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特開2023-13239内視鏡用光源装置、内視鏡システム、及び内視鏡
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013239
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】内視鏡用光源装置、内視鏡システム、及び内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/06 20060101AFI20230119BHJP
   G02B 23/26 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
A61B1/06 510
G02B23/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117260
(22)【出願日】2021-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小林 将太郎
(72)【発明者】
【氏名】笹村 大樹
(72)【発明者】
【氏名】宮田 拓征
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040CA05
4C161AA00
4C161BB00
4C161CC06
4C161GG01
4C161JJ11
4C161LL02
4C161QQ01
4C161QQ04
(57)【要約】
【課題】部品コストを抑えて照明光の光利用効率を向上させつつ、発光素子の発光に伴う発熱に対し効率的な冷却を行うことのできる内視鏡用光源装置を提供する。
【解決手段】内視鏡用光源装置は、基板と、発光素子が設けられた第1の構造体と、第2の構造体と、を備える。第1の構造体は、第2の主表面の側に配置され、発光により発熱した発光素子から基板に伝わる熱の一部を外部に放出する。第2の構造体は、第1の構造体との間に、基板の少なくとも一部が配置されるよう第1の構造体と接続され、第1の構造体に伝わる熱の一部を外部に放出する。第2の構造体は、発光素子を覆う覆い部を有している。覆い部は、発光素子から射出された光を反射する反射面と、発光素子から射出した光の一部及び反射面で反射した反射光の一部を外部に射出する開口部と、を有する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子が設けられた第1の主表面と、前記第1の主表面と反対側の第2の主表面と、を有する基板と、
前記基板の前記第2の主表面の側に配置され、発光により発熱した前記発光素子から前記基板に伝わる熱の一部を外部に放出するよう構成された第1の構造体と、
前記第1の構造体との間に、前記発光素子が設けられた前記第1の主表面上の位置を含む前記基板の少なくとも一部が配置されるよう前記第1の構造体と接続され、前記第1の構造体に伝わる前記熱の一部を外部に放出するよう構成された第2の構造体と、
を備え、
前記第2の構造体は、前記発光素子から間隔を空けた状態で前記発光素子を覆う覆い部を有し、
前記覆い部は、
前記発光素子から射出された光を反射するように構成された反射面と、
前記発光素子から射出した光の一部及び前記反射面で反射した反射光の一部を外部に射出するように構成された開口部と、
を有する、ことを特徴とする内視鏡用光源装置。
【請求項2】
前記第2の構造体は、前記第1の主表面、及び、前記第1の主表面と前記第2の主表面とを接続する前記基板の端面、の少なくとも一方から離間して配置されている、
請求項1に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項3】
前記第1の主表面及び前記端面の前記少なくとも一方と前記第2の構造体との間に介在するよう配置され、熱伝導率が10W/m・K以上である放熱部材をさらに備える、
請求項2に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項4】
前記放熱部材の抵抗率は、10-6Ω・m以上である、
請求項3に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項5】
前記第2の構造体は、前記反射面を囲み前記第1の主表面と対向する対向表面をさらに有している、
請求項1から4の何れか一項に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項6】
前記開口部から射出された光を集光するレンズをさらに備え、
前記第2の構造体は、前記レンズを保持し、前記開口部から射出された光が前記レンズを透過して前記第2の構造体の外側に射出されるよう構成された保持部をさらに有している、
請求項1から5の何れか一項に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項7】
前記第2の構造体には、前記保持部に保持された前記レンズと前記発光素子との間に、前記発光素子から射出された光が通過する中空の空間が形成されている、
請求項6に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項8】
前記第2の構造体は金属成形体である、
請求項1から7の何れか一項に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項9】
前記基板、前記第1の構造体、及び前記第2の構造体をそれぞれ含む複数の光源ユニットと、
前記光源ユニットの前記開口部から射出された光を合波し、外部に向けて射出するよう構成された光学部材と、
を備える、
請求項1から8の何れか一項に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項10】
前記光源ユニットの前記開口部から出射された光が前記光学部材により合波される空間を取り囲む筐体をさらに備え、
前記光源ユニットの前記第2の構造体は、前記筐体のうち当該空間を周状に囲む内側側壁の一部の周方向領域をなすよう配置され、
前記筐体は、前記内側側壁と共に前記空間を取り囲む天井面及び底面をなすよう前記光源ユニットの前記第2の構造体と接続され、互いに平行な方向に延在する上蓋体及び下蓋体をさらに備え、
前記上蓋体及び前記下蓋体は、前記第2の構造体に伝わる前記熱の一部を外部に放出するよう構成されている、
請求項9に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項11】
前光源ユニットの前記基板は、前記第1の構造体と前記第2の構造体との間に配置された当該基板の前記一部と接続し、前記筐体の外側に延在する外側延在部、を有し、
前記外側延在部には、前記発光素子を外部電極と電気的に接続するよう前記基板に設けられた配線の端子を有する接続端子部が設けられている、
請求項10に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項12】
請求項1から11の何れか一項に記載の内視鏡用光源装置と、
前記内視鏡用光源装置と接続する接続部と、前記接続部から光ケーブルを介して伝送した被写体を照明する照明光として前記開口部から射出された光が射出するように構成された照明光射出口を有する先端部と、を備える内視鏡と、
を含むことを特徴とする内視鏡システム。
【請求項13】
請求項9から11の何れか一項に記載の内視鏡用光源装置の光源ユニットと、
前記光源ユニットの射出した光を被写体を照明する照明光として射出するように構成された照明光射出口を有する先端部と、を備えることを特徴とする内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子が設けられた基板を備える内視鏡用光源装置、内視鏡システム、及び内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡用の光源装置として、キセノンランプの代わりに、LED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)等の発光素子を用いるものが知られている。例えば、特許文献1には、白色LEDと紫色LEDを有する内視鏡装置が開示されている。特許文献1の内視鏡装置では、各LEDから射出された光がレンズによって集光され、電子スコープの光ファイバに入射される。この装置において、光ファイバに入射された光は、電子スコープの先端部から射出され、被写体に照射される。
【0003】
従来、内視鏡用光源装置において、LEDから射出される光の射出角を絞るために、光路上に、反射膜が形成された半球状のレンズが配置される場合がある。反射膜は、レンズの球面に蒸着により形成され、レンズを透過したLED光の一部及び反射膜により反射されたLED光の一部を射出するよう、反射膜の一部の領域が開口している。このようなレンズは、例えば、基板上に設けられたLEDのカバーガラスに接着剤を用いて貼り付けられ、あるいは、基板上に設けられたレンズを保持する部品(レンズ保持部品)を用いてLEDの発光面近傍に配置される。このようなレンズを用いることで、光源装置の光学系を大型化することなく、照明光の光利用効率を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2012/108420号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
反射膜を蒸着により形成した上記のレンズは高価である。また、このようなレンズを用いた光源装置では、LEDの発光により発生した熱によって、接着剤が劣化したり、レンズとレンズ保持部品との熱膨張量の違いに起因してレンズが破損したりする場合がある。その結果、LEDの射出光の照明光としての光利用効率は低下してしまう。LEDを備える光源装置では、発光に伴って発熱したLED及び基板を効率よく冷却する必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、部品コストを抑えて照明光の光利用効率を向上させつつ、発光素子の発光に伴う発熱に対し効率的な冷却を行うことのできる内視鏡用光源装置、内視鏡システム、及び内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、内視鏡用光源装置である。当該内視鏡用光源装置は、
発光素子が設けられた第1の主表面と、前記第1の主表面と反対側の第2の主表面と、を有する基板と、
前記基板の前記第2の主表面の側に配置され、発光により発熱した前記発光素子から前記基板に伝わる熱の一部を外部に放出するよう構成された第1の構造体と、
前記第1の構造体との間に、前記発光素子が設けられた前記第1の主表面上の位置を含む前記基板の少なくとも一部が配置されるよう前記第1の構造体と接続され、前記第1の構造体に伝わる前記熱の一部を外部に放出するよう構成された第2の構造体と、
を備え、
前記第2の構造体は、前記発光素子から間隔を空けた状態で前記発光素子を覆う覆い部を有し、
前記覆い部は、
前記発光素子から射出された光を反射するように構成された反射面と、
前記発光素子から射出した光の一部及び前記反射面で反射した反射光の一部を外部に射出するように構成された開口部と、
を有する、ことを特徴とする。
【0008】
前記第2の構造体は、前記第1の主表面、及び、前記第1の主表面と前記第2の主表面とを接続する前記基板の端面、の少なくとも一方から離間して配置されている、ことが好ましい。
【0009】
前記第1の主表面及び前記端面の前記少なくとも一方と前記第2の構造体との間に介在するよう配置され、熱伝導率が10W/m・K以上である放熱部材をさらに備える、ことが好ましい。
【0010】
前記放熱部材の抵抗率は、10-6Ω・m以上である、ことが好ましい。
【0011】
前記第2の構造体は、前記反射面を囲み前記第1の主表面と対向する対向表面をさらに有している、ことが好ましい。
【0012】
前記開口部から射出された光を集光するレンズをさらに備え、
前記第2の構造体は、前記レンズを保持し、前記開口部から射出された光が前記レンズを透過して前記第2の構造体の外側に射出されるよう構成された保持部をさらに有している、ことが好ましい。
【0013】
前記第2の構造体には、前記保持部に保持された前記レンズと前記発光素子との間に、前記発光素子から射出された光が通過する中空の空間が形成されている、ことが好ましい。
【0014】
前記第2の構造体は金属成形体である、ことが好ましい。
【0015】
前記基板、前記第1の構造体、及び前記第2の構造体をそれぞれ含む複数の光源ユニットと、
前記光源ユニットの前記開口部から射出された光を合波し、外部に向けて射出するよう構成された光学部材と、
を備える、ことが好ましい。
【0016】
前記光源ユニットの前記開口部から出射された光が前記光学部材により合波される空間を取り囲む筐体をさらに備え、
前記光源ユニットの前記第2の構造体は、前記筐体のうち当該空間を周状に囲む内側側壁の一部の周方向領域をなすよう配置され、
前記筐体は、前記内側側壁と共に前記空間を取り囲む天井面及び底面をなすよう前記光源ユニットの前記第2の構造体と接続され、互いに平行な方向に延在する上蓋体及び下蓋体をさらに備え、
前記上蓋体及び前記下蓋体は、前記第2の構造体に伝わる前記熱の一部を外部に放出するよう構成されている、ことが好ましい。
【0017】
前記光源ユニットの前記基板は、前記第1の構造体と前記第2の構造体との間に配置された当該基板の前記一部と接続し、前記筐体の外側に延在する外側延在部、を有し、
前記外側延在部には、前記発光素子を外部電極と電気的に接続するよう前記基板に設けられた配線の端子を有する接続端子部が設けられている、ことが好ましい。
【0018】
本発明の別の一態様は、内視鏡システムである。当該内視鏡システムは、
前記内視鏡用光源装置と、
前記内視鏡用光源装置と接続する接続部と、前記接続部から光ケーブルを介して伝送した被写体を照明する照明光として前記開口部から射出された光が射出するように構成された照明光射出口を有する先端部と、を備える内視鏡と、
を含むことを特徴とする。
【0019】
本発明の別の一態様は、内視鏡である。当該内視鏡は、
前記内視鏡用光源装置の光源ユニットと、
前記光源ユニットの射出した光を被写体を照明する照明光として射出するように構成された照明光射出口を有する先端部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
上述の内視鏡用光源装置、内視鏡システム、及び内視鏡によれば、部品コストを抑えて照明光の光利用効率を向上させつつ、発光素子の発光に伴う発熱に対し効率的な冷却を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態の内視鏡用光源装置を備えた内視鏡システムの構成を示すブロック図である。
図2】光源装置の構成を示すブロック図である。
図3】各光源ユニットから射出される照明光の分光強度分布を示す図である。
図4】光源ユニットの一例を示す断面図である。
図5】光源ユニットの変形例を示す断面図である。
図6】光源ユニットの他の変形例を示す断面図である。
図7】光源装置の内部構成を示す断面図である。
図8】光源ユニットの一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下においては、本発明の一実施形態として内視鏡用光源ユニットを備える電子内視鏡システムを例に取り説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る内視鏡用光源装置201を備えた電子内視鏡システム1の構成を示すブロック図である。図1に示されるように、電子内視鏡システム1は、医療用に特化されたシステムであり、電子スコープ(内視鏡)100、プロセッサ200及びモニタ300を備えている。
【0024】
プロセッサ200は、システムコントローラ21及びタイミングコントローラ22を備えている。システムコントローラ21は、メモリ23に記憶された各種プログラムを実行し、電子内視鏡システム1全体を統合的に制御する。また、システムコントローラ21は、操作パネル24に接続されている。システムコントローラ21は、操作パネル24に入力される術者からの指示に応じて、電子内視鏡システム1の各動作及び各動作のためのパラメータを変更する。タイミングコントローラ22は、各部の動作のタイミングを調整するクロックパルスを電子内視鏡システム1内の各回路に出力する。
【0025】
プロセッサ200は、光源装置201を備えている。図2に、光源装置201のブロック図を示す。光源装置201は、第1~第4の光源ユニット111~114を備えている。第1~第4の光源ユニット111~114はそれぞれ、第1~第4光源駆動回路141~144によって個別に発光制御される。
【0026】
第1の光源ユニット111は、紫色の波長帯域(例えば、波長が395~435nm)の光を射出する紫色発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を有している。第2の光源ユニット112は、青色の波長帯域(例えば、波長が430~470nm)の光を射出する青色LEDを有している。第3の光源ユニット113は、青色の波長帯域(例えば、波長が425~455nm)の光を射出する青色LEDと蛍光体を有している。蛍光体は、青色LEDから射出された青色LED光によって励起され、緑色の波長帯域(例えば、波長が460~600nm)の蛍光を発する。第4の光源ユニット114は、赤色の波長帯域(例えば、波長が620~680nm)の光を射出する赤色LEDを有している。
【0027】
各光源ユニット111~114の光の射出方向の前方にはそれぞれ、コリメートレンズ121~124が配置されている。第1の光源ユニット111から射出された紫色LED光は、コリメートレンズ121によって平行光に変換され、ダイクロイックミラー131に入射される。また、第2の光源ユニット112から射出されたLED光は、コリメートレンズ122によって平行光に変換され、ダイクロイックミラー131に入射される。ダイクロイックミラー131は、第1の光源ユニット111から射出された光の光路と、第2の光源ユニット112から射出された光の光路とを合成する。詳しくは、ダイクロイックミラー131は、波長430nm付近にカットオフ波長を有しており、カットオフ波長よりも短い波長の光を透過させ、カットオフ波長以上の波長の光を反射する特性を有している。そのため、第1の光源ユニット111から射出された紫色LED光はダイクロイックミラー131を透過し、第2の光源ユニット112から青色LED光はダイクロイックミラー131で反射される。これにより、紫色LED光と青色LED光の光路が合成される。ダイクロイックミラー131によって光路が合成された光は、ダイクロイックミラー132に入射される。
【0028】
また、第3の光源ユニット113から射出された光、すなわち、青色LED光及び緑色の蛍光は、コリメートレンズ123によって平行光に変換され、ダイクロイックミラー132に入射される。ダイクロイックミラー132は、ダイクロイックミラー131から入射された光の光路と、第3の光源ユニット113から射出された光の光路とを合成する。詳しくは、ダイクロイックミラー132は、波長500nm付近にカットオフ波長を有しており、カットオフ波長よりも短い波長の光を透過させ、カットオフ波長以上の波長の光を反射する特性を有している。そのため、ダイクロイックミラー131から入射された紫色LED光及び青色LED光と、第3の光源ユニット113から射出された光のうち、緑色の蛍光は、ダイクロイックミラー132によってその光路が合成される。ダイクロイックミラー132によって光路が合成された光は、ダイクロイックミラー133に入射される。
【0029】
また、第4の光源ユニット114から射出された赤色LED光は、コリメートレンズ124によって平行光に変換され、ダイクロイックミラー133に入射される。ダイクロイックミラー133は、ダイクロイックミラー132から入射された光の光路と、第4の光源ユニット114から射出され赤色LED光の光路とを合成する。詳しくは、ダイクロイックミラー133は、波長600nm付近にカットオフ波長を有しており、カットオフ波長よりも短い波長の光を透過させ、カットオフ波長以上の波長の光を反射する特性を有している。そのため、ダイクロイックミラー132から入射された光と、第4の光源ユニット114から射出された赤色LED光は、ダイクロイックミラー133によってその光路が合成され、光源装置201から照明光Lとして射出される。
【0030】
光源装置201から射出された照明光Lは、集光レンズ25によりLCB(Light Carrying Bundle)11の入射端面に集光されてLCB11内に入射される。
【0031】
LCB11内に入射された照明光Lは、LCB11内を伝播する。LCB11内を伝播した照明光Lは、電子スコープ100の先端部106に配置されたLCB11の射出端面から射出され、配光レンズ12を介して被写体に照射される。配光レンズ12からの照明光Lによって照明された被写体からの戻り光は、対物レンズ13を介して固体撮像素子14の受光面上で光学像を結ぶ。
【0032】
固体撮像素子14は、ベイヤ型画素配置を有する単板式カラーCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサである。固体撮像素子14は、受光面上の各画素で結像した光学像を光量に応じた電荷として蓄積して、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の画像信号を生成して出力する。なお、固体撮像素子14は、CCDイメージセンサに限らず、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやその他の種類の撮像装置に置き換えられてもよい。固体撮像素子14はまた、補色系フィルタを搭載したものであってもよい。
【0033】
電子スコープ100の接続部内には、ドライバ信号処理回路15が備えられている。ドライバ信号処理回路15には、固体撮像素子14から被写体の画像信号が所定のフレーム周期で入力される。フレーム周期は、例えば、1/30秒である。ドライバ信号処理回路15は、固体撮像素子14から入力される画像信号に対して所定の処理を施してプロセッサ200の前段信号処理回路26に出力する。
【0034】
ドライバ信号処理回路15はまた、メモリ16にアクセスして電子スコープ100の固有情報を読み出す。メモリ16に記録される電子スコープ100の固有情報には、例えば、固体撮像素子14の画素数や感度、動作可能なフレームレート、型番等が含まれる。ドライバ信号処理回路15は、メモリ16から読み出された固有情報をシステムコントローラ21に出力する。
【0035】
システムコントローラ21は、電子スコープ100の固有情報に基づいて各種演算を行い、制御信号を生成する。システムコントローラ21は、生成された制御信号を用いて、プロセッサ200に接続されている電子スコープ100に適した処理がなされるようにプロセッサ200内の各種回路の動作やタイミングを制御する。
【0036】
タイミングコントローラ22は、システムコントローラ21によるタイミング制御に従って、ドライバ信号処理回路15にクロックパルスを供給する。ドライバ信号処理回路15は、タイミングコントローラ22から供給されるクロックパルスに従って、固体撮像素子14をプロセッサ200側で処理される映像のフレームレートに同期したタイミングで駆動制御する。
【0037】
前段信号処理回路26は、ドライバ信号処理回路15から1フレーム周期で入力される画像信号に対してデモザイク処理、マトリックス演算、Y/C分離等の所定の信号処理を施して、画像メモリ27に出力する。
【0038】
画像メモリ27は、前段信号処理回路26から入力される画像信号をバッファし、タイミングコントローラ22によるタイミング制御に従い、後段信号処理回路28に出力する。
【0039】
後段信号処理回路28は、画像メモリ27から入力される画像信号を処理してモニタ表示用の画面データを生成し、生成されたモニタ表示用の画面データを所定のビデオフォーマット信号に変換する。変換されたビデオフォーマット信号は、モニタ300に出力される。これにより、被写体の画像がモニタ300の表示画面に表示される。
【0040】
図3は、各光源ユニット111~114から射出される照明光Lの分光強度分布D111~D114を示している。図3に示される分光強度分布の横軸は波長(nm)を示し、縦軸は照明光Lの強度を示している。なお、縦軸は、強度の最大値が1となるように規格化されている。また、図3には、各ダイクロイックミラー131~133のカットオフ波長λ131~λ133が点線で示されている。図3に示す分光強度分布のうち、実線で示される領域が、光源装置201から射出され、照明光Lとして使用される領域である。また、破線で示される領域が、光源装置201から射出されず、照明光Lとして使用されない領域である。
【0041】
図3に示すように、ダイクロイックミラー131~133によって各光源ユニット111~114から射出された光の光路が合成されることにより、光源装置201からは、紫外領域(近紫外の一部)から赤色領域にかけて広い波長帯域を有する照明光Lが射出される。この照明光Lの分光強度分布は、図3に示す分光強度分布D111~D114のうち、実線で示される領域を足し合わせたものになる。なお、各光源ユニット111~114は個別に制御可能である。そのため、各光源ユニット111~114から射出される光の強度は、被写体に合わせて変更することができる。
【0042】
したがって、一実施形態の内視鏡システムは、光源ユニット111,112,114を含む内視鏡用の光源装置201と接続する接続部104(図1参照)と、接続部104からLCB11(光ケーブル)を介して伝送した被写体を照明する照明光Lが射出するように構成された照明光射出口105を有する先端部106と、を備える電子スコープと、を含む。
【0043】
図4図6は、各光源ユニット111~114のうち代表して第2の光源ユニット112の構成を説明するための図である。図4は、第2の光源ユニット112の一例の断面図を示す。図5は、第2の光源ユニット112の変形例の断面図を示す。図6は、第2の光源ユニット112の他の変形例の断面図を示す。これらの断面図は、後述する基板30の板厚方向の断面を表す。なお、第3の光源ユニット113の構成は、蛍光体を有していること、及び、LEDの発光波長が異なること以外は、第2の光源ユニット112の構成と同じである。また、第1及び第4の光源ユニット111、114の構成は、LEDの発光波長が異なること以外は、第2の光源ユニット112の構成と同じである。
【0044】
第2の光源ユニット112は、基板30と、第1の構造体50と、第2の構造体60と、を備える。
【0045】
基板30は、互いに平行な一対の主表面30a,30bを有している。主表面30a(第1の主表面)には、発光素子31が実装されている。発光素子31は、LED光を発する。発光素子31は、基板30に形成された配線(不図示)を介して供給された駆動電流に応じて発光する。発光素子31には、例えば、光量の大きい高出力なものが用いられる。そのような発光素子31の出力は、例えば1000~35000mWである。
【0046】
第1の構造体50は、基板30の主表面30b(第2の主表面)の側に配置されている。図4に示す例の第1の構造体50は、主表面30bと接するよう基板30と接続されているが、基板30との絶縁性を確保するために、第1の構造体50と基板30との間に、絶縁性を有する部材、例えば、後述する放熱シートが介在するよう配置されていてもよい。
【0047】
第1の構造体50は、発光により発熱した発光素子31から基板30に伝わる熱の一部を外部に放出するよう構成されている。第1の構造体50は、例えば、多数のフィンを備えるヒートシンクである。第1の構造体50は、熱伝導率の高い金属材料あるいはセラミック材料からなる。金属材料は、例えば、アルミニウム、鉄、銅のいずれか1種を含む材料である。セラミック材料は、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等である。
【0048】
第2の構造体60は、第1の構造体50と接続されている。図4に示す例の第2の構造体60には、ネジ穴60dが形成されており、ネジ穴60dに配置したネジ(不図示)により第1の構造体50にネジ留めされることで、第1の構造体50と接続される。第2の構造体60は、基板30の外側において第1の構造体50と接している。第2の構造体60と第1の構造体50との間には、発光素子31が設けられた主表面31bの位置を含む基板30の少なくとも一部が配置されている。第2の構造体60は、図4に示すように、基板30が配置される基板配置空間60aを有していることが好ましい。これにより、第2の構造体60と第1の構造体50との間に基板30を挟み込みつつ、第2の構造体60と第1の構造体50とを接触させることができる。基板30の主表面30a,30bと平行な方向の第2の構造体60の寸法は、図4に示すように、第1の構造体50と同じ寸法であることが好ましい。
【0049】
第2の構造体60は、第1の構造体50に伝わる熱の一部を外部に放出するよう構成されている。第2の構造体60は、例えば、第1の構造体50に用いられる上記材料と同様の材料からなる。第2の構造体60は、効率よく冷却を行うことができるとともに一体的な成形が容易である点で、金属成形体であることが好ましい。
【0050】
第2の構造体60は、発光素子31から間隔を空けた状態で発光素子31を覆う覆い部40を有している。
【0051】
覆い部40は、発光素子31から射出された光を反射するように構成された反射面41を有している。反射面41は、LED光に対して比較的高い反射率を有する。図4に示す例において、反射面41は、基板配置空間60aと連通し、かつ、発光素子31から離れる側に形成されるドーム状の空間43と接する湾曲面である。
【0052】
覆い部40には、発光素子31から射出した光の一部及び反射面41で反射した反射光の一部を外部に射出する開口42が形成されている。開口42は、覆い部40のうち、発光素子31と対向する領域の一部に形成されている。開口42は、覆い部40の内側と外側とを繋ぐ貫通穴である。この開口42の面積は、発光素子31の発光面31a(主表面30aと平行な面)の面積よりも小さく設定されている。
【0053】
覆い部40は、コリメートレンズ122を含む光学系において、LED光の利用効率を向上するよう機能する。発光素子31から射出されたLED光のうち、覆い部40の開口42に向かって射出されたLED光は、開口42を通過して第2の光源ユニット112から射出される。一方、発光素子31から射出されたLED光のうち、開口42以外の方向に向かって射出されたLED光は、覆い部40の反射面41により、基板30又は発光素子31に向かって反射される。反射面41で反射されたLED光は、基板30又は発光素子31により、開口42又は覆い部40向かって再び反射される。このように、LED光は、覆い部40、基板30及び発光素子31で反射を繰り返すことにより、最終的に開口42を通過して第2の光源ユニット112から射出される。
【0054】
通常、広い角度範囲に亘って射出されるLED光をコリメートレンズで効率よく取り込むためには、コリメートレンズの径を大きくする必要がある。これに対し、本実施形態では、射出角度の大きいLED光であっても、第2の光源ユニット112内で多重反射されることにより開口42から射出される際には射出角度の小さいLED光に変換されている。そのため、本実施形態では、コリメートレンズ122の径を大きくすることなく、LED光の利用効率を向上させることができる。このように、本実施形態では、反射膜を蒸着した半球状のレンズのような高価な部品を用いることなく、照明光の利用効率を向上させることができる。すなわち、本実施形態によれば、部品コストを抑えて照明光の利用効率を向上させることができる。
【0055】
また、第2の光源ユニット112は、第2の構造体60を備えることで、第1の構造体50とは別の放熱経路を有しているので、放熱性に優れる。このため、発光素子31の発光に伴う発熱した発光素子31及び基板30を効率よく冷却することができる。
このように、本実施形態によれば、上述の第2の構造体60を用いて、部品コストを抑えて照明光の利用効率を向上させつつ、発光素子31の発光に伴う発熱に対して効率的な冷却を行うことができる。
【0056】
基板30は、図4に示すように、主表面30aと主表面30bとを接続する端面30cを有している。端面30cは、基板30の板厚方向に延びる基板30の側面である。一実施形態によれば、第2の構造体60は、主表面30a及び端面30cの少なくとも一方から離間して配置されていることが好ましく、図4に示すように、主表面30a及び端面30cの両方から離間していること、すなわち、基板30から離間して配置されることがより好ましい。基板30には、上述したように、配線が形成されており、さらに、発光素子31のアノード及びカソードの電極が設けられている、あるいは、フレームグラウンドとなっている場合がある。このため、第2の構造体60が金属材料等からなる導体である場合に、このような配線等と接触することは好ましくない。一方で、第2の構造体60は、第1の構造体50と接続されているため、発光素子31から基板30に伝わる熱を、少なくとも第1の構造体50から間接的に逃がすことができる。このように、第2の構造体60を主表面30aや端面30cから離間させることで、第2の構造体60と基板30の配線等との接触を防止し、絶縁性を確保しつつ、効率的な冷却を行うことができる。
【0057】
図5は、本実施形態の変形例における第2の光源ユニット112の断面図である。第2の構造体60が、上述したように、主表面30a又は端面30cから離間している場合において、第2の光源ユニット112は、放熱部材71を備えることが好ましい。放熱部材71は、図5に示すように、主表面30a及び端面30cと第2の構造体60との間に介在するよう配置される。放熱部材71は、例えば、シート状の部材、液状の材料等からなり、基板30と第2の構造体60との間の隙間を埋めるように配置される。放熱部材71は、熱伝導率が10W/m・K以上である部材である。これにより、発光素子31から基板30に伝わる熱を、主表面30aの側から第2の構造体60に直接伝達し、熱を逃がすことができる。このように、第2の構造体60によって、第1の構造体50から間接的に伝わる熱に加え、基板30から直接伝わる熱を放熱することができるので、第2の光源ユニット112における冷却効率が増す。また、放熱部材71が上記隙間に配置されていることは、基板30を封止する点で有効である。
【0058】
放熱部材71の抵抗率は、10-6Ω・m以上であることが好ましい。そのような放熱部材71は、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の熱伝導率の高いセラミック材料、あるいは、アクリル系又はシリコーン系の樹脂、及び、任意に含まれるフィラー、を含む材料からなる。放熱部材71の抵抗率が上記範囲にあることで、第2の構造体60が導体である場合に、基板30の配線等との接触を防止し、絶縁性を確保しつつ、効率よく冷却を行うことができる。
【0059】
一実施形態によれば、図4及び図5に示すように、第2の構造体60は、反射面41を囲み主表面30aと対向する対向表面60cを有していることが好ましい。図4及び図5に示す対向表面60cは、基板配置空間60aと接する、主表面30aと平行な表面である。このような対向表面60cが第2の構造体60に形成されていることにより、基板30の熱が、主表面30aの側から基板配置空間60aあるいは放熱部材71を介して第2の構造体60に伝達されやすく、速やかに熱を逃がすことができる。
【0060】
図6は、本実施形態の他の変形例における第2の光源ユニット112の断面図である。一実施形態によれば、第2の光源ユニット112は、開口42から射出されたLED光を集光するレンズ80を備える。レンズ80は、例えば、半球レンズ等の平凸レンズであり、レンズ80の平坦な面が基板30の側を向くように配置される。レンズ80は、集光したLED光を平行光に変換する。このようなレンズ80を透過し、射出されることで、LED光射出角が絞られ、照明光Lの利用効率を向上させることができる。コリメートレンズは、図6に示す光源装置202のように、光源ユニットに備えられていてもよく、図5に示す光源装置201のように、光源ユニットとは別に備えられていてもよい。
この場合に、第2の構造体60は、図6に示すように、レンズ80を保持する保持部60gを有していることが好ましい。保持部60gには、開口42から射出され、レンズ80を透過したLED光が第2の構造体60の外側に射出されるよう、開口60hが形成されている。このように、第2の構造体60にレンズ80を保持させているので、レンズ保持部品(不図示)を用いる必要がなく、したがって、レンズ保持部品を用いた場合に発生するレンズ80とレンズ保持部品との熱膨張量差に起因してレンズ80が破損するという問題は起こらない。また、第2の構造体60にレンズ80を保持させているので、発光素子31を保護するカバーガラス(不図示)を基板30に設け、カバーガラスに接着剤を用いてレンズ80を貼り付ける必要がない。このため、熱によって接着剤が劣化し、光利用効率が低下するという問題を回避できる。
【0061】
第2の構造体60には、保持部60gに保持されたレンズ80と発光素子31との間に、発光素子31から射出された光が通過する中空の空間(例えば上述した空間43)が形成されていることが好ましい。このような空間43を介して、レンズ80を基板30から離間して配置させることができ、レンズ80の熱膨張量を低減できる。この点で、保持部60gは、図6に示すように、覆い部40の開口42に対しさらに基板30から離間した位置に形成されていることが好ましい。
【0062】
以上の第2の光源ユニット112は、例えば、次の手順で組み立てることができる。第2の構造体60の対向表面60cに、放熱部材71を介して基板30の主表面30aを貼り付けて、基板30を第2の構造体60の基板配置空間60a内に配置する。この作業を、発光素子31の位置を、第2の構造体60の開口60h,42から確認しながら行って、発光素子31を、開口42を通る主表面30aの法線方向と交差する位置に位置決めする。次いで、第1の構造体50を、第2の構造体60のネジ穴60dを介してネジ留めし、第2の構造体60と接続する。これにより、基板30の少なくとも一部が、第1の構造体50と第2の構造体60との間に挟み込まれる。このような手順で第2の光源ユニット112を組み立てることにより、第2の構造体60、放熱部材71、基板30、及び第1の構造体50の位置合わせを行うことができる。
【0063】
図7は、上述した第2の光源ユニット112を備える光源装置202の内部構成を示す断面図である。光源装置202は、図2に示す光源装置201の変形例であり、第2の光源ユニット112に加え、第3の光源ユニット113及び第4の光源ユニット114を備える。すなわち、光源装置202は、光源装置201とは、第1の光源ユニット111を備えない点で異なっている。図7に示す断面は、後述する筐体の内側側壁の周方向に沿った断面であり、光源ユニット112,113,114は、後で参照する図8のIV-IV線に沿って見た断面で表される。光源装置202は、第2の光源ユニット112のほかに、第3の光源ユニット113及び第4の光源ユニット114を備えている。
【0064】
光源装置202は、光学部材として、ダイクロイックミラー132,133のほか、レンズ91,92,93を備えることが好ましい。図7に示すレンズ91~93は、平凸レンズであり、筐体90の内側側壁90aに形成された開口90b内に配置されている。これらの光学部材によって、光源ユニット112,113,114それぞれの開口60hから射出された光は、光路が合成され(合波され)、外部に向けて射出される。
【0065】
光源装置202は、図7に示すように、筐体90を備えている。筐体90は、光源ユニット112,113,114の開口から出射された光が光学部材91,92,93により合波される空間95を取り囲む構造体である。これにより、空間95を密閉した封止構造が得られ、空間95内に塵や埃が侵入することを防ぐことができる。光源ユニット112,113,114それぞれの第2の構造体60は、筐体90のうち当該空間95を周状に囲む筐体90の内側側壁90aの一部の周方向領域をなすよう配置されている。筐体90は、上蓋体(不図示)及び下蓋体96をさらに備えている。上蓋体及び下蓋体96は、内側側壁90aと共に空間95を取り囲む天井面及び底面をなすよう光源ユニット112,113,114の第2の構造体60と接続され、互いに平行な方向に延在する構造体である。上蓋体及び下蓋体96は、第2の構造体60と、上下方向(図7の奥行方向)に隙間なく接していることが好ましい。また、上蓋体及び下蓋体96は、第2の構造体60に用いられる上記材料と同様の材料からなることが好ましい。このような構成によれば、第2の構造体60と上蓋体及び下蓋体96との接触面積が大きく、第2の構造体60から上蓋体及び下蓋体96に伝わる熱が速やかに放出されるので、光源装置202の冷却効率が向上する。
【0066】
図8は、第2の光源ユニット112の一例を示す正面図であり、基板30の主表面30aの側から見た図である。図8において、発光素子31が設けられる主表面30a上の位置は、破線の円内にある。一実施形態によれば、光源ユニット112,113,114それぞれの基板30は、図8に示すように、外側延在部30dを備えることが好ましい。外側延在部30dは、第1の構造体50と第2の構造体60との間に配置された基板30の一部(内側延在部30e)と接続し、筐体90の外側に延在する基板30の部分である。外側延在部30dには、図8に示すように、接続端子部33が設けられていることが好ましい。接続端子部33は、発光素子31を外部電極(不図示)と電気的に接続するよう基板30に設けられた配線の端子(不図示)を有する。光源装置202の空間95は、上述のように封止されるが、外側延在部30dに接続端子部33が設けられているため、光源装置202を組み立てた後、接続端子部33を外部電極に接続することが容易になる。すなわち、光源装置202の組み立て性に優れる。
【0067】
図8に示す第2の構造体60には、ネジ穴60e,60fが設けられている。ネジ穴60e,60fは、第2の構造体60を、上蓋体及び下蓋体96と接続するようネジ留めするための穴である。
【0068】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施形態等又は自明な実施形態等を適宜組み合わせた内容も本発明の実施形態に含まれる。
【0069】
図1に示す電子内視鏡システム1では、光源装置201は、プロセッサ200に設けられているが、プロセッサ200及び電子スコープ100とは別体の装置として構成されてもよい。
また、一実施形態によれば、光源ユニット111~114を光源装置として電子スコープ100に組み込んでもよい。このとき、一実施形態によれば、プロセッサ200と接続される接続部104に組み込まれることが好ましい。接続部104に組み込むことにより、接続に伴う接続不良が回避できる。
また、一実施形態によれば、光源ユニット111~114は、電子スコープ100の配光レンズ12が設けられた先端部106に組み込まれてもよい。先端部106に組み込まれる場合、LCB11が不要になるので、照明光はLCB11における伝送特性の影響を受けない他、体腔内に挿入される部分の径を細くすることができ、被験者への負担を軽減することができる。
【0070】
また、一実施形態によれば、覆い部40は、ドーム状以外の形状を有することも好ましい。一実施形態によれば、覆い部40は角筒状を有していることが好ましく、一実施形態によれば、覆い部40の断面は、発光素子31から離れるに従って小さくなる角錐台状あるいは円錐台状を呈していることが好ましい。また、覆い部40の、発光素子31が配置されている端部とは反対の端部の開口42の面積は、発光素子31の発光面31aの面積よりも小さく設定されている。
【0071】
また、一実施形態によれば、反射面41は、ドーム状の空間43の側の構造体の表面に形成した、金属(例えば、銀)の多層膜や誘電体の多層膜の表面であってもよい。
【0072】
一実施形態によれば、レンズ80は、開口42の外側に配置されている必要はなく、開口42内に開口42を塞ぐように配置されていてもよい。
【0073】
また、上述の実施形態では、発光素子31としてLEDを想定している。本発明はこれに限定するものではなく、一実施形態によれば、LD(Laser Diode)を発光素子31として採用することも好ましい。
【符号の説明】
【0074】
1 電子内視鏡システム
11 LCB
12 配光レンズ
13 対物レンズ
14 固体撮像素子
15 ドライバ信号処理回路
16 メモリ
21 システムコントローラ
22 タイミングコントローラ
23 メモリ
24 操作パネル
25 集光レンズ
26 前段信号処理回路
27 画像メモリ
28 後段信号処理回路
30 基板
30a 第1の主表面
30b 第2の主表面
30c 端面(側面)
30d 外側延在部
30e 内側延在部
31 発光素子(LED)
31a 発光面
33 接続端子部
40 覆い部
41 反射面
42 開口
43 空間
50 第1の構造体
60 第2の構造体
60a 基板配置空間
60b 保持部
60c 対向表面
60d,60e,60f ネジ穴
60g 保持部
60h 開口
71 放熱部材
80 レンズ
90 筐体
90a 内側側壁
90b 開口
91,92,93 レンズ
95 空間
96 下蓋体
100 電子スコープ
104 接続部
105 照明光射出口
106 先端部
111~114 光源ユニット
121~124 コリメートレンズ
141~144 光源駆動回路
131~133 ダイクロイックミラー
200 プロセッサ
201,202 光源装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8