(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132214
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】眼科装置
(51)【国際特許分類】
A61B 3/028 20060101AFI20230914BHJP
A61B 3/103 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
A61B3/028
A61B3/103
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037404
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】犬塚 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 智弘
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA13
4C316FA01
4C316FA06
4C316FB01
4C316FB03
4C316FB16
4C316FC01
4C316FC14
4C316FY05
4C316FY09
(57)【要約】
【課題】被検者から距離を隔てた検者からの遠隔操作によりリモート検査を行うとき、検者の入力操作負担を軽減することができる眼科装置を提供すること。
【解決手段】被検眼Eに対する検査項目の測定を実施するレフラクターヘッド11と、入力情報に基づいてレフラクターヘッド11を制御する電源ユニット19と、電源ユニット19に対して入力情報を無線通信より送信するリモート操作装置50と、を備える。リモート操作装置50は、タッチパネル式の表示画面を有するタブレット端末51と、タブレット端末51と連携する手動操作ユニット52と、を併用する。手動操作ユニット52は、検者がその手を所定方向に動かす動作により量的な内容を入力することが可能なジョグダイヤル500を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼に対する検査項目の測定を実施する測定ヘッドと、入力情報に基づいて前記測定ヘッドを制御する制御部と、前記制御部に対して前記入力情報を無線通信より送信するリモート操作装置と、を備える眼科装置であって、
前記リモート操作装置は、タッチパネル式の表示画面を有するタッチ操作端末と、前記タッチ操作端末と連携する手動操作ユニットと、を併用し、
前記手動操作ユニットは、検者がその手を所定方向に動かす動作により量的な内容を入力することが可能な量的内容操作手段を有する
ことを特徴とする眼科装置。
【請求項2】
請求項1に記載された眼科装置において、
前記手動操作ユニットは、前記量的内容操作手段の周辺位置に配置される周辺スイッチ群を含む
ことを特徴とする眼科装置。
【請求項3】
請求項2に記載された眼科装置において、
前記周辺スイッチ群は、前記量的内容操作手段の周囲に配置される第1周辺スイッチ群と、第2周辺スイッチ群と、を含む
ことを特徴とする眼科装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載された眼科装置において、
前記手動操作ユニットは、前記タッチ操作端末に対する取り付け状態と切り離し近接状態とが可能に設けられ、
前記手動操作ユニットには、ユニット電源と、前記タッチ操作端末との取り付け状態を検出する取り付け状態検出手段と、前記タッチ操作端末との近距離通信器と、を備える
ことを特徴とする眼科装置。
【請求項5】
請求項4に記載された眼科装置において、
前記取り付け状態検出手段により前記タッチ操作端末と前記手動操作ユニットとが取り付け状態と検出されたとき、又は、切り離し近接状態が検出されたとき、予め定めた所定の反応アクションを設定する
ことを特徴とする眼科装置。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載された眼科装置において、
前記眼科装置は、被検眼に対して自覚系検査項目を測定する前記測定ヘッドを備える自覚系眼科装置であり、
前記手動操作ユニットは、前記量的内容操作手段としてジョグダイヤルを用いる
ことを特徴とする眼科装置。
【請求項7】
請求項6に記載された眼科装置において、
前記手動操作ユニットは、前記ジョグダイヤルにより被検眼と検査視標との検査距離を設定するパラメータ入力操作を行う
ことを特徴とする眼科装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載された眼科装置において、
前記手動操作ユニットは、前記ジョグダイヤルにより視標切替え、補助レンズ切替え、マスク切替え、データ切替えを設定するパラメータ入力操作を行う
ことを特徴とする眼科装置。
【請求項9】
請求項6から8までの何れか一項に記載された眼科装置において、
前記手動操作ユニットは、前記ジョグダイヤルにより輻輳量・開散量の調整量を設定するパラメータ入力操作を行う
ことを特徴とする眼科装置。
【請求項10】
請求項6から9までの何れか一項に記載された眼科装置において、
前記手動操作ユニットは、前記ジョグダイヤルにより被検者説明表示の変更操作、メニュー項目の選定、患者番号等の数値入力、固視光量、視標XY位置、球面屈折値・円柱屈折値・軸角度・プリズムの各量を設定するパラメータ入力操作を行う
ことを特徴とする眼科装置。
【請求項11】
請求項1から5までの何れか一項に記載された眼科装置において、
前記眼科装置は、被検眼に対して自覚系検査項目と他覚系検査項目とを測定する自覚/他覚系眼科装置であり、
前記手動操作ユニットは、前記量的内容操作手段としてジョグダイヤルを用い、前記ジョグダイヤルにより他覚測定時の被検眼に対する測定部のXYZ位置の微調整、他覚測定時の雲霧量の調整量を設定するパラメータ入力操作を行う
ことを特徴とする眼科装置。
【請求項12】
請求項1から5までの何れか一項に記載された眼科装置において、
前記眼科装置は、被検眼に対して他覚系検査項目を測定する前記測定ヘッドを備える他覚系眼科装置であり、
前記手動操作ユニットは、前記量的内容操作手段としてコントロールレバーを用い、前記コントロールレバーにより被検眼に対する測定部のXYZ位置の微調整のパラメータ入力操作を行う
ことを特徴とする眼科装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼科装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タブレットコンピュータを用いることによって電動レフラクタと視標呈示装置の両方をワイヤレスコントロールするための眼科装置制御方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ソーシャルディスタンス対応等でタブレット操作により検査する眼科装置の必要性は高い。しかし、被検者の近くに座っている検者が眼科装置に対して入力操作する近接検査モードのときの入力操作装置としては、モニタ画面と、手動操作によるジョグダイヤル等を有する操作コントローラと、を併用する装置が用いられている。このため、リモート検査モードのとき、ジョグダイヤル等に対する手動操作に慣れている検者の操作感覚を、タブレット操作だけで実現することは厳しい。また、タブレット操作の場合、量的な内容の入力が困難であるし、ブラインド操作ができない。よって、タブレット操作のみによりリモート検査を行うとき、ソーシャルディスタンスに対応できても検者の入力操作負担が増大する、という課題があった。
【0005】
本開示は、上記課題に着目してなされたもので、被検者から距離を隔てた検者からの遠隔操作によりリモート検査を行うとき、検者の入力操作負担を軽減する眼科装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の眼科装置は、被検眼に対する検査項目の測定を実施する測定ヘッドと、入力情報に基づいて測定ヘッドを制御する制御部と、制御部に対して入力情報を無線通信より送信するリモート操作装置と、を備える。
リモート操作装置は、タッチパネル式の表示画面を有するタッチ操作端末と、タッチ操作端末と連携する手動操作ユニットと、を併用する。
手動操作ユニットは、検者がその手を所定方向に動かす動作により量的な内容を入力することが可能な量的内容操作手段を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、上記課題解決手段を採用したため、被検者から距離を隔てた検者からの遠隔操作によりリモート検査を行うとき、検者の入力操作負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1における自覚系眼科装置の一例を示す斜視図である。
【
図2】自覚系眼科装置において遠用検眼を行う場合の各部の配置関係を説明するための説明図である。
【
図3】自覚系眼科装置において近用検眼を行う場合の各部の配置関係を説明するための説明図である。
【
図4】実施例1の自覚系眼科装置において互いに着脱可能なタブレット端末と手動操作ユニットを併用するリモート操作装置の一例を示す図である。
【
図5】実施例1の手動操作ユニットにおいて周辺スイッチ群をさらに加えた変形例を示す平面図である。
【
図6】実施例1のリモート操作装置において互いに着脱可能であるとともにタブレット端末の設定角度を変更可能なチルト式による変形例を示す斜視図である。
【
図7】実施例2における自覚/他覚系眼科装置の一例を示す斜視図である。
【
図8】実施例2の自覚/他覚系眼科装置において互いに着脱可能なタブレット端末と手動操作ユニットを併用するリモート操作装置の一例を示す図である。
【
図9】実施例3における他覚系眼科装置の一例を示す検者側から視た斜視図である。
【
図10】実施例3における他覚系眼科装置での被検者に対する他覚系検眼状態を示す側面図である。
【
図11】1個のタブレット端末に対して左右の周端面に着脱可能な2個の手動操作ユニットを組み合わせて併用するリモート操作装置の例を示す図である。
【
図12】1個のタブレット端末に対して上下の周端面に着脱可能な2個の手動操作ユニットを組み合わせて併用するリモート操作装置の例を示す図である。
【
図13】量的内容操作手段として適用可能な様々な他の例(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)を示す図である。
【
図14】量的内容操作手段として2つの操作レバーを用いて量的内容を操作する一例を示す図である。
【
図15】量的内容操作手段として指の動きによるジェスチャーを検出する動作検出部を用いて量的内容を操作する一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示に係る眼科装置を実施するための形態として、検眼システムとして自覚系眼科装置を用いる例(実施例1)、検眼システムとして自覚/他覚系眼科装置を用いる例(実施例2)、検眼システムとして他覚系眼科装置を用いる例(実施例3)について、図面を参照しながら説明する。
【実施例0010】
実施例1に係る眼科装置10は、被検眼Eの自覚検眼を行う自覚系眼科装置の一例である。以下において、被検者Sから見て、左右方向を矢印Xで示し、上下方向(鉛直方向)を矢印Yで示し、左右方向および上下方向と直交する方向(奥行き方向)を前後方向として矢印Zで示す。なお、被検者Sからの回答を聞きながら測定を進める検眼を「自覚検眼」といい、機械が自動的に測定を行う検眼を「他覚検眼」という。
【0011】
眼科装置10は、自覚式の眼科装置を構成するものであり、被検眼Eの屈折度数測定、及び、両眼視機能検査に用いる。実施例1の眼科装置10は、被検者Sが左右の両眼を開放した状態で、被検眼Eの視機能の検査および矯正が実行可能な両眼開放タイプとしており、片眼を遮蔽し、片眼ずつ検査等することができる。さらに、被検者Sの輻輳力と開散力を測定し、その結果を被検者Sの斜位矯正を行う際の参考値として用いる。
【0012】
眼科装置10は、
図1に示すように、レフラクターヘッド11(測定ヘッド)と、視標表示装置12と、検眼テーブル14と、電源ユニット19(制御部)と、リモート操作装置50と、を備える。検眼テーブル14は、レフラクターヘッド11を支持するとともに被検者Sの腕を載せる第1テーブル部15と、視標表示装置12を載せる第2テーブル部16と、を有する。
【0013】
第1テーブル部15は、第1昇降機構17により上下動が可能とされており、上下方向の任意の位置で停止することが可能とされている。第2テーブル部16は、
図2及び
図3に示すように、第2昇降機構18により第1テーブル部15に対して上下動が可能とされており、視標表示装置12が被検眼Eに対峙する位置(
図2参照)と、被検眼Eの視界(視線の方向)から外れる位置(
図3参照)と、での移動が可能とされている。
【0014】
レフラクターヘッド11は、
図1に示すように、一対の検眼ユニット21と支持機構22とを有する。一対の検眼ユニット21は、支持機構22により検眼テーブル14の第1テーブル部15に取り付けられている。支持機構22は、支柱22aと支持アーム22bと支持部材22cとを有する。支柱22aは、第1テーブル部15の上から上下方向に伸びており、それぞれ矢印で示すように、上下方向に伸縮自在とされるとともに円周方向に回転自在とされている。支持アーム22bは、支柱22aから左右方向(斜め上方向)に伸びている。この支持アーム22bの先端に支持部材22cが設けられ、その支持部材22cにレフラクターヘッド11が吊り下げられている。支持機構22は、支柱22aを円周方向へ回転させることで、レフラクターヘッド11を被検眼Eと視標表示装置12との間に配置(
図2を参照)できるとともに、そこからレフラクターヘッド11を退避(
図1を参照)させることができる。
【0015】
検眼ユニット21は、被検者Sの額を当てる額当部が設けられており、そこで位置決めされた被検者Sの左右の被検眼Eに対応するように左右で対を為して設けられ、左眼用の検眼光学系と右眼用の検眼光学系とを個別に構成している。以下では、個別に示す際には、左眼用を検眼ユニット21Lとし、右眼用を検眼ユニット21Rとする。各検眼ユニット21は、左右方向(X方向)へスライド可能に公知のスライド機構によって支持機構22の支持部材22cに取り付けられ、相対的に接近させることと話すこととが可能となっている。
【0016】
各検眼ユニット21のそれぞれには、検眼窓23L、23Rが設けられている。各検眼窓23L、23Rは、対応する検眼ユニット21の被検眼E側から視標表示装置12側に至る光路を形成するもので、検眼に用いる図外の光学部材の選択的な配置が可能とされている。光学部材は、被検眼Eの視機能を矯正するために用いられる各種レンズ、偏光部材等からなる集合体であり、例えば、偏光フィルタ、球面レンズ、円柱レンズ、プリズムを含んでいる。
【0017】
レフラクターヘッド11では、両検眼ユニット21の視標表示装置12側に、上下方向に伸びる近点棒27を設けている。この近点棒27には、先端に近用検眼用の視標表示部28が吊り下げられている。近点棒27は、折り畳み可能とされ、使用時には近用視検眼距離(例えば、300~400mm)に視標表示部28を位置させる(
図3を参照)とともに、不使用時には近点棒27と視標表示部28とを垂直に収納する(
図1、
図2を参照)。その視標表示部28は、近用検眼用の視標を表示する。なお、レフラクターヘッド11には、音声を取得する被検者マイク31と、音声を出力する内部スピーカ32と、が設けられている。
【0018】
視標表示装置12は、
図1に示すように、第2テーブル部16上に載せられ、第1テーブル部15上のレフラクターヘッド11を挟んで被検眼Eの前方に配置される。視標表示装置12は、直方体形状の筺体41を有し、そこに図外の視標呈示光学系と視標制御部とが収容されている。筺体41では、上部側の前面(被検眼E側)が部分的に開口されて、被検者Sが視標を視認するための窓部41aが設けられている。また、窓部41aの下側には、被検者Sを撮影する被検者撮影部47が設けられている。
【0019】
電源ユニット19は、眼科装置10の各部の動作を統括的に制御する機能を担うパーソナルコンピュータを内蔵するユニットである。電源ユニット19には、レフラクターヘッド11と視標表示装置12がLANケーブルにより接続される。なお、近接検査モードのときの図外の入力操作装置(例えば、有線コントローラ)を用いる場合には、LANケーブルを介して入力操作装置を電源ユニット19に接続する。
【0020】
図1に示す眼科装置10を用いて自覚検眼における遠用検眼と近用検眼を実行するときの動作の一例を、
図2、
図3を参照しながら説明する。
【0021】
先ず、視標表示装置12を用いて遠用検眼を行う。このとき、眼科装置10では、
図2に示すように、支柱22aが適宜回転されて、視標表示装置12の窓部41aの前方にレフラクターヘッド11を配置する。被検者Sは、立った状態または椅子等に座った状態で、第1テーブル部15上のレフラクターヘッド11を挟んで第2テーブル部16上の視標表示装置12(窓部41a)と対峙して、額当部に額を当てつつ第1テーブル部15上に肘や腕を載せて、検眼の姿勢となる。そして、眼科装置10は、立位や座位等の姿勢、身長、座高、被検眼Eの床面からの高さ等の被検者Sの状態に応じてすなわち自然な姿勢での被検眼Eの高さに合わせて、第2テーブル部16とともに第1テーブル部15が適宜上下動される。これにより、眼科装置10は、レフラクターヘッド11と視標表示装置12との上下方向の高さが調整され、その支柱22aを伸縮して検眼ユニット21の高さが微調整されて被検眼Eに適合される。
【0022】
その後、眼科装置10は、視標表示装置12において、目的に合わせた遠用検眼用の視標を表示させ、視標呈示光学系42により遠用視検眼距離に視標像を呈示させる。眼科装置10は、左右の検眼ユニット21L、21Rの検眼窓23L、23Rを介して、被検者Sに視標像を注視させることで、被検眼Eの遠用検眼を実行する。そして、眼科装置10は、この遠用視の状態での視標像の見え方等に応じて、レフラクターヘッド11における検眼窓23L、23Rの屈折レンズの度数やプリズムの度数が変更されて、遠用視の状態での屈折異常や斜位等を矯正できる。
【0023】
次に、眼科装置10は、視標表示装置12を用いて近用検眼を行う。このとき、眼科装置10では、
図3に示すように、第2テーブル部16を下降させ、その上方の空間に倒した近点棒27から下げられた視標表示部28を配置する。
【0024】
その後、眼科装置10は、目的に合わせて視標表示部28の近用検眼用の視標を、左右の検眼ユニット21L、21Rの検眼窓23L、23Rを介して被検者Sに注視させることで、被検眼Eの近用検眼を実行する。そして、眼科装置10は、この近用視の状態での視標の見え方等に応じてレフラクターヘッド11において検眼窓23L、23Rに配置される屈折レンズの度数やプリズムの度数が変更されて、近用視の状態での屈折異常や斜位等を矯正する。これにより、眼科装置10は、加齢等による被検眼Eの調節力の変化等を検査できる。
【0025】
次に、
図4を参照してリモート操作装置50の詳細構成を説明する。
【0026】
リモート操作装置50は、電源ユニット19に対して入力情報を無線通信より送信する装置であり、被検者Sに対して少なくともソーシャルディスタンス以上に離れた位置にいる検者が眼科装置10を操作するリモート検査モードのときに用いられる。
【0027】
リモート操作装置50は、タッチパネル式の表示画面51aを有するタブレット端末51(タッチ操作端末)と、タブレット端末51と連携する手動操作ユニット52と、を併用している。リモート操作装置50は、テーブルに置いて使う場合と、手に持って操作する場合もある。そして、テーブルに置いて使う場合は、例えば、
図6に示すように、手動操作ユニット52に傾動可能なチルト連結機構53を設け、チルト連結機構53のタブレット端末収納部53aにタブレット端末51を差し込んで連結する。この場合、手動操作ユニット52に対して所定のチルト角度範囲でタブレット端末51の画面傾斜角度を適切な角度に調整できる。
【0028】
タブレット端末51は、ケーブル無しの無線LAN通信によって電源ユニット19とネットワーク接続される。そして、リモート検査モードのとき、タッチパネル式の表示画面51aには、
図4に示すように、主にタッチ操作により選択する複数の入力操作選択情報が表示される。
【0029】
手動操作ユニット52は、タブレット端末51における下側の周端面に対して着脱可能に設けられ、取り付け状態にすることも切り離し近接状態にすることもできる。ここで、取り付け状態とは、タブレット端末51への差し込み連結により取り付けられる状態と、タブレット端末51とケーブルを介して接続される状態と、の両方を含む。また、切り離し近接状態とは、近距離無線通信により互いに情報伝達することが可能に配置されている状態をいう。よって、リモート操作装置50のタブレット端末51と手動操作ユニット52は、取り付け状態での連携以外に、切り離し近接状態での連携を含む。
【0030】
手動操作ユニット52には、ユニット電源52aと、タブレット端末51との取り付け状態を検出するマイクロスイッチ52b(取り付け状態検出手段)と、タブレット端末51との近距離通信器52cと、を備える。ユニット電源52aは、電源スイッチ503により入切操作が行われる。また、近距離通信器52cによる通信状況の判断により近接状態を検出している。
【0031】
マイクロスイッチ52bによりタブレット端末51と手動操作ユニット52とが取り付け状態と検出されたとき、又は、切り離し近接状態が検出されたとき、予め定めた所定の反応アクションを設定している。
【0032】
予め定めた反応アクションとは、例えば、タブレット操作無効、タブレット操作優先、タブレット操作と手動操作の両方、電力モード(省電モード)、アクティブ(データのやりとり)、終了判断、等をいう。
【0033】
手動操作ユニット52は、検者がその手を所定方向に動かす動作により量的な内容を入力することが可能なジョグダイヤル500(量的内容操作手段)を有する。ジョグダイヤル500は、レンズの屈折力や乱視軸の数値変更時等に使用するもので、右へ回すとマイナス側に変更し、左へ回すとプラス側に変更する。ここで、「ジョグダイヤル」とは、ダイヤルを「回して押す」だけのシンプルな動作による回転型セレクターである。例えば、所定の変化量をステップ単位とし、ステップ単位によって少しずつ量を変更させるジョグ動作により量的な内容をきめ細かく入力することができる。つまり、タッチ操作によるタブレット端末51は、量的内容を入力するのが不得手であるのに対し、ジョグダイヤル500は、量的内容を入力するのを得意とする操作手段である。
【0034】
ジョグダイヤル500は、タブレット端末51の表示画面51aに対する画面タッチ操作と組み合わせて使用することができる。ジョグダイヤル500への量的内容の入力操作と組み合わせる画面タッチ操作としては、球面度・加入度操作中、乱視度操作中、乱視軸操作中、水平・垂直プリズム操作中、PD操作中、等がある。なお、「PD」とは、被検眼Eの左右の瞳孔(黒目)の中心から中心までの瞳孔間距離をいう。また、後述するシフトスイッチ515の押下中は、各操作での変更ステップが規定値になる。
【0035】
手動操作ユニット52は、ジョグダイヤル500の周辺位置に配置される第1周辺スイッチ群501を含む。
【0036】
第1周辺スイッチ群501は、
図4に示すように、送りスイッチ510と、第1スイッチ511と、第2スイッチ512と、プラススイッチ513と、マイナススイッチ514と、シフトスイッチ515と、を有する。
【0037】
送りスイッチ510は、コースプログラムを1ステップ進め、シフトスイッチ515を押しながら押すとコースプログラムが1ステップ戻る。第1スイッチ511は、片眼モード時には、検査対象眼に緑枠のクロスシリンダーレンズをセットし、検査を開始する。両眼モード時には、自動的に右眼検査モードで検査を開始する。第2スイッチ512は、片眼モード時には、検査対象眼に赤枠のクロスシリンダーレンズをセットし、検査を開始する。両眼モード時には、自動的に右眼検査モードで検査を開始する。プラススイッチ513は、緑色であり、押す毎に数値がプラス側に変わる。マイナススイッチ514は、赤色であり、押す毎に数値がマイナス側に変わる。シフトスイッチ515は、送りスイッチ510等と組み合わせて使用する。
【0038】
ここで、プラススイッチ513とマイナススイッチ514は、タブレット端末51の表示画面51aに対する画面タッチ操作と組み合わせて使用することができる。プラススイッチ513とマイナススイッチ514への操作と組み合わせる画面タッチ操作としては、球面度・加入度操作中、乱視度操作中、乱視軸操作中、水平・垂直プリズム操作中、PD操作中、等がある。なお、シフトスイッチ515の押下中は、各操作での変更ステップが規定値になる。
【0039】
ここで、周辺スイッチ群としては、
図5に示すように、ジョグダイヤル500の周囲に配置される第1周辺スイッチ群501,501’と、第1周辺スイッチ群501,501’よりジョグダイヤル500から離れた位置に配置される第2周辺スイッチ群502と、を含む例としても良い。
【0040】
第1周辺スイッチ群501は、上記のように、送りスイッチ510と、第1スイッチ511と、第2スイッチ512と、プラススイッチ513と、マイナススイッチ514と、シフトスイッチ515と、を有する。
【0041】
第1周辺スイッチ群501’は、右眼スイッチ516と、左眼スイッチ517と、両眼スイッチ518と、遮蔽スイッチ519,520と、を有する。右眼スイッチ516は、検査対象眼を右眼に指定する。左眼スイッチ517は、検査対象眼を左眼に指定する。両眼スイッチ518は、両眼測定状態にする。遮蔽スイッチ519,520は、右眼または左眼に遮蔽をセットする。もう一度押すと、遮蔽が外れる。シフトスイッチ515を押しながら押すと、遮蔽の種類を変更することができる。
【0042】
第2周辺スイッチ群502は、移動スイッチ521と、視力スイッチ522と、を有する。移動スイッチ521は、マスクやリストの選択項目を移動させるもので、上方向移動スイッチ部521aと、下方向移動スイッチ部521bと、左方向移動スイッチ部521cと、右方向移動スイッチ部521dと、を有する。視力スイッチ522は、各スイッチ部521a,521b,521c,521dの中央部に配置され、測定した視力値を入力する。なお、第2周辺スイッチ群502の中央位置にジョグダイヤルを配置し、ジョグダイヤルと第2周辺スイッチ群502とを複合させるような構成としても良い。
【0043】
実施例1の手動操作ユニット52では、ジョグダイヤル500への手動操作により下記に列挙するパラメータ入力操作を行う。
(P1)被検眼Eと検査視標との検査距離を設定する。
(P2)視標切替え、補助レンズ切替え、マスク切替え、データ切替えを設定する。
(P3)輻輳量・開散量の調整量を設定する。
(P4)被検者説明表示の変更操作、メニュー項目の選定、患者番号等の数値入力、固視光量、視標XY位置、球面屈折値[S]・円柱屈折値[C]・軸角度[A]・プリズム[P]の各量を設定する。
【0044】
ここで、「輻輳量・開散量」とは、被検者Sから異なる距離(奥行き)にある対象物に視線を移動させ時に起こる両眼が違う方向に動く眼球運動で、近くを見るときに両眼が寄ることを「輻輳」と呼び、遠くを見るときに両眼が離れることを「開散」という。
【0045】
次に、リモート検査モードでのパラメータ入力作用を説明する。ソーシャルディスタンス対応等でタブレット操作により検査する眼科装置の必要性が高く、上記先行技術文献(特許第6206430号公報)等で提案されている。
【0046】
しかし、被検者の近くに座っている検者が眼科装置に対して入力操作する近接検査モードのときの入力操作装置としては、モニタ画面と、手動操作によるジョグダイヤルやコントロールレバー等を有する操作コントローラと、を併用する装置が一般的に用いられている。
【0047】
このため、リモート検査モードのとき、ジョグダイヤルやコントロールレバー等に対する手動操作に慣れている検者の操作感覚を、タブレット操作だけで近接検査モードのときと同様の操作感覚を実現することは厳しい。また、タブレット操作の場合、複数の選択肢の中からの選択操作には便利であるが、量的な内容の入力が困難であるし、ブラインド操作ができない。よって、ソーシャルディスタンス対応などでタブレット操作のみによりリモート検査を行うとき、検者の入力操作負担が増大する。
【0048】
これに対し、リモート検査モードのときに用いられるリモート操作装置50は、タッチパネル式の表示画面51aを有するタブレット端末51と、タブレット端末51と連携する手動操作ユニット52と、を併用している。そして、手動操作ユニット52には、検者がその手を所定方向に動かす動作により量的な内容を入力することが可能な量的内容操作手段としてジョグダイヤル500を有する構成を採用している。
【0049】
したがって、リモート検査モードのとき、複数の選択肢の中からの選択操作には便利であるタブレット端末51の長所を生かしつつ、タブレット端末51が苦手とする量的な内容の入力やブラインド操作についてはジョグダイヤル500が補うことになる。また、近接検査モードのときにジョグダイヤル等に対する手動操作に慣れている検者の操作感覚が、リモート検査モードのときに実現されることになる。よって、被検者Sから距離を隔てた検者からの遠隔操作によりリモート検査を行うとき、検者の入力操作負担が軽減される。
【0050】
実施例1の眼科装置10にあっては、下記に列挙する効果を奏する。
【0051】
(1)被検眼Eに対する検査項目の測定を実施する測定ヘッド(レフラクターヘッド11)と、入力情報に基づいて測定ヘッドを制御する制御部(電源ユニット19)と、制御部に対して入力情報を無線通信より送信するリモート操作装置50と、を備える。リモート操作装置50は、タッチパネル式の表示画面を有するタッチ操作端末(タブレット端末51)と、タッチ操作端末と連携する手動操作ユニット52と、を併用する。手動操作ユニット52は、検者がその手を所定方向に動かす動作により量的な内容を入力することが可能な量的内容操作手段(ジョグダイヤル500)を有する。このため、被検者Sから距離を隔てた検者からの遠隔操作によりリモート検査を行うとき、検者の入力操作負担を軽減することができる。
【0052】
(2)手動操作ユニット52は、量的内容操作手段(ジョグダイヤル500)の周辺位置に配置される周辺スイッチ群(第1周辺スイッチ群501,501’等)を含む。したがって、量的内容操作手段(ジョグダイヤル500)とタッチ操作端末(タブレット端末51)との組み合わせ操作以外に、量的内容操作手段(ジョグダイヤル500)と周辺スイッチ群(第1周辺スイッチ群501,501’等)との組み合わせ操作を加えることができる。このため、リモート検査を行うとき、検者の入力操作負担をさらに軽減することができる。
【0053】
(3)周辺スイッチ群は、ジョグダイヤル500(量的内容操作手段)の周囲に配置される第1周辺スイッチ群501,501’と、第2周辺スイッチ群502と、を含む。このため、第1周辺スイッチ群501,501’、及び、第2周辺スイッチ群502を直感的でスマートな操作を行うスイッチ群の設定にすることで、リモート検査を行うとき、操作性を高めることができる。
【0054】
(4)手動操作ユニット52は、タッチ操作端末(タブレット端末51)に対する取り付け状態と切り離し近接状態とが可能に設けられる。手動操作ユニット52には、ユニット電源52aと、タッチ操作端末との取り付け状態を検出する取り付け状態検出手段(マイクロスイッチ52b)と、タッチ操作端末との近距離通信器52cと、を備える。このため、リモート操作端末(タブレット端末51)に対して手動操作ユニット52を切り離し近接状態としても、リモート操作端末(タブレット端末51)と手動操作ユニット52との連携を維持することができる。
【0055】
(5)取り付け状態検出手段(マイクロスイッチ52b)によりタッチ操作端末(タブレット端末51)と手動操作ユニット52とが取り付け状態と検出されたとき、又は、切り離し近接状態が検出されたとき、予め定めた所定の反応アクションを設定する。このため、取り付け状態検出手段(マイクロスイッチ52b)からの検出信号を、反応アクションの設定のために利用することができる。
【0056】
(6)眼科装置10は、被検眼Eに対して自覚系検査項目を測定する測定ヘッド(レフラクターヘッド11)を備える自覚系眼科装置であり、手動操作ユニット52は、量的内容操作手段としてジョグダイヤル500を用いる。このため、自覚検眼システムによりリモート検査を行うとき、ジョグダイヤル500へのパラメータ入力操作を用いることで、検者の入力操作負担を軽減することができる。
【0057】
(7)手動操作ユニット52は、ジョグダイヤル500により被検眼Eと検査視標との検査距離を設定するパラメータ入力操作を行う。このため、自覚検眼システムによりリモート検査を行うとき、ジョグダイヤル500へのパラメータ入力操作により、被検眼Eと検査視標との検査距離を設定することができる。
【0058】
(8)手動操作ユニット52は、ジョグダイヤル500により視標切替え、補助レンズ切替え、マスク切替え、データ切替えを設定するパラメータ入力操作を行う。このため、自覚検眼システムによりリモート検査を行うとき、ジョグダイヤル500へのパラメータ入力操作により、視標切替え、補助レンズ切替え、マスク切替え、データ切替えを設定することができる。
【0059】
(9)手動操作ユニット52は、ジョグダイヤル500により輻輳量・開散量の調整量を設定するパラメータ入力操作を行う。このため、自覚検眼システムによりリモート検査を行うとき、ジョグダイヤル500へのパラメータ入力操作により、輻輳量・開散量の調整量を設定することができる。
【0060】
(10)手動操作ユニット52は、ジョグダイヤル500により被検者説明表示の変更操作、メニュー項目の選定、患者番号等の数値入力、固視光量、視標XY位置、球面屈折値[S]・円柱屈折値[C]・軸角度[A]・プリズム[P]の各量を設定するパラメータ入力操作を行う。このため、自覚検眼システムによりリモート検査を行うとき、ジョグダイヤル500へのパラメータ入力操作により、(7)~(9)以外の様々なパラメータを設定することができる。
実施例2に係る眼科装置110は、被検眼Eの自覚検眼と他覚検眼の両方を行う自覚/他覚系眼科装置の一例である。以下において、被検者Sから見て、左右方向を矢印Xで示し、上下方向(鉛直方向)を矢印Yで示し、左右方向および上下方向と直交する方向(奥行き方向)を前後方向として矢印Zで示す。
検眼用テーブル112は、基台111に支持され、高さ位置が調節可能になっている。支柱113は、検眼用テーブル112の後端部からY方向に起立しており、上部にアーム114が設けられている。アーム114は、測定ヘッド120を検眼用テーブル112の上方で吊り下げ支持するものであり、支柱113からZ方向に沿って延在されている。アーム114は、支柱113に対して上下動可能に取り付けられている。
検眼用テーブル112の下方には、眼科装置110の各部の動作を統括的に制御する機能を担うパーソナルコンピュータを内蔵するユニットである電源ユニット130(制御部)が取り付けられている。なお、電源ユニット130には、電源ケーブル130bを介して図示しない商用電源から電力供給がなされる。
測定ヘッド120は、電源ユニット130によって制御され、被検眼の眼特性である被検眼の前後方向の寸法情報と、被検眼の角膜形状と、被検眼の屈折特性とを、それぞれ左右同時に測定する。なお、測定ヘッド120によって、任意の自覚検査や上記以外の任意の他覚測定を行ってもよい。
測定ヘッド120は、図外の取り付けベース部に設けられた左駆動機構121L及び右駆動機構121Rと、左駆動機構121Lに支持された左眼測定ヘッド122Lと、右駆動機構121Rに支持された右眼測定ヘッド122Rと、を備えている。
左眼測定ヘッド122L及び右眼測定ヘッド122Rは、左右被検眼のそれぞれに個別に対応すべく対を成して設けられ、X方向で双方の中間に位置する鉛直面に関して面対称な構成とされている。また、左眼測定ヘッド122Lを支持する左駆動機構121Lの各駆動部の構成と、右眼測定ヘッド122Rを支持する右駆動機構121Rの各駆動部の構成とは、X方向で双方の中間に位置する鉛直面に関して面対称な構成とされている。
実施例2の眼科装置110では、上記構成により、眼球の球面屈折力、乱視屈折力、乱視軸方向が測定されると共に、角膜面の曲率半径が測定される。加えて、各種自覚屈折視力検査が行われる。そして、眼科装置110には、被検眼の屈折力と角膜形状および自覚測定を両眼同時に測定することができ、両眼同時オートアライメントにより測定ができ、両眼視を維持しながら自覚の測定が可能であるという特徴がある。
実施例2のリモート操作装置50は、電源ユニット19に対して入力情報を無線通信より送信する装置であり、被検者Sに対して少なくともソーシャルディスタンス以上に離れた位置にいる検者が眼科装置110を操作するリモート検査モードのときに用いられる。
タブレット端末51は、ケーブル無しの無線LAN通信によって電源ユニット130とネットワーク接続される。そして、リモート検査モードのとき、タッチパネル式の表示画面51aには、主にタッチ操作により選択する複数の入力操作選択情報が表示される。
手動操作ユニット52は、タブレット端末51に対して着脱可能に設けられ、取り付け状態にすることも切り離し近接状態にすることもできる。そして、手動操作ユニット52には、実施例1と同様に、検者がその手を所定方向に動かす動作により量的な内容を入力することが可能なジョグダイヤル500(量的内容操作手段)を有する。なお、手動操作ユニット52の詳しい構成は、実施例1と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
ここで、(P5)において、Z位置は、VD値(角膜頂点間距離)でも良い。X値はPD値(瞳孔間距離)でも良いし、ハーフPD値でも良い。また、(P5)において、「雲霧」とは、意図的に近視の状態を作り、被検眼の調節力を働かせないことをいう。そして、「雲霧量」とは、被検眼に付加する雲霧の量(強さ)であり、固視標の提示位置(提示距離)として表される。雲霧量の調整では、雲霧量を増加する場合、固視標の提示位置を遠方視方向(プラス側)に移動し、雲霧量を低減する場合、固視標の提示維持を近方視方向(マイナス側)に移動する。雲霧による検査は、特に、遠視性の屈折検査や、調節力の介入が著しい若年層の被検眼を検査する際に用いる。
(11)眼科装置110は、被検眼に対して自覚系検査項目と他覚系検査項目とを測定する自覚/他覚系眼科装置である。手動操作ユニット52は、量的内容操作手段としてジョグダイヤル500を用い、ジョグダイヤル500により他覚測定時の被検眼に対する測定部のXYZ位置の微調整、他覚測定時の雲霧量の調整量を設定するパラメータ入力操作を行う。このため、自覚/他覚検眼システムによりリモート検査を行うとき、ジョグダイヤル500へのパラメータ入力操作により、他覚測定時の被検眼に対する測定部のXYZ位置の微調整、他覚測定時の雲霧量の調整量を設定することができる。