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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132291
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20230914BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037520
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】510123839
【氏名又は名称】ニデックモビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】坂口 聖和
(72)【発明者】
【氏名】中尾 圭佑
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA03
5E322AA06
5E322AB01
5E322DA01
5E322EA10
5F136BA02
5F136CB07
5F136CB08
5F136CB11
5F136CB13
5F136DA25
5F136DA27
5F136FA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】従来よりも冷却性能に優れた冷却装置を提供する。
【解決手段】冷却装置1は、流入口111と、流出口121と、冷却部12と、冷媒の流入方向と交わる交差方向へ軸線を有し、軸線からの放射方向に対向する面により内面が形成されている中間流路11と、冷却部12と接続されるとともに、中間流路11から冷却部12へ冷媒を拡散する拡散口113と、を備える。中間流路11は、中間流路11の軸線を中心とする内面に沿って流れるように形成された螺旋流生成部112を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が流入する流入口と、
前記冷媒が流出する流出口と、
前記流入口と流出口との間に設けられた冷却部と、
前記冷却部と接続され、前記流入口から流入される前記冷媒の流入方向と交わる交差方向へ軸線を有し、前記軸線からの放射方向に対向する面により内面が形成されている中間流路と、
前記中間流路の軸線方向と交わる方向において、前記冷却部と接続されるとともに、前記中間流路から前記冷却部へ前記冷媒を拡散する拡散口と、
を備え、
前記中間流路は、前記中間流路における流入口側に前記流入口から流入される前記冷媒が前記中間流路の軸線を中心とする前記内面に沿って流れるように形成された螺旋流生成部を有する、
ことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記中間流路は、断面が円形状に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記交差方向は、前記流入口から流入される前記冷媒の前記流入方向と直交する方向である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記拡散口の上端は、前記中間流路の軸線方向と直交する上下方向において、前記中間流路の上端よりも低い位置に形成され、前記拡散口の下端は、前記中間流路の軸線よりも高い位置に形成されている、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記中間流路は、前記軸線方向における流入口側から最も離れた端部において、前記螺旋流生成部により生成される螺旋流の回転方向に対向する位置に流線形の水受け部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記冷却部は、前記中間流路の前記軸線方向と直交する上下方向において上方向に突出する複数のフィンをさらに備え、
前記フィンの突出面は湾曲している、
ことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品などの発熱体を冷却する水冷ジャケットが知られている。例えば、特許文献1に記載の水冷ジャケットは、冷却水の取込口と排出口と冷却水を流すための複数の扁平管とを備える。この水冷ジャケットは、冷却水の取込口から取り込まれた冷却水が複数の扁平管の中を流れて排出口へと流れていくものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-324647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般的に冷却水の流れは取込口の近傍にある扁平管から排出口へと流れる流路に冷却水が集まり易い傾向がある。そのため、特許文献1に記載の冷却ジャケットは、冷却水の取込口から排出口へと繋がる流路全体の冷却水が流れる経路において、取込口の近傍に配置された扁平管を流れる流量が多くなり、取込口からの距離が離れるにつれ扁平管を流れる流量は少なくなる可能性がある。この場合、複数の扁平管の中を流れる冷却水の流量が不均一になり、冷却部の冷却性能が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来よりも冷却性能に優れた冷却装置の提供を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様1に係る冷却装置は、冷媒が流入する流入口と、前記冷媒が流出する流出口と、前記流入口と流出口との間に設けられた冷却部と、前記冷却部と接続され、前記流入口から流入される前記冷媒の流入方向と交わる交差方向へ軸線を有し、前記軸線からの放射方向に対向する面により内面が形成されている中間流路と、前記中間流路の軸線方向と交わる方向において、前記冷却部と接続されるとともに、前記中間流路から前記冷却部へ前記冷媒を拡散する拡散口と、を備え、前記中間流路は、前記中間流路おける前記流入口側に前記流入口から流入される前記冷媒が前記中間流路の軸線を中心とする内面に沿って流れるように形成された螺旋流生成部を有する、構成である。
【0007】
上記の構成によれば、流入口から流入される冷媒の流入方向と交わる交差方向へ軸線を有し、前記軸線からの放射方向に対向する面により内面が形成されている中間流路を備える。また、中間流路における流入口側には、螺旋流生成部を有する。螺旋流生成部により生成された螺旋流は、流入口から流入される冷媒の流れに従って中間流路の内部を軸線方向における流入口側から遠ざかる方向へ向かって一定の流量を維持して流れる。そして、螺旋流として流れる冷媒は、冷却部と接続された拡散口から冷却部へと流れ込む。これにより、冷媒は中間流路の内部を一定の流量を維持して流れるため、中間流路の軸線方向における距離によって流量が不均一となることを低減することができる。よって、従来よりも冷却性能に優れた冷却装置の提供を実現することができる。
【0008】
本発明の態様2に係る冷却装置は、上記の態様1において、前記中間流路は、断面が円形状に形成されている、構成としてもよい。
【0009】
上記の構成によれば、中間流路の断面が円形状に形成される。これにより、中間流路の内部を螺旋流として流れる冷媒の流量をさらに一定の量に維持し易くなる。よって、中間流路の軸線方向における距離によって流量が不均一となることをさらに低減することができる。
【0010】
本発明の態様3に係る冷却装置は、上記の態様1または2において、前記交差方向は、前記流入口から流入される前記冷媒の前記流入方向と直交する方向である、構成としてもよい。
【0011】
本発明の態様4に係る冷却装置は、上記の態様1から3の何れか一項において、前記拡散口の上端は、前記中間流路の軸線方向と直交する上下方向において、前記中間流路の上端よりも低い位置に形成され、前記拡散口の下端は、前記中間流路の軸線よりも高い位置に形成されている、構成としてもよい。
【0012】
上記の構成によれば、拡散口の上端は、中間流路の軸線方向と直交する上下方向において、中間流路の上端よりも低い位置に形成される。また、拡散口の下端は、中間流路の軸線よりも高い位置に形成される。これにより、中間流路に対する拡散口の高さが定まり、螺旋流が1回転するごとに冷却部へ拡散される冷媒の量を調整できる。よって、中間流路の軸線方向における流入口からの距離によって流量が不均一となることを更に低減することができる。
【0013】
本発明の態様5に係る冷却装置は、上記の態様1から4の何れか一項において、前記中間流路は、軸線方向における流入口側から最も離れた端部における前記螺旋流の回転方向に対向する位置に流線形の水受け部をさらに備える、構成としてもよい。
【0014】
上記の構成によれば、軸線方向における流入口側から最も離れた端部における前記螺旋流の回転方向に対向する位置に流線形の水受け部を備える。これにより、螺旋流が中間流路の端部に到達すると、螺旋流を水受け部にて受け流すことができる。よって、中間流路の端部まで到達した螺旋流の回転を終了させつつ、中間流路の端部まで到達した冷媒を冷却部へと流すことができる。
【0015】
本発明の態様6に係る冷却装置は、上記の態様1から5の何れか一項において、前記冷却部は、前記中間流路の前記軸線方向と直交する上下方向において上方向に突出する複数のフィンをさらに備え、前記フィンの突出面は湾曲している、構成としてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、冷却部に流れ込む冷媒がフィンの湾曲面に接触する。冷媒がフィンの湾曲面に接触すると、フィンの湾曲面に沿って冷媒が冷却部に分散して流れる。これにより、冷却部において、より広範囲に冷媒を拡散することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様によれば、従来よりも冷却性能に優れた冷却装置の提供を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】冷却装置の概略外観図である。
図2】蓋部を透過した冷却装置の構成図である。
図3図2に示すA-A断面の部分拡大図である。
図4図2に示すB-B断面の部分拡大図である。
図5図2に示すC-C断面の部分拡大図である。
図6図2に示すD-D断面の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔実施形態〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。なお、以下の説明において、各図に示すZの方向を上下方向とし、図面に向かって上に向かう方向を「上」、下に向かう方向を「下」とする。また、Yの方向を前後方向とし図面に向かって手前に向かう方向を「前」、奥に向かう方向を「後ろ」とする。また、Xの方向を左右方向とし図面に向かって右の方向を「右」、左の方向を「左」とする。
【0020】
<冷却装置1の概略>
図1を用いて冷却装置1の概要について説明する。図1は、冷却装置1の概略外観図である。冷却装置1は、冷却装置1の内部に冷媒を循環させることにより、例えば、車両に搭載されるインバータ等に含まれる発熱部品Mを冷却するために用いられる。発熱部品Mは、電力が供給されることにより発熱する部品である。なお、冷却する発熱部品Mは、車両に搭載される部品に限定するものではなく、例えば、パーソナルコンピュータ等の電子機器に含まれる部品であってもよい。
【0021】
冷却装置1は、発熱部品Mに接触可能となるように構成されている。冷却装置1は、発熱部品Mと接触する部分から発熱部品Mの熱を受け取り、冷却装置1の内部に循環する冷媒に熱を伝える。これにより、発熱部品Mを冷却する。
【0022】
冷却装置1は、本体部10と、蓋部20と、第1接続部30と、第2接続部40と、を備えている。
【0023】
本体部10は、単一の部材により形成されており、例えば、アルミニウム等の金属製である。本体部10は、冷媒が流れる流路を形成する。
【0024】
蓋部20は、板状の部材である。蓋部20は、本体部10の上面を覆うように構成されている。蓋部20は、ネジ等の固定部材により本体部10に固定されるように構成されている。蓋部20と本体部10との間には、止水部70(図2参照)が設けられている。止水部70は、蓋部20が本体部10に固定された状態において、蓋部20と本体部10との間に生じる隙間を埋める役割を担っている。よって、蓋部20が本体部10に固定されることにより、冷媒が冷却装置1から外部へ漏れることなく内部を循環する。
【0025】
第1接続部30は、本体部10に接続されている。第1接続部30は、冷媒を循環させるポンプ50から送り込まれる冷媒を図1に示す矢印P1の方向から本体部10の内部へ送りこむことができるように構成されている。
【0026】
第2接続部40は、本体部10に接続されている。第2接続部40は、第1接続部30から本体部10の内部へと送り込まれた冷媒を本体部10の内部から外部へと送りだすように構成されている。第2接続部40から外部へ送り出された冷媒は、図1に示す矢印P2の方向へ流れる。
【0027】
矢印P2の方向へ流れた冷媒は、例えば、ラジエータ60へ流れていく。ラジエータ60は、冷媒の熱を受け取り、空気に放熱する。ラジエータ60に送り込まれた冷媒はファン(不図示)などにより冷やされ、再びポンプ50を介して冷却装置1へ送り込まれる。このようにして冷媒は冷却装置1の内部を循環する。
【0028】
なお、ポンプ50と第1接続部30との間、および、ラジエータ60と第2接続部40との間は、例えば、金属製の配管やフレキシブルなホースにより接続されている。
【0029】
冷却装置1の内部を流れる冷媒は、例えば、不凍液が使用されるが、冷却する対象部品、冷却装置1が搭載される電子機器などに応じて適宜、最適な冷媒が選択されてよい。
【0030】
<冷却装置1の内部構造>
次に、冷却装置1の内部構造について図2図6を用いて説明する。図2は、蓋部20を透過した冷却装置1の構成図である。図3図2に示すA-A断面の部分拡大図である。図4は、図2に示すB-B断面の部分拡大図である。図5は、図2に示すC-C断面の部分拡大図である。図6は、図2に示すD-D断面の部分拡大図である。図2に示すように、冷却装置1は、中間流路11と、冷却部12と、を備えている。
【0031】
(中間流路11)
図2に示すように、中間流路11は、冷却装置1において、後述の冷却部12と接続されている。中間流路11は、第1接続部30側に配置されるとともに、流入口111から流入される冷媒を冷却部12へと送り込むための流路である。
【0032】
流入口111は、中間流路11の軸線S方向(Y方向)における前側に形成されている。流入口111は、第1接続部30から本体部10の内部を通り中間流路11へと繋がっている。流入口111は、上側が開口しており、平面視において略矩形の形状にて形成されている。
【0033】
流入口111は、軸線Sと直交する上下方向(Z方向)において延伸するとともに、軸線Sと直交する左右方向(X方向)において、中間流路11の半径よりも短い幅にて形成されている。流入口111は、下から上に向かう方向へ冷媒を通過させ、中間流路11へと冷媒を送り込む。
【0034】
なお、流入口111の平面視における形状は略矩形に限らず、例えば、楕円であってもよいし、冷媒が流れる形状であれば、その他の形状であってもよい。
【0035】
中間流路11は、流入口111から送り込まれた冷媒の流入方向(Z方向)と交わる交差方向(Y方向)に延伸する流路である。すなわち、冷媒の流入方向における仮想線と交差方向における仮想線との間の角度は90°に限定するものではない。本実施形態における中間流路11は、例えば、流入口111から送り込まれた冷媒の流入方向(Z方向)と直交する方向である軸線S方向(Y方向)に延伸する流路である。
【0036】
また、中間流路11は、軸線Sからの放射方向に対向する面により中間流路11の内面が形成されている。より詳細には、中間流路11は、図3に示すように、断面が円形状となるように形成されている。また、中間流路11は、蓋部20と本体部10とが固定されることにより、断面が円形状となるように形成されている。つまり、中間流路11は蓋部20と本体部10とにより形成されている。
【0037】
なお、中間流路11の断面形状は円形状に限定されない。すなわち、中間流路11は、軸線Sからの放射方向に対向する面により中間流路11の内面が形成されていればよいので、例えば、中間流路11の断面形状が多角形の形状であってもよい。また、中間流路11は、断面が真円ではなく、楕円であってもよい。つまり、流入口111から送り込まれた冷媒が中間流路11の内面に沿って螺旋を描きながら流れる形状であればよい。
【0038】
これにより、第1接続部30から流れてきた冷媒は、本体部10の内部を流れ、流入口111を介して中間流路11へと流れていく。また、中間流路11は、図2に示すように、螺旋流生成部112と、拡散口113と、水受け部114と、を備えている。
【0039】
[螺旋流生成部112]
螺旋流生成部112は、図2の破線枠囲い部分、図3、および図5に示すように、中間流路11における流入口111側に形成されている。螺旋流生成部112は、軸線S方向(Y方向)に幅をもって形成されている。なお、螺旋流生成部112の軸線S方向(Y方向)における幅は、製品ごとに適宜に変更されてよい。
【0040】
螺旋流生成部112は、中間流路11の軸線Sを中心とする内面に沿って冷媒が流れるように形成されている。本実施形態における螺旋流生成部112は、例えば、断面が円形状の流路であり、流入口111から流入される冷媒が中間流路11の軸線Sを中心とする内周面に沿って流れるように形成されている。これにより、螺旋流生成部112は、流入口111から流入される冷媒を図3に示す矢印の方向(時計まわり)に螺旋させ、螺旋流を生成することができる。
【0041】
なお、螺旋流生成部112の断面形状は円形状に限定されない。例えば、螺旋流生成部112の断面形状が多角形の形状であってもよい。また、螺旋流生成部112は、断面が真円ではなく、楕円であってもよい。
【0042】
なお、流入口111から流入される冷媒は、ポンプ50から順次送り込まれている。よって、螺旋流生成部112にて生成された螺旋流は、ポンプ50から送り込まれる冷媒の流れに従い、中間流路11の軸線S方向(Y方向)において、前側から後ろ側へと螺旋を描きながら流れる。
【0043】
[拡散口113]
拡散口113は、図2図4および図5に示すように、前後方向に幅のある形状であり、中間流路11の軸線S方向(Y方向)において、螺旋流生成部112より後ろ側に形成されている。
【0044】
拡散口113は、蓋部20が本体部10に固定されることにより、蓋部20の下面と本体部10の上面(後述の底部122)とにより形成されている。拡散口113は、断面が略矩形の形状に形成されている。
【0045】
より詳細には、拡散口113は、中間流路11の軸線S方向(Y方向)と交わる方向(X方向)において、後述の冷却部12と接続されるとともに、中間流路11から冷却部12へと冷媒を拡散するように形成されている。つまり、拡散口113は、中間流路11において、冷却部12と接続している部分を開口することにより形成されている。
【0046】
なお、本実施形態における拡散口113は、一例として、中間流路11の軸線S方向(Y方向)と直交する方向において、冷却部12と接続されている構成であるが、中間流路11の軸線S方向(Y方向)と交わる方向(X方向)は、中間流路11の軸線S方向(Y方向)と直交する方向、すなわち90°に限定されない。すなわち、拡散口113は、中間流路11から冷却部12へと冷媒を拡散することが可能となるように冷却部12と接続されていればよい。
【0047】
また、図4および図5に示すように、拡散口113の上端113Aは、中間流路11の軸線S方向(Y方向)と直交する上下方向(Z方向)において、中間流路11の上端よりも低い位置に形成されている。また、拡散口113の下端113Bは、中間流路11の軸線Sよりも高い位置に形成されている。これにより、図4に示す矢印T1の方向に螺旋する螺旋流が1回転するごとに、一定量の冷媒が拡散口113から図4に示す矢印T2の方向へと流れだす。
【0048】
[水受け部114]
次に、水受け部114について、図2および図6を用いて説明する。水受け部114は、ポンプ50から順次送り込まれてくる冷媒の流れに従い、中間流路11の軸線S方向(Y方向)において、後ろ側へと螺旋しながら流れる螺旋流の螺旋運動を止める役割を担っている。
【0049】
水受け部114は、図2に示すように、中間流路11の軸線S方向(Y方向)における流入口111側から最も離れた端部における螺旋流の回転方向(図6の矢印T3参照)に対向する位置に設けられている。
【0050】
中間流路11は、水受け部114が形成されている位置においては、断面が略半円形状となるように形成されている。水受け部114の表面は、流線形により形成されている。これにより、螺旋流が水受け部114に当たると、水受け部114の表面に沿って冷媒が拡散口113を介して冷却部12へと流れだす。
【0051】
(冷却部12)
冷却部12は、発熱部品Mが冷却装置1に取り付けられた状態で発熱部品Mから発生する熱を受熱するように構成されている。具体的には、冷却部12を通過する冷媒が発熱部品Mから発生する熱を受熱するとともに、冷却部12を通過する冷媒と熱交換することで、発熱部品Mから受け入れた熱を冷媒に伝達するように構成されている。発熱部品Mから受け入れた熱を冷媒に伝達することにより、発熱部品Mを冷却する。
【0052】
冷却部12は、流入口111と流出口121との間に設けられる。つまり、冷却部12は、流入口111から中間流路11を介して流れてきた冷媒を通過させてから流出口121へと流すように構成されている。より詳細には、冷却部12は、略矩形形状の底部122と、底部122の各辺から上方へ伸びる壁部123と、により区画されている。冷却部12は、底部122と壁部123とにより画定された領域において冷媒を通過させる。
【0053】
冷却部12は、図2および図4に示すように、中間流路11の軸線S方向(Y方向)と直交する上下方向(Z方向)において、底部122から上方向に突出する湾曲面を有する複数のフィン124を備える。フィン124は、発熱部品Mとの熱交換が可能となるように底部122と一体に構成されている。これにより、底部122とフィン124との間において、熱が良好に伝達するようになっている。
【0054】
なお、フィン124は、底部122と一体に構成されているものに限らず、底部122とは別体として、底部122に固定されてもよい。つまり、フィン124と底部122とか一体成型ではなく、それぞれ個別に成形されてもよい。
【0055】
フィン124は、隣り合うフィン124の間に冷媒が流れるように配置されており、フィン124とフィン124との間が冷媒の流れる流路となる。フィン124は上方向に突出する湾曲面を有するため、中間流路11から流れ込む冷媒は、フィン124に当たると湾曲面に沿って複数の方向へ分散される。なお、冷却部12に配置されるフィン124の数は、特に限定されない。つまり、製造される冷却装置1に応じてフィン124の数は異なっていてもよい。
【0056】
冷却部12の上側には、底部122と壁部123とにより画定された領域に対応する開口部を形成している。開口部は蓋部20により塞がれる。これにより、底部122、壁部123および蓋部20の下面により画定された領域を冷媒が通過する。冷却部12を通過した冷媒は、流出口121から第2接続部40を介して、ラジエータ60へと流れていく。
【0057】
<作用効果>
上記の構成によれば、流入口111から流入される冷媒の流入方向(Z方向)と交わる交差方向(Y方向)へ軸線Sを有し、前記軸線Sからの放射方向に対向する面により内面が形成されている中間流路11を備える。また、中間流路11における流入口111側には、螺旋流生成部112を有する。螺旋流生成部112により生成された螺旋流は、流入口111から流入される冷媒の流れに従って中間流路11の内部を軸線S方向(Y方向)における流入口111側から遠ざかる方向、すなわち、前から後ろへ向かって一定の流量を維持して流れる。そして、螺旋流として流れる冷媒は、冷却部12と接続された拡散口113から冷却部12へと流れ込む。これにより、冷媒は中間流路11の内部を一定の流量を維持して流れるため、中間流路11の軸線S方向(Y方向)における距離によって流量が不均一となることを低減することができる。よって、従来よりも冷却性能に優れた冷却装置1の提供を実現することができる。
【0058】
また、上記の構成によれば、中間流路11の断面が円形状に形成される。これにより、中間流路11の内部を螺旋流として流れる冷媒の流量をさらに一定の量に維持し易くなる。よって、中間流路11の軸線S方向における距離によって流量が不均一となることをさらに低減することができる。
【0059】
また、上記の構成によれば、拡散口113の上端113Aは、中間流路11の軸線S方向(Y方向)と直交する上下方向(Z方向)において、中間流路11の上端よりも低い位置に形成される。また、拡散口113の下端113Bは、中間流路11の軸線Sよりも高い位置に形成される。これにより、中間流路11に対する拡散口113の高さが定まる。螺旋流が1回転するごとに冷却部12へ拡散される冷媒の量を調整できる。よって、中間流路11の軸線S方向(Y方向)における流入口111からの距離によって流量が不均一となることを更に低減することができる。
【0060】
また、上記の構成によれば、軸線S方向(Y方向)における流入口111側から最も離れた端部における前記螺旋流の回転方向に対向する位置に流線形の水受け部114を備える。これにより、螺旋流が中間流路11の端部に到達すると、螺旋流を水受け部114にて受け流すことができる。よって、中間流路11の端部まで到達した螺旋流の回転を終了させつつ、中間流路11の端部まで到達した冷媒を冷却部12へと流すことができる。
【0061】
また、上記の構成によれば、冷却部12に流れ込む冷媒がフィン124の湾曲面に接触する。冷媒がフィン124の湾曲面に接触すると、フィン124の湾曲面に沿って冷媒が冷却部12に分散して流れる。これにより、冷却部12において、より広範囲に冷媒を拡散することができる。
【0062】
〔変形例1〕
実施形態において、中間流路11は蓋部20と本体部10とにより形成されているとしているが、これに限られるものではない。例えば、中間流路11は、蓋部20あるいは本体部10とは別の部材により形成されてもよい。すなわち、中間流路11として独立して形成されたものを冷却装置1に設置して、冷却装置1が製造されてもよい。
【0063】
〔変形例2〕
実施形態において、螺旋流生成部112は中間流路11が備えるものとしているが、これに限られるものではない。例えば、螺旋流生成部112は、中間流路11とは別の部材により形成されてもよい。すなわち、螺旋流生成部112として独立して形成されたものを中間流路11に接合させて流路を形成してもよい。
【0064】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1 冷却装置
11 中間流路
12 冷却部
111 流入口
112 螺旋流生成部
113 拡散口
121 流出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6