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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132263
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】封函装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 7/20 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
B65B7/20 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037487
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000141886
【氏名又は名称】株式会社京都製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100157325
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 太一
(72)【発明者】
【氏名】大道 亮太
【テーマコード(参考)】
3E049
【Fターム(参考)】
3E049AA02
3E049AB06
3E049CA06
3E049DA04
3E049DB07
3E049EB02
3E049EC03
(57)【要約】
【課題】封函時の接着不良を抑制するとともに、封函時の梱包箱の傷・へこみを抑制して封函後の梱包箱の美観と品質を向上する。
【解決手段】ブランクシート100から成型されてなる半函カートン100Aを封函する封函装置10であって、半函カートン100Aのフラップの根本の折り曲げ線と平行に支持される長尺状の圧接ガイド部材113と、圧接ガイド部材113の長尺方向に分散して、圧接ガイド部材113からの突出高さがそれぞれ独立して変更自在に構成され、それぞれが独立に変形可能な弾性部材114cを有してなる複数の圧接部材114とを備え、複数の圧接部材114の突出部114aが半函カートン100Aのフラップの外表面をそれぞれ独立に押圧することにより、フラップを半函カートン100Aの胴部に圧着して半函カートン100Aを封函する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブランクシートから成型されてなる半函カートンを封函する封函装置であって、
前記半函カートンのフラップの根本の折り曲げ線と平行に支持される長尺状の圧接ガイド部材と、
前記圧接ガイド部材の長尺方向に分散して、前記圧接ガイド部材からの突出高さがそれぞれ独立して変更自在に構成され、それぞれが独立に変形可能な弾性部材を有してなる複数の圧接部材とを備え、
複数の前記圧接部材の突出部が前記半函カートンのフラップの外表面をそれぞれ独立に押圧することにより、前記フラップを前記半函カートンの胴部に圧着して前記半函カートンを封函する
封函装置。
【請求項2】
前記圧接ガイド部材には、長尺方向に所定の間隔を隔てて複数の孔が開設されており、
前記圧接部材は、前記孔に挿抜自在に挿入されてなるピンであり、
前記弾性部材は、前記ピンの挿抜方向に変形可能なコイルバネであり、
前記ピンは前記コイルバネの反力により前記フラップを押圧する
請求項1に記載の封函装置。
【請求項3】
前記圧接ガイド部材を支持するアームと、
前記アームを支持するロボットハンドとを備え、
前記ロボットハンドの移動に伴って、前記圧接ガイド部材は、前記半函カートンのフラップの根本の折り曲げ線と平行に支持され、
前記アームの移動に伴って、前記圧接部材が前記フラップを前記半函カートンの胴部に圧着する
請求項1又は2に記載の封函装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、製品の包装するための包装装置に関し、特に、ブランクシートから製函され製品が充填された半函カートンを封函する動作を行う封函装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製品の包装するための製造ラインにおいて、ラップラウンド型カートンのブランクシートから半函カートンを製函して製品を詰め込んだのち封函するという製函・包装工程が導入されており、例えば、特許文献1には、段ボール箱(半函カートン)の前後のフラップの上面に糊を塗布し、しかる後左右のフラップを折曲し、その上から一定の力で押圧し封函する封函機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭57-86406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらフラップを押圧して封函する構成においては、適切な力で押圧することが必要であり、押圧力が弱過ぎると接着が不十分となり、逆に押圧力が強過ぎると段ボール箱を変形させてしまうといった問題が発生していた。
【0005】
本開示は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、封函時の接着不良を抑制するとともに、封函時の梱包箱の傷・へこみを抑制する封函装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様である包装装置は、ブランクシートから成型されてなる半函カートンを封函する封函装置であって、前記半函カートンのフラップの根本の折り曲げ線と平行に支持される長尺状の圧接ガイド部材と、前記圧接ガイド部材の長尺方向に分散して、前記圧接ガイド部材からの突出高さがそれぞれ独立して変更自在に構成され、それぞれが独立に変形可能な弾性部材を有してなる複数の圧接部材とを備え、複数の前記圧接部材の突出部が前記半函カートンのフラップの外表面をそれぞれ独立に押圧することにより、前記フラップを前記半函カートンの胴部に圧着して前記半函カートンを封函することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様に係る包装装置によれば、封函時の接着不良を抑制するとともに、封函時の梱包箱の傷・へこみを抑制する封函装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)は、実施の形態に係る封函装置10に供給される半函カートンを製造するためのラップラウンドカートンの平面図、(b)は、封函装置10に供給される半函カートンの斜視図である。
図2】実施の形態に係る封函装置10を含む封函工程の態様を示す斜視図である。
図3】封函装置10の構成を示す正面図である。
図4】封函装置10の構成を示す平面図である。
図5】封函装置10により半函カートンを封函している状態を示す斜視図である。
図6】圧接部材114、圧接ガイド部材113の構成の詳細を示す図である。
図7】(a)は、封函装置10による封函動作を説明するための模式正面図、(b)は左側面図である。
図8】(a)は、封函装置10による封函動作を説明するための模式正面図、(b)は左側面図である。
図9】(a)は、封函動作時における、圧接部材114、圧接ガイド部材113の状態を示す平面図、(b)は、正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪発明を実施するための形態の概要≫
本開示における実施の形態に係る包装装置は、ブランクシートから成型されてなる半函カートンを封函する封函装置であって、前記半函カートンのフラップの根本の折り曲げ線と平行に支持される長尺状の圧接ガイド部材と、前記圧接ガイド部材の長尺方向に分散して、前記圧接ガイド部材からの突出高さがそれぞれ独立して変更自在に構成され、それぞれが独立に変形可能な弾性部材を有してなる複数の圧接部材とを備え、複数の前記圧接部材の突出部が前記半函カートンのフラップの外表面をそれぞれ独立に押圧することにより、前記フラップを前記半函カートンの胴部に圧着して前記半函カートンを封函することを特徴とする。
【0010】
係る構成により、封函時の接着不良を抑制するとともに、封函時の梱包箱の傷・へこみを抑制して封函後の梱包箱の美観と品質を向上することができる。
【0011】
また、別の態様では、上記何れかに記載の態様において、前記圧接ガイド部材には、長尺方向に所定の間隔を隔てて複数の孔が開設されており、前記圧接部材は、前記孔に挿抜自在に挿入されてなるピンであり、前記弾性部材は、前記ピンの挿抜方向に変形可能なコイルバネであり、前記ピンは前記コイルバネの反力により前記フラップを押圧する構成としてもよい。
【0012】
係る構成により、具体的に複数の前記圧接部材の突出部が前記半函カートンのフラップの外表面をそれぞれ独立に押圧する構成を実現できる。
【0013】
また、別の態様では、上記何れかに記載の態様において、前記圧接ガイド部材を支持するアームと、前記アームを支持するロボットハンドとを備え、前記ロボットハンドの移動に伴って、前記圧接ガイド部材は、前記半函カートンのフラップの根本の折り曲げ線と平行に支持され、前記アームの移動に伴って、前記圧接部材が前記フラップを前記半函カートンの胴部に圧着する構成としてもよい。
【0014】
係る構成により、ロボットハンドを用いることにより、圧接ガイド部材は、半函カートンのフラップの根本の折り曲げ線と平行に支持することが容易になる。
【0015】
また、アームの移動に伴って、圧接部材がフラップを半函カートン100Aの胴部に圧着することにより、アームの移動距離を変えるだけで、半函カートンのサイズに適合させて一対の圧接ガイド部材の間隔を縮小又は拡大することが容易になる。
【0016】
≪実施の形態≫
実施の形態に係る封函装置10の構成について図面を用いて説明する。ここで、本明細書では、各図におけるX方向、Y方向、Z方向を、それぞれ、幅方向、奥行方向、高さ方向とする場合があり、高さ方向の正方向を「上」方向、負方向を「下」方向とする場合がある。
【0017】
また、各図面における部材の縮尺は必ずしも実際のものと同じであるとは限らない。また、本明細書において、数値範囲を示す際に用いる符号「~」は、その両端の数値を含む。また、本実施形態で記載している、材料、数値等は好ましいものを例示しているだけであり、それに限定されることはない。また、本開示の技術的思想の範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。また、他の実施形態との構成の一部同士の組み合わせは、矛盾が生じない範囲で可能である。
【0018】
<ブランクシート、半函カートンの構成>
本開示の一実施の形態に係る封函装置10に供給されるブランクシート100、及びブランクシート100から製函される半函カートン100Aの構成について説明する。
【0019】
図1(a)は、実施の形態に係る封函装置10に供給される半函カートンを製造するためのラップラウンドカートンの平面図である。
【0020】
ブランクシート100は、折り曲げ線で折り曲げることによって箱形状に製函される。
【0021】
図1(a)はブランクシート100を示す図であり、基底面部101、前壁面102、後壁面103、蓋部104を主要部分として構成され、基底面部101、前壁面102、後壁面103、蓋部104には、それぞれ、左側壁を構成するフラップ105L~108L、右側壁を構成するフラップ105R~108Rが折り曲げ線を挟んで連設されている。また、蓋部104には、製函後において前壁面102の外面に重なり糊しろとなるフラップ109が折り曲げ線を挟んで連設されている。
【0022】
図1(b)は、封函装置10によってブランクシート100から製函された半函カートン100Aの斜視図である。図1(b)に示すように、半函カートン100Aは、ブランクシート100の前壁面102、後壁面103、フラップ105L~107L、フラップ105R~107Rを、それぞれの根本の曲げ線で上方に折り曲げて、基底面部101を底面として成形した蓋付半函カートンである。ブランクシート100の基底面部101が製函における基準面となる。また、フラップ106L、107Lはフラップ105Lの内方に、フラップ106R、107Rはフラップ105Rの内側に入り込んで、それぞれ左側壁、右側壁となる。
【0023】
この半函カートン100Aは、フラップ105L、105R、108L、108R、109の内表面の一部に接着剤を塗布し、フラップ105Lの内表面は側壁面106Lおよび107Lの外面と接着し、また、フラップ105Rの内表面は側壁面106Rおよび107Rの外面と接着して製函することにより構成される。
【0024】
そして、何らかの方法により製品が内包された半函カートン100Aに対して、封函工程では、フラップ109の内面が前壁面102の外面に、フラップ105L、108Lの内面が左側壁を成すフラップ106L、107Lの外面に、フラップ105R、108Rの内面が右側壁を成すフラップ106R、107Rの外面にそれぞれ接着されることで、製品が内包されたカートン100Bが形成される。
【0025】
<封函ユニット1の構成について>
次に、封函ユニット1の構成について図面を用いて説明する。
【0026】
封函ユニット1は、ラップラウンド型カートンのブランクシート100から製函されてなる半函カートン100Aの蓋部104などを折り曲げて、封函してカートン100Bを形成する機構ユニットである。図2は、実施の形態に係る封函装置10を含む封函ユニット1の態様を示す斜視図である。
【0027】
封函ユニット1は、封函装置10、搬入コンベアIC、搬出コンベアOCを有する。
【0028】
封函装置10は、搬入コンベアICによって供給された半函カートン100Aを封函して製品を内包したカートン100Bを形成するための機構である。
【0029】
搬入コンベアICは、前段の工程から製品を内包する半函カートン100Aを封函装置10の位置まで移送する搬送手段である(図2、T1)。搬出コンベアOCは、封函されたカートン100Bを封函装置10の位置から後段の工程に移送する搬送手段である(図2、T2)。これらの搬送手段は、モータの回転によりベルトが伝達されるものであってもよく、リニアモータにより駆動されるものでもよい。
【0030】
さらに、封函ユニット1は、封函装置10、搬入コンベアIC、搬出コンベアOCを制御する制御部(不図示)備え、それぞれの要素が連関して動作するように制御されている。制御部は、例えば、一般的なCPU(Central Processing Unit)とRAM(Random Access Memory)と、これらで実行されるプログラムを備えるコンピュータとして実現される。制御部は、記憶装置等から封函ユニット1にかかる制御プログラムをRAMに読みだして実行することにより、封函ユニット1を構成する各要素それぞれが連関して動作するように方変更時のこれらを制御して封函ユニット1の機能を実現する。
【0031】
係る構成により、封函ユニット1では、搬入コンベアICにより製品PR(不図示)を内包する半函カートン100Aを搬入し、封函装置10より半函カートン100Aを封函し、搬出コンベアOCにより封函したカートン100Bを搬出する動作を行う。
【0032】
なお、本実施の形態では、製函対象となるブランクシート100として、半函カートン100Aを製函するためのラップラウンド形状のカートンのブランクシートを例に、封函装置10の態様について説明する。しかしながら、ブランクシート100は、ラップラウンド型以外に、例えば、ストレート型等、他の形状であってもよい。
【0033】
<封函装置10の構成>
次に、封函装置10の構成と動作について説明する。
【0034】
図3は、封函装置10の構成を示す正面図、図4は平面図、図5は、封函装置10により半函カートンを封函している状態を示す斜視図である。
【0035】
封函装置10は、ワークヘッド11、ロボットハンド12、ロボットアーム13、ロボット本体基部14を有する。
【0036】
ロボットアーム13は、例えば、設備の天井等に設置されたロボット本体基部14などから延伸する、ロボットアーム13自身よりも上方に位置する部材から吊り下げられた、天吊りロボットアームである。例えば、本例では、搬入コンベアIC、搬出コンベアOCより上方に設置されている。
【0037】
ロボットアーム13は、ロボットハンド12を介してワークヘッド11を回動自在に支持し、圧接ガイド部材113が保持するワークヘッド11をYZ平面からなる2次元空間の中で所定の位置への移動を可能とする機構を用いることができる。
【0038】
また、ロボットアーム13は、駆動手段(例えば、モータ)を含み、制御部(不図示)から発せられる制御信号に基づき駆動され、圧接ガイド部材113のYZ面内の位置を変更することができる。
【0039】
ロボットハンド12は、ロボットアーム13の先端に接続されることでYZ面内の2次元空間内を移動する保持手段であり、ワークヘッド11を保持する。
【0040】
ワークヘッド11は、ロボットアーム13の先端に接続されたロボットハンド12に回転自在に保持され、YZ方向に2次元空間内を移動して封函動作を行う機構部分であり、半函カートン100Aの蓋部104の外面を上方から押圧して蓋部104を閉じるとともに、例えば、蓋部104、基底面部101から外方に延伸するフラップ105、108、109を半函カートン100Aの胴部の外面に圧着して、半函カートン100Aを封函するワークヘッドとして機能する。
【0041】
(ワークヘッド11の詳細)
図3、4、5に示すように、ワークヘッド11は、フレーム111、アーム112、圧接ガイド部材113、圧接部材114、閉蓋ガイド部材115、蓋部ホールド部材116を有する。
【0042】
フレーム111は、ロボットハンド12に回動支点を介して接続されるワークヘッド11の構造部材を構成する。
【0043】
フレーム111は、水平方向に延伸する長尺状の部材であり、半函カートン100Aの横幅よりも長さが長く構成されている。また、フレーム111には、水平方向に延伸する長尺状のスリット111aが形成されている。
【0044】
アーム112は、フレーム111から下方に向けて懸架され、圧接部材114が半函カートン100Aのフラップを胴部に圧着可能となるよう圧接ガイド部材113を支持する支持部材である。アーム112として、半函カートン100Aの正面にアーム112C、右側面側にアーム112R、左側面側にアーム112Lが、それぞれ2本ずつ並設されている(まとめて「アーム112」と記す場合がある)。
【0045】
このうち、アーム112Cは、ロボットハンド12とフレーム111との接続部分の近傍に配されている。
【0046】
また、アーム112R、Lは、上端に可動モジュール112aを有し、この可動モジュール112aはフレーム111のスリット111aに懸架されている。
【0047】
可動モジュール112aは、制御部(不図示)からの制御信号に基づいてスリット111a内を往復移動することができ、アーム112R、Lは、フレーム111の長尺方向(XZ面内)の位置を変更自在に構成されている。
【0048】
圧接ガイド部材113は、アーム112に支持され半函カートン100Aのフラップを押圧する圧接部材114を支持し、圧接部材114の動きを案内するアクチュエータ案内部材である。
【0049】
圧接ガイド部材113は、長尺状の部材であり、長尺方向が半函カートン100Aのフラップ105、108、109の根本の折り曲げ線と略平行に配され、半函カートン100Aの胴部の対向する面の幅と略等価な長さに構成されている。
【0050】
半函カートン100Aの正面において、垂直方向に延伸する2本のアーム112Cを差し渡すように水平方向(横方向)に圧接ガイド部材113Cが延在し、右側面側において、垂直方向に延伸する2本のアーム112Rを差し渡すように水平方向(奥行方向)に2本の圧接ガイド部材113Rが延在し、左側面側において、垂直方向に延伸する2本のアーム112Lを差し渡すように水平方向(奥行方向)に2本の圧接ガイド部材113Lが延在している(まとめて「圧接ガイド部材113」と記す場合がある)。
【0051】
また、圧接ガイド部材113には、長尺方向に圧接部材114が複数設けられている。
【0052】
圧接部材114は、半函カートン100Aのフラップ105、108又は109の外表面を押圧して、フラップを半函カートン100Aの胴部に圧着するアクチュエータ部材である。圧接部材114は、圧接ガイド部材113の長尺方向に所定の間隔を隔てて長尺方向に分散して複数配され、圧接ガイド部材113からの突出高さがそれぞれ独立して変更自在に構成されている。本例では、半函カートン100Aの正面に位置する圧接ガイド部材113Cには圧接部材114Cが、右側面側に位置する圧接ガイド部材113Rには圧接部材114Rが、左側面側に位置する圧接ガイド部材113Lには圧接部材114Lが、それぞれ設けられている(まとめて「圧接部材114」と記す場合がある)。
【0053】
圧接部材114は、それぞれが独立に変形可能な弾性部材114c(図6(a))を有しており、複数の突出部114aが半函カートンのフラップの外表面をそれぞれ独立に押圧することにより、フラップを半函カートン100Aの胴部に圧着して封函する機能を有する。
【0054】
図6は、圧接部材114、圧接ガイド部材113の構成の詳細を示す図であり、圧接部材114、圧接ガイド部材113の接続部分の拡大断面図である。図6に示すように、圧接ガイド部材113には、長尺方向に所定の間隔を隔てて複数の孔113aが開設されており、孔113aの周囲にはフランジ状のスリーブ114bが立設されている。孔113a及びスリーブ114bには挿抜自在にピン114aが挿入され、ピン114aの先端部と圧接ガイド部材113との間にコイルバネ114cが介挿されている。これにより、ピン114aの先端部はコイルバネ114cの反力によって軸方向に押圧力を発生するように構成されている。
【0055】
閉蓋ガイド部材115は、アーム112Cに支持され、垂直方向に延伸した状態の半函カートン100Aの蓋部104を後方から押して閉蓋の初期動作を行うとともに、閉蓋後において半函カートン100Aの正面において、圧接部材114がフラップ109を圧着する際に前壁面102を保持するアクチュエータ部材である。
【0056】
蓋部ホールド部材116は、フレーム111に支持され、前方に傾いた状態の半函カートン100Aの蓋部104を上方から押して閉蓋の完了動作を行うアクチュエータ部材である。
【0057】
<封函装置10の動作>
次に、封函装置10の動作について、図面を用いて説明する。
【0058】
図7、8(a)は、封函装置10による封函動作を説明するための模式正面図、(b)は左側面図である。なお、製品は不図示である。
【0059】
封函装置10の動作では、半函カートン100Aの蓋部104を封函して製品を内包したカートン100Bを形成する動作が行われる。
【0060】
先ず、図7(a)(b)に示すように、封函装置10では、初期状態においてワークヘッド11はホームポジションに静止しており、圧接部材114、閉蓋ガイド部材115、及び蓋部ホールド部材116は半函カートン100Aから離間している。
【0061】
次に、図8(a)(b)に示すように、封函装置10は、ロボットアーム13を可動してワークヘッド11を移動(図8(b)において、Z方向に負方向、かつ、X方向に負方向に移動)させて、閉蓋ガイド部材115が垂直方向に延伸した状態の半函カートン100Aの蓋部104を後方から押して閉蓋の初期動作を行うとともに(M1)、前方に傾いた状態になった半函カートン100Aの蓋部104を蓋部ホールド部材116が上方から押して蓋部104を閉じる動作を行う(M2)。
【0062】
このとき、半函カートン100Aの前壁面102の前方では、アーム112Cに支持された圧接ガイド部材113Cが、フラップ109の根本の折り曲げ線と平行な状態で、ロボットハンド12の移動に伴って、半函カートン100Aのフラップ109の外表面に対向する位置に移動し、圧接ガイド部材113Cに設けられた圧接部材114cにより半函カートン100Aのフラップ109の外面を前方から押圧する(M4)。これにより、接着剤が塗布されたフラップ109の内面を前壁面102の外面に圧着する動作が行われる。同時に、閉蓋ガイド部材115が半函カートン100Aの前壁面102を前方から保持する。
【0063】
また、半函カートン100Aの側壁面106L、107Lの左方では、アーム112Lに支持された圧接ガイド部材113Lは、フラップ105L、108Lの根本の折り曲げ線と平行な状態で、ロボットハンド12の移動に伴って、半函カートン100Aのフラップ105L、108Lの外表面に対向する位置に移動する。そして、アーム112Lが中央方向へ移動することにより、圧接ガイド部材113Lに支持された圧接部材114Lによって半函カートン100Aのフラップ105L、108Lの外面を左方から押圧する(M3)。このようにして、接着剤が塗布されたフラップ105L、108Lの内面を側壁面106L、107Lの外面に圧着する動作が行われる。
【0064】
また、半函カートン100Aの側壁面106R、107Rの右方では、アーム112Rに支持された圧接ガイド部材113Rは、フラップ105R、108Rの根本の折り曲げ線と平行な状態で、ロボットハンド12の移動に伴って、半函カートン100Aのフラップ105R、108Rの外表面に対向する位置に移動する。そして、アーム112Rが中央方向へ移動することにより、圧接ガイド部材113Rに支持された圧接部材114Rによって半函カートン100Aのフラップ105R、108Rの外面を左方から押圧する(M3)。これにより、接着剤が塗布されたフラップ105R、108Rの内面を側壁面106R、107Rの外面に圧着する動作が行われる。
【0065】
以上の動作、すなわち、半函カートン100Aの蓋部104のフラップ108L、108R、105L、105R、109を根本から折り曲げたのち、フラップ108L、105Lの内面と側壁面106L、107Lの外面とを接着し、フラップ108R、105Rの内面と側壁面106R、107Rの外面とを接着し、フラップ109の内面と前壁面102の外面とを接着するという封函動作によって、製品を内包したカートン100Bを形成する。
【0066】
図9(a)は、封函動作時における、圧接部材114、圧接ガイド部材113の状態を示す平面図、(b)は、正面図である。
【0067】
上記したワークヘッド11の構成によれば、圧接部材114が半函カートン100Aのフラップの外表面を押圧する際、半函カートン100Aのフラップ105、108又は109の外表面と圧接ガイド部材113とが長尺方向において平行でなく、フラップが距離δ1だけ傾いている場合にも、コイルバネ114cがそれぞれ独立に変形するので、複数の圧接部材1141~1144が半函カートン100Aのフラップの外表面をそれぞれ独立に押圧することにより、フラップ105、108又は109を半函カートン100Aの胴部に隙間なく圧着して封函することができる。
【0068】
なお、以上の説明においては封函のための押圧をM3とM4とで行う例で説明したが、これに限るものではない。半函カートン100Aの状態によっては、どちらか一方の押圧のみで封函が完成できる場合もあるため、適宜、選択すれば良い。
【0069】
<効果>
(1)以上のとおり、実施の形態に係る封函装置10は、ブランクシート100から成型されてなる半函カートン100Aを封函する封函装置10であって、半函カートン100Aのフラップの根本の折り曲げ線と平行に支持される長尺状の圧接ガイド部材113と、圧接ガイド部材113の長尺方向に分散して、圧接ガイド部材113からの突出高さがそれぞれ独立して変更自在に構成され、それぞれが独立に変形可能な弾性部材114cを有してなる複数の圧接部材114とを備え、複数の圧接部材114の突出部114aが半函カートン100Aのフラップの外表面をそれぞれ独立に押圧することにより、フラップを半函カートン100Aの胴部に圧着して半函カートン100Aを封函することを特徴とする。
【0070】
従来の封函装置では、駆動源としてエアシリンダーを用い、アクチュエータ手段として板状の圧接部材の面でフラップを押圧し圧着して封函する構成であることから、封函に必要な力を大きく超える力が半函カートンに付勢され、梱包箱の傷・へこみが生じ完成品の美観や品質が低下することがあった。また、内容物にも余分な力が加わることがあった。
【0071】
また、従来の封函装置では、半函カートンは稜線部で折り曲げることで形成されていることから、その形状にはばらつきがあり、板状の圧接部材に対して半函カートンのフラップ面が傾いてしまっている場合にはフラップ全幅に対し押圧ができず、接着が不十分となる場合があった。
【0072】
これに対し、上述した封函装置10によれば、複数の圧接部材114がそれぞれが独立に変形可能な弾性部材114cの反力によって、複数の突出部114aが半函カートンのフラップの外表面をそれぞれ独立に押圧する構成を採っていることから、駆動源にかかる負荷を弾性部材114cに付勢する力の範囲内に制限できるので、封函に必要な力を大きく超える力が半函カートンに付勢されてしまい、梱包箱に傷・へこみを生じさせてしまうる、といった不具合を大幅に抑制できる。
【0073】
さらに、上述した封函装置10によれば、弾性部材114cがそれぞれ独立に変形するので、複数の圧接部材114が半函カートンのフラップの外表面をそれぞれ独立に押圧する構成により、フラップが圧接ガイド部材113に対して傾いている場合にも、フラップ105、108又は109を半函カートン100Aの胴部に対して良好に圧着して封函することができる。
【0074】
これにより、半函カートンを封函する封函装置において、封函時の接着不良を抑制するとともに、封函時の梱包箱の傷・へこみを抑制して封函後の梱包箱の美観と品質を向上することができる。
【0075】
(2)また、封函装置10では、圧接ガイド部材113を支持するアーム112と、アーム112を支持するロボットハンド12とを備え、ロボットハンド12の移動に伴って、圧接ガイド部材113は、半函カートン100Aのフラップ105、108、109の根本の折り曲げ線と平行に支持され、アーム112の移動に伴って、圧接ガイド部材113がフラップ105、108、109を半函カートン100Aの胴部に圧着する構成としている。
【0076】
これより、ロボットハンド12により、圧接ガイド部材113を半函カートン100Aのフラップ105、108、109の根本の折り曲げ線と平行に支持することが容易になる。
【0077】
また、封函装置10では、アーム112の移動に伴って、圧接部材114がフラップ105、108、109を半函カートン100Aの胴部に圧着することにより、アーム112の移動距離を変えるだけで、半函カートン100Aのサイズ適合にさせて一対の圧接ガイド部材113L、113Rの間隔を縮小又は拡大することが容易にでき、また、任意のサイズのブランクシートに容易に適合させることができる。
【0078】
(3)従来、封函工程では、半函カートンの稜線部が固く駆動源にかかる負荷が大きいために、駆動源としてエアシリンダーを用い、アクチュエータ手段としてX-YテーブルやX-Y-Zステージ等、直線的な動作が主体の設備機構が用いられていた。
【0079】
そのため、機構が複雑であるとともに、製造ラインの搬送路周辺に機械設備が密集して視認性が悪く、設備メンテナンス時の作業性が悪いといった課題があった。また、カートンのサイズ変更や機種変更(型替え)等の変更に適合するように工程設備を置換える設備交換や、工程設備の大きさを変更する設備調整が発生し、作業負担が大きく、生産効率が低いという課題があった。
【0080】
これに対し、上述した封函装置10では、圧接部材114は、それぞれが独立に変形可能な弾性部材114cの反力によって、複数の突出部114aが半函カートンのフラップの外表面をそれぞれ独立に押圧する構成を採ることにより、半函カートンの稜線部が固い場合でも駆動源にかかる負荷を弾性部材114cに付勢する力の範囲内に限定できる。
【0081】
これにより、封函工程の駆動源として、例えば、サーボモータ等によって駆動されるロボットアームを使用することを可能とした。ロボットアームの採用より、製造ラインに機械設備の密集を回避して設備を簡素化し、設備メンテナンス時の作業性を向上するとともに、従来必要であった機種変更時の工程設備を置換や調整作業を削減して生産効率を向上できる。
【0082】
≪変形例≫
実施の形態に係る封函装置を説明したが、本開示は、その本質的な特徴的構成要素を除
き、以上の実施の形態に何ら限定を受けるものではない。例えば、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。以下では、そのような形態の一例として変形例を説明する。
【0083】
上記実施の形態に係る封函装置10では、フレーム111から、半函カートン100Aの前壁面102、右側壁、左側壁に対向して2本のアーム112が懸架されている構成としたが、アーム112の本数、位置は上記に限定されるものではない。半函カートン100Aの前壁面102、右側壁、左側壁における、圧接ガイド部材113の本数及び位置、圧接ガイド部材113における圧接部材114の個数及び位置についても同様である。アーム112、圧接ガイド部材113、圧接部材114の構成は、封函対象とする半函カートン100Aの形状、サイズによって適宜変更することができる。
【0084】
また、上記実施の形態に係る封函装置10では、ワークヘッド11には、同時に2個の半函カートン100Aを封函できるアーム112、圧接ガイド部材113、圧接部材114のセットが2組設けられていている構成とした。
【0085】
しかしながら、例えば、ワークヘッド11に、同時に複数の半函カートン100Aを封函できるよう、アーム112、圧接ガイド部材113、圧接部材114のセットが複数設けられていてもよい。
【0086】
≪補足≫
以上で説明した実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、工程の順序などは一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていないものについては、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
【0087】
また、上記の方法が実行される順序は、本発明を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記方法の一部が、他の方法と同時(並列)に実行されてもよい。
【0088】
また、発明の理解の容易のため、上記各実施の形態で挙げた各図の構成要素の縮尺は実際のものと異なる場合がある。また本発明は上記各実施の形態の記載によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0089】
また、各実施の形態及びその変形例の機能のうち少なくとも一部を組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本開示の一態様に係る封函装置は、製造ライン等において、製品、部品、工作物、包装、各種容器等の梱包箱を封函する封函装置に利用可能である。また、各種物流等において、荷物や梱包物を封函する封函装置としても好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 封函ユニット
10 封函装置
11 ワークヘッド
111 フレーム
112 アーム
113 圧接ガイド部材
114 圧接部材
115 閉蓋ガイド部材
116 蓋部ホールド部材
12 ロボットハンド
13 ロボットアーム
14 ロボット本体基部
IC 搬入コンベア
OC 搬出コンベア
100 ブランクシート
100x シートスタック
100A 半函カートン
100B カートン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9