたは負極板10Aのいずれか一方を積層位置へ配置すると同時に、正極板13Aまたは負極板10Aのいずれか一方を積層位置へ移動させるために保持する装置である。
移載アーム85は、第一把持部86および第二把持部87を備える。
【0067】
第一把持部86は、空気吸引によりセパレータ11・12に挟まれた負極板10Aを把持する。また、第二把持部87は、空気吸引により正極板13Aを把持する。
【0068】
搬送パレット88は、電極積層体15を載置するパレットであり、下流側へ搬送する図示せぬ搬送装置の搬送面上に配置されている。
【0069】
[積層型電池の製造装置の動作手順(第二の実施形態)]
次に、図6および図7を参照しながら、積層型電池の製造装置の動作手順について説明する。
【0070】
図6および図7に示すように、負極板10Aの加工レーン61において、ロール10Rから引き出された負極シート10は、搬送ローラ62によってテンションをかけた状態で負極板10Aの加工レーン61の下流へ搬送される。下流へ搬送された負極シート10は、トリミング装置63によって、図4に示されるように、一端部を切断装置65によって切断することで、負極タブ10Aaが形成される。
【0071】
図6および図7に示すように、負極タブ10Aaが形成された負極シート10は、さらに下流側の切断装置65によって、短冊状の負極板10Aに分割される。一つの短冊状の負極板10Aには、一つの負極タブ10Aaが配置されるように分割される。また、切断装置65においては、図4に示すように負極タブ10Aaが形成される端部と反対側の端部を面取りするように切断する。
【0072】
切断された負極板10Aは、複数枚を並べた状態で、送りローラ66によって下流側のセパレータ供給装置67へ搬送される。複数枚の負極板10Aの上方及び下方にはセパレータ11・12が敷設される。セパレータ11・12は下部セパレータ供給部71のロール11Rおよび上部セパレータ供給部72のロール12Rに巻回されており、繰出し部71a・72aによって繰出されて、複数枚の負極板10Aの上面および下面に配置される。
【0073】
次に、例えばシールローラのような接着装置68によって、1枚の負極板10Aの上下のセパレータ11・12を複数の箇所で接着する。図8に示すように、接着箇所は、短冊状の負極板10Aの隣接する長辺間の複数個所ならびに角部および短辺の周囲である。これにより短冊状の負極板10Aの長辺方向および短辺方向への移動が制限される。
【0074】
次に、例えばカッターローラーのようなセパレータ切断装置69によって、長尺のセパレータ11・12を一枚の負極板の周囲を包装可能なサイズに切断する。切断箇所は、短冊状の負極板10Aの隣接する長辺の間であって接着装置68によって接着された接着箇所を含む部分である。セパレータ11・12を切断することにより、一枚の負極板10Aの上下にセパレータ11・12を載置した状態で複数枚が整列する。
【0075】
一方正極板13Aの加工レーン81からは、正極板13Aが搬送される。ロール13Rから引き出された正極シート13は、搬送ローラ82によってテンションをかけた状態で正極板13Aの加工レーン81の下流へ搬送される。下流へ搬送された正極シート13は、トリミング装置83によって、一端部を切断することで、正極タブ13Aaが形成される。正極板13Aの正極タブ13Aaは、正極板13Aの一端の一部を切り欠くことにより形成される。正極板13Aの正極タブ13Aa以外の部分には、正極合剤層13Abが形成されている。
【0076】
図6および図7に示すように、正極タブ13Aaが形成された正極シート13は、さらに下流側の切断装置84によって、短冊状の正極板13Aに分割される。一つの短冊状の正極板13Aには、一つの正極タブ13Aaが配置されるように分割される。また、切断装置84においては、図4に示すように正極タブ13Aaが形成される端部と反対側の端部を面取りするように切断する。
【0077】
次に、移載アーム85を用いて複数の正極板13Aおよび負極板10Aを交互に積層する。
搬送パレット88において、移載アーム85の第一把持部86から載置された負極板10Aの上に第二把持部87から載置された正極板13Aが載置される。これを繰り返すことにより、電極積層体1が搬送パレット88上に載置される。
【0078】
搬送パレット88に載置された電極積層体15は製造装置200の下流側にある図示せぬ包装装置に搬送される。前記包装装置において、電極積層体15は、積層された負極板10Aと正極板13Aとの間に挟まれたセパレータ11・12の周囲の部分を溶着して袋状のセパレータを形成する。さらに袋状のセパレータを複数重ねた電極積層体15の最外周にセパレータ16を巻回することにより包装する。
【0079】
以上、本発明を具現化する一実施形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、及び範囲内の全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0080】
B 積層型電池
10 負極シート
10A 負極板
10Aa 負極タブ
10Ab 負極合剤層
10R ロール
11 セパレータ
12 セパレータ
13 正極シート
13A 正極板
13Aa 正極タブ
13Ab 正極合剤層
13R ロール
21 加工レーン
22 搬送ローラ
23 トリミング装置
24 切断装置
25 セパレータ供給装置
26 セパレータ切断装置
31 把持部
32 下部セパレータ供給部
33 上部セパレータ供給部
41 加工レーン
42 搬送ローラ
43 トリミング装置
44 切断装置
51 電極板保持装置
52 第一搬送アーム
53 第二搬送アーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8