(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013237
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、保険提案処理方法、プログラムおよび記録媒体
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/08 20120101AFI20230119BHJP
【FI】
G06Q40/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117257
(22)【出願日】2021-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】加来 文伸
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB61
(57)【要約】
【課題】契約期間の満了時の保険料が、契約時に支払った保険料を超える見込みが検出された場合に、保険料の追加支払いが発生しない保険を提案する情報処理装置、保険提案処理方法、プログラムおよび記録媒体を提供する。
【解決手段】契約期間中において運転者が車両を運転した運転情報と契約条件に基づいて決定される単位保険料とに基づいて、契約期間の満了時の保険料である推定保険料を推定する保険料推定部20と、推定保険料が契約条件で定められた上限保険料を超えたときに、契約条件の変更を提案する保険提案部30とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
契約期間中において運転者が車両を運転した運転情報と、契約条件に基づいて決定される単位保険料とに基づいて、前記契約期間の満了時の保険料である推定保険料を推定する保険料推定部と、
前記推定保険料が前記契約条件で定められた上限保険料を超えたときに、前記契約条件の変更を提案する保険提案部と、を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記単位保険料は、少なくとも前記車両を特定できる車両情報と、前記車両を運転する前記運転者に関する運転者情報と、損害発生時に支払われる保険金額と、契約期間情報とに基づいて決定されることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記保険提案部は、前記推定保険料が前記上限保険料を超えたときに、前記保険金額の前記契約条件の変更を行った場合の前記単位保険料における前記推定保険料に基づいて、前記推定保険料が前記上限保険料を超えない前記保険金額の前記契約条件を提案することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
保険料推定部と、保険提案部と、を備えた情報処理装置における保険提案処理方法であって、
前記保険料推定部が、契約期間中において運転者が車両を運転した運転情報と、契約条件に基づいて決定される単位保険料とに基づいて、前記契約期間の満了時の保険料である推定保険料を推定する推定工程と、
前記保険提案部が、前記推定保険料が前記契約条件で定められた上限保険料を超えたときに、前記契約条件の変更を提案する提案工程と、を備える保険提案処理方法。
【請求項5】
保険料推定部と、保険提案部と、を備えた情報処理装置における保険提案処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記保険料推定部が、契約期間中において運転者が車両を運転した運転情報と、契約条件に基づいて決定される単位保険料とに基づいて、前記契約期間の満了時の保険料である推定保険料を推定する推定工程と、
前記保険提案部が、前記推定保険料が前記契約条件で定められた上限保険料を超えたときに、前記契約条件の変更を提案する提案工程と、
を備える保険提案処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項6】
保険料推定部と、保険提案部と、を備えた情報処理装置における保険提案処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを格納した非一過性の記録媒体であって、
前記保険料推定部が、契約期間中において運転者が車両を運転した運転情報と、契約条件に基づいて決定される単位保険料とに基づいて、前記契約期間の満了時の保険料である推定保険料を推定する推定工程と、
前記保険提案部が、前記推定保険料が前記契約条件で定められた上限保険料を超えたときに、前記契約条件の変更を提案する提案工程と、
を備える保険提案処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを格納した非一過性の記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、保険提案処理方法、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車保険の保険料は、運転者の年齢、運転する車両、損害時に支払われる保険金、契約期間等の契約条件により決定する。
つまり、定額制の自動車保険では、車両の運転機会が多い人、少ない人に関係なく、同額の保険料を支払うことになり、運転機会が少ない人にとっては、割高な保険料を支払わなければならなかった。
ここで、運転者が運転した運転時間により支払い保険料が決定する従量制の損害保険システムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の損害保険システムでは、運転者が実施に運転した時間に基づいて算出された実績保険料と、保険契約時に支払った保険料との差額を管理し、その差額が所定値以下になったときに、保険料の追加納入を促す表示が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の損害保険システムでは、運転者が運転した実績時間に基づいて算出された実績保険料が、契約時に支払った保険料を超える見込みが検出された場合、損害保険契約を継続するために、追加で保険料を支払わなければならないという課題が一例として挙げられる。
【0005】
本発明は、上述の一例として挙げられた課題に鑑みてなされたものであり、契約期間の満了時の保険料が、契約時に支払った保険料を超える見込みが検出された場合に、保険料の追加支払いが発生しない保険を提案する情報処理装置、保険提案処理方法、プログラムおよび記録媒体を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、契約期間中において運転者が車両を運転した運転情報と、契約条件に基づいて決定される単位保険料とに基づいて、前記契約期間の満了時の保険料である推定保険料を推定する保険料推定部と、前記推定保険料が前記契約条件で定められた上限保険料を超えたときに、前記契約条件の変更を提案する保険提案部と、を備える情報処理装置である。
【0007】
また、請求項4に記載の発明は、保険料推定部と、保険提案部と、を備えた情報処理装置における保険提案処理方法であって、前記保険料推定部が、契約期間中において運転者が車両を運転した運転情報と、契約条件に基づいて決定される単位保険料とに基づいて、前記契約期間の満了時の保険料である推定保険料を推定する推定工程と、前記保険提案部が、前記推定保険料が前記契約条件で定められた上限保険料を超えたときに、前記契約条件の変更を提案する提案工程と、を備える保険提案処理方法である。
【0008】
また、請求項5に記載の発明は、保険料推定部と、保険提案部と、を備えた情報処理装置における保険提案処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記保険料推定部が、契約期間中において運転者が車両を運転した運転情報と、契約条件に基づいて決定される単位保険料とに基づいて、前記契約期間の満了時の保険料である推定保険料を推定する推定工程と、前記保険提案部が、前記推定保険料が前記契約条件で定められた上限保険料を超えたときに、前記契約条件の変更を提案する提案工程と、を備える保険提案処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0009】
また、請求項6に記載の発明は、保険料推定部と、保険提案部と、を備えた情報処理装置における保険提案処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを格納した非一過性の記録媒体であって、前記保険料推定部が、契約期間中において運転者が車両を運転した運転情報と、契約条件に基づいて決定される単位保険料とに基づいて、前記契約期間の満了時の保険料である推定保険料を推定する推定工程と、前記保険提案部が、前記推定保険料が前記契約条件で定められた上限保険料を超えたときに、前記契約条件の変更を提案する提案工程と、を備える保険提案処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを格納した非一過性の記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例に係る情報処理装置の構成を示す図である。
【
図2】実施例に係る情報処理装置の保険提案処理のフローを示した図である。
【
図3】実施例に係る情報処理装置の保険料推定部における処理を示した図である。
【
図4】実施例に係る情報処理装置の保険料推定部における処理を示した図である。
【
図5】実施例に係る情報処理装置の保険提案部における処理および表示例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の1またはそれ以上の実施形態に係る情報処理装置は、契約期間中において運転者が車両を運転した運転情報と契約条件に基づいて決定される単位保険料とに基づいて、契約期間の満了時の保険料である推定保険料を推定する保険料推定部と、推定保険料が契約条件で定められた上限保険料を超えたときに、契約条件の変更を提案する保険提案部と、を備えている。
すなわち、保険料推定部は、契約期間中に運転者が実際に運転した運転情報に基づいて、契約満了時の保険料を推定し、保険提案部は、保険料推定部において推定した保険料が、運転者が契約時に設定した上限保険料を超えたときに、契約条件を変更した保険を運転者に提案する。
これにより、推定保険料が上限保険料を超えると判定したときに、上限保険料を超えない契約条件の新たな保険が提案されるため、契約満了時まで保険料の追加支払いなく契約を更新することができる。
また、運転者は、新たな保険が提案されたときに、残りの契約期間中の運転時間等を想定し、運転時間等が減少する見込み等がある場合には、契約条件を変更せずに、契約を継続することができる。
保険提案部は、推定保険料が上限保険料を超えたときに、損害発生時に支払われる保険金額の契約条件の変更を行った場合の単位保険料における推定保険料に基づいて、推定保険料が上限保険料を超えない保険金額の契約条件を提案する。
すなわち、保険提案部は、推定保険料が上限保険料を超えないように、損害発生時に支払われる保険金額等の補償内容を変更した、新たな契約条件を運転者に提案する。
これにより、運転者は、保険料の追加支払いが発生しない保険金額の契約条件を確認したうえで、保険契約を更新することができる。
【0012】
<実施例>
図1から
図5を用いて、本実施例に係る情報処理装置1について説明する。
【0013】
<情報処理装置1の構成>
図1を用いて、本実施例に係る情報処理装置1の構成について説明する。
情報処理装置1は、運転実績取得部10と、保険料推定部20と、保険提案部30と、表示部40と、通信部50と、を含んで構成されている。
【0014】
運転実績取得部10は、契約中の運転者が車両を運転した運転情報である、運転時間情報、運転回数情報、運転距離情報を取得し、当該運転情報を、後述する保険料推定部20と、保険提案部30とに送信する。
運転実績取得部10は、例えば、車両のACC電源がオン状態になっている状態を運転している時間と判定し、当該時間を運転時間情報として取得する。
具体的には、ACC電源がオンされた時刻情報およびオフされた時刻情報を、運転時間情報として取得し、図示しないメモリに保存する。
また、運転実績取得部10は、例えば、車両のACC電源がオンされた回数を運転回数と判定し、当該情報を運転回数情報として取得する。
具体的には、運転実績取得部10は、ACC電源がオンされた時刻情報を、運転回数情報として取得し、当該時刻情報を図示しないメモリに保存する。
さらに、運転実績取得部10は、例えば、車両のメータから受信した総走行距離の情報を運転距離情報として取得する。
具体的には、運転実績取得部10は、ACC電源がオンされたときに、現在の時刻情報および総走行距離の情報を取得し、図示しないメモリに保存する。
なお、運転情報の取得方法は、上述した方法に限定されるわけではなく、例えば、車両内外を撮像した画像、ドア施錠解錠の時刻情報、車速パルス等に基づいて、運転情報を取得するようにしてもよい。
ここで、運転実績取得部10は、後述する保険提案部30から運転者が契約中の保険の契約条件に関する情報を取得し、当該情報に基づいて、取得する運転情報を決定してもよい。
すなわち、運転時間により保険料が決定する保険契約の場合には、運転時間情報を取得し、運転回数により保険料が決定する保険契約の場合には、運転回数情報を取得し、運転距離により保険料が決定する保険契約の場合には、運転距離情報を取得するようにしてもよい。
【0015】
保険料推定部20は、運転実績取得部10から送信された運転時間情報、運転回数情報、または運転距離情報のうち何れかを含む運転情報と、後述する保険提案部30から送信された単位時間あたり、単位回数あたり、または単位距離のうち契約条件に対応した単位保険料と契約期間情報とに基づいて、保険契約満了時の保険料である推定保険料を推定する。
保険料推定部20において推定した推定保険料の情報は、後述する保険提案部30に転送される。
ここで、上述した契約条件に対応した単位保険料としては、単位時間保険料、単位回数保険料、単位距離保険料を例示することができる。
単位時間保険料は、運転時間により保険料が決定する保険契約の場合に適用される単位時間あたりの保険料であり、例えば、運転者が1時間運転した時に支払う保険料である。
単位回数保険料は、運転回数により保険料が決定する保険契約の場合に適用される単位回数あたりの保険料であり、例えば、運転者が1回運転した時に支払う保険料である。
単位距離保険料は、運転距離により保険料が決定する保険契約の場合に適用される単位距離あたりの保険料であり、例えば、運転者が1km運転した時に支払う保険料である。
以下の説明では、運転時間により保険料が決定する契約条件の場合(運転情報を運転時間情報とし、単位保険料を単位時間保険料とした場合)を例示して、説明する。
ここで、上述した単位保険料は、少なくとも、車両を特定できる車両情報と、車両を運転する運転者に関する運転者情報と、損害発生時に支払われる保険金額と、契約期間情報とに基づいて決定されても良いし、保険プランとして固定値が設定されていても良い。
具体的に、車両を特定できる車両情報としては、例えば、車名、型式、仕様、車台番号等を例示するこことができる。
ここで、上述した車両としては、乗用車や商用車等の4輪車および2輪車(バイク)等を例示することができる。
また、車両を運転する運転者に関する運転者情報としては、例えば、氏名、生年月日、年齢、運転免許証の種類、運転免許証番号等を例示することができる。
また、損害発生時に支払われる保険金額の情報としては、対人賠償保険金、対物賠償保険金、人身傷害保険金、車両保険金等を例示することができる。
さらに、契約期間情報としては、保険適用開始日、保険適用満了日等を例示することができる。
なお、保険契約満了時の保険料である推定保険料の推定方法に関しては、後述する。
【0016】
保険提案部30は、保険料推定部20から送信された推定保険料が、契約条件で定められた上限保険料を超えたときに、契約条件の変更に関する情報を後述する表示部40に表示し、契約条件の変更を運転者に対して提案する。
すなわち、保険提案部30は、保険料推定部20により推定された推定保険料が上限保険料を超えたときに、損害時に支払われる保険金額の契約条件を変更し、推定保険料が上限保険料を超えない契約条件を運転者に対して提案する。
なお、上述した上限保険料は、契約期間中に想定される運転時間と単位時間保険料とに基づいて、運転者が契約時に設定する金額であり、契約期間中の保険料として運転者が支払う金額である。
運転者が契約時に設定した上限保険料を契約開始日までに支払うことにより、保険契約が成立する。
なお、契約期間中の運転時間情報と単位時間保険料とに基づいて算出される実績保険料が上限保険料を超えた際には、契約満了日以前であっても、その時点で保険契約が満了となる例や、実績保険料が上限保険料を超えた時、運転者の了承を前提に、上限保険料を超えてでも最低限の保険はかけておく例などが考えられる。
【0017】
保険提案部30は、後述する通信部50を介して、インターネットに接続された図示しないサーバに接続し、契約条件の変更を提案する際に参照する、運転者が契約中の保険に関する情報を取得する。
ここで、このサーバには、車両を特定できる車両情報、車両を運転する運転者に関する運転者情報、損害発生時に支払われる保険金額、契約期間情報、上限保険料等の運転者が契約中の保険に関する情報が格納されている。
保険提案部30は、運転者等により予め保険提案部30に登録された車両情報および運転者情報に基づいて、上述したサーバを検索し、運転者が契約中の保険に関する情報を取得する。
また、このサーバには、契約条件に基づいて決定される単位時間保険料の情報が格納されており、保険提案部30は、運転者に対して契約条件の変更を提案するときに、契約条件を変更した場合の単位時間保険料の情報をサーバから取得する。
なお、保険提案部30にける保険提案処理の詳細については、後述する。
【0018】
表示部40は、例えば、LCD(液晶表示装置)や有機EL(Electroluminescence)等により構成され、保険提案部30から出力された、保険に関する情報等を表示する。
ここで、表示部40は、保険に関する情報を表示する専用の表示器であってもよいが、ナビゲーション装置等の表示部に、保険に関する情報を表示するようにしてもよい。
【0019】
通信部50は、例えば、インターネットに接続可能な通信モジュール等で構成され、上述したサーバに接続する。
【0020】
<情報処理装置1の処理>
図2を用いて、情報処理装置1の処理について説明する。
保険提案部30は、車両のACC電源(アクセサリ電源)がオンになっているか否かを判定する(ステップS100)。
ACC電源がオンになっていないと判定した場合(ステップS100の「NO」)には、処理をステップS100に戻し、待機モードに移行する。
一方で、ACC電源がオンになっていると判定した場合(ステップS100の「YES」)には、処理をステップS110に移行させる。
【0021】
ACC電源がオンになっていると判定した場合(ステップS100の「YES」)には、保険提案部30は、保険契約満了時の保険料である推定保険料を算出する旨の指示を保険料推定部20に送信し、保険料推定部20から算出結果を受信する(ステップS110)。
【0022】
図3を用いて、保険料推定部20において算出する推定保険料の算出方法について説明する。
保険料推定部20は、保険提案部30からの推定保険料の算出指示を受信したとき、運転実績取得部10から、契約期間中の運転時間の実績値である運転時間情報を取得する。
さらに、保険料推定部20は、契約期間の開始時から現在までの経過時間tと、契約期間開始から満了時までの契約期間Tとを算出する。
ここで、契約開始時からt時間経過したときの運転時間情報がa時間、契約中の保険の単位時間保険料がb円/時間とした場合に、推定保険料Xは、以下に示す数1により算出することができる。
【0023】
【0024】
より具体的には、例えば、契約期間T=1か月(T=30×24=720時間)、経過時間t=360時間、運転時間情報a=14時間、単位時間保険料b=100円/時間であった場合、推定保険料Xは、2800円となる。
【0025】
保険提案部30は、保険料推定部20から取得した推定保険料Xの値と、保険の契約時に設定された上限保険料の値とを比較し、推定保険料Xが上限保険料を超えたか否かを判定する(ステップS120)。
推定保険料Xが上限保険料を超えていないと判定した場合(ステップS120の「NO」)には、処理を終了する。
一方で、推定保険料Xが上限保険料を超えたと判定した場合(ステップS120の「YES」)には、処理をステップS130に移行させる。
【0026】
推定保険料Xが上限保険料を超えたと判定した場合(ステップS120の「YES」)には、保険提案部30は、上限保険料を超えない保険への変更提案を行い(ステップS130)、処理をステップS140に移行させる。
図4に示すように、保険提案部30は、推定保険料X(=3200円)が上限保険料(=3000円)を超えたと判定したとき、損害時に支払われる保険金額の契約条件を変更した場合の推定保険料Yを保険料推定部20から取得し、推定保険料Yが上限保険料を超えない契約条件の保険を運転者に提案する。
図5を用いて、推定保険料Yが上限保険料を超えない契約条件の保険について説明する。
図5に示すように、例えば、損害時に支払われる保険金額である人身傷害保険金額を5000万円から3000万円、および、車両保険金額を300万円から0円に契約条件を変更した場合には、単位時間保険料が、100円/時間から80円/時間に減額される。
保険提案部30は、上述した契約条件が適用された場合の単位時間保険料の情報を保険料推定部20に送信し、推定保険料Yの算出指示を行う。
具体的には、契約開始時からt時間経過したときの運転時間情報がa時間、契約中の保険の単位時間保険料をb円/時間、新たな契約条件が適用された場合の単位時間保険料をc円/時間とした場合に、推定保険料Yは、以下に示す数2により算出することができる。
【0027】
【0028】
より具体的には、例えば、契約期間T=1か月(T=30×24=720時間)、経過時間t=360時間、運転時間情報a=16時間、単位時間保険料b=100円/時間、単位時間保険料c=80円/時間であった場合には、推定保険料Yは、2880円となる。
上述した契約条件に変更した場合には、推定保険料Yが上限金額3000円を超えないため、保険提案部30は、当該契約条件への変更を運転者に提案する。
すなわち、保険提案部30は、契約条件を変更した場合の推定保険料Yを保険料推定部20において算出させ、推定保険料Yと上限保険料とを比較し、上限保険料を超えない契約条件を決定し、その契約条件を運転者に提案する。
なお、保険提案部30は、運転者に契約条件を変更する提案を行うときには、例えば、
図5に示した図を表示部40に表示し、契約条件の変更内容と契約条件を変更した場合の推定保険料Yとを運転者に報知する。
【0029】
そして、保険提案部30は、ステップS130において提案した保険条件への変更をする旨の指示が入力されたか否かを判定する(ステップS140)。
提案した保険条件への変更をしない旨の指示が入力されたと判定した場合(ステップS140の「NO」)には、処理を終了する。
一方で、提案した保険条件への変更をする旨の指示が入力されたと判定した場合(ステップS140の「YES」)には、処理をステップS150に移行させる。
【0030】
提案した保険条件への変更をする旨の指示が入力されたと判定した場合(ステップS140の「YES」)には、保険提案部30は契約更新処理を実行し、処理を終了する(ステップS150)。
具体的には、保険提案部30は、上述したサーバに接続し、車両を特定できる車両情報、車両を運転する運転者に関する運転者情報、損害発生時に支払われる保険金額、契約期間情報等の契約中の保険に関する情報を、ステップS130において提案した契約条件に更新する。
また、保険提案部30は、契約変更の履歴情報(更新日時、更新前の契約条件等の情報)を、同時にサーバに保管する。
【0031】
以上、上述した情報処理装置1の説明では、運転情報として運転時間情報、単位保険料として単位時間保険料を例示して説明したが、運転回数情報および単位回数保険料、運転距離情報および単位距離保険料の組み合わせにおいても、上述した同様の処理が可能である。
【0032】
本実施例に係る情報処理装置1は、契約期間中において運転者が車両を運転した運転情報と、契約条件に基づいて決定される単位保険料とに基づいて、契約期間の満了時の保険料である推定保険料を推定する保険料推定部20と、推定保険料が契約条件で定められた上限保険料を超えたときに、契約条件の変更を提案する保険提案部30とを備えている。
保険料推定部20は、少なくとも車両を特定できる車両情報と、車両を運転する運転者に関する運転者情報と、損害発生時に支払われる保険金額と、契約期間情報に基づいて決定される単位保険料と、契約期間中の運転者の運転実績である運転情報とに基づいて、契約満了時の保険料を推定する。
保険提案部30は、保険料推定部20において推定した保険料が、契約条件として運転者が設定した上限保険料を超えたときに、契約条件を変更した保険を運転者に提案する。
これにより、契約満了時の保険料が上限保険料を超えると判定したときには、上限金額を超えない契約条件が提案されるため、運転者は保険料の追加支払いなく、契約を更新することができる。
【0033】
本実施例に係る情報処理装置1の保険提案部30は、推定保険料が上限保険料を超えたときに、損害発生時に支払われる保険金額の契約条件の変更を行った場合の単位保険料における推定保険料に基づいて、推定保険料が上限保険料を超えない保険金額の契約条件を提案する。
すなわち、保険提案部30は、推定保険料が上限保険料を超えないように、損害発生時に支払われる保険金額を変更した保険に関する情報を運転者に提案する。
これにより、運転者は、保険料の追加支払いが発生しない保険金額の契約条件を確認したうえで、保険契約を更新することができる。
また、運転者は新たな保険が提案されたときに、残りの契約期間中における運転時間(契約条件によっては運転回数または走行距離)を想定し、運転時間(契約条件によっては運転回数または走行距離)が減少する見込み等がある場合には、契約条件を変更せずに、契約を継続することができる。
【0034】
また、本実施例に係る情報処理装置1の保険提案部30は、推定保険料が上限保険料を超えたときに、契約条件の変更内容と、契約条件を変更した場合および変更しない場合における単位保険料を運転者に提示する。
これにより、運転者は新たに提案された契約条件の変更内容を確認したうえで、契約を更新することができる。
【0035】
また、本実施例に係る情報処理装置1は、走行を開始するときに推定保険料を算出し、推定保険料が上限保険料を超えたときに、損害発生時に支払われる保険金額の契約条件の変更を行った場合の単位保険料における推定保険料に基づいて、推定保険料が上限保険料を超えない保険金額の契約条件を提案する。
これにより、推定保険料が上限保険料を超える見込みがあるか否かを、早期に確認することができる。
【0036】
<その他の実施例>
上述した情報処理装置1の保険料推定部20は、契約期間中に運転する頻度(例えば、一日当たりの運転時間)が、常に同じ頻度であることを前提に推定保険料を算出しているが、過去の運転者の運転実績情報から、運転時間を予想し、推定保険料を算出してもよい。
例えば、過去の運転実績から、月末に運転時間が増える傾向にあると判断できる運転者に対しては、当該運転実績傾向を反映し、推定保険料を算出するようにしてもよい。
すなわち、運転者毎の運転実績傾向を反映した推定保険料の算出が行われるために、推定保険料の算出精度を高めることができる。
【0037】
上述した情報処理装置1の保険提案部30が保険の契約条件の変更を提案するときに、推定保険料が上限金額を超えない複数の契約条件を提示し、運転者に提案を行うようにしてもよい。
これにより、運転者は残りの契約期間に対して、最適な契約条件を選択することができる。
【0038】
また、上述した情報処理装置1では、運転開始時に保険料推定部20において推定保険料を算出しているが、例えば、走行中、常に保険料推定部20において推定保険料を算出し、推定保険料が上限保険料を超えるか否かを判定するようにしてもよい。
これにより、推定保険料が上限保険料を超える見込みがあることを、より早く運転者に伝えることができる。
【0039】
以上、この発明の実施例につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0040】
1;情報処理装置
10;運転実績取得部
20;保険料推定部
30;保険提案部
40;表示部
50;通信部