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特開2023-132302固体撮像装置、電子機器、および固体撮像装置の製造方法
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  • 特開-固体撮像装置、電子機器、および固体撮像装置の製造方法 図1
  • 特開-固体撮像装置、電子機器、および固体撮像装置の製造方法 図2
  • 特開-固体撮像装置、電子機器、および固体撮像装置の製造方法 図3
  • 特開-固体撮像装置、電子機器、および固体撮像装置の製造方法 図4
  • 特開-固体撮像装置、電子機器、および固体撮像装置の製造方法 図5A
  • 特開-固体撮像装置、電子機器、および固体撮像装置の製造方法 図5B
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  • 特開-固体撮像装置、電子機器、および固体撮像装置の製造方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132302
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】固体撮像装置、電子機器、および固体撮像装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20230914BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20230914BHJP
   H04N 25/13 20230101ALI20230914BHJP
【FI】
H01L27/146 D
G02B5/22
H04N9/07 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037532
(22)【出願日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】渕田 圭介
【テーマコード(参考)】
2H148
4M118
5C065
【Fターム(参考)】
2H148CA01
2H148CA09
2H148CA14
2H148CA17
2H148CA24
4M118AA01
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA09
4M118CA02
4M118FA08
4M118GB03
4M118GB09
4M118GB11
4M118GC08
4M118GC11
4M118GC14
4M118GC20
4M118GD03
4M118HA02
5C065BB42
5C065CC01
5C065DD01
5C065EE10
5C065EE16
(57)【要約】
【課題】小型で低コストかつ高感度な固体撮像装置、電子機器、および固体撮像装置の製造方法を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る固体撮像装置は、主面を有する基板と、前記主面に配置され、近赤外光を検出する近赤外光用フォトダイオードと、前記近赤外光用フォトダイオードの上に配置され、可視光を除去するRGB積層フィルタと、を備える。前記RGB積層フィルタは、赤色の光を透過する第1赤色フィルタと、緑色の光を透過する第1緑色フィルタと、青色の光を透過する第1青色フィルタとが、任意の順序で積層されたものとして構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する基板と、
前記主面に配置され、近赤外光を検出する近赤外光用フォトダイオードと、
前記近赤外光用フォトダイオードの上に配置され、可視光を除去するRGB積層フィルタと、を備え、
前記RGB積層フィルタは、赤色の光を透過する第1赤色フィルタと、緑色の光を透過する第1緑色フィルタと、青色の光を透過する第1青色フィルタとが、任意の順序で積層されたものとして構成されている、固体撮像装置。
【請求項2】
前記基板の前記主面に配置され、赤色の光を検出する赤色光用フォトダイオードと、
前記主面に配置され、緑色の光を検出する緑色光用フォトダイオードと、
前記主面に配置され、青色の光を検出する青色光用フォトダイオードと、
前記赤色光用フォトダイオード、前記緑色光用フォトダイオードおよび前記青色光用フォトダイオードに向かう近赤外光を除去する近赤外光カットフィルタと、
前記赤色光用フォトダイオードに向かう赤色の光を透過する第2赤色フィルタと、
前記緑色光用フォトダイオードに向かう緑色の光を透過する第2緑色フィルタと、
前記青色光用フォトダイオードに向かう青色の光を透過する第2青色フィルタと、をさらに備える、請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記近赤外光カットフィルタは、前記赤色光用フォトダイオード、前記緑色光用フォトダイオードおよび前記青色光用フォトダイオードを被覆するように配置され、
第2赤色フィルタは、前記赤色光用フォトダイオードの上方に位置するように前記近赤外光カットフィルタの上に配置され、
前記第2緑色フィルタは、前記緑色光用フォトダイオードの上方に位置するように前記近赤外光カットフィルタの上に配置され、
前記第2青色フィルタは、前記青色光用フォトダイオードの上方に位置するように前記近赤外光カットフィルタの上に配置されている、請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記第1赤色フィルタは、前記近赤外光用フォトダイオードの上に積層され、
前記第1緑色フィルタは、前記第1赤色フィルタの上に積層され、
前記第1青色フィルタは、前記第1緑色フィルタの上に積層されている、
請求項1~3のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項5】
筐体と、
被写体に向けて光を出射する光源部と、
前記光源部から出射され前記被写体で反射された光を集光するレンズと、
前記レンズによって集光された光を受光する、請求項1~4のいずれかに記載の固体撮像装置と、
を備える、電子機器。
【請求項6】
前記光源部は白色光及び近赤外光を同時に出射する、請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記固体撮像装置は、前記光源部から近赤外光が出射されてから前記被写体で反射され前記近赤外光用フォトダイオードで受光されるまでの時間に基づいて、前記電子機器から前記被写体までの距離を測定するように構成されている、請求項5または6に記載の電子機器。
【請求項8】
主面を有する基板を用意する工程と、
前記基板の前記主面に、近赤外光を検出する近赤外光用フォトダイオード、赤色の光を検出する赤色光用フォトダイオード、緑色の光を検出する緑色光用フォトダイオードおよび青色の光を検出する青色光用フォトダイオードを形成する工程と、
前記赤色光用フォトダイオード、前記緑色光用フォトダイオード、および前記青色光用フォトダイオードを被覆するように、近赤外光を除去する近赤外光カットフィルタを形成する工程と、
前記近赤外光用フォトダイオードの上に、赤色の光を透過する第1赤色フィルタを形成する工程と、
前記赤色光用フォトダイオードの上方に位置するように、赤色の光を透過する第2赤色フィルタを前記近赤外光カットフィルタの上に形成する工程と、
緑色の光を透過する第1緑色フィルタを前記第1赤色フィルタの上に形成する工程と、
前記緑色光用フォトダイオードの上方に位置するように、緑色の光を透過する第2緑色フィルタを前記近赤外光カットフィルタの上に形成する工程と、
青色の光を透過する第1青色フィルタを前記第1緑色フィルタの上に形成する工程と、
前記青色光用フォトダイオードの上方に位置するように、青色の光を透過する第2青色フィルタを前記近赤外光カットフィルタの上に形成する工程と、
を備える、固体撮像装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1赤色フィルタと前記第2赤色フィルタは同一の工程で形成され、
前記第1緑色フィルタと前記第2緑色フィルタは同一の工程で形成され、
前記第1青色フィルタと前記第2青色フィルタは同一の工程で形成される、
請求項8に記載の固体撮像装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、固体撮像装置、電子機器、および固体撮像装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像装置は、画素の受光素子(フォトダイオード)に入射する特定の波長の光の強さを正確に検出するために、当該特定の波長以外の波長の光を遮蔽する必要がある。従来の固体撮像装置では、ノイズとなる波長の光(特定の波長以外の波長の光)を除去するフィルタをガラス基板上に形成し、当該ガラス基板を受光素子の上方に配置していた。比較例の固体撮像装置の構成について図6を参照して説明する。
【0003】
図6は、比較例の固体撮像装置100の構成を示す断面図である。この固体撮像装置100では、近赤外光用フォトダイオード103、赤色光用フォトダイオード103a、緑色光用フォトダイオード103b及び青色光用フォトダイオード103cが基板102に設けられている。赤色光用フォトダイオード103aの上に赤色フィルタ106が形成され、緑色光用フォトダイオード103bの上に緑色フィルタ107が形成され、青色光用フォトダイオード103cの上に青色フィルタ108が形成されている。そして、図6に示すように、近赤外光カットフィルタ105及び可視光カットフィルタ110が形成されたガラス基板109が、基板102の上方に配置されている。ガラス基板109は基板102に対して光学位置調整されている。
【0004】
上記のように比較例の固体撮像装置100では、近赤外光カットフィルタ105及び可視光カットフィルタ110が形成されたガラス基板109が、フォトダイオード103、103a、103b、103cの上方に配置される構成となっている。このため、ガラス基板を配置することにより固体撮像装置が大型化する。近赤外光カットフィルタ及び可視光カットフィルタを搭載するガラス基板109の製造コストにより固体撮像装置のコストが高くなる。その結果、前記ガラス基板109の存在により、固体撮像装置を小型化(薄化)することが困難であった。また、ガラス基板が介在するために受光感度が低下するという課題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-103657号公報
【特許文献2】特許第6780504号公報
【特許文献3】国際公開第2016/117597号
【特許文献4】国際公開第2019/004319号
【特許文献5】特許第6702197号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一実施形態は、小型で低コストかつ高感度な固体撮像装置、電子機器、および固体撮像装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る固体撮像装置は、主面を有する基板と、前記主面に配置され、近赤外光を検出する近赤外光用フォトダイオードと、前記近赤外光用フォトダイオードの上に配置され、可視光を除去するRGB積層フィルタと、を備える。前記RGB積層フィルタは、赤色の光を透過する第1赤色フィルタと、緑色の光を透過する第1緑色フィルタと、青色の光を透過する第1青色フィルタとが、任意の順序で積層されたものとして構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る電子機器における光学系を説明するための図である。
図2】一実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示す平面図である。
図3】一実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示す断面図であって、図2のA-A線に沿う断面図である。
図4】一実施形態に係る固体撮像装置において用いられるフィルタの透過率波長依存性の一例を示す図である。
図5A】一実施形態に係る固体撮像装置の製造方法の一例を説明するための断面図である。
図5B図5Aに続く、一実施形態に係る固体撮像装置の製造方法の一例を説明するための図である。
図5C図5Bに続く、一実施形態に係る固体撮像装置の製造方法の一例を説明するための図である。
図5D図5Cに続く、一実施形態に係る固体撮像装置の製造方法の一例を説明するための図である。
図5E図5Dに続く、一実施形態に係る固体撮像装置の製造方法の一例を説明するための図である。
図6】比較例の固体撮像装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0010】
<電子機器>
まず、図1を参照して、実施形態に係る電子機器について説明する。図1は、実施形態に係る電子機器10および被写体Sを示している。
【0011】
電子機器10は、被写体Sに白色光および近赤外光を照射して撮像するように構成されている。この電子機器10は、たとえば、スマートフォン、タブレット端末等の携帯型情報通信端末や、穀物などの農産物を検査するための検査機である。
【0012】
電子機器10は、図1に示すように、固体撮像装置1と、筐体11と、光源部12と、レンズ13と、を備える。
【0013】
筐体11には、固体撮像装置1、光源部12およびレンズ13が設けられている。なお、図示しないが、固体撮像装置1により撮像された画像を出力するためのディスプレイや、固体撮像装置1および光源部12に電力を供給するためのバッテリ、外部の装置と通信するための通信モジュール等が筐体11に設けられてもよい。
【0014】
光源部12は、筐体11の外部にある被写体Sに向けて光を出射する。本実施形態では、光源部12は、白色光を発する白色光源(図示せず)と、近赤外光を発する近赤外光源(図示せず)とを有し、白色光と近赤外光を同時に発する。白色光は、たとえば、約200nm-800nmの波長帯域の光であり、近赤外光は、たとえば、約800nm-1200nmの波長帯域の光である。
【0015】
レンズ13は、光源部12から出射され、被写体Sで反射された光を集光する。レンズ13が集光した光は、固体撮像装置1によって受光される。
【0016】
固体撮像装置1は、可視光及び近赤外光それぞれによる被写体Sの画像を同時に撮像する。詳しくは、図1に示すように、光源部12から出射された出射光ILは、被写体Sに入射し、出射光ILの一部が反射する。反射した光(反射光RL)は電子機器10のレンズ13によって集光され、固体撮像装置1に入射する。本実施形態では、固体撮像装置1は、後ほど図2を参照して説明するように、リニアイメージセンサとして構成されている。なお、本実施形態に係る固体撮像装置は、リニアイメージセンサに限定されず、リニアイメージセンサ以外のイメージセンサであってもよい。
【0017】
<固体撮像装置>
次に、図2及び図3を参照して、実施形態に係る固体撮像装置1について詳しく説明する。図2は、固体撮像装置1の平面図であり、反射光RLの入射面側を示している。図3は、図2で示された固体撮像装置1のA-A線に沿う断面図である。
【0018】
なお、説明の便宜上、図2及び図3等に示すように、XYZ直交座標系を採用する。固体撮像装置1における厚さ方向、即ち、基板及びフィルタの積層方向をZ方向とする。Z方向に略直交する方向のうち、同じ種類のフォトダイオードが並ぶ方向をX方向とし、Z方向とX方向に略直交する方向をY方向とする。また、Z方向のうち、基板から各フィルタに向かう方向を「上」ともいい、その逆方向を「下」ともいう。ただし、この表現は便宜的なものであり、重力の方向とは無関係である。
【0019】
図3に示すように、固体撮像装置1は、基板2と、近赤外光用フォトダイオード3と、赤色光用フォトダイオード3aと、緑色光用フォトダイオード3bと、青色光用フォトダイオード3cと、RGB積層フィルタ4と、近赤外光カットフィルタ5と、赤色フィルタ6と、緑色フィルタ7と、青色フィルタ8とを備える。
【0020】
なお、図示しないが、固体撮像装置1の最上層にはリッドガラス(カバーガラス)が配置されている。このリッドガラスは、固体撮像装置の保護のほか、フィルタの低寿命化やノイズの原因となる紫外光を除去するために設けられる。
【0021】
なお、以下の説明では、近赤外光用フォトダイオード3、赤色光用フォトダイオード3a、緑色光用フォトダイオード3b及び青色光用フォトダイオード3cを総称して単に「フォトダイオード3,3a,3b,3c」ともいう。また、赤色光用フォトダイオード3a、緑色光用フォトダイオード3b及び青色光用フォトダイオード3cを総称して単に「フォトダイオード3a,3b,3c」ともいう。また、赤色フィルタ6、緑色フィルタ7及び青色フィルタ8を総称して単に「カラーフィルタ6,7,8」ともいう。
【0022】
また、本実施形態では、赤色フィルタ41及び赤色フィルタ6は同一の特性を有する。同様に、緑色フィルタ42及び緑色フィルタ7は同一の特性を有し、青色フィルタ43及び青色フィルタ8は同一の特性を有する。
【0023】
図3に示すように、基板2は主面2sを有し、この主面2sにフォトダイオード3,3a,3b,3cが形成されている。基板2は、たとえば、シリコン基板、炭化ケイ素基板等の半導体基板である。この基板2内には、図示しないが、各種配線が形成されている。なお、基板2は、絶縁層などを含む多層基板であってもよい。
【0024】
図2に示すように、同じ種類のフォトダイオードが基板2のX軸方向に平行な直線上に複数配置され、画素列を形成している。そして、各色の画素列がY軸方向に所定の間隔をあけて配置されている。画素列の端部における画素は、金属膜で覆われており、遮光画素9として用いられる。画素列における、遮光画素9以外の大部分の画素はフィルタに覆われている。すなわち、赤色の画素列のうち遮光画素9以外の複数の画素は赤色フィルタ6で覆われている。同様に、緑色の画素列のうち遮光画素9以外の複数の画素は緑色フィルタ7で覆われ、青色の画素列のうち遮光画素9以外の複数の画素は青色フィルタ8で覆われている。
【0025】
近赤外光用フォトダイオード3は、近赤外光(たとえば約800nm-1200nmの波長帯域の光)を検出するためのフォトダイオードである。赤色光用フォトダイオード3aは、赤色の光(約580nm-800nmの波長帯域の光)を検出するためのフォトダイオードである。緑色光用フォトダイオード3bは、緑色の光(たとえば、約500nm-580nmの波長帯域の光)を検出するためのフォトダイオードである。青色光用フォトダイオード3cは、青色の光(たとえば、約400nm-500nmの波長帯域の光)を検出するためのフォトダイオードである。
【0026】
図6を参照して説明したように、比較例の固体撮像装置では、近赤外光用フォトダイオードの上方に可視光カットフィルタを配置することで、近赤外光用フォトダイオードは、ノイズとなる可視光が除去された近赤外光を受光する。これに対して本実施形態では、図2及び図3に示すように、可視光カットフィルタの代わりに、RGB積層フィルタ4が、近赤外光用フォトダイオード3の上に配置されている。このRGB積層フィルタ4は、赤色フィルタ41と、緑色フィルタ42と、青色フィルタ43とが積層されたものとして構成されており、可視光を効果的に除去する。RGB積層フィルタ4について以下にさらに詳しく説明する。
【0027】
本実施形態のRGB積層フィルタ4では、図3に示すように、赤色フィルタ41が近赤外光用フォトダイオード3の上に積層され、緑色フィルタ42が赤色フィルタ41の上に積層され、青色フィルタ43が緑色フィルタ42の上に積層されている。なお、積層順序はこれに限定されるものではなく、RGB積層フィルタ4は、赤色フィルタ41、緑色フィルタ42及び青色フィルタ43を任意の順序で積層したものであってよい。
【0028】
ここで、RGB積層フィルタ4の特性について説明する。図4は、本実施形態に係る固体撮像装置1において用いられる赤色フィルタ6,41、緑色フィルタ7,42及び青色フィルタ8,43の透過率波長依存性の一例を示す図である。
【0029】
図4から分かるように、赤色フィルタ41は、赤色の光及び近赤外光を透過し、且つ、赤色の光及び近赤外光以外の波長帯域の光を除去する性質を有する。また、緑色フィルタ42は、緑色の光及び近赤外光を透過し、且つ、緑色の光及び近赤外光以外の波長帯域の光を除去する性質を有する。青色フィルタ43は、青色の光及び近赤外光を透過し、且つ、青色の光及び近赤外光以外の波長帯域の光を除去する性質を有する。
【0030】
そして、図4から分かるように、赤色フィルタ41、緑色フィルタ42及び青色フィルタ43を積層したRGB積層フィルタ4は、可視光を効果的に除去し、近赤外光を透過する。つまり、赤色フィルタ41、緑色フィルタ42および青色フィルタ43が積層されたものとして構成されているRGB積層フィルタ4は、可視光カットフィルタと同等の性質を有することがわかる。
【0031】
図3に示すように、近赤外光カットフィルタ5は、フォトダイオード3a,3b,3cを被覆するように配置されている。この近赤外光カットフィルタ5は、近赤外光を除去し、近赤外光以外の波長帯域の光を透過する性質を有する。これにより、フォトダイオード3a,3b,3cは、ノイズとなる近赤外光が除去された可視光を受光する。
【0032】
赤色フィルタ6は、赤色光用フォトダイオード3aの上方に位置するように近赤外光カットフィルタ5の上に配置されている。緑色フィルタ7は、緑色光用フォトダイオード3bの上方に位置するように近赤外光カットフィルタ5の上に配置されている。青色フィルタ8は、青色光用フォトダイオード3cの上方に位置するように近赤外光カットフィルタ5の上に配置されている。
【0033】
図2に示す遮光画素9は、ダーク補正のために用いられる画素である。遮光画素9のフォトダイオード上には、フィルタではなく、アルミニウム等の金属からなる遮光膜(図示せず)が配置されている。
【0034】
上記構成を有する固体撮像装置1は、被写体Sからの反射光RLをフォトダイオード3,3a,3b,3cで受光する。そして、フォトダイオード3a,3b,3cの受光信号に基づいて被写体Sのカラー画像を取得する。これと同時に、固体撮像装置1は、フォトダイオード3の信号に基づいて被写体Sの近赤外画像を取得する。なお、固体撮像装置1は、近赤外光が光源部12から出射されてから、被写体Sで反射され、フォトダイオード3で受光されるまでの時間に基づいて、電子機器10から被写体Sまでの距離を測定するように構成されてもよい。
【0035】
以上説明したように、固体撮像装置1では、赤色フィルタ41、緑色フィルタ42及び青色フィルタ43の積層体を近赤外光用フォトダイオード3の上に配置することで、比較例における固体撮像装置のように可視光カットフィルタを用いることなく、近赤外光用フォトダイオード3に向かう可視光を効果的に除去することができる。
【0036】
また、本実施形態によれば、比較例の固体撮像装置のように可視光カットフィルタが形成されたガラス基板を近赤外光用フォトダイオード3の上方に配置する必要がない。このため、光学位置調整が不要となるとともに、光学系の小型化(薄化)を図ることができる。また、フォトダイオード上にフィルタが直接積層されているため、衝撃に対する耐性を向上させることができる。
【0037】
また、本実施形態によれば、比較例の固体撮像装置のようにレンズと受光素子との間にガラス基板が介在しないため、受光感度を向上させることができる。 また、本実施形態では、近赤外光カットフィルタ5がカラーフィルタ6,7,8で被覆されており、近赤外光カットフィルタ5が反射光RLに直接曝されない。このため、近赤外光カットフィルタ5の耐光性(UV耐性等)を向上させることができる。
【0038】
なお、図2及び図3は固体撮像装置1の構成の一例に過ぎない。例えば、前述のように赤色フィルタ41、緑色フィルタ42及び青色フィルタ43の配置順は任意であり、RGB積層フィルタ4は、赤色フィルタ41、緑色フィルタ42及び青色フィルタ43が上記と異なる順序で積層されたものであってもよい。
【0039】
また、本実施形態では、図2に示すように、種類ごとに複数のフォトダイオードが一直線上に配置されているが、これに限られず、たとえば、赤色光用フォトダイオード3a、緑色光用フォトダイオード3b及び青色光用フォトダイオード3cがベイヤー(Bayer)配列に従って配置されてもよい。
【0040】
また、近赤外光カットフィルタ5の耐光性の低下を考慮しないのであれば、近赤外光カットフィルタ5と、カラーフィルタ6,7,8との上下の配置関係は上記と逆であってもよい。すなわち、赤色光用フォトダイオード3a上に赤色フィルタ6を配置し、緑色光用フォトダイオード3b上に緑色フィルタ7を配置し、青色光用フォトダイオード3c上に青色フィルタ8を配置し、赤色フィルタ6、緑色フィルタ7及び青色フィルタ8を被覆するように近赤外光カットフィルタ5が配置されてもよい。
【0041】
また、上記の説明では近赤外光カットフィルタ5が各色のフォトダイオード3a,3b,3cをまとめて被覆していたが、各色のフォトダイオード3a,3b,3c上ごとに別個に近赤外光カットフィルタが配置されてもよい。
【0042】
また、上記の固体撮像装置1では、赤色、緑色および青色を検出するためのフォトダイオード3a,3b,3cと、近赤外光を検出するためのフォトダイオード3の両方が設けられていたが、フォトダイオード3のみが設けられてもよい。その場合、光源部12は近赤外光のみを出射するものであってよい。
【0043】
<固体撮像装置の製造方法>
次に、図5A図5Eを参照して、上記の固体撮像装置1に係る製造方法の一例について説明する。図5A図5Eは、固体撮像装置1の製造方法を説明するための工程断面図である。
【0044】
まず、主面2sを有する基板2を用意する。基板2には、例えば、シリコン(Si)、炭化ケイ素(SiC)などからなる半導体基板が用いられる。
【0045】
次に、図5Aに示すように、基板2の主面2sに近赤外光用フォトダイオード3、赤色光用フォトダイオード3a、緑色光用フォトダイオード3b及び青色光用フォトダイオード3cを形成する。本実施形態では、同じ種類のフォトダイオードがX軸方向に平行な一直線上に沿って並ぶようにフォトダイオード3,3a,3b,3cを形成する。なお、形成されるフォトダイオード3,3a,3b,3cの配列はイメージセンサの種類に応じて決まるものであり、一直線上に配列する場合に限られない。
【0046】
次に、図5Bに示すように、赤色光用フォトダイオード3a、緑色光用フォトダイオード3bおよび青色光用フォトダイオード3c上に、近赤外光カットフィルタ5を形成する。近赤外光カットフィルタ5はオンチップ赤外光カットフィルタとして形成される。詳しくは、フォトダイオード3a,3b,3c上にフィルタ材料を物理蒸着(PVD)または化学蒸着(CVD)により蒸着させたり、あるいはフォトダイオード3a,3b,3c上にフィルタ材料を塗布することによって形成される。
【0047】
なお、近赤外光カットフィルタ5は、一体的に形成しなくてもよい。例えば、赤色光用フォトダイオード3a、緑色光用フォトダイオード3b、及び青色光用フォトダイオード3cのそれぞれの上に別個の近赤外光カットフィルタを形成してもよい。
【0048】
次に、図5Cに示すように、近赤外光用フォトダイオード3上に赤色フィルタ41を形成する。赤色フィルタ41はオンチップカラーフィルタとして形成される。形成方法は近赤外光カットフィルタ5と同様である。
【0049】
本実施形態では、赤色フィルタ41の形成工程と同一の工程において、赤色フィルタ6を形成する。すなわち、赤色フィルタ41と赤色フィルタ6を同時に形成する。赤色フィルタ6は、赤色光用フォトダイオード3aの上方に位置するように、近赤外光カットフィルタ5上に形成される。
【0050】
次に、図5Dに示すように、赤色フィルタ41上に緑色フィルタ42を形成する。緑色フィルタ42の形成方法は、近赤外光カットフィルタ5及び赤色フィルタ41と同様である。本実施形態では、緑色フィルタ42の形成工程と同一の工程において、緑色フィルタ7を形成する。緑色フィルタ7は、緑色光用フォトダイオード3bの上方に位置するように、近赤外光カットフィルタ5上に形成される。
【0051】
最後に、図5Eに示すように、緑色フィルタ42上に青色フィルタ43を形成する。青色フィルタ43の形成方法は、近赤外光カットフィルタ5、赤色フィルタ41及び緑色フィルタ42と同様である。本実施形態では、青色フィルタ43の形成工程と同一の工程において、青色フィルタ8を形成する。青色フィルタ8は、青色光用フォトダイオード3cの上方に位置するように、近赤外光カットフィルタ5上に形成される。
【0052】
上記工程を経て図5Eに示す固体撮像装置1が製造される。
【0053】
なお、上記の説明は固体撮像装置1の製造方法の一例に過ぎない。たとえば、各色のフィルタを積層する順序は任意であっても構わない。
【0054】
以上説明したように、本実施形態に係る固体撮像装置1の製造方法では、赤色フィルタ41、緑色フィルタ42及び青色フィルタ43を順次積層することで、可視光カットフィルタと同等の性能を有するフィルタを形成することができる。このため、可視光カットフィルタを形成するための材料、及び形成工程が不要となり、固体撮像装置の製造コストを削減することができる。
【0055】
また、RGB積層フィルタ4を形成する工程内でカラーフィルタ6,7,8を形成できるため、固体撮像装置を効率的に低コストで製造することができる。
【0056】
また、カラーフィルタ6,7,8を近赤外光カットフィルタ5の上に積層することで、近赤外光カットフィルタ5が反射光RLに直接曝されないため、近赤外光カットフィルタ5の耐光性を向上させることができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、比較例の固体撮像装置のようにガラス基板上に近赤外光カットフィルタ及び可視光カットフィルタを形成する必要がない。このため、ガラス基板にこれらのフィルタを形成する際における位置寸法精度の確保や、ガラス基板と基板との間の光学位置調整に伴う困難も発生しない。その結果、固体撮像装置の歩留まりを向上させることができる。
【0058】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0059】
1 固体撮像装置
2 基板
2s 主面
3 近赤外光用フォトダイオード
3a 赤色光用フォトダイオード
3b 緑色光用フォトダイオード
3c 青色光用フォトダイオード
4 RGB積層フィルタ
41 赤色フィルタ
42 緑色フィルタ
43 青色フィルタ
5 近赤外光カットフィルタ
6 赤色フィルタ
7 緑色フィルタ
8 青色フィルタ
9 遮光画素
10 電子機器
11 筐体
12 光源部
13 レンズ
S 被写体
IL 出射光
RL 反射光
100 固体撮像装置
102 基板
103 近赤外光用フォトダイオード
103a 赤色光用フォトダイオード
103b 緑色光用フォトダイオード
103c 青色光用フォトダイオード
105 近赤外光カットフィルタ
106 赤色フィルタ
107 緑色フィルタ
108 青色フィルタ
109 ガラス基板
110 可視光カットフィルタ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6