(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132272
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】制御開始タイミング判定システム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/04 20060101AFI20230914BHJP
G08B 21/04 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B21/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037497
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】小田原 健雄
(72)【発明者】
【氏名】西田 竜太
(72)【発明者】
【氏名】村上 伸太郎
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086BA01
5C086BA17
5C086CA01
5C086DA08
5C087DD24
5C087DD30
5C087DD37
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF04
5C087GG46
(57)【要約】
【課題】生活情報の取得を開始するタイミングを好適に判定することができる制御開始タイミング判定システムを提供する。
【解決手段】居室1内における対象者P1の生活情報を取得する生活情報取得部(サーバ120)と、居室1に設けられた複数の家電の動作情報を検出する動作情報検出部(電力センサ110)と、複数の家電群に分類された前記家電の前記動作情報に、前記家電の用途に応じた重み付けを行う重み付け部(サーバ120)と、重み付けが行われた前記動作情報に基づいて、前記対象者P1の生活状態を判定する生活状態判定部(サーバ120)と、前記生活状態判定部(サーバ120)が、前記対象者P1の生活が安定していることの判定である生活安定判定を行った場合に、前記生活情報取得部(サーバ120)による生活情報の取得を開始する制御開始部(サーバ120)と、を具備した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内における対象者の生活情報を取得する生活情報取得部と、
前記建物に設けられた複数の設備の動作情報を検出する動作情報検出部と、
複数の設備群に分類された前記設備の前記動作情報に、前記設備の用途に応じた重み付けを行う重み付け部と、
重み付けが行われた前記動作情報に基づいて、前記対象者の生活状態を判定する生活状態判定部と、
前記生活状態判定部が、前記対象者の生活が安定していることの判定である生活安定判定を行った場合に、前記生活情報取得部による生活情報の取得を開始する制御開始部と、
を具備する、
制御開始タイミング判定システム。
【請求項2】
前記生活状態判定部は、
前記動作情報検出部が、全ての設備群の前記動作情報を検出した場合に、前記対象者の生活が開始されたことの判定である生活開始判定を行い、
前記生活開始判定が行われた場合であって、新規の前記設備の前記動作情報が第一期間以上取得されない場合、前記生活安定判定を行う、
請求項1に記載の制御開始タイミング判定システム。
【請求項3】
前記複数の前記設備群には、第一設備群と第二設備群とが含まれ、
前記重み付け部は、
前記第一設備群の重みが、前記第二設備群の重みよりも大きくなるように重み付けを行い、
前記生活状態判定部は、
前記第一設備群の前記動作情報を検出した場合に、前記対象者が入居したことの判定である入居判定を行い、
前記入居判定が行われた場合に、前記生活安定判定の処理を実行可能である、
請求項1又は請求項2に記載の制御開始タイミング判定システム。
【請求項4】
前記動作情報検出部により取得された前記動作情報を蓄積可能な情報蓄積部を具備し、
前記生活状態判定部は、
前記第一設備群の前記動作情報が検出されない期間が第二期間以上である場合、入居判定を取り消すと共に、前記情報蓄積部に蓄積された前記動作情報を破棄する第一破棄処理を実行する、
請求項3に記載の制御開始タイミング判定システム。
【請求項5】
前記生活状態判定部は、
前記第一設備群の前記動作情報が検出されない期間が、前記第二期間よりも短い第三期間以上であり、かつ前記第二期間未満である場合、入居判定を維持した状態で、前記情報蓄積部に蓄積された前記動作情報を一旦破棄すると共に、新たに前記動作情報を蓄積する第二破棄処理を実行する、
請求項4に記載の制御開始タイミング判定システム。
【請求項6】
前記建物において利用される電力データを取得する電力データ取得部を具備し、
前記生活状態判定部は、
前記電力データ取得部が最後に電力データを取得した時から経過した期間である最終電力データ期間が、第四期間以上である場合、前記第一破棄処理を実行し、
前記最終電力データ期間が、前記第四期間よりも短い第五期間以上であり、かつ前記第四期間未満である場合、前記第二破棄処理を実行する、
請求項5に記載の制御開始タイミング判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生活情報の取得を開始するタイミングを判定する制御開始タイミング判定システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物に居住する対象者の生活情報の取得を行うシステムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、建物で使用されるエネルギーの使用量を用いて、居住者の生活パターンの変化を検出する生活パターン管理システムが記載されている。
【0004】
特許文献1に記載された発明のように、エネルギーの使用量を用いて居住者の生活パターンを検出する場合において、例えば入居者が入居した時等、入居者の生活が安定していない時期では、エネルギーの使用量のデータを取得しても居住者の生活パターンを効果的に検出することができない。このため、入居者の生活が安定するまでの間に不要なデータを取得するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、生活情報の取得を開始するタイミングを好適に判定可能な制御開始タイミング判定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、建物内における対象者の生活情報を取得する生活情報取得部と、前記建物に設けられた複数の設備の動作情報を検出する動作情報検出部と、複数の設備群に分類された前記設備の前記動作情報に、前記設備の用途に応じた重み付けを行う重み付け部と、重み付けが行われた前記動作情報に基づいて、前記対象者の生活状態を判定する生活状態判定部と、前記生活状態判定部が、前記対象者の生活が安定していることの判定である生活安定判定を行った場合に、前記生活情報取得部による生活情報の取得を開始する制御開始部と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記生活状態判定部は、前記動作情報検出部が、全ての設備群の前記動作情報を検出した場合に、前記対象者の生活が開始されたことの判定である生活開始判定を行い、前記生活開始判定が行われた場合であって、新規の前記設備の前記動作情報が第一期間以上取得されない場合、前記生活安定判定を行うものである。
【0010】
請求項3においては、前記複数の前記設備群には、第一設備群と第二設備群とが含まれ、前記重み付け部は、前記第一設備群の重みが、前記第二設備群の重みよりも大きくなるように重み付けを行い、前記生活状態判定部は、前記第一設備群の前記動作情報を検出した場合に、前記対象者が入居したことの判定である入居判定を行い、前記入居判定が行われた場合に、前記生活安定判定の処理を実行可能であるものである。
【0011】
請求項4においては、前記動作情報検出部により取得された前記動作情報を蓄積可能な情報蓄積部を具備し、前記生活状態判定部は、前記第一設備群の前記動作情報が検出されない期間が第二期間以上である場合、入居判定を取り消すと共に、前記情報蓄積部に蓄積された前記動作情報を破棄する第一破棄処理を実行するものである。
【0012】
請求項5においては、前記生活状態判定部は、前記第一設備群の前記動作情報が検出されない期間が、前記第二期間よりも短い第三期間以上であり、かつ前記第二期間未満である場合、入居判定を維持した状態で、前記情報蓄積部に蓄積された前記動作情報を一旦破棄すると共に、新たに前記動作情報を蓄積する第二破棄処理を実行するものである。
【0013】
請求項6においては、前記建物において利用される電力データを取得する電力データ取得部を具備し、前記生活状態判定部は、前記電力データ取得部が最後に電力データを取得した時から経過した期間である最終電力データ期間が、第四期間以上である場合、前記第一破棄処理を実行し、前記最終電力データ期間が、前記第四期間よりも短い第五期間以上であり、かつ前記第四期間未満である場合、前記第二破棄処理を実行するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
請求項1においては、生活情報の取得を開始するタイミングを好適に判定することができる。
【0016】
請求項2においては、対象者の生活状態の判定を段階的に行うことができる。
【0017】
請求項3においては、対象者の生活状態の判定を段階的に行うことができる。
【0018】
請求項4においては、対象者の生活状態に基づいて、蓄積された動作情報の管理を行うことができる。
【0019】
請求項5においては、対象者の生活状態に基づいて、蓄積された動作情報の管理を行うことができる。
【0020】
請求項6においては、電力データに基づいて、蓄積された動作情報の管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る制御開始タイミング判定システムの構成を示した模式図。
【
図2】メインフローの内容を示したフローチャート。
【
図3】メインフローの内容の続きを示したフローチャート。
【
図4】「衣」フラグ判定ロジックを示したフローチャート。
【
図5】「食」フラグ判定ロジックを示したフローチャート。
【
図6】「住」フラグ判定ロジックを示したフローチャート。
【
図9】生活状態判断ロジックを示したフローチャート。
【
図10】退居判断ロジックを示したフローチャート。
【
図11】主幹電力判断フローを示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、
図1を用いて、本発明の一実施形態に係る制御開始タイミング判定システム100の構成について説明する。
【0023】
制御開始タイミング判定システム100は、対象者P1の生活に関するデータ(生活情報)の取得を開始するタイミングを判定するものである。本実施形態では一例として、高齢者を対象者P1として、当該高齢者の認知機能の異常の有無を判定するために、生活情報を取得する場合を想定している。本実施形態に係る制御開始タイミング判定システム100は、高齢者施設等の部屋(居室1)での対象者P1の生活情報を取得する。
【0024】
認知機能の異常の有無の判定は、居室1に設置された家電の動作情報に基づいて行われる。上記判定は、住人である対象者P1の認知機能の異常の有無を判定可能な認知機能判定システムを用いて実行される。認知機能判定システムは、家電の動作情報を取得することで、間接的に、対象者P1の行動(どの設備を使用しているか)を検出することができる。上記動作情報の取得は、所定の時間間隔(例えば数分間隔)で実行される。なお、認知機能判定システムの詳細な説明は省略する。
【0025】
制御開始タイミング判定システム100は、主として電力センサ110及びサーバ120を具備する。
【0026】
電力センサ110は、居室1に設置される家電(特に、日常生活において使用する家電)の消費電力(家電の動作情報)を検出するものである。電力センサ110は、対象者P1が居住する建物(居室1)の分電盤2に設けられる。電力センサ110は、分電盤2の分岐回路毎の電力を検出することができる。これによって電力センサ110は、各分岐回路に接続された家電の使用状況(使用されているか否か)を検出することができる。家電の使用状況を検出することで、間接的に、対象者P1の生活状態(入居、生活開始、生活安定及び退居等)を検出することができる。
【0027】
本実施形態では、電力センサ110による消費電力の検出の対象となる複数の家電を、「衣」家電10、「食」家電20及び「住」家電30の3つの家電群に分類している。
【0028】
「衣」家電10は、衣服に関わる家電群である。「衣」家電10には、例えば洗濯機や乾燥機、アイロン等が含まれる。
【0029】
「食」家電20は、食事に関わる家電群である。「食」家電20には、例えば冷蔵庫や電子レンジ、オーブントースター、食洗器、IH、炊飯器、その他調理家電等が含まれる。
【0030】
「住」家電30は、暮らしに関わる(住環境を快適にする用途の)家電群である。「住」家電30には、照明機器や熱源機器(ドライヤー等)、エアコン、テレビ、掃除機等が含まれる。
【0031】
上記家電のうち、例えば洗濯機の使用が検出された場合、間接的に、対象者P1が洗濯機を使用したこと、ひいては洗濯機が属する「衣」家電10が使用されたことが検出される。
【0032】
なお、各種家電の使用状況を検出する方法は、電力センサ110によって分岐回路毎の電力を検出する方法に限るものではなく、種々の方法を用いることが可能である。例えば、分電盤2の主幹回路の電力(主幹電力)を検出し、その電力の波形を分析することで、使用されている機器を識別して把握することも可能である。また、分電盤2の電力を検出するのではなく、各種家電自身の稼働状況(各種家電の電源のオン・オフ、各種家電が接続されたコンセントの電力等)を直接検出することも可能である。また、居室1に各種家電の使用状況を把握(管理)するシステム(例えば、HEMS:Home Energy Management System 等)が設けられている場合は、そのシステムが把握している情報を利用することも可能である。また、家電がIoT家電である場合、インターネット通信を介して通信された情報を使用して各種家電の使用状況を検出する方法も採用可能である。
【0033】
サーバ120は、電力センサ110からの家電の動作情報(検出結果)に基づいて各種処理を行うものである。サーバ120は、例えばクラウド上に設けられた仮想サーバ(クラウドサーバ)により構成される。サーバ120は、電力センサ110からの家電の動作情報を取得することで、各種家電の使用状況を把握することができる。サーバ120は、家電の動作情報の蓄積や、蓄積された動作情報の破棄等、動作情報の管理を行うことができる。
【0034】
以上の如く構成された制御開始タイミング判定システム100を用いることで、対象者P1の生活状態を検出することができる。本実施形態では、対象者P1の生活状態を、「入居」、「生活開始」、「生活安定」、及び「退居」に分類している。
【0035】
「入居」は、対象者P1が居室1での居住の決定後(契約等を行った後)であって、生活を開始していない状態である。「入居」の状態では、「衣」家電10、「食」家電20及び「住」家電30の各分類に属する家電は未だ揃っていないと想定される。
【0036】
「生活開始」は、居室1において対象者P1が生活を開始できる状態である。「生活開始」の状態では、「衣」家電10、「食」家電20及び「住」家電30の各分類に属する家電が、少なくとも1つずつ設置されているものの、対象者P1の生活に必要な家電は揃っていないと想定される。
【0037】
「生活安定」は、居室1における対象者P1の生活が安定している状態である。「生活安定」の状態では、対象者P1の生活に必要な家電が概ね揃っていると想定される。対象者P1の居室1での生活に関するデータを取得する際には、「生活安定」の状態でデータを取得することが望ましい。
【0038】
「退居」は、対象者P1が居室1での生活を終了した状態である。「退居」の状態では、各種家電の使用が長期間行われないと想定される。
【0039】
本実施形態の制御開始タイミング判定システム100は、各種家電の使用状況(動作情報)から、対象者P1の生活状態を把握することで、好適なタイミング(「生活安定」の状態)で、対象者P1の生活情報を取得することができる。
【0040】
以下では、この制御開始タイミング判定システム100による一連の処理の概要について説明する。
【0041】
制御開始タイミング判定システム100(サーバ120)は、
図2から
図10までに示すメインフロー及び
図11に示す主幹電力判断フローを実行可能である。
【0042】
各種処理の前提として、サーバ120には、予め設定された「衣」家電10、「食」家電20及び「住」家電30の家電群のリストが記憶されている。サーバ120は、電力センサ110の検出結果に基づいて、上記リストのうちのどの家電(当該家電が属する家電群)が使用されたかを判定することができる。
【0043】
また、以下の例では、居室1に居住する対象者P1は、居室1内で、「衣」、「食」、「住」の全ての生活行動を行うものとする。すなわち、対象者P1は、生活が安定している状態では、「衣」家電10、「食」家電20及び「住」家電30に属する各種家電を、少なくとも1つずつ使用して生活をするものとする。
【0044】
まず、
図2から
図10までを用いてメインフローについて説明する。メインフローは、常時、所定の時間間隔(例えば数分間隔)で繰り返すように実行される。
【0045】
ステップS101において、サーバ120は、対象者P1が居室1に入居する前であるか(入居中でないか)否かを判定する。具体的には、サーバ120は、「入居フラグ」がOFFであるか否かを判定する。なお、「入居フラグ」の詳細な説明は後述する。サーバ120は、入居フラグがOFFであると判定した場合、ステップS102へ移行する。一方、サーバ120は、入居フラグがOFFでない(ONである)と判定した場合、ステップS111へ移行する。
【0046】
ステップS102において、サーバ120は、各種家電群(「衣」家電10、「食」家電20及び「住」家電30)の動作情報(電力センサ110の検出値)を取得する。上記取得された動作情報は、サーバ120に格納(蓄積)される。サーバ120は、ステップS102の処理を行った後、ステップS103へ移行する。
【0047】
ステップS103において、サーバ120は、「生活フラグ判定ロジック」を実行する。ここで、「生活フラグ判定ロジック」とは、各種家電の動作情報に基づいて、家電の使用の有無を判定する処理である。生活フラグ判定ロジックにおいては、「衣」家電10、「食」家電20及び「住」家電30のそれぞれにおいて、各家電群に属する家電の使用の有無が判定される。
【0048】
生活フラグ判定ロジックには、
図4から
図6までに示す「衣」フラグ判定ロジック(S120)、「食」フラグ判定ロジック(S130)及び「住」フラグ判定ロジック(S140)が含まれる。以下、各処理の内容を順番に説明する。
【0049】
図4に示す「衣」フラグ判定ロジック(S120)は、「衣」家電10の使用の有無を判定する処理である。
【0050】
ステップS121~S123において、サーバ120は、「衣」家電10の動作情報(電力センサ110の検出値)を取得し(ステップS121)、「衣」家電10に属する家電のどれかが使用されている(ONである)と判定した場合(ステップS122:YES)、「衣」フラグをONにする(ステップS123)。ここで、「「衣」フラグをON」とは、「衣」家電10が使用されていると判定するための条件が満たされていることを示す。サーバ120は、ステップS123の処理を行った後、「衣」フラグ判定ロジックを終了する。
【0051】
また、サーバ120は、ステップS122において「衣」家電10に属する家電が使用されていない(ステップS122:NO)と判定した場合、ステップS124へ移行する。
【0052】
ステップS124~S126において、サーバ120は、「衣」フラグがONであると判定した場合(ステップS124:YES)に、一定時間(例えば「衣」家電10が最後に使用された時から数時間)が経過した場合(ステップS125:YES)、「衣」フラグをOFFにする(ステップS126)。すなわち、サーバ120は、「衣」フラグがONである場合でも、「衣」家電10が使用されない状態で一定時間が経過した場合には、「衣」フラグをOFFにする。上記一定時間は、任意の値を設定可能である。
【0053】
サーバ120は、「衣」フラグはOFFであると判定した場合(ステップS124:NO)、ステップS126へ移行する。また、サーバ120は、ステップS125において上記一定時間が経過していない(ステップS125:NO)と判断した場合、ステップS123へ移行する。
【0054】
図5に示す「食」フラグ判定ロジック(S130)は、「食」家電20の使用の有無を判定する処理である。ここで、「食」フラグ判定ロジック(S130)のステップS131~S136は、「食」家電20を対象にした点を除いて、「衣」フラグ判定ロジック(S120)のステップS121~S126と概ね同様な処理である。従って、「食」フラグ判定ロジックの処理の詳細な説明は省略する。
【0055】
図6に示す「住」フラグ判定ロジック(S140)は、「住」家電30の使用の有無を判定する処理である。ここで、「住」フラグ判定ロジック(S140)のステップS141~S146は、「住」家電30を対象にした点を除いて、「衣」フラグ判定ロジック(S120)のステップS121~S126と概ね同様な処理である。従って、「住」フラグ判定ロジックの処理の詳細な説明は省略する。
【0056】
上述の如き生活フラグ判定ロジック(「衣」フラグ判定ロジック、「食」フラグ判定ロジック及び「住」フラグ判定ロジック)を実行することで、「衣」フラグ、「食」フラグ及び「住」フラグ(以下では「生活フラグ」と称する場合がある)をON又はOFFに設定することができる。
図2に示すように、サーバ120は、生活フラグ判定ロジック(S103)を実行した後、ステップS104へ移行する。
【0057】
ステップS104において、サーバ120は、
図7に示す「入居判定ロジック」を実行する。ここで、「入居判定ロジック」とは、生活フラグ判定ロジックの結果に基づいて、対象者P1が居室1に入居しているか否かを判定する処理である。
【0058】
入居判定ロジックにおいては、各種家電群(「衣」家電10、「食」家電20及び「住」家電30)ごとに重み付けを行い、対象者P1の状態を判定する。ここで、「重み付けを行う」とは、各種家電群ごとに、処理(入居判定ロジック)の判定結果に対する重要度(寄与度)の設定を行うことを指す。本実施形態では、後述するように、各種家電群に関する判定(各生活フラグの判定)の先後関係により、重み付けを行っている。
【0059】
ステップS151~S153において、サーバ120は、「住」フラグがONであり(ステップS151:YES)、かつ「食」フラグがONであると判定した場合(ステップS152:YES)、入居フラグをONにする(ステップS153)。ここで、「入居フラグをON」とは、対象者P1が居室1に入居していると判定するための条件が満たされていることを示す。サーバ120は、ステップS153の処理を行った後、入居判定ロジックを終了する。
【0060】
また、サーバ120は、「住」フラグがONであり(ステップS151:YES)、「食」フラグがOFFである場合(ステップS152:NO)、「衣」フラグがONであるか否かの判定を行う(ステップS154)。サーバ120は、上記ステップS154の判定において、「衣」フラグがONであると判定した場合(ステップS154:YES)、入居フラグをONにし(ステップS153)、「衣」フラグがOFFであると判定した場合(ステップS154:NO)、入居判定ロジックを終了する。
【0061】
また、サーバ120は、「住」フラグがOFFであると判定した場合(ステップS151:NO)に、「食」フラグがONであると判定した場合(ステップS155:YES)、又は「衣」フラグがONであると判定した場合(ステップS156:YES)、入居フラグをONにする(ステップS153)。
【0062】
また、サーバ120は、「住」フラグ、「食」フラグ及び「衣」フラグの全てがOFFである場合(ステップS151:NO、ステップS155:NO、ステップS156:NO)、入居判定ロジックを終了する。
【0063】
上述の如き入居判定ロジックを実行することで、対象者P1が居室1に入居している(入居フラグがON)か否かの判定を行うことができる。入居判定ロジックでは、先に判定した生活フラグの重みを、後に判定する生活フラグよりも軽く(小さく)することで、各種家電群(「衣」家電10、「食」家電20及び「住」家電30)ごとに重み付けを行い、入居フラグの判定を行っている。
【0064】
例えば、各種家電群のうち、「住」家電30に属する照明機器やエアコンは、入居前に行われる内見等でも使用されることが想定される一方、「衣」家電10や「食」家電20は、対象者P1が入居してはじめて使用されると想定される。また、冷蔵庫等が属する「食」家電20よりも、洗濯機や乾燥機等が属する「衣」家電10の方が、居室1での生活が安定したときに使用される家電であると考えられる。このため、本実施形態では、「住」家電30、「食」家電20及び「衣」家電10の順に、重要度が高くなるように重み付けの設定が行われている。
【0065】
具体的には、本実施形態に係る入居判定ロジックのフローでは、サーバ120は、最初に判定される「住」フラグがONであるかOFFであるかに関わらず、「食」フラグ及び「衣」フラグの少なくとも一方がONであれば、対象者P1が入居していると判定し(入居フラグをONにし)、「食」フラグ及び「衣」フラグの両方がOFFであれば、対象者P1が入居しているとの判定を行わない(入居フラグをONにしない)。このように、本フローでは、「住」フラグの重要度が最も低くなるように設定されている。
【0066】
また、本フローでは、先に判定される「食」フラグがONであれば、後の「衣」フラグの判定を行わずに、対象者P1が入居していると判定する(入居フラグをONにする)。すなわち、本フローでは、「食」フラグがONであれば、最も重要度が高くなるように設定された「衣」フラグの判定を行うまでもなく、対象者P1が入居していると判定する。本実施形態では、上述のようなフローを実行することで、各種家電群ごとに重み付けを行っている。
【0067】
図2に示すように、サーバ120は、入居判定ロジック(S104)を実行した後、ステップS105へ移行する。ステップS105において、サーバ120は、入居フラグがONであるか否かを判定する。サーバ120は、入居フラグがONであると判定した場合、ステップS106へ移行する。一方、サーバ120は、入居フラグがOFFであると判定した場合、メインフローを終了する。
【0068】
ステップS106において、サーバ120は、
図8に示す「入居中ロジック」を実行する。ここで、「入居中ロジック」とは、生活フラグ判定ロジックの結果に基づいて、対象者P1が居室1での生活を開始しているか否かを判定する処理である。入居中ロジックにおいては、各種家電群(「衣」家電10、「食」家電20及び「住」家電30)ごとに重み付けを行い、対象者P1が生活を開始したかを判定する。
【0069】
ステップS161~S164において、サーバ120は、「住」フラグ、「食」フラグ及び「衣」フラグの全てがONである場合(ステップS161:YES、ステップS162:YES、ステップS163:YES)、生活開始フラグをONにする(ステップS164)。ここで、「生活開始フラグをON」とは、対象者P1の居室1での生活が開始されていると判定するための条件が満たされていることを示す。サーバ120は、ステップS164の処理を行った後、入居中ロジックを終了する。
【0070】
また、サーバ120は、「住」フラグがONであり(ステップS161:YES)、「食」フラグがOFFである場合(ステップS162:NO)、「衣」フラグがONであるか否かの判定を行う(ステップS165)。サーバ120は、上記ステップS165の判定において、「衣」フラグがONであると判定した場合(ステップS165:YES)、入居中ロジックを終了し、「衣」フラグがOFFであると判定した場合(ステップS165:NO)、待機フラグをONにする(ステップS166)。
【0071】
ここで、「待機フラグをON」とは、後述する「退居判断ロジック(ステップS114)」における退居の判断を行う前に待機している状態(待機状態)であると判定するための条件が満たされていることを示す。サーバ120は、ステップS166の処理を行った後、入居中ロジックを終了する。
【0072】
また、サーバ120は、「住」フラグがOFFであると判定した場合(ステップS161:NO)に、「食」フラグがONであると判定した場合(ステップS167:YES)、又は「衣」フラグがONであると判定した場合(ステップS168:YES)、入居中ロジックを終了する。
【0073】
また、サーバ120は、「住」フラグ、「食」フラグ及び「衣」フラグの全てがOFFである場合(ステップS161:NO、ステップS167:NO、ステップS168:NO)、待機フラグをONにする(ステップS169)。サーバ120は、ステップS169の処理を行った後、入居中ロジックを終了する。
【0074】
上述の如き入居中ロジックを実行することで、対象者P1が居室1での生活を開始している(生活開始フラグがON)か否かの判定を行うことができる。
【0075】
具体的には、「住」フラグ、「食」フラグ及び「衣」フラグの全てがONである場合、各種家電群(「衣」家電10、「食」家電20及び「住」家電30)が一通り使用されていることが想定される。この場合、サーバ120は、対象者P1は居室1での生活を開始している(生活開始フラグがON)と判定する。
【0076】
また、本実施形態に係る入居中ロジックでは、上記入居判定ロジックと概ね同様、先に判定した生活フラグ(本実施形態では「住」フラグ)の重みを、後に判定する生活フラグ(本実施形態では「食」フラグ及び「衣」フラグ)よりも軽くすることで、各種家電群(「衣」家電10、「食」家電20及び「住」家電30)ごとに重み付けを行い、待機フラグの判定を行っている。
【0077】
具体的には、本実施形態に係る入居中ロジックのフローでは、サーバ120は、最初に判定される「住」フラグがONであるかOFFであるかに関わらず、「食」フラグ及び「衣」フラグの両方がOFFであれば、待機フラグをONにし、「食」フラグ及び「衣」フラグの少なくとも一方がONであれば、待機フラグをONにしない。本実施形態では、上述のようなフローを実行することで、各種家電群ごとに重み付けを行っている。
【0078】
図2に示すように、サーバ120は、入居中ロジック(S106)を実行した後、ステップS107へ移行する。ステップS107において、サーバ120は、生活開始フラグがONであるか否かを判定する。サーバ120は、生活開始フラグがONであると判定した場合、ステップS108へ移行する。一方、サーバ120は、生活開始フラグがOFFであると判定した場合、ステップS113へ移行する。
【0079】
ステップS108において、サーバ120は、
図9に示す「生活状態判断ロジック」を実行する。ここで、「生活状態判断ロジック」とは、入居中ロジックの結果に基づいて、対象者P1の居室1での生活が安定しているか(「生活安定」の状態であるか)否かを判定する処理である。
【0080】
ステップS171~S173において、サーバ120は、「生活安定フラグ」がOFFである場合(ステップS171:YES)に、新規の家電の動作情報をZ日以上取得していない場合(ステップS172:YES)、「生活安定フラグ」をONにする(ステップS173)。ここで、「生活安定フラグをON」とは、対象者P1の居室1での生活が安定していると判定するための条件が満たされていることを示す。サーバ120は、ステップS173の処理を行った後、生活状態判断ロジックを終了する。
【0081】
また、ステップS172の判定の基準となる「Z日」は、対象者P1の生活の安定を判定するための期間(例えば数日)である。新規の家電(「衣」家電10、「食」家電20及び「住」家電30)の動作情報を最後に取得してから、Z日以上が経過していれば、居室1には対象者P1の生活に必要な家電が揃っていると推定されることから、サーバ120は、対象者P1の生活が安定していると判定する。なお、「新規の家電」とは、データの取得を開始してから未だ動作情報が取得されていなかった家電を指す。また、Z日としては、対象者P1の生活の安定を判定可能な種々の値を設定可能である。
【0082】
サーバ120は、新規の家電の動作情報を最後に取得してから、経過した期間がZ日未満である場合(ステップS172:NO)、生活状態判断ロジックを終了する。
【0083】
図2に示すように、サーバ120は、生活状態判断ロジック(S108)を実行した後、ステップS109へ移行する。ステップS109において、サーバ120は、生活安定フラグがONであるか否かを判定する。サーバ120は、生活安定フラグがONであると判定した場合、ステップS110へ移行する。一方、サーバ120は、生活安定フラグがOFFであると判定した場合、メインフローを終了する。
【0084】
ステップS110において、サーバ120は、「家電利用サービス」を実行する。ここで、「家電利用サービス」とは、家電から、対象者P1の生活情報(家電の動作情報)を取得すると共に、上記生活情報を用いた制御を行うサービスである。本実施形態では、家電利用サービスの一例として、認知機能判定システムを用いて対象者P1の認知機能の異常の有無を判定するサービスを採用している。なお、家電利用サービスとしては上述した例に限定されず、対象者P1の生活情報を利用した種々のサービスを採用可能である。
【0085】
サーバ120は、家電利用サービスが実行されれば、家電からの生活情報の取得を開始する。サーバ120は、例えば上記生活情報を用いた学習を行うことで、対象者P1の認知機能の異常の有無を判定することができる。サーバ120は、ステップS110の処理を実行した後、メインフローを終了する。
【0086】
また、
図2に示すように、サーバ120は、ステップS101において入居フラグがONであると判定した場合に移行するステップS111、S112において、ステップS102、S103と同様、各種家電群の動作情報を取得して、「生活フラグ判定ロジック」を実行し、ステップS106へ移行する。すなわちこの場合、サーバ120は、入居判定ロジック(S104)を実行することなく、入居中ロジック(S106)を実行する。
【0087】
また、
図2、
図3に示すように、サーバ120は、ステップS107において生活開始フラグがOFFであると判定した場合に移行するステップS113において、待機フラグがONであるか否かを判定する。サーバ120は、待機フラグがONであると判定した場合、ステップS114へ移行する。一方、サーバ120は、待機フラグがOFFであると判定した場合、メインフローを終了する。
【0088】
ステップS114において、サーバ120は、
図10に示す「退居判断ロジック」を実行する。ここで、「退居判断ロジック」とは生活フラグ判定ロジックの結果に基づいて、対象者P1が居室1を退居したか否かを判定(判断)する処理である。退居判断ロジックにおいては、各種家電群(「衣」家電10、「食」家電20及び「住」家電30)ごとに重み付けを行い、対象者P1が退居したかを判定する。
【0089】
ステップS181~S187において、サーバ120は、「住」フラグがONであると判定し(ステップS181:YES)、かつ「食」フラグがONであると判定した場合(ステップS182:YES)、待機フラグをOFFにする。また、サーバ120は、Y日以上待機していると判定し(ステップS184:YES)、かつX日以上待機していないと判定した場合(ステップS185:NO)、既存の蓄積データ(すでにサーバ120に蓄積された家電の動作情報)を破棄し(ステップS186)、新たな取得データ(新たに取得される家電の動作情報)を格納する(ステップS187)。すなわち、ステップS186、S187の処置においては、サーバ120は、今まで蓄積された家電の動作情報を一旦破棄し、新たに家電の動作情報を取得し直す。なお、この場合は、対象者P1が退居したとは判定されず、入居フラグはONの状態が維持される。サーバ120は、ステップS187の処理を行った後、退居判断ロジックを終了する。
【0090】
上記ステップS185の判定の基準となる「X日」は、対象者P1が居室1を退居したか否かを判定するための期間(例えば数日)である。サーバ120は、X日以上待機(家電の動作情報を最後に取得してからX日以上が経過)したと判定した場合は(ステップS185:YES)、対象者P1が退居したと判定する。X日としては、対象者P1の退居を判定可能な種々の値を設定可能である。
【0091】
また、ステップS184の判定の基準となる「Y日」は、待機の期間(家電の動作情報を最後に取得してから経過した期間)が、フローによる推測(例えば生活状態判断ロジックの判断等)に影響を及ぼす可能性を判定するための期間(例えば数日)である。「Y日」は、「X日」よりも短い期間に設定される。サーバ120は、Y日以上待機(家電の動作情報を最後に取得してからY日以上が経過)したと判定した場合は(ステップS184:YES)、待機の期間が、メインフローの判定に影響を及ぼす可能性が高いと判断する。この場合、サーバ120は、今まで蓄積された既存のデータを一旦破棄し(ステップS186)、再度データを格納(取得)する(ステップS187)。なお、Y日としては、フローの推測に影響を及ぼす可能性を判定するための種々の値を設定可能である。
【0092】
また、サーバ120は、ステップS182において「食」フラグがOFFであると判定した場合(ステップS182:NO)に移行するステップS188において、「衣」フラグがONであるか否かを判定する。サーバ120は、「衣」フラグがONであると判定した場合、ステップS183へ移行する。一方、サーバ120は、「衣」フラグがOFFであると判定した場合(ステップS188:NO)、ステップS189へ移行する。
【0093】
ステップS189~S191において、サーバ120は、X日以上待機していると判定した場合(ステップS189:YES)、本制御における全てのフラグ(入居フラグや「住」フラグ等)をOFFにすると共に(ステップS190)、取得した全てのデータを破棄する(ステップS191)。サーバ120は、ステップS191の処理を行った後、退居判断ロジックを終了する。
【0094】
また、サーバ120は、ステップS189においてX日以上待機していないと判定した場合(ステップS189:NO)、新たな取得データを格納する(ステップS192)。この場合は、対象者P1が退居したとは判定されず、入居フラグはONの状態が維持される。サーバ120は、ステップS192の処理を行った後、退居判断ロジックを終了する。
【0095】
また、サーバ120は、ステップS181において「住」フラグがOFFであると判定した場合(ステップS181:NO)に移行するステップS193において、「食」フラグがONであるか否かを判定する。サーバ120は、「食」フラグがONであると判定した場合、ステップS183へ移行する。一方、サーバ120は、「食」フラグがOFFであると判定した場合(ステップS193:NO)、ステップS194へ移行する。
【0096】
ステップS194において、サーバ120は、「衣」フラグがONであるか否かを判定する。サーバ120は、「衣」フラグがONであると判定した場合、ステップS183へ移行する。一方、サーバ120は、「衣」フラグがOFFであると判定した場合(ステップS194:NO)、ステップS195へ移行する。
【0097】
ステップS195~S197において、サーバ120は、X日以上待機していると判定した場合(ステップS195:YES)、本制御における全てのフラグ(入居フラグ等)をOFFにすると共に(ステップS196)、取得した全てのデータを破棄する(ステップS197)。サーバ120は、ステップS197の処理を行った後、退居判断ロジックを終了する。
【0098】
また、サーバ120は、ステップS195においてX日以上待機していないと判定した場合(ステップS195:NO)、新たな取得データを格納する(ステップS198)。この場合は、対象者P1が退居したとは判定されず、入居フラグはONの状態が維持される。サーバ120は、ステップS198の処理を行った後、退居判断ロジックを終了する。
【0099】
上述の如き退居判断ロジックを実行することで、対象者P1が居室1を退居したか否かの判定を行うことができる。また、本実施形態に係る退居判断ロジックでは、上記入居判定ロジックと概ね同様、先に判定した生活フラグ(本実施形態では「住」フラグ)の重みを、後に判定する生活フラグ(本実施形態では「食」フラグ及び「衣」フラグ)よりも軽くすることで、各種家電群(「衣」家電10、「食」家電20及び「住」家電30)ごとに重み付けを行い、退居の判定を行っている。
【0100】
具体的には、本実施形態に係る退居判断ロジックのフローでは、サーバ120は、最初に判定される「住」フラグがONであるかOFFであるかに関わらず、「食」フラグ及び「衣」フラグの両方がOFFであれば退居の判定を行い、「食」フラグ及び「衣」フラグの少なくとも一方がONであれば、退居の判定を行わない。
【0101】
また、本フローでは、先に判定される「食」フラグがONであれば、後の「衣」フラグの判定を行わずに、待機フラグをOFFにする。すなわち、本フローでは、「食」フラグがONであれば、最も重要度が高くなるように設定された「衣」フラグの判定を行うまでもなく、待機フラグをOFFにする。本実施形態では、上述のようなフローを実行することで、各種家電群ごとに重み付けを行っている。
【0102】
図3に示すように、サーバ120は、退居判断ロジック(S114)を実行した後、ステップS115へ移行する。ステップS115において、サーバ120は、入居フラグがONであるか否かを判定する。サーバ120は、入居フラグがONであると判定した場合、メインフローを終了する。
【0103】
また、ステップS115において、サーバ120は、入居フラグがOFFであると判定した場合、取得した全てのデータを破棄し、メインフローを終了する。
【0104】
次に、
図11に示す主幹電力判断フローについて説明する。主幹電力判断フローは、分電盤2のブレーカーが落とされた場合や停電等、分電盤2への電力の供給が停止した状態から復旧した際に、システムの状態を判断するフローである。主幹電力判断フローは、常時、所定の時間間隔(例えば数分間隔)で繰り返すように実行される。
【0105】
ステップS201~S205において、サーバ120は、電力データ(供給される電力に関するデータ)を取得したと判定した場合(ステップS201:YES)、最終出力データ(最後に出力したフラグ等のデータ)からの経過時間を確認し(ステップS202)、ステップS203の処理へ移行する。
【0106】
ステップS203において、サーバ120は、欠損日数(最終出力データからの経過時間)がY日未満であるか否かを判定する。サーバ120は、欠損日数がY日未満であると判定した場合(ステップS203:YES)、最終入居フラグを取得し(ステップS204)、メインフローを実行する(ステップS205)。ここで、「最終入居フラグを取得」とは、最終出力データに基づく入居フラグのデータ(ONであるかOFFであるかの情報)を取得することである。サーバ120は、ステップS205の処理を行った後、主幹電力判断フローを終了する。
【0107】
また、サーバ120は、ステップS201において、電力データを取得していないと判定した場合(ステップS201:NO)、主幹電力判断フローを終了する。また、サーバ120は、ステップS203において、欠損日数がY日未満でないと判定した場合(ステップS203:NO)、ステップS206へ移行する。
【0108】
ステップS206において、サーバ120は、欠損日数が、X日未満かつY日以上の範囲内であるか否かを判定する。サーバ120は、欠損日数がX日未満かつY日以上の範囲内であると判定した場合(ステップS203:YES)、既存の蓄積データを破棄し(ステップS207)、新たな取得データを蓄積(格納)する(ステップS208)。サーバ120は、ステップS208の処理を行った後、ステップS204へ移行する。
【0109】
また、サーバ120は、X日未満かつY日以上の範囲内でないと判定した場合(ステップS206:NO)、全てのデータを破棄し(ステップS209)、入居フラグをOFFにする(ステップS210)。サーバ120は、ステップS210の処理を行った後、主幹電力判断フローを終了する。
【0110】
以上の如き制御開始タイミング判定システム100の処理を行うことで、対象者P1の居室1での生活が安定するタイミングを判定し(ステップS173、ステップS109)、このタイミングで家具からの対象者P1の生活情報の取得を開始することができる(ステップS110)。これにより、対象者P1の生活が安定するまでの不要な生活情報を取得することを抑制することができる。また、例えば、入居の時点で対象者P1の生活が安定する時期を予測して、生活情報の取得の開始時期を遅らせたものとは異なり、生活情報の取得期間(例えば学習のための生活情報の取得期間)が長くなることを抑制することができる。
【0111】
また、本実施形態では、家電から取得した動作情報や生活情報のデータを用いて、生活情報の取得開始のタイミングの判定や、生活情報を用いたサービスとうの制御を実行する。これにより、例えば、居室1に取り付けたセンサの情報に基づいて各種制御を行うものとは異なり、センサの設置のコストや手間を低減することができる。
【0112】
また、本実施形態では、各種処理(入居判定ロジックや入居中ロジック、退居判断ロジック)において、各種家電群(「衣」家電10、「食」家電20及び「住」家電30)ごとに重み付けを行い判定を行っている。これにより、生活安定のタイミングを精度よく判定することができる。
【0113】
また、本実施形態では、対象者P1の生活状態を、「入居」、「生活開始」、「生活安定」、及び「退居」の複数の段階で判定している。これにより、生活情報の取得を開始するタイミングを精度よく判定することができる。
【0114】
以上、制御開始タイミング判定システム100が実行する制御について説明した。なお、本実施形態に係る制御は一例であり、制御開始タイミング判定システム100が実行する制御は上述した例に限定されるものではなく、任意の処理を追加又は変更してもよい。また、上記説明で例示した具体的な数値は一例であり、任意に変更することが可能である。
【0115】
例えば、上述した制御において設定した各種家電群(「衣」家電10、「食」家電20及び「住」家電30)の重み付けは任意であり、上述した内容に限定されず、フローにおいて判定される順番を入れ替えることで、適宜変更することが可能である。例えば、居室1内において、任意の家電群の使用頻度が少ない場合には、当該家電群のフラグの重みを軽くしたり、フラグを無くすことが可能である。具体的には、建物において洗濯機が共有の場合には、居室1内での「衣」家電10の使用頻度は少ないと想定されるので、「衣」フラグの重みを軽く(判定される順番を先に)したり、「衣」フラグをなくすことができる。
【0116】
以上の如く、本実施形態に係る制御開始タイミング判定システム100は、
建物(居室1)内における対象者P1の生活情報を取得する(ステップS110)生活情報取得部(サーバ120)と、
前記建物(居室1)に設けられた複数の設備(家電)の動作情報を検出する(ステップS102)動作情報検出部(電力センサ110)と、
複数の設備(家電)群に分類された前記設備(家電)の前記動作情報に、前記設備(家電)の用途に応じた重み付けを行う(ステップS104、S106)重み付け部(サーバ120)と、
重み付けが行われた前記動作情報に基づいて、前記対象者P1の生活状態を判定する(ステップS108)生活状態判定部(サーバ120)と、
前記生活状態判定部(サーバ120)が、前記対象者P1の生活が安定していることの判定である生活安定判定を行った場合に、前記生活情報取得部(サーバ120)による生活情報の取得を開始する(ステップS173、S109)制御開始部(サーバ120)と、
を具備するものである。
【0117】
このように構成することにより、生活情報の取得を開始するタイミングを好適に判定することができる。すなわち、生活状態判定部(サーバ120)により、対象者P1の生活が安定するタイミングを判定し、このタイミングで生活情報の取得を開始することができる。これにより、対象者P1の生活が安定するまでの不要な生活情報を取得することを抑制することができる。また、重み付け部(サーバ120)により、各種設備(家電)群ごとに重み付けを行い判定を行うことで、対象者P1の生活が安定するタイミングを精度よく判定することができる。
【0118】
また、前記生活状態判定部(サーバ120)は、
前記動作情報検出部(電力センサ110)が、全ての設備(家電)群の前記動作情報を検出した場合に、前記対象者P1の生活が開始されたことの判定である生活開始判定を行い(ステップS161~S164)、
前記生活開始判定が行われた場合であって、新規の前記設備(家電)の前記動作情報が第一期間(Z日)以上取得されない場合、前記生活安定判定を行う(ステップS171~S173)ものである。
【0119】
このように構成することにより、対象者P1の生活状態の判定を段階的に行うことができる。これにより、生活情報の取得を開始するタイミングをより好適に判定することができる。すなわち、対象者P1の生活が開始された段階では、まだ設備(家電)が揃っていない可能性がある。このため、生活が開始された段階では生活情報の取得を開始せず、対象者P1の生活が安定したことを判定してから生活情報の取得を開始することができる。
【0120】
また、前記複数の前記設備(家電)群には、第一設備(家電)群と第二設備(家電)群とが含まれ、
前記重み付け部(サーバ120)は、
前記第一設備(家電)群の重みが、前記第二設備(家電)群の重みよりも大きくなるように重み付けを行い、
前記生活状態判定部(サーバ120)は、
前記第一設備(家電)群の前記動作情報を検出した場合に、前記対象者P1が入居したことの判定である入居判定を行い(ステップS104)、
前記入居判定が行われた場合に、前記生活安定判定の処理を実行可能である(ステップS171~S173)ものである。
【0121】
このように構成することにより、対象者P1の生活状態の判定を段階的に行うことができる。また、重み付け部(サーバ120)により、第一設備(家電)群及び第二設備(家電)群に対して重み付けを行うことで、設備(家電)の用途を考慮した入居判定を行うことができる。
【0122】
また、前記動作情報検出部(電力センサ110)により取得された前記動作情報を蓄積可能な情報蓄積部(サーバ120)を具備し、
前記生活状態判定部(サーバ120)は、
前記第一設備(家電)群の前記動作情報が検出されない期間が第二期間(X日)以上である場合、入居判定を取り消すと共に、前記情報蓄積部(サーバ120)に蓄積された前記動作情報を破棄する第一破棄処理を実行する(ステップS189~S191、S195~S197)ものである。
【0123】
このように構成することにより、対象者P1の生活状態に基づいて、蓄積された動作情報の管理を行うことができる。すなわち、例えば対象者P1が退去した場合等により、第一設備(家電)群の動作情報が第二期間(X日)以上検出されない場合は、蓄積された不要な動作情報を削除することができる。
【0124】
また、前記生活状態判定部(サーバ120)は、
前記第一設備(家電)群の前記動作情報が検出されない期間が、前記第二期間(X日)よりも短い第三期間(Y日)以上であり、かつ前記第二期間(X日)未満である場合、入居判定を維持した状態で、前記情報蓄積部(サーバ120)に蓄積された前記動作情報を一旦破棄すると共に、新たに前記動作情報を蓄積する第二破棄処理を実行する(ステップS184~S187)ものである。
【0125】
このように構成することにより、対象者P1の生活状態に基づいて、蓄積された動作情報の管理を行うことができる。すなわち、例えば対象者P1が外出した場合等により、第一設備(家電)群の動作情報が第二期間(X日)よりも短い第三期間(Y日)以上検出されない場合は、蓄積された不要な動作情報を一旦削除することができる。
【0126】
また、前記建物(居室1)において利用される電力データを取得する電力データ取得部を具備し、
前記生活状態判定部(サーバ120)は、
前記電力データ取得部が最後に電力データを取得した時から経過した期間である最終電力データ期間が、第四期間(X日)以上である場合、前記第一破棄処理を実行し(ステップS203、S206、S209、S210)、
前記最終電力データ期間が、前記第四期間(X日)よりも短い第五期間(Y日)以上であり、かつ前記第四期間(X日)未満である場合、前記第二破棄処理を実行する(ステップS203、S206~S208)ものである。
【0127】
このように構成することにより、電力データに基づいて、蓄積された動作情報の管理を行うことができる。すなわち、例えば退居した場合や停電等により、電力データが取得されない期間が第四期間(X日)以上である場合は、蓄積された不要な動作情報を削除することができる。また、上記電力データが取得されない期間が第四期間(X日)よりも短い第五期間(Y日)以上検出されない場合は、蓄積された不要な動作情報を一旦削除することができる。
【0128】
なお、本実施形態に係る居室1は、本発明に係る建物の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る電力センサ110は、本発明に係る動作情報検出部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るサーバ120は、本発明に係る生活情報取得部、重み付け部、生活状態判定部、制御開始部、情報蓄積部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る家電は、本発明に係る設備の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る「衣」家電10、「食」家電20は、本発明に係る第一設備群の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る「住」家電30は、本発明に係る第二設備群の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るZ日は、本発明に係る第一期間の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るX日は、本発明に係る第二期間、第四期間の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るY日は、本発明に係る第三期間、第五期間の実施の一形態である。
【0129】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術的思想の範囲内で適宜の変更が可能である。
【0130】
例えば、本実施形態では、電力センサ110(動作情報検出部)は居室1に設けられるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、対象者P1が利用する種々の建物に設けることも可能である。すなわち、居室1に限らず、その他種々の建物、施設等において、認知機能の異常を検出することが可能である。
【0131】
また、本実施形態では、サーバ120(クラウド上に設けられた仮装サーバ等)が各種処理を行う例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、各種処理を実行する主体は任意に変更することが可能である。例えば、居室1に設けられたホームサーバ、パソコン、携帯型端末等により実行することも可能である。
【0132】
また、本実施形態における「衣」家電10、「食」家電20及び「住」家電30の家電群の分類は任意であり、上述した例に限定されない。例えば、本実施形態において「食」家電20に分類した家電を、「住」家電30に分類してもよく、家電群の分類は適宜変更可能である。また、家電群の分類としては、「衣」家電10、「食」家電20及び「住」家電30に限定されず、上述した例の他、対象者P1の生活状態を判定可能な種々の分類を採用可能である。
【0133】
また、本実施形態では、退居判断ロジック(S114)における待機の期間(ステップS184、S115等)と、主幹電力判断フローにおける欠損日数(ステップS203、S204)の判定の基準となる期間を互いに同じ期間(X日、Y日)としたが、互いに異なる期間に設定してもよい。
【0134】
また、本実施形態では、対象者P1の生活状態を、「入居」、「生活開始」、「生活安定」、及び「退居」に段階的に判定する例を示したが、上述した例に限定されない。例えば、対象者P1の生活状態として「生活安定」のみを判定するようにしてもよい。
【0135】
また、本実施形態では、高齢者を対象者P1とした例を示したが、本発明は高齢者に限定されるものではなく、様々な人を対象者P1とすることができる。また、本実施形態では、高齢者施設の居室1を、対象者P1が居住する建物(部屋)とした例を示したが、本発明に係る建物は、高齢者施設に限定されるものではなく、住宅等の様々な建物を採用可能である。
【符号の説明】
【0136】
100 制御開始タイミング判定システム
110 電力センサ
120 サーバ