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特開2023-132293制御装置、スイッチング電源装置、制御方法、制御プログラム、及び記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132293
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】制御装置、スイッチング電源装置、制御方法、制御プログラム、及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
H02M3/28 H
H02M3/28 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037522
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】510123839
【氏名又は名称】ニデックモビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】安藤 正則
(72)【発明者】
【氏名】大元 靖理
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AS01
5H730BB27
5H730BB57
5H730BB61
5H730DD04
5H730EE04
5H730EE07
5H730EE13
5H730EE57
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD11
5H730FF09
5H730FG07
(57)【要約】
【課題】電力変換回路における駆動パルスのスイッチング周波数の変化に対してゲインの応答性を向上させた制御装置を実現する。
【解決手段】制御装置(2)は、測定した出力電圧の値である電圧モニタ値と目標電圧値との偏差に基づいて出力電圧を目標電圧に追従させるための制御量を算出して、制御量を前記スイッチング周波数に換算するフィードバック制御部(6)と、スイッチング周波数で駆動パルスを生成する駆動パルス生成部(8)と、スイッチング周波数と入出力電圧比であるゲインとの対応関係を示したゲイン特性に基づいてスイッチング周波数をスキップさせるか否かを判定するスキップ判定部(7)と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動パルスでスイッチング素子をオンオフ制御することにより、入力電圧を出力電圧に変換する電力変換回路に対して、前記駆動パルスのスイッチング周波数を変更して前記出力電圧を制御する制御装置であって、
測定した前記出力電圧の値である電圧モニタ値と目標電圧値との偏差に基づいて前記出力電圧を前記目標電圧値に追従させるための制御量を算出して、前記制御量を前記スイッチング周波数に換算するフィードバック制御部と、
前記スイッチング周波数で前記駆動パルスを生成する駆動パルス生成部と、
前記スイッチング周波数と入出力電圧比であるゲインとの対応関係を示したゲイン特性に基づいて前記スイッチング周波数をスキップさせるか否かを判定するスキップ判定部と、
を備える、制御装置。
【請求項2】
前記スキップ判定部は、前記スイッチング周波数が、前記ゲイン特性のフラットな周波数帯域内にある場合、スキップ後のスイッチング周波数まで前記スイッチング周波数をスキップさせ、
スキップ後のスイッチング周波数は、前記ゲイン特性がフラットな周波数帯域外にあるあらかじめ定められた周波数である、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記偏差が所定値以上であるか否かを判定する偏差判定部を更に備え、
前記スキップ判定部は、前記偏差が所定値以上である場合には、前記スキップを実行し、前記偏差が所定値未満である場合には、前記スキップを実行しない、請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の制御装置と、
前記電力変換回路と、
を備える、スイッチング電源装置。
【請求項5】
前記電力変換回路は、共振型DC/DCコンバータである、請求項4に記載のスイッチング電源装置。
【請求項6】
前記ゲイン特性を表す情報が記憶された記憶部を更に備え、
前記スキップ判定部は、前記情報に基づいて前記スキップさせるか否かを判定する、請求項4又は5に記載のスイッチング電源装置。
【請求項7】
前記電力変換回路に接続された負荷に応じて前記情報が決定される、請求項6に記載のスイッチング電源装置。
【請求項8】
駆動パルスでスイッチング素子をオンオフ制御することにより、入力電圧を出力電圧に変換する電力変換回路に対して、前記駆動パルスのスイッチング周波数を変更して前記出力電圧を制御する制御方法であって、
測定した前記出力電圧の値である電圧モニタ値と目標電圧値との偏差に基づいて前記出力電圧を前記目標電圧値に追従させるための制御量を算出して、前記制御量を前記スイッチング周波数に換算するフィードバック制御ステップと、
前記スイッチング周波数で前記駆動パルスを生成する駆動パルス生成ステップと、
前記スイッチング周波数と入出力電圧比であるゲインとの対応関係を示したゲイン特性に基づいて前記スイッチング周波数をスキップさせるか否かを判定するスキップ判定ステップと、
を含む、制御方法。
【請求項9】
請求項1に記載の制御装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、前記フィードバック制御部及び前記スキップ判定部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、スイッチング電源装置、制御方法、制御プログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、入力電圧をスイッチングして出力電圧を送出する電力変換部に対して駆動パルスを供給する制御装置が開示されている。この制御装置は、出力電圧の測定値と目標出力電圧との誤差を減少するようなデューティ比と、スイッチング周波数とを算出し、スイッチング周期を変えた駆動パルスを生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-151121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電力変換装置に対して、出力電圧の測定値と目標出力電圧値との誤差を減少させるために、駆動パルスのスイッチング周波数を変えるPFM(Pulse Frequency Modulation)制御の電力変換装置がある。電力変換装置は、駆動パルスのスイッチング周波数を徐々に変更させて出力電圧を目標出力電圧値に追従させている。この電力変換装置において、スイッチング周波数と入出力電圧比であるゲイン(以下、ゲインと称す。)との対応関係を示したゲイン特性(以下、ゲイン特性と称す。)は、スイッチング周波数に対して1つ以上のピークを有する。ピーク近傍では、スイッチング周波数の変化に対してゲインは高速に応答する。しかし、スイッチング周波数がピークから遠ざかるにつれて、スイッチング周波数の変化に対してゲインは高速に応答しなくなる。ゲインが高速に応答しないスイッチング周波数帯域をゲイン特性のフラットな周波数帯域と呼ぶこととする。ゲイン特性のフラットな周波数帯域では、スイッチング周波数を変化させてもゲインはほとんど変化しない。すなわち、駆動パルスのスイッチング周波数を徐々に変化させてもゲイン特性のフラットな周波数帯域では、出力電圧はほとんど変化しない。そのため、スイッチング周波数を徐々に変化させても出力電圧が目標出力電圧値に追従するための応答に時間を要することになる。つまり、電力変換装置には、スイッチング周波数の変化に対してゲインの応答性が低下するという問題がある。
【0005】
本開示の一態様は、電力変換回路におけるゲインの応答性が向上するようにスイッチング周波数を変化させる制御装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の態様1に係る制御装置は、駆動パルスでスイッチング素子をオンオフ制御することにより、入力電圧を出力電圧に変換する電力変換回路に対して、前記駆動パルスのスイッチング周波数を変更して前記出力電圧を制御する制御装置であって、測定した前記出力電圧の値である電圧モニタ値と目標電圧値との偏差に基づいて前記出力電圧を前記目標電圧値に追従させるための制御量を算出して、前記制御量を前記スイッチング周波数に換算するフィードバック制御部と、前記スイッチング周波数で前記駆動パルスを生成する駆動パルス生成部と、前記スイッチング周波数と入出力電圧比であるゲインとの対応関係を示したゲイン特性に基づいて前記スイッチング周波数をスキップさせるか否かを判定するスキップ判定部と、を備える。
【0007】
上記構成によれば、フィードバック制御部は、電力変換回路の出力電圧の値を目標電圧値に追従させるために、出力電圧の値を測定して、測定した電圧モニタ値と目標電圧値との差の偏差に基づいて制御量を算出する。フィードバック制御部は、算出した制御量を駆動パルスのスイッチング周波数に換算する。スキップ判定部は、スイッチング周波数が、ゲイン特性に基づいてスキップする周波数である場合スイッチング周波数をスキップする。スキップ判定部は、当該ゲイン特性に基づいてスイッチング周波数がスキップする周波数でない場合、スイッチング周波数をスキップしない。これにより、制御装置は、電力変換回路におけるゲインの応答性が向上するようにスイッチング周波数を変化させることができる。
【0008】
本開示の態様2に係る制御装置は、態様1において、前記スキップ判定部は、前記スイッチング周波数が、前記ゲイン特性のフラットな周波数帯域内にある場合、スキップ後のスイッチング周波数まで前記スイッチング周波数をスキップさせ、スキップ後のスイッチング周波数は、前記ゲイン特性がフラットな周波数帯域外にあるあらかじめ定められた周波数である。
【0009】
上記構成によれば、スイッチング周波数に対するゲイン特性のフラットな周波数帯域内のスイッチング周波数はスキップ後のスイッチング周波数までスキップさせる。これにより、制御装置は、スイッチング周波数をスキップ後のスイッチング周波数まで変化させることで電力変換回路におけるゲインの応答性を向上させることができる。
【0010】
本開示の態様3に係る制御装置は、態様1又は2において、前記偏差が所定値以上であるか否かを判定する偏差判定部、を更に備え、前記スキップ判定部は、前記偏差が所定値以上である場合には、前記スキップを実行し、前記偏差が所定値未満である場合には、前記スキップを実行しない。
【0011】
上記構成によれば、偏差判定部は、偏差が所定値以上の場合、駆動パルスのスイッチング周波数をスキップさせ、偏差が所定値未満の場合、駆動パルスのスイッチング周波数をスキップさせない。これにより、制御装置は、偏差が所定値以上である場合には、スイッチング周波数をスキップさせることで出力電圧を高速に応答させることができる。しかし、制御装置は、偏差が所定値未満の場合に、スイッチング周波数をスキップさせると、出力電圧の変化量が大きくなるので、出力電圧の分解能が低下し、出力電圧の微調整ができなくなる。そのため、制御装置は、偏差が所定値未満の場合には、出力電圧を高速に応答させる必要がないためスイッチング周波数をスキップさせないようにした。これにより、制御装置は、スイッチング周波数のスキップによる出力電圧の分解能の低下を低減することができる。
【0012】
本開示の態様4に係るスイッチング電源装置は、態様1から態様3のいずれかの制御装置と、前記電力変換回路と、を備える。
【0013】
上記構成によれば、スイッチング電源装置は、制御装置と電力変換回路とを備える。これにより、スイッチング電源装置は、電力変換回路におけるゲインの応答性が向上するようにスイッチング周波数を変化させることができる。
【0014】
本開示の態様5に係るスイッチング電源装置は、態様4において、前記電力変換回路は、共振型DC/DCコンバータである。
【0015】
上記構成によれば、電力変換回路は、共振型DC/DCコンバータである。これにより、スイッチング電源装置は、共振型DC/DCコンバータを用いて、電力変換回路におけるゲインの応答性が向上するようにスイッチング周波数を変化させることができる。
【0016】
本開示の態様6に係るスイッチング電源装置は、態様4又は態様5において、前記ゲイン特性を表す情報が記憶された記憶部を更に備え、前記スキップ判定部は、前記情報に基づいて前記スキップするか否かを判定する。
【0017】
上記構成によれば、スイッチング電源装置は、記憶部にあらかじめスイッチング周波数に対するゲイン特性を表す情報を記憶しておく。スキップ判定部は、ゲイン特性を表す情報からスイッチング周波数をスキップするか否かを判定する。これにより、制御装置は、記憶部からゲイン特性を表す情報に基づいて、スキップ判定するか否かを判定することができる。
【0018】
本開示の態様7に係るスイッチング電源装置は、態様6において、前記電力変換回路に接続された負荷に応じて前記情報が決定される。
【0019】
上記構成によれば、スイッチング電源装置は、電力変換回路に接続された負荷によりスイッチング周波数に対するゲイン特性を表す情報が決定される。スキップ判定部は、負荷に応じたゲイン特性を表す情報を取得して、スイッチング周波数のスキップ判定を行う。これにより、制御装置は、様々な負荷に対応することができる。
【0020】
本開示の態様8に係る制御方法は、駆動パルスでスイッチング素子をオンオフ制御することにより、入力電圧を出力電圧に変換する電力変換回路に対して、前記駆動パルスのスイッチング周波数を変更して前記出力電圧を制御する制御方法であって、測定した前記出力電圧の値である電圧モニタ値と目標電圧値との偏差に基づいて前記出力電圧を前記目標電圧値に追従させるための制御量を算出して、前記制御量を前記スイッチング周波数に換算するフィードバック制御ステップと、前記スイッチング周波数で前記駆動パルスを生成する駆動パルス生成ステップと、前記スイッチング周波数と入出力電圧比であるゲインとの対応関係を示したゲイン特性に基づいて前記スイッチング周波数をスキップさせるか否かを判定するスキップ判定ステップと、を含む。
【0021】
上記構成によれば、フィードバック制御ステップは、電力変換回路の出力電圧の値を目標電圧値に追従させるために、出力電圧の値を測定して電圧モニタ値と目標電圧値との偏差に基づいて制御量を算出する。フィードバック制御ステップは、算出した制御量を駆動パルスのスイッチング周波数に換算する。スキップ判定ステップは、スイッチング周波数が、ゲイン特性に基づいてスキップする周波数である場合、スイッチング周波数をスキップさせる。スキップ判定ステップは、スイッチング周波数が当該ゲイン特性に基づいてスキップする周波数でない場合、スイッチング周波数をスキップさせない。これにより、制御方法は、電力変換回路におけるゲインの応答性が向上するようにスイッチング周波数を変化させることができる。
【0022】
本開示の態様9に係る制御プログラムは、態様1の制御装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、前記フィードバック制御部及び前記スキップ判定部としてコンピュータを機能させる。
【0023】
上記構成によれば、制御プログラムの実行によりコンピュータをフィードバック制御部及びスキップ判定部として機能させることができる。
【0024】
本開示の態様10に係る記録媒体は、態様9の制御プログラムを記録し、コンピュータ読み取り可能である。
【0025】
上記構成によれば、記録媒体に制御プログラムが記録される。これにより、記録媒体により制御プログラムをコンピュータ上で実行可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本開示の一態様によれば、制御装置は、電力変換回路におけるゲインの応答性が向上するようにスイッチング周波数を変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本開示の実施形態1に係るスイッチング電源装置の構成図である。
図2】従来のスイッチング電源装置のスイッチング周波数に対するゲイン特性である。
図3】従来のスイッチング電源装置の入力電圧、出力電圧、及びスイッチング周波数のタイムチャートである。
図4】本開示の実施形態1に係るスイッチング電源装置のスイッチング周波数に対するゲイン特性である。
図5】本開示の実施形態1に係るスイッチング電源装置の入力電圧、出力電圧、及びスイッチング周波数のタイムチャートである。
図6】本開示の実施形態1に係るスイッチング電源装置のブロック図である。
図7】本開示の実施形態1に係るスイッチング電源装置のブロック図である。
図8】本開示の実施形態1に係るスイッチング周波数制御のフローチャートである。
図9】本開示の実施形地1に係るスイッチング電源装置のスイッチング周波数に対するゲイン特性である。
図10】本開示の実施形態1に係るスイッチング電源装置のスイッチング周波数に対するゲインテーブルである。
図11】本開示の実施形態1の変形例に係るスイッチング電源装置の構成図である。
図12】本開示の実施形態2に係るスイッチング電源装置のブロック図である。
図13】本開示の実施形態2に係るスイッチング周波数制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔実施形態1〕
以下、本開示の一実施形態について、詳細に説明する。
【0029】
<スイッチング電源装置1の構成>
図1は、実施形態1に係るスイッチング電源装置1の構成図である。スイッチング電源装置1は、例えば電気自動車に搭載されるDC/DCコンバータである。スイッチング電源装置1は、図示しないバッテリから直流電流Iinが供給される。スイッチング電源装置1は、入力電圧Vinを出力電圧Voutに変換して図示しない負荷に出力電流Ioutを供給する。スイッチング電源装置1は、制御装置2と、電力変換回路3と、モニタ回路4と、目標電圧算出部5と、記憶部9とを備える。
【0030】
モニタ回路4は、出力電圧Voutを監視する回路である。モニタ回路4は、電力変換回路3の出力電圧Voutを少なくとも1回以上測定する。モニタ回路4は、測定した出力電圧Voutの値をデジタル値に変換して電圧モニタ値Vmoを生成する。モニタ回路4は、電圧モニタ値Vmoを制御装置2に送信する。
【0031】
目標電圧算出部5は、出力電圧Voutに対する目標電圧値Vdを算出する。目標電圧値Vdは、出力電圧Voutの目標値である。スイッチング電源装置1は、目標電圧値Vdに追従するように出力電圧Voutを制御する。目標電圧算出部5は、目標電圧値Vdを制御装置2に送信する。
【0032】
電力変換回路3は、入力電圧Vinを出力電圧Voutに変換する回路である。電力変換回路3は、LLC共振型DC/DCコンバータである。
【0033】
電力変換回路3は、第1FETQ1と、第2FETQ2と、第3FETQ3と、第4FETQ4と、コンデンサCrと、コイルLrと、トランスTRと、第1ダイオードD1と、第2ダイオードD2と、第3ダイオードD3と、第4ダイオードD4と、コンデンサCOUTとを備える。なお、コイルLrには、トランスTRの漏れインダクタンスを用いてもよい。
【0034】
トランスTRは、1次側巻線LR1と、2次側巻線LR2とを備える。コイルLmは、トランスTRの励磁インダクタンスである。
【0035】
第1FETQ1、第2FETQ2、第3FETQ3、及び第4FETQ4は、それぞれ制御装置2から出力される第1制御信号S1、第2制御信号S2、第3制御信号S3、及び第4制御信号S4により、図示しないバッテリから供給された直流電流Iinを交流電流に変換する。
【0036】
コンデンサCrと、コイルLrと、コイルLmは、共振回路を形成する。共振回路により、電力変換回路3は、コンデンサCrとコイルLrによる共振周波数を有する。更に電力変換回路3は、コイルLrのインダクタンスとコイルLmのインダクタンスの和、及びコンデンサCrによる共振周波数を有する。コイルLrのインダクタンスとコイルLmのインダクタンスの和は、負荷に対して変動する。
【0037】
トランスTRは、1次側と2次側との間の電磁誘導により交流電流から誘導起電力による電流を生成する。1次側には、1次側巻線LR1が配置されている。2次側には2次側巻線LR2が配置されている。
【0038】
第1ダイオードD1、第2ダイオードD2、第3ダイオードD3、及び第4ダイオードD4は、誘導起電力による電流を整流した電流に変換する。
【0039】
コンデンサCOUTは、整流した電流を平滑して出力電流Ioutを生成する。出力電流Ioutは、図示しない負荷に供給される。また端子Tcと端子Tdとの間には、出力電圧Voutが発生する。
【0040】
第1FETQ1のゲートは、制御装置2と接続し第1制御信号S1が入力される。第1FETQ1のドレインは、第2FETQ2のソース及び1次側巻線LR1の一端に接続される。第1FETQ1のソースは、端子Tbに接続される。第2FETQ2のゲートは、制御装置2と接続し第2制御信号S2が入力される。第2FETQ2のドレインは、端子Ta及び第4FETQ4のドレインと接続される。第3FETQ3のゲートは、制御装置2と接続し第3制御信号S3が入力される。第3FETQ3のドレインは、第4FETQ4のソース及びコンデンサCrの一端に接続される。第3FETQ3のソースは、端子Tbに接続される。第4FETQ4のゲートは、制御装置2と接続し第4制御信号S4が入力される。第4FETQ4のドレインは、端子Taに接続される。
【0041】
コンデンサCrの他端は、コイルLrの一端と接続される。コイルLrの他端は、1次側巻線LR1の他端に接続される。コイルLmは、1次側巻線LR1と並列に接続される。
【0042】
2次側巻線LR2の一端は、第1ダイオードD1のカソードと第3ダイオードD3のアノードに接続される。2次側巻線LR2の他端は、第2ダイオードD2のカソードと第4ダイオードD4のアノードと接続される。第3ダイオードD3のカソードと第4ダイオードD4のカソードは、端子Tcに接続される。第1ダイオードD1のアノードと第2ダイオードD2のアノードは、端子Tdに接続される。コンデンサCOUTの一端は、端子Tcに接続される。コンデンサCOUTの他端は、端子Tdに接続される。
【0043】
端子Tcと端子Tdには、図示しない負荷が接続される。
【0044】
例えば、第1FETQ1、第2FETQ2、第3FETQ3、及び第4FETQ4は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であるが、スイッチング素子あれば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、又はバイポーラトランジスタであってもよい。
【0045】
以下の説明において、第1FETQ1、第2FETQ2、第3FETQ3、及び第4FETQ4のいずれか一つのみ取り上げて説明する場合、第1FETQ1、第2FETQ2、第3FETQ3、及び第4FETQ4を、スイッチング素子と称する。
【0046】
例えば、スイッチング素子のドレイン-ソース間が導通のときをスイッチング素子がオンであり、スイッチング素子のドレイン-ソース間が不導通のときをスイッチング素子がオフである。
【0047】
記憶部9は、後述するスイッチング周波数に対するゲイン特性を表す情報と、後述するスキップ後のスイッチング周波数を表す情報が記憶されている。制御装置2は、記憶部9から当該情報を取得する。
【0048】
制御装置2は、第1FETQ1のドレイン-ソース間の導通又は不導通を第1制御信号S1により制御し、第2FETQ2のドレイン-ソース間の導通又は不導通を第2制御信号S2により制御し、第3FETQ3のドレイン-ソース間の導通又は不導通を第3制御信号S3により制御し、第4FETQ4のドレイン-ソース間の導通又は不導通を第4制御信号S4により制御する。以下の説明において、第1制御信号S1、第2制御信号S2、第3制御信号S3、及び第4制御信号S4のうちのいずれか一つを取り上げて説明する場合、第1制御信号S1、第2制御信号S2、第3制御信号S3、及び第4制御信号S4を、駆動パルスと称する。
【0049】
制御装置2は、モニタ回路4から電圧モニタ値Vmoを取得する。制御装置2は、目標電圧算出部5から目標電圧値Vdを取得する。制御装置2は、記憶部9から情報を取得する。制御装置2は、目標電圧値Vdと、電圧モニタ値Vmoと、記憶部9から取得した情報とに基づいて駆動パルスのスイッチング周波数を制御する。
【0050】
駆動パルスは、例えば、PFM(Pulse Frequency Modulation)信号である。
【0051】
<スイッチング周波数制御>
図2は、従来のスイッチング電源装置のスイッチング周波数に対するゲイン特性とスイッチング周波数制御を示した図である。図3は、従来のスイッチング電源装置の入力電圧と、従来のスイッチング電源装置の出力電圧と、従来のスイッチング電源装置の制御信号のスイッチング周波数とを比較したタイムチャートである。
【0052】
図3に示すように、従来のスイッチング電源装置の入力電圧が低下した場合、出力電圧は低下する。従来のスイッチング電源装置は、出力電圧を目標電圧値Vdに追従させるために、図2に示された矢印のとおり、駆動パルスのスイッチング周波数を減少させる制御を行う。
【0053】
(1)の状態では、入力電圧が低下し、その結果出力電圧が低下する。このとき、駆動パルスのスイッチング周波数は、190kHzである。
【0054】
(2)の状態では、入力電圧は低下後の値を維持し、出力電圧は低下後の値を維持している。このとき、駆動パルスのスイッチング周波数は、120kHzである。
【0055】
(3)の状態では、入力電圧は低下後の値を維持し、出力電圧は目標電圧値Vdである。このとき、駆動パルスのスイッチング周波数は、85kHzである。
【0056】
従来のスイッチング電源装置のスイッチング周波数制御において、(1)の状態から(2)の状態まで移行する場合、すなわち時間t1から時間t2までの間、制御装置は、駆動パルスのスイッチング周波数を、190kHzから120kHzまで徐々に減少させる。このとき、図2に示すように、(1)の状態から(2)の状態までの間、ゲインはほぼ一定であるため、出力電圧は変動しない。これは、120kHzから190kHzまでの周波数帯域では、ゲイン特性がフラットであるためである。
【0057】
フラットな周波数帯域とは、ゲインが特定の周波数帯域でほぼ変動がないことをいう。例えば、図2においてフラットな周波数帯域は、120kHzから190kHzまでの周波数帯域である。
【0058】
従来のスイッチング周波数制御において、(2)の状態から(3)の状態まで移行する場合、すなわち時間t2から時間t3までの間、制御装置は、駆動パルスのスイッチング周波数を、120kHzから85kHzまで徐々に減少させる。このとき、図2に示すように、(2)の状態から(3)の状態までの間、ゲインは、上昇するため、出力電圧は上昇する。出力電圧が目標電圧値Vdに到達した時点からスイッチング周波数は一定となる。
【0059】
従来のスイッチング電源装置は、図2に示すゲイン特性に基づいて、出力電圧が目標電圧値Vdに追従するように(1)の状態から(3)の状態までスイッチング周波数を徐々に変化させる。(1)の状態から(3)の状態までの時間を応答時間R1とする。応答時間R1の間に従来のスイッチング電源装置は、入力電圧の変動による出力電圧の変動を出力電圧の目標電圧値Vdに戻るまでスイッチング周波数制御を行う。
【0060】
図4は、実施形態1に係るスイッチング電源装置1のスイッチング周波数に対するゲイン特性とスイッチング周波数制御を示した図である。図5は、実施形態1に係るスイッチング電源装置1の入力電圧Vinと、スイッチング電源装置1の出力電圧Voutと、スイッチング電源装置1の駆動パルスのスイッチング周波数とを比較したタイムチャートである。
【0061】
図5に示すように、スイッチング電源装置1の入力電圧Vinが低下した場合、出力電圧Voutは低下する。スイッチング電源装置1は、出力電圧Voutを目標電圧値Vdに追従させるために、図4に示される矢印のとおり、駆動パルスのスイッチング周波数を減少させる制御を行う。
【0062】
(1)の状態では、入力電圧Vinが低下し、その結果出力電圧Voutは低下する。このとき、駆動パルスのスイッチング周波数は、190kHzである。
【0063】
(2)の状態では、入力電圧Vinは低下後の値を維持し、出力電圧Voutは低下後の値を維持している。このとき、駆動パルスのスイッチング周波数は、120kHzである。
【0064】
(3)の状態では、入力電圧Vinは低下後の値を維持し、出力電圧Voutは目標電圧値Vdである。このとき、駆動パルスのスイッチング周波数は、85kHzである。
【0065】
スイッチング電源装置1のスイッチング周波数制御においては、制御装置2は、(1)の状態から(2)の状態へ、瞬時に移行する制御を行う。すなわち、時間t4のとき、入力電圧Vinは低下する。出力電圧Voutは、低下する。このときのスイッチング周波数は190kHzであるが、スイッチング周波数を、120kHzまで瞬時にスキップさせる。スキップさせる範囲は、図4においては矢印が点線で示されている(1)の状態から(2)の状態までである。
【0066】
(2)の状態から(3)の状態に移行する場合、すなわち時間t4から時間t5までの間、制御装置2は、駆動パルスのスイッチング周波数を、120kHzから85kHzまで徐々に減少させる。このとき、図4に示すように、(2)の状態から(3)の状態までの間、ゲインは、上昇するため、出力電圧Voutは上昇する。出力電圧Voutが目標電圧値Vdに到達した時点から制御装置2は、スイッチング周波数を一定とする制御を行う。
【0067】
スイッチング電源装置1は、図4に示すスイッチング周波数に対するゲイン特性に基づいて、出力電圧Voutが目標電圧値Vdに追従するように、(1)の状態から(2)の状態までスイッチング周波数をスキップさせ、(2)の状態から(3)の状態までは、スイッチング周波数を徐々に減少させる制御を行う。(1)の状態のから(3)状態の時間を応答時間R2とする。従来のスイッチング電源装置のスイッチング周波数制御の応答時間R1と比較してスイッチング電源装置1のスイッチング周波数制御の応答時間R2は短くなっている。
【0068】
このように、従来のスイッチング電源装置とスイッチング電源装置1は、駆動パルスのスイッチング周波数に対してゲイン特性のフラットな周波数帯域が存在する。例えば、図2及び図4に示すゲイン特性において、(1)の状態から(2)の状態までの周波数帯域である。このゲイン特性がフラットな周波数帯域では、スイッチング周波数を変化させてもゲインはほぼ変化しない。そこで、スイッチング電源装置1は、ゲイン特性のフラットな周波数帯域では、スイッチング周波数をスキップさせて、スキップ後のスイッチング周波数から徐々にスイッチング周波数を変化させる制御を行う。
【0069】
スキップ後のスイッチング周波数とは、ゲイン特性のフラットな周波数帯域外のあらかじめ定められた周波数であり、スイッチング周波数をスキップさせた直後のスイッチング周波数をいう。例えば、スキップ後のスイッチング周波数は、図4に示される(2)の状態のときのスイッチング周波数で、120kHzである。
【0070】
また、従来のスイッチング電源装置の応答時間R1と比較してスイッチング電源装置1の応答時間R2は短くなる。スイッチング電源装置1は、電力変換回路における駆動パルスのスイッチング周波数の変化に対してゲインが変化するため、スイッチング周波数をスキップさせることでゲインの応答性を向上させることができる。
【0071】
<制御装置2のブロック図>
図6は、制御装置2のブロック図である。制御装置2は、フィードバック制御部6と、スキップ判定部7と、駆動パルス生成部8とを含む。
【0072】
フィードバック制御部6は、モニタ回路4から電圧モニタ値Vmoを取得する。フィードバック制御部6は、目標電圧算出部5から目標電圧値Vdを取得する。フィードバック制御部6は、目標電圧値Vdと電圧モニタ値Vmoとの偏差を算出する。そして、フィードバック制御部6は、偏差がゼロとなるような制御量を算出する。フィードバック制御部6は、算出した制御量をスイッチング周波数に換算する。
フィードバック制御部6は、制御装置2に含まれるプロセッサ(図示せず)が、制御装置2に含まれるメモリ(図示せず)に記憶されるプログラムを実行することで実現される。
【0073】
スキップ判定部7は、記憶部9からスイッチング周波数に対するゲイン特性を表す情報と、スキップ後のスイッチング周波数を表す情報を取得する。スキップ判定部7は、フィードバック制御部6からスイッチング周波数を取得する。
【0074】
スキップ判定部7は、フィードバック制御部6から取得したスイッチング周波数がゲイン特性のフラットな周波数帯域内にあった場合、スキップ判定部7が記憶部9から取得したスキップ後のスイッチング周波数にスイッチング周波数をスキップさせると判定する。そしてスキップ判定部7は、スイッチング周波数をスキップ後のスイッチング周波数に書き換えを行う。ここで、スキップ後のスイッチング周波数は、新たなスイッチング周波数として書き換えられる。スキップ判定部7は、新たなスイッチング周波数で駆動パルスを生成するよう駆動パルス生成部8に指示を行う。また、スキップ判定部7は、書き換えたスキップ後のスイッチング周波数をフィードバック制御部6に送信して、書き換えたスキップ後のスイッチング周波数を新たなスイッチング周波数として書き換えを行う。
【0075】
スキップ判定部7は、フィードバック制御部6から取得したスイッチング周波数がゲイン特性のフラットな周波数帯域内になかった場合、スイッチング周波数のスキップさせないと判定する。そして、スキップ判定部7は、駆動パルス生成部8にスイッチング周波数で駆動パルスを生成する指示を行う。
スキップ判定部7は、制御装置2に含まれる上記プロセッサが、制御装置2に含まれる上記メモリに記憶されるプログラムを実行することで実現される。
【0076】
駆動パルス生成部8は、スイッチング周波数で駆動パルスを生成する。駆動パルス生成部8は、駆動パルスを電力変換回路3に送信する。
駆動パルス生成部8は、制御装置2に含まれるマイコンによって実現される。
【0077】
図7は、制御装置2の詳細なブロック図である。
【0078】
フィードバック制御部6は、加え合せ点61と、位相補償器62とを含む。
【0079】
スキップ判定部7は、スイッチング周波数のスキップ判定部71と、スキップ後のスイッチング周波数取得部72と、切り替え部73とを含む。第1切り替え部73は、ポートT1と、ポートT2と、ポートT3とを含む。
【0080】
加え合せ点61は、目標電圧値Vdと電圧モニタ値Vmoを取得し偏差を算出して、位相補償器62に偏差を送信する。
【0081】
位相補償器62は、偏差に基づいて制御量を算出し、スイッチング周波数に換算する。
【0082】
スイッチング周波数のスキップ判定部71は、記憶部9からゲイン特性を表す情報を取得する。スイッチング周波数のスキップ判定部71はゲイン特性を表す情報に基づいてスキップ判定を行う。スキップ判定の結果スキップなしの判定の場合は、第1切り替え部73のポートT1とポートT3が接続される。スキップ判定の結果スキップありの判定の場合は、第1切り替え部73でポートT2とポートT3が接続される。また、スキップありの判定の場合、スキップ後のスイッチング周波数取得部72は、記憶部9からスキップ後のスイッチング周波数を表す情報を取得する。そして、スキップ後のスイッチング周波数取得部72は、スキップ後のスイッチング周波数で駆動パルスを生成するように駆動パルス生成部8に指示する。また、スキップ後のスイッチング周波数取得部72は、位相補償器62にスイッチング周波数をスキップ後のスイッチング周波数に書き換えを行うように指示する。
【0083】
フィードバック制御部6は、電力変換回路3の出力電圧Voutを目標電圧値Vdに追従させるために、出力電圧Voutを測定して目標電圧値Vdとの偏差に基づいて制御量を算出する。フィードバック制御部6は、算出した制御量を駆動パルスのスイッチング周波数に換算する。スキップ判定部7は、スイッチング周波数が、スイッチング周波数に対するゲイン特性に基づいてスキップ後のスイッチング周波数までスキップする周波数である場合スイッチング周波数をスキップする。スキップ判定部7は、スイッチング周波数が当該ゲイン特性に基づいてスキップ後のスイッチング周波数までスキップする周波数でない場合、スイッチング周波数をスキップしない。これにより、制御装置2は、電力変換回路3における駆動パルスのスイッチング周波数の変化に対してゲインが変化するため、スイッチング周波数をスキップ後のスイッチング周波数までスキップさせることでゲインの応答性を向上させることができる。
【0084】
<スイッチング周波数制御処理>
図8は実施形態1に係るスイッチング電源装置1のスイッチング周波数制御のフローチャートである。
【0085】
スイッチング電源装置1に負荷が接続され、バッテリから入力電圧Vinの電力が供給されるとスイッチング周波数制御を開始する。
【0086】
ステップ101:制御装置2は、目標電圧算出部5から目標電圧値Vdを取得する。次にステップ102に進む。
【0087】
ステップ102:制御装置2は、モニタ回路4から電圧モニタ値Vmoを取得する。次にステップ103に進む。
【0088】
ステップ103:制御装置2は、目標電圧値Vdと電圧モニタ値Vmoの偏差から制御量を算出する。次にステップ104に進む。
【0089】
ステップ104:制御装置2は、制御量をスイッチング周波数に換算する。次にステップ105に進む。
【0090】
ステップ105:制御装置2は、スイッチング周波数がゲイン特性のフラットな周波数帯域内にあるかを記憶部9に記憶されているゲイン特性を表す情報に基づき判断する。スイッチング周波数がゲイン特性のフラットな周波数帯域内にある場合(ステップS105でYes)、ステップS106に進む。それ以外の場合(ステップS105でNo)、ステップS107に進む。
【0091】
ステップS106:制御装置2は、スイッチング周波数をスキップ後のスイッチング周波数に書き換えを行う。次にステップS107に進む。
【0092】
ステップS107:制御装置2は、スイッチング周波数で駆動パルスを生成する。次にステップS108に進む。
【0093】
ステップS108:制御装置2は、スイッチング素子のオンオフ制御を終了するかを判断する。オンオフ制御を終了する場合(ステップS108でYes)、ステップS109に進む。それ以外の場合(ステップS108でNo)、ステップS101に戻る。
【0094】
ステップS109:制御装置2は、駆動パルスの生成を停止する。これで処理を終了する。
【0095】
図9は、スイッチング電源装置1のスイッチング周波数に対するゲイン特性である。図9に示すように、スイッチング電源装置1に接続された負荷αから負荷γのそれぞれの場合のスイッチング周波数に対するゲイン特性を示している。負荷αは、負荷βと比較して重負荷である。負荷βは、負荷γと比較して重負荷である。重負荷であるほどゲイン特性のピーク時におけるスイッチング周波数は高くなる。従って、負荷に応じてスイッチング電源装置1のゲイン特性のフラットな周波数帯域は変わるので、スキップ後のスイッチング周波数は負荷に応じて決定される。
【0096】
図10は、スイッチング電源装置1のスイッチング周波数に対するゲイン特性テーブルTBである。ゲイン特性テーブルTBは、負荷αから負荷γまでのスイッチング周波数に対するゲイン特性を表にしたものである。ゲイン特性テーブルTBaは、負荷αのスイッチング周波数に対するゲイン特性の表である。ゲイン特性テーブルTBbは、負荷βのスイッチング周波数に対するゲイン特性の表である。ゲイン特性テーブルTBcは、負荷γのスイッチング周波数に対するゲイン特性の表である。
【0097】
記憶部9には、スイッチング周波数に対するゲイン特性テーブルTBが記憶される。制御装置2は、ゲイン特性テーブルTBを表す情報に基づいてスキップ判定を行う。
【0098】
また、制御装置2は、下記式(1)に基づいてゲインを算出することができる。
【0099】
g=y(f、i)・・・(1)
fは、スイッチング周波数である。iは負荷に流れる負荷電流値である。gはゲインである。ゲインは、スイッチング周波数と負荷電流値の関数から求められる。例えば、関数は、指数関数であってもよいし、双曲線関数であってもよい。また、関数は、指数関数と双曲線関数の合成関数であってもよいし、多項式関数などを用いてもよい。
【0100】
記憶部9には、式(1)を表す情報が記憶される。制御装置2は、式(1)を表す情報に基づいてスキップ判定を行う。
【0101】
〔実施形態1の変形例〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0102】
図11は、実施形態1の変形例に係るスイッチング電源装置1Aである。スイッチング電源装置1Aは、電力変換回路3Aを備える。電力変換回路3Aは、CLLC共振型DC/DCコンバータである。また例えば、電力変換回路3Aは、周波数制御されるコンバータであればCLLC共振型DC/DCコンバータ以外でも用いることができる。
【0103】
電力変換回路3Aは、双方向で電圧の変換が可能である。すなわち、図示しないバッテリが端子TaAと端子TbA間に接続されている場合には、バッテリの入力電圧Vinは、電力変換回路3Aで電圧変換されて端子TcAと端子TdA間に出力電圧Voutを発生させる。バッテリが端子TcAと端子TdA間に接続されている場合には、バッテリの入力電圧は、電力変換回路3Aで電圧変換されて端子TaAと端子TbA間に出力電圧を発生させる。これにより、スイッチング電源装置1Aは、CLLC共振DC/DCコンバータにより、電力変換回路3Aにおけるゲインの応答性が向上するようにスイッチング周波数を変化させることができる。
【0104】
〔実施形態2〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0105】
図12は、実施形態2に係るスイッチング電源装置1Bのブロック図である。スイッチング電源装置1Bの制御装置2Bは、偏差判定部10Bを更に含む。
【0106】
偏差判定部10Bは、偏差の大小判定部101Bと第2切り替え部102Bを含む。第2切り替え部102Bは、ポートT4Bと、ポートT5Bと、ポートT6Bとを含む。偏差の大小判定部101Bでは、目標電圧値Vdと電圧モニタ値Vmoの偏差の大小を判定する。偏差の大小判定部101Bは、偏差が所定値以上の場合、偏差が大きいと判定する。一方、偏差の大小判定部101Bは、偏差が所定値未満の場合、偏差が小さいと判定する。
【0107】
第2切り替え部101Bは、偏差が小さいと判定したときは、ポートT4BとポートT6Bが接続される。このとき、位相補償器62からのスイッチング周波数で駆動パルスを生成する指示が駆動パルス生成部8になされる。一方、第2切り替え92Bは、偏差が大きいと判定したときは、ポートT5BとポートT6Bが接続される。このとき、位相補償器62からのスイッチング周波数はスキップ判定部7においてスイッチング周波数のスキップ判定がなされる。
【0108】
残りの処理は、実施形態1と同じであるので、説明を省略する。
【0109】
図13は、実施形態2に係るスイッチング電源装置1Bのスイッチング周波数制御処理のフローチャートを示す。
【0110】
ここで、ステップ201からステップS204は、実施形態1と同様であるのでここでは、説明を省略する。
【0111】
ステップS205:制御装置2Bは、目標電圧値Vdと電圧モニタ値Vmoの偏差が所定値以上かを判定する。偏差が所定値以上であると判定した場合(ステップS205でYes)、ステップS206に進む。それ以外の場合(ステップS205でNo)、ステップS208に進む。
【0112】
ここで、ステップS206からステップS210は、実施形態1と同様であるのでここでは、説明を省略する。
【0113】
偏差判定部10Bは、偏差が所定値以上である場合には、スキップ判定部7にスイッチング周波数をスキップさせるか否かを判定させるよう指示する。これにより、スイッチング電源装置1Bは、出力電圧を高速に応答させることができる。一方、偏差判定部10Bは、偏差が所定値未満である場合には、スキップ判定部7にスキップするか否か判定させずに、駆動パルス生成部8にスイッチング周波数で駆動パルスを生成するよう指示する。スキップ判定部7がスイッチング周波数をスキップさせると出力電圧の変化量は大きくなる。これにより、出力電圧の分解能が低下するので、出力電圧の微調整ができなくなるからである。そのため、制御装置2Bは、偏差が所定値未満である場合には、出力電圧を高速に応答させる必要がないためスイッチング周波数をスキップさせないようにした。これにより、スイッチング電源装置1Bは、スイッチング周波数をスキップさせることによる出力電圧の分解能の低下を低減することができる。
【0114】
〔ソフトウェアによる実現例〕
制御装置2(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に、フィードバック制御部6およびスキップ判定部7)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0115】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0116】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0117】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0118】
1、1A,1B スイッチング電源装置
2、2A、2B 制御装置
3 電力変換回路
4 モニタ回路
5 目標電圧算出部
6 フィードバック制御部
7 スキップ判定部
8 駆動パルス生成部
9 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13