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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132203
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】積層型電池の製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20230914BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALN20230914BHJP
   H01M 10/0525 20100101ALN20230914BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M10/0585
H01M10/0525
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037387
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000141886
【氏名又は名称】株式会社京都製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 祥之
(72)【発明者】
【氏名】本荘 ▲晃▼
【テーマコード(参考)】
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5H028AA05
5H028BB00
5H028BB04
5H028BB19
5H028CC08
5H028CC11
5H028HH05
5H029AJ14
5H029AK03
5H029AL07
5H029BJ12
5H029CJ03
5H029CJ04
5H029CJ30
5H029DJ04
5H029HJ03
5H029HJ12
(57)【要約】
【課題】高精度な品質を維持しつつ、生産性の向上を実現することができる積層型電池の製造方法、及び当該方法を実施する製造装置を提供する。
【解決手段】長尺帯状のセパレータ103をつづら折りし、セパレータ103が折り返される度に、折り返されたセパレータ103上に、所定枚数の正極板101、及び所定枚数の負極板102を、当該セパレータ103の長手方向に沿って並べた状態で、各々纏めて順に交互に載置することで、セパレータ103を介在して所定枚数毎に積層された複数の正極板101及び負極板102からなる電極積層体群110を形成する積層工程S02と、形成された電極積層体群110を、ヒートカットによって、正極板101及び負極板102の積層方向に切断し、セパレータ103を介在して1枚毎に積層された複数の正極板101及び負極板102からなる電極積層体110Aに分割する分割工程S03とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の正極板及び負極板を各々交互に積層し、当該複数の正極板及び負極板の間にセパレータを各々介在させてなる積層型電池の製造方法であって、
長尺帯状のセパレータをつづら折りし、つづら折りによってセパレータが折り返される度に、折り返されたセパレータ上に、所定枚数の正極板、及び所定枚数の負極板を、当該セパレータの長手方向に沿って並べた状態で、各々纏めて順に交互に載置することで、
セパレータを介在して所定枚数毎に積層された複数の正極板及び負極板からなる電極積層体群を形成する積層工程と、
前記積層工程によって形成された前記電極積層体群を、ヒートカットによって、前記正極板及び前記負極板の積層方向に切断し、
セパレータを介在して1枚毎に積層された複数の正極板及び負極板からなる電極積層体に分割する分割工程とを備える、
ことを特徴とする積層型電池の製造方法。
【請求項2】
前記積層工程において、
前記所定枚数の正極板、及び前記所定枚数の負極板は、各々所定間隔を有して離間した状態で、前記セパレータの長手方向に沿って並べられ、
前記分割工程において、
前記電極積層体群は、互いに隣り合う正極板、または互いに隣り合う負極板の間の位置にて切断される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の積層型電池の製造方法。
【請求項3】
前記積層工程において、
前記所定枚数の正極板、及び前記所定枚数の負極板における前記所定間隔は、
4mm以上6mm以下である、
ことを特徴とする、請求項2に記載の積層型電池の製造方法。
【請求項4】
前記負極板は、
一方に延びる短冊状の負極芯体と、
当該負極芯体の表裏両面に塗工された負極活物質層とを有し、
前記積層工程において、
前記セパレータの長手方向と直交するようにして、当該セパレータ上に載置され、
前記セパレータにおける長手方向と直交する幅方向の寸法は、
前記負極板の負極活物質層における、前記負極芯体の延出方向の寸法に比べて大きい、
ことを特徴とする、請求項1~請求項3の何れか一項に記載の積層型電池の製造方法。
【請求項5】
複数の正極板及び負極板を各々交互に積層し、当該複数の正極板及び負極板の間にセパレータを各々介在させてなる積層型電池の製造装置であって、
長尺帯状のセパレータをつづら折りするつづら折り装置と、
前記つづら折り装置によってセパレータが折り返される度に、折り返されたセパレータ上に、所定枚数の正極板、及び所定枚数の負極板を、当該セパレータの長手方向に沿って並べた状態で、各々纏めて順に交互に載置する電極板載置装置と、
前記つづら折り装置及び前記電極板載置装置によって形成された、セパレータを介在して所定枚数毎に積層された複数の正極板及び負極板からなる電極積層体群を、ヒートカットによって、前記正極板及び前記負極板の積層方向に切断し、
セパレータを介在して1枚毎に積層された複数の正極板及び負極板からなる電極積層体に分割する分割装置とを備える、
ことを特徴とする積層型電池の製造装置。
【請求項6】
前記電極板載置装置は、
前記所定枚数の正極板、及び前記所定枚数の負極板を、各々所定間隔を有して離間した状態で、前記セパレータの長手方向に沿って並べて載置し、
前記分割装置は、
前記電極積層体群を、互いに隣り合う正極板、または互いに隣り合う負極板の間の位置にて切断する、
ことを特徴とする、請求項5に記載の積層型電池の製造装置。
【請求項7】
前記電極板載置装置において、
前記所定枚数の正極板、及び前記所定枚数の負極板における前記所定間隔は、
4mm以上6mm以下である、
ことを特徴とする、請求項6に記載の積層型電池の製造装置。
【請求項8】
前記負極板は、
一方に延びる短冊状の負極芯体と、
当該負極芯体の表裏両面に塗工された負極活物質層とを有し、
前記電極板載置装置は、
前記セパレータの長手方向と直交するようにして、当該セパレータ上に前記所定枚数の負極板を各々載置し、
前記セパレータにおける長手方向と直交する幅方向の寸法は、
前記負極板の負極活物質層における、前記負極芯体の延出方向の寸法に比べて大きい、
ことを特徴とする、請求項5~請求項7の何れか一項に記載の積層型電池の製造方法。
【請求項9】
前記つづら折り装置及び前記電極板載置装置が配置され、前記電極積層体群を形成する積層エリアと、
前記分割装置が配置され、前記電極積層体群を各々の前記電極積層体に分割する分割エリアとが設けられ、
複数の正極板を一方向に連続的に搬送し、前記積層エリアに当該正極板を供給する正極側搬送装置と、
複数の負極板を一方向に連続的に搬送し、前記積層エリアに当該負極板を供給する負極側搬送装置と、
前記積層エリアと前記分割エリアとの間で前記電極積層体群を移動させる移動装置とをさらに備える、
ことを特徴とする、請求項5~請求項7の何れか一項に記載の積層型電池の製造装置。
【請求項10】
前記移動装置は、回転テーブルによって構成される、
ことを特徴とする、請求項9に記載の積層型電池の製造装置。
【請求項11】
平面視において、
前記正極側搬送装置及び前記負極側搬送装置は、互いに並列に配置される、
ことを特徴とする、請求項9に記載の積層型電池の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電池の製造方法、及び当該製造方法を実施する、積層型電池の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、セパレータを各々介在させた状態で、例えば正極板及び負極板からなる複数の電極板を、互いに交互に順に積層して形成された積層型電池が知られている。
前記積層型電池の製造方法については、様々な手法が提案されており、例えば特許文献1においては、負極活物質層が塗工された長尺帯状の負極芯体からなる負極シートの両面に、接着シートまたは接着剤等からなる接着層を介して、長尺帯状の第1セパレータ及び第2セパレータを各々接着することにより積層シートを形成し、形成された積層シートを所定形状に切断した後、切断された複数の積層シート(2枚のセパレータによって挟持された負極板)と、予め用意されている複数の正極板とを、互いに交互に積層することにより、複数の正極板と負極板とがセパレータを介して交互に積層された、上記積層型電池を製造する方法が開示されている。
また、例えば、特許文献2においては、長尺帯状のセパレータをつづら折りしながら、セパレータが折り返される度に、当該セパレータ上に複数の正極板及び負極板を1枚毎順に交互に積層することにより、複数の正極板と負極板とがセパレータを介して交互に積層された、上記積層型電池を製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/021263号公報
【特許文献2】特開2017-16946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、このような構成からなる積層型電池の需要は増々高まり、当該積層型電池の製造工程において、生産性(単位時間当たりの積層型電池の製造個数)の向上を求める要望が増々高くなっている。
しかしながら、前記特許文献1における製造方法においては、積層シートを切断することにより、予め2枚のセパレータによって挟持された負極板を用意しておくことから、例えば、複数の正極板及び負極板と、複数のセパレータとを、1枚毎に順に交互に積層する場合と比べて、多少の生産性の向上は期待できるものの、依然として、複数の正極板及び負極板を積層する際には、その都度位置決め等を行うための時間がかかり、上記要望に合った十分な効果を得ることは困難である。
また、前記特許文献2における製造方法においては、1枚毎に順に交互に積層される、複数の正極板と負極板との各々の間に介在するセパレータを、つづら折りしながら配置させることから、上記特許文献1における製造方法に比べて、少なくとも積層シートを切断する作業を省略することができ、より生産性の向上は望めるものの、当該製造方法によっても、上記要望に合った十分な効果を得ることは困難であった。
【0005】
本発明は、以上に示した現状の問題点に鑑みてなされたものであり、高精度な品質を維持しつつ、生産性の向上を実現することができる積層型電池の製造方法、及び当該方法を実施する製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、本発明に係る積層型電池の製造方法は、複数の正極板及び負極板を各々交互に積層し、当該複数の正極板及び負極板の間にセパレータを各々介在させてなる積層型電池の製造方法であって、長尺帯状のセパレータをつづら折りし、つづら折りによってセパレータが折り返される度に、折り返されたセパレータ上に、所定枚数の正極板、及び所定枚数の負極板を、当該セパレータの長手方向に沿って並べた状態で、各々纏めて順に交互に載置することで、セパレータを介在して所定枚数毎に積層された複数の正極板及び負極板からなる電極積層体群を形成する積層工程と、前記積層工程によって形成された前記電極積層体群を、ヒートカットによって、前記正極板及び前記負極板の積層方向に切断し、セパレータを介在して1枚毎に積層された複数の正極板及び負極板からなる電極積層体に分割する分割工程とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る積層型電池の製造装置は、複数の正極板及び負極板を各々交互に積層し、当該複数の正極板及び負極板の間にセパレータを各々介在させてなる積層型電池の製造装置であって、長尺帯状のセパレータをつづら折りするつづら折り装置と、前記つづら折り装置によってセパレータが折り返される度に、折り返されたセパレータ上に、所定枚数の正極板、及び所定枚数の負極板を、当該セパレータの長手方向に沿って並べた状態で、各々纏めて順に交互に載置する電極板載置装置と、前記つづら折り装置及び前記電極板載置装置によって形成された、セパレータを介在して所定枚数毎に積層された複数の正極板及び負極板からなる電極積層体群を、ヒートカットによって、前記正極板及び前記負極板の積層方向に切断し、セパレータを介在して1枚毎に積層された複数の正極板及び負極板からなる電極積層体に分割する分割装置とを備えることを特徴とする。
このように、本発明に係る積層型電池の製造方法及び製造装置においては、つづら折りされるセパレータを間に介在させつつ、予め所定形状に形成された複数の正極板及び負極板を、各々所定枚数毎に交互に積層して電極積層体群を形成し、その後、当該電極層積層体群をヒートカットによって切断することにより、セパレータを介在して1枚毎に積層された複数の正極板及び負極板からなる電極積層体に分割する構成となっている。
従って、その都度つづら折りされるセパレータを間に介在させつつ、予め所定形状に形成された正極板及び負極板を、1枚毎に交互に積層して電極積層体を形成する、従来のような積層型電池の製造装置に比べて、少なくとも、セパレータにおけるつづら折りの実施回数を減らし、工程を短縮することが可能となり、製造される積層型電池の生産性を向上させることができる。
また、上記のように、形成された電極層積層体群は、ヒートカットによって切断されて、各電極積層体に分割されることから、各々の正極板と負極板との間に介在するセパレータは、例えば接着シートや接着剤等を用いることなく、切断されると同時に切断端部において互いに袋状に溶着されることとなる。
従って、分割された各電極積層体の形態は、各々の正極板と負極板との間に介在する、複数の切断後のセパレータによって、十分に保持されることとなり、例えば、積層された正極板及び負極板に荷崩れ等が発生するのを防止し、高品質な積層型電池を得ることができる。
【0008】
また、本発明に係る積層型電池の製造方法においては、前記積層工程において、前記所定枚数の正極板、及び前記所定枚数の負極板が、各々所定間隔を有して離間した状態で、前記セパレータの長手方向に沿って並べられ、前記分割工程において、前記電極積層体群が、互いに隣り合う正極板、または互いに隣り合う負極板の間の位置にて切断されることが好ましい。
また、本発明に係る積層型電池の製造装置において、前記電極板載置装置は、前記所定枚数の正極板、及び前記所定枚数の負極板を、各々所定間隔を有して離間した状態で、前記セパレータの長手方向に沿って並べて載置し、前記分割装置は、前記電極積層体群を、互いに隣り合う正極板、または互いに隣り合う負極板の間の位置にて、前記積層方向に加熱しながら切断することが好ましい。
このような構成を有することにより、形成された電極層積層体群を、ヒートカットによって切断する際、誤って正極板や負極板を同時に切断することなく、確実にセパレータのみを切断して、当該セパレータの切断端部を溶着させることができるため、安定して高品質な積層型電池を得ることができる。
【0009】
また、本発明に係る積層型電池の製造方法においては、前記積層工程において、前記所定枚数の正極板、及び前記所定枚数の負極板における前記所定間隔が、4mm以上6mm以下であることが好ましい。
また、本発明に係る積層型電池の製造装置においては、前記電極板載置装置において、前記所定枚数の正極板、及び前記所定枚数の負極板における前記所定間隔が、4mm以上6mm以下であることが好ましい。
このような構成を有することにより、形成された電極層積層体群を、ヒートカットによって切断する際、誤って正極板や負極板を同時に切断することなく、より確実にセパレータのみを切断して、当該セパレータの切断端部を溶着させることができるため、より安定して高品質な積層型電池を得ることができる。
【0010】
また、本発明に係る積層型電池の製造方法において、前記負極板は、一方に延びる短冊状の負極芯体と、当該負極芯体の表裏両面に塗工された負極活物質層とを有し、前記積層工程において、前記セパレータの長手方向と直交するようにして、当該セパレータ上に載置され、前記セパレータにおける長手方向と直交する幅方向の寸法は、前記負極板の負極活物質層における、前記負極芯体の延出方向の寸法に比べて大きいことが好ましい。
また、本発明に係る積層型電池の製造装置において、前記負極板は、一方に延びる短冊状の負極芯体と、当該負極芯体の表裏両面に塗工された負極活物質層とを有し、前記電極板載置装置は、前記セパレータの長手方向と直交するようにして、当該セパレータ上に前記所定枚数の負極板を各々載置し、前記セパレータにおける長手方向と直交する幅方向の寸法は、前記負極板の負極活物質層における、前記負極芯体の延出方向の寸法に比べて大きいことが好ましい。
ここで一般的に、負極板の負極芯体における負極活物質層の塗工面積は、正極板の正極芯体における正極活物質層の塗工面積に比べて僅かに大きく設定されている。
従って、本発明のように、セパレータの幅方向の寸法を、負極板の負極活物質層における上記延出方向の寸法に比べて大きく設定することにより、当該セパレータを介して、正極板の正極活物質層と、負極板の負極活物質層とを確実に隔絶し、これら正極板及び負極板の間に発生する短絡を防止することができる。
【0011】
また、本発明に係る積層型電池の製造装置においては、前記つづら折り装置及び前記電極板載置装置が配置され、前記電極積層体群を形成する積層エリアと、前記分割装置が配置され、前記電極積層体群を各々の前記電極積層体に分割する分割エリアとが設けられ、複数の正極板を一方向に連続的に搬送し、前記積層エリアに当該正極板を供給する正極側搬送装置と、複数の負極板を一方向に連続的に搬送し、前記積層エリアに当該負極板を供給する負極側搬送装置と、前記積層エリアと前記分割エリアとの間で前記電極積層体群を移動させる移動装置とをさらに備えることが好ましい。
このように、上記積層工程を実施して電極積層体群を形成する積層エリアと、上記分割工程を実施して当該電極積層体群を各々の電極積層体に分割する分割エリアとを、それぞれ個別に設けることにより、積層工程の実施の最中においても、分割工程を実施することが可能であり、或いは、分割工程の実施の最中においても、積層工程を実施することが可能であり、製造される積層型電池の生産性をより向上させることができる。
【0012】
また、本発明に係る積層型電池の製造装置において、前記移動装置は、回転テーブルによって構成されることが好ましい。
このような構成を有することにより、例えば、上下方向に平行に配置された搬送面を介して往復搬送を可能とするシャトルコンベア等によって、移動装置が構成される場合に比べて、積層型電池の製造装置における設部レイアウトのコンパクト化を図ることができる。
【0013】
また、本発明に係る積層型電池の製造装置においては、平面視において、前記正極側搬送装置及び前記負極側搬送装置が、互いに並列に配置されることが好ましい。
このような構成を有することにより、例えば、平面視において、上記積層エリアを間に挟んで、正極側搬送装置及び前記負極側搬送装置が、一直線上に配置されている場合に比べて、より確実に、積層型電池の製造装置における設部レイアウトのコンパクト化を図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明に係る積層型電池の製造方法及び製造装置によれば、高精度な品質を維持しつつ、積層型電池の生産性の向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る積層型電池の製造方法を経時的に順に示した工程図である。
図2】長尺帯状の電極芯体より個別の電極体を形成する際の手順を示した図であって、(a)は正極板について示した模式図であり、(b)は負極板について示した模式図である。
図3】長尺帯状のセパレータをつづら折りしながら複数の正極板及び負極板を積層し、積層型電池を形成する際の手順を示した図であって、形成される積層型電池の各状態を、(a)~(e)によって順に示した断面模式図である。
図4】本発明に係る積層型電池の製造装置の全体構成を示した平面図である。
図5】本発明に係る積層型電池の製造装置の全体構成を示した図であって、(a)は図2中の矢印X1の方向に見た正面図であり、(b)は図2中の矢印X2の方向に見た正面図である。
図6】第1別実施形態における積層型電池の製造装置の全体構成を示した平面図である。
図7】第1別実施形態における積層型電池の製造装置の全体構成を示した図であって、図6中の矢印X3の方向に見た正面図である。
図8】第2別実施形態における積層型電池の製造装置の全体構成を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の一実施形態について、図1乃至図8を用いて説明する。
なお、以下の説明に関しては便宜上、図3乃至図8中に示した矢印の方向によって、本実施形態における積層型電池の製造装置1、及び別実施形態における積層型電池の製造装置201・301の前後方向、左右方向、及び上下方向を規定して記述する。
また、図4乃至図8において、正極板101の搬送方向を矢印A1によって規定し、負極板102の搬送方向を矢印A2によって規定し、電極積層体群110の方向を矢印A3によって規定して説明する。
さらに、図3において、積層型電池100(または、電極積層体群110)を構成する各部材の外形サイズや厚み等については、理解を容易にするため誇張して記載しており、実施の各部材と異なる場合がある。
【0017】
[積層型電池の製造方法]
先ず始めに、本実施形態によって具現化される、積層型電池の製造方法について、図1乃至図3を用いて説明する。
【0018】
本実施形態における、積層型電池の製造方法(以下、単に「製造方法」と記載する)は、複数の正極板101・101・・・及び負極板102・102・・・を、1枚毎に各々交互に積層し、これら複数の正極板101・101・・・及び負極板102・102・・・の間に、セパレータ103・103・・・を各々介在させてなる積層型電池100を製造する方法である。
【0019】
ここで、製造される積層型電池100としては、例えば、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)のモータ駆動用電源として設けられる、繰り返し充放電可能なリチウムイオン二次電池等を挙げることができる。
【0020】
なお、積層型電池100については、このような、電気自動車やハイブリッド電気自動車に設けられるリチウムイオン二次電池に限定されるものではなく、例えば、住宅やソーラーパネル、或いは電子機器等の蓄電池として設けられる、様々な積層型電池を採用することができる。
【0021】
本実施形態における製造方法は、図1に示すように、主に経時的に順に実施される供給工程S01、積層工程S02、及び分割工程S03等を備える。
【0022】
供給工程S01は、長尺帯状の電極芯体(より具体的には、正極芯体101a及び負極芯体102a)より、所定形状の電極体である正極板101及び負極板102を各々形成し、形成されたこれら正極板101及び負極板102を、所定の作業エリア(後述する積層エリアZ1。図4を参照)に供給する工程である。
【0023】
ここで、図2(a)に示すように、正極板101は、例えばアルミニウム等からなるシート状の正極芯体101aと、当該正極芯体101aの表裏両面に塗工された正極活物質層101bと、当該正極芯体101aの一部であって、正極活物質層101bが未塗工の状態で一方に突出した正極タブ101cとを有する。
また、正極活物質層101bは、例えばコバルト酸リチウム等からなる正極活物質や、導電剤及びバインダを含む正極合剤スラリー等で構成されている。
【0024】
そして、正極板101は、以下の手順に従い連続的に形成される。
即ち、先ず始めに、ロール状に巻回された長尺帯状の正極芯体101aが長手方向Y1に引出され、後述する正極側定寸カット装置22によって、所定の切断ラインL1に沿って、一方に延びる短冊状に切断される。
なお、正極芯体101aの表裏両面には、幅方向Y2(上記長手方向Y1との平面視直交方向)の一側端部を除いて、正極活物質層101bが予め塗工されている。
【0025】
その後、短冊状に切断された各正極芯体101aは、画像検出手段によって正確に位置を判断された後、後述する正極側レーザーカット装置23によって、所定の切断ラインL2・L3に沿って溶断加工される。
これにより、正極活物質層101bが未塗工の一側端部には、正極タブ101cが形成され、また、当該一側端部側との反対側の他側端部では両角部が除去され、所定形状の正極板101が形成される。
【0026】
一方、図2(b)に示すように、負極板102は、例えば銅等からなるシート状の負極芯体102aと、当該負極芯体102aの表裏両面に塗工された負極活物質層102bと、当該負極芯体102aの一部であって、負極活物質層102bが未塗工の状態で一方に突出した負極タブ102cとを有する。
また、負極活物質層102bは、例えばグラファイト等からなる負極活物質や、導電剤及びバインダを含む負極合剤スラリー等で構成されている。
【0027】
そして、負極板102も、上述した正極板101と同じく、以下の手順に従い連続的に形成される。
即ち、先ず始めに、ロール状に巻回された長尺帯状の負極芯体102aが長手方向Y3に引出され、後述する負極側定寸カット装置25によって、所定の切断ラインL4に沿って、一方に延びる短冊状に切断される。
なお、負極芯体102aの表裏両面には、幅方向Y4(上記長手方向Y3との平面視直交方向)の一側端部を除いて、負極活物質層102bが予め塗工されている。
【0028】
その後、短冊状に切断された負極芯体102aは、画像検出手段によって正確に位置を判断された後、後述する負極側レーザーカット装置26によって、所定の切断ラインL5・L6に沿って溶断加工される。
これにより、負極活物質層102bが未塗工の一側端部には、負極タブ102cが形成され、また、当該一側端部側との反対側の他側端部では両角部が除去され、所定形状の負極板102が形成される。
【0029】
本実施形態において、正極板101及び負極板102は、後述する正極側搬送装置21及び負極側搬送装置24によって、それぞれ所定方向に搬送されながら、上述した手順に従い連続的に形成される。
そして、形成された正極板101及び負極板102は、その後も継続して、正極側搬送装置21及び負極側搬送装置24によって各々搬送され、積層エリアZ1の近傍に位置する所定の待機位置P1・P2(図4を参照)に到達し、当該積層エリアZ1に供給される。
【0030】
積層工程S02は、図3に示すように、例えば水平状に配置された移動パレット120上において、長尺帯状のセパレータ103をつづら折りし、つづら折りによってセパレータ103が折り返される度に、折り返されたセパレータ103上に、所定枚数(例えば、本実施形態においては6枚)の正極板101・101・・・、及び所定枚数の負極板102・102・・・を、当該セパレータ101の長手方向(即ち、セパレータ103の折り返し方向)に沿って並べた状態で、各々纏めて順に交互に載置することで、セパレータ103を介在して所定枚数(6枚)毎に積層された複数の正極板101・101・・・及び負極板102・102・・・からなる電極積層体群110を形成する工程である。
【0031】
具体的には、図3(a)に示すように、先ず始めに、ロール状に巻回されたセパレータ103の先端部が、後述する一対の移動ローラ31c・31cによって挟持されつつ、下方に徐々に繰り出され、移動パレット120の上面に到達する。
【0032】
移動パレット120の上面にセパレータ103の先端部が到達すると、一対の移動ローラ31c・31cは、当該セパレータ103の先端部を繰り出しつつ、水平方向の一方側(移動パレット120上のセパレータ103に対して、長手方向Y5の一方側(本実施形態においては、左側))に移動する。
これにより、セパレータ103の先端部は、所定長さ分だけ移動パレット120の上面に布設される。
【0033】
セパレータ103の先端部が、所定の長さ分だけ移動パレット120の上面に布設されると、上記供給工程S01によって形成された所定枚数の負極板102・102・・・(或いは、正極板101・101・・・)が、布設されたセパレータ103上に纏めて供給され、各々所定間隔dを有して離間した状態で、当該セパレータ101の長手方向Y5に沿って並べられる(載置される)。
【0034】
具体的には、所定枚数の負極板102・102・・・は、平面視において、布設されたセパレータ103の長手方向Y5と直交するようにして、当該セパレータ103上に、各々所定間隔dを有して離間した状態で載置される。
【0035】
所定枚数の負極板102・102・・・が、移動パレット120上のセパレータ103に載置されると、図3(b)に示すように、一対の移動ローラ31c・31cは、当該セパレータ103の先端部を繰り出しつつ、水平方向の他方側(移動パレット120上のセパレータ103に対して、長手方向Y5の他方側(本実施形態においては、右側))に移動する。
これにより、セパレータ103の先端部は折り返され、所定長さ分だけ上記所定枚数の負極板102・102・・・の上面に布設される。
【0036】
折り返されたセパレータ103の先端部が、所定の長さ分だけ上記所定枚数の負極板102・102・・・の上面に布設されると、上記供給工程S01によって形成された所定枚数の正極板101・101・・・(或いは、負極板102・102・・・)が、布設されたセパレータ103上に纏めて供給され、平面視にて、既に載置された所定枚数の負極板102・102・・・と同等の位置に載置される。
つまり、上記所定枚数の正極板101・101・・・は、折り返されたセパレータ103上において、各々所定間隔dを有して離間した状態で、当該セパレータ103の長手方向Y5に沿って並べられる(載置される)。
【0037】
具体的には、所定枚数の正極板101・101・・・は、平面視において、布設されたセパレータ103の長手方向Y5と直交するようにして、当該セパレータ103上に、各々所定間隔dを有して離間した状態で載置される。
【0038】
ここで、負極板102の負極芯体102a(図2(b)を参照)における負極活物質層102bの塗工面積は、一般的に、正極板101の正極芯体101a(図2(a)を参照)における正極活物質層101bの塗工面積に比べて僅かに大きく設定されているところ、本実施形態においては、セパレータ103における長手方向Y5と直交する幅方向の寸法が、負極板102の負極活物質層102bにおける、負極芯体102aの延出方向の寸法に比べて大きく設定されている。
【0039】
このような構成を有することにより、セパレータ103を介して、正極板101の正極活物質層101bと、負極板102の負極活物質層102bとを確実に隔絶し、これら正極板101及び負極板102の間に発生する短絡を防止することができる。
【0040】
所定枚数の正極板101・101・・・が、折り返されたセパレータ103に載置されると、一対の移動ローラ31c・31cは、再び当該セパレータ103の先端部を繰り出しつつ、水平方向の一方側(長手方向Y5の一方側(左側))に移動する。
これにより、セパレータ103の先端部は再び折り返され、所定長さ分だけ上記所定枚数の正極板101・101・・・の上面に布設される。
【0041】
再び折り返されたセパレータ103の先端部が、所定の長さ分だけ上記所定枚数の正極板101・101・・・の上面に布設されると、上記供給工程S01によって形成された所定枚数の負極板102・102・・・(或いは、正極板101・101・・・)が、布設されたセパレータ103上に纏めて供給され、平面視にて、既に載置された所定枚数の正極板101・101・・・と同等の位置に載置される。
つまり、上記所定枚数の負極板102・102・・・は、再び折り返されたセパレータ103上において、各々所定間隔dを有して離間した状態で、当該セパレータ101の長手方向Y5に沿って並べられる(載置される)。
【0042】
このような手順を繰り返し、長尺帯状のセパレータ103は、移動パレット120上にてつづら折りさせるとともに、当該セパレータ103が折り返される度に、折り返されたセパレータ103上に、複数の正極板101・101・・・及び負極板102・102・・・が、所定枚数毎に順に纏めて積層される。
【0043】
そして、図3(c)に示すように、これら所定枚数の正極板101・101・・・、及び所定枚数の負極板102・102・・・が、所定の複数層分(本実施形態においては、合計4層分)だけ積層されると、セパレータ103は、一対の移動ローラ31c・31cに対して、繰出し方向の下流側にて切断される。
これにより、図3(d)に示すように、セパレータ103を介在して所定枚数毎に纏めて積層された、複数の正極板101・101・・・及び負極板102・102・・・からなる電極積層体群110が形成される。
【0044】
なお、本実施形態においては、上述したように、移動パレット120上に載置されたセパレータ103に対して、所定枚数の負極板102・102・・・から順に載置することとしているが、これに限定されるものではなく、所定枚数の正極板101・101・・・から順に載置することとしてもよい。
しかしながら、上述したように、負極板102(より具体的には、負極芯体102a)における負極活物質層102bの塗工面積は、一般的に、正極板101(より具体的には、正極芯体101a)における正極活物質層101bの塗工面積に比べて僅かに大きく設定されていることから、先に所定枚数の負極板102・102・・・を載置し、その後、所定枚数の正極板101・101・・・を載置することとすれば、正面視において、既に載置されている負極板102の位置を把握し易いため、より好ましい。
【0045】
分割工程S03は、積層工程S02によって形成された電極積層体群110を、ヒートカットによって、正極板101及び負極板102の積層方向(本実施形態においては上下方向)に切断し、セパレータ103を介在して1枚毎に積層された複数の正極板101・101・・・及び負極板102・102・・・からなる、複数個(例えば、本実施形態においては6個)の電極積層体110A・110A・・・に分割する工程である。
【0046】
具体的には、図3(d)に示すように、電極積層体群110は、移動パレット120に載置された状態で、所定の作業エリア(後述する分割エリアZ2。図4を参照)に搬送され、後述する分割装置41によって、互いに隣り合う正極板101・101、または互いに隣り合う負極板102・102の間の位置に設定された所定の切断ラインL7に沿って、各々切断(ヒートカット)される。
これにより、上記切断ラインL7において、切断された複数のセパレータ101・101・・・は、各々の正極板101及び負極板102の間に介在した状態で、切断端部にて互いに袋状に溶着されることとなり、各セパレータ103を介在して1枚毎に積層された、複数の正極板101・101・・・及び負極板102・102・・・からなる、複数個(例えば、本実施形態においては6個)の電極積層体110A・110A・・・が形成される。
【0047】
なお、本実施形態においては、後述するように、分割された各電極積層体110Aに対して、更に数回、積層構造を拘束するようにして、セパレータ103aを巻回することにより、積層型電池100を構築することとしているが、これに限定されるものではなく、当該セパレータ103aを有することなく、分割された各電極積層体110Aをもって、積層型電池100としてもよい。
【0048】
また、本実施形態においては、上述したように、積層工程S02において、所定枚数(6枚)の正極板101・101・・・、及び所定枚数(6枚)の負極板102・102・・・を、予め所定間隔dを有して離間させた状態で、折り返されたセパレータ103の長手方向Y5に沿って、各々纏めて並べることとしているが、これに限定されるものではなく、例えば、これら所定枚数(6枚)の正極板101・101・・・、及び所定枚数(6枚)の負極板102・102・・・を、互いに近接させた状態で(互いに隙間の無い状態で)、各々纏めて並べることとしてもよい。
【0049】
しかしながら、このように、予め所定間隔dを有して離間させた状態で、所定枚数(6枚)の正極板101・101・・・、及び所定枚数(6枚)の負極板102・102・・・を、各々纏めて並べておくことにより、後の分割工程S03において、形成された電極層積層体群110を、ヒートカットによって切断する際、誤って正極板101や負極板102を同時に切断することなく、確実にセパレータ103のみを切断して、当該セパレータ103の切断端部を互いに袋状に溶着させることができるため、安定して高品質な電極積層体110A(積層型電池100)を得ることができる。
【0050】
さらに、本実施形態においては、積層工程S02によって、所定枚数(6枚)の正極板101・101・・・、及び所定枚数(6枚)の負極板102・102・・・が、各々纏めて並べられる際の上記所定間隔dが、4mm以上6mm以下となるように設定されている(4mm≦d≦6mm)。
【0051】
このような構成を有することにより、後の分割工程S03において、形成された電極層積層体群110を、ヒートカットによって切断する際、設定された切断ラインL7に対して、分割装置41の切断刃の位置が、多少ずれたとしても、誤って正極板101や負極板102を同時に切断することなく、より確実にセパレータ103のみを切断して、当該セパレータ101の切断端部を互いに袋状に溶着させることができるため、より安定して高品質な電極積層体110A(積層型電池100)を得ることができる。
【0052】
以上のように、本実施形態における製造方法は、少なくとも積層工程S02と分割工程S03とを備える構成となっている。
そして、積層工程S02においては、長尺帯状のセパレータ103をつづら折りし、つづら折りによってセパレータ103が折り返される度に、折り返されたセパレータ103上に、所定枚数(6枚)の正極板101・101・・・、及び所定枚数(6枚)の負極板102・102・・・を、当該セパレータ103の長手方向Y5に沿って並べた状態で、各々纏めて順に交互に載置することで、セパレータ103を介在して所定枚数(6枚)毎に積層された複数の正極板101・101・・・及び負極板102・102・・・からなる電極積層体群110を形成することとしている。
また、分割工程S03においては、積層工程S02によって形成された電極積層体群110を、ヒートカットによって、正極板101及び負極板102の積層方向に切断し、
セパレータ103を介在して1枚毎に積層された複数の正極板101・101・・・及び負極板102・102・・・からなる電極積層体110Aに分割することとしている。
【0053】
このように、本実施形態における積層型電池100の製造方法においては、つづら折りされるセパレータ103を間に介在させつつ、予め所定形状に形成された複数の正極板101・101・・・及び負極板102・102・・・を、各々所定枚数(6枚)毎に交互に積層して電極積層体群110を形成し、その後、当該電極層積層体群110をヒートカットによって切断することにより、セパレータ103を介在して1枚毎に積層された複数の正極板101・101・・・及び負極板102・102・・・からなる電極積層体110Aに分割する構成となっている。
【0054】
従って、その都度つづら折りされるセパレータ103を間に介在させつつ、予め所定形状に形成された正極板101及び負極板102を、1枚毎に交互に積層して電極積層体110Aを形成する、従来のような積層型電池の製造装置に比べて、少なくとも、セパレータ103におけるつづら折りの実施回数を減らし、工程を短縮することが可能となり、製造される積層型電池100の生産性を向上させることができる。
【0055】
また、上記のように、形成された電極層積層体群110は、ヒートカットによって切断されて、各電極積層体110Aに分割されることから、各々の正極板101と負極板102との間に介在するセパレータ103は、例えば接着シートや接着剤等を用いることなく、切断されると同時に切断端部において互いに袋状に溶着されることとなる。
従って、分割された各電極積層体110Aの形態は、各々の正極板101と負極板102との間に介在する、複数の切断後のセパレータ103・103・・・によって、十分に保持されることとなり、例えば、積層された正極板101及び負極板102に荷崩れ等が発生するのを防止し、高品質な積層型電池100を得ることができる。
【0056】
[積層型電池の製造装置1(本実施形態)の構成]
次に、本実施形態によって具現化される、積層型電池の製造装置1の構成について、図4及び図5を用いて説明する。
【0057】
本実施形態における、積層型電池の製造装置1(以下、単に「製造装置1」と記載する)は、前述した製造方法を実施する装置であって、複数の正極板101・101・・・及び負極板102・102・・・を、1枚毎に各々交互に積層し、これら複数の正極板101・101・・・及び負極板102・102・・・の間に、セパレータ103・103・・・を各々介在させてなる積層型電池100を製造する装置である。
【0058】
ここで、図4に示すように、製造装置1には、積層工程S02を実施するための作業エリアであって、前述した電極積層体群110を形成する積層エリアZ1と、分割工程S03を実施するための作業エリアであって、形成された電極積層体群110を各々の電極積層体110A・110A・・・に分割する分割エリアZ2とが設けられている。
【0059】
そして、形成された電極積層体群110は、これら積層エリアZ1と分割エリアZ2との間において、後述する移動装置11によって往復移動される、移動パレット120に載置された状態で、当該積層エリアZ1から分割エリアZ2に向かって移動される構成となっている。
【0060】
このように、本実施形態においては、積層工程S02を実施して電極積層体群110を形成する積層エリアZ1と、分割工程S03を実施して当該電極積層体群110を各々の電極積層体110A・110A・・・に分割する分割エリアZ2とが、それぞれ個別に設けられていることから、積層工程S02の実施の最中においても、分割工程S03を実施することが可能であり、或いは、分割工程S03の実施の最中においても、積層工程S02を実施することが可能であり、製造される積層型電池の生産性をより向上させることができる。
【0061】
製造装置1は、主に、積層エリアZ1と分割エリアZ2との間において移動パレット120を往復移動させる移動装置11、正極板101及び負極板102を連続的に形成し、形成された正極板101及び負極板102を積層エリアZ1に供給する供給部2、積層エリアZ1において、電極積層体群110を形成する積層部3、分割エリアZ2において、形成された電極積層体群110を各々の電極積層体110A・110A・・・に分割する分割部4、及び分割された各電極積層体110Aに対して、仕上げ用のセパレータ103aを巻回する巻回部5等を備える。
【0062】
移動装置11は、例えば本実施形態においては、水平方向且つ一方向(本実施形態においては、前後方向)に延出し、上下方向に互いに平行に配置された搬送経路を有するシャトルコンベア等によって構成され、上側の搬送経路においては、積層エリアZ1から分割エリアZ2に向かって移動パレット120を搬送し、且つ下側の搬送経路においては、分割エリアZ2から積層エリアZ1に向かって移動パレット120を搬送する構成となっている。
また、移動装置11における延出方向の両端部には、上側の搬送経路と下側の搬送経路との間において、移動パレット120を昇降させる第1昇降部11a及び第2昇降部11bが各々設けられている。
【0063】
そして、第1昇降部11aによって上昇され、下側の搬送経路から上側の搬送経路に移動された移動パレット120は、当該上側の搬送経路を介して積層エリアZ1、分割エリアZ2と順に搬送され、第2昇降部11bに到達する。
第2昇降部11bに到達すると、移動パレット120は、当該第2昇降部11bによって下降され、上側の搬送経路から下側の搬送経路に移動された後、当該下側の搬送経路を介して第1昇降部11aへと搬送される。
その後、第1昇降部11aに到達すると、移動パレット120は、当該第1昇降部11aによって再び上昇され、下側の搬送経路から上側の搬送経路に移動される。
こうして、移動パレット120は、移動装置11によって、積層エリアZ1と分割エリアZ2との間を往復移動される。
【0064】
供給部2は、正極板101を連続的に形成する正極側搬送装置21、正極側定寸カット装置22、及び正極側レーザーカット装置23、並びに負極板102を連続的に形成する負極側搬送装置24、負極側定寸カット装置25、及び負極側レーザーカット装置26などを備える。
【0065】
正極側搬送装置21は、例えばベルトコンベア等からなる第1上流側コンベア21A及び第1下流側コンベア21B等を有する。
また、第1上流側コンベア21A及び第1下流側コンベア21Bは、各々水平方向の一方側(本実施形態においては、左方側)を搬送方向(矢印A1の方向)として、当該搬送方向の上流側から下流側に向かって順に一直線上に配置される。
【0066】
そして、正極側搬送装置21は、第1下流側コンベア21Bにおける、搬送方向(矢印A1の方向)の下流側の端部近傍に、積層エリアZ1が位置するように配置される。
【0067】
ここで、図5(a)に示すように、第1上流側コンベア21Aにおける搬送方向(矢印A1の方向)の上流側には、ロール状に巻回された長尺帯状の正極芯体101aが、当該搬送方向との平面視直交方向を軸方向とした状態で配置される。
また、第1上流側コンベア21Aと、ロール状の正極芯体101aとの間には、複数(本実施形態においては2本)の案内ローラ6・6及び一対の繰出しローラ7・7が、搬送方向(矢印A1の方向)の上流側から下流側に向かって順に、当該正極芯体101aと平行に配置される。
【0068】
そして、ロール状の正極芯体101aより引き出された先端部は、案内ローラ6・6によって一対の繰出しローラ7・7へと導かれ、当該繰出しローラ7・7によって、第1上流側コンベア21Aへと繰り出される構成となっている。
【0069】
正極側定寸カット装置22は、第1上流側コンベア21Aへと繰り出された長尺帯状の正極芯体101aを、一方に延びる所定の短冊状に、連続的に切断する装置である。
【0070】
正極側定寸カット装置22は、第1上流側コンベア21Aにおける搬送方向(矢印A1の方向)の上流側の端部と、上記一対の繰出しローラ7・7との間に配置される。
また、正極側定寸カット装置22は、一対の繰出しローラ7・7より繰り出された正極芯体101aに対して、当該正極芯体101aの幅方向(上記搬送方向(矢印A1の方向)に対して、平面視直交方向)に延出し、且つ当該正極芯体101aの下面を支持する定盤部22b、及び当該定盤部22bの上方において昇降可能に設けられ、当該幅方向に延出する切断刃22aなどを有する。
【0071】
そして、一対の繰出しローラ7・7より繰り出された、正極芯体101aの先端部は、正極側定寸カット装置22によって所定の短冊状に切断された後、第1上流側コンベア21Aへと供給され、当該第1上流側コンベア21Aによって第1下流側コンベア21Bへと搬送される。
【0072】
正極側レーザーカット装置23は、短冊状に切断された正極芯体101aをレーザーによって溶断加工することにより、正極タブ101c(図2(a)を参照)等を形成し、最終形態である正極板101を形成する装置である。
【0073】
正極側レーザーカット装置23は、図示せぬ画像検出手段を有し、第1上流側コンベア21Aの直上、且つ搬送方向(矢印A1の方向)の中央部において、レーザーの照射口を下方に向けた状態で配置される。
【0074】
そして、短冊状に切断された正極芯体101aは、第1上流側コンベア21Aによって搬送されながら正極側レーザーカット装置23の直下を通過する際、上記画像検出手段によって正確に位置を判断され、当該正極側レーザーカット装置23によって、所定形状の正極板101に溶断加工される。
【0075】
このように、ロール状に巻回された長尺帯状の正極芯体101aは、一対の繰出しローラ7・7によって繰出された後、正極側定寸カット装置22によって短冊状に切断され、その後、第1上流側コンベア21Aによって搬送されながら正極側レーザーカット装置23を通過することにより、所定形状の正極板101に連続的に形成される。
そして、連続的に形成された複数の正極板101・101・・・は、第1上流側コンベア21Aによって引き続き搬送され、第1下流側コンベア21Bへと順に乗り移る。
【0076】
なお、正極側レーザーカット装置23に対して、第1上流側コンベア21Aにおける搬送方向(矢印A1の方向)の下流側の近傍には、画像検査装置8が設けられており、正極側レーザーカット装置23によって形成された正極板101は、当該画像検査装置8によって品質(例えば、外形サイズや形状等)を検査され、所望の品質を満たしていない場合には、第1上流側コンベア21A上から排出される。
【0077】
第1下流側コンベア21Bに乗り移った正極板101は、当該第1下流側コンベア21Bによって、積層エリアZ1に向かって搬送される。
そして、第1下流側コンベア21Bによって順に搬送される、複数の正極板101・101・・・の枚数が、積層エリアZ1の近傍(即ち、第1下流側コンベア21Bにおける搬送方向(矢印A1の方向)の下流側の端部)に位置する待機位置P1から搬送方向(矢印A1の方向)の上流側に向かって、所定枚数(例えば、本実施形態においては6枚)に到達すると、後述する電極板載置装置32が可動し、当該所定枚数の正極板101・101・・・が、纏めて積層エリアZ1に供給される。
つまり、正極側搬送装置21は、複数の正極板101・101・・・を一方向(矢印A1の方向)に連続的に搬送し、これら複数の正極板101・101・・・を積層エリアZ1に供給する。
【0078】
負極側搬送装置24は、例えばベルトコンベア等からなる第2上流側コンベア24A及び第2下流側コンベア24B等を有する。
また、第2上流側コンベア24A及び第2下流側コンベア24Bは、各々水平方向の一方側(本実施形態においては、右方側)を搬送方向(矢印A2の方向)として、当該搬送方向の上流側から下流側に向かって順に一直線上に配置される。
【0079】
そして、図4に示すように、負極側搬送装置24は、第2下流側コンベア24Bにおける、搬送方向(矢印A2の方向)の下流側の端部近傍に、積層エリアZ1が位置するように配置されるとともに、当該積層エリアZ1を間に挟んで、上述した正極側搬送装置21と一直線上に配置される。
【0080】
ここで、図5(a)に示すように、第2上流側コンベア24Aにおける搬送方向(矢印A2の方向)の上流側には、ロール状に巻回された長尺帯状の負極芯体102aが、当該搬送方向との平面視直交方向を軸方向とした状態で配置される。
また、第2上流側コンベア24Aと、ロール状の負極芯体102aとの間には、複数(本実施形態においては2本)の案内ローラ6・6及び一対の繰出しローラ7・7が、搬送方向(矢印A2の方向)の上流側から下流側に向かって順に、当該負極芯体102aと平行に配置される。
【0081】
そして、ロール状の負極芯体102aより引き出された先端部は、案内ローラ6・6によって一対の繰出しローラ7・7へと導かれ、当該繰出しローラ7・7によって、第2上流側コンベア24Aへと繰り出される構成となっている。
【0082】
負極側定寸カット装置25は、第2上流側コンベア24Aへと繰り出された長尺帯状の負極芯体102aを、一方に延びる所定の短冊状に、連続的に切断する装置である。
なお、負極側定寸カット装置25は、上述した正極側定寸カット装置22と同等な構成からなるため、詳細な説明は省略する。
【0083】
負極側レーザーカット装置26は、短冊状に切断された負極芯体102aをレーザーによって溶断加工することにより、負極タブ102c(図2(b)を参照)等を形成し、最終形態である負極板102を形成する装置である。
なお、負極側レーザーカット装置26は、上述した正極側レーザーカット装置23と同等な構成からなるため、詳細な説明は省略する。
【0084】
このように、ロール状に巻回された長尺帯状の負極芯体102aは、上述した正極芯体101aと同様に、一対の繰出しローラ7・7によって繰出された後、負極側定寸カット装置25によって短冊状に切断され、その後、第2上流側コンベア24Aによって搬送されながら負極側レーザーカット装置26を通過することにより、所定形状の負極板102に連続的に形成される。
そして、連続的に形成された複数の負極板102・102・・・は、第2上流側コンベア24Aによって引き続き搬送され、第2下流側コンベア24Bへと順に乗り移る。
【0085】
なお、負極側搬送装置24においても、上述した正極側搬送装置21と同様に、負極側レーザーカット装置26に対して、第2上流側コンベア24Aの搬送方向下流側の近傍には、画像検査装置8が設けられており、負極側レーザーカット装置26によって形成された負極板102は、当該画像検査装置8によって品質(例えば、外形サイズや形状等)を検査され、所望の品質を満たしていない場合には、第2上流側コンベア24A上から排出される。
【0086】
第2下流側コンベア24Bに乗り移った負極板102は、当該第2下流側コンベア24Bによって、積層エリアZ1に向かって搬送される。
そして、第2下流側コンベア24Bによって順に搬送される、複数の負極板102・102・・・の枚数が、積層エリアZ1の近傍(即ち、第2下流側コンベア24Bにおける搬送方向(矢印A2の方向)の下流側の端部)に位置する待機位置P2から搬送方向(矢印A2の方向)の上流側に向かって、所定枚数(例えば、本実施形態においては6枚)に到達すると、電極板載置装置32が可動し、当該所定枚数の負極板102・102・・・が、纏めて積層エリアZ1に供給される。
つまり、負極側搬送装置24は、複数の負極板102・102・・・を一方向(矢印A2の方向)に連続的に搬送し、これら複数の負極板102・102・・・を積層エリアZ1に供給する。
【0087】
このような構成からなる供給部2によって、前述した供給工程S01が実施され、長尺帯状の電極芯体(正極芯体101a及び負極芯体102a)より、正極板101及び負極板102が連続的に形成され、形成された正極板101及び負極板102が積層エリアZ1に供給される。
【0088】
積層部3は、積層エリアZ1に配置され、電極積層体群110を形成するつづら折り装置31及び電極板載置装置32等を備える。
【0089】
つづら折り装置31は、移動装置11によって積層エリアZ1に搬送され、当該積層エリアZ1にて停止している移動パレット120の上面において、長尺帯状のセパレータ103をつづら折りする装置である。
つづら折り装置31は、複数(本実施形態においては、3本)の案内ローラ31a・31a・31a、一対の繰出しローラ31b・31b、及び一対の移動ローラ31c・31c等により構成される。
【0090】
複数の案内ローラ31a・31a・31a、及び一対の繰出しローラ31b・31bは、積層エリアZ1にて停止している移動パレット120の上方において、正極側搬送装置21の搬送方向(矢印A1の方向)、または負極側搬送装置24の搬送方向(矢印A2の方向)との平面視直交方向を軸方向とした状態で各々配置される。
また、一対の移動ローラ31c・31cは、当該移動パレット120の上方、且つこれら案内ローラ31a及び繰出しローラ31b・31bの下方において、同じく、正極側搬送装置21の搬送方向(矢印A1の方向)、または負極側搬送装置24の搬送方向(矢印A2の方向)との平面視直交方向を軸方向とした状態で配置される。
さらに、一対の移動ローラ31c・31cは、上記搬送方向(矢印A1または矢印A2の方向)に沿って、ともに往復移動可能な構成となっている。
【0091】
そして、ロール状に巻回された長尺帯状のセパレータ103は、積層エリアZ1の上方において、上記搬送方向(矢印A1または矢印A2の方向)との平面視直交方向を軸方向とした状態で配置される。
また、当該セパレータ103より引き出された先端部は、複数の案内ローラ31a・31a・31aによって案内されて、一対の繰出しローラ31b・31bの間に導かれ、当該一対の繰出しローラ31b・31bの間を通過して下方に垂下した後、一対の移動ローラ31c・31cによって挟持され、積層エリアZ1にて停止している移動パレット120の上面に載置される。
【0092】
このような状態において、一対の繰出しローラ31b・31bによって、ロール状のセパレータ103の先端部を繰り出すとともに、繰り出された当該先端部の長さが所定長さ分に到達する度に、一対の移動ローラ31c・31cを、上記搬送方向(矢印A1または矢印A2の方向)の一方側及び他方側に向って、順に交互に移動させることにより、移動パレット120の上面において、セパレータ103がつづら折りされる。
【0093】
なお、つづら折りされるセパレータ103の近傍において、ロール状に巻回された未使用のセパレータ103を、予め配置しておいてもよい。
【0094】
電極板載置装置32は、つづら折り装置31によってセパレータ103が折り返される度に、折り返されたセパレータ103上に、所定枚数(6枚)の正極板101・101・・・、及び所定枚数(6枚)の負極板を、当該セパレータ103の長手方向に沿って並べた状態で、各々纏めて順に交互に載置する装置である。
電極板載置装置32は、移動フレーム32a、並びに当該移動フレーム32aによって昇降可能に支持される正極側吸着部32b及び負極側吸着部32c等を有する。
【0095】
移動フレーム32aは、例えば図4に示すように、平面視「コ」字状の部材からなり、互いに平行に設けられる一対の支持部32a1・32a1が、第1下流側コンベア21B及び積層エリアZ1の上方、或いは、第2下流側コンベア24B及び積層エリアZ1の上方に、同時に配置可能な構成となっている。
【0096】
そして、移動フレーム32aは、図示せぬ駆動機構によって、上記搬送方向(矢印A1または矢印A2の方向)に沿って、往復移動可能な構成となっている。
【0097】
正極側吸着部32bは、平面視において、所定枚数の正極板101・101・・・と重なるように配置された、複数の吸着パッド32b1・32b1・・・、及びこれら複数の吸着パッド32b1・32b1・・・を支持する、複数の支持材32b2・32b2・・・などを有し、正極側搬送装置21側(本実施形態においては、右側)に位置する支持部32a1の下面において、昇降可能に設けられている。
【0098】
また、負極側吸着部32cも、正極側吸着部32bと同様に、平面視において、所定枚数の負極板102・102・・・と重なるように配置された、複数の吸着パッド32c1・32c1・・・、及びこれら複数の吸着パッド32c1・32c1・・・を支持する、複数の支持材32c2・32c2・・・などを有し、負極側搬送装置24側(本実施形態においては、左側)に位置する支持部32a1の下面において、昇降可能に設けられている。
【0099】
そして、図5に示すように、電極板載置装置32は、一対の支持部32a1・32a1が、第1下流側コンベア21B及び積層エリアZ1の上方に各々位置した状態において、正極側吸着部32b及び負極側吸着部32cを昇降移動させて、所定枚数の正極板101・101・・・を第1下流側コンベア21Bより取り出す作業と、所定枚数の負極板102・102・・・を積層エリアZ1にて停止する移動パレット120の上面に載置する作業とを、同時に実施可能な構成となっている。
また、電極板載置装置32は、一対の支持部32a1・32a1が、第2下流側コンベア24B及び積層エリアZ1の上方に各々位置した状態において、正極側吸着部32b及び負極側吸着部32cを昇降移動させて、所定枚数の負極板102・102・・・を第2下流側コンベア24Bより取り出す作業と、所定枚数の正極板101・101・・・を積層エリアZ1にて停止する移動パレット120の上面に載置する作業とを、同時に実施可能な構成となっている。
【0100】
このような構成からなる積層部3によって、前述した積層工程S02が実施され、積層エリアZ1における移動パレット120の上面において、電極積層体群110(図3(d)を参照)が形成される。
【0101】
図4に示すように、分割部4は、分割エリアZ2に配置され、積層エリアZ1にて形成された電極積層体群110を各々の電極積層体110A・110A・・・に分割する分割装置41等を備える。
【0102】
分割装置41は、電熱により切断作業(ヒートカット)を行うヒートカット装置によって構成されており、平面視において、上記搬送方向(矢印A1または矢印A2の方向)との直交方向(本実施形態においては前後方向)に延びる電熱刃41a等を有する。
また、電熱刃41aは、昇降可能、且つ上記搬送方向(矢印A1または矢印A2の方向)に沿って、往復移動可能に構成されており、図示せぬヒータによって、常時、所定温度に昇温された状態となっている。
【0103】
そして、分割装置41は、つづら折り装置31及び電極板載置装置32によって形成された、セパレータ103を介在して所定枚数(6枚)毎に積層された複数の正極板101・101・・・及び負極板102・102・・・からなる電極積層体群110を、ヒートカットによって、正極板101及び負極板102の積層方向(本実施形態においては、上下方向)に切断することにより、セパレータ103を介在して1枚毎に積層された複数の正極板101・101・・・及び負極板102・102・・・からなる電極積層体110Aに分割する。
【0104】
具体的には、積層エリアZ1にて形成された電極積層体群110は、移動パレット120に載置された状態で、移動装置11によって分割エリアZ2に搬送され、当該分割エリアZ2に電極積層体群110が到達すると、分割装置41は、電熱刃41aを上記搬送方向(矢印A1または矢印A2の方向)の一方側(本実施形態においては右側)に向かって間欠的に移動させつつ、当該電熱刃41aによって、電極積層体群110を所定の複数の切断ラインL7・L7・・・(図3(d)を参照)に沿って各々切断(ヒートカット)する。
【0105】
このような構成からなる分割部4によって、前述した分割工程S03が実施され、分割エリアZ2における移動パレット120の上面において、電極積層体群110より分割された、複数の電極積層体110A・110A・・・が形成される。
【0106】
巻回部5は、例えば、形成された各電極積層体110Aに対して、仕上げ用のセパレータ103aを巻回するワインダー装置51、及び分割エリアZ2より形成された電極積層体110Aをワインダー装置51に供給する移載ロボット52等を有する。
【0107】
ワインダー装置51は、図5(b)に示すように、水平方向を軸方向とするターレット盤51a、当該ターレット盤51aに対して一方側(本実施形態においては、右側)に配置される複数(本実施形態においては3本)の案内ローラ51b・51b・51b、及びターレット盤51aの軸心近傍に配置される切断刃51c等を有する。
また、ワインダー装置51は、複数の案内ローラ51b・51b・51bに対して、ターレット盤51a側との反対側(本実施形態においては右側)に、ロール状に巻回された仕上げ用のセパレータ103aを、軸方向が当該ターレット盤51aの軸心と平行となるようにして保持する。
さらに、ターレット盤51aは、一対の電極積層体110A・110Aを、当該ターレット盤51aの径方向(本実施形態においては左右方向)に互いに対向させた状態で保持する。
【0108】
そして、上記セパレータ103aより引き出された先端部は、複数の案内ローラ51b・51b・51bを介してターレット盤51aに導かれ、当該ターレット盤51aによって保持された一対の電極積層体110A・110Aの一側面(本実施形態においては、上面)を覆うようにして保持される。
【0109】
このような状態において、先ず始めに、一対の電極積層体110A・110Aのうち、セパレータ103aに対して離間する側(本実施形態においては左側)に位置する一方の電極積層体110Aが数回自転され、当該電極積層体110Aにセパレータ103aが巻き付けられる。
そして、切断刃51cによって、当該一方の電極積層体110Aの近傍にてセパレータ103aが切断され、ターレット盤51aが軸心を中心にして半回転した後、他方の電極積層体110Aが数回自転され、当該電極積層体110Aにセパレータ103aが巻き付けられる。
【0110】
その後、切断刃51cによって、上記他方の電極積層体110Aの近傍にてセパレータ103aが切断され、これら一対の電極積層体110A・110Aは、ターレット盤51aより取出される。
これにより、仕上げ用のセパレータ103aが巻回された、最終製品としての積層型電池100が形成される。
【0111】
なお、前述したように、巻回部5は必須の構成要件ではなく、本実施形態における製造装置1において、設けられていなくてもよい。
この場合、仕上げ用のセパレータ103aを有することなく、分割エリアZ2において分割された、各電極積層体110Aをもって、積層型電池100としてもよい。
【0112】
[積層型電池の製造装置(第1別実施形態)]
次に、第1別実施形態における、積層型電池の製造装置201の構成について、図6及び図7を用いて説明する。
【0113】
第1別実施形態における、積層型電池の製造装置201(以下、単に「製造装置201」と記載する)は、前述した本実施形態における製造装置1と略同等な構成を有する一方、主に、移動装置211の構成について、製造装置1と相違する。
よって、以下の説明においては、主に前述した製造装置1との相違点について記載し、
当該製造装置1と同様な構成についての記載は省略する。
【0114】
図6に示すように、製造装置201は、主に、積層エリアZ1と分割エリアZ2との間において移動パレット120を往復移動させる移動装置211、正極板101及び負極板102を連続的に形成し、形成された正極板101及び負極板102を積層エリアZ1に供給する供給部202、積層エリアZ1において、電極積層体群110を形成する積層部203、分割エリアZ2において、形成された電極積層体群110を各々の電極積層体110A・110A・・・に分割する分割部204、及び分割された各電極積層体110Aに対して、仕上げ用のセパレータ103aを巻回する巻回部205等を備える。
【0115】
なお、供給部202、積層部203、分割部204、及び巻回部205は、前述した製造装置1における供給部2、積層部3、分割部4、及び巻回部5と、各々同等な構成からなるため、詳細な説明は省略する。
【0116】
移動装置211は、回転テーブルによって構成され、図7に示すように、垂直方向の軸心G1を中心にして回転可能な回転盤211a等を有する。
また、図6に示すように、回転盤211aには、一対の移動パレット120・120が載置されている。
【0117】
そして、回転盤211aは、一対の移動パレット120・120が、積層エリアZ1及び分割エリアZ2に各々位置した状態で待機状態となっており、所定のタイミング(例えば、積層エリアZ1における積層工程S02の終了時、及び/または、分割エリアZ2における分割工程S03の終了時)をもって、上記軸心G1を中心にして半回転することにより、積層エリアZ1に位置する移動パレット120を分割エリアZ2に移動させると同時に、分割エリアZ2に位置する移動パレット120を積層エリアZ1に移動させる。
【0118】
このような、回転テーブルによって移動装置211が構成された、第1別実施形態における製造装置201によれば、例えば、前述した本実施形態における製造装置1のように、上下方向に平行に配置された搬送面を介して往復搬送を可能とするシャトルコンベア等によって、移動装置11が構成される場合に比べて、積層型電池の製造装置における設部レイアウトのコンパクト化を図ることができる。
【0119】
[積層型電池の製造装置(第2別実施形態)]
次に、第2別実施形態における、積層型電池の製造装置301の構成について、図8を用いて説明する。
【0120】
第2別実施形態における、積層型電池の製造装置301(以下、単に「製造装置301」と記載する)は、前述した本実施形態における製造装置1と略同等な構成を有する一方、主に、正極側搬送装置321及び負極側搬送装置324の配置位置、並びに移動装置311及び電極板載置装置332の構成について、製造装置1と相違する。
よって、以下の説明においては、主に前述した製造装置1との相違点について記載し、当該製造装置1と同様な構成についての記載は省略する。
【0121】
製造装置301は、主に、積層エリアZ1と分割エリアZ2との間において移動パレット120を往復移動させる移動装置311、正極板101及び負極板102を連続的に形成し、形成された正極板101及び負極板102を積層エリアZ1に供給する供給部302、積層エリアZ1において、電極積層体群110を形成する積層部303、分割エリアZ2において、形成された電極積層体群110を各々の電極積層体110A・110A・・・に分割する分割部304、及び分割された各電極積層体110Aに対して、仕上げ用のセパレータ103aを巻回する巻回部305等を備える。
【0122】
なお、積層部303が備えるつづら折り装置331、分割部304、及び巻回部305は、前述した製造装置1におけるつづら折り装置31、分割部4、及び巻回部5と、各々同等な構成からなるため、詳細な説明は省略する。
また、移動装置311は、前述した第2別実施形態における移動装置211と同等な構成からなるため、詳細な説明は省略する。
【0123】
供給部302は、正極板101を連続的に形成する正極側搬送装置321、正極側定寸カット装置322、及び正極側レーザーカット装置323、並びに負極板102を連続的に形成する負極側搬送装置324、負極側定寸カット装置325、及び負極側レーザーカット装置326などを備える。
【0124】
なお、正極側定寸カット装置322、正極側レーザーカット装置323、負極側定寸カット装置325、及び負極側レーザーカット装置326は、前述した製造装置1における正極側定寸カット装置22、正極側レーザーカット装置23、負極側定寸カット装置25、及び負極側レーザーカット装置26と同等な構成からなるため、詳細な説明は省略する。
【0125】
正極側搬送装置321は、例えばベルトコンベア等からなる第3上流側コンベア321A及び第3下流側コンベア321B等を有する。
また、第3上流側コンベア321A及び第3下流側コンベア321Bは、各々水平方向の一方側(本実施形態においては、略前方側)を搬送方向(図8中の矢印A1の方向)として、当該搬送方向の上流側から下流側に向かって順に一直線上に配置される。
【0126】
そして、正極側搬送装置321は、第3下流側コンベア321Bにおける、搬送方向(矢印A1の方向)の下流側の端部近傍に、積層エリアZ1が位置するように配置される。
【0127】
一方、負極側搬送装置324は、例えばベルトコンベア等からなる第4上流側コンベア324A及び第4下流側コンベア324B等を有する。
また、第4上流側コンベア324A及び第4下流側コンベア324Bは、各々水平方向の一方側(本実施形態においては、略前方側)を搬送方向(図8中の矢印A2の方向)として、当該搬送方向の上流側から下流側に向かって順に一直線上に配置される。
【0128】
そして、負極側搬送装置324も、正極側搬送装置321と同様に、第下流側コンベア324Bにおける、搬送方向(矢印A2の方向)の下流側の端部近傍に、積層エリアZ1が位置するように配置される。
つまり、平面視において、正極側搬送装置321及び負極側搬送装置324は、互いに略並列に配置されている。
【0129】
また、第3下流側コンベア321Bと第4下流側コンベア324Bとの間には、平面視「L」字状の移動フレーム332aと、当該移動フレーム332aによって昇降可能に支持される正極側吸着部332b及び負極側吸着部332cとを有する電極板載置装置332が配置されており、当該電極板載置装置332によって、所定枚数(6枚)の正極板101・101・・・及び負極板102・102・・・を積層エリアZ1に各々纏めて供給する構成となっている。
【0130】
このような、正極側搬送装置321及び負極側搬送装置324が略並列に配置された構成からなる、第2別実施形態における製造装置301によれば、例えば、前述した本実施形態における製造装置1のように、積層エリアZ1を間に挟んで、正極側搬送装置21及び負極側搬送装置24が、一直線上に配置されている場合に比べて、積層型電池の製造装置における設部レイアウトのコンパクト化を図ることができる。
【0131】
以上、本発明を具現化する一実施形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、及び範囲内の全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0132】
1、201、301 積層型電池の製造装置
11、211、311 移動装置
21、321 正極側搬送装置
24、324 負極側搬送装置
31、331 つづら折り装置
32、332 電極板載置装置
41 分割装置
100 積層型電池
101 正極板
102 負極板
102a 負極芯体
102b 負極活物質層
103 セパレータ
110 電極積層体群
110A 電極積層体
d 所定間隔
S02 積層工程
S03 分割工程
Z1 積層エリア
Z2 分割エリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8