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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013222
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20230119BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20230119BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20230119BHJP
   G03G 15/06 20060101ALI20230119BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
G03G15/08 231
G03G21/14
G03G21/00 510
G03G15/06 101
G03G15/01 Y
G03G15/01 113A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117234
(22)【出願日】2021-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123375
【弁理士】
【氏名又は名称】半田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】山本 晋
【テーマコード(参考)】
2H073
2H077
2H270
2H300
【Fターム(参考)】
2H073AA01
2H073AA09
2H073BA01
2H073BA09
2H073BA12
2H073BA13
2H073BA21
2H073CA02
2H073CA22
2H077AC04
2H077AD02
2H077AD06
2H077AD13
2H077AD35
2H077AE03
2H077DB08
2H077DB25
2H077EA14
2H077FA12
2H077FA16
2H077FA22
2H077FA26
2H270KA04
2H270KA28
2H270LC13
2H270MA14
2H270MA17
2H270MC29
2H270MD02
2H270ME06
2H270MG07
2H270MH13
2H270MH14
2H270MH15
2H270RC10
2H270ZC04
2H270ZC06
2H300EA06
2H300EB04
2H300EB07
2H300EB12
2H300EF06
2H300EF07
2H300EF14
2H300EF15
2H300EG02
2H300EH15
2H300EJ09
2H300EJ23
2H300EJ25
2H300EJ29
2H300EJ39
2H300EJ45
2H300EJ50
2H300EL04
2H300FF05
2H300GG11
2H300KK02
2H300KK03
2H300KK05
2H300KK12
2H300KK13
2H300MM04
2H300MM28
2H300NN01
2H300PP01
2H300PP07
2H300QQ04
2H300QQ10
2H300QQ11
2H300TT04
2H300TT06
(57)【要約】
【課題】現像剤担持体の表面の現像剤の量を適切に保ち、画像品質の低下を抑制する
【解決手段】画像形成装置1は、媒体Pの搬送方向に順に配列された画像形成部10K、10Y,10M,10Cを有する。各画像形成部10は、感光体ドラム(像担持体)11と、現像電圧DBを印加された現像ローラ(現像剤担持体)13と、供給電圧SBを印加された供給ローラ(供給部材)14とを有する。画像形成工程では供給ローラ14から現像ローラ13に現像剤を供給し、回収工程では現像ローラ13から供給ローラ14に現像剤を回収する。各画像形成部10では、画像形成工程と回収工程とで、現像電圧DBと供給電圧SBとの絶対値の大小が逆転する。上流側の画像形成部10Kにおける回収工程の現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値は、下流側の画像形成部10Cにおける回収工程の現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値よりも小さい。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送する搬送部と、
前記媒体の搬送方向に順に配列された第1の画像形成部および第2の画像形成部と
を有し、
前記第1の画像形成部および前記第2の画像形成部はいずれも、像担持体と、前記像担持体に対向配置されて現像電圧を印加される現像剤担持体と、供給電圧を印加される供給部材とを有し、画像形成工程では前記供給部材から前記現像剤担持体に現像剤を供給し、回収工程では前記現像剤担持体から前記供給部材に現像剤を回収し、
前記第1の画像形成部および前記第2の画像形成部のいずれにおいても、前記画像形成工程と前記回収工程とで、前記現像電圧と前記供給電圧との絶対値の大小が逆転し、
前記第1の画像形成部における前記回収工程の前記現像電圧と前記供給電圧との差の絶対値は、前記第2の画像形成部における前記回収工程の現像電圧と供給電圧との差の絶対値よりも小さい
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の画像形成部における前記回収工程の継続時間は、前記第2の画像形成部における前記回収工程の継続時間よりも長い
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の画像形成部における前記回収工程の継続時間と、前記現像電圧と前記供給電圧との差の絶対値との積は、
前記第2の画像形成部における前記回収工程の継続時間と、前記現像電圧と前記供給電圧との差の絶対値との積と略等しい
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の画像形成部における前記回収工程と、前記第2の画像形成部における前記回収工程は、同時に終了する
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像電圧および前記供給電圧は、現像剤の極性と同極性であり、
前記第1の画像形成部および前記第2の画像形成部のいずれにおいても、
前記画像形成工程では、前記現像電圧の絶対値が前記供給電圧の絶対値よりも大きく、
前記回収工程では、前記現像電圧の絶対値が前記供給電圧の絶対値よりも大きい
ことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記媒体の搬送方向に、前記第1の画像形成部および前記第2の画像形成部を含む複数の画像形成部を有し、
前記複数の画像形成部のうち、上流側の画像形成部ほど、前記現像電圧と前記供給電圧との差の絶対値が小さい
ことを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記媒体の搬送方向に、前記第1の画像形成部および前記第2の画像形成部を含む複数の画像形成部を有し、
前記複数の画像形成部のうち、2つ以上の画像形成部において、前記現像電圧と前記供給電圧との差の絶対値が等しい
ことを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1の画像形成部および前記第2の画像形成部はいずれも、前記像担持体上の現像剤像を前記媒体に転写する転写部材を有し、前記媒体の後端が前記像担持体と前記転写部材との間を通過した時点で前記回収工程が開始される
ことを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記現像剤担持体の表面における現像剤の付着量が2.0~3.5[mg/cm]である
ことを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、媒体に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法を用いる画像形成装置は、感光体ドラム等の像担持体と、現像ローラ等の現像剤担持体と、供給ローラ等の供給部材とを有する。現像剤担持体は現像剤(トナー)を担持し、像担持体上の潜像を現像する。供給部材は現像剤担持体に現像剤を供給すると共に、現像剤担持体から現像剤を回収する役割も有する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-126247号公報(例えば、段落0010-0013)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、供給部材によって現像剤担持体から現像剤を回収し過ぎると、現像剤担持体の表面の現像剤層(トナー層)が薄くなる。現像剤層が薄くなると、現像剤層の厚さを規制するために設けられている現像ブレード等の層規制部材が、摩擦によって現像剤担持体の表面に付着し、現像フィルミングと呼ばれる現象が発生する。このような現象が発生すると、画像品質の低下につながる。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、現像剤担持体の表面の現像剤の量を適切に保ち、画像品質の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の画像形成装置は、媒体を搬送する搬送部と、媒体の搬送方向に順に配列された第1の画像形成部および第2の画像形成部とを有する。第1の画像形成部および第2の画像形成部はいずれも、像担持体と、像担持体に対向配置されて現像電圧を印加される現像剤担持体と、供給電圧を印加される供給部材とを有し、画像形成工程では供給部材から現像剤担持体に現像剤を供給し、回収工程では現像剤担持体から供給部材に現像剤を回収する。第1の画像形成部および第2の画像形成部のいずれにおいても、画像形成工程と回収工程とで、現像電圧と供給電圧との絶対値の大小が逆転する。第1の画像形成部における回収工程の現像電圧と供給電圧との差の絶対値は、第2の画像形成部における回収工程の現像電圧と供給電圧との差の絶対値よりも小さい。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、媒体の搬送方向の下流側の第2の画像形成部よりも、上流側の第1の画像形成部において、回収工程の現像電圧と供給電圧との差が小さい。そのため、第1および第2の画像形成部の両方で、現像剤担持体の表面の現像剤の量を適切に保つことができ、画像品質の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施の形態の画像形成装置の構成を示す図である。
図2】第1の実施の形態の画像形成部を示す断面図である。
図3】第1の実施の形態の画像形成装置の制御系を示すブロック図である。
図4】現像ローラの表面のトナー付着量の測定方法を説明するための模式図(A),(B)である。
図5】現像ローラの回転回数と、現像ローラの表面のトナー付着量との関係を示すグラフである。
図6】第1の実施の形態の画像形成工程と回収工程における現像電圧および供給電圧の設定例を示すグラフである。
図7】第1の実施の形態の画像形成工程および回収工程における現像電圧および供給電圧を示すタイミングチャートである。
図8】第2実施の形態の画像形成工程および回収工程における現像電圧および供給電圧を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の実施の形態
<画像形成装置の構成>
第1の実施の形態の画像形成装置について説明する。図1は、第1の実施の形態の画像形成装置1を示す図である。画像形成装置1は、電子写真法によってカラー画像を形成するものであり、例えばカラープリンタである。
【0010】
画像形成装置1は、印刷用紙等の媒体Pを供給する媒体供給部40と、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)のトナー像を形成する画像形成部10K,10Y,10M,10Cと、トナー像を媒体Pに転写する転写ユニット30と、トナー像を媒体Pに定着する定着装置50と、媒体Pを排出する媒体排出部60とを有する。
【0011】
媒体供給部40は、媒体トレイ41と、ホッピングローラ42と、フィードローラ43と、搬送ローラ対44とを有する。媒体トレイ41は、媒体Pを積層状態で収容する。媒体Pは、例えば、印刷用紙、OHPシート、封筒、複写紙、特殊紙等である。
【0012】
ホッピングローラ42は、給紙モータ115(図3)によって回転し、媒体トレイ41の媒体Pを一枚ずつ搬送路に送り出す。フィードローラ43は、給紙モータ115(図3)によって回転し、媒体トレイ41から送り出された媒体Pを、給紙ガイド45に沿って搬送する。
【0013】
搬送ローラ対44は、搬送モータ116(図3)によって回転し、媒体Pを画像形成部10K,10Y,10M,10Cに向けて搬送する。なお、搬送ローラ対44は、両者のニップ部に媒体Pの先端が当接してから所定時間後に回転を開始することで、媒体Pのスキューを矯正して搬送する。
【0014】
画像形成部(プロセスユニット)10K,10Y,10M,10Cは、媒体Pの搬送路に沿って上流側から下流側、すなわち図1における右側から左側に配列されている。また、画像形成部10K,10Y,10M,10Cの各感光体ドラム11(後述)に対向するように、印刷ヘッド8K,8Y,8M,8Cが配置されている。
【0015】
画像形成部10K,10Y,10M,10Cは、特に区別する必要がない場合には、「画像形成部10」と称する。同様に、印刷ヘッド8K,8Y,8M,8Cは、特に区別する必要がない場合には、「印刷ヘッド8」と称する。
【0016】
図2は、画像形成部10を示す断面図である。画像形成部10は、像担持体としての感光体ドラム11と、帯電部材としての帯電ローラ12と、現像剤担持体としての現像ローラ13と、供給部材としての供給ローラ14と、層規制部材としての現像ブレード15と、クリーニング部材16とを有する。
【0017】
感光体ドラム11は、アルミニウム等で形成された円筒状の導電性支持体の表面に、光導電層を形成したものである。導電性支持体は、例えば、厚さ0.75mm、外径24mmのアルミニウム製のパイプで構成される。光導電層は、例えば、厚さ0.5μmの電荷発生層と厚さ20μmの電荷輸送層とを交互に積層したものである。感光体ドラム11は、ドラムモータ112(図3)によって図1における時計回りに回転する。
【0018】
帯電ローラ12は、導電性のシャフトの表面に導電性の弾性体層を形成したものである。シャフトは、例えばステンレス鋼で形成される。弾性体層は、例えばエピクロルヒドリンゴムで形成される。帯電ローラ12は、感光体ドラム11の表面に接触するように配置され、感光体ドラム11の回転に追従して回転する。帯電ローラ12は、帯電電圧を印加され、感光体ドラム11の表面を一様に帯電させる。
【0019】
印刷ヘッド8は、感光体ドラム11の表面に対向するように配置されている。印刷ヘッド8は、感光体ドラム11の軸方向に配列された発光素子としての複数のLED(発光ダイオード)および駆動素子を搭載した基板と、各LEDの光を感光体ドラム11の表面に集光するレンズアレイとを有する。印刷ヘッド8は、ヘッド制御部102(図3)によって駆動され、感光体ドラム11の表面を露光して静電潜像を形成する。
【0020】
現像ローラ13は、導電性のシャフトの表面に弾性層を形成したものである。シャフトは、例えばステンレス鋼で形成され、外径は6mmである。弾性層は、例えば半導電性のシリコーンゴムで形成され、ゴム硬度は60度(アスカーC硬度)であり、層厚は3.75mmである。弾性層には、摩擦係数、表面粗さおよび帯電特性の調整のため、表面処理が施されている。
【0021】
現像ローラ13は、感光体ドラム11の表面に接触するように配置され、感光体ドラム11と逆方向(接触部での表面の移動方向が同じになる方向)に回転する。感光体ドラム11に対する現像ローラ13の周速比は、例えば1.25である。現像ローラ13は、電圧印加部108(図3)によって現像電圧を印加され、感光体ドラム11上の静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する。
【0022】
供給ローラ14は、導電性のシャフトの表面に弾性層を形成したものである。シャフトは、例えばステンレス鋼で形成され、外径は6mmである。弾性層は、例えばシリコーン発泡体で形成され、ゴム硬度は43度(アスカーF硬度)であり、層厚は3.5mmである。
【0023】
供給ローラ14は、現像ローラ13の表面に接触するように配置され、現像ローラ13と同方向(接触部での表面の移動方向が逆になる方向)に回転する。現像ローラ13に対する供給ローラ14の周速比は、例えば0.76である。供給ローラ14は、電圧印加部108(図3)によって供給電圧を印加され、現像ローラ13にトナーを供給する。
【0024】
現像ブレード15は、現像ローラ13の軸方向に長い金属製の薄板である。現像ブレード15は、例えばステンレス鋼で形成され、板厚は0.08mmである。現像ブレード15は現像ローラ13の表面に接触するように設けられている。現像ブレード15の現像ローラ13との接触部分には曲げ加工が施され、曲げ部の曲率半径Rは0.2mmである。
【0025】
現像ブレード15の現像ローラ13に対する押圧力(線圧)は、例えば30gf/cmである。現像ブレード15は、電圧印加部108(図3)によってブレード電圧を印加され、現像ローラ13の表面に形成されるトナー層(現像剤層)の厚さを規制する。
【0026】
クリーニング部材16は、感光体ドラム11の表面に接触するように配置されたブレードまたはローラであり、例えばウレタンゴム等のゴムで形成されている。クリーニング部材16は、トナー像の転写後に感光体ドラム11の表面に残ったトナーを掻き取る。クリーニング部材16の下方には、掻き取られた廃トナーを搬送する廃トナー搬送部材17が配置されている。
【0027】
感光体ドラム11の回転方向において、クリーニング部材16と帯電ローラ12との間には、除電装置18が配置されている。除電装置18は、基板(除電板)上に感光体ドラム11の軸方向にLEDを一列に配列したものである。除電装置18は、トナー像の転写後に感光体ドラム11の表面電位を0にし、感光体ドラム11の表面電位を軸方向に均一にするものである。
【0028】
画像形成部10のうち、現像ローラ13と供給ローラ14と現像ブレード15とを含む部分は、現像部20を構成する。現像部20は、現像に用いられるトナーを貯蔵するトナー貯蔵部21を有する。トナー貯蔵部21内には、現像ローラ13、供給ローラ14および現像ブレード15のほか、トナーを撹拌する撹拌バー23,24が設けられている。
【0029】
画像形成部10は、現像部20の上方にカートリッジ装着部22を有する。カートリッジ装着部22には、現像剤カートリッジとしてのトナーカートリッジ26(図1)が着脱可能に取り付けられる。トナーカートリッジ26は、未使用トナーを収容し、トナー供給口22aからトナー貯蔵部21にトナーを補給する。
【0030】
トナーは、非磁性一成分の負帯電性トナーである。トナーは、例えば、結着樹脂としてポリエステルを含有し、着色剤としてカーボンブラックまたは銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15)等を含有する。また、トナーの流動性および帯電性を制御するため、シリカまたは酸化チタン等の外添剤が添加されている。なお、トナーは負帯電性に限定されるものではなく、正帯電性であってもよい。
【0031】
図1に示すように、転写ユニット30は、搬送部材(ベルト)としての搬送ベルト32と、搬送ベルト32が張架された駆動ローラ33および従動ローラ34と、駆動ローラ33と従動ローラ34との間に配置された転写部材としての4つの転写ローラ31とを有する。
【0032】
転写ユニット30は、また、搬送ベルト32上の残留トナーを除去するベルトクリーニング部材35と、ベルトクリーニング部材35で除去された残留トナーを収容する廃トナー収容部36とを有する。
【0033】
搬送ベルト32は、高抵抗の半導電性プラスチックフィルムで形成された無端状のベルトである。搬送ベルト32は、光沢のある表面を有し、当該表面で媒体Pを吸着保持して搬送する。
【0034】
駆動ローラ33は、ベルトモータ113(図3)によって回転し、搬送ベルト32を矢印Bで示す方向に走行させる。従動ローラ34は、搬送ベルト32に所定の張力を付与する。
【0035】
転写ローラ31は、搬送ベルト32を介して感光体ドラム11に対向するように配置される。転写ローラ31は、金属製のシャフトの表面に、半導電性の弾性体層を形成したものである。転写ローラ31は、電圧印加部108(図3)によって転写電圧を印加され、感光体ドラム11のトナー像を搬送ベルト32上の媒体Pに転写する。
【0036】
定着装置50は、ヒートローラ51と加圧ローラ52を有する。ヒートローラ51は、ハロゲンランプ等のヒータを内蔵する。ヒートローラ51は、定着モータ114(図3)によって回転する。
【0037】
加圧ローラ52はヒートローラ51に押し当てられ、ヒートローラ51との間で定着ニップを形成する。ヒートローラ51および加圧ローラ52は、媒体P上に転写されたトナーを加圧、加熱して媒体Pに定着させる。
【0038】
媒体排出部60は、媒体Pの搬送方向において定着装置50の下流側に配置される。媒体排出部60は、媒体Pを排紙口に向けて案内する排出ガイド62と、排出ローラ対61とを有する。排出ローラ対61は、定着モータ114(図3)からの回転伝達によって回転し、媒体Pを排紙口から装置外部に排出する。画像形成装置1の上部には、排出された媒体Pを積載するスタッカ63が設けられている。
【0039】
また、媒体Pの搬送路に沿って、媒体Pの通過を検知する媒体センサ91,92,93,94が配置されている。媒体センサ91は搬送ローラ対44の上流側に配置され、媒体センサ92は搬送ローラ対44の下流側に配置されている。また、媒体センサ93は定着装置50の上流側に配置され、媒体センサ94は定着装置50の下流側に配置されている。媒体センサ91~94の検知信号に基づき、媒体Pの搬送制御が行われる。
【0040】
図1において、感光体ドラム11の軸方向を、X方向とする。媒体Pが画像形成部10K,10Y,10M,10Cを通過する際の媒体Pの移動方向を、Y方向とする。X方向およびY方向に直交する方向を、Z方向とする。
【0041】
<制御系>
図3は、画像形成装置1の画像形成動作(印刷動作)に関する制御系を示すブロック図である。画像形成装置1は、制御装置100と、I/F(インタフェース)制御部121と、受信メモリ122と、画像データ編集メモリ123と、操作部124と、センサ群125とを有する。
【0042】
画像形成装置1は、また、電圧制御部101と、ヘッド制御部102と、駆動制御部103と、ベルト駆動制御部104と、定着制御部105と、定着駆動制御部106と、給紙・搬送制御部107とを備える。
【0043】
制御装置100は、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポート、タイマ等を有する。制御装置100は、上位装置からI/F制御部121を介して印刷ジョブを受信し、画像形成装置1の動作を制御する。
【0044】
受信メモリ122は、上位装置からI/F制御部121を介して入力された印刷データを一時的に記憶する。画像データ編集メモリ123は、受信メモリ122に記憶した印刷データを受け取ると共に、その印刷データを編集処理することによって形成された画像データ、すなわちイメージデータを記録する。
【0045】
操作部124は、画像形成装置1の状態を表示する表示部(例えばLED)および操作者が指示を入力するスイッチ等を備える。センサ群125は、画像形成装置1の動作状態を監視するための各種センサ、例えば、媒体Pの搬送位置を検出する媒体センサ91~94、トナー貯蔵部21内のトナー残量を検知するトナー残量センサ、およびトナーカートリッジ26内のトナー残量を検知するトナー残量センサを含む。
【0046】
電圧制御部101は、帯電ローラ12、現像ローラ13、供給ローラ14、現像ブレード15および転写ローラ31に電圧を印加する電圧印加部108を制御する。ヘッド制御部102は、画像データ編集メモリ123に記録されたイメージデータを印刷ヘッド8に送り、印刷ヘッド8の発光を制御する。
【0047】
駆動制御部103は、現像ローラ13を回転させる現像モータ110、供給ローラ14を回転させる供給モータ111、および感光体ドラム11を回転させるドラムモータ112を制御する。なお、ここでは現像ローラ13と供給ローラ14をそれぞれ独立したモータで回転させているが、ドラムモータ112の回転を現像ローラ13と供給ローラ14に伝達してもよい。帯電ローラ12は感光体ドラム11の回転に追従して回転する。
【0048】
ベルト駆動制御部104は、搬送ベルト32を走行させるための駆動ローラ33を回転させるベルトモータ113を制御する。
【0049】
定着制御部105は温度調節回路を有し、定着装置50のサーミスタの出力信号に基づき、ヒートローラ51内のヒータに電流を供給する。定着駆動制御部106は、ヒートローラ51を回転させる定着モータ114を制御する。なお、排出ローラ対61は、定着モータ114からの回転伝達により回転する。
【0050】
給紙・搬送制御部107は、ホッピングローラ42およびフィードローラ43を回転させる給紙モータ115と、搬送ローラ対44を回転させる搬送モータ116とを制御する。
【0051】
<印刷動作>
次に、画像形成装置1による印刷動作について、図1図2および図4を参照して説明する。画像形成装置1の制御装置100は、上位装置からI/F制御部121を介して印刷ジョブを受信すると、印刷動作を開始する。
【0052】
制御装置100は、駆動制御部103により、各画像形成部10に対応する現像モータ110、供給モータ111およびドラムモータ112をそれぞれ回転させ、現像ローラ13、供給ローラ14および感光体ドラム11を回転させる。感光体ドラム11の回転に追従して帯電ローラ12も回転し、感光体ドラム11の表面を一様に帯電させる。
【0053】
制御装置100は、また、電圧制御部101により、電圧印加部108から帯電ローラ12に帯電電圧を印加し、現像ローラ13に現像電圧を印加し、供給ローラ14に供給電圧を印加し、現像ブレード15にブレード電圧を印加する。
【0054】
一例としては、帯電ローラ12に-1000[V]の帯電電圧を印加し、感光体ドラム11の表面を帯電させる。現像ローラ13には-200[V]の現像電圧を印加し、供給ローラ14には-300[V]の供給電圧を印加し、現像ブレード15には-300[V]のブレード電圧を印加する。
【0055】
また、制御装置100は、1ページごとのイメージデータをヘッド制御部102に送信する。ヘッド制御部102は、イメージデータに基づき、印刷ヘッド8の各LEDの露光量を決定し、各LEDを発光させて感光体ドラム11を露光する。感光体ドラム11の露光部分は電位の絶対値が低下し、これにより静電潜像が形成される。
【0056】
図2に示すように、トナー貯蔵部21に収容されているトナー(符号Tで示す)は、多孔性の供給ローラ14のセルに保持され、供給ローラ14と現像ローラ13との間で擦られて負極性に帯電する。負極性に帯電したトナーは、供給ローラ14の供給電圧(-300[V])と現像ローラ13の現像電圧(-200[V])との電位差によって生じる磁界により、現像ローラ13に付着する。
【0057】
現像ローラ13に付着したトナーは、現像ブレード15によって一定の厚さのトナー層となり、また現像ローラ13と現像ブレード15との間で擦られて摩擦帯電される。現像ローラ13上のトナーは、感光体ドラム11の潜像(露光部分)との電位差によって生じる磁界により、感光体ドラム11の潜像に付着する。これにより、感光体ドラム11の表面にトナー像が形成される。
【0058】
また、感光体ドラム11の潜像に付着しなかった現像ローラ13上のトナーは、現像ローラ13の回転によってトナー貯蔵部21内に戻り、供給ローラ14との摩擦によって供給ローラ14に回収される。
【0059】
画像形成部10における画像形成の開始と略同時に、制御装置100は、給紙・搬送制御部107により給紙モータ115を駆動し、図1に示すホッピングローラ42およびフィードローラ43を回転させる。ホッピングローラ42は、媒体トレイ41に収容された媒体Pを繰り出し、フィードローラ43は繰り出された媒体Pを給紙ガイド45に沿って搬送する。また、搬送モータ116により搬送ローラ対44が回転し、媒体Pを転写ユニット30に搬送する。
【0060】
制御装置100は、さらに、ベルト駆動制御部104によりベルトモータ113を駆動し、駆動ローラ33を回転させて搬送ベルト32を走行させる。搬送ベルト32は、媒体Pを吸着保持して搬送する。これにより、搬送ベルト32上に静電吸着された媒体Pは、各画像形成部10の感光体ドラム11と転写ローラ31との間の転写ニップに送られる。
【0061】
媒体Pの先端が、感光体ドラム11と転写ローラ31との間の転写ニップに到達するタイミングに合わせて、電圧制御部101が電圧印加部108から転写ローラ31に転写電圧を印加する。
【0062】
転写ローラ31には、3000[V]の転写電圧が供給される。感光体ドラム11上に現像されたトナー像と転写ローラ31との電位差により、トナー像が感光体ドラム11から搬送ベルト32上の媒体Pに転写される。
【0063】
トナー像の転写後に感光体ドラム11の表面に残った残トナーは、クリーニング部材16によって掻き取られ、廃トナー搬送部材17によって排出される。
【0064】
このように各画像形成部10K,10Y,10M,10Cの感光体ドラム11で形成された各色のトナー像が媒体Pに順次転写され、重ね合わされる。各色のトナー像が転写された媒体Pは、搬送ベルト32によってさらに定着装置50に向けて搬送される。
【0065】
制御装置100は、媒体Pの後端が各画像形成部10の転写ニップを通過すると、回収工程(後述)を実行し、その後、現像モータ110、供給モータ111、ドラムモータ112およびベルトモータ113の回転を停止する。また、電圧印加部108からの帯電ローラ12、現像ローラ13、供給ローラ14、現像ブレード15および転写ローラ31への電圧印加を停止する。
【0066】
また、除電装置18のLEDから感光体ドラム11に除電光が照射され、感光体ドラム11の表面電位が0となる。これにより、感光体ドラム11の表面電位のX方向におけるばらつきが解消する。
【0067】
なお、ベルトモータ113が駆動している間、搬送ベルト32の表面に付着したまま残留したトナーは、ベルトクリーニング部材35により除去され、廃トナー収容部36に収容される。
【0068】
定着装置50では、ヒートローラ51が定着温度まで加熱され、定着モータ114によって回転している。定着装置50に到達した媒体Pは、ヒートローラ51と加圧ローラ52との間で加熱および加圧され、トナー像が媒体Pに定着される。トナー像が定着された媒体Pは、媒体排出部60の排出ローラ対61によって排出口から排出され、スタッカ63上に積載される。これにより、媒体Pへの印刷動作が完了する。
【0069】
<回収工程>
次に、現像ローラ13から供給ローラ14へのトナー回収について説明する。上記の印刷工程では、各画像形成部10において、媒体Pの後端が感光体ドラム11と転写ローラ31との間の転写ニップを通過した後、回収工程が実行される。具体的には、現像ローラ13に印加される現像電圧と、供給ローラ14に印加される供給電圧との絶対値の大小を、画像形成工程とは逆転する。回収工程は、逆転電圧印加工程(あるいは非画像形成工程)とも称する。
【0070】
すなわち、供給ローラ14には、トナーと同極性で、且つ現像ローラ13に印加される電圧よりも絶対値の小さい電圧を印加する。これにより、現像ローラ13の表面のトナーは、現像ローラ13と供給ローラ14との電位差により供給ローラ14に回収される。
【0071】
回収工程は、上記の通り、画像形成部10K,10Y,10M,10Cの各転写ニップを媒体Pの後端が通過したタイミングで開始される。画像形成部10K,10Y,10M,10Cは、媒体Pの搬送方向にこの順に配列されているため、画像形成部10Kの回収工程が一番先に開始され、画像形成部10Cの回収工程が一番後に開始される。
【0072】
一方、回収工程の終了のタイミングは、画像形成部10K,10Y,10M,10Cとも同時である。これは、画像形成部10K,10Y,10M,10Cにおける回収工程を別々のタイミングで終了させようとすると、電圧制御が複雑になるためである。
【0073】
また、例えば画像形成部10Kの回収工程を先に終了させた場合、搬送ベルト32が走行している状態で、画像形成部10Kの感光体ドラム11、現像ローラ13および供給ローラ14の回転が停止することになり、搬送ベルト32と感光体ドラム11との摩擦が発生して好ましくない。これらの理由で、画像形成部10K,10Y,10M,10Cの回収工程は、同時に終了させる。
【0074】
従って、画像形成部10K,10Y,10M,10Cは、回収工程の継続時間が互いに異なる。すなわち、画像形成部10Kでは回収工程が最も長く、画像形成部10Cでは回収工程が最も短い。
【0075】
回収工程が長いほど現像ローラ13から供給ローラ14へのトナー回収量が増加し、回収工程が短いほど現像ローラ13から供給ローラ14へのトナー回収量が減少する。
【0076】
現像ローラ13から供給ローラ14へのトナー回収量が多過ぎると、現像ローラ13の表面のトナー層が薄くなり過ぎる。その結果、現像ブレード15が、現像ローラ13との摩擦によって現像ローラ13の表面に付着する、現像ローラフィルミング(あるいは現像フィルミング)と呼ばれる現象が生じる可能性がある。
【0077】
一方、現像ローラ13から供給ローラ14へのトナー回収量が少な過ぎると、現像ローラ13の表面のトナー層が厚くなり、トナー凝集が生じる可能性がある。その結果、媒体Pに転写されるトナー像に縦筋(現像ローラ13の周方向に平行な筋)状のむらが発生する可能性がある。
【0078】
そのため、画像形成部10K,10Y,10M,10Cのいずれにおいても、現像ローラ13から供給ローラ14へのトナー回収量を適切な範囲に収めるように制御する必要がある。
【0079】
<現像ローラ上のトナー付着量>
ここで、回収工程における逆転電圧および継続時間と、現像ローラ13の表面のトナー付着量との関係について説明する。回収工程の継続時間は、現像ローラ13および供給ローラ14に逆電電圧が印加された状態での現像ローラ13の回転回数で評価する。なお、現像ローラ13の回転速度(周速)は常に一定である。
【0080】
まず、図1に示した画像形成装置1を用いて、画像形成工程と回収工程とを含む印刷試験を行った。印刷試験では、回収工程における現像ローラ13の回転回数を変化させ、また現像電圧DBおよび供給電圧SBを変化させた。画像形成工程では、デューティ比が0.3[%]のブラックのパターンを形成した。媒体Pとしては、A4の印刷用紙を用いた。
【0081】
画像形成工程の現像電圧DBは-200[V]とし、供給電圧SBは-300[V]とした。第1の電圧条件では、回収工程の現像電圧DBを-180[V]とし、供給電圧SBを-100[V]とした。第2の電圧条件では、回収工程の現像電圧DBを-260[V]とし、供給電圧SBを-100[V]とした。
【0082】
なお、現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値は、画像形成工程では100[V]であり、第1の電圧条件の回収工程では80[V]であり、第2の電圧条件の回収工程では160[V]である。
【0083】
各電圧条件において、回収工程における現像ローラ13の回転回数を0回、1回、3回、5回と4通りに変えて印刷試験を行った。すなわち、8つの印刷条件での印刷試験を行った。印刷枚数は、各印刷条件につき1枚とした。
【0084】
各印刷条件での印刷試験の終了後に、画像形成装置1から図4(A)に示すブラックの画像形成部10Kを取り外した。画像形成部10Kの筐体25には、現像ローラ13に対向する測定用の窓28を予め形成しておき、この窓28から治具29(図4(B))を挿入し、現像ローラ13の表面のトナー付着量を測定した。
【0085】
図4(B)は、現像ローラ13の表面のトナー付着量の測定原理を示す模式図である。治具29は角柱状であり、先端面の面積は1[cm]である。画像形成部10の窓28から治具29を挿入し、治具29の先端面を現像ローラ13の表面に接触させた。また、治具29には+200[V]の電圧を印加し、現像ローラ13は接地した。
【0086】
その後、治具29を現像ローラ13の表面から離間して、治具29の重量を測定した。測定した治具29の重量から、現像ローラ13に接触させる前に測定した治具29の重量を差し引くことにより、治具29に付着したトナーの重量を求めた。このようにして求めたトナーの重量を、現像ローラ13の表面のトナー付着量とした。
【0087】
図5は、回収工程における現像ローラ13の回転回数と、現像ローラ13の表面のトナー付着量との関係を示すグラフである。横軸は回収工程における現像ローラ13の回転回数[回]を示し、縦軸は現像ローラ13の表面のトナー付着量[mg/cm]を示す。
【0088】
図5において、線分A1は、第1の電圧条件、すなわち回収工程における現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値が80[V]の場合の測定結果を示す。線分A2は、第2の電圧条件、すなわち回収工程における現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値が160[V]の場合の測定結果を示す。
【0089】
図5に示すように、回収工程における現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値が80[V]の場合、現像ローラ13の回転回数が0のときには、トナー付着量が0.50[mg/cm]である。現像ローラ13の回転回数を1、3、5回と増加させると、トナー付着量は0.45、0.40、0.30[mg/cm]と減少している。
【0090】
回収工程における現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値が160[V]の場合、現像ローラ13の回転回数が0のときには、トナー付着量が0.50[mg/cm]である。現像ローラ13の回転回数を1、3、5回と増加させると、トナー付着量は0.40、0.30、0.20[mg/cm]と減少している。
【0091】
すなわち、いずれの電圧条件においても、回収工程における現像ローラ13の回転回数が増加するほど、現像ローラ13の表面のトナー付着量が減少している。これは、回収工程が長く続くほど、現像ローラ13および供給ローラ14に印加される逆転電圧により、現像ローラ13の表面から供給ローラ14へのトナー回収が進行するためである。
【0092】
また、上記の8つの印刷条件で連続印刷を行ったところ、トナー付着量が0.20[mg/cm]よりも小さい範囲では、現像ローラフィルミングの発生が確認された。また、トナー付着量が0.35[mg/cm]よりも大きい範囲では、印刷画像に縦筋状のむら(白抜け)が観察された。
【0093】
現像ローラフィルミングは、現像ローラ13の表面のトナー付着量が少ないことにより、現像ブレード15が摩擦によって現像ローラ13の表面に付着して生じたものである。また、印刷画像の縦筋状のむらは、現像ローラ13の表面のトナー付着量が多いことによるトナー凝集によって生じたものである。
【0094】
そのため、現像ローラ13の表面のトナー付着量は、0.20~0.35[mg/cm]であることが望ましい。
【0095】
さらに、図5から、現像ローラ13の表面のトナー付着量は、回収工程における現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値が80[V]の場合には、160[V]の場合の約2倍となった。これは、回収工程における現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値にほぼ比例して、現像ローラ13から供給ローラ14に回収されるトナーの量が増加するためと考えられる。
【0096】
このことから、画像形成部10K,10Y,10M,10Cにおいて、回収工程における現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値と、現像ローラ13の回転回数との積を略一定にすることで、各画像形成部10の現像ローラ13の表面のトナー付着量を一定に制御できることが分かる。
【0097】
<回収工程における電圧設定>
図6は、現像電圧DBおよび供給電圧SBの設定例を示すグラフである。この例では、画像形成工程の現像電圧DBは-200[V]であり、供給電圧SBは-300[V]である。これらの電圧は、画像形成部10K,10Y,10M,10Cのいずれも共通である。
【0098】
一方、回収工程における現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値は、画像形成部10K,10Y,10M,10Cで互いに異なる。最も上流側の画像形成部10Kでは、現像電圧DBは-180[V]であり、供給電圧SBは-100[V]である。2番目に上流側の画像形成部10Yでは、現像電圧DBは-196[V]であり、供給電圧SBは-100[V]である。
【0099】
3番目に上流側の画像形成部10Mでは、現像電圧DBは-220[V]であり、供給電圧SBは-100[V]である。最も下流側の画像形成部10Cでは、現像電圧DBは-260[V]であり、供給電圧SBは-100[V]である。
【0100】
すなわち、回収工程における現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値は、画像形成部10Kでは80[V]であり、画像形成部10Yでは96[V]であり、画像形成部10Mでは120[V]であり、画像形成部10Cでは260[V]である。言い換えると、回収工程における現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値は、上流側の画像形成部10ほど小さく、下流側の画像形成部10ほど大きい。
【0101】
図7は、画像形成工程と回収工程における、各画像形成部10の現像電圧DBおよび供給電圧SBを示すタイミングチャートである。タイミングT0は、制御装置100が印刷ジョブを受信した時点、すなわち画像形成工程を開始する時点である。
【0102】
タイミングT0では、駆動制御部103が現像モータ110、供給モータ111およびドラムモータ112の回転を開始し、各画像形成部10の現像ローラ13、供給ローラ14、および感光体ドラム11が回転を開始する。
【0103】
また、電圧印加部108から画像形成部10K,10Y,10M,10Cの各現像ローラ13に現像電圧DB-K,DB-Y,DB-M,DB-Cが印加され、各供給ローラ14に供給電圧SB-K,SB-Y,SB-M,SB-Cが印加される。上記の通り、現像電圧DB-K,DB-Y,DB-M,DB-Cは-200[V]であり、供給電圧SB-K,SB-Y,SB-M,SB-Cは-300[V]である。
【0104】
また、タイミングT0より後の所定のタイミングで、給紙・搬送制御部107が給紙モータ115および搬送モータ116を駆動してホッピングローラ42、フィードローラ43および搬送ローラ対44を回転させ、媒体Pを給紙、搬送する。さらに、ベルト駆動制御部104がベルトモータ113を駆動して駆動ローラ33を回転させ、搬送ベルト32を走行させる。
【0105】
搬送ベルト32上の媒体Pの先端が画像形成部10K,10Y,10M,10Cの各転写ニップに到達するタイミングの所定時間前に、ヘッド制御部102が印刷ヘッド8K,8M,8Y,8Cを発光させ、各感光体ドラム11の表面に潜像を形成する。
【0106】
これにより、画像形成部10K,10Y,10M,10Cの各感光体ドラム11の表面に潜像が形成される。各感光体ドラム11の表面の潜像は、現像ローラ13のトナーによって現像されてトナー像となる。感光体ドラム11の表面のトナー像は、転写ニップを通過する媒体Pに転写される。
【0107】
タイミングT1は、画像形成部10Kの転写ニップ(すなわち感光体ドラム11と転写ローラ31との間)を媒体Pの後端が通過するタイミングである。なお、タイミングT0から始まった印刷ジョブが複数ページの印刷である場合には、当該印刷ジョブの最終ページ(最後の媒体P)の後端が転写ニップを通過した時点が、タイミングT1となる。
【0108】
制御装置100は、タイミングT1で画像形成部10Kにおける回収工程を開始し、現像電圧DB-Kを-180[V]とし、供給電圧SB-Kを-100[V]とする。現像電圧DB-Kと供給電圧SB-Kとの絶対値の大小が画像形成工程とは逆になるため、現像ローラ13の表面のトナーが供給ローラ14に回収される。現像電圧DB-Kと供給電圧SB-Kとの差の絶対値は、80[V]である。
【0109】
タイミングT2は、画像形成部10Yの転写ニップを媒体Pの後端が通過するタイミングである。そのため、画像形成部10Yに関しては、タイミングT0からタイミングT2までが、画像形成工程である。
【0110】
制御装置100は、タイミングT2で画像形成部10Yにおける回収工程を開始し、現像電圧DB-Yを-196[V]とし、供給電圧SB-Yを-100[V]とする。現像電圧DB-Yと供給電圧SB-Yとの絶対値の大小が画像形成工程とは逆になるため、現像ローラ13の表面のトナーが供給ローラ14に回収される。現像電圧DB-Yと供給電圧SB-Yとの差の絶対値は、96[V]である。
【0111】
タイミングT3は、画像形成部10Mの転写ニップを媒体Pの後端が通過するタイミングである。そのため、画像形成部10Mに関しては、タイミングT0からタイミングT3までが、画像形成工程である。
【0112】
制御装置100は、タイミングT3で画像形成部10Mにおける回収工程を開始し、現像電圧DB-Mを-220[V]とし、供給電圧SB-Mを-100[V]とする。現像電圧DB-Mと供給電圧SB-Mとの絶対値の大小が画像形成工程とは逆になるため、現像ローラ13の表面のトナーが供給ローラ14に回収される。現像電圧DB-Mと供給電圧SB-Mとの差の絶対値は、120[V]である。
【0113】
タイミングT4は、画像形成部10Cの転写ニップを媒体Pの後端が通過するタイミングである。そのため、画像形成部10Cに関しては、タイミングT0からタイミングT4までが、画像形成工程である。
【0114】
制御装置100は、タイミングT4で画像形成部10Cにおける回収工程を開始し、現像電圧DB-Cを-260[V]とし、供給電圧SB-Cを-100[V]とする。現像電圧DB-Cと供給電圧SB-Cとの絶対値の大小が画像形成工程とは逆になるため、現像ローラ13の表面のトナーが供給ローラ14に回収される。現像電圧DB-Cと供給電圧SB-Cとの差の絶対値は、160[V]である。
【0115】
その後、タイミングT5において、画像形成部10K,10Y,10M,10Cにおける回収工程を終了する。すなわち、駆動制御部103がモータ110,111,112の回転を停止し、電圧制御部101が電圧印加部108からの現像電圧DB-K,DB-Y,DB-M,DB-Cの印加および供給電圧SB-K,SB-Y,SB-M,SB-Cの印加を停止する。
【0116】
なお、図7には、現像電圧DBと供給電圧SBのみを示しているが、現像ブレード15に印加されるブレード電圧は、供給電圧SBと同電圧となるように制御され、帯電ローラ12に印加される帯電電圧は、現像電圧DBとの差が一定(800[V])となるように制御される。
【0117】
画像形成部10Kの回収工程は、タイミングT1からタイミングT5までである。画像形成部10Yの回収工程は、タイミングT2からタイミングT5までである。画像形成部10Mの回収工程は、タイミングT3からタイミングT5までである。画像形成部10Cの回収工程は、タイミングT4からタイミングT5までである。
【0118】
画像形成部10Kの回収工程は一番先に開始されるため、回収工程の継続時間(すなわち逆転電圧の印加時間)が最も長い。画像形成部10Cの回収工程は一番後に開始されるため、回収工程の継続時間が最も短い。画像形成部10Cの回収工程の継続時間、すなわちタイミングT4からT5までの時間は、現像ローラ13が1回転する時間以上に設定される。
【0119】
ここで、画像形成部10Kの回収工程の継続時間、すなわちタイミングT1からタイミングT5までの時間をT1-5とする。また、画像形成部10Yの回収工程の継続時間、すなわちタイミングT2からタイミングT5までの時間をT2-5とする。
【0120】
同様に、画像形成部10Mの回収工程の継続時間、すなわちタイミングT3からタイミングT5までの時間をT3-5とする。画像形成部10Cの回収工程の継続時間、すなわちタイミングT4からタイミングT5までの時間をT4-5とする。
【0121】
また、現像電圧DB-Kと供給電圧SB-Kとの差の絶対値(|(DB-K)-(SB-K)|)をΔKとし、現像電圧DB-Yと供給電圧SB-Yとの差の絶対値(|(DB-Y)-(SB-Y)|)をΔYとする。
【0122】
同様に、現像電圧DB-Mと供給電圧SB-Mとの差の絶対値(|(DB-M)-(SB-M)|)をΔMとし、現像電圧DB-Cと供給電圧SB-Cとの差の絶対値(|(DB-C)-(SB-C)|)をΔCとする。
【0123】
画像形成部10Kの回収工程の継続時間T1-5と、現像電圧DB-Kと供給電圧SB-Kとの差の絶対値ΔKとの積を、Aとする。すなわち、以下の式(1)が成り立つものとする。
(ΔK×T1-5)=A …(1)
この場合、以下の式(2)~(4)が成り立つことが最も望ましい。
(ΔY×T2-5)=A …(2)
(ΔM×T3-5)=A …(3)
(ΔC×T4-5)=A …(4)
【0124】
図5を参照して説明したように、現像ローラ13の表面のトナー付着量は、回収工程の継続時間(現像ローラ13の回転回数)が長いほど減少し、現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値が大きいほど減少する。
【0125】
そのため、画像形成部10K,10Y,10M,10Cにおける回収工程の継続時間と、現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値との積を一定値(A)にすることにより、画像形成部10K,10Y,10M,10Cの現像ローラ13の表面のトナー付着量を一定にすることができる。
【0126】
より具体的には、画像形成部10K,10Y,10M,10Cの現像ローラ13の表面のトナー付着量を例えば0.20~0.35[mg/cm]の範囲にすることにより、画像形成部10K,10Y,10M,10Cの全てにおいて現像ローラフィルミングの発生を抑制し、また画像むらを低減することができる。
【0127】
第1の実施の形態では、画像形成部10K,10Y,10M,10Cの回収工程の継続時間T1-5,T2-5,T3-5,T4-5を、1000[m秒]、833[m秒]、666[m秒]、および500[m秒]とした。そのため、式(1)~(4)が成り立ち、Aは80[秒・V]となる。
【0128】
このように回収工程の逆転電圧を設定した画像形成装置1を用いて、連続印刷テストを行った。媒体Pとしては、A4サイズの印刷用紙(普通紙)を用いた。テストパターンとしては、デューティ比が33%のパターン(高デューティパターン)と、デューティ比が0.3%のパターン(低デューティパターン)とを印刷した。
【0129】
いずれのテストパターンも、20000枚の媒体P(感光体ドラム11の30000回転に相当)に連続印刷した。連続印刷中は、200枚の媒体P(感光体ドラム11の300回転に相当)にテストパターンを形成する毎に、回収工程を行った。
【0130】
連続印刷の完了後、印刷されたテストパターンを目視で確認し、画像むらの有無を観察した。また、画像形成装置1から画像形成部10K,10Y,10M,10Cを取り外し、各現像ローラ13の表面を目視で観察し、現像ローラフィルミングの有無を確認した。
【0131】
その結果、デューティ比が33%のテストパターンおよび0.3%のテストパターンのいずれにも、画像むらは確認されなかった。また、現像ローラフィルミングの発生も確認されなかった。すなわち、画像形成部10K,10Y,10M,10Cにおいて、現像ローラ13の表面のトナー付着量が適切に制御されていることが分かった。
【0132】
なお、上記の式(1)~(4)では、各画像形成部10における回収工程の継続時間と、現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値との積を一定値(A)としたが、厳密に一定値でなくても、A±30%の範囲内であれば、現像ローラフィルミングを抑制し、縦筋状のむらの発生を抑制する効果が得られる。
【0133】
A±30%とした理由は、トナーの色によって、現像ローラ13の回転回数に対する現像ローラ13の表面への付着量の変化量が異なる等の相違があることを考慮したものである。
【0134】
すなわち、(ΔK×T1-5)=Aとした場合、
A×0.7≦(ΔY×T2-5)≦A×1.3
A×0.7≦(ΔM×T3-5)≦A×1.3
A×0.7≦(ΔC×T4-5)≦A×1.3
が成り立てばよい。
【0135】
例えば、図7に示した例では、画像形成部10Cの回収工程の継続時間T4-5は、画像形成部10Kの回収工程の継続時間T1-5の1/2であるため、DB-CとSB―Cとの差の絶対値ΔCは、DB-KとSB―Kとの差の絶対値ΔKの2倍であることが最も望ましいが、ΔKの2倍に限定されるものではなく、ΔKの1.4倍(=2×0.7)以上、2.6倍(=2×1.3)以下であればよい。
【0136】
ここでは、画像形成部10K,10Y,10M,10Cが媒体Pの搬送方向に沿ってこの順に配置されているが、画像形成部10K,10Y,10M,10Cの配置順は適宜変更可能である。
【0137】
また、ここでは、画像形成装置1が4つの画像形成部10K,10Y,10M,10Cを有しているが、媒体Pの搬送方向に沿って2つ以上の画像形成部10が配置されていればよい。
【0138】
仮に、媒体Pの搬送方向の上流側の画像形成部10(第1の画像形成部)と下流側の画像形成部10(第2の画像形成部)とが配置されている場合を考えると、上流側の画像形成部10における回収工程での現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値が、下流側の画像形成部10における回収工程での現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値よりも小さければよい。
【0139】
また、画像形成装置1が媒体Pの搬送方向に3つ以上の画像形成部10を有している場合には、上流側の画像形成部10ほど回収工程での現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値が小さく、回収工程の継続時間が長ければよい。
【0140】
<実施の形態の効果>
以上説明したように、第1の実施の形態の画像形成装置1は、媒体Pを搬送する搬送部(搬送ベルト32)と、媒体Pの搬送方向の上流側に配置された画像形成部10(例えば画像形成部10K)および下流側に配置された画像形成部10(例えば画像形成部10C)を有する。いずれの画像形成部10においても、画像形成工程と回収工程とでは現像電圧DBと供給電圧SBとの絶対値の大小が逆転する。また、上流側の画像形成部10における現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値は、下流側の画像形成部10における現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値よりも小さい。
【0141】
そのため、いずれの画像形成部10においても、現像ローラ13の表面のトナー付着量(現像剤の付着量)を最適範囲に収め、現像ローラフィルミングの発生を抑制し、画像むらを低減することができる。すなわち、画像品質の低下を抑制することができる。
【0142】
また、上流側の画像形成部10における回収工程の継続時間は、下流側の画像形成部10における回収工程の継続時間よりも長いため、媒体Pの後端が転写ニップを通過してすぐに回収工程を開始することができ、また、各画像形成部10の回収工程を同時に終了することができる。そのため、電圧制御が簡単になる。
【0143】
また、上流側の画像形成部10における回収工程と、現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値との積が、下流側の画像形成部10における回収工程と、現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値との積と略等しいため、両方の画像形成部10において現像ローラ13の表面のトナー付着量を略等しくすることができ、現像ローラフィルミングおよび画像むらの低減効果を高めることができる。
【0144】
第2の実施の形態.
次に、第2の実施の形態について説明する。図8は、第2の実施の形態の画像形成工程と回収工程における、各画像形成部10の現像電圧DBおよび供給電圧SBを示すタイミングチャートである。
【0145】
上述した第1の実施の形態では、画像形成部10K,10Y,10M,10Cの回収工程における電圧DB,SBの差が互いに異なっていた。これに対し、第2の実施の形態では、画像形成部10Y,10M,10Cの回収工程における電圧DB,SBの差は互いに等しく、画像形成部10Kの回収工程における電圧DB,SBの差のみが異なっている。
【0146】
タイミングT0は、制御装置100が印刷ジョブを受信した時点、すなわち画像形成工程を開始する時点である。第1の実施の形態で説明したように、タイミングT0では、駆動制御部103が現像モータ110、供給モータ111およびドラムモータ112の回転を開始し、電圧制御部101が電圧印加部108から画像形成部10K,10Y,10M,10Cの各現像ローラ13に現像電圧DB-K,DB-Y,DB-M,DB-Cが印加され、各供給ローラ14に供給電圧SB-K,SB-Y,SB-M,SB-Cが印加される。
【0147】
タイミングT1は、画像形成部10Kの転写ニップを媒体Pの後端が通過するタイミングである。制御装置100は、タイミングT1で画像形成部10Kにおける回収工程を開始し、現像電圧DB-Kを-180[V]とし、供給電圧SB-Kを-100[V]とする。現像電圧DB-Kと供給電圧SB-Kとの差の絶対値は、80[V]である。
【0148】
タイミングT2は、画像形成部10Yの転写ニップを媒体Pの後端が通過するタイミングである。制御装置100は、タイミングT2で画像形成部10Yにおける回収工程を開始し、現像電圧DB-Yを-220[V]とし、供給電圧SB-Yを-100[V]とする。現像電圧DB-Yと供給電圧SB-Yとの差の絶対値は、120[V]である。
【0149】
タイミングT3は、画像形成部10Mの転写ニップを媒体Pの後端が通過するタイミングである。制御装置100は、タイミングT3で画像形成部10Mにおける回収工程を開始し、現像電圧DB-Mを-220[V]とし、供給電圧SB-Mを-100[V]とする。現像電圧DB-Mと供給電圧SB-Mとの差の絶対値は、120[V]である。
【0150】
タイミングT4は、画像形成部10Cの転写ニップを媒体Pの後端が通過するタイミングである。制御装置100は、タイミングT4で画像形成部10Cにおける回収工程を開始し、現像電圧DB-Cを-220[V]とし、供給電圧SB-Cを-100[V]とする。現像電圧DB-Cと供給電圧SB-Cとの差の絶対値は、120[V]である。
【0151】
その後、タイミングT5において、画像形成部10K,10Y,10M,10Cにおける回収工程を終了する。すなわち、駆動制御部103がモータ110,111,112の回転を停止し、電圧制御部101が電圧印加部108からの現像電圧DB-K,DB-Y,DB-M,DB-Cの印加および供給電圧SB-K,SB-Y,SB-M,SB-Cの印加を停止する。
【0152】
画像形成部10Kの回収工程は、タイミングT1からタイミングT5までである。画像形成部10Yの回収工程は、タイミングT2からタイミングT5までである。画像形成部10Mの回収工程は、タイミングT3からタイミングT5までである。画像形成部10Cの回収工程は、タイミングT4からタイミングT5までである。
【0153】
第2の実施の形態では、最上流側の画像形成部10Kでは、現像電圧DB-Kと供給電圧SB-Kとの差の絶対値は80[V]である。一方、これより下流側の3つの画像形成部10Y,10M,10Cでは、現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値はいずれも120[V]である。
【0154】
画像形成部10Kにおける現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値が、他の画像形成部10Y,10M,10Cよりも小さいため、最上流側に位置する(従って回収工程の継続時間が最も長い)画像形成部10Kと、それ以外の画像形成部10Y,10M,10Cとで、現像ローラ13の表面のトナー付着量を近づけることができる。
【0155】
また、3つの画像形成部10Y,10M,10Cでは、現像電圧DBが互いに等しく、また供給電圧SBが互いに等しいため、第1の実施の形態と比較して電圧制御が容易になる。
【0156】
ここでは、画像形成部10K,10Y,10M,10Cが媒体Pの搬送方向に沿ってこの順に配置されているが、画像形成部10K,10Y,10M,10Cの配置順は適宜変更可能である。
【0157】
また、ここでは最上流側の画像形成部10と、それ以外の3つの画像形成部10とで、現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値を異ならせたが、他の態様も可能である。例えば、上流側の2つの画像形成部10と下流側の2つの画像形成部10とで、現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値を異ならせてもよい。すなわち、現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値が、少なくとも2つの画像形成部10で等しければよい。
【0158】
以上説明したように、第2の実施の形態では、2以上の画像形成部10において、現像電圧DBと供給電圧SBとの差の絶対値が等しいため、現像ローラフィルミングの発生を抑制し、画像むらを低減しながら、電圧制御を容易にすることができる。
【0159】
以上、本発明の望ましい実施の形態について具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良または変形を行なうことができる。
【0160】
また、本発明は、電子写真方式を利用して画像を形成する画像形成装置、例えば、複写機、ファクシミリ、複合機等に利用することができる。
【符号の説明】
【0161】
1 画像形成装置、 8,8K,8Y,8M,8C 印刷ヘッド、 10,10K,10Y,10M,10C 画像形成部、 11 感光体ドラム(像担持体)、 12 帯電ローラ(帯電部材)、 13 現像ローラ(現像剤担持体)、 14 供給ローラ(供給部材)、 15 現像ブレード(層規制部材)、 20 現像部、 21 トナー貯蔵部、 25 筐体、 26 トナーカートリッジ(現像剤収容体)、 28 窓、 29 治具、 30 転写ユニット、 31 転写ローラ(転写部材)、 32 搬送ベルト(搬送部)、 33 駆動ローラ、 34 従動ローラ、 40 媒体供給部、 50 定着装置、 60 媒体排出部、 100 制御装置、 101 電圧制御部、 102 ヘッド制御部、 103 駆動制御部、 108 電圧印加部、 110 現像モータ、 111 供給モータ、 112 ドラムモータ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8